ディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置
【課題】狭視野角モードにおいて視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、画質が向上するディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置を提供する。
【解決手段】表示すべき画像に応じて駆動される表示用液晶パネル1と、表示用液晶パネル1の視野角を制御する視野角制御用液晶パネル2とを備えた液晶ディスプレイ100であって、観察者側より、表示用液晶パネル1、視野角制御用液晶パネル2の順に配置され、表示用液晶パネル1と視野角制御用パネル2との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4を備え、視野角制御用液晶パネル2は、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セル21と、液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを有し、駆動回路が、視野角制御用液晶パネル2の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替える。
【解決手段】表示すべき画像に応じて駆動される表示用液晶パネル1と、表示用液晶パネル1の視野角を制御する視野角制御用液晶パネル2とを備えた液晶ディスプレイ100であって、観察者側より、表示用液晶パネル1、視野角制御用液晶パネル2の順に配置され、表示用液晶パネル1と視野角制御用パネル2との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4を備え、視野角制御用液晶パネル2は、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セル21と、液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを有し、駆動回路が、視野角制御用液晶パネル2の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を広視野角と狭視野角との間で切替える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの視野角を広視野角と狭視野角との間で切替えられる視野角制御装置と、それを用いたディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイは、従来一般的には、どの視角から見ても鮮明な画像を見ることができるように、可能な限り広い視野角を有することが求められている。特に、最近広く普及している液晶ディスプレイは、液晶そのものが視角依存性を有することから、広視野角を実現するために、様々な技術開発がなされてきた。しかしながら、使用環境によっては、使用者本人にしか表示内容が視認できないよう、視野角が狭い方が好都合であることもある。特に、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話やPDAなどの携帯型情報端末などは、電車内などの不特定多数の人間が存在し得る場所で使用される可能性も高い。そのような使用環境においては、機密保持やプライバシー保護などの観点から、近傍の他人から表示内容を覗かれたくないので、ディスプレイの視野角が狭いことが望ましい。このように、近年、1台のディスプレイの視野角を、使用状況に応じて広視野角と狭視野角との間で切り替えたいという要求が高まっている。なお、この要求は、液晶ディスプレイに限らず、任意のディスプレイに関して共通の課題である。
【0003】
このような課題に対して、従来、画像を表示する表示装置に加えて、どの方向からでも表示装置の表示画像を視認できる広視野角モードと、特定の方向からのみ表示装置の表示画像を視認できる狭視野角モードとの電気的に切り替え可能な視野角制御装置を備えたディスプレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1には、表示装置の前面あるいは背面に、両面テープなどの接着手段により固定される視野角制御装置を備えたディスプレイが開示されている。すなわち、表示装置または視野角制御装置の周辺部に両面テープなどの接着手段が配設され、表示装置と視野角制御装置とが接着手段により固定されているディスプレイが開示されている。
【0005】
なお、特許文献2には、表示装置とタッチパネルとの間に、粗面化されているフィルムを挟むことにより、干渉縞を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−64882号公報
【特許文献2】特開平3−120037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のディスプレイでは、表示装置または視野角制御装置の周辺部に接着手段が配設され、表示装置と視野角制御装置とが接着手段により固定されているので、中心部がたわんでしまい、光の干渉による同心円状の干渉縞(ニュートンリングと称される)が発生し、画質が低下するという問題を生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えることにより、狭視野角モードにおいて視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、画質が向上するディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明にかかるディスプレイは、表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレイであって、観察者側より、前記表示装置、前記視野角制御装置の順に配置され、前記表示装置と前記視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備え、前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを有し、前記駆動回路が、前記視野角制御装置の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間には、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えているので、視野角制御装置から観察者側へ出射する光や、表示装置から視野角制御装置側へ入射する光が散乱される。これにより、視野角制御装置から観察者側へ出射する光と表示装置から視野角制御装置側へ入射する光との干渉による干渉縞の発生を防止することができる。また、上記の構成によれば、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間には、上記の光学フィルムが備えられている。すなわち、視野角制御装置の前面に光学フィルムが備えられている。視野角制御装置の前面に光学フィルムが備えられているので、視野角制御装置から観察者側へ出射する光が視野角制御装置の前面にて散乱される。視野角制御装置の前面にて光が散乱するので、第2の状態(狭視野角)における斜め方向から見た遮蔽特性が低下し、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネルのコントラストが低下する。しかしながら、本発明にかかる上記の構成によれば、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えているので、第2の状態(狭視野角)における遮光特性が損なわれることのない、コントラストの低下に留めることができる。この結果、第2の状態(狭視野角)において視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、ディスプレイの画質を向上することができる。なお、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネルのコントラストとは、第1の状態(広視野角)における透過率と、第2の状態(狭視野角)における透過率との比で表される。このコントラストが高いほど、視野角制御用液晶パネルとして、第1の状態(広視野角)での斜め方向への良好な視認特性と、第2の状態(狭視野角)での斜め方向への高い遮蔽特性とを有する。つまり、視野角制御用液晶パネルのコントラストが高いほど、視野角制御用液晶パネルとして好ましい特性を有する。また、ヘイズ値とは、光学フィルムに光を照射したときの全透過光に対する拡散透過光の割合で表される。
【0010】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記液晶セルは、当該ディスプレイ内に配置された2枚の偏光板の間に位置し、前記光学フィルムは、前記2枚の偏光板のうち1枚の偏光板に設けられている態様とするのが好ましい。
【0011】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた態様とするのが好ましい。例えば、前記視野角制御装置が、前記バックライトの前面に配置された構成とすることができる。あるいは、前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置である態様とするのが好ましい。または、前記表示装置が、自発光型表示装置である構成であっても良い。
【0012】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる視野角制御装置は、表示すべき画像に応じて駆動される表示装置の背面に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、前記視野角制御装置の前面に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムが備えられており、前記駆動回路が、前記液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲との間で切替え可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置は、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えることにより、狭視野角モードにおいて視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、画質が向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る液晶ディスプレイは、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率などを忠実に表したものではない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態にかかる液晶ディスプレイ100の概略構成を示す断面模式図である。図1に示すように、液晶ディスプレイ100は、画像を表示する表示用液晶パネル(表示装置)1と視野角制御用液晶パネル(視野角制御装置)2との2枚の液晶パネルを備えている。視野角制御用液晶パネル2は、表示用液晶パネル1の背面に配置されている。本実施形態における表示用液晶パネル1は透過型であり、光源としてバックライト3が用いられる。また、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2との間に、アンチグレアフィルム(以下、「AGフィルム」と称する)4が備えられている。さらに、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2とが、AGフィルム4を挟んで両面テープなどの接着手段5により固定されている。なお、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2とが固定できれば、接着手段5は任意である。
【0016】
液晶ディスプレイ100は、視野角制御用液晶パネル2における液晶をスイッチング動作させることにより、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が広い状態(広視野角)と、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が狭い状態(狭視野角)との間で、表示状態を切替えることができる。狭視野角は、他人に表示用液晶パネル1の画像を見られたくない場合に特に好適に用いられ、広視野角は、それ以外の通常の使用時や、表示用液晶パネル1の画像を複数人で同時に見たい場合などに好適に用いられる。
【0017】
表示用液晶パネル1は、一対の透光性基板間に液晶を狭持した液晶セル11と、液晶セル11の前面に設けられた偏光板12とを備えている。液晶セル11の液晶モードやセル構造は任意である。また、表示用液晶パネル1の駆動モードも任意である。すなわち、表示用液晶パネル1としては、文字あるいは動画を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。したがって、図1においては表示用液晶パネル1の詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。また、表示用液晶パネル1は、カラー表示可能なパネルであっても良いし、モノクロ表示専用のパネルであっても良い。さらに、バックライト3の構成にも何ら限定がなく、公知の任意のバックライトを用いることができるので、バックライト3の詳細な構造の図示および説明も省略する。なお、表示用液晶パネル1が反射型液晶パネルである場合は、バックライトは不要である。
【0018】
視野角制御用液晶パネル2は、一対の透光性基板間に液晶層を狭持した液晶セル21と、液晶セル21の前面および背面に設けられた偏光板22,23とを備えている。
【0019】
ここで、図2を参照しながら、視野角制御用液晶パネル2の詳細な構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、視野角制御用液晶パネル2の液晶セル21は、一対の透光性基板210a,210bと、透明電極211a,211bと、配向膜212a,212bと、液晶層213とを備えている。また、視野角制御用液晶パネル2は、液晶セル21の透明電極211a,211b間の電圧を制御する駆動回路24をさらに備えている。
【0021】
液晶セル21において、配向膜212aは垂直配向膜であり、配向膜212bは水平配向膜である。すなわち、液晶層213の液晶分子は、電圧が印加されない状態において、配向膜212aとの界面近傍では、分子長軸が前記界面に対しておよそ70°〜90°の角度をなすよう配列し、配向膜212bとの界面近傍では、分子長軸が前記界面に対してほぼ0°〜30°の角度をなすよう配列している。なお、図2では、バックライト3側の配向膜212bを水平配向膜とし、もう一方の配向膜212aを垂直配向膜とした構成を例示したが、これとは逆に、バックライト3側の配向膜212bを垂直配向膜とし、配向膜212aを水平配向膜とした構成であっても良い。
【0022】
透明電極211a,211bは、例えばITO(Indium Tin Oxide)を用いて形成されている。なお、表示用液晶パネル1は、表示単位(画素単位またはセグメント単位)で液晶を駆動させることが必要であるので、表示単位に応じた電極構造を有しているが、視野角制御用液晶パネル2は、電極構造に関しては制限がない。例えば、表示面全体で一様なスイッチングを行うために、透光性基板210a,210bの全面に一様な透明電極が形成された構成としても良いし、狭視野角モードとした場合にロゴや固有のパターンが表示されるような電極構造を採用しても良い。
【0023】
配向膜212a,212bのぞれぞれには、ラビング処理がなされている。図3は、配向膜212a,212bに対するラビング処理の方向と、偏光板22,23の偏向透過軸の方向との関係を示す模式図である。本実施形態では、図3の紙面に対する法線方向をz方向とし、配向膜212a,212bおよび偏光板22,23の表面に平行な平面をxy平面とする。また、ラビング方向に平行な方向をy方向とする。図3に示すように、視野角制御用液晶パネル2の配向膜212a,212bに対するラビング処理の方向は、互いに平行かつ逆向き(アンチパラレル)である。ただし、視野角制御用液晶パネル2の配向膜212a,212bに対するラビング処理の方向は、互いに平行かつ同じ向き(パラレル)であっても良い。
【0024】
また、図3に示すように、偏光板22,23は、直線偏光板であり、それぞれの偏光透過軸がほぼ平行になり、かつ、偏光透過軸が配向膜212a,212bのラビング方向とほぼ直交するように配置されている。
【0025】
なお、上記では、偏光板22,23の偏光透過軸と、配向膜212a,212bのラビング方向とがほぼ直交している構成を例示したが、視野角制御用液晶パネル2においては、偏光板22,23の偏光透過軸と、配向膜212a,212bのラビング方向とがほぼ平行であっても良い。ただし、偏光板22,23の偏光透過軸と、配向膜212a,212bのラビング方向とがほぼ直交している構成の方が、遮蔽特性が向上する点において好ましい。
【0026】
液晶層213の材料としては、ポジ型のネマティック液晶が用いられる。液晶層213へ電圧が印加されない状態では、液晶層213の液晶分子は、図4(a)に示すように、配向膜212a(垂直配向膜)との界面近傍では、当該界面に対して分子長軸がほぼ垂直となり、配向膜212b(水平配向膜)との界面近傍では、当該界面に対して分子長軸がほぼ水平となり、これらの界面の間で分子長軸の方向が漸次的に変化した状態に配列する。なお、ラビング処理によって、配向膜212a,212bとの界面に対してプレチルト角Pa、Pbがそれぞれ生じる。
【0027】
駆動回路24により液晶層213へ所定の電圧Vaが印加されると、液晶層213の液晶分子は、図4(b)に示すように、ラビング方向に平行な面(yz平面)内で、分子長軸を電界の向きに揃えるように旋回する。なお、配向膜212a,212bの界面近傍では、配向膜のアンカリング強度が大きいので、液晶分子の向きはあまり変化せず、プレチルト角が保たれている。
【0028】
図5(a)および図5(b)は、駆動回路24が、液晶層213への印加電圧を0V(図4(a)の状態)と所定電圧Va(図4(b)の状態)とで切り替えた場合の、視野角制御用液晶パネル2の透過率を示すチャートである。なお、図5(a)および図5(b)は、液晶層213のリタデーションを1500nmとして測定を行った。
【0029】
なお、本実施形態では、視野角制御用液晶パネル2のパネル面に対する、ある視点からの視角を、パネル面中央を基準とした方位角φおよび仰角θによって表す。図6は、方位角φおよび仰角θの定義を示す説明図である。図6に示すように、方位角φとは、視点からパネル面へ下ろした垂線の足と、パネル面の中央とを結ぶ線の回転角である。図6の例では、パネル面をxy平面とすると、パネル面中央を基準とする方位角φは、x軸の正方向を0°として、z軸方向上側から見た場合に反時計回りに増加するものとする。また、仰角θは、視点とパネル面の中央とを結ぶ線とz軸がなす角度である。
【0030】
図5(a)に示すように、電圧無印加時には、液晶ディスプレイ100の画面に対して、方位角0°および180°の視角から見た場合、およそ60°の仰角まで、十分な輝度が得られるので、表示用液晶パネル1の表示内容が視認できる。一方、図5(b)に示すように、電圧Vaの印加時には、図5(a)に示す電圧無印加時よりも、方位角0°および180°の視角から見た場合、十分な輝度が得られる仰角の範囲が、およそ30°までであることが分かる。したがって、液晶ディスプレイ100において、視野角制御用液晶パネル2の液晶層213への印加電圧を0Vとすれば、表示用液晶パネル1の表示内容を比較的広い範囲から視認できる広視野角モードが実現でき、印加電圧を所定電圧Vaとすれば、表示用液晶パネル1の表示内容を視認できる範囲を、仰角0°を中心とした比較的狭い範囲に制限した狭視野角モードが実現できる。なお、印加電圧Vaは、約1.0V〜4.0V程度である。また、図5(a)において、L1〜L5は、輝度が、50cd/m2
、100cd/m2、200cd/m2、300cd/m2、400cd/m2の視角の分布を示
す等位線である。さらに、図5(b)において、L11〜L15は、輝度が、50cd/m2、
100cd/m2、200cd/m2、300cd/m2、400cd/m2の視角の分布を示す
等位線である。
【0031】
AGフィルム(光学フィルム)4は、視野角制御用液晶パネル2の偏光板22の前面に備えられており、片面または両面が複数の凸凹で形成されている光学フィルムである。図7(a)は、AGフィルム4の片面が複数の凸凹で形成されている断面模式図、図7(b)は、AGフィルム4の両面が複数の凸凹で形成されている一例を示す断面模式図である。図7に示すように、AGフィルム4は、片面または両面が複数の凸凹で形成されているので、視野角制御用液晶パネル2から観察者30側へ出射する光や、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光が散乱(拡散)される。これにより、視野角制御用液晶パネル2から観察者30側へ出射する光と、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光との干渉による干渉縞の発生を防止することができる。なお、AGフィルム4は、例えば、サンドプラスト方式やエンボス加工方式などによる粗面化方式、透明微粒子の配合方式、コーティングなどの任意の方式を用い、透明フィルムに微細な凸凹を付与することにより形成することができる。また、AGフィルム4に形成されている複数の凸凹は、ランダムに形成されていても良いし、一定の規則に従って形成されていても良い。さらに、AGフィルム4に形成されている複数の凸凹の間隔や凸凹の高低差などは任意である。
【0032】
ところで、上記では、偏光板22の前面にAGフィルム4が備えられている例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、偏光板22の片面または両面に複数の凸凹を形成し、偏光板22において、視野角制御用液晶パネル2から観察者30側へ出射する光や、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光を散乱させるようにしても良い。このような場合は、偏光板22が、特許請求の範囲に記載の光学フィルムに相当する。
【0033】
AGフィルム4は、上記のように、光を散乱する機能(拡散機能)を有している。この拡散機能は、AGフィルム4の光学的な特性に依存する。AGフィルム4の光学的な特性を示す物性値の1つとして、ヘイズ(Haze)値がある。ヘイズ値は、AGフィルム4に光を照射したときの全透過光に対する拡散透過光の割合で表される。すなわち、AGフィルム4は、ヘイズ値が高いほど拡散機能が強い。なお、本実施形態における液晶ディスプレイ100は、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4が用いられている。
【0034】
図8は、AGフィルム4のヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネル2のコントラストの測定結果を表で示した説明図である。図9は、図8の測定結果をグラフで示した説明図である。図10は、視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4を備えた構成における、視野角制御用液晶パネル2のコントラストの測定方法を示す断面模式図である。
【0035】
本実施形態におけるコントラストとは、斜め方向において、電圧無印加時(広視野角モード)における視野角制御用液晶パネル2の透過率と、所定電圧Va印加時(狭視野角モード)における視野角制御用液晶パネル2の透過率との比で表す。すなわち、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネル2のコントラストが高いほど、視野角制御用液晶パネル2として高い遮蔽特性を有する。
【0036】
本実施形態において、図10に示すように、バックライトのような拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に光を照射し、視野角制御用液晶パネル2から出射される光を受光部51が受光することにより、視野角制御用液晶パネル2のコントラストを測定した。具体的には、視野角制御用液晶パネル2の駆動回路24が、液晶層213への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えることにより、視野角制御用液晶パネル2のコントラストを測定した。本実施形態においては、仰角θ=45°とし、視野角制御用液晶パネル2の前面および背面に偏光板22,23を備えて測定した。
【0037】
図9に示す□印のように、AGフィルム4のヘイズ値が高くなるほど、仰角θ=45°から見た場合の視野角制御用液晶パネル2のコントラストは低下した。
【0038】
ここで、AGフィルム4のヘイズ値が高くなるほど、視野角制御用液晶パネル2のコントラストが低下する原理について説明する。
【0039】
AGフィルム4のヘイズ値が低い場合、図11に示すように、拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に照射される光は、視野角制御用液晶パネル2に入射し、視野角制御用液晶パネル2の前面に備えられているAGフィルム4によって拡散される。AGフィルム4によって拡散された光は、そのまま受光部51により受光される。但し、この場合、AGフィルム4のヘイズ値が低いので、AGフィルム4による拡散機能は弱い。AGフィルム4による拡散機能が弱いので、受光部51は、多くの拡散光を受光しない。それゆえ、視野角制御用液晶パネル2のコントラストはやや低下する。
【0040】
一方、AGフィルム4のヘイズ値が高い場合、図12に示すように、拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に照射される光は、視野角制御用液晶パネル2に入射し、視野角制御用液晶パネル2の前面に備えられているAGフィルム4によって拡散される。AGフィルム4によって拡散された光は、そのまま受光部51により受光される。但し、この場合、AGフィルム4のヘイズ値が高いので、AGフィルム4による拡散機能は強い。AGフィルム4による拡散機能が強いので、受光部51は、多くの拡散光を受光する。それゆえ、視野角制御用液晶パネル2のコントラストは大幅に低下する。
【0041】
図13は、AGフィルム4のヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験の結果を表で示した説明図である。図14は、視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4を備えた構成における、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験の方法を示す断面模式図である。
【0042】
本実施形態において、図14に示すように、図10に示す視野角制御用液晶パネル2のコントラストの測定方法と同様、拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に光を照射し、視野角制御用液晶パネル2から出射される光を被験者31が目視にて観察することにより、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験を行った。具体的には、視野角制御用液晶パネル2の駆動回路24が、液晶層213への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えることにより、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験を行った。本実施形態においては、仰角θ=45°とし、視野角制御用液晶パネル2の前面および背面に偏光板22,23を備えて観察した。また、本実施形態においては、被験者10人により、所定電圧Va印加時(狭視野角モード)の仰角θ=45°からの遮蔽特性が良いか否かを回答することにより、被験者試験を行った。
【0043】
図13に示すように、ヘイズ値が0%,7.5%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中10人(100%)であった。また、ヘイズ値が11%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中9人(90%)であった。また、ヘイズ値が12%,20%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中8人(80%)であった。また、ヘイズ値が25%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中7人(70%)であった。また、ヘイズ値が30%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中6人(60%)であった。また、ヘイズ値が40%,44%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中4人(40%)であった。さらに、ヘイズ値が60%,70%,80%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中3人(30%)であった。すなわち、ヘイズ値が30%以下の場合に、過半数(10人中5人)以上の被験者が、遮光特性が良いと回答した。これにより、AGフィルム4のヘイズ値が30%以下の場合は、狭視野角モードにおける遮光特性が損なわれることのない、コントラストであるといえる。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態にかかる液晶ディスプレイ100およびそれに用いられる視野角制御用液晶パネル2によれば、観察者側より、表示用液晶パネル1、視野角制御用液晶パネル2の順に配置され、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2との間には、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4を備えているので、視野角制御用液晶パネル2から観察者側へ出射する光や、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光が散乱される。これにより、視野角制御用液晶パネル2から観察者側へ出射する光と表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光との干渉による干渉縞の発生を防止することができる。また、上記の構成によれば、観察者側より、表示用液晶パネル1、視野角制御用液晶パネル2の順に配置され、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2との間には、上記のAGフィルム4が備えられている。すなわち、視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4が備えられている。視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4が備えられているので、視野角制御用液晶パネル2から観察者側へ出射する光が視野角制御用液晶パネル2の前面にて散乱される。視野角制御用液晶パネル2の前面にて光が散乱するので、狭視野角モードにおける斜め方向から見た遮蔽特性が低下し、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネル2のコントラストが低下する。しかしながら、本実施形態にかかる上記の構成によれば、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4を備えているので、狭視野角モードにおける遮光特性が損なわれることのない、コントラストの低下に留めることができる。この結果、狭視野角モードにおいて視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、液晶ディスプレイ100の画質を向上することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明を限定するものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、図1では、視野角制御用液晶パネル2が備える偏光板22を、表示用液晶パネル1の偏光板として共用する構成を例示したが、例えば、図15に示すように、表示用液晶パネル1が備える偏光板13を、視野角制御用液晶パネル2の偏光板として共用しても良い。
【0047】
また、上記の実施形態では、表示装置として透過型液晶パネルを備えた例を挙げたが、本発明のディスプレイに適用可能な表示装置はこれに限定されない。例えば、反射型または半透過型の表示用液晶パネルを表示装置として用いることもできる。また、液晶パネル以外に、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、プラズマディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面電界ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)などの自発光型表示装置を用いることもできる。表示装置として、例えば有機ELディスプレイなどの自発光型表示装置を用いる場合は、バックライトは不要である。
【0048】
なお、上記の実施形態においては、表示状態が狭視野角であるときに、ユーザにその旨を知らせるためのメッセージ、画像、またはアイコンなどを、ディスプレイの画面に表示するようにしても良い。
【0049】
また、上記の実施形態においては、表示装置で表示される画像の内容に応じて視野角制御用液晶パネル2の駆動回路24が動作し、狭視野角と広視野角とを自動的に切り替えるようにしても良い。例えば、インターネットのウェブページを見るために用いられる場合、ウェブページの内容に応じて各ページに関連付けられたフラグを参照し、他人から見られないことが好ましい内容である場合などに、狭視野角の表示状態に自動的に切り替えるように、駆動回路24を制御しても良い。また、例えば、ブラウザが暗号化モードで起動された場合に、狭視野角の表示状態へ切り替えるようにしても良い。
【0050】
また、表示装置がデータ入力装置の一部である場合、またはデータ入力装置と関連して動作する場合、入力されているデータタイプまたは入力されようとするデータタイプが機密性を有するものである場合などに、表示状態を狭視野角に切り替えるよう調整することも可能である。例えば、ユーザが何らかの個人識別番号を入力したときなどに、自動的に狭視野角に切替わるように、駆動回路24を制御すれば良い。
【0051】
なお、上記の実施形態においては、視野角制御装置は、ディスプレイから取り外しが可能なモジュールまたはカバーとして形成されても良い。そのような取り外し可能なモジュールは、ディスプレイに取り付けられたときに、ディスプレイに電気的に接続されることによって、適切な電力と制御信号とを得ることができる。
【0052】
また、上記の実施形態においては、ディスプレイの周囲光を測定する光学センサ(アンビエントセンサ)をさらに備え、光学センサの測定値が所定の閾値を下回るときに、ディスプレイの表示状態を狭視野角とすることも好ましい。
【0053】
なお、本発明にかかるディスプレイおよび視野角制御装置の用途は多岐に亘る。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末(PDA)、携帯型ゲーム機、または携帯電話などのディスプレイに適用されるだけでなく、ATM(現金自動受け払い機)、公共の場に設置される情報端末、券売機、および車載用ディスプレイなど、様々な機器のディスプレイに適用される。
【0054】
また、本発明にかかる視野角制御装置は、ディスプレイに組み込まれた状態で実施されることもあるが、ディスプレイの部品として、視野角制御装置単体で製造され、流通する可能性もある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明は、広視野角と狭視野角とを切り替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用いられる視野角制御装置として、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態にかかる液晶ディスプレイの概略構成を示す断面模式図である。
【図2】上記液晶ディスプレイにおける視野角制御用液晶パネルの概略構成を示す断面模式図である。
【図3】配向膜に対するラビング処理の方向と、偏光板の偏光透過軸の方向との関係を示す模式図である。
【図4】液晶層への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えた場合の、視野角制御用液晶パネルの液晶分子の配列の状態をそれぞれ示す模式図である。
【図5】液晶層への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えた場合の視野角制御用液晶パネルの透過率をそれぞれ示すチャートである。
【図6】方位角φおよび仰角θの定義を示す説明図である。
【図7】上記液晶ディスプレイにおける、片面または両面が複数の凸凹で形成されているAGフィルムの概略構成の一例をそれぞれ示す断面模式図である。
【図8】上記AGフィルムのヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネルのコントラストの測定結果を表で示した説明図である。
【図9】上記AGフィルムのヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネルのコントラストの測定結果をグラフで示した説明図である。
【図10】視野角制御用液晶パネルの前面にAGフィルムを備えた構成における、視野角制御用液晶パネルのコントラストの測定方法を示す断面模式図である。
【図11】上記AGフィルムのヘイズ値が高くなるほど、視野角制御用液晶パネルのコントラストが低下する原理を説明するための断面模式図である。
【図12】上記AGフィルムのヘイズ値が高くなるほど、視野角制御用液晶パネルのコントラストが低下する原理を説明するための断面模式図である。
【図13】上記AGフィルムのヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験の結果を表で示した説明図である。
【図14】視野角制御用液晶パネルの前面にAGフィルムを備えた構成における、視野角制御用液晶パネルの被験者試験の方法を示す断面模式図である。
【図15】本実施形態にかかる液晶ディスプレイの他の例における概略構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0057】
1 表示用液晶パネル(表示装置)
12 偏光板
2 視野角制御用液晶パネル(視野角制御装置)
21 液晶セル
22 偏光板
23 偏光板
24 駆動回路
210a 210b 透光性基板
213 液晶層
3 バックライト
4 AGフィルム(光学フィルム)
100 液晶ディスプレイ(ディスプレイ)
200 液晶ディスプレイ(ディスプレイ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの視野角を広視野角と狭視野角との間で切替えられる視野角制御装置と、それを用いたディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイは、従来一般的には、どの視角から見ても鮮明な画像を見ることができるように、可能な限り広い視野角を有することが求められている。特に、最近広く普及している液晶ディスプレイは、液晶そのものが視角依存性を有することから、広視野角を実現するために、様々な技術開発がなされてきた。しかしながら、使用環境によっては、使用者本人にしか表示内容が視認できないよう、視野角が狭い方が好都合であることもある。特に、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話やPDAなどの携帯型情報端末などは、電車内などの不特定多数の人間が存在し得る場所で使用される可能性も高い。そのような使用環境においては、機密保持やプライバシー保護などの観点から、近傍の他人から表示内容を覗かれたくないので、ディスプレイの視野角が狭いことが望ましい。このように、近年、1台のディスプレイの視野角を、使用状況に応じて広視野角と狭視野角との間で切り替えたいという要求が高まっている。なお、この要求は、液晶ディスプレイに限らず、任意のディスプレイに関して共通の課題である。
【0003】
このような課題に対して、従来、画像を表示する表示装置に加えて、どの方向からでも表示装置の表示画像を視認できる広視野角モードと、特定の方向からのみ表示装置の表示画像を視認できる狭視野角モードとの電気的に切り替え可能な視野角制御装置を備えたディスプレイが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1には、表示装置の前面あるいは背面に、両面テープなどの接着手段により固定される視野角制御装置を備えたディスプレイが開示されている。すなわち、表示装置または視野角制御装置の周辺部に両面テープなどの接着手段が配設され、表示装置と視野角制御装置とが接着手段により固定されているディスプレイが開示されている。
【0005】
なお、特許文献2には、表示装置とタッチパネルとの間に、粗面化されているフィルムを挟むことにより、干渉縞を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−64882号公報
【特許文献2】特開平3−120037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のディスプレイでは、表示装置または視野角制御装置の周辺部に接着手段が配設され、表示装置と視野角制御装置とが接着手段により固定されているので、中心部がたわんでしまい、光の干渉による同心円状の干渉縞(ニュートンリングと称される)が発生し、画質が低下するという問題を生じる。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えることにより、狭視野角モードにおいて視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、画質が向上するディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明にかかるディスプレイは、表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレイであって、観察者側より、前記表示装置、前記視野角制御装置の順に配置され、前記表示装置と前記視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備え、前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを有し、前記駆動回路が、前記視野角制御装置の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間には、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えているので、視野角制御装置から観察者側へ出射する光や、表示装置から視野角制御装置側へ入射する光が散乱される。これにより、視野角制御装置から観察者側へ出射する光と表示装置から視野角制御装置側へ入射する光との干渉による干渉縞の発生を防止することができる。また、上記の構成によれば、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間には、上記の光学フィルムが備えられている。すなわち、視野角制御装置の前面に光学フィルムが備えられている。視野角制御装置の前面に光学フィルムが備えられているので、視野角制御装置から観察者側へ出射する光が視野角制御装置の前面にて散乱される。視野角制御装置の前面にて光が散乱するので、第2の状態(狭視野角)における斜め方向から見た遮蔽特性が低下し、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネルのコントラストが低下する。しかしながら、本発明にかかる上記の構成によれば、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えているので、第2の状態(狭視野角)における遮光特性が損なわれることのない、コントラストの低下に留めることができる。この結果、第2の状態(狭視野角)において視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、ディスプレイの画質を向上することができる。なお、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネルのコントラストとは、第1の状態(広視野角)における透過率と、第2の状態(狭視野角)における透過率との比で表される。このコントラストが高いほど、視野角制御用液晶パネルとして、第1の状態(広視野角)での斜め方向への良好な視認特性と、第2の状態(狭視野角)での斜め方向への高い遮蔽特性とを有する。つまり、視野角制御用液晶パネルのコントラストが高いほど、視野角制御用液晶パネルとして好ましい特性を有する。また、ヘイズ値とは、光学フィルムに光を照射したときの全透過光に対する拡散透過光の割合で表される。
【0010】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記液晶セルは、当該ディスプレイ内に配置された2枚の偏光板の間に位置し、前記光学フィルムは、前記2枚の偏光板のうち1枚の偏光板に設けられている態様とするのが好ましい。
【0011】
本発明にかかるディスプレイにおいて、前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた態様とするのが好ましい。例えば、前記視野角制御装置が、前記バックライトの前面に配置された構成とすることができる。あるいは、前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置である態様とするのが好ましい。または、前記表示装置が、自発光型表示装置である構成であっても良い。
【0012】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる視野角制御装置は、表示すべき画像に応じて駆動される表示装置の背面に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、前記視野角制御装置の前面に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムが備えられており、前記駆動回路が、前記液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲との間で切替え可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のディスプレイおよびそれに用いられる視野角制御装置は、観察者側より、表示装置、視野角制御装置の順に配置され、表示装置と視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備えることにより、狭視野角モードにおいて視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、画質が向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る液晶ディスプレイは、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率などを忠実に表したものではない。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態にかかる液晶ディスプレイ100の概略構成を示す断面模式図である。図1に示すように、液晶ディスプレイ100は、画像を表示する表示用液晶パネル(表示装置)1と視野角制御用液晶パネル(視野角制御装置)2との2枚の液晶パネルを備えている。視野角制御用液晶パネル2は、表示用液晶パネル1の背面に配置されている。本実施形態における表示用液晶パネル1は透過型であり、光源としてバックライト3が用いられる。また、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2との間に、アンチグレアフィルム(以下、「AGフィルム」と称する)4が備えられている。さらに、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2とが、AGフィルム4を挟んで両面テープなどの接着手段5により固定されている。なお、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2とが固定できれば、接着手段5は任意である。
【0016】
液晶ディスプレイ100は、視野角制御用液晶パネル2における液晶をスイッチング動作させることにより、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が広い状態(広視野角)と、表示用液晶パネル1の画像が視認できる視野角が狭い状態(狭視野角)との間で、表示状態を切替えることができる。狭視野角は、他人に表示用液晶パネル1の画像を見られたくない場合に特に好適に用いられ、広視野角は、それ以外の通常の使用時や、表示用液晶パネル1の画像を複数人で同時に見たい場合などに好適に用いられる。
【0017】
表示用液晶パネル1は、一対の透光性基板間に液晶を狭持した液晶セル11と、液晶セル11の前面に設けられた偏光板12とを備えている。液晶セル11の液晶モードやセル構造は任意である。また、表示用液晶パネル1の駆動モードも任意である。すなわち、表示用液晶パネル1としては、文字あるいは動画を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。したがって、図1においては表示用液晶パネル1の詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。また、表示用液晶パネル1は、カラー表示可能なパネルであっても良いし、モノクロ表示専用のパネルであっても良い。さらに、バックライト3の構成にも何ら限定がなく、公知の任意のバックライトを用いることができるので、バックライト3の詳細な構造の図示および説明も省略する。なお、表示用液晶パネル1が反射型液晶パネルである場合は、バックライトは不要である。
【0018】
視野角制御用液晶パネル2は、一対の透光性基板間に液晶層を狭持した液晶セル21と、液晶セル21の前面および背面に設けられた偏光板22,23とを備えている。
【0019】
ここで、図2を参照しながら、視野角制御用液晶パネル2の詳細な構成について説明する。
【0020】
図2に示すように、視野角制御用液晶パネル2の液晶セル21は、一対の透光性基板210a,210bと、透明電極211a,211bと、配向膜212a,212bと、液晶層213とを備えている。また、視野角制御用液晶パネル2は、液晶セル21の透明電極211a,211b間の電圧を制御する駆動回路24をさらに備えている。
【0021】
液晶セル21において、配向膜212aは垂直配向膜であり、配向膜212bは水平配向膜である。すなわち、液晶層213の液晶分子は、電圧が印加されない状態において、配向膜212aとの界面近傍では、分子長軸が前記界面に対しておよそ70°〜90°の角度をなすよう配列し、配向膜212bとの界面近傍では、分子長軸が前記界面に対してほぼ0°〜30°の角度をなすよう配列している。なお、図2では、バックライト3側の配向膜212bを水平配向膜とし、もう一方の配向膜212aを垂直配向膜とした構成を例示したが、これとは逆に、バックライト3側の配向膜212bを垂直配向膜とし、配向膜212aを水平配向膜とした構成であっても良い。
【0022】
透明電極211a,211bは、例えばITO(Indium Tin Oxide)を用いて形成されている。なお、表示用液晶パネル1は、表示単位(画素単位またはセグメント単位)で液晶を駆動させることが必要であるので、表示単位に応じた電極構造を有しているが、視野角制御用液晶パネル2は、電極構造に関しては制限がない。例えば、表示面全体で一様なスイッチングを行うために、透光性基板210a,210bの全面に一様な透明電極が形成された構成としても良いし、狭視野角モードとした場合にロゴや固有のパターンが表示されるような電極構造を採用しても良い。
【0023】
配向膜212a,212bのぞれぞれには、ラビング処理がなされている。図3は、配向膜212a,212bに対するラビング処理の方向と、偏光板22,23の偏向透過軸の方向との関係を示す模式図である。本実施形態では、図3の紙面に対する法線方向をz方向とし、配向膜212a,212bおよび偏光板22,23の表面に平行な平面をxy平面とする。また、ラビング方向に平行な方向をy方向とする。図3に示すように、視野角制御用液晶パネル2の配向膜212a,212bに対するラビング処理の方向は、互いに平行かつ逆向き(アンチパラレル)である。ただし、視野角制御用液晶パネル2の配向膜212a,212bに対するラビング処理の方向は、互いに平行かつ同じ向き(パラレル)であっても良い。
【0024】
また、図3に示すように、偏光板22,23は、直線偏光板であり、それぞれの偏光透過軸がほぼ平行になり、かつ、偏光透過軸が配向膜212a,212bのラビング方向とほぼ直交するように配置されている。
【0025】
なお、上記では、偏光板22,23の偏光透過軸と、配向膜212a,212bのラビング方向とがほぼ直交している構成を例示したが、視野角制御用液晶パネル2においては、偏光板22,23の偏光透過軸と、配向膜212a,212bのラビング方向とがほぼ平行であっても良い。ただし、偏光板22,23の偏光透過軸と、配向膜212a,212bのラビング方向とがほぼ直交している構成の方が、遮蔽特性が向上する点において好ましい。
【0026】
液晶層213の材料としては、ポジ型のネマティック液晶が用いられる。液晶層213へ電圧が印加されない状態では、液晶層213の液晶分子は、図4(a)に示すように、配向膜212a(垂直配向膜)との界面近傍では、当該界面に対して分子長軸がほぼ垂直となり、配向膜212b(水平配向膜)との界面近傍では、当該界面に対して分子長軸がほぼ水平となり、これらの界面の間で分子長軸の方向が漸次的に変化した状態に配列する。なお、ラビング処理によって、配向膜212a,212bとの界面に対してプレチルト角Pa、Pbがそれぞれ生じる。
【0027】
駆動回路24により液晶層213へ所定の電圧Vaが印加されると、液晶層213の液晶分子は、図4(b)に示すように、ラビング方向に平行な面(yz平面)内で、分子長軸を電界の向きに揃えるように旋回する。なお、配向膜212a,212bの界面近傍では、配向膜のアンカリング強度が大きいので、液晶分子の向きはあまり変化せず、プレチルト角が保たれている。
【0028】
図5(a)および図5(b)は、駆動回路24が、液晶層213への印加電圧を0V(図4(a)の状態)と所定電圧Va(図4(b)の状態)とで切り替えた場合の、視野角制御用液晶パネル2の透過率を示すチャートである。なお、図5(a)および図5(b)は、液晶層213のリタデーションを1500nmとして測定を行った。
【0029】
なお、本実施形態では、視野角制御用液晶パネル2のパネル面に対する、ある視点からの視角を、パネル面中央を基準とした方位角φおよび仰角θによって表す。図6は、方位角φおよび仰角θの定義を示す説明図である。図6に示すように、方位角φとは、視点からパネル面へ下ろした垂線の足と、パネル面の中央とを結ぶ線の回転角である。図6の例では、パネル面をxy平面とすると、パネル面中央を基準とする方位角φは、x軸の正方向を0°として、z軸方向上側から見た場合に反時計回りに増加するものとする。また、仰角θは、視点とパネル面の中央とを結ぶ線とz軸がなす角度である。
【0030】
図5(a)に示すように、電圧無印加時には、液晶ディスプレイ100の画面に対して、方位角0°および180°の視角から見た場合、およそ60°の仰角まで、十分な輝度が得られるので、表示用液晶パネル1の表示内容が視認できる。一方、図5(b)に示すように、電圧Vaの印加時には、図5(a)に示す電圧無印加時よりも、方位角0°および180°の視角から見た場合、十分な輝度が得られる仰角の範囲が、およそ30°までであることが分かる。したがって、液晶ディスプレイ100において、視野角制御用液晶パネル2の液晶層213への印加電圧を0Vとすれば、表示用液晶パネル1の表示内容を比較的広い範囲から視認できる広視野角モードが実現でき、印加電圧を所定電圧Vaとすれば、表示用液晶パネル1の表示内容を視認できる範囲を、仰角0°を中心とした比較的狭い範囲に制限した狭視野角モードが実現できる。なお、印加電圧Vaは、約1.0V〜4.0V程度である。また、図5(a)において、L1〜L5は、輝度が、50cd/m2
、100cd/m2、200cd/m2、300cd/m2、400cd/m2の視角の分布を示
す等位線である。さらに、図5(b)において、L11〜L15は、輝度が、50cd/m2、
100cd/m2、200cd/m2、300cd/m2、400cd/m2の視角の分布を示す
等位線である。
【0031】
AGフィルム(光学フィルム)4は、視野角制御用液晶パネル2の偏光板22の前面に備えられており、片面または両面が複数の凸凹で形成されている光学フィルムである。図7(a)は、AGフィルム4の片面が複数の凸凹で形成されている断面模式図、図7(b)は、AGフィルム4の両面が複数の凸凹で形成されている一例を示す断面模式図である。図7に示すように、AGフィルム4は、片面または両面が複数の凸凹で形成されているので、視野角制御用液晶パネル2から観察者30側へ出射する光や、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光が散乱(拡散)される。これにより、視野角制御用液晶パネル2から観察者30側へ出射する光と、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光との干渉による干渉縞の発生を防止することができる。なお、AGフィルム4は、例えば、サンドプラスト方式やエンボス加工方式などによる粗面化方式、透明微粒子の配合方式、コーティングなどの任意の方式を用い、透明フィルムに微細な凸凹を付与することにより形成することができる。また、AGフィルム4に形成されている複数の凸凹は、ランダムに形成されていても良いし、一定の規則に従って形成されていても良い。さらに、AGフィルム4に形成されている複数の凸凹の間隔や凸凹の高低差などは任意である。
【0032】
ところで、上記では、偏光板22の前面にAGフィルム4が備えられている例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、偏光板22の片面または両面に複数の凸凹を形成し、偏光板22において、視野角制御用液晶パネル2から観察者30側へ出射する光や、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光を散乱させるようにしても良い。このような場合は、偏光板22が、特許請求の範囲に記載の光学フィルムに相当する。
【0033】
AGフィルム4は、上記のように、光を散乱する機能(拡散機能)を有している。この拡散機能は、AGフィルム4の光学的な特性に依存する。AGフィルム4の光学的な特性を示す物性値の1つとして、ヘイズ(Haze)値がある。ヘイズ値は、AGフィルム4に光を照射したときの全透過光に対する拡散透過光の割合で表される。すなわち、AGフィルム4は、ヘイズ値が高いほど拡散機能が強い。なお、本実施形態における液晶ディスプレイ100は、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4が用いられている。
【0034】
図8は、AGフィルム4のヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネル2のコントラストの測定結果を表で示した説明図である。図9は、図8の測定結果をグラフで示した説明図である。図10は、視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4を備えた構成における、視野角制御用液晶パネル2のコントラストの測定方法を示す断面模式図である。
【0035】
本実施形態におけるコントラストとは、斜め方向において、電圧無印加時(広視野角モード)における視野角制御用液晶パネル2の透過率と、所定電圧Va印加時(狭視野角モード)における視野角制御用液晶パネル2の透過率との比で表す。すなわち、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネル2のコントラストが高いほど、視野角制御用液晶パネル2として高い遮蔽特性を有する。
【0036】
本実施形態において、図10に示すように、バックライトのような拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に光を照射し、視野角制御用液晶パネル2から出射される光を受光部51が受光することにより、視野角制御用液晶パネル2のコントラストを測定した。具体的には、視野角制御用液晶パネル2の駆動回路24が、液晶層213への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えることにより、視野角制御用液晶パネル2のコントラストを測定した。本実施形態においては、仰角θ=45°とし、視野角制御用液晶パネル2の前面および背面に偏光板22,23を備えて測定した。
【0037】
図9に示す□印のように、AGフィルム4のヘイズ値が高くなるほど、仰角θ=45°から見た場合の視野角制御用液晶パネル2のコントラストは低下した。
【0038】
ここで、AGフィルム4のヘイズ値が高くなるほど、視野角制御用液晶パネル2のコントラストが低下する原理について説明する。
【0039】
AGフィルム4のヘイズ値が低い場合、図11に示すように、拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に照射される光は、視野角制御用液晶パネル2に入射し、視野角制御用液晶パネル2の前面に備えられているAGフィルム4によって拡散される。AGフィルム4によって拡散された光は、そのまま受光部51により受光される。但し、この場合、AGフィルム4のヘイズ値が低いので、AGフィルム4による拡散機能は弱い。AGフィルム4による拡散機能が弱いので、受光部51は、多くの拡散光を受光しない。それゆえ、視野角制御用液晶パネル2のコントラストはやや低下する。
【0040】
一方、AGフィルム4のヘイズ値が高い場合、図12に示すように、拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に照射される光は、視野角制御用液晶パネル2に入射し、視野角制御用液晶パネル2の前面に備えられているAGフィルム4によって拡散される。AGフィルム4によって拡散された光は、そのまま受光部51により受光される。但し、この場合、AGフィルム4のヘイズ値が高いので、AGフィルム4による拡散機能は強い。AGフィルム4による拡散機能が強いので、受光部51は、多くの拡散光を受光する。それゆえ、視野角制御用液晶パネル2のコントラストは大幅に低下する。
【0041】
図13は、AGフィルム4のヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験の結果を表で示した説明図である。図14は、視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4を備えた構成における、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験の方法を示す断面模式図である。
【0042】
本実施形態において、図14に示すように、図10に示す視野角制御用液晶パネル2のコントラストの測定方法と同様、拡散光源50から視野角制御用液晶パネル2に光を照射し、視野角制御用液晶パネル2から出射される光を被験者31が目視にて観察することにより、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験を行った。具体的には、視野角制御用液晶パネル2の駆動回路24が、液晶層213への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えることにより、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験を行った。本実施形態においては、仰角θ=45°とし、視野角制御用液晶パネル2の前面および背面に偏光板22,23を備えて観察した。また、本実施形態においては、被験者10人により、所定電圧Va印加時(狭視野角モード)の仰角θ=45°からの遮蔽特性が良いか否かを回答することにより、被験者試験を行った。
【0043】
図13に示すように、ヘイズ値が0%,7.5%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中10人(100%)であった。また、ヘイズ値が11%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中9人(90%)であった。また、ヘイズ値が12%,20%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中8人(80%)であった。また、ヘイズ値が25%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中7人(70%)であった。また、ヘイズ値が30%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中6人(60%)であった。また、ヘイズ値が40%,44%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中4人(40%)であった。さらに、ヘイズ値が60%,70%,80%の場合、遮光特性が良いと回答した被験者は、10人中3人(30%)であった。すなわち、ヘイズ値が30%以下の場合に、過半数(10人中5人)以上の被験者が、遮光特性が良いと回答した。これにより、AGフィルム4のヘイズ値が30%以下の場合は、狭視野角モードにおける遮光特性が損なわれることのない、コントラストであるといえる。
【0044】
以上に述べたように、本実施形態にかかる液晶ディスプレイ100およびそれに用いられる視野角制御用液晶パネル2によれば、観察者側より、表示用液晶パネル1、視野角制御用液晶パネル2の順に配置され、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2との間には、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4を備えているので、視野角制御用液晶パネル2から観察者側へ出射する光や、表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光が散乱される。これにより、視野角制御用液晶パネル2から観察者側へ出射する光と表示用液晶パネル1から視野角制御用液晶パネル2側へ入射する光との干渉による干渉縞の発生を防止することができる。また、上記の構成によれば、観察者側より、表示用液晶パネル1、視野角制御用液晶パネル2の順に配置され、表示用液晶パネル1と視野角制御用液晶パネル2との間には、上記のAGフィルム4が備えられている。すなわち、視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4が備えられている。視野角制御用液晶パネル2の前面にAGフィルム4が備えられているので、視野角制御用液晶パネル2から観察者側へ出射する光が視野角制御用液晶パネル2の前面にて散乱される。視野角制御用液晶パネル2の前面にて光が散乱するので、狭視野角モードにおける斜め方向から見た遮蔽特性が低下し、斜め方向から見た場合の視野角制御用液晶パネル2のコントラストが低下する。しかしながら、本実施形態にかかる上記の構成によれば、ヘイズ値が30%以下であるAGフィルム4を備えているので、狭視野角モードにおける遮光特性が損なわれることのない、コントラストの低下に留めることができる。この結果、狭視野角モードにおいて視野角が広がることを抑えながら、干渉縞の発生を防止し、液晶ディスプレイ100の画質を向上することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明を限定するものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、図1では、視野角制御用液晶パネル2が備える偏光板22を、表示用液晶パネル1の偏光板として共用する構成を例示したが、例えば、図15に示すように、表示用液晶パネル1が備える偏光板13を、視野角制御用液晶パネル2の偏光板として共用しても良い。
【0047】
また、上記の実施形態では、表示装置として透過型液晶パネルを備えた例を挙げたが、本発明のディスプレイに適用可能な表示装置はこれに限定されない。例えば、反射型または半透過型の表示用液晶パネルを表示装置として用いることもできる。また、液晶パネル以外に、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、プラズマディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display)、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display)、表面電界ディスプレイ(Surface-conduction Electron-emitter Display)などの自発光型表示装置を用いることもできる。表示装置として、例えば有機ELディスプレイなどの自発光型表示装置を用いる場合は、バックライトは不要である。
【0048】
なお、上記の実施形態においては、表示状態が狭視野角であるときに、ユーザにその旨を知らせるためのメッセージ、画像、またはアイコンなどを、ディスプレイの画面に表示するようにしても良い。
【0049】
また、上記の実施形態においては、表示装置で表示される画像の内容に応じて視野角制御用液晶パネル2の駆動回路24が動作し、狭視野角と広視野角とを自動的に切り替えるようにしても良い。例えば、インターネットのウェブページを見るために用いられる場合、ウェブページの内容に応じて各ページに関連付けられたフラグを参照し、他人から見られないことが好ましい内容である場合などに、狭視野角の表示状態に自動的に切り替えるように、駆動回路24を制御しても良い。また、例えば、ブラウザが暗号化モードで起動された場合に、狭視野角の表示状態へ切り替えるようにしても良い。
【0050】
また、表示装置がデータ入力装置の一部である場合、またはデータ入力装置と関連して動作する場合、入力されているデータタイプまたは入力されようとするデータタイプが機密性を有するものである場合などに、表示状態を狭視野角に切り替えるよう調整することも可能である。例えば、ユーザが何らかの個人識別番号を入力したときなどに、自動的に狭視野角に切替わるように、駆動回路24を制御すれば良い。
【0051】
なお、上記の実施形態においては、視野角制御装置は、ディスプレイから取り外しが可能なモジュールまたはカバーとして形成されても良い。そのような取り外し可能なモジュールは、ディスプレイに取り付けられたときに、ディスプレイに電気的に接続されることによって、適切な電力と制御信号とを得ることができる。
【0052】
また、上記の実施形態においては、ディスプレイの周囲光を測定する光学センサ(アンビエントセンサ)をさらに備え、光学センサの測定値が所定の閾値を下回るときに、ディスプレイの表示状態を狭視野角とすることも好ましい。
【0053】
なお、本発明にかかるディスプレイおよび視野角制御装置の用途は多岐に亘る。例えば、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯型情報端末(PDA)、携帯型ゲーム機、または携帯電話などのディスプレイに適用されるだけでなく、ATM(現金自動受け払い機)、公共の場に設置される情報端末、券売機、および車載用ディスプレイなど、様々な機器のディスプレイに適用される。
【0054】
また、本発明にかかる視野角制御装置は、ディスプレイに組み込まれた状態で実施されることもあるが、ディスプレイの部品として、視野角制御装置単体で製造され、流通する可能性もある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明は、広視野角と狭視野角とを切り替えることにより様々な使用環境や用途に適応可能なディスプレイと、これに用いられる視野角制御装置として、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態にかかる液晶ディスプレイの概略構成を示す断面模式図である。
【図2】上記液晶ディスプレイにおける視野角制御用液晶パネルの概略構成を示す断面模式図である。
【図3】配向膜に対するラビング処理の方向と、偏光板の偏光透過軸の方向との関係を示す模式図である。
【図4】液晶層への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えた場合の、視野角制御用液晶パネルの液晶分子の配列の状態をそれぞれ示す模式図である。
【図5】液晶層への印加電圧を0Vと所定電圧Vaとで切り替えた場合の視野角制御用液晶パネルの透過率をそれぞれ示すチャートである。
【図6】方位角φおよび仰角θの定義を示す説明図である。
【図7】上記液晶ディスプレイにおける、片面または両面が複数の凸凹で形成されているAGフィルムの概略構成の一例をそれぞれ示す断面模式図である。
【図8】上記AGフィルムのヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネルのコントラストの測定結果を表で示した説明図である。
【図9】上記AGフィルムのヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネルのコントラストの測定結果をグラフで示した説明図である。
【図10】視野角制御用液晶パネルの前面にAGフィルムを備えた構成における、視野角制御用液晶パネルのコントラストの測定方法を示す断面模式図である。
【図11】上記AGフィルムのヘイズ値が高くなるほど、視野角制御用液晶パネルのコントラストが低下する原理を説明するための断面模式図である。
【図12】上記AGフィルムのヘイズ値が高くなるほど、視野角制御用液晶パネルのコントラストが低下する原理を説明するための断面模式図である。
【図13】上記AGフィルムのヘイズ値を0%,7.5%,11%,12%,20%,25%,30%,40%,44%,60%,70%,80%のそれぞれに設定した場合の、視野角制御用液晶パネル2の被験者試験の結果を表で示した説明図である。
【図14】視野角制御用液晶パネルの前面にAGフィルムを備えた構成における、視野角制御用液晶パネルの被験者試験の方法を示す断面模式図である。
【図15】本実施形態にかかる液晶ディスプレイの他の例における概略構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0057】
1 表示用液晶パネル(表示装置)
12 偏光板
2 視野角制御用液晶パネル(視野角制御装置)
21 液晶セル
22 偏光板
23 偏光板
24 駆動回路
210a 210b 透光性基板
213 液晶層
3 バックライト
4 AGフィルム(光学フィルム)
100 液晶ディスプレイ(ディスプレイ)
200 液晶ディスプレイ(ディスプレイ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、
前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレイであって、
観察者側より、前記表示装置、前記視野角制御装置の順に配置され、
前記表示装置と前記視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備え、
前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを有し、
前記駆動回路が、前記視野角制御装置の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とするディスプレイ。
【請求項2】
前記液晶セルは、当該ディスプレイ内に配置された2枚の偏光板の間に位置し、
前記光学フィルムは、前記2枚の偏光板のうち1枚の偏光板に設けられている、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記視野角制御装置が、前記バックライトの前面に配置された、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置である、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記表示装置が、自発光型表示装置である、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項7】
表示すべき画像に応じて駆動される表示装置の背面に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、
一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、
前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、
前記視野角制御装置の前面に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムが備えられており、
前記駆動回路が、前記液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲との間で切替え可能とすることを特徴とする視野角制御装置。
【請求項1】
表示すべき画像に応じて駆動される表示装置と、
前記表示装置の視野角を制御する視野角制御装置とを備えたディスプレイであって、
観察者側より、前記表示装置、前記視野角制御装置の順に配置され、
前記表示装置と前記視野角制御装置との間に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムを備え、
前記視野角制御装置は、一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを有し、
前記駆動回路が、前記視野角制御装置の液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、表示状態を、第1の視野角範囲を提供する第1の状態と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲を提供する第2の状態との間で切替え可能とすることを特徴とするディスプレイ。
【請求項2】
前記液晶セルは、当該ディスプレイ内に配置された2枚の偏光板の間に位置し、
前記光学フィルムは、前記2枚の偏光板のうち1枚の偏光板に設けられている、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記表示装置が透過型液晶表示装置であり、バックライトをさらに備えた、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記視野角制御装置が、前記バックライトの前面に配置された、請求項3に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記表示装置が、反射型液晶表示装置または半透過型液晶表示装置である、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記表示装置が、自発光型表示装置である、請求項1または2に記載のディスプレイ。
【請求項7】
表示すべき画像に応じて駆動される表示装置の背面に配置され、前記表示装置の視野角を制御するために用いられる視野角制御装置であって、
一対の透光性基板間に液晶層を有する液晶セルと、
前記液晶層へ電圧を印加する駆動回路とを備え、
前記視野角制御装置の前面に、片面または両面が複数の凸凹で形成され、ヘイズ値が30%以下である光学フィルムが備えられており、
前記駆動回路が、前記液晶層の液晶分子の配列状態を変化させることにより、光の出射範囲を、第1の視野角範囲と、第1の視野角範囲内にあり第1の視野角範囲よりも狭い第2の視野角範囲との間で切替え可能とすることを特徴とする視野角制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−139584(P2008−139584A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325975(P2006−325975)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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