説明

テープ製品の搬送方法及びその搬送装置、テープ製品の検査方法

【課題】投資コストを抑制できるようにしたテープ製品の搬送方法及びその搬送装置、テープ製品の検査方法を提供する。
【解決手段】長尺方向へ並ぶように形成された複数のテープ製品10のそれぞれについて、テープ製品10を長尺方向の長さが同じである2つの領域R1、R2に仮想的に分割しておき、テープ製品10の1回当たりの搬送距離を各領域R1、R2の長尺方向の長さに一致させて、テープ製品10の製品処理部への搬送を複数回に分けて行い、領域R1が製品処理部に到達したときは、領域R1を製品処理部に対して位置合わせし、領域R2が製品処理部に到達したときは、領域R2を製品処理部に対して位置合わせしない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ製品の搬送方法及びその搬送装置、テープ製品の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テープ製品としてTCP製品やFPC製品が既に知られている。また、テープ製品の製造と検査を行う場合の搬送及び位置合わせに関しては、専用の搬送装置(ハンドラーとも呼ばれる。)を用いることが一般的である。この搬送及び位置合わせは、長尺テープに形成された複数のテープ製品を1個1個の単位(即ち、1製品単位)で搬送し、位置合わせすることが一般的である。また、搬送距離は搬送孔の孔数で示される場合が多く、且つ、1回当たりの搬送距離(即ち、1搬送単位)も上限が設定されていることが一般的である。
【0003】
具体的には、例えば図10(a)〜(c)に示すように、長尺テープ90には複数のテープ製品が形成されており、これら各テープ製品にはそれぞれICチップ91が実装されている。また、平面視で、この長尺テープ90の両側には等間隔で複数の搬送孔92が設けられている。これらの搬送孔92はスプロケットホールとも呼ばれている。この搬送孔92に、搬送装置が有するローラーのピンが差し込まれ、この状態でローラーが一方向に回転することにより、テープ製品は搬送方向(例えば、左から右方向)へ搬送される。このような搬送により、例えばテープ製品に対する検査を流れ作業で行うことができる。ここで、1搬送単位は、平面視で長尺テープ90の片側に設けられた搬送孔92の孔数で示され、その最大値は例えば孔数=16に制約されている。つまり、1搬送単位は孔数=1〜16の範囲で任意に設定できるようになっている。
【0004】
図10(a)では、長尺テープ90に複数のテープ製品(以下、単に製品ともいう。)Aが形成されており、これら各製品Aの長尺方向の長さ(即ち、製品Aの1製品単位)は、1搬送単位の最大値(例えば、孔数=16)と同じ長さなっている。この場合、1搬送単位を孔数=16に設定することにより、1回の搬送で1個の製品Aを搬送方向へ移動させることができる。また、図10(b)では、長尺テープ90に複数のテープ製品Bが形成されており、これら各製品Bの1製品単位は、1搬送単位の最大値よりも小さい値(例えば、孔数=10)となっている。この場合、1搬送単位を孔数=10に設定することにより、1回の搬送で1個の製品Bを搬送方向へ移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−122598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のように1搬送単位の孔数に制約がある場合、この孔数を超える長さの製品については、検査を行うことができないという課題があった。具体的には、図10(c)に示すように、長尺方向の長さが例えば孔数=18であるテープ製品Cについては、その長さが1搬送単位の上限(例えば、孔数=16)よりも大きい。このため、アルゴリズムにより1搬送単位の上限が孔数=16に設定された搬送装置では、製品Cを正しく搬送することができず、検査を流れ作業で行うことができないという課題があった。
【0007】
また、このような課題を解決するために、1搬送単位の上限を変更又は撤廃するなどの方法も考えられるが、この場合は、アルゴリズムの変更となるため、ソフトウェアの変更はもちろんのこと、ハードウェアも変更が必要となる可能性があり、設備に対する投資コストが著しく増大してしまう可能性があった。
そこで、本発明の幾つかの態様は、このような事情に鑑みてなされたものであって、投資コストを抑制できるようにしたテープ製品の搬送方法及びその搬送装置、テープ製品の検査方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るテープ製品の搬送方法は、長尺テープの長尺方向へ並ぶように形成された複数のテープ製品のそれぞれについて、前記テープ製品を前記長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割しておき、前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さに一致させて、前記テープ製品の製品処理部への搬送を複数回に分けて行い、前記複数の領域のうちの一の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記一の領域を前記製品処理部に対して位置合わせし、前記一の領域以外の他の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記他の領域を前記製品処理部に対して位置合わせしないことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「長尺」とは、例えば映画フィルムのように一方向に長い、という意味である。また、「テープ製品」とは、例えば、絶縁性材質からなる長尺テープ上に導電性材質からなる配線が形成され、この配線に接続するようにICチップが取り付けられる(又は、取り付けられた)製品のことである。絶縁性材質としては例えばポリイミド樹脂などがあり、導電性材質としては例えば銅などがある。また、「製品処理部」とは、例えば、テープ製品にプローブカードの針先を接触させて、テープ製品に実装されたICチップを電気的に検査する(即ち、ICチップに試験信号や電源を供給してその電気的特性や機能を測定したり、ICチップの良否を判定したりする)検査部である。或いは、「製品処理部」とは、例えばコレットの先端にICチップを吸着し、吸着したICチップをテープ製品の所定位置に実装するダイボンダーであっても良い。また、「一の領域」は、例えば、ICチップと電気的に接続する配線の端子部を含む。
【0010】
このような方法であれば、例えば、複数の領域の各領域の長尺方向の長さを、テープ製品の1回当たりの搬送距離(即ち、1搬送単位)の上限値未満の値とすることができる。従って、テープ製品の長尺方向の長さがテープ製品の1回当たりの搬送距離(即ち、1搬送単位)の上限値を超えている場合でも、この上限値を変えることなく、テープ製品を製品処理部へ搬送することができ、製品処理部に対して位置合わせすることができる。1搬送単位の上限値を変える必要がないので、搬送方法のアルゴリズムは大きくは変わらず、ソフトウェアの変更等は少なくて済む。これにより、設備に対する投資コストを低く抑えることができる。
【0011】
また、上記の搬送方法において、前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を1搬送単位としたとき、前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さが、前記1搬送単位の上限値未満の値となるように、前記テープ製品の領域数を設定することを特徴としても良い。このような方法であれば、複数の領域の各領域の長尺方向の長さを、1搬送単位の上限値未満の値とすることができる。これにより、テープ製品の長尺方向の長さが1搬送単位の上限値を超えている場合でも、この上限値を変えることなく、テープ製品を製品処理部へ搬送することができる。
また、上記の搬送方法において、前記長尺テープには、前記長尺方向へ等間隔で並ぶように配置された複数の搬送孔が設けられており、前記テープ製品に前記複数の領域を設定する際は、前記各領域に前記搬送孔をそれぞれ同じ孔数ずつ割り当てることを特徴としても良い。このような方法であれば、搬送孔の孔数を用いて1搬送単位を決めることができる。
【0012】
また、上記の搬送方法において、前記一の領域と前記他の領域とを識別するための識別マークを、前記一の領域又は前記他の領域の少なくとも一方に形成しておくことを特徴としても良い。このような方法であれば、一の領域と他の領域とを高精度に識別することができる。
また、上記の搬送方法において、前記一の領域を前記製品処理部に位置合わせするための位置合わせマークを、前記一の領域に形成しておくことを特徴としても良い。このような方法であれば、一の領域を製品処理部に対して高精度に位置合わせすることができる。
【0013】
また、上記の搬送方法において、前記一の領域と前記他の領域とを識別するための識別マークと、前記一の領域を前記製品処理部に位置合わせするための位置合わせマークとを兼用した兼用マークを、前記一の領域に形成しておくことを特徴としても良い。このような方法であれば、一の領域と他の領域とを高精度に識別することができる。また、一の領域を製品処理部に対して高精度に位置合わせすることができる。さらに、識別マークと位置合わせマークと別々に形成する場合と比べて、テープ製品におけるマークの占有面積を減らすことができる。
【0014】
本発明の別の態様に係るテープ製品の搬送装置は、長尺テープの長尺方向へ並ぶように形成された複数のテープ製品を製品処理部へ搬送する搬送装置であって、前記複数のテープ製品のそれぞれについて、前記テープ製品は前記長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割されており、前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さに一致させて、前記テープ製品の前記製品処理部への搬送を複数回に分けて行う搬送手段と、前記複数の領域のうちの一の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記一の領域を前記製品処理部に対して位置合わせし、前記一の領域以外の他の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記他の領域を前記製品処理部に対して位置合わせしない位置合わせ手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0015】
このような構成であれば、例えば、複数の領域の各領域の長尺方向の長さを、1搬送単位の上限値未満の値とすることができる。従って、テープ製品の長尺方向の長さが1搬送単位の上限値を超えている場合でも、この上限値を変えることなく、テープ製品を製品処理部へ搬送することができ、製品処理部に対して位置合わせすることができる。1搬送単位の上限値を変える必要がないので、搬送方法のアルゴリズムは大きくは変わらず、ソフトウェアの変更等は少なくて済む。これにより、設備に対する投資コストを低く抑えることができる。
【0016】
本発明のさらに別の態様に係るテープ製品の検査方法は、長尺テープの長尺方向へ並ぶように形成された複数のテープ製品を、プローブカードを有する検査部へ搬送する工程と、前記検査部に到達した前記テープ製品に前記プローブカードの針先を接触させて前記テープ製品を電気的に検査する工程と、を含み、前記テープ製品を搬送する工程では、前記複数のテープ製品のそれぞれについて、前記テープ製品を前記長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割しておき、前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さに一致させて、前記テープ製品の前記検査部への搬送を複数回に分けて行い、前記複数の領域のうちの一の領域が前記検査部に到達したときは、前記一の領域を前記プローブカードに対して位置合わせし、前記一の領域以外の他の領域が前記検査装置に到達したときは、前記他の領域を前記プローブカードに対して位置合わせしないことを特徴とするものである。
【0017】
このような方法であれば、例えば、複数の領域の各領域の長尺方向の長さを、1搬送単位の上限値未満の値とすることができる。従って、テープ製品の長尺方向の長さが1搬送単位の上限値を超えている場合でも、この上限値を変えることなく、テープ製品を製品処理部へ搬送することができ、製品処理部に対して位置合わせすることができる。1搬送単位の上限値を変える必要がないので、搬送方法のアルゴリズムは大きくは変わらず、ソフトウェアの変更等は少なくて済む。これにより、設備に対する投資コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るテープ製品10の構成例を示す図。
【図2】実施形態に係る搬送装置60の構成例を示す図。
【図3】プローブカード71とテープ製品10とを示す図。
【図4】実施形態に係るテープ製品10の搬送及び位置合わせの方法を示す図。
【図5】実施形態に係るテープ製品10の位置合わせ及び検査の手順を示すフローチャート。
【図6】実施形態に係るテープ製品10の他の構成例を示す図(その1)。
【図7】実施形態に係るテープ製品10の他の構成例を示す図(その2)。
【図8】実施形態に係るテープ製品10の他の構成例を示す図(その3)。
【図9】実施形態に係るテープ製品10の他の構成例を示す図(その4)。
【図10】従来例とその課題を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るテープ製品10の構成例を示す概念図である。
図1に示すように、長尺テープ(以下、単にテープともいう。)50は、例えば、映画フィルムのように一方向に長いフィルムを基材とするものである。このテープ50は例えばポリイミド樹脂などの絶縁性材質からなり、その長尺方向に沿う両側端にそれぞれ複数の搬送孔51が設けられている。これらの搬送孔51は、テープ50の長尺方向へ等間隔で並ぶように配置された貫通孔であり、スプロケットホールとも呼ばれる。また、このテープ50には、例えば、同一種類の複数のテープ製品10が、長尺方向へ一列に並んで形成されている。
【0020】
このようなテープ製品10の各々は、例えば、テープ50上に設けられた配線1と、この配線に接続するようにテープ50上に取り付けられたICチップ11と、を有する。この配線1は、例えば銅等の導電性材質からなる。また、ICチップ11は、例えばベア状態又は樹脂封止された状態のものであり、その能動面が図示しないバンプ等を介して配線1に接合されている(即ち、フェイスダウンで実装されている。)。
また、このテープ製品10には、例えば、領域識別用のマーク3と、位置合わせ用のマーク5とが設けられている。ここで、領域識別用のマーク3とは、テープ製品10を製品処理部(例えば、プローバー)へ搬送する際に、プローブカードと位置合わせを行う領域と、位置合わせを行わない領域とを識別するためのマークである。また、位置合わせ用のマーク5とは、テープ製品10内の位置合わせを行う領域R1と、プローブカードとを位置合わせするためのマークである。
【0021】
領域識別用のマーク3は例えば貫通孔からなり、金型を用いてテープ50を打ち抜く工程(以下、打ち抜き工程ともいう。)で形成される。例えば、搬送孔51の形成工程を利用してマーク3を形成することができ、マーク3と搬送孔51とを同じプロセスで同時に形成することができる。また、位置合わせ用のマーク5は例えば導電性材質からなり、導電膜を成膜し、これをパターニングする工程で形成される。例えば、配線1の形成工程を利用してマーク5を形成することができ、マーク5と配線1とを同じプロセスで同時に形成することができる。これらマーク3、5の平面視による形状は、例えば十字(クロス)型である。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る搬送装置60の構成例を示す概念図である。
図2に示すように、この搬送装置60は、搬送ピン付のローラー61、62と、クランパ63と、センサー65と、カメラ67と、図示しないリールと、を有する。
これらの中で、ローラー61、62の表面には、テープ50の搬送孔51(例えば、図1を参照。)の配置間隔に対応した間隔で配置された複数のピンが設けられている。この搬送装置60では、ローラー61、62の表面にそれぞれ設けられたピンがテープ50の搬送孔51に挿嵌され、この状態でローラー61、62が共に一方向(例えば、右回り)に同じ速度で回転する。これにより、テープ50に形成された各テープ製品10は、送出側のリール(図示せず)からクランパ63の間を経由して、受け入れ側のリール(図示せず)に巻き取られるようになっている。クランパ63は、テープ50を両側から挟んで固定すると共に、固定した部位の位置を微調整するものである。
【0023】
センサー65は、テープ50の有無を認識するためのものである。例えば、センサー65は光源65aと受光部65bとを有し、光源65aと受光部65bとがテープ50の搬送経路を挟んで向かい合うように配置されている。そして、受光部65bで光電変換により生じる電荷量(即ち、電圧値)の大小に基づいて、テープ50の有無を判断できるようになっている。具体的には、光源65aと受光部65bとの間にテープ50が存在すると、光源65aから受光部65bへの光が遮られるため、光電変換はほとんど行われない。このため、受光部65bから出力される電圧値は予め設定される閾値未満の値となり、テープ50が有ると認識される。一方、光源65aと受光部65bとの間にテープ50が存在しないと、光源65aから受光部65bへ光が到達して光電変換が行われる。このため、受光部65bから出力される電圧値は閾値以上の値となり、テープ50が無いと認識される。なお、後述するように、このセンサー65は、テープ製品10に設けられた領域識別用のマーク3の検出にも使用される。
【0024】
カメラ67は、テープ製品10を製品処理部に位置合わせするためのものである。例えば、テープ製品10に形成されたマークをカメラ67の視野に入れ、ピントを合わせる。そして、カメラ67の視野の中心にマークの中心が位置するように、クランパ63を動かして、テープ製品10の位置を微調整する。これにより、テープ製品10を製品処理部に位置合わせすることができる。
図3に示すように、製品処理部がプローバーの場合は、テープ製品10の少なくとも一部をプローブカード71に位置合わせすることができ、テープ製品10が有する配線1の端子部2(例えば、図1参照。)にプローブカード71のプローブピン(針先)72を位置精度良く接触させることができる。また、この場合は、搬送装置60の一部(例えば、ローラー61、62やクランパ63など)、又は全部が、図示しないプローバーの中に配置されていても良い。
【0025】
次に、図1に示したテープ製品10を図2に示した搬送装置60を用いて搬送すると共に、搬送されてきたテープ製品10に対して順次、検査処理を行う場合について説明する。なお、以下の説明では、図2に示した搬送装置60の1搬送単位の孔数には制約があり、その上限値はアルゴリズムで例えば孔数=16に決められている場合を想定する。
まず始めに、搬送処理の前準備として、テープ製品10を長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割する。その理由は以下のとおりである。即ち、例えば図1に示したように、このテープ製品10の長尺方向に沿う側端には片側で18個、両側で36個の搬送孔51が設けられている。1製品単位の長さは孔数=18であり、1搬送単位の上限値である孔数=16よりも大きいため、このままでは、図1に示したテープ製品10を正しく搬送することができない。それゆえ、搬送処理の前準備として、テープ製品10を長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割しておく。
【0026】
その方法として、ここでは、テープ製品10の片側の側端に並ぶ搬送孔51の数を整数で割り切れるように分割する。そして、整数分割された搬送孔51の数を1搬送単位に設定して、テープ製品10の搬送処理を行う。即ち、テープ製品10の片側の側端に並ぶ搬送孔51の数をMとし、1搬送単位の搬送孔51の上限数をMmaxとしたとき、M>Mmaxであれば、Mを2以上の整数nで分割する。ここで、M/n=Msplitが整数で、且つ、Msplit<Mmaxであれば、分割後の1搬送単位は1搬送単位の上限値よりも小さくなるので、テープ製品10をプローバーに向けて正しく搬送することができる。
【0027】
図1の場合は、M=18、Mmax=16であるため、M/n=Msplitが整数で、且つ、Msplit<Mmaxを満たす整数nの値は、n=2、3、6、9である。n=2、3、6、9の何れを選択しても良いが、nの値が大きいほど、1搬送単位の孔数(=Msplit)は小さくなり1回当たりの搬送距離は短くなる。その結果、1つのテープ製品10に対する位置合わせ回数が必要以上に増えてしまう可能性がある。従って、nはできるだけ小さい値を選択することが好ましい。この例では、n=2を選択する。つまり、孔数=18を2分割して、1搬送単位の孔数=9に設定する。
なお、このような分割処理はあくまで搬送処理の都合から行う仮想的なものである。この分割処理は、実際にテープ50を切断したり、テープ50に境界線を記したりするなどの画定処理は必要としない。
【0028】
また、図1に示したように、このような仮想的な分割処理により生成された各領域R1、R2には、位置合わせ用のマーク5や領域識別用のマーク3を必要に応じて形成しておく。また、分割後の1搬送単位に関する情報を図2に示した搬送装置60に入力しておく。ここでは、1搬送単位=9を、搬送装置60に入力しておく。このような前準備を終えた後で、テープ50を搬送装置60にセットして、その搬送処理を開始する。
図4(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るテープ製品10の搬送及び位置合わせの方法を示す概念図である。
【0029】
テープ製品10の搬送処理では、テープ製品10内の各領域に対して、領域内の所定位置(例えば、図1参照。)にマークが有るか無いかを確認する。この確認はセンサー65が行う。例えば、図4(a)に示すように、センサー65の直下に搬送されてきた領域の所定位置に、領域識別用のマーク3があれば、センサー65が有する光源65aから、マーク(貫通孔)3を通って、センサー65が有する受光部65bへ光が到達するので、光電変換により生じる電荷量(即ち、電圧値)は閾値以上の値となり、マーク3の存在が確認される。これにより、センサー65の直下に搬送されてきた領域が、領域R2であることがわかる。
【0030】
一方、センサー65の直下に搬送されてきた領域の所定位置にマークがなければ、光源65aからの光はテープ50で遮られるので、光電変換により生じる電圧値は閾値未満の値となり、マーク3の無いことが確認される。これにより、センサー65の直下に搬送されてきた領域が、領域R1であることがわかる。
また、テープ製品10の搬送処理では、このようなセンサー65による確認作業と並行して、テープ製品10の位置合わせが選択的に行われる。
【0031】
図5は、本発明の実施形態に係るテープ製品10の位置合わせ及び検査の手順を示すフローチャートである。図5のステップ(S)1では、例えば、カメラ67と向かい合う位置に次に搬送されてくる領域が、領域の何れであるかを判定する。この判定は、図4(a)に示したように、センサー65を用いたマーク3の確認結果に基づいて行う。ステップ(S)1で、次に搬送されてくる領域が領域R1であると判定された場合は、図5のステップ(S)2へ進む。また、次に搬送されてくる領域がR2であると判定された場合は、図5のステップ(S)5へ進む。
【0032】
ステップ(S)2では、この領域R1がカメラ67と向かい合う位置に到達したときに、テープ製品10の搬送方向への移動を一旦止め、この領域R1をプローブカード71(例えば、図3を参照。)に対して相対的に位置合わせする。ここでは、例えば図4(b)に示すように、カメラ67と向かい合う位置で一旦停止したテープ製品10を、その両側端の側からクランパ63で(テープ50が歪まない程度に)弱く挟んで固定する。そして、この状態で、領域R1に形成された、位置合わせ用のマーク5をカメラ67の視野に入れ、ピントを合わせる。そして、カメラ67の視野の中心にマーク5の中心が位置するように、クランパ63を平面視で上下左右の方向(即ち、X方向及びY方向)へ動かして、テープ製品10の位置を微調整する。これにより、テープ製品10のうちの領域R1をプローブカード71に対して相対的に位置合わせすることができる。
【0033】
位置合わせが完了した後は、図5のステップ(S)3へ進む。ステップ(S)3では、領域R1に形成されている配線1の端子部2にプローブカード71のプローブピン72を接触させて、この配線1に繋がるICチップ11の電気的特性や機能を検査する。検査が終了したら、図5のステップ(S)4へ進む。ステップ(S)4では、カメラ67と向かい合う位置に次に搬送されてくる領域があるか否かを確認する。そして、次の領域があれば、搬送処理を継続すると判定してステップ(S)1へ戻る。また、次の領域がなければ、図5に示すフローチャートを終了する。
【0034】
一方、図5のステップ(S)5では、領域R2がカメラ67と向かい合う位置に到達したときに、カメラ67に対する位置合わせ及び検査処理を行わないでそのままスキップさせる。例えば、図4(c)に示すように、この領域R2がカメラ67と向かい合う位置に到達したときは、テープ製品10の搬送方向への移動を止めずにそのまま通過させる。或いは、テープ製品10の移動を一旦止めても良いが、クランパ63による固定や、位置合わせ及び検査処理は行わない。そして、このようなスキップ処理を行った後、ステップ(S)4へ進む。
【0035】
このように、本発明の実施形態によれば、テープ製品10の長尺方向の長さが1搬送単位の上限値を超えている場合でも、この上限値を変えることなく、テープ製品10をプローバーへ搬送することができ、プローブカード71に対して位置合わせすることができる。搬送装置における1搬送単位の上限値を変える必要がないので、搬送方法のアルゴリズムは大きくは変わらず、ソフトウェアの変更等は少なくて済む。これにより、搬送装置などの設備に対する投資コストを低く抑えることができる。
この実施形態では、位置合わせを行う領域R1が本発明の「一の領域」に対応し、位置合わせを行わない領域R2が本発明の「他の領域」に対応している。また、ローラー61、62が本発明の「搬送手段」に対応し、クランパ63とカメラ67が本発明の「位置合わせ手段」に対応している。
【0036】
なお、上記の実施形態では、例えば図1に示したように、領域識別用のマーク3を位置合わせを行わない領域R2に形成し、位置合わせを行う領域R1には形成しない場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。例えば、図6に示すように、領域識別用のマーク3を位置合わせを行う領域R1に形成し、位置合わせを行わない領域R1には形成しないようにしても良い。このような場合であっても、領域R1、R2を高精度に識別することができる。
【0037】
また、上記の実施形態では、例えば図1に示したように、マーク3、5の平面視による形状が十字(クロス)型である場合について説明した。しかしながら、本発明において、マーク3、5の平面視による形状はこれに限られることはなく、他のユニークな形状(即ち、配線1、端子部2、ICチップ11又は搬送孔51など、周囲と比較して独特な目立つ形状)であっても良い。また、マーク3とマーク5とがそれぞれ異なる形状であっても良い。例えば、図7に示すように、マーク3、又はマーク5の平面視による形状は例えばホシ型であっても良い。また、マーク3、又はマーク5の平面視による形状は例えばローマ字であっても良い。このような場合であっても、領域R1、R2の識別や、位置合わせを高精度に行うことができる。
【0038】
また、上記の実施形態では、例えば図1に示したように、テープ製品10のそれぞれに、領域識別用のマーク3と、位置合わせ用のマーク5とを別々に形成する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。例えば、図8に示すように、テープ製品10のそれぞれに、領域識別用のマークと、位置合わせ用のマークとを兼用した、兼用マーク7を形成しても良い。この兼用マーク7は貫通孔で形成しても良いし、配線1と同じ導電部材で形成しても良い。導電部材で形成する場合は、例えば、図2に示したセンサー65に固体撮像素子を設けておき、この固体撮像素子で各領域R1、R2の所定位置を撮像することにより、画像から兼用マーク7の有無を検出するようにしても良い。このような場合であっても、領域R1、R2の識別や、位置合わせを高精度に行うことができる。また、テープ製品10におけるマークの占有面積を減らすことができ、例えば、配線1の引き回しの自由度を高めることができる。
【0039】
また、上記の実施形態では、例えば図1に示したように、テープ製品10を2つの領域R1、R2に分割する場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。例えば、図9に示すようにテープ製品10を3分割しても良い。このような場合でも、領域識別用のマーク3や、位置合わせ用のマーク5(もちろん、兼用マークでも良い。)を各領域に必要に応じて形成することにより、テープ製品10を搬送することができる。
また、上記の実施形態では、本発明の「製品処理部」としプローバーを例示した。しかしながら、本発明はこれに限られることはない。製品処理部は、例えば、コレットの先端にICチップ11を吸着し、吸着したICチップ11をテープ製品10に実装するようなダイボンダーであっても良い。このような場合であっても、プローバーの場合と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 配線、2 端子部、3 領域検出用のマーク、5 位置合わせ用のマーク、7 兼用マーク、10 テープ製品、11 ICチップ、50 長尺テープ、51 搬送孔、60 搬送装置、61 ローラー、63 クランパ、65 センサー、65a 光源、65b 受光部、67 カメラ、71 プローブカード、72 プローブピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺テープの長尺方向へ並ぶように形成された複数のテープ製品のそれぞれについて、前記テープ製品を前記長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割しておき、
前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さに一致させて、前記テープ製品の製品処理部への搬送を複数回に分けて行い、
前記複数の領域のうちの一の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記一の領域を前記製品処理部に対して位置合わせし、
前記一の領域以外の他の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記他の領域を前記製品処理部に対して位置合わせしないことを特徴とするテープ製品の搬送方法。
【請求項2】
前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を1搬送単位としたとき、
前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さが、前記1搬送単位の上限値未満の値となるように、前記テープ製品の領域数を設定することを特徴とする請求項1に記載のテープ製品の搬送方法。
【請求項3】
前記長尺テープには、前記長尺方向へ等間隔で並ぶように配置された複数の搬送孔が設けられており、
前記テープ製品に前記複数の領域を設定する際は、前記各領域に前記搬送孔をそれぞれ同じ孔数ずつ割り当てることを特徴とする請求項2に記載のテープ製品の搬送方法。
【請求項4】
前記一の領域と前記他の領域とを識別するための識別マークを、前記一の領域又は前記他の領域の少なくとも一方に形成しておくことを特徴とする請求項1から請求項3に記載のテープ製品の搬送方法。
【請求項5】
前記一の領域を前記製品処理部に位置合わせするための位置合わせマークを、前記一の領域に形成しておくことを特徴とする請求項1から請求項4に記載のテープ製品の搬送方法。
【請求項6】
前記一の領域と前記他の領域とを識別するための識別マークと、前記一の領域を前記製品処理部に位置合わせするための位置合わせマークとを兼用した兼用マークを、前記一の領域に形成しておくことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のテープ製品の搬送方法。
【請求項7】
長尺テープの長尺方向へ並ぶように形成された複数のテープ製品を製品処理部へ搬送する搬送装置であって、
前記複数のテープ製品のそれぞれについて、前記テープ製品は前記長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割されており、
前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さに一致させて、前記テープ製品の前記製品処理部への搬送を複数回に分けて行う搬送手段と、
前記複数の領域のうちの一の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記一の領域を前記製品処理部に対して位置合わせし、前記一の領域以外の他の領域が前記製品処理部に到達したときは、前記他の領域を前記製品処理部に対して位置合わせしない位置合わせ手段と、を含むことを特徴とするテープ製品の搬送装置。
【請求項8】
長尺テープの長尺方向へ並ぶように形成された複数のテープ製品を、プローブカードを有する検査部へ搬送する工程と、
前記検査部に到達した前記テープ製品に前記プローブカードの針先を接触させて前記テープ製品を電気的に検査する工程と、を含み、
前記テープ製品を搬送する工程では、
前記複数のテープ製品のそれぞれについて、前記テープ製品を前記長尺方向の長さが同じである複数の領域に仮想的に分割しておき、
前記テープ製品の1回当たりの搬送距離を前記複数の領域の各領域の前記長尺方向の長さに一致させて、前記テープ製品の前記検査部への搬送を複数回に分けて行い、
前記複数の領域のうちの一の領域が前記検査部に到達したときは、前記一の領域を前記プローブカードに対して位置合わせし、
前記一の領域以外の他の領域が前記検査装置に到達したときは、前記他の領域を前記プローブカードに対して位置合わせしないことを特徴とするテープ製品の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−189156(P2010−189156A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36251(P2009−36251)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】