説明

ディスク再生システム、ディスク再生装置

【課題】未ファイナライズディスクを再生する際の再生開始までの時間を大幅に短縮する。
【解決手段】未ファイナライズディスク1から、所定のディスク情報を取得するPC(パーソナルコンピュータ)100と、PC100が取得したディスク情報を記憶するUSBメモリ50と、USBメモリ50が接続されるインターフェイス25を備えたDVDプレーヤ200とから構成される。DVDプレーヤ200は、USBメモリ50からディスク1のディスク情報を取得し、ディスク1が装填された場合に、当該ディスクからディスク情報を読み取る処理を省略して、USBメモリ50から取得したディスク情報に基づいてディスクの再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤなどのディスク再生装置に関し、特に、未ファイナライズディスクの再生が可能なディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、DVDレコーダによりDVD−R(Recordable)、DVD+R(Recordable)、DVD−RW(Rewritable)のような書込み可能なディスクに情報の記録を行った場合、ファイナライズ処理(記録完結処理)を行う必要がある。ファイナライズ処理によって、これらのディスクは、所定領域に必要な情報が記録されてDVD−ROMと互換性のある状態となり、どのDVDプレーヤにおいても再生が可能となる。ファイナライズ処理を行わなかった場合は、DVDプレーヤでディスクを再生しようとしても、ドライブが暴走したり、所定回数リトライ動作が行われた後に「No Disc」や「Bad Disc」などの表示がされてエラーとなり、正常な再生が行われない。また、リトライ動作中は、トレイからディスクを取り出せなくなる可能性があり、ユーザに不安や不快感を与えることもある。
【0003】
一方、ファイナライズ処理を行えば、DVDプレーヤで正常なディスク再生ができるが、いったんファイナライズ処理がされてしまうと、ディスクに対して追記や編集ができなくなる。こうしたことから、未ファイナライズディスクについて、ファイナライズ処理をしなくてもDVDプレーヤで再生ができれば、ユーザーにとって便利である。そこで、後掲の特許文献1〜3では、未ファイナライズディスクを再生するための種々の方法が提案されている。
【0004】
特許文献1では、ファイナライズ処理が施されていないと判別されたディスクからナビゲーションデータを有するRZone(トラック)を検出し、検出されたRZoneの位置情報をタイトルの開始位置を示す情報として保存し、タイトル再生開始位置として使用するようにしている。特許文献2では、スキップ制御を行う度にトラック番号と絶対時間を記憶し、これらに基づいてメモリ上に仮のTOC(Table of Contents)情報を作成することにより、通常のTOC情報が存在する場合と同様のスキップ動作が行えるようにしている。特許文献3では、プログラム領域の記録データ中に含まれるサブコードQチャネルのデータ部分を利用して、TOCとほぼ同等のTOCデータを作成し、これに基づいて未ファイナライズディスクの再生ができるようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−122821号公報
【特許文献2】特開2003−317383号公報
【特許文献3】特開2004−234745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜3の方法によれば、未ファイナライズディスクについても、ファイナライズ処理を行うことなく、ディスク再生装置での再生が可能となるが、これらの方法においては、ディスク再生装置に未ファイナライズディスクが装填された後、ディスクから所定のディスク情報を読み取って、各文献に記載されているような処理を実行する必要があり、この処理が完了するまでの間はディスクの再生が行われない。このため、ディスクを装填してから再生までにかなりの時間がかかるという問題がある。また、同じディスクを繰り返し再生する場合も、装置側で毎回上記のような処理が行われるので、ユーザーにとっては再生の度に長い待ち時間を覚悟しなければならず、不便さを免れない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、未ファイナライズディスクを再生する際の再生開始までの時間を大幅に短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスク再生システムは、ファイナライズ処理が完了していない未ファイナライズディスクから、所定のディスク情報を取得するディスク情報取得手段と、このディスク情報取得手段が取得したディスク情報を記憶する記憶媒体と、この記憶媒体が接続されるインターフェイスを備えたディスク再生装置とから構成される。ディスク再生装置は、インターフェイスに接続された記憶媒体からディスク情報を取得し、未ファイナライズディスクが装填された場合に、当該ディスクからディスク情報を読み取る処理を省略して、記憶媒体から取得したディスク情報に基づいて、未ファイナライズディスクの再生を行う。
【0009】
このようにすれば、未ファイナライズディスクに対してファイナライズ処理を行わなくても、ディスク再生装置でディスクを正常に再生できるとともに、未ファイナライズディスクのディスク情報を予め取得して、ディスク再生装置に読み込ませておくことにより、未ファイナライズディスクが装填されると、直ちに再生を開始することができるので、ディスク装填から再生開始までの時間を大幅に短縮することができる。また、未ファイナライズディスクのディスク情報を一度記憶媒体に保存しておけば、以後は、このディスクを再生する場合に記憶媒体をディスク再生装置に装着することで、ディスク情報がディスク再生装置に読み込まれるので、ディスクを繰り返し再生する場合でも、その都度ディスクからディスク情報を読み取る必要がない。このため、再生までの待ち時間が短くなり、ユーザーからみて利便性の高いものとなる。
【0010】
本発明の典型的な実施形態では、ディスク再生装置は、記憶媒体からディスク情報を取得すると、未ファイナライズディスクを再生するための特殊モードで再生準備処理を行う。通常であれば、再生準備において、ディスクを回転させてサーボを働かせ、物理的にディスクの種類を判別する処理(スピンアップ)が行われるが、本発明ではディスク情報からディスクの種類が予めわかっているので、ディスク種類判別のための処理は不要となる。
【0011】
本発明の典型的な実施形態では、ディスク情報は、ディスクの種類、ディスクのサイズ、トラック情報、およびセッション情報を含む。トラック情報としては、例えばトラック数や開始/終了アドレスがあり、セッション情報としては、例えばセッション数や開始/終了アドレスがある。
【0012】
本発明の典型的な実施形態では、ディスク情報取得手段は、ディスクドライブが内蔵または外付されたパーソナルコンピュータからなる。この場合、パーソナルコンピュータは、取得したディスク情報をテキスト形式のファイルとして出力する。これによると、既存のディスクドライブやパーソナルコンピュータを用いて、簡単にディスク情報を取得しファイルとして出力することができる。
【0013】
また、本発明に係るディスク再生装置は、光ディスクに記録された情報を読み取って再生するディスク再生装置であって、ファイナライズ処理が完了していない未ファイナライズディスクのディスク情報が記憶されている記憶媒体が接続されるインターフェイスを備える。そして、このインターフェイスに接続された記憶媒体からディスク情報を取得し、未ファイナライズディスクが装填された場合に、当該ディスクからディスク情報を読み取る処理を省略して、記憶媒体から取得したディスク情報に基づいて、未ファイナライズディスクの再生を行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、未ファイナライズディスクのディスク情報を予め取得して記憶媒体に記憶し、このディスク情報を用いてディスクを再生するので、未ファイナライズディスクが装填されると直ちに再生を行うことが可能となり、これによって再生までの時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態につき図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る未ファイナライズディスクの再生システムと再生手順を示した図である。再生手順については、後で詳述することとして、まず再生システムの構成について説明する。
【0017】
図1において、再生システムは、ファイナライズ処理が完了していない未ファイナライズディスク1から、所定のディスク情報を取得するパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と表記する。)100と、PC100が取得したディスク情報を記憶するUSBメモリ50と、USBメモリ50が接続されるインターフェイス25を備えたDVDプレーヤ200とから構成される。未ファイナライズディスク1は、例えば、DVD−R、DVD+R、DVD−RWなどの光ディスクである。PC100は、本発明におけるディスク情報取得手段の一実施形態を構成し、USBメモリ50は、本発明における記憶媒体の一実施形態を構成し、DVDプレーヤ200は、本発明におけるディスク再生装置の一実施形態を構成する。
【0018】
図2は、PC100のブロック図を示している。図2では、図1と同一部分に同一符号を付してある。2は、DVD−R、DVD+R、DVD−RWに対して記録再生が可能なディスクドライブである。このディスクドライブ2は、図1に示されるように、PC100の本体に内蔵されているが、PC100に外付されたものであってもよい。3は、USBメモリ50が接続されるUSBインターフェイスであって、図1に示されるように、PC100の本体に設けられている。4は、ハードディスクやメモリから構成される記憶部、5は、例えば液晶ディスプレイから構成される表示部、6はキーボードやマウスなどから構成される操作
部である。
【0019】
図3は、DVDプレーヤ200のブロック図を示している。図3では、図1と同一部分に同一符号を付してある。DVDプレーヤ200は、フロントエンド10とバックエンド20とから構成されている。フロントエンド10は、ディスク1に記録されているデータを読み出して再生するブロックである。バックエンド20は、リモコン40からの信号を受信して、フロントエンド10にデータの読み出しを指令するとともに、フロントエンド10から送られてくるデータを処理して、モニタ装置30に映し出す映像を生成し、さらに装置全体の制御を行うブロックである。
【0020】
フロントエンド10において、11はディスク1を回転させるためのスピンドルモータ、12はディスク1に記録されているデータを光学的に読み出すための光ピックアップである。13は同期検出/AD変換回路であって、光ピックアップ12が読み出したデータを基準クロックに基づいて同期検出するとともに、アナログ信号からデジタル信号に変換する。14は復調/誤り訂正回路であって、デジタル信号に変換されたデータを復調し、読み出されたデータの誤りを訂正する。15はサーボ回路であって、スピンドルモータ11の回転を制御するとともに、光ピックアップ12のフォーカス動作およびトラッキング動作を制御する。16はマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という。)であって、バックエンド20からの指令信号を受信して、フロンドエンド10のシステムを制御する。17は、ROMやRAMからなるメモリである。
【0021】
バックエンド20において、21はデコーダであって、MPEG2方式により圧縮されたデジタル映像信号を伸張して、元のデジタル映像信号に復号するとともに、AC−3方式により圧縮されたデジタル音声信号を伸張して、元のデジタル音声信号に復号する。22はエンコーダ/DA変換回路であって、復号されたデジタル音声信号をアナログ信号に変換するとともに、デジタル映像信号を所定の信号方式(NTSC方式など)に従った映像信号に符号化し、符号化された映像信号をアナログ映像信号に変換する。23はOSD(On Screen Display)回路であって、エンコーダ/DA変換回路22から出力される映像信号に、文字や画像を重畳して、モニタ30に送出する。24はROMやRAMからなるメモリ、25はUSBメモリ50が接続されるUSBインターフェイスである。USBインターフェイス25は、図1で示したように、DVDプレーヤ200の前面に設けられる。26はリモコン受信部であって、リモコン40から送信された赤外線信号のリモコン信号を受信し、所定の電気信号に変換する。27はマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という。)であって、フロントエンド10のマイコン16に制御信号を送信し、また、マイコン16から送信された信号を受信して、DVDプレーヤ200のシステム全体を制御する。なお、図3では音声系のブロックの図示を省略してある。
【0022】
図4は、4種類の光ディスク(DVD−RW、DVD−R、DVD+RW、DVD+R)のリードイン領域(Lead-in Zone)におけるデータ構造を示した図である。リードイン領域は、ディスクの内周側に設けられている。図4において、斜線の領域は、未ファイナライズディスクであっても制御データが記録される領域を示している。また、灰色の領域は、ファイナライズ処理が行われたとき(あるいは、マルチセッションの場合にセッションを閉じるとき)に、制御データが記録される領域を示している。
【0023】
図4(a),(b)のように、DVD−RWとDVD−Rのデータ構造は、基本的に同じである。PCA(Power Calibration Area)は、光ビーム出力を調整するためにデータ記録前に試し記録を行う出力較正領域である。RMA(Recording Management Area)は、トラック(RZone)の数や開始/終了アドレスなどを表したRMDと呼ばれるデータが記録される記録管理領域である。Control Data Zoneは、ディスクの種類、ディスクのサイズ、レイヤ情報(記録層の数)、ディスクの開始/終了アドレスなどが記録される領域である。なお、DVD−RWとDVD−Rの場合、このControl Data Zoneには、上記データがエンボスで記録されている。RW-Physical format Information Zone、R-Physical format Information Zone、およびExtra Border Zoneは、ファイナライズ処理が行われたときや、マルチセッションディスクの場合はセッションが閉じられたときに、Control Data Zoneのデータと、RMAにある最新データのそれぞれのコピーが記録される領域である。
【0024】
図4(c)は、DVD+RWのデータ構造である。Inner Disc Identificationは、トラック(フラグメント)の数や開始/終了アドレスなどを表したDCBと呼ばれるデータが記録される領域である。Control Data Zoneについては、(a),(b)の場合と同じである。DVD+RWの場合は、規格上、ファイナライズ処理が行われない。したがって、DVD+RWについては、本発明によらなくても、DVDプレーヤ200での再生が可能である。
【0025】
図4(d)は、DVD+Rのデータ構造である。TOC Zoneは、セッションの数や、セッションの開始/終了アドレスなど、セッションに関する情報が記録される領域である。Inner Disc Identificationについては、(c)の場合と同じである。Control Data Zoneは、(a)〜(c)の場合と同様、ディスクの種類、ディスクのサイズ、レイヤ情報(記録層の数)、ディスクの開始/終了アドレスなどが記録される領域であるが、DVD+Rの場合は、このControl Data Zoneのデータはエンボスではなく、ドライブによって記録される。
【0026】
次に、図1のシステムにおいて、ディスク1が未ファイナライズディスクである場合の再生手順を説明する。図1では、右側のシステム構成図に付した丸付き数字は、各ステップS1〜S14における丸付き数字と対応している。ステップS1〜S6は、PC100で行われる処理を示しており、ステップS7〜S14は、DVDプレーヤ200で行われる処理を示している。
【0027】
最初に、PC100での処理を説明する。ステップS1では、ディスクドライブ2への未ファイナライズディスク1のマウントが行われる。ディスク1がマウントされると、ステップS2へ進んで、ディスクドライブ2により、ディスク1の読み取りが行われ、ディスク情報が取得される。ディスクドライブ2は、DVD−R、DVD+R、DVD−RWの記録再生に対応したドライブであるため、ディスク1が未ファイナライズディスクであっても、記録されたディスク情報を読み取ることができる。
【0028】
ステップS2で取得されるディスク情報は、以下のような情報である。ディスク1がDVD−RWまたはDVD−Rであれば、図4の(a),(b)におけるRMA(RMD)のデータ(トラック情報)と、Control Data Zoneのデータ(ディスクの種類、サイズ、レイヤ情報、開始/終了アドレス等)が読み取られる。なお、ディスク1がマルチセッションディスクの場合は、セッションを閉じたときにExtra Border ZoneやR/RW-Physical
format Information Zoneにデータが記録されるので、これらのデータも取得される。また、ディスク1がDVD+Rであれば、図4の(d)におけるInner Disc Identificationのデータ(トラック情報)と、Control Data Zoneのデータ(ディスクの種類、サイズ、レイヤ情報、開始/終了アドレス等)が読み取られる。
【0029】
ディスク情報の読み取りが終了すると、ステップS3で、取得したディスク情報を、ディスクドライブ2に設けられているバッファ(図示省略)に保存する。次に、ステップS4に進み、保存したディスク情報から必要な制御データを抽出する。このとき、CPU7がATAPI(Advanced Technology Attachment Packet Interface)規格に準拠したコマンドを発行し、トラック数、セッション数、開始/終了アドレスなどの制御データを抽出する。PC100の記憶部4(図2)には、この処理を実行するためのソフトウェアが格納されている。
【0030】
続いて、ステップS5において、ステップS4で取得した制御データを、テキスト形式のファイルとして出力する。図5は、この出力ファイルのフォーマットの例を示している。出力ファイルには、ファイル識別子、ディスクタイプ、ディスクサイズ、レイヤ情報、セッション情報、トラック情報、ディスクステータスが記録されている。出力されたファイルは、ステップS6において、記憶媒体であるUSBメモリ50に格納される。
【0031】
次に、DVDプレーヤ200での処理を説明する。ステップS7では、DVDプレーヤ200のUSBインターフェイス25に、USBメモリ50が接続される。すると、ステップS8へ進んで、バックエンド20(図3)で、USBメモリ50に格納されているテキストファイルの読み込みが行われる。続くステップS9では、マイコン27がファイルに記録されている識別子を判別し、識別子が“DISC_INFO_TXT”(図5)と一致しなければエラーとして処理を行い、一致すればファイルからディスク情報を取得する。バックエンド20のメモリ24には、ステップS8、S9の処理を実行するためのソフトウェアが格納されている。
【0032】
その後、ステップS10へ進み、バックエンド20からフロントエンド10へ、取得したディスク情報が通知される。この場合、バックエンド20では、ATAPI規格で認められているベンダユニークコマンド(メーカーが独自に作成したコマンド)を使用して、フロントエンド10へディスク情報を送る。フロントエンド10は、バックエンド20からベンダユニークコマンドを受信すると、ステップS11において、未ファイナライズディスクを再生するための特殊モードで起動して再生準備処理を行う。すなわち、この時点ではディスクの種類やサイズなどがディスク情報からわかっているので、それに応じてサーボ回路15を働かせて光ピックアップ12の位置調整などの処理を実行する。通常であれば、再生準備処理において、ディスクの種類を判別するためのスピンアップが行われるが、本発明ではディスクの種類を判別するための処理は不要となる。フロントエンド10は、ステップS12において、バックエンド20から取得したディスク情報を、メモリ17の所定領域に保存する。
【0033】
次に、ステップS13において、ディスク1のマウント処理が行われる。通常であれば、この時点でステップS2で取得したようなディスク情報が読み取られるが、本発明では、ディスク情報はすでに取得済であるため、ディスク1からディスク情報を読み取る処理は省略される。また、通常であれば、DVDプレーヤ200に未ファイナライズディスクが装填されると、先述のように、ドライブが暴走したりエラー処理がされたりするが、本発明では、未ファイナライズディスクのディスク情報はディスクとは別のルートで取得され、ディスク自体からは読み取られないので、ドライブの暴走やエラーは発生しない。
【0034】
ステップS13でマウントが終了すると、ステップS14へ移行して、ディスク1の再生が行われる。通常であれば、再生前に、ディスク情報を取得するためのATAPIコマンドをバックエンド20で発行する処理が必要となるが、本発明ではこれは不要であり、ステップS9で取得したディスク情報(トラック情報、セッション情報等)に基づいて、すぐに再生を開始することができる。
【0035】
このようにして、上述した実施形態によれば、未ファイナライズディスク1に対してファイナライズ処理を行わなくても、DVDプレーヤ200でディスク1を正常に再生できるとともに、未ファイナライズディスク1のディスク情報を予め取得して、DVDプレーヤ200に読み込ませておくことにより、未ファイナライズディスク1が装填されると、直ちに再生を開始することができる。このため、ディスク装填から再生開始までの時間(通常、10〜20秒程度かかる)を大幅に短縮することができる。また、未ファイナライズディスク1のディスク情報を一度USBメモリ50に保存しておけば、以後は、このディスク1を再生する場合にUSBメモリ50をDVDプレーヤ200に装着することで、ディスク情報がDVDプレーヤ200に読み込まれるので、ディスク1を繰り返し再生する場合でも、その都度ディスク1からディスク情報を読み取る必要がない。このため、再生までの待ち時間が短くなり、ユーザーからみて利便性の高いものとなる。
【0036】
また、ディスク情報の取得手段として、ディスクドライブ2が内蔵または外付されたPC100を用い、取得したディスク情報をテキスト形式のファイルとして出力するようにしたので、既存のディスクドライブやPCを用いて、簡単にディスク情報を取得しファイルとして出力することができる。
【0037】
本発明では、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。例えば、上記実施形態では、PC100を利用して未ファイナライズディスク1のディスク情報を取得するようにしたが、DVDプレーヤ200と同じメーカーのDVDレコーダを利用して未ファイナライズディスク1のディスク情報を取得するようにしてもよい。この場合、DVDレコーダにファイル出力の機能がなければ、リモコン操作によりディスク情報取得モードにして、ディスク情報をモニタにOSDで表示させ、それをみて手作業でファイルを作成することも可能である。
【0038】
また、上記実施形態では、ディスク情報を記憶するための記憶媒体として、USBメモリ50を例に挙げたが、USBメモリに代えて、光ディスクや磁気ディスクを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るディスク再生システムと再生手順を示した図である。
【図2】PCのブロック図である。
【図3】DVDプレーヤのブロック図である。
【図4】4種類の光ディスクのリードイン領域におけるデータ構造を示した図である。
【図5】出力ファイルのフォーマットの例を示した図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ディスク(未ファイナライズディスク)
2 ディスクドライブ
10 フロントエンド
20 バックエンド
25 USBインターフェイス
50 USBメモリ
100 パーソナルコンピュータ
200 DVDプレーヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイナライズ処理が完了していない未ファイナライズディスクから、所定のディスク情報を取得するディスク情報取得手段と、
前記ディスク情報取得手段が取得したディスク情報を記憶する記憶媒体と、
前記記憶媒体が接続されるインターフェイスを備えたディスク再生装置とから構成され、
前記ディスク再生装置は、前記インターフェイスに接続された前記記憶媒体から前記ディスク情報を取得し、前記未ファイナライズディスクが装填された場合に、当該ディスクから前記ディスク情報を読み取る処理を省略して、前記記憶媒体から取得したディスク情報に基づいて、前記未ファイナライズディスクの再生を行うことを特徴とするディスク再生システム。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク再生システムにおいて、
前記ディスク再生装置は、前記記憶媒体からディスク情報を取得すると、未ファイナライズディスクを再生するための特殊モードで再生準備処理を行うことを特徴とするディスク再生システム。
【請求項3】
請求項1に記載のディスク再生システムにおいて、
前記ディスク情報は、ディスクの種類、ディスクのサイズ、トラック情報、およびセッション情報を含むことを特徴とするディスク再生システム。
【請求項4】
請求項1に記載のディスク再生システムにおいて、
前記ディスク情報取得手段は、ディスクドライブが内蔵または外付されたパーソナルコンピュータであることを特徴とするディスク再生システム。
【請求項5】
請求項4に記載のディスク再生システムにおいて、
前記パーソナルコンピュータは、取得したディスク情報をテキスト形式のファイルとして出力することを特徴とするディスク再生システム。
【請求項6】
光ディスクに記録された情報を読み取って再生するディスク再生装置において、
ファイナライズ処理が完了していない未ファイナライズディスクのディスク情報が記憶されている記憶媒体が接続されるインターフェイスを備え、
前記インターフェイスに接続された前記記憶媒体から前記ディスク情報を取得し、前記未ファイナライズディスクが装填された場合に、当該ディスクから前記ディスク情報を読み取る処理を省略して、前記記憶媒体から取得したディスク情報に基づいて、前記未ファイナライズディスクの再生を行うことを特徴とするディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−310873(P2008−310873A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156487(P2007−156487)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】