説明

ディスク装置

【課題】情報の記録/再生中に昇降フレームが上下に動くのを防止するとともに、スライダの動きを安定化すること。
【解決手段】昇降フレームは、ターンテーブルユニットを保持し、従動スライダ52の摺動に連動して、下降位置と記録/再生位置との間で昇降動する。従動スライダ52のカム溝65には、昇降フレームの昇降ピン29aが嵌合する。このカム溝65は、昇降フレームを下降位置に保つための低位部65aと、昇降フレームを記録/再生位置に保つための高位部65cと、これらを接続する傾斜部65bとからなる。高位部65cには、カム溝65の一方のカム壁面65cを構成する弾性片66が設けられている。この弾性片66は、押圧片68との間に配置したコイルバネ70で押圧され、昇降ピン29aを高位部65cの他方のカム壁面65cに押し付ける。押圧片68は、従動スライダ52が摺動する底板2aに押し付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクをドライブして情報の記録/再生を行うディスク装置に関し、さらに詳しくは、ディスクを載置して回転させるターンテーブルを保持した昇降フレームを昇降動させる機構を備えたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムなどの各種の情報機器には、多量の情報をストアすることができる光ディスク(例えば、CD,DVDなど)が、記録媒体として用いられている。この光ディスク(以下、単にディスクという)は、ディスク装置に装填され、情報の記録/再生が行われる。このディスク装置には、トレイタイプとスロットインタイプとがある。
【0003】
トレイタイプは、特許文献1ないし特許文献3に記載されているように、ディスクが収納されるディスクトレイを備えており、このディスクトレイが本体ケース(シャーシケース)内に格納された格納位置と、本体ケースから突出したイジェクト位置との間で移動可能となっている。イジェクト位置にあるディスクトレイにディスクを入れてから、例えば操作ボタンを押すと、ローディングモータが始動してディスクトレイを格納位置に引き込む。次に、スライダが移動して昇降フレームを上昇させる。この昇降フレームには、ターンテーブルユニットやピックアップユニットなどが取り付けられ、全体としてトラバースユニットを構成している。昇降フレームの上昇の途中で、ターンテーブルユニットのクランプヘッドにディスクが装着される。昇降フレームが更に上昇して記録/再生位置に到達すると、ターンテーブルユニットがディスクを回転させる。ディスクの回転中に、ピックアップユニットによって、情報の記録または再生が行われる。操作ボタンを押すと、昇降フレームが下降位置に戻り、そしてディスクを収納したディスクトレイがイジェクト位置に押し出される。
【0004】
スロットインタイプのディスク装置は、特許文献4に記載されているように、本体ケースの前面にベゼルが取り付けられ、このベゼルにスロットが形成されている。ディスクを装填するには、ディスクの過半をフロントベゼルのスロットに差し込む。ディスクによってディスクローディング機構が少し動かされると、ローディングモータが始動する。このローディングモータによってディスクローディング機構が駆動され、ディスクが本体ケース内に引き込まれる。次に、スライダが移動して昇降フレームを上昇させる。昇降フレームは、下降位置から最上昇位置に移動して、ターンテーブルユニットのチャッキングヘッドにディスクを装着する。次に、昇降フレームが少し下降して記録/再生位置に位置決めされると、ターンテーブルユニットがディスクを回転させ、情報の記録または再生を行う。イジェクトボタンを操作すると、ディスクローディング機構が作動してディスクを本体ケースから搬出する。
【特許文献1】特開平11−185338号公報
【特許文献2】特開2002−237119号公報
【特許文献3】特開2005−135508号公報
【特許文献4】特開2006−228353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トレイタイプとスロットインタイプのいずれも、スライダにカム溝を形成し、このカム溝に昇降フレームの昇降ピンを嵌合し、ディスクの装填時にスライダを摺動させて、昇降フレームを下降位置から記録/再生位置へ上昇させている。スライダを円滑に摺動させるために、スライド面との間に適宜な隙間が形成される。この隙間によってスライダが上下にガタつくために、スライダの動きが不安定になるという問題がある。
【0006】
また、昇降ピンがカム溝内で滑らかに摺動することができるように、両者間に適宜な隙間が設けられている。しかし、昇降フレームを記録/再生位置に位置決めして、ターンテーブルユニットでディスクを回転しているときに、ディスク装置に振動や衝撃が加わると、昇降フレームが隙間内で上下に振動し、それにより情報の記録/再生にエラーを発生するおそれもあった。
【0007】
本発明は、スライダの動きを安定化することができるようにしたディスク装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、情報の記録/再生中に昇降フレームが上下に動くのを防止するようにしたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、スライド面に接触する押圧片と、押圧片をスライド面に押し付けるバネとを設けている。
【0010】
請求項2記載の発明では、スライダに形成されたカム溝のうち、昇降フレームを記録/再生位置に位置決めする部分に、カム溝の一方のカム壁面を構成するように弾性片を設けている。また、バネが、押圧片と弾性片との間に介在し、昇降ピンがカム溝の他方のカム壁面に当たるように弾性片を押し付ける。
【0011】
押圧片は、スライダに回転自在に取り付けるか、又はスライダに一体形成するのがよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スライド面に接触する押圧片を設け、この押圧片をバネで付勢してスライド面に常に押し当てているから、スライダが摺動するときに、その動きを安定化することができる。
【0013】
また、カム溝の一方のカム壁面を構成するように弾性片を設け、この弾性片をバネで付勢して、昇降フレームが記録/再生位置にあるときに、昇降ピンとカム溝との隙間をなくすから、情報の記録/再生中に、ディスク装置に振動や衝撃が加わっても、昇降フレームが上下に振動するのを防止することができる。また、昇降フレームが記録/再生位置にあるときには、常に一定の高さに位置決めすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1において、ディスク装置1は、シールド状態に構成された本体ケース(シャーシケース)2を備えている。この本体ケース2の前面に、ベゼル3が取り付けられている。このベゼル3には、ディスクDIを挿入するスロット3aと、ディスクDIのイジェクトを指示するための押しボタン4と、ディスク装置1の動作状態を表示するためのインジケータ5とが設けられている。
【0015】
本体ケース2には、天板6が取り付けられている。この天板6のほぼ中央には、ディスクDIのチャッキング時にチャッキングヘッド16(図2参照)が僅か入り込むための開口が形成されている。また、開口6aの周囲には、本体ケース2の内壁に突出部を形成するための凹部6bが設けられている。この本体ケース2の突出部は、チャッキングヘッド16がディスクDIの中心孔DIaに挿入するときに、ディスクDIを受け止める。
【0016】
天板6を取り外した図2及び図3において、本体ケース2を上下に仕切るように、ベースパネル10が本体ケース2に固定されている。このベースパネル10には、中央から斜め方向に延びた開口10aが形成されている。この開口10a内には、昇降フレーム111が配置されている。この昇降フレーム11には、中央から斜め方向に延びた開口11aが形成されている。
【0017】
前記昇降フレーム11は、ディスクDIを本体ケース2に搬入または搬出するときに、フロントベゼル3側を支点にして、本体ケース2の中央に位置する先端側が上下方向に揺動する。この昇降動中の衝撃を緩和するために、昇降フレーム11は、緩衝支持構造12により複数箇所でベースパネル10に取り付けられている。この緩衝支持構造12は、図8(A)に示すように、ベースパネル10と本体ケース2の底板2aとの間に設けた軸12aと、これに嵌合するゴムリング12bとから構成されている。このゴムリング12bは、昇降フレーム11から突出した突起11bに固定されている。
【0018】
昇降フレーム11の先端部には、ターンテーブルユニット13が取り付けられている。このターンテーブルユニット13は、スピンドルモータ14、ターンテーブル15、チャッキングヘッド16を備えている。スピンドルモータ14は、昇降フレーム11の内面に固定され、その駆動軸にターンテーブル15が固定されている。このターンテーブル15に、チャッキングヘッド16が一体に形成されている。このチャッキングヘッド16には、昇降フレーム11が上昇したときに、チャッキング位置にセットされたディスクDIをチャッキングする。更に、チャッキングヘッド16には、バネで付勢された複数のチャッキング爪16aが設けられており、ディスクDIを着脱可能に係止する。
【0019】
また、昇降フレーム11には、ピックアップユニット18が取り付けられている。このピックアップユニット18は、昇降フレーム11の開口11aの下方に配置されたキャリッジ19と、これに保持された光ピックアップ20とから構成されている。情報の記録/再生時には、キャリッジ19が開口11aに沿って、ディスクDIの半径方向に移動する。
【0020】
昇降フレーム11には、ディスクDIの下面をガイドするためのディスクガイド片21が取り付けられている。このディスクガイド片21は、ディスクDIの搬入方向に沿って、先端部がターンテーブル15の脇まで延びている。また、ディスクガイド片21には、先端部に向けて徐々に高くなったスロープが形成されており、ディスクDIを上に持ち上げることで、チャッキングヘッド16に衝突することなく、本体ケース2内に搬入されるようにしている。
【0021】
ディスクガイド片21の先端部の下方に、図8(A)に示すように、チャッキング解除ピン22が配置されている。昇降フレーム11が下降するときに、ディスクガイド片21がチャッキング解除ピン22に当たって停止されるから、ディスクガイド片21によって、ディスクDIがチャッキングヘッド16から抜き出される。また、ディスクガイド片21の先端部には、下方に延びた折り曲げ部21aが形成されている。この折り曲げ部21aは、昇降フレーム11が下降位置に移動するときに、昇降フレーム11の折り曲げ縁部11cで押し下げられ、ディスクガイド片21のスロープを湾曲させる。
【0022】
ベースパネル10上には、ディスクDIの搬入および搬出を行うためのディスク支持アーム24と、スロット3aから挿入されたディスクDIを本体ケース2内へ搬入するための誘引アーム25とが揺動可能に配置されている。このディスク支持アーム24は、ホルダー24aでディスクDIの前端縁を保持し、軸23を中心にして揺動する。誘引アーム25は、フランジ付ローラ25aでディスクDIの後端縁を保持し、軸26を中心にして揺動する。この誘引アーム25を揺動させるために、リンクレバー27が連結されている。このリンクレバー27は、カムピン27aがガイドスリット28に沿って移動する。
【0023】
なお、図3には、ディスクDIがイジェクト位置にある場合、自動搬入の開始位置にある場合、チャッキング位置にある場合がそれぞれ示されている。なお、符号29a,29bは、昇降フレーム11を昇降動させるための昇降ピンである。
【0024】
図4において、光ピックアップ20を保持したキャリッジ19は、ガイドシャフト32,33に支持されている。これらのガイドシャフト32,33は、その両端が昇降フレーム11の背面に固定されている。スレッドモータ34の回転は、ギヤトレイン35を介して、スクリューシャフト36に伝達される。このスクリューシャフト36の回転により、キャリッジ19が前進/後退する。
【0025】
ベースパネル10の背面には、ローディングモータ38が配置され、このローディングモータ38の回転が、ギヤトレイン39を介してディスクローディング機構40に伝達され、ディスクDIの搬入又は搬出が行われる。このディスクローディング機構40の主要部は、ローディングスライダ41、ディスク支持アーム24、誘引アーム25である。
【0026】
前記ローディングスライダ41は、端部に形成したラックギヤ42がギヤトレイン39の最終段のギヤに噛合しており、ローディングモータ38の回転により、本体ケース2の側壁に沿って前進/後退する。ローディングスライダ41がベゼル3から離れる方向に移動(前進)するときに、ディスクDIが本体ケース2内に搬入され、後退するときに本体ケース2から搬出される。
【0027】
また、ローディングスライダ41には、カム溝43,44が形成されている。このカム溝43は、ガイドスリット28と重なっており、これらにリンクレバー27のカムピン27aが嵌合している(図5参照)。ローディングスライダ41の前進/後退により、カム溝43とガイドスリット28とが共働して、リンクレバー27を移動させる。また、カム溝44には、リンクレバー45のカムピン45aと、リンクレバー46のカムピン46aとが嵌合しており、ローディングスライダ41が前進/後退するときに、リンクレバー45,46は、軸47,48を中心にして回転する。
【0028】
前記リンクレバー45には、ピン45bが形成されている。このピン45bは、従動スライダ52の長孔52aに嵌合している。この従動スライダ52は、ガイド穴52bにピン54が嵌合しており、またベースパネル10に固定したガイド板53が背面をガイドしている。
【0029】
前記リンクレバー46は、ピン56を介してリンクアーム57に連結されている。このリンクアーム57は、ピン58を介してベース部24bに連結されている。このベース部24bは、ベースプレート10の表面に配置されたディスク支持アーム24と軸23で一体的に連結されている。ベース部24bの周囲に、スイッチ59が配置されており、ディスクDIの押し込みでディスク支持アーム24が所定量揺動されたときにONする。このスイッチ59からの信号で、制御回路(図示せず)はローディングモータ38を回転させ、ディスクローディング機構40によるディスクDIの自動搬入を開始する。
【0030】
前記リンクアーム57は、第1アーム57aと、この第1アーム57aに対してスライド可能に連結された第2アーム57bと、リンクアーム57を最短状態に保つためのバネ57cとから構成されている。この伸縮可能なリンクアーム57により、ディスクDIがユーザーによって本体ケース2内に押し込まれている間、すなわちディスクローディング機構40による自動搬入が開始されるまで、リンクレバー46を作動させることなく、ディスク支持アーム24の揺動を可能にする。
【0031】
図5に示すように、ローディングスライダ41は柱状をしており、ガイドプレート62と本体ケース2の底板2aとの間で摺動する。このガイドプレート62はガイドスリット28を備え、ベースパネル10に固定されている。ローディングスライダ41は、前述したように、ラックギヤ42、カム溝43,44が形成されている。
【0032】
前記カム溝44は、横溝部44a、縦溝部44b、傾斜部44c、縦溝部44d、横溝部44eが連続して形成されている。ディスクDIの装填前には、リンクレバー46のカムピン46aが横溝部44aに入っており、リンクレバー45のカムピン45aが縦溝部44dに入っている。
【0033】
また、ローディングスライダ41は、昇降フレーム11に対面する側部に、昇降フレーム11の昇降ピン29bを昇降動させるためのカム溝63が形成されている。このカム溝63は、昇降フレーム11を下降位置に保つための低位部63a、昇降フレーム11を上昇または降下させるための傾斜部63b、昇降フレーム11を記録/再生位置に保つための高位部63cが連続して形成されている。
【0034】
図6に示すように、従動スライダ52には、昇降フレーム11の昇降ピン29aが嵌合するカム溝65が形成されている。このカム溝65は、ローディングスライダ41のカム溝63と同様に、昇降フレーム11を下降位置に保つための低位部65a、昇降フレーム11を上昇または降下させるための傾斜部65b、昇降フレーム11を記録/再生位置に保つための高位部65cが連続して形成されている。
【0035】
昇降フレーム11の昇降動を円滑にするために、カム溝65の幅が昇降ピン29aよりも多少大きくしてある。このカム溝65と昇降ピン29aとの間のガタは、昇降フレーム11の位置ズレの原因となったり、あるいはディスク装置1に振動や衝撃が加わったとき、昇降フレーム11が振動する原因となる。そこで、高位部65cでのガタを吸収するために、板状をした弾性片66が形成されている。図9(A)に示すように、弾性片66の上面は下カム壁面65cとなり、従動スライダ52に形成された上カム壁面65cとにより、高位部65cを構成している。
【0036】
弾性片66の下方には、切欠き67が形成されている。この切欠き67内には、押圧片68を回転可能に保持するピン69が形成されている。押圧片68は、ピン69に嵌合する軸穴68aと、下方に少し突出した押圧部68bと、突起68cとが形成されている。この押圧部68bは、押圧片68の先端に形成され、底板2a上を摺動する。
【0037】
コイルバネ70は、弾性片66と押圧片68との間に配置され、これらから抜け出ないように、その両端が弾性片66の下面に形成した突起66aと、押圧片68の突起68cに嵌め込まれている。このコイルバネ70は、弾性片66を上方に押圧して、昇降ピン29aを上カム壁面65cに押し付ける。
【0038】
また、コイルバネ70は、押圧片68を下方に押圧して、押圧部68bを底板2aに押し付けるから、従動スライダ52が底板2a上を安定して摺動することを可能にする。なお、従動スライダ52の上面には、ベースパネル10との接触面積を減らすために、複数の突起72a,72bが形成されている。
【0039】
図7に示すように、従動スライダ52は、その前後がベースパネル10の折り曲げ部10bとガイド板53とでガイドされている。
【0040】
次に、図8及び図9を参照して上記実施形態の作用について説明する。ディスクDIの挿入前には、図8(A)に示すように、昇降フレーム11が下降位置にセットされている。このときには、昇降フレーム11の昇降ピン29aは、従動スライダ52のカム溝65の低位部65aに位置し、そして昇降ピン29bはローディングスライダ41のカム溝63の低位部63aに位置している。また、ディスクガイド片21は、チャッキング解除ピン22に当たった状態で、昇降フレーム11の折り曲げ縁部11cで押し下げられているため、上方に突出した形状に湾曲している。
【0041】
図3及び図4に示すように、ディスクDIがベゼル3のスロット3aから本体ケース2内に挿入されると、ディスクDIの先端縁がディスク支持アーム24のホルダー24aに支持される。このディスクDIの押込みに応じて、リンクアーム57を伸長しながら、ディスク支持アーム24がベース部24bとともに、軸26を中心にして図3において反時計方向に回転する。この際に、ディスクDIの先端縁は、ディスクガイド片21で持ち上げられ、チャッキングヘッド16に衝突することなく、その上を乗り越える。
【0042】
ディスク支持アーム24のホルダー24aが昇降フレーム11を通過する位置までディスクDIが押し込まれると、ベース部24bがスイッチ59をONにする。このスイッチ59の信号に基づいてローディングモータ38が回転するから、ディスクローディング機構40が作動してディスクDIの自動搬入が開始される。
【0043】
前記ローディングモータ38の回転は、ギヤトレイン39を介してローディングスライダ41に伝達される。ローディングスライダ41は、ベゼル3から離れる方向(前進方向)に移動する。ローディングスライダ41が前進すると、カム溝43によってリンクレバー27のカムピン27aが押されるため、このカムピン27aが固定のガイドスリット28に沿って移動する。これにより、リンクレバー27が移動するため、誘引アーム25が軸26を支点にして図3において時計方向に揺動する。この誘引アーム25は、その先端に取り付けたローラ25aがディスクDIの後端縁を押す。
【0044】
また、ローディングスライダ41は、カム溝44の横溝部44aによってリンクレバー46を図4において時計方向に回転する。このリンクレバー46の回転は、リンクアーム57を介してベース部24bに伝達され、ディスク支持アーム24を図3において反時計方向に回転させる。これにより、ディスクDIは、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とで保持されて、本体ケース2内に搬入される。
【0045】
図3に示すように、ディスクDIがチャッキング位置に搬入されると、ディスクDIの中心孔DIaがチャッキングヘッド16と一致する。このチャッキング位置に到達すると、リンクレバー27のカムピン27aが、カム溝43及びガイドスリット28の縦溝部に位置しているため、ローディングスライダ41が前進しても、誘引アーム25は停止している。同様に、リンクレバー46のカムピン46aも縦溝部44bに位置しているため、ディスク支持アーム24も停止している。
【0046】
他方、リンクレバー45のカムピン45aは横溝部44eに位置しているため、ローディングスライダ41が前進すると、カムピン45bと長孔52aとにより、従動スライダ52が図4において、左方向に向かって摺動を開始する。この従動スライダ52は、ベースパネル10の折り曲げ部10bとガイド板53とで前後がガイドされ、そして上面の突起72a,72bがベースパネル10の下面に接触した状態で、底板2a上を摺動する。この際に、押圧片68は、コイルバネ70によって押圧部68bを底板2aに押し付けているから、従動スライダ52の移動が安定している。
【0047】
上記のように、ディスクDIがチャッキング位置に到達した時点では、昇降フレーム11の昇降ピン29aが従動スライダ52のカム溝65の傾斜部65bに、そして昇降ピン29bがローディングスライダ41のカム溝63の傾斜部63bにそれぞれ到達する。その後は、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とが停止した状態で、ローディングスライダ41に連動して従動スライダ52の摺動が開始する。これにより、図9(A)に示すように、昇降ピン29aが傾斜部65bに沿って移動し、また昇降ピン29bが傾斜部63bに沿って移動するから、昇降フレーム11が下降位置から記録/再生位置に向かって上昇を開始する。
【0048】
昇降フレーム11が上昇を開始すると、図8(B)に示すように、チャッキングヘッド16がディスクDIの中心孔DIaに入り込み、チャッキング爪16aに引っかかった状態となる。昇降フレーム11が更に上昇すると、図8(C)に示すように、ディスクDIが天板6の凹部6bによって形成された凸部で受け止められる。この状態で昇降フレーム11が少し上昇すると、ディスクDIの中心孔DIaにチャッキングヘッド16が嵌まり、チャッキング爪16aで係止される。このチャッキングが完了した時点では、昇降ピン29a,29bが、カム溝65、カム溝63の最上部にそれぞれ位置しており、昇降フレーム11は最上昇位置にある。
【0049】
チャッキングの完了後に、ローディングスライダ41と従動スライダ52とが移動すると、昇降ピン29aがカム溝65の最上部から傾斜部65bを経て水平な高位部65cに入り、または昇降ピン29bもカム溝63の最上部から傾斜部63bを経て水平な高位部63cに入る。これにより、図8(D)に示すように、昇降フレーム11が最上昇位置から僅か下がった記録/再生位置に位置決めされる。
【0050】
昇降フレーム11が最上昇位置から記録/再生位置に移動する間に、カムピン27aがカム溝43で押されて、ガイドスリット28の横溝部28a内を移動する。これにより、誘引アーム25は、図3において、軸26を中心にして反時計方向に少し回転するから、フランジ付ローラ25aがディスクDIの後端縁から離れる。また、リンクレバー46のカムピン46aは、カム溝44の傾斜部44cで押されるから、リンクレバー46が図4において時計方向に少し回転する。これにより、ディスク支持アーム24は、図3において、反時計方向に少し回転し、ホルダー24aがディスクDIの前端縁から離れる。
【0051】
昇降フレーム11が記録/再生位置にセットされると、図9(B)に示すように、昇降ピン29aが高位部65cに位置している。この高位部65cには、下カム壁面65cとして機能する弾性片66が形成されている。この弾性片66は、コイルバネ70で押圧されているから、昇降ピン29aが弾性片66で押し上げられ、上カム壁面65cに押し付けられる。このために、昇降フレーム11の位置が一定になるとともに、みだりに上下動したりすることがない。
【0052】
また、昇降フレーム11が記録/再生位置にセットされているときには、図8(D)に示すように、ディスクガイド片21が折り曲げ縁部11cによる押し下げから解放され、またチャッキング解除ピン22から離れている。このため、ディスクガイド片21がターンテーブル15よりも下方に位置し、ディスクDIの下面から離れている。
【0053】
昇降フレーム11が記録/再生位置にセットされた後に、ローディングモータ38が停止する。その後、スピンドルモータ14が回転して、ディスクDIを高速回転する。この状態で、スレッドモータ34が回転してキャリッジ19をガイドシャフト32,33に沿って移動する。キャリッジ19上の光ピックアップ20は、ディスクDIの半径方向に移動して、ディスクDIの記録/再生を行う。
【0054】
ディスクの記録/再生を終了する場合には、押しボタン4を押す。この押しボタン4が押されると、スピンドルモータ14が停止し、またスレッドモータ34が逆転して、キャリッジ19を初期位置に復帰させる。次に、ローディングモータ38が逆転を開始する。このローディングモータ38により、ディスクローディング機構40が作動し、前述したディスクDIの搬入と逆の動作が行われる。
【0055】
まず、ローディングスライダ41がベゼル3に向かって後退を開始し、同時に従動スライダ52を図4において右方向に摺動させる。このローディングスライダ41の後退により、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とが少し揺動して、ディスクDIの周縁を保持する。次に、ローディングスライダ41と従動スライダ52とにより、昇降フレーム11が図8(C)に示す最上昇位置に一旦移動した後、図8(D)に示す記録/再生位置を通過して、図8(A)に示す下降位置に向かう。
【0056】
昇降フレーム11の下降中に、ディスクガイド片21がチャッキング解除ピン22に受け止められる。この状態で昇降フレーム11が下降すると、ディスクガイド片21がディスクDIの下面を受け止めてその下降を阻止する。ディスクDIが停止した状態で、昇降フレーム11とともにチャッキングヘッド16が下降すると、チャッキング爪16aを押し込みながら、ディスクDIがチャッキングヘッド16から抜け出る。更に、昇降フレーム11が下降すると、ディスクガイド片21の折り曲げ部21aが、昇降フレーム11の折り曲げ縁部11cに係合して押し下げられているため、図8(A)に示すように、上方に突出した形状に湾曲される。
【0057】
昇降フレーム11が下降位置に到達すると、従動スライダ52の摺動が停止し、ローディングスライダ41だけが後退する。このローディングスライダ41は、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とを揺動させ、ディスクDIを保持しながら、図4に示すイジェクト位置に搬出する。ディスクDIが搬出されると、スイッチ59がOFFしてローディングモータ38が停止するため、ディスクローディング機構40の搬出動作が終了する。
【0058】
図10は押圧片の別の実施形態を示すものであり、図9に示す実施形態と同じ部材には同じ符号を付してある。この実施形態では、押圧片75は、従動スライダ52と一対に形成されている。
【0059】
図11は押圧片の更に別の実施形態を示すものである。この実施形態では、切欠き67の下方に板部76が形成されている。この板部76に、四角形をした切欠き76aが形成されており、この中に押圧片77が挿入されている。なお、符号77aは抜け止め用のフランジである。
【0060】
上記実施形態では、従動スライダに弾性片が形成されているが、ローディングスライダに弾性片を設けてもよい。また、本発明は、スロットインタイプの他に、トレイタイプに対しても適用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明のディスク装置とディスクとを示す斜視図である。
【図2】天板を取り外したディスク装置の斜視図である。
【図3】天板を取り外したディスク装置の平面図である。
【図4】底板を省略したディスク装置の底面図である。
【図5】ローディングスライダと、これに連動するリンクレバーを示す斜視図である。
【図6】従動スライダの斜視図である。
【図7】ターンテーブルユニット付近の断面図である。
【図8】ディスクのチャッキングの動作を示す断面図である。
【図9】従動スライダのカム溝の作用を示す説明図である。
【図10】押圧片を従動スライダに一体形成した実施形態を示す説明図である。
【図11】押圧片を上下動可能にした実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0062】
10 ベースパネル
11 昇降フレーム
13 ターンテーブルユニット
15 ターンテーブル
16 チャッキングヘッド
20 光ピックアップ
24 ディスク支持アーム
25 誘引アーム
29a,29b 昇降ピン
38 ローディングモータ
41 ローディングスライダ
52 従動スライダ
65 カム溝
66 弾性片
68,75,77 押圧片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド面を摺動するスライダと、ディスクを載置して回転させるターンテーブルを保持した昇降フレームとを備え、ディスクの装填に伴ってスライダが摺動するときに、スライダのカム溝と昇降フレームの昇降ピンとの組合せにより、昇降フレームを下降位置から上昇させ、ターンテーブルにディスクを装着してから再生/記録位置に位置決めするディスク装置において、
スライド面に接触する押圧片と、
押圧片をスライド面に押し付けるバネとを設けたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記スライダに形成されたカム溝のうち、昇降フレームを記録/再生位置に位置決めする部分に、カム溝の一方のカム壁面を構成するように弾性片を設け、
前記バネは、前記押圧片と弾性片との間に介在し、昇降ピンがカム溝の他方のカム壁面に当たるように弾性片を押し付けることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記押圧片は、スライダに回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記押圧片は、スライダに一体形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−26428(P2009−26428A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191384(P2007−191384)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】