説明

ディスク装置

【課題】操作を簡略化することができるディスク装置を提供すること。
【解決手段】ディスクを回転させる駆動手段21、ないし、回転する前記ディスクの再生/記録を行う情報読取/書込手段22が設けられ、ディスクを内部に収納するディスク収納部と、ディスク収納部にディスクを収納可能に開放および閉塞する開閉手段25、この開閉手段25を含む装置全体を制御する制御手段7とを備えたディスク装置1であって、制御手段7は、ディスクに設けられ、ディスクの識別情報を発信する無線情報発信器と通信して、識別情報を取得する識別情報取得部732と、取得した識別情報から、ディスクが再生または記録可能であるか否かを判定する情報判定部733と、再生または記録が可能であると判定されると、開閉手段25に対して、ディスク収納部を開放する制御信号を生成出力する開動作制御部731,743とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを回転させる駆動手段、ないし、回転する前記ディスクに記録された情報の再生および/または前記ディスクへの情報の記録を行う情報読取/書込手段が設けられ、前記ディスクを内部に収納するディスク収納部と、前記ディスク収納部に前記ディスクを収納可能に開放および閉塞する開閉手段、この開閉手段を含む装置全体を制御する制御手段とを備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等のディスク型記録媒体(以下、「ディスク」と略す。)に記録された音声情報および映像情報を再生したり、当該ディスクに音声情報および画像情報を記録するディスク装置が知られている。このようなディスク装置は、ディスク収納部と、当該ディスク収納部に収納されたディスクを回転させるモータ等の駆動手段と、回転するディスクから情報を読み取ったり、あるいは、当該ディスクに情報を書き込むピックアップレンズやレーザ発振器等で構成される光ピックアップ等の情報読取/書込手段とを備えて構成される。
【0003】
このようなディスク装置として、フロントローディングタイプのディスク収納部を有するディスク装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ディスク収納部を覆うように設けられた蓋部を回動させてディスク収納部を開放および閉塞するトップローディングタイプのディスク装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
このうち、特許文献1に記載されているようなフロントローディングタイプのディスク装置は、使用者のボタン操作により、ディスク収納部からディスクトレイが突出する。そして、使用者は、ディスクトレイにディスクを設置した後、さらにボタンを操作することによって、ディスクトレイがディスク収納部に収納され、ディスク装置は、当該ディスクに記録された情報の再生および当該ディスクに対する情報の記録が可能となる。
また、特許文献2に記載されているようなトップローディングタイプのディスク装置は、使用者のボタン操作等により、ディスク収納部の端部と係合し、当該ディスク収納部を覆う蓋部が、ディスク収納部の形成方向に沿った所定の軸を中心に回動して、ディスク収納部を開放する。そして、ディスク収納部にディスクを収納した後、ボタン操作または使用者により蓋部が閉じられると、ディスク装置は、ディスクに記録された情報の再生または当該ディスクに対する情報の記録が可能となる。
【0005】
【特許文献1】特開平8−335385号公報
【特許文献2】特開2003−77262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載のそれぞれのディスク装置は、ディスク収納部にディスクを収納する際に、ディスク収納部を開放および閉塞させるためのボタン操作等が必要となるため、不慣れな使用者にとって、操作がしづらいという問題がある。特に、近年のディスク装置には、様々な機能を有効にするボタンおよびスイッチ類が多数設けられており、不慣れな使用者にとっては、操作に習熟するまでに、ディスク装置の使用を断念する場合がある。このため、簡単に使用することができるディスク装置が要望されている。
【0007】
本発明の目的は、操作を簡略化することができるディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した目的を達するために、本発明のディスク装置は、ディスクを回転させる駆動手段、ないし、回転する前記ディスクに記録された情報の再生および/または前記ディスクへの情報の記録を行う情報読取/書込手段が設けられ、前記ディスクを内部に収納するディスク収納部と、前記ディスク収納部に前記ディスクを収納可能に開放および閉塞する開閉手段と、この開閉手段を含む装置全体を制御する制御手段とを備えたディスク装置であって、前記制御手段は、前記ディスクに設けられ、当該ディスクの識別情報を発信する無線情報発信器と通信して、前記識別情報を取得する識別情報取得部と、取得した前記識別情報から、前記ディスクが再生または記録可能であるか否かを判定する情報判定部と、前記情報判定部により再生または記録が可能であると判定されると、前記開閉手段に対して、前記ディスク収納部を開放する制御信号を生成出力する開動作制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
ここで、ディスク装置としては、ディスクが設置されるトレイを備え、当該トレイが、開閉手段によってディスク収納部から突出するようにスライドして、当該ディスク収納部を開放し、また、ディスク収納部に対して没入するようにスライドして、当該ディスク収納部を閉塞するローディングタイプのディスク装置が挙げられる。また、ディスク収納部に装着されたディスクを覆う蓋部を備え、当該蓋部が、開閉手段によって所定の軸を中心に回動して、ディスクを収納できるように、ディスク収納部を開閉するトップローディングタイプのディスク装置を例示することができる。
また、ディスクは、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等のディスク型記録媒体を挙げることができる。
【0010】
本発明によれば、ディスク装置は、ディスクの識別情報を発信する無線情報発信器と通信して、当該ディスクを再生または記録が可能であれば、制御手段により、開閉手段に制御信号を出力して、ディスク収納部を開放させることができる。これによれば、不慣れな使用者であってもディスク収納部へのディスクの装着を容易に行うことができる。従って、使用者によるディスク収納部の開放操作を不要とすることができ、ディスク再生または記録に係る操作を簡略化することができる。
【0011】
すなわち、ディスク装置の制御手段は、識別情報取得部、情報判定部および開動作制御部を備えて構成され、識別情報取得部が、ディスクの無線情報発信器から発信される識別情報を取得し、取得した識別情報から、情報判定部が、当該ディスクが再生または記録が可能であるかを判定し、再生または記録が可能であると判定した場合には、開動作制御部が、開閉手段に、ディスク収納部を開放させる制御信号を出力する。この制御信号が入力した開閉手段により、ディスク収納部が開放するので、ディスク収納部にディスクを装着する際に、使用者がボタン操作等を行う必要を無くすことができ、操作の簡略化を図ることができる。
【0012】
本発明では、前記制御手段と電気的に接続され、前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことを検出するディスク検出部が設けられ、前記制御手段は、前記ディスク検出部により前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことが検出されると、前記開閉手段に対して、前記ディスク収納部を閉塞する制御信号を生成出力する閉動作制御部を備えることが好ましい。
本発明によれば、ディスク検出部が、ディスク収納部にディスクが収納されたことを検出すると、制御系の閉動作制御部が、開閉手段に制御信号を出力して、当該開閉手段により、ディスク収納部を閉動作させる。これによれば、ディスク収納部へのディスクの装着に応じて、ディスク収納部が閉塞されるので、当該ディスク収納部の閉動作に伴う使用者の操作を不要にすることができる。従って、操作を簡略化できるディスク装置を提供することができる。
また、前述の開動作制御部と合わせて、ディスク収納部の開動作および閉動作を、自動的に行うことができる。従って、使用者の操作を一層簡略化することができる。
【0013】
本発明では、前記制御手段は、前記ディスク検出部により前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことが検出されると、前記識別情報取得部による前記識別情報の取得を規制する情報取得規制部を備えることが好ましい。
本発明によれば、ディスク検出部が、ディスク収納部にディスクが装着されたことを検出すると、情報取得規制部は、当該ディスクに設けられた無線情報発信器との通信による識別情報の取得を規制する。これによれば、ディスク収納部に装着されたディスク以外のディスクから識別情報が取得されることを防ぐことができる。従って、新たな識別情報を受信することによって生じるディスク装置の誤動作を抑制することができる。
また、識別情報取得部によるディスクの識別情報の恒常的な受信を行うことがなくなるので、ディスク装置の消費電力を低減することができる。
【0014】
本発明では、前記制御手段は、前記ディスク検出部により前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことが検出されると、当該ディスク収納部に収納された前記ディスクの識別情報を再取得する情報再取得部を備えることが好ましい。
本発明によれば、再生または記録するディスクの識別情報を確実に取得することができる。
ここで、ディスクから識別情報を取得する際に、多数のディスクが存在する場合には、ディスク収納部に収納されたディスクが有する識別情報を必ずしも取得できない可能性がある。すなわち、ディスク収納部に収納されるディスクの識別情報ではない識別情報が、他のディスクから取得されてしまう可能性がある。これに対し、ディスク検出部がディスク収納部にディスクが装着されたことを検出した際に、情報再取得部が、ディスク収納部に装着されたディスクの識別情報を改めて取得するので、確実にディスク収納部に収納され、ディスク装置によって再生/記録されるディスクの識別情報を取得することができる。
【0015】
本発明では、複数の音質および/または画質の設定情報が記憶された記憶手段を備え、前記制御手段は、前記識別情報に基づいて、前記記憶手段に記憶された設定情報を読み出す設定情報取得部と、取得された設定情報に基づいて、前記ディスク再生時の設定を行う再生設定部とを備えることが好ましい。
ここで、記憶手段としては、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、半導体メモリおよびハードディスク装置(Hard Disc Drive)等を例示することができる。
また、再生設定としては、音声情報の再生の場合は、当該音声情報の再生に適した音質、例えば、全周波数帯における所定周波数帯のレベルを増減させた音質の設定が挙げられる。また、画像情報の再生の場合は、ガンマ補正値等の画質の補正が挙げられる。
本発明によれば、ディスクに適した再生設定を行うことができる。また、予め使用者によって好みの音質および画質の設定情報が記憶手段に記憶されている場合には、使用者の好みの音質および画質で再生することが可能となり、ディスクの再生ごとに設定を行う必要を無くすことができる。従って、ディスクの再生操作をより簡略化することができ、特別な操作を必要とせずに、記録された映像情報および/または音声情報に適した画質および/または音質で、ディスクを再生することができる。
【0016】
本発明では、前記ディスクの再生時の設定情報を含む詳細情報を提供する情報提供装置とネットワークを介して接続可能なインターフェースを備え、前記制御手段は、前記識別情報に基づく詳細情報を、前記インターフェースを介して、前記情報提供装置から取得する詳細情報取得部を備え、前記再生設定部は、取得した前記詳細情報に含まれる設定情報に基づいて、前記ディスク再生時の設定を行うことが好ましい。
ここで、詳細情報としては、前述の設定情報のほかに、当該ディスクに記録された曲名情報等を例示することができる。
本発明によれば、ネットワークを介して、情報提供装置から、ディスクの識別情報に基づく詳細情報を取得することが可能となる。また、詳細情報に含まれる設定情報を取得することができるので、前述の記憶手段に設定情報が記憶されていない場合でも、ディスクに記録された情報に適した画質および/または音声の設定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(1)外観構成
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るディスク装置を示す概要斜視図である。
ディスク装置1は、CD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)等のディスク型記録媒体(以下、「ディスク」と略す場合がある)9(図2参照)の再生、あるいは、当該ディスク9への情報の記録を行う情報再生/記録装置である。
【0018】
ディスク装置1には、装置前面側(使用者に対向する側)の略中央下部に、ディスク9を装置内部に収納するディスク収納部2が設けられ、略中央上部に、所定の文字や画像が表示される表示部3が設けられている。また、ディスク収納部2の両脇には、電源スイッチ4と、後述するディスク9のRFIDタグ93と通信するタグ通信部5が設けられている。さらに、図示を略したが、ディスク装置1の上面には、ディスク装置1に所定の操作を実施させる複数の操作スイッチを有する操作パネルが設けられている。
このうち、表示部3は、液晶パネルを備えて構成されており、ディスク装置1内部に設けられ、装置本体の動作制御を行う後述する制御基板7(図4参照)により駆動が制御されている。なお、制御基板7の構成については、後に詳述する。
【0019】
ディスク収納部2は、ディスク9を収納し、当該ディスク9の再生および記録を行う部分である。このディスク収納部2の内部には、図1においては詳しい図示を省略するが、ディスク9を回転させる回転用モータ21と、回転するディスクに記録されている情報を読み取り、また、当該ディスク9に対して情報を書き込む光ピックアップ22とが設けられている。
【0020】
回転用モータ21は、本発明の駆動手段に相当し、ディスク9に接触して、当該ディスクを回転させる。
光ピックアップ22は、本発明の情報読込/書込手段に相当し、回転するディスク9にレーザ光を照射するレーザ発振器と、ディスク9に反射したレーザ光を受けて記録情報を読み取る光ヘッドを備えて構成されている。このレーザ発振器は、ディスク9に対する情報の記録も行う。
これら回転用モータ21および光ピックアップ22は、後述する制御基板7により駆動が制御されている。そして、光ピックアップ22によって読み出された情報は、制御基板7に出力され、当該制御基板7で再生処理される。また、制御基板7からディスク9に対する記録情報が光ピックアップ22に出力され、当該光ピックアップ22を構成するレーザ発振器によって、記録情報がディスク9に記録される。
【0021】
また、ディスク収納部2には、図1に示すように、内部にディスク9を収納するためのディスクトレイ23が設けられている。
このディスクトレイ23の略中央には、ディスク9の形状に合わせた略円形状の凹部231が形成されている。この凹部231には、ディスク9が当該凹部231に装着されたことを検出するディスク検出部24が設けられている。
【0022】
ディスク検出部24は、ディスクトレイ23の凹部231のディスク9に対向する面上に配置されている。具体的に、このディスク検出部24は、フォトダイオードとフォトトランジスタとを有するフォトセンサで構成されており、このフォトセンサが、凹部231に、当該凹部231に沿って複数埋め込まれている。そして、ディスク検出部24は、すべてのフォトダイオードからディスク9に向かって射出した光束が、当該ディスク9で反射して、すべてのフォトトランジスタにより検出できるか否かで、ディスクトレイ23の凹部231にディスク9が設置されたか否かを判定する。これにより、ディスク検出部24を構成するフォトセンサの1つが誤ってディスク9の検出した場合でも、ディスク検出部24全体がディスク9の装着を検出することを防ぐことができる。
このようなディスク検出部24は、後述する制御基板7に電気的に接続され、ディスクトレイ23にディスク9が装着されている場合には、制御基板7にON信号を出力し、装着されていない場合には、OFF信号を出力するか、あるいは、信号を出力しないように構成されている。
【0023】
このようなディスクトレイ23は、ディスク装置1内に設けられた開閉手段としてのトレイ駆動用モータ25(図4参照)の駆動により、ディスクトレイ23がディスク収納部2に対して突没して、ディスク収納部2を開放および閉塞させる。このトレイ駆動用モータ25は、後述する制御基板7により駆動が制御されている。
このトレイ駆動用モータ25によるディスクトレイ23の開動作および閉動作は、ディスク収納部2内部に設けられた開閉検出部26(図4参照)により検出される。この開閉検出部26は、光センサまたは感圧センサで構成することができる。この開閉検出部26は、後述する制御基板7に、ディスクトレイ23の進退、すなわち、ディスク収納部2の開閉状態を示す信号を出力している。
【0024】
ディスク装置1の装置前面に設けられた電源スイッチ4およびタグ通信部5のうち、電源スイッチ4は、プッシュスイッチで構成され、当該スイッチを押下することにより、ディスク装置1の電源がON/OFFされる。
【0025】
タグ通信部5は、ディスク9に設けられた後述するRFIDタグ93と通信する情報通信部であり、RFIDタグ93に電波信号を送信して、当該RFIDタグ93に記憶された識別情報を受信する。また、タグ通信部5は、RFIDタグ93に情報としての電波信号を送信して、RFIDタグ93に当該情報を記憶させる。このタグ通信部5は、詳しい図示を省略するが、ディスク装置1に対して遠距離にあるディスク9に対して強い電波信号を出力して、当該ディスク9との通信を行う強電波送受信部と、ディスクトレイ23に装着されたディスク9にのみ電波信号を出力して、当該ディスク9との通信を行う弱電波送受信部とを備えて構成されている。このうち、強電波送受信部は、ディスク装置1の装置前面に露出しており、弱電波送受信部は、ディスク収納部2に設けられている。
なお、このRFIDタグ93の構成、および、当該RFIDタグ93との通信については、後に詳述する。
【0026】
ディスク装置1の背面には、図示を略したが、コンピュータ接続用の接続端子、ビデオ入出力端子、オーディオ入出力端子、ネットワーク接続端子、および、アンテナ入力端子等の各種機器接続用の端子が設けられている。これら端子は、制御基板7に電気的に接続されている。
このうち、ネットワーク接続端子は、IEEE802.3iに準拠し、10Base−Tおよび100Base−TX等のLAN(Local Area Network)ケーブルが接続可能とされる端子と、ITU−T V.90およびK56Flex規格に準拠し、電話回線に接続されるモジュラージャックが接続可能とされる端子とを備えて構成されている。
【0027】
また、ディスク装置1の背面には、本発明の記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)6が取り付けられている。このHDD6は、ディスク9の識別情報に対応する詳細情報が記録される。具体的に、HDD6に記録される詳細情報には、曲名情報、設定情報等が含まれる。このうち、設定情報には、音声情報再生時における音声出力のバランス、所定周波数の音域の増減、サラウンド方式等の音質設定情報、および、映像情報再生時におけるガンマ補正値、アスペクト比およびフレームレート等の画質設定情報等が含まれる。
【0028】
(2)ディスクの構成
図2は、ディスク9の構成を示す図である。
ディスク装置1で利用されるディスク9は、対向する2枚の平面視略円形状のディスク基板との間に、信号記録面が介装されて形成されている。このディスク9には、当該ディスク9の中央に形成され、中央部分の略円形状の切欠で回転用モータ21と係合する係合部91と、この係合部91の外周部分に形成される光学的に記録可能な領域である記録部92とが設けられている。このうち、係合部91には、ディスク9固有の識別情報が記録されたRFIDタグ93が設けられている。
なお、詳しい図示を省略したが、ディスク9を使用しない場合は、ディスク9は、電磁シールで覆われたディスクケースに収納されており、RFIDタグ93による通信ができないようにされている。
【0029】
図3は、RFIDタグ93の構成を示すブロック図である。
RFIDタグ93は、本発明の無線情報発信器であり、外部から入力する電波信号によって情報の読込および書込を行う。なお、本実施形態のRFIDタグ93は、内部で駆動電力を生成するパッシブタグで構成されている。
【0030】
RFIDタグ93は、図3に示すように、通信部931、制御部932、記憶部933および電力生成部934を備えて構成されている。
通信部931は、外部からの電波信号を受信して制御部932に出力し、また、制御部932を介して入力する記憶部933に記憶された情報を電波信号に変換して送信する。
制御部932は、通信部931を介して入力する信号に応じて、記憶部933から情報の読み込み、あるいは、当該記憶部933に対する情報の書き込みを制御する。
記憶部933は、当該RFIDタグ93が設けられたディスク9の固有の識別情報が記憶された領域であり、制御部932による読込および書込が可能に構成されている。
電力生成部934は、通信部931を介して入力する電波信号を利用して駆動電力を生成するものであり、生成した駆動電力は、制御部932および記憶部933に出力される。
【0031】
ここで、RFIDタグ93の記憶部933に記憶される識別情報としては、例えば、ディスク9のメディア情報、情報種別、タイトル名、および、タイトル名に応じて設定される固有コード等が挙げられる。
このうち、メディア情報は、ディスク9が、どのようメディアであるのかが示されており、例えば、CD−R、CD−RW等のCD、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW、DVD+R、DVD+RW、DVD−RAM等のDVD、Blu-ray Disc(登録商標)、HD−DVD(High Definition-DVD)等のメディアの種類を示す。
情報種別は、音声情報のみが記録されているのか、音声情報および映像情報が記録されているのか、あるいは、コンピュータ等のデータ情報が記録されているのか等の情報を示す。
【0032】
(3)制御基板7の構成
図4は、ディスク装置1の制御基板7の構成を示すブロック図である。
制御基板7は、本発明の制御手段に相当し、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等が実装された回路基板として構成され、前述のように、ディスク装置1全体の駆動制御を行う。
この制御基板7は、入力情報を映像情報と音声情報に分離する情報分離系71と、ネットワークインターフェース72と、入力情報を処理するとともに装置全体の制御を行う主制御系73と、ディスク装置1に設けられた各装置を個別に制御する駆動制御系74とに、機能的に分類される。
このうち、ネットワークインターフェース72は、前述のネットワーク接続端子が接続されており、主制御系73の指示により、ネットワーク上に位置する情報配信装置との接続を仲介する。このネットワークインターフェース72は、主制御系73に接続されている。
【0033】
情報分離系71は、光ピックアップ22および各接続端子と、主制御系73との間を仲介し、入力する情報から映像情報および音声情報を分離する。この情報分離系71は、ディスク情報分離部711と、PC情報分離部712と、チューナ情報分離部713とを備えて構成されている。
ディスク情報分離部711は、光ピックアップ22により読み込んだディスク9の記録情報から、映像情報と音声情報とを分離する。
PC情報分離部712は、コンピュータ接続用の接続端子、例えば、USB端子と接続され、当該端子に接続されたPC(Personal Computer)から入力する情報から映像情報と音声情報とを分離する。
チューナ情報分離部は、アンテナ入力端子から入力するテレビ等の信号から映像信号と音声信号とを分離する。
これらディスク情報分離部711、PC情報分離部712およびチューナ情報分離部713により分離された映像情報および音声情報は、主制御系73の情報処理部735に出力される。
【0034】
主制御系73は、ディスク装置1の主要な駆動制御を行うものであり、主制御部731と、識別情報取得部732と、情報判定部733と、詳細情報取得部734と、情報処理部735と、情報出力部736とを備えて構成されている。
このうち、主制御部731は、ディスク検出部24および開閉検出部26と電気的に接続され、これらから入力する信号に基づいて、主制御系73を構成する他の機能部732〜736および駆動制御系74に、所定の制御信号を出力する。
【0035】
識別情報取得部732は、タグ通信部5を介してディスク9のRFIDタグ93から入力する当該ディスク9の識別情報を取得する。
情報判定部733は、識別情報取得部732で取得したディスク9の識別情報から、当該ディスク9が、ディスク装置1により再生または記録が可能であるかを判定する。
詳細情報取得部734は、ディスク9の識別情報に対応する詳細情報を、HDD6から取得する。ここで、HDD6に、当該識別情報に対応する詳細情報が記録されていない場合には、ネットワークインターフェース72を介して、ネットワーク上の情報配信装置にアクセスして、当該情報配信装置から、ディスク9の識別情報のタイトル名および/または固有コードに対応する詳細情報を取得する。すなわち、詳細情報取得部734は、本発明の設定情報取得部および詳細情報取得部に相当する。
【0036】
情報処理部735は、情報分離系71を介して入力する信号情報を処理するものであり、映像情報を処理する映像処理部7351、および、音声情報を処理する音声処理部7352を備えている。また、この情報処理部735は、PC接続端子およびアンテナ入力端子から入力する信号情報を、ディスク9に記録するための処理をする記録処理部7353を備えている。
このうち、映像処理部7351および音声処理部7352は、主制御部731の制御の下、詳細情報取得部734で取得した詳細情報に含まれる設定情報、すなわち、画質設定情報および/または音質設定情報に基づいて、映像情報の画質処理、および、音声情報の音質処理等を行う。すなわち、映像処理部7351および音声処理部7352は、本発明の再生設定部に相当する。
情報出力部736は、情報処理部735で処理された映像情報および音声情報を、映像情報出力端子および音声情報出力端子を介して、当該端子に接続される機器に出力する。
【0037】
駆動制御系74は、主制御系73と電気的に接続され、当該主制御系73の制御の下、ディスク装置1を構成する装置の駆動制御を行うものである。
駆動制御系74は、光ピックアップ22の駆動を制御する光ピックアップ制御部741と、ディスク9を回転させる回転用モータ21の駆動を制御する回転モータ制御部742と、ディスクトレイ23を進退させるトレイ駆動用モータ25の駆動を制御する開閉制御部743と、画像を形成し、当該画像を表示部3に表示させる表示制御部744と、タグ通信部5の駆動を制御して、ディスク9との通信を制御するタグ通信制御部745と、HDDの駆動を制御するHDD制御部746とを備えて構成されている。
【0038】
このうち、光ピックアップ制御部741は、光ピックアップ22を駆動させて、ディスク9に記録された情報の読込および/または書込を行う。この光ピックアップ制御部741の制御下で駆動する光ピックアップ22により読み込まれたディスク9の記録情報は、情報分離系71のディスク情報分離部711に出力される。また、光ピックアップ22によりディスク9に対して情報の記録を行う場合には、主制御系73の情報処理部735を構成する記録処理部7353から記録情報を取得して、ディスク9に対して当該記録情報の記録を行う。
また、開閉制御部743は、主制御系73から入力する制御信号に応じて、トレイ駆動用モータ25を駆動させ、ディスクトレイ23をスライドして、ディスク収納部2を開閉する。
【0039】
タグ通信制御部745は、主制御系73を構成する主制御部731の制御下で、タグ通信部5の制御を行う。ここで、タグ通信制御部745は、主制御部731から、遠距離にあるディスク9と通信を行う制御信号が入力した場合には、タグ通信部5の強電波送受信部によりディスク9のRFIDタグ93と通信する。一方、主制御部731から、ディスクトレイ23に設置装着されたディスク9と通信を行う制御信号が入力した場合には、タグ通信部5の弱電波送受信部により、ディスク9のRFIDタグ93と通信する。
【0040】
(4)再生/記録待機時処理
図5および図6は、ディスク装置1の再生/記録待機時処理Sの処理フローを示す図である。このうち、図6は、図5から連続した処理を示している。
ディスク装置1は、電源がONされ、再生または記録の待機状態でない場合には、再生/記録待機時処理を実行する。ここで、この再生/記録待機時処理を以下に説明する。
再生/記録待機時処理においては、ディスク装置1は、図5に示すように、最初に、ディスク収納部2にディスク9が収納されているかを判定する(処理S11)。この処理S11においては、制御基板7の主制御系73を構成する主制御部731が、ディスク検出部24からの信号および開閉検出部26からの信号を判定する。
【0041】
ここで、開閉検出部26からの信号が、ディスク収納部2が閉塞されていることを示し、ディスク検出部24からの信号が、ディスクトレイ23にディスク9が設置されていることを示している場合には、主制御部731は、後述する識別情報の再取得処理(S20)を実行する。
また、開閉検出部26からの信号が、ディスク収納部2が開放されていることを示し、ディスク検出部24からの信号が、ディスク9が設置されていることを示している場合には、主制御部731は、開閉制御部743に制御信号を出力する。この制御信号が入力した開閉制御部743は、トレイ駆動用モータ25を駆動して、ディスクトレイ23を閉動作させ、ディスク9をディスク収納部2に収納し、後述する識別情報の再取得処理(S20)を実行する。
【0042】
一方、開閉検出部26からの信号が、ディスク収納部2が閉塞されていることを示し、ディスク検出部24からの信号が、ディスクトレイ23にディスク9が設置されていないことを示している場合には、主制御部731は、識別情報取得部732に制御信号を出力して、ディスク9からの識別情報の取得を試みる(識別情報取得処理S12)。
【0043】
図7は、ディスク装置1によるディスク9の識別情報取得処理S12の処理フローを示す図である。なお、以下の説明では、ディスク装置1の近傍に、当該ディスク装置1と通信可能なディスク9が存在するものとして説明する。
識別情報取得処理S12では、主制御部731は、ディスク9から識別信号を取得する制御信号を識別情報取得部732に出力し、当該制御信号が入力した識別情報取得部732は、タグ通信部5の強電波送受信部を介して、電波信号である識別情報要求コマンドを、ディスク9のRFIDタグ93に対して出力する(処理S121)。
これに対し、コマンド受信待機状態(処理S122)にあったRFIDタグ93は、識別情報要求コマンドを受信すると、電力生成部934により駆動電力を発生し(処理S123)、制御部932により、入力したコマンドの判定を行う(処理S124)。
【0044】
ここで、RFIDタグ93の制御部932が、入力したコマンドが識別情報要求コマンドではないと判定した場合、すなわち、他の電波信号が入力したと判定した場合には、当該制御部932は、処理S122に戻り、コマンド受信待機状態を継続する。
一方、制御部932が、入力したコマンドが識別情報要求コマンドであると判定した場合には、当該制御部932は、記憶部933から識別情報を取得し、通信部931を介して、強電波送受信部に送信する(S125)。当該送信された識別情報は、ディスク装置1のタグ通信部5を介して、識別情報取得部732によって取得、保持される(処理S126)。
【0045】
識別情報取得処理S12を実行したディスク装置1の識別情報取得部732は、処理結果を主制御部731に出力し、当該主制御部731は、図5に示すように、RFIDタグ93から識別情報を取得したか否かを判定する(処理S13)。このような取得判定は、識別情報要求コマンドの送信から、所定時間経過後に識別情報が取得できたか否かで判定することができる。なお、この時間は、適宜設定してよい。
ここで、主制御部731が、識別情報を取得できなかったと判定した場合には、当該主制御部731は、駆動制御系74の表示制御部744にエラーを示す制御信号を生成出力する。この制御信号が入力した表示制御部744は、エラーメッセージを生成して、当該エラーメッセージを表示部3に表示させ(処理S31)、処理S12に戻り、他のディスク9に対して、識別情報取得処理S12を実行する。
なお、処理S13から処理S31に移行した場合のメッセージは、識別情報の受信が可能なディスク9が、ディスク装置1の周囲に存在しない旨のメッセージとなる。
【0046】
一方、主制御部731が、識別情報を取得できたと判定した場合には、当該主制御部731は、情報判定部733に制御信号を出力し、当該情報判定部733により、識別情報を送信したディスク9がディスク装置1に対応しているか、すなわち、ディスク装置1により再生または記録が可能であるかを判定させる(処理S14)。具体的には、処理S14では、情報判定部733は、識別情報に含まれるメディア情報および情報種別等の情報を判定する。この判定結果は、情報判定部733から主制御部731に出力される。
ここで、情報判定部733が、ディスク9がディスク装置1に対応していないと判定した場合には、主制御部731は、表示制御部744にエラーを示す制御信号を出力する。この制御信号が入力した表示制御部744は、エラーメッセージを生成して、当該エラーメッセージを表示部3に表示させ(処理S31)、処理S12に戻り、他のディスク9に対して、識別情報取得処理S12を実行する。
なお、処理S14から処理S31に移行した場合のメッセージは、再生または記録可能なディスク9がディスク装置1の周囲に存在しない旨のメッセージとなる。
【0047】
一方、情報判定部733が、ディスク9がディスク装置1に対応していると判定した場合には、主制御部731は、表示制御部744に識別情報を表示させる制御信号を出力する。この制御信号が入力した表示制御部744は、識別情報に含まれるタイトル名およびメディア情報等が含まれる画像を形成し、当該画像を表示部3に表示させる(処理15)。
この処理S15の後、主制御部731は、駆動制御系74の開閉制御部743に制御信号を出力する。この制御信号が入力した開閉制御部743は、トレイ駆動用モータ25を駆動して、ディスクトレイ23をディスク収納部2から突出させて、ディスク収納部2を開放し(処理S16)、ディスクトレイ23にディスク9が設置されるのを待機する(処理S17)。すなわち、主制御部731および開閉制御部743が、本発明の開動作制御部に相当する。
【0048】
処理S17により、ディスク9の設置待機状態の主制御部731は、ディスク検出部24からの信号を監視し、ディスク9がディスクトレイ23に設置、装着されたか否かを判定する(処理S18)。
ここで、主制御部731が、ディスク検出部24から入力する信号からディスク9が設置されていないと判定した場合には、処理S17に戻り、ディスクトレイ23へのディスク9の設置を待機する。
一方、主制御部731が、ディスク9が設置されたと判定した場合には、主制御部731は、タグ通信部5に制御信号を出力して、当該タグ通信部5の強電波送受信部によるディスク9のRFIDタグ93へのコマンドの送受信、すなわち、RFIDタグ93との通信を規制する(処理S19)。すなわち、主制御部731は、本発明の情報取得規制部にも相当する。
これにより、ディスク装置1と通信可能な他のディスク9から識別情報が受信されることを防ぐことができ、ディスク9と識別情報との不一致を防ぐことができる。また、通信規制を行うので、不要な電力消費を抑えることができ、ディスク装置1の省電力化を図ることができる。
【0049】
この処理S19の後、主制御部731は、図6に示すように、ディスクトレイ23に設置装着されたディスク9から、再び識別情報の取得処理を実行する(識別情報再取得処理S20)。すなわち、主制御部731は、本発明の情報再取得部にも相当する。
この処理S20では、RFIDタグ93との通信が、タグ通信部5の弱電波送受信部を介して行われ、ディスクトレイ23に設置されたディスク9のRFIDタグ93とだけ通信を行うことを除けば、前述の処理S12と略同じであるので、説明を省略する。
この識別情報再取得処理S20により、再生または記録するディスク9に対応した識別情報を確実に取得することができるので、ディスク装置1の誤動作を抑制することができるとともに、再生時には、当該ディスク9に応じた画質・音質設定を行うことができる。
【0050】
この識別情報再取得処理S20の後、主制御部731は、前述の処理S13と同様に、識別情報を受信したか否かの判定を行う(処理S21)。
ここで、主制御部731が、ディスク収納部2に収納されたディスク9から識別情報を受信しなかったと判定した場合には、主制御部731は、表示制御部744にエラーを示す制御信号を出力して、表示部3にエラーメッセージを表示して(処理S32)、再生/記録待機時処理Sを終了する。
なお、処理S21から処理S32に移行した場合のメッセージは、ディスク収納部2に収納されたディスク9から識別情報の取得ができなかった旨のメッセージとなる。
【0051】
一方、主制御部731が、識別情報を受信したと判定した場合には、前述の処理S14と同様に、情報判定部733は、ディスクトレイ23に設置されたディスク9が、ディスク装置1に対応しているかを判定し(処理S22)、当該判定結果を主制御部731に出力する。
ここで、情報判定部733が、ディスク9がディスク装置1に対応していないと判定した場合には、主制御部731は、表示制御部744にエラーを示す制御信号を出力して、表示部3にエラーメッセージを表示して(処理S32)、再生/記録待機時処理Sを終了する。
なお、処理S22から処理S32に移行した場合のメッセージは、ディスクトレイ23に設置されたディスク9がディスク装置1に対応していない旨のメッセージとなる。
【0052】
一方、情報判定部733が、ディスクトレイ23に設置されたディスク9がディスク装置1に対応していると判定した場合には、主制御部731は、開閉制御部743に制御信号を出力する。この制御信号が入力した開閉制御部743は、トレイ駆動用モータ25を駆動して、ディスクトレイ23をディスク収納部2に没入させて、ディスク収納部2を閉塞する(処理S23)。これにより、主制御部731により識別情報を取得したディスク9が、ディスク収納部2に収納される。すなわち、主制御部731および開閉制御部743が、本発明の閉動作制御部に相当する。
このような処理S23により、識別情報からディスク9の再生/記録が可能であると判定された場合には、ディスク9が設置されたディスクトレイ23をディスク収納部2に没入させて、当該ディスクをディスク収納部2内に自動的に収納するので、使用者の操作を簡略化することができる。従って、不慣れな使用者でも、簡単にディスク装置1を操作することができる。
なお、ディスク収納部2の開動作および閉動作は、図示を略したが、使用者による操作でも可能とされている。
【0053】
この処理S23の後、主制御部731は、情報判定部733に制御信号を出力し、当該情報判定部733は、取得した識別情報に含まれる情報種別等を判定して、ディスク収納部2に収納したディスク9が、既に記録部92に情報が記録された再生用ディスクであるのか、あるいは、記録部92への情報の追記が可能な記録用ディスクであるのかを判定し(処理S24)、判定結果を主制御部731に出力する。
ここで、情報判定部733の判定結果から、主制御部731が、ディスク9が記録用ディスクであると判定した場合には、当該ディスク9に対する情報記録の待機状態として(処理S41)、再生/記録待機時処理Sを終了する。
一方、主制御部731が、ディスクが再生用ディスクであると判定した場合には、主制御部731は、詳細情報取得部734に制御信号を出力して、当該詳細情報取得部734により、HDD6、または、ネットワーク上の情報配信装置から、詳細情報を取得する(処理S25)。
【0054】
図8は、詳細情報取得部734による詳細情報取得処理S25の処理フローを示す図である。
詳細情報取得処理S25では、詳細情報取得部734は、まず、駆動制御系74のHDD制御部746に駆動信号を出力してHDD6を駆動させる。そして、当該HDD6から、ディスク収納部2に収納されたディスク9から取得した識別情報に含まれるタイトル情報および固有コードから、これらに対応する設定情報を含む詳細情報を検索し(処理S251)、詳細情報が記録されているかを判定する(処理S252)。
ここで、詳細情報取得部734が、識別情報に対応する詳細情報がHDD6に記録されていると判定した場合には、当該詳細情報を取得する(処理S255)。
【0055】
一方、詳細情報取得部734が、詳細情報が記録されていないと判定した場合には、ネットワークインターフェース72を介して、ネットワーク上の情報配信装置に通信接続可能であるかを判定する(処理S253)。
ここで、詳細情報取得部734が、ネットワーク接続が可能でないと判定した場合には、詳細情報取得処理を終了し、詳細情報取得部734は、処理結果を主制御部731に出力する。
一方、詳細情報取得部734が、ネットワーク接続が可能であると判定した場合には、ネットワーク上の情報配信装置にアクセスして、詳細情報の取得が可能であるかを判定する(処理S254)。
【0056】
ここで、詳細情報取得部734が、情報配信装置からの詳細情報の取得が不可能であると判定した場合には、ネットワーク接続を遮断して、詳細情報取得処理を終了する。この処理結果は、詳細情報取得部734から主制御部731に出力される。このような判定処理は、情報配信装置に対して、詳細情報要求信号を出力した後の経過時間を計測し、所定の時間が経過した後に、情報配信装置から応答があるか無いかで判定することができる。なお、時間は適宜設定してよい。
一方、詳細情報取得部734が、情報配信装置からの詳細情報の取得が可能であると判定した場合には、当該情報配信装置から、取得した識別情報に応じた詳細情報を取得する(処理S255)。
【0057】
この処理S255の後、詳細情報取得部734は、取得した詳細情報が、HDD6から取得したものであるのか、あるいは、ネットワークから取得したものであるのかを判定する(処理S256)。
ここで、詳細情報がHDD6から取得したものである場合には、詳細情報取得部734は、詳細情報取得処理S25を終了して、処理結果を主制御部731に出力する。
一方、詳細情報がネットワークを介して取得したものである場合には、詳細情報取得部734は、HDD制御部746を介して、取得した詳細情報を、識別情報に対応するようにHDD6に記録して(処理S257)、詳細情報取得処理を終了する。この処理結果は、詳細情報取得部734から、主制御部731に出力される。
【0058】
このような詳細情報取得処理S25により、再生または記録に係るディスク9の識別情報に応じた設定情報を含む詳細情報を取得できるので、当該ディスク9に適した再生時の画質設定および/または音質設定処理を行うことができる。また、使用者が、ディスク9の再生のたびに、このような設定を行う必要がなくなるので、ディスク装置1の操作性を一層向上することができる。さらに、HDD6に詳細情報が記録されていない場合には、ネットワーク上の情報配信装置にアクセスして詳細情報を取得するので、様々なディスクに対応することができ、当該ディスクに記録された情報に応じた設定を自動的に行うことができる。
【0059】
詳細情報取得処理S25の後、主制御部731は、図6に示すように、詳細情報が取得できたか否かを判定する(処理S26)。
ここで、主制御部731が、詳細情報の取得ができなかったと判定した場合には、表示制御部744にエラー信号を出力し、当該表示制御部744により、表示部3にエラーメッセージを表示して(処理S32)、再生/記録待機時処理Sを終了する。
なお、処理S26から処理S32に移行した場合のメッセージは、詳細情報の取得ができなかった旨のメッセージとなる。
一方、主制御部731が、詳細情報の取得ができたと判定した場合には、当該詳細情報に含まれる画質情報および/または音質情報に応じた情報処理部735の設定を行い(処理S27)、再生/記録待機時処理Sを終了する。
【0060】
以上のような再生/記録待機時処理Sにより、ディスク装置1が、当該ディスク装置1に対応するディスク9を検出した場合には、自動的にディスクトレイ23を開動作させて、ディスク収納部2を開放するので、ディスク9のディスク収納部2への収納を容易に行うことができる。これにより、ディスク装置1の操作に不慣れな者であっても、簡易にディスク装置1を操作することができる。
また、ディスクトレイ23に、ディスク装置1に対応するディスク9を設置した場合に、自動的にディスクトレイ23が閉動作して、当該ディスク9をディスク収納部2に収納するので、ディスク装置1の操作性を一層向上することができる。
【0061】
また、ディスク9の再生時には、当該ディスク9のRFIDタグ93に記録された識別情報に応じた詳細情報を取得し、当該詳細情報に含まれる設定情報、すなわち、画質設定情報および/または音質設定情報に応じた処理が行われるので、ディスク9に記録された映像情報および/または音声情報に適した再生を行うことができる。
このような詳細情報は、ネットワーク上の情報配信装置から取得でき、また取得した詳細情報は、HDD6に記録することができるので、様々なディスク9の識別情報に対応することができる。また、HDD6を備えたことにより、情報配信装置から取得した詳細情報を記録することができるので、ディスク9の再生のたびにネットワークに接続する必要がなくなるので、操作性を一層向上することができる。
【0062】
なお、詳細情報は、使用者の操作によりディスク再生時の画質設定および/または音質設定が変更された場合には、当該画質設定および音質設定に応じた画質設定情報および音質設定情報が生成される。そして、これら画質設定情報および音質設定情報により、HDD6に記録された詳細情報に含まれる画質情報および音質情報を更新されるように構成されている。これによれば、使用者が設定した詳細情報を、再度設定しなおすことを防ぐことができるので、使用者の好みに応じた再生設定を実行することができる。従って、ディスク装置1の操作性を、より一層を向上することができる。
【0063】
(5)実施形態の変形
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0064】
前記実施形態では、制御基板7の主制御系73を構成する主制御部731は、ディスク検出部24からディスク9がディスクトレイ23に設置された旨の信号が入力すると、処理S23において、開閉制御部743を介して、トレイ駆動用モータ25の駆動をさせて、ディスクトレイ23をディスク収納部2内部に収納して、ディスク収納部2を閉塞するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、受信した識別情報から、ディスク9がディスク装置1に対応する場合に、ディスク収納部2を開放する構成であれば、使用者のボタンおよびスイッチ操作等によって、ディスク収納部2を閉塞する構成であってもよい。
【0065】
前記実施形態では、処理S18により、ディスクトレイ23へのディスク9の設置が検出されると、タグ通信部5の強電波送受信部によるコマンドの送受信、すなわち、識別情報の取得を規制するとしたが、本発明は、これに限らない。なお、このように識別情報の取得を規制すれば、ディスクトレイ23に設置されたディスク9以外のディスクからの識別情報が受信されることを抑えることができ、ディスク9の再生時の処理に不具合が発生することを抑制することができる。
【0066】
前記実施形態では、ディスクトレイ23にディスク9が設置され、当該ディスク9から識別情報を再取得して判定した後に、処理S23により、ディスクトレイ23をディスク収納部2に収納して、ディスク収納部2を閉塞するとしたが、本発明はこれに限らず、ディスクトレイ23へのディスク9の設置装着が検出された後に、当該ディスクトレイ23をディスク収納部2に収納し、この後に、識別情報を再取得するようにしてもよい。
また、ディスク9がディスクトレイ23に設置された後に、当該ディスク9から識別情報の再取得を行う識別情報再取得処理S20を実行するとしたが、本発明はこれに限らず、処理S20は行わないようにしてもよい。なお、処理S20により、識別情報の再取得を行う場合には、ディスク収納部2に収納されたディスクと、識別情報を取得したディスクとが一致するので、識別情報に対応する画質設定情報および音質設定情報に基づく設定処理を誤りなく実行することができる。
【0067】
前記実施形態では、記憶手段としてHDD6を備える構成としたが、本発明はこれに限らず、ディスク9の識別情報に対応する詳細情報を記録可能な容量を有する記憶手段であれば、他の構成でもよい。例えば、追記可能なフラッシュメモリで構成してもよい。この場合、記憶手段としての装置を小型化できるので、ディスク装置1全体の小型化を図ることができる。
なお、記憶手段としてHDD6を備える構成であれば、識別情報に対応する大容量の設定情報および詳細情報を記憶することが可能である。
【0068】
前記実施形態では、ディスク装置1はネットワークインターフェース72を介して、ネットワークに接続されるとしたが、必ずしもこのような構成を備えていなくてもよい。なお、ディスク装置1が、ネットワーク接続可能に構成され、ネットワーク上の情報配信装置にアクセス可能であれば、当該情報配信装置から設定情報を含む詳細情報を取得することができるので、多様なディスクの識別情報に対応した詳細情報を取得することができる。
【0069】
前記実施形態では、ディスク収納部2は、ディスクトレイ23が装置前面側に突没することによって、当該ディスク収納部2が開閉する構成としたが、本発明はこれに限らず、ディスクトレイ23の進退方向は、当該ディスクトレイ23にディスク9が設置可能であれば、適宜設定してよい。また、ディスク装置1は、フロントローディングタイプのディスク装置として構成したが、ディスク収納部を覆うように設けられた蓋が開閉するトップローディングタイプのディスク装置として構成してもよい。
【0070】
前記実施形態では、ディスク9に設けられたRFIDタグ93は、電力生成部934を備えるパッシブタグで構成されるとしたが、電池を備えるアクティブタグで構成してもよい。この場合、ディスク装置1との遠距離通信が可能となる。なお、パッシブタグで構成すれば、RFIDタグ93を小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、ディスク収納部を開閉させてディスクを収納し、当該ディスクの再生および/または記録を行うディスク再生/記録装置に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク装置を示す概要斜視図。
【図2】前記実施形態におけるディスクを示す平面図。
【図3】前記実施形態におけるディスクのRFIDタグの構成を示すブロック図。
【図4】前記実施形態におけるディスク装置の制御基板の構成を示すブロック図。
【図5】前記実施形態における再生/記録待機時処理の処理フローを示す図。
【図6】前記実施形態における再生/記録待機時処理の処理フローを示す図。
【図7】前記実施形態における識別情報取得処理の処理フローを示す図。
【図8】前記実施形態における詳細情報取得処理の処理フローを示す図。
【符号の説明】
【0073】
1…ディスク装置、2…ディスク収納部、7…制御基板(制御手段)、6…HDD(記憶手段)、9…ディスク、21…回転用モータ(駆動手段)、22…光ピックアップ(情報読取/書込手段)、24…ディスク検出部、25…トレイ駆動用モータ(開閉手段)、72…ネットワークインターフェース(インターフェース)、93…RFIDタグ(無線情報発信器)、731…主制御部(情報取得規制部、情報再取得部、開動作制御部、閉動作制御部)、732…識別情報取得部、733…情報判定部、734…詳細情報取得部(設定情報取得部)、743…開閉制御部(開動作制御部、閉動作制御部)、7351…映像処理部(再生設定部)、7352…音声処理部(再生設定部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転させる駆動手段、ないし、回転する前記ディスクに記録された情報の再生および/または前記ディスクへの情報の記録を行う情報読取/書込手段が設けられ、前記ディスクを内部に収納するディスク収納部と、前記ディスク収納部に前記ディスクを収納可能に開放および閉塞する開閉手段と、この開閉手段を含む装置全体を制御する制御手段とを備えたディスク装置であって、
前記制御手段は、
前記ディスクに設けられ、当該ディスクの識別情報を発信する無線情報発信器と通信して、前記識別情報を取得する識別情報取得部と、
取得した前記識別情報から、前記ディスクが再生または記録可能であるか否かを判定する情報判定部と、
前記情報判定部により再生または記録が可能であると判定されると、前記開閉手段に対して、前記ディスク収納部を開放する制御信号を生成出力する開動作制御部とを備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装置において、
前記制御手段と電気的に接続され、前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことを検出するディスク検出部を備え、
前記制御手段は、前記ディスク検出部により前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことが検出されると、前記開閉手段に対して、前記ディスク収納部を閉塞する制御信号を生成出力する閉動作制御部を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディスク装置において、
前記制御手段は、前記ディスク検出部により前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことが検出されると、前記識別情報取得部による前記識別情報の取得を規制する情報取得規制部を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のディスク装置において、
前記制御手段と電気的に接続され、前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことを検出するディスク検出部を備え、
前記制御手段は、前記ディスク検出部により前記ディスク収納部に前記ディスクが装着されたことが検出されると、当該ディスク収納部に収納された前記ディスクの識別情報を再取得する情報再取得部を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のディスク装置において、
複数の音質および/または画質の設定情報が記憶された記憶手段を備え、
前記制御手段は、
前記識別情報に基づいて、前記記憶手段に記憶された設定情報を読み出す設定情報取得部と、
取得された設定情報に基づいて、前記ディスク再生時の設定を行う再生設定部とを備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項6】
請求項5に記載のディスク装置において、
前記ディスクの再生時の設定情報を含む詳細情報を提供する情報提供装置とネットワークを介して接続可能なインターフェースを備え、
前記制御手段は、前記識別情報に基づく詳細情報を、前記インターフェースを介して、前記情報提供装置から取得する詳細情報取得部を備え、
前記再生設定部は、取得した前記詳細情報に含まれる設定情報に基づいて、前記ディスク再生時の設定を行うことを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−147027(P2006−147027A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334539(P2004−334539)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】