説明

ディスク再生装置及びディスク再生方法

【課題】ブックマーク機能を用いて続き再生やリピート再生を行うことができるようにしたディスク再生装置及びディスク再生方法を提供する。
【解決手段】ディスクに記録された情報から再生用情報を復号化するデコーダ部と、ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出しこのアプリケーションデータに従う手順で再生用情報を処理する信号処理部と、ディスクがブックマーク機能に対応している場合に所定の周期毎に現再生位置を示すブックマーク情報とアプリケーションデータを記憶部に記憶する制御部とを備え、ディスクの再生が停止され再び再生操作が行われたときに、記憶部から再生停止前の最終再生位置のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、再生停止前の再生位置から続き再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクであるDVD(Digital Versatile Disk)、特にHD DVD(High Definition DVD)等の次世代光ディスクに記録された情報を再生するディスク再生装置に係り、ブックマーク機能を利用して続き再生及びリピート再生を可能にしたディスク再生装置及びディスク再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD−Video規格に準拠した光ディスク(DVD)に対して音声信号や映像信号等の情報を記録し、それを再生するディスク再生装置が普及している。またディスク再生装置は、家庭用だけでなく車載用にも採用されており、その使用環境は様々である。
【0003】
さらに、近年では大画面・高解像度の家庭用テレビの普及に伴い、このような大画面テレビに映し出す映像コンテンツの供給源として、高解像度映像を記録した次世代光ディスクが開発され、市場での販売が開始されている。このような次世代光ディスクの一例としてHD DVDがあげられる。HD DVDは、基本的には従来のDVDを元に映像信号の高解像度化、音声信号の高品質化を図って拡張されたものである。
【0004】
一方、従来のディスク再生装置では、ブックマーク機能を搭載したものがある。ブックマーク機能は、ディスク再生を行う場合にユーザが設定した任意の位置から映像及び音声を再生する機能であり、例えば再生途中で電源をオフするような場合に、再生を停止した位置でブックマークを設定し、再び電源をオンしたときにブックマークが示す位置から続けて再生を開始するようにしたもので、所謂しおりを付与するものである。また、従来のディスク再生装置では、ブックマーク機能を用いて続き再生を行うほかに、特定の場面を繰り返して再生するリピート再生機能を有するものもある。
【0005】
ところで、HD DVDでは、本編の主映像のほかにコマーシャル映像等の副映像や、字幕映像、メニュー画像等が含まれており、多くのディスクが特典映像等を充実させて記録する傾向にある。また、このようなHD DVDを再生する場合、ディスク再生装置は、ディスクに記録されたアプリケーションデータをもとに指定された再生手順に従って再生するようにしているため、上述した続き再生やリピート再生ができないディスクもある。
【0006】
また、車載用のディスク再生装置では、ドライブの途中で車を降りることが多いため、ディスクの再生途中で電源をオフし、再び乗車して電源をオンするという状況が頻繁に起こりうる。したがってユーザは、電源オン時に再生を中断した箇所から引き続き再生したいという要望や、前に視聴したシーンをもう一度繰り返して再生したいという要望が多分にある。しかしながら、HD DVDのような世代光ディスクでは、それができないという不具合がある。
【0007】
特許文献1には、HD DVDの再生に適したディスク再生装置の一例が記載されている。この例は、操作性の向上を図ったものであるが、続き再生やリピート再生を行うための具体的な方法については、記載されていない。
【特許文献1】特開2007−172763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
次世代光ディスクでは、予め指定された再生手順に従って再生するようにしているため、続き再生やリピート再生ができない場合があり、車載用のディスク再生装置では、ユーザの要望を十分に満たすことができないという不具合がある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みたものであり、ブックマーク機能を用いて続き再生やリピート再生を行うことができるディスク再生装置及びディスク再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明は、ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生装置であって、前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化するデコーダ部と、前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出するデータ抽出部を含み、前記アプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力する信号処理部と、前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、所定の周期毎に現再生位置を示すブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶する制御部と、を具備し、前記制御部は、前記ディスクの再生が停止され再び再生操作が行われたときに、前記記憶部から前記再生停止前の最終再生位置のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、前記再生停止前の再生位置から続き再生を実行可能にしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6記載の本発明は、ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生装置であって、前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化するデコーダ部と、前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出するデータ抽出部を含み、前記アプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力する信号処理部と、前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、前記ディスクのそれぞれのチャプタの先頭位置においてブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶する制御部と、を具備し、前記制御部は、前記ディスクの再生中にリピート再生の指示を受けたときは、現チャプタの再生が終了した時点で前記記憶部から最新のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、当該チャプタをリピート再生することを特徴とする。
【0012】
また、請求項9記載の本発明は、ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生方法であって、前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化し、前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出し、抽出した前記アプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力し、前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、所定の周期毎に現再生位置を示すブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶し、前記ディスクの再生が停止され再び再生操作が行われたときに、前記記憶部から前記再生停止前の最終再生位置のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、前記再生停止前の再生位置から続き再生を実行することを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項13記載の本発明は、ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生方法であって、前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化し、前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出し、抽出したアプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力し、前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、前記ディスクのそれぞれのチャプタの先頭位置においてブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶し、前記ディスクの再生中にリピート再生の指示を受けたときは、現チャプタの再生が終了した時点で前記記憶部から最新のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、当該チャプタをリピート再生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のディスク再生装置では、ブックマーク機能に対応しているディスクか否かを判断して、ブックマーク機能を実行することにより、続き再生、あるいはリピート再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明のディスク再生装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るディスク再生装置の全体構成を示すブロック図である。図1において、11はディスク型記録媒体である光ディスクである。本発明ではHD DVD等の大画面化・高解像度化に即した光ディスクを想定しており、以下の説明では、単にディスク11と呼ぶ。
【0017】
ディスク11は、スピンドルモータ12によって一定の線速度で回転される。ディスク11からの情報の再生は、光ピックアップ13によって行われ、ディスク11にレーザ光を照射し、その反射光によってディスク11に記録されているデータを読み出す。
【0018】
光ピックアップ13は、送りモータ14によってディスク11の半径方向に移動制御され、再生位置を決定する。15はサーボ制御部であり、後述するシステムコントローラ31等から供給される制御信号に応じて、スピンドルモータ12の回転を制御するとともに、光ピックアップ13のトラッキング制御、フォーカス制御、及び送りモータ14の駆動制御を行う。
【0019】
16はRFアンプであり、光ピックアップ13によって読み出したデータに対応するRF信号を増幅して次段に伝達する。又、このRFアンプ16は、RF信号からフォーカス制御用の信号及びトラッキング制御用の信号を分離して、これらの制御信号をサーボ制御部15に送る。
【0020】
サーボ制御部15は、フォーカス制御用の信号に基づいて光ピックアップ13のアクチュエータ(図示せず)を制御し、光ビームが、ディスク11上に常時ジャストフォーカスとなるように制御する。また、トラッキング制御用の信号に基づいてアクチュエーを制御し、光ピックアップ13のトラッキング方向の移動を制御する。これにより、データの再生を正確に行うようにしている。
【0021】
17はデジタル信号処理部であり、RFアンプ16からのRF信号をデジタル化し、デジタル化された信号の復調処理と誤り訂正処理を行い、デジタル信号処理部17による信号処理の過程で得られたデータをRAM18に格納する。またデジタル信号から制御信号が分離され、分離された制御信号がサーボ制御部15及び後述するシステムコントローラ31に送られる。
【0022】
19はプレゼンテーションエンジンであり、ストリーム分離部20と、各種のデコーダ部を含む。ストリーム分離部20は、デジタル信号処理部17から出力された信号を、オーディオビットストリーム、メインピクチャビットストリーム及びサブピクチャビットストリームに分離しデコーダ部に供給する。メインピクチャビットストリームはMPEG2のフォーマットに従って圧縮された信号であり、この中には映像情報が含まれる。また、サブピクチャビットストリームはランレングス圧縮方式に従って圧縮された信号であり、この中には字幕情報等が含まれる。
【0023】
21は、オーディオデコーダ部であり、ストリーム分離部20で分離されたオーディオビットストリームを復号化処理して、デジタルオーディオ信号を出力する。オーディオデコーダ部21から出力されたデジタルオーディオ信号は、D/A変換器及びパワーアンプを含む音声出力部22を介してスピーカ23から出力される。
【0024】
24はビデオデコーダ部であり、ストリーム分離部19で分離されたメインピクチャビットストリームを復号化処理する。また25はサブビデオデコーダ部である。26はサブピクチャデコーダ部であり、ストリーム分離部19で分離されたサブピクチャビットストリームを復号化処理する。
【0025】
さらに27はビデオプロセッサであり、ビデオデコーダ部24から出力されたメインピクチャ(主映像)と、サブビデオデコーダ部25からの副映像と、サブピクチャデコーダ部25から出力されたサブピクチャ(字幕映像等)をデジタル合成する。主映像、副映像、字幕映像等は再生用情報である。
【0026】
また、28はナビゲーションマネージャであり、デジタル信号処理部17の出力から、ディスク11に記録されたアプリケーションデータを読み取るアプリケーションデータ抽出部を有する。アプリケーションデータは、主映像に対してどのタイミングで副映像や字幕映像等を表示するか、どの位置に表示するかといったプレゼンテーションの実行を制御するデータである。
【0027】
プレゼンテーションエンジン19は、アプリケーションデータ及びユーザ操作に応答して制御される。ビデオプロセッサ27とナビゲーションマネージャ28は信号処理部を構成し、アプリケーションデータに従う再生シーケンスで各デコーダ部24〜26からの再生用情報を合成処理して出力する。
【0028】
29はビデオエンコーダであり、ビデオプロセッサ27から出力された合成データを表示用のビデオ信号に変換する。このビデオエンコーダ29から出力されたビデオ信号は、液晶パネルなどの表示装置30に供給され、画像が表示される。
【0029】
32は、操作部であり、例えば表示装置30の周辺に設けたキー入力部や、表示装置30と一体のタッチパネル、或いはリモートコントローラ(リモコン)である。操作部32は、再生、停止、早送り、ボリューム設定などの各種基本操作のほかに、メニュー表示や、メニュー選択、或いはリピート再生を指示するリピートキー等を有する。
【0030】
システムコントローラ31は、CPU311及びROM312等を含み、操作部32からの各種の指示信号に応答してディスク再生装置の各部の動作を制御する。またROM312に格納されたプログラムに従ってブックマーク機能を実行する。
【0031】
また、システムコントローラ31には記憶部33が接続されている。記憶部33は、第1のメモリ34及び第2メモリ35を含み、ブックマーク機能の実行時に、デジタル信号処理部17からの情報をもとにディスク11の識別情報及び再生位置情報(ブックマーク情報)を第1メモリ34に記憶し、ナビゲーションマネージャ28からのアプリケーションデータを第2のメモリ35に記憶する。
【0032】
またシステムコントローラ31は、デジタル信号処理部17からの情報をもとに、ディスク11がブックマーク機能に対応したものか否かを判断し、ブックマーク機能に対応したディスクである場合は、自動的にブックマーク機能を実行する。
【0033】
次に本発明の一実施形態に係るディスク再生装置の動作について説明する。本発明はブックマーク機能を用いた続き再生や、リピート再生を行うものであるが、その前にブックマーク機能について述べる。
【0034】
ブックマーク機能は、例えば再生途中に電源をオフして再生を一時的に停止するような場合に、再生停止時点での再生位置の情報を記憶部33に記憶してブックマークを設定し、再び電源をオンしたときにブックマークを設定した位置から続けて再生を開始するようにしたものである。
【0035】
図2,図3は、ブックマーク機能を用いて続き再生を行う場合の動作を説明する説明図である。図2において、横軸は映像コンテンツの再生進度を示し、コンテンツの1タイトルをチャプタ1からチャプタ99で表している。HD DVDに限らずDVD(例えば映画用ディスク)では、通常、本編のコンテンツに対して1つのタイトルを付し、1つのタイトルを複数のチャプタに区切っている。
【0036】
電源がオンされ、ディスク11の再生が開始されると、システムコントローラ31は、ディスク11がブックマーク機能を実行するに必要なデータを有しているか否か、つまりブックマーク機能に対応したディスクか否かを判断する。ブックマーク機能に対応しているディスクであると判断すると、システムコントローラ31は、自動的にブックマーク機能のプログラムを実行し、周期的(例えば1秒毎)に現再生位置を示すブックマーク情報を記憶部33の第1のメモリ34に記憶し、ブックマークを設定する。また、ブックマーク情報の記憶に合せて、関連するアプリケーションデータを第2のメモリ35に記憶する。
【0037】
図2において、C1,C2…Cnは、1秒毎にブックマークを設定し、C1,C2…Cnの位置でそれぞれブックマーク情報とアプリケーションデータが記憶されたことを示している。記憶部33に記憶されたブックマーク情報とアプリケーションデータは、順次、再生進度に応じて上書きされ、最新のブックマーク情報とその少し前のブックマーク情報のみが更新記憶される。これにより、記憶部33の記憶容量を減らすことができる。尚、ブックマーク情報とアプリケーションデータを記憶する時間間隔は1秒毎に限らず、2秒毎、3秒毎等の任意の時間間隔に設定することができる。
【0038】
そして、例えばチャプタ2を再生している途中のタイミングt1で電源オフの操作が行われたとすると、その時点(Cn)でのブックマーク情報が記憶部33に保持される。またこのとき、タイミングt1におけるアプリケーションデータが第2のメモリ35に保持される。
【0039】
図2の表示画像40は、タイミングt1における再生画像の一例を示し、映画の動画(主映像)41と、監督の説明映像(副画像)42と、webページ画像43、及び新作リスト等の静止画像44が同時に表示されている。動画41に対して、監督の説明映像42、webページ画像43、及び静止画像44等をどのようなタイミングで、どのような画面サイズで、どの位置に表示するかは、アプリケーションデータによって決まる。
【0040】
尚、記憶部33の第1のメモリ34は、頻繁に書き込みが行われるため、SRAM等のバッテリーバックアップRAMが適している。またアプリケーションデータは、それほど頻繁に書き込まれるものではないので、第2のメモリ35はEPROM等が適している。こうして、電源がオフされると、オフする直前のブックマーク情報とアプリケーションデータが、記憶部33に保持される。
【0041】
次に図3を参照して、再び電源がオンされた時の続き再生の動作を説明する。図3おいて、横軸は映像コンテンツの再生進度を示し、タイミングt2は電源オフ時の再生停止位置に相当する。タイミングt2で再び電源がオンされると、記憶部33からブックマーク情報とアプリケーションデータが読み出される。
【0042】
こうして電源オン時には、記憶部33に記憶されたブックマーク情報に従って電源オフ時に中断した最終再生位置から再生が開始される。また読み出されたアプリケーションデータによって、動画41、監督の説明映像42、webページ画像43、及び静止画像44等が適切なタイミングで表示される。
【0043】
図3において、a1,a2,a3は、アプリケーションデータの一例を示しており、どのタイミングでナビゲーションのプログラムが起動するかを示したものである。a1は、サブビデオ再生のアプリケーションデータであり、a2は、webページ表示のアプリケーションデータであり、a3は、静止画スライドショーのアプリケーションデータであり、ディスク11には、これらアプリケーションデータが所定のタイミングで記録されている。
【0044】
システムコントローラ31は、電源がオンされたタイミングt2で記憶部33からアプリケーションデータa1,a2,a3を読み出すことによって、タイミングt2までのプログラムが実行されたものと看做して処理を進める。したがって、電源オン時には、表示画像40で示すように、再生を中断した位置から続き再生が行われ、映画の動画41と、監督の説明映像42と、webページ画像43、及び静止画像44が表示される。
【0045】
尚、ディスクの再生位置を示すブックマーク情報としては、映像コンテンツの再生経過時間の情報や、オーディオストリームなどが用いられるが、これらに限らず再生位置を特定できる情報であればディスクに記録された他の情報を用いることもできる。
【0046】
また、電源オン時の再生状態にあっては、所定の時間間隔C1,C2,C3・・・でブックマークを設定するようにし、順次最新の情報を記憶部33に記憶ようにしているが、ディスクの再生が終了した時点で記憶部33に記憶したデータは、消去される。
【0047】
また電源をオフし、その後再び電源をオンして再生を行う場合には、同じディスクがセットされているかどうかを判断した上で、続き再生を行うようにすると良い。つまり途中で再生を停止しディスクを取り出して変更したような場合は、記憶部33に記憶されたブックマーク情報は何ら意味を持たなくなる。そのため、ディスク11の識別情報を読み取り、識別情報とブックマーク情報を対応付けて記憶しておき、再び電源をオンして再生状態に入ったときに、識別情報を参照して同じディスクがセットされたかどうかを判断した上で、続き再生を行うようにすると良い。
【0048】
また、記憶部33にブックマーク情報を記憶する場合、例えばCnの位置のブックマーク情報と、その少し前の位置(Cn−1、Cn−2)のブックマーク情報を保持しておき、続き再生する際にCnよりも少し前の位置のブックマーク情報を読み出して再生を開始するようにすれば、電源オフ時点の最終再生位置から少し遡って再生することができる。これにより、ストーリーを再確認することができる。
【0049】
次に図4、図5を参照してリピート再生を行う場合の動作を説明する。図4において、横軸は映像コンテンツの再生進度を示したもので、コンテンツの1タイトルをチャプタ1からチャプタ99で表している。
【0050】
電源がオンされ、ディスク11の再生が開始されると、システムコントローラ31は、ディスク11がブックマーク機能を実行するに必要なデータを有しているか否かを判断する。ブックマーク機能に対応しているディスクであると判断すると、システムコントローラ31は、ブックマーク機能のプログラムを実行し、チャプタの先頭位置で再生位置情報(ブックマーク情報)を記憶部33の第1のメモリ34に記憶し、ブックマークを設定する。また同時に各チャプタの先頭位置でのアプリケーションデータを第2のメモリ35に記憶する。
【0051】
図4において、C1,C2は、チャプタ1とチャプタ2の先頭位置でブックマークを設定し、C1,C2…の順にブックマーク情報が記憶されたことを示している。第1のメモリ34に記憶されたブックマーク情報は順次更新され、最新のブックマーク情報のみが記憶される。また第2のメモリ35に記憶されるアプリケーションデータも順次更新される。
【0052】
図4の表示画像40は、チャプタ2の先頭位置での再生画像の一例を示し、映画の動画41と、監督の説明映像42と、webページ画像43、及び新作リスト等の静止画像44が同時に表示されている。動画41に対して、監督の説明映像42、webページ画像43、及び静止画像44等をどのようなタイミングで、どのような画面サイズで、どの位置に表示するかは、アプリケーションデータによって決まる。
【0053】
そして、例えばチャプタ2を再生している途中のタイミングt1でユーザが操作部32を操作してリピートキーが押されると、システムコントローラ31は、リピートオン状態に設定する。
【0054】
この結果、チャプタ2の最終位置(タイミングt2で示す)まで再生されると、システムコントローラ31は、記憶部33に記憶した最新のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、チャプタ2の先頭位置から再生する。
【0055】
図5は、リピート再生の様子を示している。図5おいて、横軸は映像コンテンツの再生進度を示し、チャプタ2の最終位置まで再生されると、再びチャプタ2の先頭位置に戻って繰り返し再生が行われる。したがってリピート再生時には、記憶部33に記憶されたブックマーク情報にしたがってリピートキーが押されたときのチャプタを繰り返し再生する。
【0056】
図5の表示画像40は、リピート再生時の表示画像の一例を示しており、映画の動画41と、監督の説明映像42と、webページ画像43、及び静止画像44が表示され、リピート再生を実行することができる。
【0057】
また、リピート解除の操作がなされると、システムコントローラ31は、現チャプタ2の再生を終了したあと次のチャプタ3の再生に移り、チャプタ3の先頭位置でブックマーク情報及びアプリケーションデータを記憶部33に記憶し、更新する。またディスクの再生が全て終了した時点では、記憶部33に記憶したデータは、消去される。
【0058】
このように本発明の実施形態では、HD DVDのような次世代DVDを再生する場合にも続き再生やリピート再生を行うことができ、しかも本編の映像以外に複数の画像を表示する場合であってもアプリケーションデータにしたがって、正確に表示することができる。特に車載用機器のようにドライブの途中で乗降を繰り返す場合は、有効である。
【0059】
尚、以上述べた実施形態に限らず、幾つかの変形例が考えられる。例えば、操作部31に通常の再生用のキーと、続き再生用のキーを設けておき、続き再生用のキーが操作されたときに続き再生を実行するようにし、通常の再生キーが操作されたときは最初から再生を実行するようにしても良い。つまりこの例では、電源をオフしてから次にオンするまでかなりの時間が経過しているような場合は、ストーリーの再確認のため最初から再生したいという欲求があるため、そのような場合に適している。
【0060】
また、記憶部33のメモリ34およびメモリ35をそれぞれ2つの記憶領域に区分し、一方の記憶領域には、図2で示す所定時間毎(c1,C2…Cn)にブックマーク情報及びアプリケーションデータを記憶し、他方の記憶領域には図4で示す各チャプタの先頭位置毎にブックマーク情報及びアプリケーションデータを記憶するようにしても良い。これにより、続き再生時は一方の記憶領域に記憶した情報を読み出し、リピート再生時は他方の記憶領域に記憶した情報を読み出すことにより、続き再生とリピート再生の両方を実行することができる。
【0061】
尚、以上の説明では、電源のオン、オフに応答して続き再生を行う場合を説明したが、ユーザが再生の途中で停止操作を行い、その後再生の開始操作を行った場合にも続き再生を実行できるようにしても良い。
【0062】
また、以上の説明ではHD DVDの再生について述べたが、これに限らず、Blu−Rayディスクの再生においても適用することができる。また以上の説明に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク再生装置の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態に係るディスク再生装置の続き再生を行う前の動作を説明する説明図。
【図3】同実施形態に係るディスク再生装置の続き再生の動作を説明する説明図。
【図4】同実施形態に係るディスク再生装置のリピート再生を行う前の動作を説明する説明図。
【図5】同実施形態に係るディスク再生装置のリピート再生の動作を説明する説明図。
【符号の説明】
【0064】
11…ディスク
12…モータ
13…光ピックアップ
14…送りモータ
15…サーボ制御部
16…RFアンプ
17…デジタル信号処理部
18…RAM
19…プレゼンテーションエンジン
20…ストリーム分離部
21…オーディオデコーダ部
24…ビデオデコーダ部
25…サブビデオデコーダ部
26…サブピクチャデコーダ部
27…ヒデオプロセッサ
28…ナビゲーションマネージャ
29…ビデオエンコーダ
30…表示装置
31…システムコントローラ
32…操作部
33…記憶部
34…第1のメモリ
35…第2のメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生装置であって、
前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化するデコーダ部と、
前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出するデータ抽出部を含み、前記アプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力する信号処理部と、
前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、所定の周期毎に現再生位置を示すブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶する制御部と、を具備し、
前記制御部は、前記ディスクの再生が停止され再び再生操作が行われたときに、前記記憶部から前記再生停止前の最終再生位置のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、前記再生停止前の再生位置から続き再生を実行可能にしたことを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
前記ディスクの再生停止は電源オフに伴って行われ、前記制御部は再び電源がオンされたときに前記電源オフ前の再生位置から続き再生を実行することを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ディスクの再生進度に応じて前記記憶部に前記ブックマーク情報と前記アプリケーションデータを随時更新しながら記憶することを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記ブックマーク情報と前記アプリケーションデータを記憶するため、それぞれ個別のメモリを有することを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記記憶部に前記ブックマーク情報とアプリケーションデータを記憶する際に前記ディスクの識別情報を対応付けて記憶し、
前記ディスクの再生が停止され再び再生操作が行われたときに、前記記憶部から前記識別情報を読み出し、前記ディスクが再生停止前のディスクと同一のディスクか否かを判別し、同一であると判別したときに前記続き再生を実行することを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。
【請求項6】
ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生装置であって、
前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化するデコーダ部と、
前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出するデータ抽出部を含み、前記アプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力する信号処理部と、
前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、前記ディスクのそれぞれのチャプタの先頭位置においてブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶する制御部と、を具備し、
前記制御部は、前記ディスクの再生中にリピート再生の指示を受けたときは、現チャプタの再生が終了した時点で前記記憶部から最新のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、当該チャプタをリピート再生することを特徴とするディスク再生装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記ディスクの再生進度に応じて前記記憶部に前記ブックマーク情報と前記アプリケーションデータを随時更新しながら記憶することを特徴とする請求項6記載のディスク再生装置。
【請求項8】
前記記憶部は、前記ブックマーク情報と前記アプリケーションデータを記憶するため、それぞれ個別のメモリを有することを特徴とする請求項6記載のディスク再生装置。
【請求項9】
ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生方法であって、
前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化し、
前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出し、抽出した前記アプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力し、
前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、所定の周期毎に現再生位置を示すブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶し、
前記ディスクの再生が停止され再び再生操作が行われたときに、前記記憶部から前記再生停止前の最終再生位置のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、前記再生停止前の再生位置から続き再生を実行することを特徴とするディスク再生方法。
【請求項10】
前記ディスクの再生停止は電源オフに伴って行われ、再び電源がオンされたときに前記電源オフ前の再生位置から続き再生を実行することを特徴とする請求項9記載のディスク再生方法。
【請求項11】
前記ディスクの再生進度に応じて、前記記憶部に前記ブックマーク情報と前記アプリケーションデータを随時更新しながら記憶することを特徴とする請求項9記載のディスク再生方法。
【請求項12】
前記記憶部に前記ブックマーク情報とアプリケーションデータを記憶する際に前記ディスクの識別情報を対応付けて記憶し、
前記ディスクの再生が停止され再び再生操作が行われたときに、前記記憶部から前記識別情報を読み出し、前記ディスクが再生停止前のディスクと同一のディスクか否かを判別し、同一であると判別したときに前記続き再生を実行することを特徴とする請求項9記載のディスク再生方法。
【請求項13】
ディスクに記録された情報を再生して表示装置に表示するためのディスク再生方法であって、
前記ディスクに記録された情報から映像情報を含む複数の再生用情報を復号化し、
前記ディスクに記録された情報からアプリケーションデータを抽出し、抽出したアプリケーションデータに従って所定の手順で前記再生用情報を処理して前記表示装置に出力し、
前記ディスクの再生時に該ディスクがブックマーク機能に対応したディスクか否かを判別し、前記ブックマーク機能に対応している場合は、前記ディスクのそれぞれのチャプタの先頭位置においてブックマーク情報とそれに関連するアプリケーションデータを記憶部に記憶し、
前記ディスクの再生中にリピート再生の指示を受けたときは、現チャプタの再生が終了した時点で前記記憶部から最新のブックマーク情報とアプリケーションデータを読み出し、当該チャプタをリピート再生することを特徴とするディスク再生方法。
【請求項14】
前記ディスクの再生進度に応じて前記記憶部に前記ブックマーク情報と前記アプリケーションデータを随時更新しながら記憶することを特徴とする請求項13記載のディスク再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−159461(P2009−159461A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337208(P2007−337208)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】