説明

ディスク着脱装置並びにディスク記録及び/又は再生装置

【課題】ディスクを簡単に掴むことができるようにするとともに、誤ってディスクを取り落としてしまうことを防ぐ。
【解決手段】ディスクホルダ10は、ディスク2が出し入れされるディスク出入口28と、ディスク2を保持するディスク収納部29と、を有するホルダ本体30と、ホルダ本体30内に移動可能に支持されると共に挿入されるディスク2で押圧されることによりスライド移動するスライド部材と、ホルダ本体30に回動自在に支持されると共にコイルばね51によってディスク収納部29の内側に付勢された一対のホールドアーム32L,32Rと、ディスク2がディスク収納部29の所定位置まで挿入されたときにスライド部材をロックすると共に再度スライド部材が押圧されることによりスライド部材のロックを解除するスライドロック機構と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録媒体として用いられるディスク状記録媒体が着脱可能に装着されるディスク着脱装置、並びに、当該ディスク着脱装置を備えたディスク記録及び/又は再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、この種のディスク着脱装置としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、ディスクテーブル上に装着される光ディスクや光磁気ディスク等のディスクを上記ディスクテーブルに支持させるディスクチャッキング機構に関するものが記載されている。この特許文献1に記載されたディスクチャッキング機構は、「中央孔を有するディスクが載置され、回転駆動機構によって回転操作されるディスクテーブルと、上記ディスクテーブルの中央部に配設され、上記ディスクの中央孔と係合する係合体と、上記係合体から進退可能に配設されているとともに、弾性部材により上記係合体の外方向へ突出する方向に付勢され、上記ディスクテーブル上に載置されるディスクを上記ディスクテーブル側に押圧支持させる複数の球状部材とを備え、上記係合体には、上記複数の球状部材を各々突出させる複数の透孔が形成されているとともに、複数の切り込み部が形成されることによって少なくとも一つの弾性変位部が設けられてなる」ことを特徴としている。
【0003】
このような構成を有するディスクチャッキング機構によれば、「球状部材によってディスクテーブルに載置されたディスクをチャッキングすることができ、ディスクをチャッキングするための機構を簡単な構成で実現でき、部品点数の削減のみならず、チャッキング機構自体の薄型化、小型化を図ることができると共に、係合体に複数の切り込みを設けることによって形成された弾性変位部によりディスクの偏心を吸収することができるので、ディスクテーブルと回転中心を一致させて回転駆動できる」という効果が期待される。
【0004】
また、従来のディスク着脱装置の他の例としては、例えば、特許文献2に記載されているようなものもある。特許文献2には、記録媒体としてのディスクが収納されてなるディスクカートリッジを装着してディスクの再生(記録)を行うディスクプレーヤにおいて、ディスクカートリッジを円滑に取り出すためのイジェクト機構に関するものが記載されている。この特許文献2に記載されたディスクカートリッジのイジェクト機構は、「ディスクカートリッジが挿入保持されるカートリッジホルダと、上記カートリッジホルダに対してディスクカートリッジの挿脱方向に移動可能に取り付けられ、その一部に突設された係合爪がディスクカートリッジの凹部と係合するイジェクトレバーとを備え、上記イジェクトレバーの係合爪は、上記ディスクカートリッジの凹部との対接面部のディスクカートリッジ脱方向側の根元部分に凹状に切り欠いたアンダーカット部が形成される」ことを特徴としている。
【0005】
このような構成を有するディスクカートリッジのイジェクト機構によれば、「ディスクカートリッジが多少傾いた状態で挿入された場合でも、イジェクトレバーの係合爪はディスクカートリッジの凹部から逃げることなくこの凹部との係合を維持されることになり、このためイジェクト機構が確実に機能しディスクカートリッジを円滑に取り出すことができる」等の効果が期待される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたセルフチャック方式(カートリッジに入っていないCD等の裸のディスクを人がターンテーブルに装着する方式)の場合、ディスクの装着時には、ターンテーブル中心のディスク嵌合部にディスクのセンタ穴を正確に位置合わせした後、ディスク保持用爪のばね力に逆らってディスク嵌合部にセンタ穴を押し込まなければならなかった。また、ディスク嵌合部からディスクを取り外す場合にも、同じくディスク保持用爪のばね力に逆らってディスク嵌合部からディスクを引き剥がす必要があるため、ディスクの着脱作業時に大きな力が必要とされており、作業性が悪いという問題点があった。
【0007】
また、特許文献2に記載されたポップアップ方式(ポップアップしたホルダ内にディスクカートリッジを挿入した後、ホルダを押し下げてディスクをターンテーブルに装着する方式)の場合、ディスクの装着は、カートリッジをホルダに挿入した後、そのホルダを押し下げることによってターンテーブルへのディスクの装着が可能とされていた。
【0008】
ところが、このポップアップ方式では、ディスクの取出し時にはばねの力でディスクが押し出される構成となっていたため、ホルダのカートリッジ出入口を下に向けた状態でイジェクト操作を行うと、そのカートリッジ出入口からディスクが抜け出してしまい、ディスクを取り落とすおそれがあった。そのため、セルフチャック方式に比べて操作性に優れたポップアップ方式であっても、ディスクを落下させて傷付けるおそれがあることから、カートリッジで保護されていない裸のディスクを用いる電子機器には適用することができないという問題点があった。
【特許文献1】特開平3−157859号公報
【特許文献2】特開平7−85559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、従来のポップアップ方式のディスク着脱装置では、ホルダのカートリッジ出入口を下に向けた状態でイジェクト操作を行うと、ディスクを取り落として落下させ、ディスクを傷付けるおそれがあるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願のディスク着脱装置は、挿入されるディスク状記録媒体を着脱可能に保持するディスクホルダを備えたディスク着脱装置において、ディスクホルダは、ディスク状記録媒体が出し入れされるディスク出入口と、ディスク状記録媒体を保持するディスク収納部と、を有するホルダ本体と、ホルダ本体内に移動可能に支持されると共に挿入されるディスク状記録媒体で押圧されることによりスライド移動するスライド部材と、ホルダ本体に回動自在に支持されると共にコイルばねによってディスク収納部の内側に付勢された一対のホールドアームと、ディスク状記録媒体がディスク収納部の所定位置まで挿入されたときにスライド部材をロックすると共に再度スライド部材が押圧されることによりスライド部材のロックを解除するスライドロック機構と、を設けたことを最も主要な特徴とする。
【0011】
本出願のディスク着脱装置は、スライドロック機構は、スライド部材に設けたカム溝と、ホルダ本体に回動可能に支持されると共にカム溝に対して係合及び離脱可能とされたロックピンを有するロックレバーと、スライド部材をディスク出入口側に付勢するコイルばねと、を有し、カム溝の初期位置ではロックレバーを回動させてロックピンをカム溝内に保持し、再度の押圧操作ではロックレバーを逆方向に回動させてロックピンをカム溝から離脱させるようにしたことを特徴とする。
【0012】
本出願のディスク着脱装置は、一対のホールドアームには、ディスク状記録媒体の移動軌跡上に配置されスライド部材との間でディスク状記録媒体を保持する保持爪をそれぞれ設けたことを特徴とする。
【0013】
本出願のディスク着脱装置は、ホルダ本体には、ディスク収納部の所定位置に挿入されたディスク状記録媒体をターンテーブルと協働して挟持するチャッキングプレートを回転自在に保持したことを特徴とする。
【0014】
本出願のディスク着脱装置は、ホルダ本体には、ディスク状記録媒体を浮かせて保持するためのクッション材を設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本出願のディスク記録及び/又は再生装置は、挿入されるディスク状記録媒体を着脱可能に保持するディスクホルダと、そのディスクホルダに保持されたディスク状記録媒体が着脱可能に装着されるターンテーブルを有するテーブル回転手段と、そのテーブル回転手段が取り付けられたメカシャーシと、そのメカシャーシに移動可能に支持されると共にターンテーブルに装着されたディスク状記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生を行うピックアップ手段と、ディスクホルダを、そのディスクホルダに装着されたディスク状記録媒体をターンテーブルに装着される位置とそのターンテーブルから離脱される位置とに移動するホルダ移動手段と、を備えたディスク記録及び/又は再生装置において、ディスクホルダは、ディスク状記録媒体が出し入れされるディスク出入口及びディスク状記録媒体を保持するディスク収納部を有するホルダ本体と、そのホルダ本体内に移動可能に支持されると共に挿入されるディスク状記録媒体で押圧されることによりスライド移動するスライド部材と、ホルダ本体に回動自在に支持されると共にコイルばねによってディスク収納部の内側に付勢された一対のホールドアームと、ディスク状記録媒体がディスク収納部の所定位置まで挿入されたときにスライド部材をロックすると共に再度スライド部材が押圧されることによりそのスライド部材のロックを解除するスライドロック機構と、を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本出願のディスク着脱装置によれば、ホルダ本体とスライド部材と一対のホールドアームとスライドロック機構とを設けてディスクホルダを構成したため、ディスク出入口からディスク状記録媒体を挿入することによりスライド部材を押圧してディスク収納部の所定位置まで移動すると、スライド部材がスライドロック機構によってロックされると共に、一対のホールドアームによってディスク状記録媒体がディスク収納部内に保持される。その後、ディスク状記録媒体を更に押圧してスライド部材を移動させると、スライドロック機構によるスライド部材のロックが解除され、コイルばねのばね力でスライド部材がディスク出入口側に移動してディスク状記録媒体がディスク収納部内から押し出されることにより、ディスク状記録媒体が取出し可能な状態となる。これにより、ディスク状記録媒体を簡単且つ確実に着脱保持できるディスク着脱装置を、比較的簡単な構成によって実現することができ、装置全体の小型化、薄型化を図ることができる。
【0017】
本出願のディスク着脱装置によれば、スライド部材のカム溝とロックピンを有するロックレバーとコイルばねとを設けてスライドロック機構を構成したため、カム溝の初期位置ではロックピンを保持してスライド部材をロックし、その後の押圧操作によってスライド部材が押圧されると、ロックピンがカム溝内から離脱してスライド部材のロックが解除される。これにより、スライド部材のロックとそのロック解除とを簡単且つ確実に行うことができ、構造が簡単であって装置の小型化を図ることができるスライドロック機構を提供することができる。
【0018】
本出願のディスク着脱装置によれば、一対のホールドアームに保持爪をそれぞれ設け、その保持爪をディスク状記録媒体の移動軌跡上に配置する構成としたため、これら保持爪とスライド部材とでディスク状記録媒体を挟持することにより、ディスク収納部に対するディスク状記録媒体の出し入れ操作をコイルばねのばね力に抗して簡単に行うことができると共に、ディスク状記録媒体をしっかりと確実に保持することができる。
【0019】
本出願のディスク着脱装置によれば、チャッキングプレートがホルダ本体に回転自在に保持されているため、ターンテーブルと協働してディスク状記録媒体を確実に挟持することができ、装置の薄型化、小型化を図ることができる。
【0020】
本出願のディスク着脱装置によれば、クッション材がホルダ本体に設けられているため、ホルダ本体からディスク状記録媒体を浮かせて保持することができ、ディスク状記録媒体の情報記録面やその反対側のラベル面がホルダ本体により擦られて傷付けられるのを防ぐことができる。
【0021】
また、本出願のディスク記録及び/又は再生装置によれば、ディスクホルダとテーブル回転手段とメカシャーシとピックアップ手段とホルダ移動機構とを備え、ホルダ本体とスライド部材と一対のホールドアームとスライドロック機構とを設けてディスクホルダを構成したため、ディスク出入口からディスク状記録媒体を挿入することによりスライド部材を押圧してディスク収納部の所定位置まで移動すると、スライド部材がスライドロック機構によってロックされると共に、一対のホールドアームによってディスク状記録媒体がディスク収納部内に保持される。その後、ディスク状記録媒体を更に押圧してスライド部材を移動させると、スライドロック機構によるスライド部材のロックが解除され、コイルばねのばね力でスライド部材がディスク出入口側に移動してディスク状記録媒体がディスク収納部内から押し出されることにより、ディスク状記録媒体が取出し可能な状態となる。これにより、ディスク状記録媒体を簡単且つ確実に着脱保持できるディスク着脱装置を備え、装置全体の小型化、薄型化を図ることができるディスク記録及び/又は再生装置を、比較的簡単な構成によって実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
ディスク状記録媒体の着脱操作を簡単且つ確実に行うことができると共に、ディスク状記録媒体を取り出す際にも、そのディスク状記録媒体を取り落とすおそれのないディスク着脱装置並びにそのディスク着脱装置を備えたディスク記録及び/又は再生装置を、簡単な構造によって実現した。
【0023】
図1〜図20は、本発明の実施の形態の例を示すものである。即ち、図1は本発明のディスク記録及び/又は再生装置の一実施例を示す分解斜視図、図2〜図7はディスクホルダが上昇してディスク状記録媒体の一部がディスクホルダから出ている状態を示す図、図8〜図13はディスクホルダが上昇してディスク状記録媒体がディスクホルダ内に入っている状態を示す図、図14〜図19はディスクホルダが下降してディスク状記録媒体がターンテーブルに装着されている状態を示す図、図20A,Bはスライド部材の一実施例を示す斜視図である。
【0024】
図1〜図19に示すディスク記録及び/又は再生装置は、情報記憶メディアであるディスク状記録媒体の一具体例として示す直径8cmのDVD−RW(Digital Versatile Disc−Rewritable)を使用し、映像情報や文字情報等を電気的な信号に変換してディスク(DVD−RW)2に記録したり、図示しない液晶ディスプレイ等の表示装置に表示し或いは図示しないスピーカから音声として出力できるようにしたもの(以下「ディスク記録再生装置」という。)である。
【0025】
しかしながら、本発明のディスク状記録媒体としては、この実施例で示すディスク(DVD−RW)2に限定されるものではなく、DVD−R、DVD−RAMその他の記録可能な光学ディスクは勿論、情報の再生のみが可能なDVD、CD、CD−ROM等の光学ディスクを用いることができることは勿論のこと、その他にも光磁気ディスク、磁気ディスク等のように他の記録方式のディスク状記録媒体を適用することができることは勿論である。
【0026】
図1等に示すように、ディスク記録再生装置1は、外装ケース3と、この外装ケース3に固定される外装シャーシ6と、この外装シャーシ6に取り付けられて外装ケース3内に収納されるディスクドライブ装置7と、ディスク2を着脱可能に保持すると共に保持したディスク2をディスクドライブ装置7に着脱可能に装着するディスクホルダ10等を備えて構成されている。
【0027】
外装ケース3は、枠状の部材によって形成されたケース本体4と、このケース本体4の上面の開口部を開閉するケース蓋体5と、このケース蓋体5を支持する上部プレート11等を備えている。ケース本体4は、一側が半円形をなしていて、他側が方形をなす枠体からなり、その上面の開口部と対応する形状(この実施例では、一側が半円形をなし且つ他側が方形をなす、いわゆる「シェル形」)としてケース蓋体5が形成されている。このケース蓋体5とケース本体4とによって中空の筐体が構成されている。ケース蓋体5の内面には上部プレート11が、ねじ止め等の固着手段によって着脱可能に取り付けられている。
【0028】
ケース本体4の下面の開口部は、その開口部の形状に見合う形状を有する板体からなる外装シャーシ6によって閉じられている。外装シャーシ6には、上部プレート11を回動自在に支持するための一対の軸受片6a,6aと、上部プレート11の跳ね上げ量を制限するための一対の係止片6b,6bと、外装シャーシ6をケース本体4に取り付けるための複数個の取付片6cとが設けられている。一対の軸受片6a,6aと一対の係止片6b,6bと複数個の取付片6cとは左右対称に配置されている。そして、各取付片6cにはネジ孔が設けられており、ケース本体4に設けた挿通孔に挿通される取付ねじの締め込みによって外装シャーシ6がケース本体4に着脱可能に取り付けられている。
【0029】
上部プレート11には、両側部に設けた突出部を下方へ折り曲げることによって一対の軸受片11a,11aと一対のストッパ片11b,11bとが設けられている。一対の軸受片11a,11aは、外装シャーシ6の一対の軸受片6a,6aの内側にそれぞれ対向するように配置されると共に、それぞれ回動軸部12によって回動自在に連結されている。この回動軸部12を介して外装シャーシ6と上部プレート11が回動自在に連結され、この外装シャーシ6と上部プレート11を介してケース本体4とケース蓋体5が回動自在に連結されている。
【0030】
上部プレート11の一対の軸受片11a,11aのうちの一方の軸受片11aの先端には、内側に折り曲げられたばね受け片が設けられている。この上部プレート11のばね受け片には、ケース蓋体5のためのコイルばね14の一端が掛け止められている。そのコイルばね14の他端は、引っ張られた状態で外装シャーシ6に設けたばね受け片6dに掛け止められている。このコイルばね14のばね力によって上部プレート11は、回動軸部12を回動中心として、その反対側の自由端側が常時上方へ付勢されている。
【0031】
また、上部プレート11の一対のストッパ片11b,11bは、外装シャーシ6の一対の係止片6b,6bの内側にそれぞれ対向するように配置されている。各ストッパ片11bの先端には外側に突出する爪部11cが設けられていると共に、これらの爪部11cに対応して各係止片6bの先端には係止爪6b1がそれぞれ設けられている。これにより、係止片6bの係止爪6b1とストッパ片11bの爪部11cとが互いに係合可能とされていて、コイルばね14のばね力で常時上方へ付勢される上部プレート11の上方への回動量が制限されている。
【0032】
更に、図3に示すように、上部プレート11の自由端側の先端には、その上部プレート11を閉じた状態(ディスクホルダ10をプレイ位置に保持してディスク2をターンテーブルに装着した状態)に保持するロック片15が設けられている。このロック片15に対応させて外装シャーシ6の対応する部分には、ロック片15と係合可能とされたイジェクト部材16が設けられている。このイジェクト部材16を操作してロック片15のロックを解除することにより、コイルばね14のばね力でディスクホルダ10の自由端側を跳ね上げて、ディスクホルダ10を所定の角度に傾斜させて立ち上げることができるようになっている。
【0033】
また、外装シャーシ6の上面には、ディスクドライブ装置7を支持するための複数(本実施例では3箇所)の支持軸部17が設けられている。これらの支持軸部17には、マウントインシュレータ18を介してディスクドライブ装置7が弾性的に支持されている。マウントインシュレータ18は、防振特性及び耐衝撃性等に優れたゴム状弾性体によってリング状に形成されており、その穴内に支持軸部17の先端軸部が挿入されている。このマウントインシュレータ18は、メカシャーシ8に設けた3箇所のインシュレータ取付部8aに嵌合されて固定されている。
【0034】
外装ケース3を構成するディスク本体4及びディスク蓋体5の材質としては、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)が好適である。しかしながら、ABSに限定されるものではなく、その他のエンジニアリングプラスチックを適用できることは勿論のこと、合成樹脂以外のステンレス鋼(SUS)、アルミニウム合金等の金属を用いることもできる。また、外装シャーシ6及び上部プレート11の材質としては、例えば、ステンレス鋼が好適であるが、スチール鋼、アルミニウム合金その他の金属を適用できることは勿論のこと、金属以外のエンジニアリングプラスチックを用いることもできる。
【0035】
ディスクドライブ装置7は、マウントインシュレータ18を介して外装シャーシ6に弾性的に支持されるメカシャーシ8と、このメカシャーシ8に取り付けられたテーブル回転手段9と、図示しないピックアップ手段の一具体例を示す光学ピックアップ装置と、その光学ピックアップ装置をテーブル回転手段9に対して接近及び離反させるようにディスク2の半径方向に所定範囲内で往復移動させる同じく図示しないピックアップ移動手段等を備えて構成されている。
【0036】
ディスクドライブ装置7のメカシャーシ8は、略長方形をなす板体からなり、その前部と左右側部の3箇所にインシュレータ取付部8aが設けられている。メカシャーシ8には、長手方向に延在された略四角形をなす開口部20が上下方向へ貫通するように設けられている。このメカシャーシ8の長手方向の一側であって、開口部20の縁部分に、テーブル回転手段9が配置されている。テーブル回転手段9は、メカシャーシ8にねじ止め等の固着手段によって固定されたスピンドルモータと、このスピンドルモータの回転部に設けられたターンテーブル23とから構成されている。
【0037】
ターンテーブル23は、ディスク2のセンタ穴が嵌合されるディスク嵌合部23aと、そのセンタ穴の周縁部が載置されるディスク載置部23bとを有している。ターンテーブル23のディスク嵌合部23aには、ディスク2のセンタ穴の周縁部に係合してディスク2を保持する複数個(例えば、3個)のセンタリング爪が周方向に等間隔に配置されている。図示しないが、各センタリング爪はスプリングによって半径方向外側へ付勢されており、そのスプリングのバネ力による保持力でディスク2がターンテーブル23の所定位置に位置決めされて固定される。
【0038】
このテーブル回転手段9の近傍であって、開口部20内に、図示しない光学ピックアップ装置が配設されている。光学ピックアップ装置は、例えば、ディスク2の情報記録面に対向される対物レンズを有する二軸アクチュエータと、この二軸アクチュエータが搭載されるスライド部材等を備えて構成される。スライド部材は、例えば、互いに平行に配置された2本のガイド軸にガイドされてテーブル回転手段9に対して進退移動(接近及び離反)可能に構成される。
【0039】
このテーブル回転手段9を進退移動させるピックアップ移動手段は、例えば、2本のガイド軸と、スライド部材に固定されるナット部材と、このナット部材の歯部が摺動可能に係合されるねじ溝を有する送りねじ軸と、この送りねじ軸を回転駆動する駆動モータ等を備えて構成される。駆動モータを一方へ回転することにより、送りねじ軸の回転力が送りナットを介してスライド部材に伝達され、光学ピックアップ装置がターンテーブル23に近づく方向へ移動される。これとは逆に、駆動モータを他方へ回転すると、同じく送りねじ軸の回転力が送りナットを介してスライド部材に伝達され、光学ピックアップ装置がターンテーブル23から離れる方向へ移動される。
【0040】
また、メカシャーシ8のテーブル回転手段9の反対側には、ディスクホルダ10をメカシャーシ8に回動可能に支持するための支持プレート25が固定されている。支持プレート25には、メカシャーシ8の両側部に突出する一対の支持片25a,25aが設けられている。この一対の支持片25a,25aにより、挿入されるディスク2を着脱可能に保持するディスクホルダ10が、上下方向へ俯仰動作可能に支持されている。更に、メカシャーシ8の支持プレート25と反対側の両側部には、ディスク2がターンテーブル23に装着されたときに、一対のホールドアーム32L,32Rを少々開いてディスク2との接触を回避するための一対のカムアーム26,26が設けられている。
【0041】
ディスクホルダ10は、ディスク2が出し入れされるディスク出入口28と、このディスク出入口28に連続すると共にディスク2を保持することができるディスク収納部29とを有するホルダ本体30と、このホルダ本体30内に移動可能に保持されたスライド部材31と、ホルダ本体30に回動自在に支持された一対のホールドアーム32L,32Rと、ディスク2がディスク収納部29の所定位置まで挿入されたときにスライド部材31をロックすると共に再度スライド部材31が押圧されたときにそのロックを解除するスライドロック機構33等を備えて構成されている。
【0042】
ホルダ本体30は、所定の間隔をあけて対向するように設けられた上面板35と下面板36とからなり、上面板35の側面部35bと下面板36の側面部とを重ね合わせることによって上下面板35,36間に、ディスク収納部29を形成する所定の隙間が設けられている。上面板35は、使用されるディスク2の大きさ(直径)と略同程度の長さ及び幅を有する薄い板体からなり、ディスク出入口28とされる側と反対側の端部に設けた突出部を下方へ折り曲げることによって一対の支持片35a,35aと、前記側面部35b,35bとが設けられている。
【0043】
一対の支持片35a,35aは、メカシャーシ8に固定された支持プレート25の一対の支持片25a,25aと対向するように配置されると共に、それぞれ回動軸部により連結されて回動自在に構成されている。この一対の回動軸部を介して支持プレート25と上面板35とが回動自在に連結されている。
【0044】
上面板35の略中央部には、ターンテーブル23の直径と略同様の大きさを有する貫通穴が設けられ、その貫通穴はプレートカバー38によって覆われている。プレートカバー38は、その外周面を上面板35に密着させて固定されている。このプレートカバー38と上面板35とで形成された円形の空間部に、同じく円形をなす板体からなるチャッキングプレート39が回転自在に収納されている。
【0045】
図6等に示すように、上面板35の上面において、支持片35a側とプレートカバー38との間には、ロックレバー41が回動軸42によって回動自在に支持されている。ロックレバー41は、後述するスライド部材31のロックとその解除を操作するもので、L字状に形成されている。このロックレバー41は、折れ曲がり部を貫通する回動軸42によって上面板35に取り付けられており、プレートカバー38と反対側に延在された一方のレバー片の先端部にカムピン43が設けられている。カムピン43は、上面板35に設けた穴44を貫通して上面板35の内側に突出されている。
【0046】
ロックレバー41の他方のレバー片の中途部には、コイルばね45の一端が掛け止められている。コイルばね45の他端は、上面板35に設けたばね受け片46に引っ張り状態で掛け止められている。このコイルばね45のばね力によるロックレバー41の回動が、上面板35に設けた係止片47によって制限されている。従って、ロックレバー41は、カムピン43の移動を制限する穴44と係止片47とによる制限のもとに所定範囲内で回動自在とされている。そして、後述するスライド部材31のカム溝によってカムピン43の動きが制御される。
【0047】
一対のホールドアーム32L,32Rは、回動軸48によって上面板35の両側部にそれぞれ回動自在に支持されている。各ホールドアーム32L,32Rは、略L字状に形成された板体からなり、一方のアーム片をディスク2が出し入れされる方向(挿脱方向)と平行に延在させると共に、他方のアーム片をディスク出入口28側に配して互いに対向するように内向きに設定されている。そして、一方のアーム片の先端部を貫通する回動軸48によって上面板35の各側部に回動自在に取り付けられている。各ホールドアーム32L,32Rの折れ曲がり部における外側の縁には、下面板36側に突出する保持爪50がそれぞれ一体に設けられている。
【0048】
保持爪50は、ディスク収納部29に対して出し入れされるディスク2の移動軌跡上に配置されており、ディスク収納部29に収納されたディスク2の移動を制限している。更に、各ホールドアーム32L,32Rの他方のアーム片の先端部には、一対の弾性部材の一具体例を示すコイルばね51の一端がそれぞれ掛け止められている。一対のコイルばね51,51の他端は、スライド部材31に設けたばね受け凸部52に引っ張り状態で掛け止められている。この一対のコイルばね51,51のばね力によって一対のホールドアーム32L,32Rがディスク収納部29の内側に常時付勢されている。そして、一対のホールドアーム32L,32Rの内側への回動が、上面板35の縁によって制限されている。
【0049】
更に、各ホールドアーム32L,32Rには、回動軸48を曲率半径の中心として円弧状に延在されたガイド溝53がそれぞれ設けられている。これらのガイド溝53に対応させて上面板35には、ホールドアーム32L,32Rが回動方向と垂直をなす方向に離れるのを防止する規制片54が設けられている。この規制片54によって各ホールドアーム32L,32Rは、上面板35の表面から大きく離れることなくその表面に沿って回動され、これによりホールドアーム32L,32Rの動作の確実性が担保されている。
【0050】
このような構成を有する上面板35と組み合わされてホルダ本体30を形成する下面板36は、略コ字状をなす板体として形成されている。この下面板36は、ディスク出入口28側に配置される前面部と、その前面部の両端に連続して同方向に延在された左右の側面部とからなり、各側面部には上面板35側に突出する立ち上げ部が設けられている。この立ち上げ部を下面板36に設けることによって上面板35と下面板36との間に所定の空間部を形成し、その空間部をディスク2が収納されるディスク収納部29として構成している。上面板35と下面板36は、図示しない固定ねじを用いたねじ固着手段によって組立分解可能に構成されている。
【0051】
このホルダ本体30のディスク収納部29に連続する一方の開口部がディスク出入口28とされていて、そのディスク出入口28と反対側にスライド部材31が配置されている。ディスク出入口28の両側部には、ディスク収納部29に出し入れされるディスク2を浮かして保持するための2組のクッション材55,55が略対称をなす位置に設けられている。
【0052】
1組のクッション材55は、上面板35に固定されたゴム状の弾性体55aと、下面板36に固定されたゴム状の弾性体55bとからなっている。一対の弾性体55a,55bは、上下に対向されていると共に、互いの先端部が当接するように構成されている。このように対をなす2組のクッション材55,55でディスク2の両面を摺動可能に支持することにより、ディスク2の情報記録面及びその反対側のラベル面が上面板35及び下面板36の内面と接触して傷付けられるのを防止している。
【0053】
スライド部材31は、図20A,Bに示すような形状及び構成を有している。図20Aは上面側から見た斜視図、図20Bは下面側から見た斜視図であり、その上面に上面板35が対向され、下面に下面板36が対向されている。スライド部材31は、略三日月形に形成された板体からなり、その一側にディスク2を受けて保持するための円弧状受面31aが形成されている。スライド部材31の円弧状受面31aと反対側は直線面31bとされており、その直線面31bには、ロックレバー41を回動制御するためのカム溝60が設けられている。
【0054】
カム溝60は、上面に開口された略M字状をなすロック部60aと、そのロック部60aの一側に一端が連続され且つ他端が直線面31bに開口された挿入部60bとを有している。挿入部60bは、ロック部60aの一側から他側に向けて傾斜させて設けられている。カム溝60は、スライド部材31の中央より一側に偏倚した位置に設けられており、スライド部材31の略中央部には中央ガイド61が設けられ、両側部には一対の側部ガイド62,62が設けられている。
【0055】
中央ガイド61は、上面板35に設けた中央ガイド溝63に摺動可能に係合されている。また、一対の側部ガイド62,62は、上面板35に設けた一対の側部ガイド溝64,64にそれぞれ摺動可能に係合されている。これら中央ガイド61と中央ガイド溝63及び一対の側部ガイド62,62と一対の側部ガイド溝64,64との3箇所でスライド部材31を摺動可能に支持することにより、そのスライド部材31を一定の姿勢、即ち、ディスク出入口28に対してスライド部材31を略平行に移動させることができるように構成している。
【0056】
更に、スライド部材31の上面には、一対のばね受け凸部52,52が設けられている。一対のばね受け凸部52,52は、中央ガイド61と各側部ガイド62との間に配置されていて、一端がホールドアーム32L,32Rに掛け止められた一対のコイルばね51,51の他端がそれぞれ掛け止められている。これら一対のコイルばね51,51のばね力によってスライド部材31と一対のホールドアーム32L,32Rとが互いに引き合うように付勢されている。そして、スライド部材31の移動を、一対の側部ガイド62,62を一対の側部ガイド溝64,64の端部に当接することによって防止している。
【0057】
また、スライド部材31の下面には、摺動摩擦抵抗を少なくするための逃げ溝65が設けられている。なお、上面板35には、コイルばね45との接触を回避するための第1の長穴66と、コイルばね51との接触を回避するための一対の第2の長穴67とが設けられている。
【0058】
かくして、スライド部材31がディスク出入口28に近い側に位置しているときには、カム溝60とロックレバー41のカムピン43とは互いに離れた位置に対向されている。その状態から、スライド部材31がディスク出入口28から離れるように奥側へ所定量移動することにより、カムピン43が相対的に近づく方向へ移動して挿入部60bからカム溝60内に入り込む。そして、カムピン43がロック部60aまで移動したところでその位置にカムピン43が係止され、これにより、スライド部材31がロックされる。
【0059】
次に、ディスク2を更に押圧することによってスライド部材31を更に奥側へ移動すると、カムピン43がロック部60aの凸部を乗り越え、これによりカムピン43のロックが解除される。その後、ディスク2の押圧力を解除すると、一対のコイルばね51,51のばね力によってスライド部材31がディスク出入口28側に移動する。このとき、カムピン43がロック部60aの閉鎖端に当接するが、そのカムピン43が固定されたロックレバー41が板ばねで形成されているため、ロックレバー41自体が持つ弾性によってカムピン43が後退してロック部60aの閉鎖端を乗り越える。これにより、カムピン43がカム溝60から離反し、スライド部材31のディスク出入口28側への移動が可能となる。
【0060】
このような構成を有するディスクホルダ10が、上面板35をメカシャーシ8に支持する一対の回動軸によって回動自在に支持されている。このディスクホルダ10の外側に、外装シャーシ6によって回動自在に支持された上部プレート11が配置されている。上部プレート11には、ディスクホルダ10側に突出された一対の板バネ68,68が固定されている。一対の板ばね68,68の先端部は上面板35に圧接されており、そのばね力によって上部プレート11がディスクホルダ10から離れる方向に付勢されている。このとき、上面板35に設けた制限片35cが、上部プレート11のストッパ片11bに設けた制限穴69の下辺に当接する。これにより、ディスクホルダ10に対する上部プレート11の回動量が所定の範囲内となるように構成されている。
【0061】
前記上部プレート11、上面板35及びロックレバー41の材質としては、例えば、ステンレス鋼等の金属が好適であるが、ABSその他のエンジニアリングプラスチックを用いることもできる。また、スライド部材31、ホールドアーム32l,32R及び下面板36の材質としては、例えば、ABSその他のエンジニアリングプラスチックが好適であるが、ステンレス鋼等の金属を用いることもできる。
【0062】
前述したような構成を有するディスク記録再生装置1は、例えば、次のようにして用いることができる。図2〜図19は、ディスク記録再生装置1の作用を説明するものであり、図2〜図7は、ケース蓋体5を開くと共に上昇したディスクホルダからディスク2の一部が出ている状態を示すもので、図2は装置全体の外観斜視図、図3は外装ケース3を取り除いた斜視図、図4は装置全体の側面図、図5は外装ケース3を取り除いた側面図、図6は同じく平面図、図7は要部を断面した説明図である。
【0063】
また、図8〜図13は、ケース蓋体5を開くと共に上昇したディスクホルダのディスク収納部29にディスク2が収納されている状態を示すもので、図8は装置全体の外観斜視図、図9は外装ケース3を取り除いた斜視図、図10は装置全体の側面図、図11は外装ケース3を取り除いた側面図、図12は同じく平面図、図13は要部を断面した説明図である。更に、図14〜図19は、ケース蓋体5を閉じると共に下降したディスクホルダのディスク収納部29に収納されているディスク2をターンテーブルに装着した状態を示すもので、図14は装置全体の外観斜視図、図15は外装ケース3を取り除いた斜視図、図16は装置全体の側面図、図17は外装ケース3を取り除いた側面図、図18は同じく平面図、図19は要部を断面した説明図である。
【0064】
まず、ディスク2を装着する場合について説明する。外装ケース3の前面に露出されているイジェクト部材16を操作することにより、ロック片15のロックが解除され、コイルばね14のばね力によって上部プレート11の軸受片11aが引っ張られる。これにより、上部プレート11が回動軸部12を回動中心として図5において時計方向に回動される。その結果、上部プレート11と一体にケース蓋体5が開放されると共に、ディスクホルダ10の上面板35が上部プレート11の回動動作によって引き上げられる。その結果、上面板35を支持するメカシャーシ8の回動軸部37を回動中心として図7において時計方向に回動される。
【0065】
これにより、ディスクホルダ10の自由端側が跳ね上げられ、ディスクホルダ10のディスク出入口28がやや上向きに開口された図2〜図7に示す状態となる。但し、ディスクホルダ10には、まだディスク2は挿入されていない。この状態から、ディスクホルダ10のディスク出入口28にディスク2を挿入する。
【0066】
ディスクホルダ10のディスク出入口28にディスク2を挿入していくと、まず、ディスク2の前側縁が左右一対のホールドアーム32L,32R間に入り込み、これらをそれぞれ外側に押し開き、次に、スライド部材31の円弧状受面31aに当接される。続けて、ディスク2を押圧すると、ディスク2と共にスライド部材31が奥へ移動し、所定の位置まで移動すると、ロックレバー41のカムピン43がスライド部材31のカム溝60内に入り込む。そして、カムピン43がカム溝60内のロック部60aまで移動することにより、スライド部材31がロックされ、そのロック位置に保持される。この状態が、図8〜図13に示すものである。
【0067】
このとき、一対のコイルばね51,51によって左右のホールドアーム32L,32Rが閉じられ、このホールドアーム32L,32Rとスライド部材31の内側にディスク2が回転自在に保持される。これにより、ディスクホルダ10のディスク収納部29内に収納されたディスク2の脱落(落下或いは抜け出し等)が防止される。
【0068】
次に、ケース蓋体5を上方から押圧して押し下げる。これにより、ケース蓋体5に加えられる押圧力が、上部プレート11及び一対の板バネ68,68を介してディスクホルダ10に伝達され、ディスクホルダ10が押し下げられる。そして、ディスクホルダ10が所定位置まで押し下げられることにより、そのディスクホルダ10がディスクドライブ装置7の所定位置に圧着される。これにより、ディスク2がターンテーブル23上に載置されると共に、そのターンテーブル23に内蔵されたマグネットにより、上面板35に保持されているチャッキングプレート39が吸着される。その結果、ディスク2がターンテーブル23とチャッキングプレート39とで挟持され、回転方向に一体とされる。この状態が、図14〜図19に示すものである。
【0069】
このとき、一対のホールドアーム32L,32Rは、メカシャーシ8に設けた一対のカムアーム26,26によって少々外側に開かれる。これにより、一対のホールドアーム32L,32Rとディスク2との間に一定の隙間が確保され、ディスク2がターンテーブル23によって回転駆動されるときにも、ディスク2の外周縁が一対のホールドアーム32L,32Rと摺動接触しないように考慮されている。これにより、ディスク記録再生装置1の動作が可能となり、ディスク2の情報記録面に対して新たな情報信号を記録したり、予め記録されている情報信号を読み出したりすることが可能となる。
【0070】
次に、ディスク2を取り出す場合について説明する。図14〜図19に示す状態から、イジェクト部材16を操作することにより、上部プレート11のロックが外れ、コイルばね14のばね力でケース蓋体5と上部プレート11とディスクホルダ10の自由端側が所定量だけ跳ね上げられる。これにより、ディスク記録再生装置1が、図8〜図13に示す状態となる。この状態では、一対のホールドアーム32L,32Rが、ディスクホルダ10からディスク2が抜け出るのを防いでいるため、ディスクホルダ10のディスク出入口28を下に向けることによってもディスク2がディスク収納部29から抜け出すことが無く、ディスク2の落下を確実に防ぐことができる。
【0071】
次に、ディスクホルダ10に収納されているディスク2の端部を押すと、ロックレバー41のカムピン43とスライド部材31のカム溝60がプッシュ−プッシュ機構(押す方向のみで繰り返される操作機構)を構成しているため、スライド部材31のロックが解除される。これにより、一対のコイルばね51,51のばね力によってスライド部材31がディスク出入口28側に押し出され、図2〜図7に示す状態となる。ここまでディスク2が押し出されると、ディスク2の情報記録面に触れることなく、その外周縁を持ってディスク2を取り出すことができる。そのため、ディスク2の情報記録面に触れることなく、ディスク2の着脱作業を容易に行うことができる。
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、ケースに収納されていない裸のディスクを用いるポータブル電子機器において、ディスクの挿入・取り出し操作を簡単且つ確実に行うことができ、ディスク着脱の操作性を向上することができる。また、ディスクを取り出す際には、手で掴める位置までディスクが排出されるため、ディスクを簡単に掴むことができると共に、その位置において一対のホールドアームでディスクが保持されるため、誤ってディスクを取り落として傷付けてしまうおそれを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、前記実施例では、DVD−RW(光ディスク)を記録媒体として用いたディスク記録再生装置に適用した例について説明したが、光磁気ディスクや磁気ディスク等の他の記録方式のディスク状記録媒体を用いた記録再生装置に適用できるものである。また、前記実施例では、情報信号の再生ばかりでなく記録も可能なディスク記録再生装置について説明したが、再生のみが可能なディスク再生装置は勿論のこと、記録のみが可能なディスク記録装置にも適用可能である。
【0074】
更に、本発明のディスク着脱装置及びディスク記録再生装置を適用可能な電子機器としては、前述した記録再生装置に限定されるものではなく、この種の装置が用いられる撮像装置、パーソナルコンピュータ、電子辞書、DVDプレーヤ、カーナビゲーションその他各種の電子機器に適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明のディスク記録及び/又は再生装置の一実施例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のディスク記録及び/又は再生装置の一実施例を示すもので、ケース蓋体を開くと共に上昇したディスクホルダからディスクの一部が出ている状態の全体斜視図である。
【図3】図2において、外装ケースを取り除いた状態の斜視図である。
【図4】図2の側面図である。
【図5】図4において、外装ケースを取り除いた状態の側面図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】図5の一部を断面した説明図である。
【図8】本発明のディスク記録及び/又は再生装置の一実施例を示すもので、ケース蓋体を開くと共に上昇したディスクホルダのディスク収納部にディスクが収納されている状態の全体斜視図である。
【図9】図8において、外装ケースを取り除いた状態の斜視図である。
【図10】図8の側面図である。
【図11】図10において、外装ケースを取り除いた状態の側面図である。
【図12】図11の平面図である。
【図13】図11の一部を断面した説明図である。
【図14】本発明のディスク記録及び/又は再生装置の一実施例を示すもので、ケース蓋体を閉じると共に下降したディスクホルダのディスク収納部に収納されているディスクをターンテーブルに装着した状態の全体斜視図である。
【図15】図14において、外装ケースを取り除いた状態の斜視図である。
【図16】図14の側面図である。
【図17】図16において、外装ケースを取り除いた状態の側面図である。
【図18】図17の平面図である。
【図19】図17の一部を断面した説明図である。
【図20】本発明のディスク記録及び/又は再生装置に係るスライド部材を示すもので、同図Aは上面側から見た斜視図、同図Bは下面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0076】
1…ディスク記録再生装置(ディスク記録及び/又は再生装置)、 2…ディスク(ディスク状記録媒体)、 3…外装ケース、 4…ケース本体、 5…ケース蓋体、 6…外装シャーシ、 7…ディスクドライブ装置、 8…メカシャーシ、 9…テーブル回転手段、 10…ディスクホルダ、 11…上部プレート、 14,45,51…コイルばね(弾性部材)、 16…イジェクト部材、 23…ターンテーブル、 25…支持プレート、 26…カムアーム、 28…ディスク出入口、 29…ディスク収納部、 30…ホルダ本体、 31…スライド部材、 32L,32R…ホールドアーム、 33…スライドロック機構、 35…上面板、 36…下面板、 37…回動軸部、 39…チャッキングプレート、 41…ロックレバー、 42…回動軸、 43…カムピン、 50…保持爪、 53…ガイド溝、 55…クッション材、 60…カム溝、 60a…ロック部、 60b…挿入部、 68…板ばね


【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入されるディスク状記録媒体を着脱可能に保持するディスクホルダを備えたディスク着脱装置において、
前記ディスクホルダは、
前記ディスク状記録媒体が出し入れされるディスク出入口と、当該ディスク状記録媒体を保持するディスク収納部と、を有するホルダ本体と、
前記ホルダ本体内に移動可能に支持されると共に挿入される前記ディスク状記録媒体で押圧されることによりスライド移動するスライド部材と、
前記ホルダ本体に回動自在に支持されると共にコイルばねによって前記ディスク収納部の内側に付勢された一対のホールドアームと、
前記ディスク状記録媒体が前記ディスク収納部の所定位置まで挿入されたときに前記スライド部材をロックすると共に再度スライド部材が押圧されることにより当該スライド部材の前記ロックを解除するスライドロック機構と、
を設けたことを特徴とするディスク着脱装置。
【請求項2】
前記スライドロック機構は、前記スライド部材に設けたカム溝と、前記ホルダ本体に回動可能に支持されると共に前記カム溝に対して係合及び離脱可能とされたロックピンを有するロックレバーと、前記スライド部材を前記ディスク出入口側に付勢するコイルばねと、を有し、
前記カム溝の初期位置では前記ロックレバーを回動させてロックピンを当該カム溝内に保持し、再度の押圧操作では前記ロックレバーを逆方向に回動させてロックピンを当該カム溝から離脱させるようにしたことを特徴とする請求項1記載のディスク着脱装置。
【請求項3】
前記一対のホールドアームには、前記ディスク状記録媒体の移動軌跡上に配置され前記スライド部材との間で当該ディスク状記録媒体を保持する保持爪をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1記載のディスク着脱装置。
【請求項4】
前記ホルダ本体には、前記ディスク収納部の所定位置に挿入された前記ディスク状記録媒体をターンテーブルと協働して挟持するチャッキングプレートを回転自在に保持したことを特徴とする請求項1記載のディスク着脱装置。
【請求項5】
前記ホルダ本体には、前記ディスク状記録媒体を浮かせて保持するためのクッション材を設けたことを特徴とする請求項1記載のディスク着脱装置。
【請求項6】
挿入されるディスク状記録媒体を着脱可能に保持するディスクホルダと、
前記ディスクホルダに保持された前記ディスク状記録媒体が着脱可能に装着されるターンテーブルを有するテーブル回転手段と、
前記テーブル回転手段が取り付けられたメカシャーシと、
前記メカシャーシに移動可能に支持されると共に前記ターンテーブルに装着された前記ディスク状記録媒体に対して情報信号の記録及び/又は再生を行うピックアップ手段と、
前記ディスクホルダを、当該ディスクホルダに装着されたディスク状記録媒体を前記ターンテーブルに装着される位置と当該ターンテーブルから離脱される位置とに移動するホルダ移動手段と、
を備えたディスク記録及び/又は再生装置において、
前記ディスクホルダは、前記ディスク状記録媒体が出し入れされるディスク出入口及び当該ディスク状記録媒体を保持するディスク収納部を有するホルダ本体と、前記ホルダ本体内に移動可能に支持されると共に挿入される前記ディスク状記録媒体で押圧されることによりスライド移動するスライド部材と、前記ホルダ本体に回動自在に支持されると共にコイルばねによって前記ディスク収納部の内側に付勢された一対のホールドアームと、前記ディスク状記録媒体が前記ディスク収納部の所定位置まで挿入されたときに前記スライド部材をロックすると共に再度スライド部材が押圧されることにより当該スライド部材の前記ロックを解除するスライドロック機構と、を設けたことを特徴とするディスク記録及び/又は再生装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−209863(P2006−209863A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20007(P2005−20007)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】