説明

ディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブ

【課題】ディスクベローズによってバルブ室内の冷媒が缶の内部に流入することを遮断することができる低騷音型電子式膨張バルブを提供する。
【解決手段】ケース本体の外周縁突出部18の下側に内径側に向かって形成された四角突起溝15に挿入された円形シーリング14を取り囲みながら缶13の下端部終端が内側に折り曲げられた缶折曲部12が形成され、内部で発生する騷音及び振動を減少させるために上部面に輪形突起131が形成された缶13とから構成されたケース部10と;前記缶13とケース本体11の内部を密閉するためにバルブ本体50の内径側に形成されたバルブ本体の案内面54にディスクベローズ支持リング41と一緒に接合形成され、前記ディスクベローズ支持リング41の外周縁終端がバルブ本体50の上部に固定されるように備わったディスクベローズ40と;前記ケース本体11に結合されるポジショナー本体部30と;が結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブに関するもので、より細部的には、冷凍機または空気調和機に使用されることでバルブ室内の流動冷媒の流量を線形的に比例制御し、高圧の冷媒を蒸発しやすいように絞縮・減圧することで液状冷媒を噴霧ガス化することができるディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電子式膨張バルブは、高効率熱ポンプ、エアコンディショナー及び空気調和機に使用されるもので、ステップモーターの駆動によってバルブ室に流入する冷媒流量を制御するものである。
【0003】
図1は、特許文献1に登録された従来の“電動バルブ”を説明するための図で、電動バルブは、バルブ室200A及びバルブシート200Bを有するバルブ本体200Cと、このバルブ本体200C内に装備されるバルブ体200Dと、このバルブ体200Dを操作するバルブロッド200Eとから構成されるバルブ部200と;バルブ室200Aとバルブロッド200E内部との間をシールするベローズ300と;回転運動を直線運動に変換させるねじロッド400と;電動モーターと;この電動モーターの出力を減速させてねじロッド400に伝達するギア減速装置を収容する金属製の缶100Aと、缶100Aの開口部100Bと、この缶100Aの開口部100Bをシールするシール構造部材100Cと、缶100Aの開口部100Bを密封するシール構造部材100Cの一部に缶100A内部の高圧を開放する高圧開放部100Dとから構成される缶部100と;を含んで構成されることを特徴とする。
【0004】
しかしながら、上記のような従来の膨張バルブにおいては、金属製の缶100Aの上端部が平面形状であるので、バルブ流路の開放時に冷媒の流動騷音がモーターと減速ギア部の固有振動数と噛み合うことで、共振が容易に起きるという問題点がある。
【0005】
また、溶接によってベローズ300がバルブロッド200Eに一体的に固定されるという形態であり、缶100Aの内部を密閉するために、バルブロッド200Eの下端とベローズ300の下端外周縁に沿って接合ビードを隙間なく融着させるべきであるので、作業工数が増加するとともに、製造費用が上昇するという問題点がある。また、缶100Aの開口部100Bがシール構造部材100Cを用いてコーキングで固定されるので、シール構造部材100Cの位置を固定するために別途に組み立て用ジグを使用すべきであるという問題点がある。
【0006】
そして、膨張バルブの流路開放時に流出配管を基準にして縦方向の振動による共振現象が発生し、このとき、ポペットバルブの周囲に発生する流体の渦巻きによって冷媒の流動騷音が増幅されるという問題点がある。
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第10−2006−0073427号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した問題点を解決するために、本発明では、缶の上部面を多様な凹凸形態に加工することでステップモーターと多段ギアの振動を減少させ、ケース本体に缶を固定させる方法において、ケース本体の上側開口部の外周縁に突起溝を設置することで、円形シーリングの位置を固定するための別途のジグを使用せずに簡単な曲げ加工のみでケース本体と缶を一体的に密封し、ポジショナーホルダーの内側溝に備わったディスクベローズによってバルブ室内の冷媒が缶の内部に流入することを遮断することができる。また、ポペットバルブヘッド溝によって膨張バルブ流路の開放時における縦方向振動を横方向振動に転換させることで共振を緩和させ、ポペットバルブの円周面に互いに直角に交差する低騷音型交差貫通口を形成することで、前記ポペットバルブヘッド溝の単独役割よりも効率的にバルブ全体の騷音を緩和させることができるディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような目的を達成するために、本発明は、ステップモーターによって駆動される駆動部と、前記駆動部の出力を減速させる多段ギア部と、前記駆動部と前記多段ギア部を密封する缶及びケース本体と、前記多段ギア部の出力を受けてポペットバルブに伝達し、バルブシートを開閉するポジショナー本体部と、前記ポペットバルブと一体化して流路を開閉するディスクベローズと、前記ディスクベローズをバルブ本体に固定させるためのディスクベローズ支持リングと、を備えた電子式膨張バルブにおいて、上部に開口部が備わった外周面で形成されたケース本体の外周縁突出部と、前記ケース本体の外周縁突出部の下側に内径側に向かって形成された四角突起溝と、前記四角突起溝に挿入された円形シーリングと、前記円形シーリングを取り囲みながら缶の下端部終端が内側に折り曲げられた缶折曲部が形成され、内部で発生する騷音及び振動を減少させるために上部面に輪形突起が形成された缶と、を含んで構成されたケース部と;前記缶とケース本体の内部を密閉するためにバルブ本体の内径側に形成されたバルブ本体の安内面にディスクベローズ支持リングと一緒に接合形成され、前記ディスクベローズ支持リングの外周縁終端がバルブ本体の上部に固定されるように備わったディスクベローズと;前記ケース本体に結合され、ポジショナーが貫通されるポジショナーホルダーで構成されたポジショナー本体部と;が結合されて構成される。
【0009】
そして、前記缶の上部面には、缶の内部で発生する騷音及び振動を減少させるために輪形突起のみならず、螺旋形突起や十字形突起が形成されたことを特徴とする。
【0010】
特に、前記ディスクベローズは、バルブ本体の下方に屈曲されてポペットバルブロッドの上端外周面に接合される貫通中央部の内周面と、上方に屈曲されてディスクベローズ支持リングと一体的に接合されるディスクベローズの外周面と、前記ポジショナーの運動によってポペットバルブロッドを経てポペットバルブヘッドがバルブシートに着脱されるように同心円状に形成される弾性を有する多数個の半円形突起と、を含んで構成される。また、前記ディスクベローズは、ポジショナーがポペットバルブの突起支持面を押すと、一緒に連動して動くように軟質の弾性を有する燐青銅金属箔板材質で形成される。
【0011】
そして、前記ポペットバルブは、バルブ流路の開放時、ポペットバルブロッドの周囲に残留した冷媒が円滑に流れるようにポペットバルブヘッドの段差垂直面にポペットバルブヘッド貫通口が形成される。
【0012】
また、膨張バルブ流路の開放時に流出配管を基準にして発生する縦方向振動を横方向振動に転換させることで、膨張バルブの作動時に発生する共振を緩和させるためのポペットバルブヘッド溝を形成し、このとき、ポペットバルブの周囲に発生する流体の渦巻きによって冷媒流動騷音が増幅されることを減少させるために、ポペットバルブヘッドの終端円周面に互いに直角に交差する低騷音型交差貫通口を形成することで、ポペットバルブヘッド溝の単独役割よりも効率的にバルブ全体の騷音を緩和させることができる。
【0013】
また、缶の内部にステップモーターと多段ギア部が収容され、前記モーターの回転で発生する振動が缶の上端平面に伝達されることで共振騷音が発生するが、本発明によると、ステップモーターと多段ギア部を収容する金属製円筒形缶の上端部平面に突起部を備えることで缶の剛性を向上させ、振動を減衰させることができる。また、缶の下端部が、ケース本体の上部開口部の外周縁に形成された突起溝において円形シーリングと一緒に折り曲げられた形態で固定されることで、組み立てジグの個数を減少させることができる。
【0014】
バルブ本体は、ポジショナーホルダーの内側溝部位と結合され、両者の間には、バルブ外部からの異物質侵入を防止するための四角シーリングが形成され、前記バルブ本体には、下部に対して直角をなしてバルブ室に連通する流入配管と、流出配管とが形成される。特に、バルブ本体の下部に形成されたバルブシート方向へのポペットバルブヘッドの上下運動によって距離が広がったり狭まることで、バルブ室を通過する冷媒の流量が調節される。
【0015】
また、ディスクベローズは、図3に示した閉鎖状態のポペットバルブを図2に示した開放状態に復帰するにおいて、ディスクベローズの貫通中央部の内周面がポペットバルブロッドの上端外周面に接合されており、ポジショナーの圧縮解除時、ポジショナーによって弾性的に伸張されていたディスクベローズの弾性復元力によってポペットバルブヘッドを押し上げ、ポペットバルブを開放状態に復帰させるものである。
【0016】
特に、ポペットバルブヘッド溝部位は、膨張バルブ流路の開放時に排出配管を基準にして発生する縦方向振動を横方向振動に転換させることで、膨張バルブの作動時に発生する共振を緩和させ、このとき、ポペットバルブの周囲に発生した流体の渦巻きによって冷媒流動騷音が増幅されることを減少させるために、ポペットバルブヘッド終端の円周面に互いに直角に交差する低騷音型交差貫通口を形成して流体を送るようになると、ポペットバルブヘッド溝の単独役割よりも効率的にバルブ全体の騷音を緩和させることができる。
【0017】
また、ポペットバルブヘッドは、段差垂直面にバルブ室への冷媒の出入を円滑にするための多数の貫通口が形成され、前記貫通口を通して、ポペットバルブヘッドがディスクベローズによって下部から上部に移動する過程でポペットバルブロッドの周囲に残っている冷媒が移動するようになり、ポペットバルブヘッドが円滑に上部に復帰される。
【0018】
本発明は、ポジショナーホルダーの内側溝にディスクベローズを備えることで、従来のベローズ方式の冷媒密封構造よりも単純な形態で密封効果を高めるとともに、従来のベローズよりも減少したビード融着面積でディスクベローズが固定されることで、作業工数が減少するとともに、生産効率が向上するという効果がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、ステップモーターと多段ギア部を収容する金属製円筒形缶の上端部平面に突起部を備えることで缶の剛性を向上させ、振動を減衰させることができる。また、折曲部がケース本体の外周縁に固定されるとともに、ケース本体の上端外周縁に円形シーリングが挿入された突起溝を取り囲む形態で折り曲げられることで、別途のジグを用いて固定されることなく缶とケース本体を密閉することができる。また、ポジショナーホルダーの内側溝にディスクベローズを備えることで、従来のベローズ方式膨張バルブよりも単純化した構造で設計され、加工と組み立てに要される費用と時間を節減することができ、ポジショナーホルダーの内側溝に備わったディスクベローズによってバルブ室内の冷媒が缶の内部に流入することを遮断することができる。
【0020】
また、ポペットバルブヘッド溝部位が、膨張バルブ流路の開放時に流出配管を基準にして発生する縦方向振動を横方向振動に転換させることで、膨張バルブの作動時に発生する共振を緩和させることができる。このとき、ポペットバルブヘッド終端の円周面に互いに直角に交差する低騷音型交差貫通口を形成して流体を送るようになると、ポペットバルブヘッド溝の単独役割よりも効率的にバルブ全体の騷音を緩和させることができる。
【0021】
そして、ポペットバルブヘッドにバルブ室への冷媒出入を円滑にするための多数の貫通口が形成されることで、この貫通口を通して、ポペットバルブヘッドがディスクベローズによって下部から上部に移動する過程でポペットバルブロッドの周囲に残っている冷媒が移動するようになり、ポペットバルブヘッドが上部に円滑に復帰される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図2(a)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブを示した断面図、図2(b)はその一部の拡大図で、図3は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブの使用状態を示した断面図である。
【0023】
図4(a)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブのポペットバルブを示した断面図で、図4(b)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブのポペットバルブを示した平面図である。
【0024】
図5(a)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブの缶を示した平面図、図5(b)は、図5(a)に示す缶の断面図、図5(c)は、本発明に係る他の実施例に係る缶を示した平面図、図5(d)は、図5(c)に示す缶の断面図、図5(e)は、本発明に係る更に他の実施例に係る缶を示した平面図、図5(f)は、図5(e)に示す缶の断面図である。
【0025】
図6(a)は、本発明に係るディスクベローズを示した断面図で、図6(b)は、本発明に係るディスクベローズの他の実施例を示した拡大断面図で、図6(c)は、本発明に係るディスクベローズの更に他の実施例を示した拡大断面図である。
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の構成要素及びその作用を説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブは、電気エネルギーによって動力を発生させるステップモーター17に連結されて回転運動する多段ギア部20が結合され、その上部面に輪形突起131が形成された金属製の缶13と、この缶13の内部が密閉されるように下端に結合され、ポジショナー本体部30を収容するための下方開口部16と、この下方開口部16の内部に密着結合されるポジショナーホルダー32を貫通するポジショナー33が多段ギア部20に結合され、回転運動を直線運動に変えるポジショナー本体部30とから構成されたケース部10と;前記ポジショナー本体部30の押し作用によって垂直に直線運動して冷媒の流れを制御するポペットバルブ部60と;が結合されて構成される。
【0028】
特に、バルブ本体部50に流入した冷媒が缶13に流入することを防止するために、ポジショナーホルダー32の下端にディスクベローズ40が構成される。
【0029】
図2に示すように、缶13とケース本体11は、多段ギア部20とステップモーター17が内在されて駆動され、缶13の下端部は、ケース本体11の上部外周縁突出部18の外側に折り曲げられた後、円形シーリング14が挿入されたケース本体11の外周縁の四角突起溝15を取り囲む形態で折り曲げられることで固定される。したがって、ケース本体11における四角形空間が形成された外周縁の四角突起溝15に円形シーリング14が挿入されることで、缶13とケース本体11内部への異物質侵入を効果的に防止できるようになる。
【0030】
また、缶13とケース本体11は、内部から動力を提供するステップモーター17に第1ギア21、第2ギア22、第3ギア23、第4ギア24、第5ギア25、第6ギア26で構成された多段ギア部20が順次的に連結されて回転し、前記第6ギア26は、その中心にポジショナー33が結合されることでポジショナー33と一緒に回転する。
【0031】
そして、前記缶13の上部面に輪形突起131が形成されることで、缶の剛性を向上させ、ステップモーター17と多段ギア部20の固有振動を減衰させることができる。
【0032】
このような突起としては、図5(c),(d)及び図5(e),(f)に示した螺旋形突起132と十字形突起133も振動を減衰させ、騷音を減少させることができる。
【0033】
ポジショナー本体部30は、前記多段ギア部20に結合され、外周縁に雄ねじ342が形成されたポジショナー33と、ケース本体11の下方開口部16の内側に結合され、中央貫通部位の途中にポジショナー本体部の雌ねじ341が形成されたポジショナーホルダー32と、前記ポジショナー33の下面に半円形に突出された突起部35と、を含んで構成される。
【0034】
前記ポジショナー33は、ポジショナーホルダー32の中心を貫通して形成されるが、ポジショナー33の外側に形成された雄ねじ342が、ポジショナーホルダー32の内側に形成されたポジショナー本体部の雌ねじ341に結合されることで、第6ギア26による回転運動が直線運動に変換される。
【0035】
特に、ポジショナー33の上端部と下端部に位置決定用Eリング(図示せず)が付着されることで、ポジショナー33から第6ギア26の組み立て位置が離脱されることが防止され、前記ポジショナー33が上昇最高点を超えた場合にもポジショナーホルダー32と組み立てられた位置から離脱されることが防止される。
【0036】
また、ケース本体11の下部に結合されるポジショナー本体部30においてポジショナーホルダーの内側溝321が備わるポジショナーホルダー32の外周縁下端には、金属製の四角支持リング37を設置するために四角突起部322が構成され、前記四角突起部322には、六角ナット36の位置を支持するための金属製の支持リング37が設置される。前記金属製の支持リング37には六角ナット36の内径側段差部361が支持され、六角ナット36は、円周方向とケース本体11方向に自由に摺動可能であり、バルブ本体50の上部に加工された雄ねじ部と締結される。前記六角ナット36は、多段ギア部20及びポジショナー本体部30を収容するケース本体11と、ディスクベローズ支持リング41、ディスクベローズ40及びポペットバルブ部60を収容するバルブ本体50とを一体的に結合する。
【0037】
前記ディスクベローズ支持リング41は、ディスクベローズ40をバルブ本体50内部の適正な位置に固定するためにバルブ本体50の上部安内面54に載せられる。そして、前記ディスクベローズ支持リング41は、バルブ本体50の上部安内面54に対して垂直なバルブ本体の垂直円周面55に沿って、図2に示すように上面が半田付けによって覆われる形態で固定されるので、ディスクベローズ40、ディスクベローズ支持リング41及びポペットバルブ60を一体的に簡単に組み立てることができる。前記ディスクベローズ支持リング41の下面には、ディスクベローズ40を支持するためのディスクベローズ支持リングの四角溝57が設置される。前記ディスクベローズ支持リングの四角溝57にディスクベローズ40の屈曲した外周面が挿入されることで、ディスクベローズ支持リング41とディスクベローズ40が炉内ろう付けで接合される。前記ディスクベローズ40は、貫通中央部の内周面42がポペットバルブロッド64の上端外周面641に挿入される形態で構成され、ディスクベローズ40の中央部の内周面42は、ポペットバルブロッド64の突出段差部643の上端外周面641に接しながら炉内ろう付けで接合される。このとき、前記ディスクベローズの内周面42の終端面は、ポペットバルブロッドの突出段差部643のポペットバルブヘッドの垂直段差面634に据え置かれることで適正な位置に形成される。また、前記ポペットバルブロッドの突出段差部643とディスクベローズ支持リング41によってディスクベローズ40が最適の初期位置に設置されるとともに、組み立て過程でディスクベローズ支持リング41、ディスクベローズ40及びポペットバルブ60が一体化した一つのモジュールとして取り扱われることで、狭い空間にもバルブ開閉のための部品を効果的に配置して組み立てることができる。
【0038】
一方、前記ポジショナー33の終端に突出した半円形のポジショナー突起部35は、直線運動によってポジショナー33が下部に下降すると、ポペットバルブロッド64の上端に位置したポペットバルブの突起支持面642を押すようになり、ポペットバルブロッド64と一体的に接合されたディスクベローズ40における半円形突起44が数百マイクロメートル内外に伸張されながら、ポペットバルブ60が下部に下降するようになる。その結果、ポペットバルブロッド64と一体的に形成されたポペットバルブヘッド63とバルブシート51との間の間隔が調整されることで、バルブ室53を通じる冷媒の流量が調節される。
【0039】
以下、前記ディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブの構成に基づいて、その作動方法を説明する。
【0040】
バルブ本体50は、ポジショナーホルダーの内側溝321部位と結合され、両者の間には、バルブ外部からの異物質侵入を防止する四角シーリング38が形成される。前記バルブ本体50には、下部に対して直角をなしてバルブ室53に連通する流入配管81と、流出配管82とが形成される。特に、バルブ本体50の下部に形成されたバルブシート51方向へのポペットバルブヘッド63の上下運動によって距離が広がったり狭まることで、バルブ室53を通過する冷媒の流量が調節される。
【0041】
また、ディスクベローズ40は、図3に示した閉鎖状態のポペットバルブ60を図2に示した開放状態に復帰するにおいて、ディスクベローズ40の貫通中央部の内周面42がポペットバルブロッド64と接合されており、ポジショナー33の圧縮解除時、ポジショナー33によって圧縮されていたディスクベローズ40の弾性回復力によってポペットバルブヘッド63を押し上げ、ポペットバルブ60を開放状態に復帰させる。
【0042】
特に、図4(a)及び(b)に示すように、ポペットバルブヘッド溝632部位は、膨張バルブ流路の開放時に流出配管82を基準にして発生する縦方向振動を横方向振動に転換させることで、膨張バルブの作動時に発生する共振を緩和させる。そして、膨張バルブ流路の開放時、ポペットバルブヘッド63の周囲に発生した流体の渦巻きによって冷媒流動騷音が増幅されることを減少させるために、ポペットバルブヘッド63の終端円周面に互いに直角に交差する低騷音型交差貫通口633を形成して流体を送るようになると、ポペットバルブヘッド溝632の単独役割よりも効率的にバルブ全体の騷音を緩和させることができる。
【0043】
ポペットバルブヘッド63の終端外周面には傾斜したポペットバルブヘッドの三角溝635が設置されることで、バルブ流路の開放時に発生する急激な圧力変動によるキャビテーションに対して緩衝役割を期待することができる。これは、流体の流れラインが、傾斜したポペットバルブヘッドの三角溝635に沿って流れようとする特性に起因する。また、ポペットバルブヘッドの垂直段差面634には、バルブ室53への冷媒の出入を円滑にするための多数のポペットバルブヘッド貫通口631が形成される。前記ポペットバルブヘッド貫通口631を通して、ポペットバルブヘッド63がディスクベローズ40によって下部から上部に移動する過程でポペットバルブロッド64の周囲に残っている冷媒が移動するようになり、ポペットバルブヘッド63が円滑に上部に復帰される。
【0044】
以上説明したように、本発明は、ポジショナーホルダーの内側溝321にディスクベローズ40を備えることで、従来のベローズ方式の冷媒密封構造よりも単純な形態で密封効果を高めるとともに、従来のベローズよりも減少したビード融着面積でディスクベローズ40が固定されることで、作業工数が減少するとともに、生産効率が向上するという効果がある。
【0045】
また、缶13の上部面に輪形突起131を形成することで、ステップモーター17と多段ギア部20の固有振動を減衰させ、騷音を減少させることができる。ここで、前記缶13の上部面に形成される突起としては、輪形突起131だけでなく、螺旋形突起132及び十字形突起133も含まれることを特徴とする。そして、前記缶13の下端部がケース本体11の上部開口部の外周縁に形成された突起溝15において円形シーリング14と一緒に折り曲げられた形態で固定されることで、組み立てジグの個数を減少させることができる。
【0046】
そして、ポペットバルブヘッド溝632部位は、膨張バルブ流路の開放時に流出配管82を基準にして発生する縦方向振動を横方向振動に転換させることで、膨張バルブの作動時に発生する共振を緩和させ、このとき、ポペットバルブ60の周囲に発生した流体の渦巻きによって冷媒流動騷音が増幅されることを減少させるために、ポペットバルブヘッド63の終端円周面に互いに直角に交差する低騷音型交差貫通口633を形成して流体を送るようになると、ポペットバルブヘッド溝632の単独役割よりも効率的にバルブ全体の騒音を緩和させることができる。
【0047】
また、ポペットバルブヘッドの垂直段差面634には、バルブ室53への冷媒の出入を円滑にするための多数のポペットバルブヘッド貫通口631が形成される。このポペットバルブヘッド貫通口631を通して、ポペットバルブヘッド63がディスクベローズ40によって下部から上部に移動する過程でポペットバルブロッド64の周囲に残っている冷媒が移動するようになり、ポペットバルブヘッド63が円滑に上部に復帰される。
【0048】
本発明は、上述した好適な実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しない限り、当該発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば多様な変形実施が可能であり、このような変形実施は特許請求の範囲内に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来技術に係る電動バルブを示した断面図である。
【図2】(a)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブを示した断面図、(b)はその一部の拡大図である。
【図3】本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブの使用状態を示した断面図である。
【図4】(a)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブのポペットバルブを示した断面図で、(b)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブのポペットバルブを示した平面図である。
【図5】(a)は、本発明に係るディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブの缶を示した平面図、(b)は、図5(a)に示す缶の断面図、(c)は、本発明に係る他の実施例に係る缶を示した平面図、(d)は、図5(c)に示す缶の断面図、(e)は、本発明に係る更に他の実施例に係る缶を示した平面図、(f)は、図5(e)に示す缶の断面図である。
【図6】(a)は、本発明に係るディスクベローズを示した断面図で、(b)は、本発明に係るディスクベローズの他の実施例を示した拡大断面図で、(c)は、本発明に係るディスクベローズの更に他の実施例を示した拡大断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 ケース部
11 ケース本体
12 缶折曲部
13 缶
131 輪形突起
132 螺旋形突起
133 十字形突起
14 円形シーリング
15 四角突起溝
16 ケース本体の下方開口部
17 ステップモーター
18 ケース本体の外周縁突出部
20 多段ギア部
21 第1ギア
22 第2ギア
23 第3ギア
24 第4ギア
25 第5ギア
26 第6ギア
30 ポジショナー本体部
32 ポジショナーホルダー
321 ポジショナーホルダーの内側溝
322 ポジショナーホルダーの四角突起部
33 ポジショナー
341 ポジショナー本体部の雌ねじ
342 ポジショナーの雄ねじ
35 ポジショナーの突起部
36 六角ナット
361 六角ナットの内径側段差部
37 四角支持リング
38 四角シーリング
40 ディスクベローズ
41 ディスクベローズ支持リング
42 ディスクベローズの内周面
43 ディスクベローズの外周面
44 半円形突起
50 バルブ本体
51 バルブシート
53 バルブ室
54 バルブ本体の安内面
55 バルブ本体の垂直円周面
56 バルブ本体の雄ねじ部
57 ディスクベローズ支持リングの四角溝
60 ポペットバルブ
63 ポペットバルブヘッド
631 ポペットバルブヘッド貫通口
632 ポペットバルブヘッド溝
633 低騷音型交差貫通口
634 ポペットバルブヘッドの垂直段差面
635 ポペットバルブヘッドの三角溝
64 ポペットバルブロッド
641 ポペットバルブロッドの上端外周面
642 ポペットバルブの突起支持面
643 ポペットバルブロッドの突出段差部
81 流入配管
82 流出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップモーター(17)によって駆動される駆動部と、前記駆動部の出力を減速させる多段ギア部(20)と、前記駆動部と前記多段ギア部(20)を密封する缶(13)及びケース本体(11)と、前記多段ギア部(20)の出力を受けてポペットバルブ(60)に伝達し、バルブシート(51)を開閉するポジショナー本体部(30)と、前記ポペットバルブ(30)と一体化して流路を開閉するディスクベローズ(40)と、前記ディスクベローズ(40)をバルブ本体(50)に固定させるためのディスクベローズ支持リング(41)と、を備えた電子式膨張バルブにおいて、
上部に開口部が備わった外周面で形成されたケース本体の外周縁突出部(18)と、前記ケース本体の外周縁突出部(18)の下側に内径側に向かって形成された四角突起溝(15)と、前記四角突起溝(15)に挿入された円形シーリング(14)と、前記円形シーリング(14)を取り囲みながら缶(13)の下端部終端が内側に折り曲げられた缶折曲部(12)が形成され、内部で発生する騷音及び振動を減少させるために上部面に輪形突起(131)が形成された缶(13)と、を含んで構成されたケース部(10)と;
前記缶(13)とケース本体(11)の内部を密閉するためにバルブ本体(50)の内径側に形成されたバルブ本体の安内面(54)にディスクベローズ支持リング(41)と一緒に接合形成され、前記ディスクベローズ支持リング(41)の外周縁終端がバルブ本体(50)の上部に固定されるように備わったディスクベローズ(40)と;
前記ケース本体(11)に結合され、ポジショナー(33)が貫通されるポジショナーホルダー(32)で構成されたポジショナー本体部(30)と;が結合されることを特徴とするディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブ。
【請求項2】
前記缶(13)には、内部で発生する騷音及び振動を減少させるために上部面に螺旋形突起(132)が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブ。
【請求項3】
前記缶(13)には、内部で発生する騷音及び振動を減少させるために上部面に十字形突起(133)が形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブ。
【請求項4】
前記ディスクベローズ(40)は、貫通中央部がポペットバルブの上端外周面(641)に炉内ろう付けで接合される下方に屈曲したディスクベローズの内周面(42)と、
ディスクベローズ支持リングの四角溝(57)に炉内ろう付けで接合されて上方に屈曲したディスクベローズの外周面(43)と、
前記ディスクベローズの内周面(42)と前記ディスクベローズの外周面(43)との間にポペットバルブヘッド(63)がバルブシート(51)から着脱されるように同心円状に形成された弾性を有する多数個の半円形突起(44)と、を含んで構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブ。
【請求項5】
前記ディスクベローズ(40)は、同心円状の半円形突起(44)における屈曲の個数、屈曲の位置、屈曲の曲率半径を異ならせることで、復元力の程度を調節可能であることを特徴とする、請求項4に記載のディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブ。
【請求項6】
前記ディスクベローズ(40)は、ポペットバルブ(60)と一緒に連動して動けるように、軟質の弾性特性を有する燐青銅金属箔板材質で形成されたことを特徴とする、請求項1に記載のディスクベローズが内蔵された低騷音型電子式膨張バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−287769(P2009−287769A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205179(P2008−205179)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(594058838)コリア インスティチュート オブ マシーナリー アンド マテリアルズ (6)
【出願人】(508241299)グリーン インダストリー カンパニーリミテッド (1)
【Fターム(参考)】