説明

ディスプレイシール、ディスプレイシールの製造方法

【課題】良好な画質を有するトナー画像を有し、凹凸面や曲面等の複雑な形状面や軟らかな部材へピタリと貼り付けられるディスプレイシールを提供する。
【解決手段】トナー粒子を埋設するとともに付着可能な可撓性の粘着剤シート、粘着剤シートの一方の面を被覆し未定着トナー画像を粘着剤シートへ供給する第一の剥離シート、粘着剤シートのもう一方の面を被覆する第二の剥離シートを有するディスプレイシール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着物へ付着可能な粘着剤シートの内部にトナー粒子を埋設させて形成したトナー画像を有するディスプレイシールと当該ディスプレイシールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルやシール、ステッカー、デカールと呼ばれるディスプレイシールは、たとえば、お菓子のおまけやおもちゃ等の子供向けのもの、商品ラベル、自動車やバイクのデザイン用、電気製品や消火器等の安全表示ラベル等、様々な用途で幅広く使用されている。これらディスプレイシールは、通常、画像を有する紙製あるいはプラスチックフィルム製の支持体、支持体の裏面に設けられる粘着剤層、粘着剤の露出を防ぎ接着強度を保持する台紙より構成され、支持体表面はラミネート加工等の表面加工が施されているものが多い。
【0003】
ディスプレイシールは、人間の皮膚の様に軟らかなものやエンボス加工面や曲面等の複雑な形状の面に貼り付けられることもあり、紙やプラスチックフィルム等の支持体上に画像を形成したものではピタリとスムーズに貼り付けることが困難である。そこで、この様なものにもきれいに貼り付けることが可能なシール製品の開発が検討され、その1つに軟らかな素材上に画像を形成した構成のシール製品が提案された(たとえば、特許文献1、2参照)。
【0004】
たとえば、特許文献1には、軟質シリコーン系成形体からなり粘着性を有する付着層と弾性を有する硬質シリコーン系成形体からなり光透過性の被覆層を有する人体付着用装飾シートが開示されている。特許文献1の装飾シートは、前記付着層の上面側に前記被覆層が積層され、両層間に画像が形成された紙や繊維、あるいは樹脂製の装飾シート体が挟み込まれた構造のものである。また、特許文献2には、透明転写フィルム上にシリコーン層を設け、当該シリコーン層上に柔軟性のインキで転写パターンを印刷し、印刷した転写パターン上面に粘着剤を塗布して、転写パターンを粘着剤に感圧接着させた構成の柔軟性転写シールが開示されている。特許文献2の柔軟性転写シールは、シリコーン層を介して透明転写フィルムを剥がし、印刷画像が転写された粘着剤層を顔等の皮膚表面や皮革製品のキズ発生個所へ貼り付けて使用するものである。
【0005】
しかしながら、これら特許文献1や特許文献2に開示されているシール製品は、いずれも画像層と付着層を積層させた構造のもので、凹凸面や曲面等の形状面へフィットする様に貼り付けることは困難であった。この様な複雑な形状面へピタリと貼り付けることが可能なシール製品の開発は引き続き検討されている。
【0006】
ところで、シール製品の中には、電子写真方式の画像形成方法により形成されたトナー画像を用いたものもある。具体的には、白ベースと呼ばれる支持体上にレーザプリンタでフルカラーの細密画像を形成したフルカラーステッカーと呼ばれるシール製品を作製する装置等が市場に展開されている。トナーを用いて形成された画像層は、インクジェットプリンタやオフセット印刷で作製した画像層に比べて、紫外線や水等に対して耐久性を有しており、耐候性に優れたステッカーの作製に有利である。
【0007】
また、シール製品市場には、オンデマンドシール印刷と呼ばれる少量のシール製品を作製するニーズもあり、版を起こす手間をかけずに画像形成が行える電子写真方式はこの様な少量のシール作製にも最適である。たとえば、クラフト紙や和紙の上にトナーで画像出力し、手作りジャムや限定品の日本酒用のラベルを作製しているビジネスも薦められている。耐久性に優れたトナー画像製の当該ラベルは商品の意匠性を高め、商品価値を高めている。この様に、シール製品市場には、細密画像のステッカーやオンデマンドシール印刷の様に、電子写真方式で作製した画像を有するディスプレイシールのニーズがある。
【0008】
しかしながら、電子写真方式で画像を形成するシール製品は、いずれも紙やPET等の硬めの支持体上にトナー画像を形成しており、軟らかな素材上にトナー画像を形成することはこれまでほとんど検討されていない。透明で柔軟なシール製品の作製には、インクジェットプリンタやスクリーン印刷が主に用いられている。
【0009】
一方、シール製品の分野ではないが、軟らかな素材上にトナー画像を形成する技術も検討されている。たとえば、感光体上に形成されたトナー画像をトナー保持材層と呼ばれる流動性を発現する層内へ転写して、これを層内に埋め込んで画像支持体上にトナー画像を保持させる技術が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。この技術は、静電力や押圧力の作用でトナー保持材層を流動化させてトナー画像を定着するもので、トナー保持材層は、外力が付与されていないときは流動性を発現せず、外力が付与されると流動性を発現する材質のものが用いられている。そして、特許文献3にはこの方法で形成されるトナー画像は十分な色深みを有し白濁のない良好な仕上がりになると記載されている。
【0010】
本発明者は、この技術を用いて凹凸面等の複雑な形状面や皮膚等に貼付可能な柔軟なシール製品を作製することができるものと考えて検討をはじめた。すなわち、本発明者は粘着剤層中にトナー画像を埋め込んで保持させた構成のシール製品を特許文献3の技術で作製することにより、凹凸面や曲面等の形状面あるいは皮膚にフィットして貼り付けられるシール製品が実現されると考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−137368号公報
【特許文献2】特開平8−142493号公報
【特許文献3】特開2010−145440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献3では、感光体上に形成したトナー画像をトナー保持材層上へ直接転写しているが、感光体上に形成したトナー画像を粘着剤層面へムラなくきれいに転写することは意外と難しいものであった。すなわち、粘着剤層の静電引力が弱いためと考えられるが、感光体より粘着剤層に向かって移動するトナー粒子が少なく、粘着剤層に形成されたトナー画像は濃度の低いものになった。また、粘着剤層面に感光体を近づけると、感光体もいっしょに粘着剤層面にくっつき、トナー画像の転写を安定的に行うことも難しいものであった。
【0013】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、感光体上に形成されたトナー画像を良好に転写し、かつ、凹凸面や曲面等の複雑な形状面へフィットさせて貼り付けることが可能な軟質のシール製品を提供することを目的とするものである。また、人の顔や皮膚の様に軟らかくて伸縮し易い個所や関節部分の様に動きの伴う個所にもぴたりと貼り付けることが可能で、かつ、被着物が動いてもみだりに剥離することのないシール製品を提供することを目的とするものである。さらに、貼り付けたシール製品を伸縮させたり、あるいは、凹凸面や突起を有する面の様な形状が複雑な被着物へ貼り付けても、画像を破損させることのない耐久性に優れたシール製品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『少なくとも、
トナー粒子を埋設するとともに、付着が可能な可撓性の粘着剤シートと、
前記粘着剤シートの一方の面を被覆し、未定着のトナー画像を前記粘着剤シートへ供給する第一の剥離シートと、
前記粘着剤シートのもう一方の面を被覆する第二の剥離シートを有することを特徴とするディスプレイシール。』というものである。
【0015】
請求項2に記載の発明は、
『前記第一の剥離シートと前記第二の剥離シートの少なくとも一方が、前記粘着剤シートと接触する側に樹脂層を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイシール。』というものである。
【0016】
請求項3に記載の発明は、
『前記第二の剥離シートが、透明な材質で形成されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイシール。』
請求項4に記載の発明は、
『前記粘着剤シートに使用されている粘着剤は、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが2以上10以下のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスプレイシール。』というものである。
【0017】
請求項5に記載の発明は、
『前記粘着剤シートは、少なくとも、シリコーン樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイシール。』というものである。
【0018】
請求項6に記載の発明は、
『前記剥離シートの樹脂層に使用されている樹脂が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイシール。』というものである。
【0019】
請求項7に記載の発明は、
『前記未定着のトナー画像を構成するトナー粒子は、
体積基準メディアン径が5μm以上8μm以下であり、かつ、平均円形度が0.850以上0.990以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイシール。』というものである。
【0020】
請求項8に記載の発明は、
『少なくとも、トナー粒子を埋設させて形成したトナー画像を有する粘着剤シートと、前記粘着剤シートを被覆する第一の剥離シートと第二の剥離シートを有するディスプレイシールの製造方法であって、
電子写真方式の画像形成により感光体に形成した未定着のトナー画像を担持させた前記第一の剥離シートを前記粘着剤シートに重畳させ、
重畳させた前記第一の剥離シートより前記粘着剤シートへトナー粒子を埋設させることにより前記粘着剤シートの中にトナー画像を形成することを特徴とするディスプレイシールの製造方法。』というものである。
【0021】
請求項9に記載の発明は、
『前記第一の剥離シートより前記粘着剤シートへトナー粒子を埋設させるときに、1×10Pa以上1×10Pa以下の押圧力を付与して、前記粘着剤シートの中にトナー画像を形成することを特徴とするディスプレイシールの製造方法。』というものである。
【0022】
なお、本発明では、粘着剤シートと、粘着剤シート面を被覆する第一の剥離シート及び第二の剥離シートを有し、粘着剤シート内にトナー粒子で形成されている画像を埋設した形態のものを「ディスプレイシール」と呼んでいる。また、粘着剤シート内にトナー画像を埋設しておらず、前述のディスプレイシールを作製する材料の形態にあるものを「シール材」と呼んでいる。すなわち、「シール材」を構成する粘着剤シートにトナー粒子を埋設して画像が形成されているものを「ディスプレイシール」という。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、良好な画質のトナー画像を形成することが可能で、しかも、凹凸面や曲面等の様な複雑な形状面や皮膚の様な軟らかなものにピタリと貼り付けられ、被着物が伸縮してもそれに対応して伸縮するディスプレイシールの提供を可能にした。
【0024】
また、本発明では、伸縮性を有する軟質性の粘着剤シート内にトナー粒子の集合体より構成される画像を埋設しているので、被着物の伸縮に対応して画像も伸縮してひびわれ等の画像破損をおこさないディスプレイシールの提供を可能にした。また、当該ディスプレイシールより剥離シートをスムーズに剥がすことができるので、貼付時に折れや画像破損を発生することのない取扱い性に優れ、保管中に剥離シートが剥がれることのない保管性に優れたディスプレイシールの提供を可能にした。
【0025】
この様に、本発明によれば、良好な画質の図柄を有し、複雑な形状面や軟らかなものへ良好に貼付するとともに、貼付後も被着物の伸縮に応じて伸縮し、図柄の画質を安定維持するディスプレイシールを提供することを可能にした。また、本発明によれば、電子写真方式により高精細で意匠性に優れたトナー画像を形成することができるので、版を起こす手間をかけずに必要枚数分のディスプレイシールをオンデマンドに作製することを可能にした。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明で作製されるディスプレイシールの断面形状を表す模式図である。
【図2】図1に示すディスプレイシールを作製する手順を示す模式図である。
【図3】本発明でいう第一の剥離シートへトナー画像を形成する画像形成装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、被着物へ付着可能な粘着剤シート内部にトナー粒子を埋設させて形成したトナー画像を有するディスプレイシールに関する。以下、本発明について詳細に説明する。
【0028】
前述した様に、本発明に係るディスプレイシールは、少なくとも、トナー粒子を埋設するとともに付着が可能な可撓性の粘着剤シート、粘着剤シートの一方の面を被覆し、未定着のトナー画像を粘着剤シートへ供給する第一の剥離シート、及び、粘着剤シートのもう一方の面を被覆する第二の剥離シートを有するものである。
【0029】
最初に、本発明で作製されるディスプレイシールの構造を図1を用いて説明する。図1では、ディスプレイシールの断面構造を図1(a)に、ディスプレイシールを作製する際に材料として用いられるシール材の断面構造を図1(b)に模式的に示す。図1(a)に示す様に、本発明で作製されるディスプレイシール1は、付着性を有し内部にトナー粒子を埋没させてトナー画像Tを形成する可撓性の粘着剤シート11と、粘着剤シート11の両面を被覆する2枚の剥離シート12(12a、12b)を有するものである。図1(a)では、2枚の剥離シート12のうち、トナー画像Tが埋設されている側の粘着剤シート面を被覆する剥離シートを「第一の剥離シート12a」、粘着剤シート11のもう一方の面を被覆する剥離シートを「第二の剥離シート12b」としている。
【0030】
図1(a)のディスプレイシール1は、被着物へ貼付する際、粘着剤シート11の両面を被覆している剥離シート12を剥がし、軟質で可撓性の粘着剤シート11のみが貼り付けられてシールとして用いられるものである。図1(b)は図1(a)のディスプレイシール1を被着物H上に貼付した状態を示すものである。この様に、ディスプレイシール1はトナー画像Tを有する可撓性の粘着剤シート11のみを被着物に用いるもので、凹凸面や曲面等の複雑な形状面や皮膚の様な軟らかな被着物へ貼付し易いものになっている。すなわち、ディスプレイシール1を構成する粘着剤シート11は、被着物へ貼付するための粘着剤層として、また、トナー画像Tを形成、保持する画像層として機能するものである。
【0031】
また、図1(c)のシール材10は、図1(a)のディスプレイシール1を作製する際に用いられる材料で、粘着剤シート11、粘着剤シート11の両面を被覆する2枚の剥離シート12(第一の剥離シート12aと第二の剥離シート12b)を有するものである。
【0032】
なお、図1では、粘着剤シート11と粘着剤シート11を被覆する2つの剥離シート12(第一の剥離シート12aと第二の剥離シート12b)より構成されるものを「ディスプレイシール」または「シール材」と呼んでいる。そして、粘着剤シート11内にトナー粒子を埋設させてトナー画像Tが形成されているもの、すなわち、画像を有してシール製品として使用可能な形態のものを「ディスプレイシール」と呼ぶ。一方、粘着剤シート11内にトナー画像Tが形成されていない形態のもの、すなわち、ディスプレイシールを作製する際に材料として使用される形態のものを「シール材」と呼ぶ。つまり、シール材10の粘着剤シート11にトナー画像Tを形成したものを「ディスプレイシール」と読んでいる。
【0033】
次に、図2を用いて本発明に係るディスプレイシールの製造方法について説明する。図2は図1(c)に示すシール材10を用いて図1(a)に示すディスプレイシール1を作製する手順を示す模式図である。すなわち、図2(a)に示すシール材10の粘着剤シート11内にトナー粒子を埋没させてトナー画像Tを形成することにより、図2(e)に示す粘着剤シート11内にトナー画像Tを有する構成のディスプレイシール1を作製する手順を示すものである。ここで、図2(a)に示すシール材10は前述の図1(b)に示すシール材10と同じものであり、図2(e)に示すディスプレイシール1は前述の図1(c)に示すディスプレイシール1と同じものである。
【0034】
本発明では、図1(a)あるいは図2(e)に示すディスプレイシール1は、たとえば、以下に示す工程を経て作製することが可能である。すなわち、
(1)シール材10より第一の剥離シート12aを剥離する工程
(2)感光体上に形成されたトナー画像Tを第一の剥離シート12aへ転写する工程
(3)未定着トナー画像Tが転写された第一の剥離シート12aを粘着剤シート11へ貼付する工程
(4)第一の剥離シート12aを貼付したシール材10を押圧する工程
すなわち、図1(a)に示すディスプレイシール1は、電子写真方式の画像形成により感光体に形成された未定着のトナー画像を転写した第一の剥離シートを粘着剤シート面上へ重畳させ、第一の剥離シート上のトナー粒子を粘着剤シート内に埋設させてトナー画像を形成することにより作製されるものである。
【0035】
以下、上記(1)〜(4)の工程について図2を用いて詳細に説明する。すなわち、
(1)シール材10より第一の剥離シート12aを剥離する工程
この工程は図2(b)に示すもので、ディスプレイシール1の材料であるシール材10の粘着剤シート11より第一の剥離シート12aを公知の方法で剥離するものである。
【0036】
(2)感光体上に形成されたトナー画像Tを第一の剥離シート12aに転写する工程
この工程は図2(c)に示すもので、電子写真方式の画像形成装置の感光体上に形成されている未定着のトナー画像Tを、シール材10より剥離した第一の剥離シート12a上に転写する工程である。第一の剥離シート12a上には、感光体よりトナー粒子の集合物で形成されている未定着のトナー画像Tが転写されるので、第一の剥離シート12aは感光体上の帯電状態にあるトナー画像Tを確実かつスムーズに転写する性能が求められる。また、転写した未定着トナー画像Tを安定保持する性能も求められる。この様な観点から、第一の剥離シート12aの材質は、電子写真方式の画像形成装置に画像支持体として使用される普通紙やコート紙等の用紙がもつ性能を有するものが好ましく、たとえば、前述の普通紙やコート紙の他、これらの表面に樹脂層を形成したものが好ましく用いられる。
【0037】
(3)未定着トナー画像Tを転写した第一の剥離シート12aを粘着剤シート11へ貼付する工程
この工程は、図2(d)に示すもので、トナー画像Tを保持している第一の剥離シート12aを、シール材10の粘着剤シート11面上に、トナー画像Tを有する側の面を向けて載置、貼付する工程である。第一の剥離シート12aのトナー画像Tを有する側の面が粘着剤シート11面に接触する様に載置することにより、第一の剥離シート12aに保持されているトナー粒子を粘着剤シート11内に埋設することができる。
【0038】
(4)第一の剥離シート12aを貼付したシール材10を押圧する工程
この工程は、図2(d)から図2(e)の間で行われるもので、トナー画像Tを保持している第一の剥離シート12aを貼付したシール材10に外力を加えて押圧することによりトナー粒子の粘着剤シート11内への埋設を促進させる工程である。この工程では、押圧力の作用により、第一の剥離シート12aに保持されているトナー粒子をゲル状の粘着剤シート11内へ移動、埋設し易くするので、粘着剤シート11にトナー画像Tをより迅速かつ確実に形成することができる。そして、第一の剥離シート12aに保持されていたトナー粒子がより確実に粘着剤シート11内部に埋没させるので、高画質のトナー画像Tを形成する上でも好ましいものである。
【0039】
なお、上記の工程でトナー画像Tを保持する第一の剥離シート12aを貼付したシール材10に加える押圧力は、特に限定されるものではないが、たとえば、1×10Paから1×10Paの範囲が好ましい。そして、後述する実施例に示す様に、押圧力を上記範囲とすることで、粘着剤シート11内に良好な仕上がりのトナー画像Tを形成することができる。
【0040】
以上の工程を経て、図2(a)に示すシール材10を用いて図2(e)に示すディスプレイシール1を作製することができる。なお、上記(1)から(4)で説明した工程のうち、(1)から(3)が本発明でいう「電子写真方式の画像形成により感光体に形成された未定着のトナー画像を転写した第一の剥離シートを粘着剤シート面上へ重畳させる」ことに該当するものである。そして、(3)から(4)が本発明でいう「第一の剥離シート上のトナー粒子を粘着剤シート内に埋設させてトナー画像を形成する」ことに該当するものである。
【0041】
次に、本発明に係るディスプレイシールを作製する際に使用されるシール材料について、さらに詳細に説明する。前述した様に、図1の(a)に示すディスプレイシールあるいは(c)に示すシール材料10は、可撓性の粘着剤シート11と粘着剤シート11の両面を被覆する2枚の剥離シート12(第一の剥離シート12aと第二の剥離シート12b)を有するものである。そして、粘着剤シート11内にトナー粒子を埋設することによりトナー画像Tが形成され、トナー画像Tを有する可撓性の粘着剤シート11を被着物に貼り付けてディスプレイシールとして使用するものである。
【0042】
粘着剤シート11は、たとえば、粘着剤のみで形成されるものや、可撓性を有する基材表面に粘着剤層を形成したもの等があり、その材質はトナー粒子を埋設して高画質のトナー画像形成が行え、かつ、良好な接着性を発現する粘着性を有するものである。また、被着物に貼付したときにトナー画像Tをはっきりと視認させる透明性を有するものである。本発明で使用可能な粘着剤シート11は、たとえば、可撓性を有する基材表面に粘着剤層を形成した構成のものは、良好な伸縮性が確保されるとともに、基材により強度が確保されるので剥離シートを剥がし易く、被着物へ貼付するときの取扱いに優れるものになる。また、被着物に貼付した後も長期にわたり耐久性が付与されるメリットがある。一方、粘着剤のみで形成されるものは、より高い伸縮性が得られるので、形状変化の激しい部材へ貼付するディスプレイシールに最適である。また、部品点数が少ないことから生産性や環境面にメリットを有するものである。
【0043】
次に、粘着剤シート11に使用される粘着剤について説明する。本発明で使用可能な粘着剤は、トナー粒子を十分に埋設して内部にトナー画像Tを形成することが可能な性質を有することに加え、形成したトナー画像Tの視認が十分に行える透明性と被着物への良好な接着性を有するものである。この様な性質を示すものとしては、たとえば、チキソトロピーと呼ばれる粘弾性挙動を示すゲル状物質が好ましいものとして挙げられる。ここで、チキソトロピーとは、外力が付与されていない状態では流動性を発現せず、外力が付与されたときに流動性を発現する粘弾性挙動のことである。すなわち、本発明で使用されるシール材料を構成する粘着剤シート11は、外力が付与されている状態では流動性を発現してトナー粒子を内部に埋没させ、外力が付与されていない状態では流動性が発現されずにトナー粒子を安定保持する。
【0044】
上記チキソトロピー性を発現する粘着剤は、たとえば、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが2以上10以下となるものが好ましく、2以上5以下となるものがより好ましい。JIS K6253 タイプAに準じて行われる硬さの測定方法は、具体的には、市販の「デュロメータ GS−719N」(株式会社テクロック製)を用いて、粘着剤シート11上の粘着剤を測定することにより行われる。このとき、トナー画像を有するシール製品の場合は、トナー粒子が存在しない被画像部の粘着剤を測定の対象にする。
【0045】
上記範囲の硬さを有する粘着剤は、公知の方法で形成することが可能で、たとえば、上記範囲の硬さを有するゲル材料やエラストマー材料、ゴム材料をそのまま使用する方法の他に以下に挙げる公知の方法で形成することが可能である。すなわち、硬さの異なるゲル材料やエラストマー材料、ゴム材料等を所定割合で配合して形成する方法や、反応性のゲル材料やエラストマー材料、ゴム材料等に添加する硬化剤の量を調整する方法、あるいは加熱硬化型の材料を用いる場合の硬化条件を調整する方法等がある。
【0046】
また、本発明で使用可能な粘着剤は、トナー粒子を確実に埋没させる観点から、トナー粒子に対してある程度の親和性を有しながらも、トナー粒子を構成する樹脂に対して非相溶性を有するものが好ましい。
【0047】
上記性能を発現する粘着剤の具体例としては、たとえば、架橋構造を有するシリコーン樹脂や架橋構造を有するアクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン樹脂等の高分子化合物や多糖類に代表される水溶性高分子等のゲル状物質が挙げられる。また、前述の高分子化合物はゲル状の形態で使用されるので、たとえば、これら高分子化合物と有機溶剤またはオイルとのゲルやゾル、前記高分子化合物の水系エマルジョン、前記高分子化合物と水溶性高分子を親水性溶媒に溶解、分散させたゾルやゲル等がある。
【0048】
以下、上記シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ウレタン樹脂の具体例について説明する。
【0049】
先ず、上記シリコーン樹脂は、たとえば、以下に示す化合物を重合することにより形成することが可能である。すなわち、
ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、フルオロシロキサン、トリフルオロシロキサン、トリフルオロプロピルシロキサン、クロロメチルシロキサン、シアノエチルシロキサン、エーテルシロキサン、フロオロエーテルシロキサン、アミノシロキサン等
また、アクリル系樹脂は、たとえば、以下に示す化合物を重合することにより形成することが可能である。すなわち、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド誘導体、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等。これら化合物に示す様に、アクリル系樹脂には、側鎖にカルボキシ基(−COOH)を有するもの、側鎖にカルボン酸エステル基を有するもの、側鎖にカルボキシ基とカルボン酸エステル基が混在するものがある。
【0050】
また、ビニル系樹脂には、以下のものが挙げられる。すなわち、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フェノール−ビニルブチラール共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル等。
【0051】
また、ウレタン樹脂は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させて得られるポリウレタンプレポリマーが挙げられ、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の具体例としては、たとえば、以下のものがある。すなわち、
ポリオール化合物;1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール、ポリ(ペンタジエン・ブタジエン)ポリオール、ポリ(ブタジエン・スチレン)ポリオール、ポリ(ブタジエン・アクリロニトリル)ポリオール等
ポリイソシアネート化合物;ジフェニルメタンジイソシナネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等。
【0052】
さらに、水溶性高分子としては、以下に挙げる天然高分子多糖類、天然低分子多糖類や水溶性のビニル系高分子がある。すなわち、
天然高分子多糖類;キサンタンガム、カラギナン、プルラン、ファーセレラン、カードラン、ゼラチン、コラーゲン等
天然低分子多糖類;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム等
水溶性のビニル系高分子;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等
また、水系溶媒には、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等がある。
【0053】
本発明では、上記粘着剤の中でも架橋構造を有するシリコーン樹脂と架橋構造を有するアクリル系樹脂が好ましく、特に架橋構造を有するシリコーン樹脂がより好ましい。
【0054】
次に、可撓性を有する基材表面に粘着剤層を形成してなるタイプの粘着剤シート11に使用される基材について説明する。粘着剤シート11に使用可能な基材は、トナー画像Tの外からの視認を妨げないものであれば、透光性を有する(透明の)ものであっても、また、透光性を有さない(不透明の)ものであってもよい。
【0055】
基材について、透明のものと不透明のもののいずれを使用するかは、作製するシール製品の使用条件下での視認性に基づいて選択する。たとえば、窓ガラス等の透光性を有する被着物に貼り付け、被着物の双方向より視認が求められる条件下で使用する場合は透明な基材を選択し、皮膚に貼り付けて使用する場合や壁に貼り付ける場合の様に被着物の一方向より視認が求められる条件下では不透明な基材を選択することができる。
【0056】
基材が透明のものである場合、その透過濃度は0.15以下であることが好ましく、0.10以下のものがより好ましい。透過濃度が0.15以下の基材を用いることにより、トナー粒子により形成されている画像Tの画像濃度は高いものになり、優れたコントラストにより良好な画像視認性のシール製品を作製することができる。
【0057】
ここで、透過濃度は透過率tを常用対数で表したもので、透過濃度D=log(1/t)の式より算出されるものである。透過濃度Dは、具体的には、市販の濃度計「X−Rite 310TR」(X−Rite社製)を用いて測定が可能で、上記濃度計を使用する場合、測定アパチャー径をφ3mm、キャリブレーションウェッジによるキャリブレーション実施後、ビジュアル濃度を測定し、その測定結果より算出される。
【0058】
基材として使用可能な材質の具体例としては、たとえば、以下に挙げる用紙、樹脂フィルム、布等が挙げられる。先ず、用紙の具体例としては、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やハガキ用紙、ポリプロピレン(PP)合成紙等がある。また、樹脂フィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリスチレン(PS)シート、ポリイミドフィルム等がある。
【0059】
基材の厚さは、10μmから75μmであることが好ましく、25μmから50μmがより好ましい。
【0060】
次に、図1の(a)に示すディスプレイシール1あるいは(b)に示すシール材料10を構成する剥離シート12、すなわち、第一の剥離シート12aと第二の剥離シート12bについて説明する。本発明で使用される剥離シート12、すなわち、第一の剥離シート12aと第二の剥離シート12bは、いずれも粘着剤シート11に形成されている粘着剤層を被覆して、粘着剤シート11を外部環境因子から保護するものである。
【0061】
このうち、第一の剥離シート12aは、電子写真方式の画像形成装置を構成する感光体上に形成されている未定着のトナー画像Tを転写し、転写したトナー画像Tを静電的に担持することが可能なものである。この様に、第一の剥離シート12aに使用される基材は、未定着トナー画像Tを感光体上から転写する性能と転写したトナー画像Tを静電的に担持する性能を有するものであり、たとえば、電子写真方式の画像形成に使用可能な基材は好ましいものである。具体的には、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙等の塗工された印刷用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等が挙げられ、これらにを用いることができる。また、上記画像支持体が挙げられる。
【0062】
また、第二の剥離シート12bは、粘着剤シート11の被覆が可能なものであれば、特に限定されるものではないが、半透明あるいは透明な材質のもので形成することが好ましい。これは、第一の剥離シート12aに普通紙やコート紙等の不透明な材質のものを使用する場合、貼付前のディスプレイシール1に描かれている図柄を第二の剥離シート12b側から確認することになるので、半透明あるいは透明な材質のものが好ましい。
【0063】
第二の剥離シート12bに使用可能な基材としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の公知のシートフィルムが挙げられる。
【0064】
上記剥離シート12(第一の剥離シート12aと第二の剥離シート12b)に用いられる基材の厚さは、特に限定されるものではないが、10μmから200μmであることが好ましく、25μmから100μmがより好ましい。
【0065】
また、剥離シート12(第一の剥離シート12aと第二の剥離シート12b)には、紙製あるいは樹脂フィルム製の上記基材が用いられるが、これら基材は粘着剤シート11と接触する側の面に樹脂をコートした構造のものが好ましく用いられる。この様に、第一の剥離シートと第二の剥離シートの少なくとも一方に樹脂層を設けることにより、ディスプレイシール1を被着物に貼付するとき剥離シート12が剥がし易く、取扱い性能を向上させるので好ましい。
【0066】
剥離シート12の粘着剤シート11と接触する側の面にコートすることが可能な樹脂としては、たとえば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等が好ましいものとして挙げられ、その中でもシリコーン樹脂が特に好ましい。また、樹脂層の厚さは、特に限定されるものではないが、0.5μmから10μmが好ましく、1μmから5μmがより好ましい。
【0067】
また、本発明に係るディスプレイシール1は、剥離シート12に対して粘着剤シート11からのスムーズな剥離が求められるので、剥離シート12はJIS Z2307に準ずる剥離試験による剥離強度が0.05N/20mmから8N/20mmのものが好ましく用いられる。ここで、JIS Z2307に準ずる剥離試験とは、剥離速度300mm/min、剥離距離150mm、粘着層の幅20mmの条件下で行う180°剥離試験のことをいうものである。
【0068】
次に、本発明に係るディスプレイシールを作製する際に使用されるトナーについて説明する。本発明に係るディスプレイシールは、シール材を構成する粘着剤シート内にトナー粒子を埋没させてトナー画像を形成したものである。粘着剤シート11にトナー画像Tを形成するトナー粒子は、少なくとも、結着樹脂を含有するもので、所望に応じて着色剤や荷電制御剤、磁性粉、離型剤等を含有させることが可能である。ここで、画像形成に使用されるトナー粒子の集合体のことをトナーという。以下、本発明で使用可能なトナー粒子について説明する。
【0069】
本発明では、電子写真方式の画像形成装置により形成された未定着のトナー画像を粘着剤シート内に形成することにより、たとえば、フルカラーの細密画像からなるデザインのディスプレイシールを作製することも可能である。そして、画像形成装置に複数種類のデザインのトナー画像データを予め記憶しておき、記憶されているデザインの中から好きなものを顧客に選択させ、顧客の好みに応じたディスプレイシールの作製も可能である。
【0070】
この様なフルカラー細密画像を形成することが可能なトナー粒子としては、たとえば、丸みを帯びた形状を有し、かつ、粒径の小さなものが挙げられる。以下、本発明に係るディスプレイシールを形成する上で好ましいトナー粒子の粒径と形状について説明する。
【0071】
本発明で使用されるトナーを構成するトナー粒子の粒径は、たとえば、体積基準メディアン径で4μmから10μmであることが好ましく、5μmから8μmがより好ましい。トナー粒子の体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、細線の再現性や写真画像の高画質化が達成され、意匠性に優れた高画質のトナー画像を有するディスプレイシールを作製することが可能である。
【0072】
トナー粒子の体積基準メディアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピュータシステムを接続した測定装置を用いて測定、算出されるものである。
【0073】
測定手順としては、トナー0.02gを界面活性剤溶液20ミリリットル(トナーの分散を目的として、たとえば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、1分間超音波分散してトナー分散液を調製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度5%〜10%になるまでピペットで注入する。この濃度範囲とすることで再現性のある測定値が得られる。そして、測定装置において、測定粒子カウントを25000個、アパチャー径を50μmに設定し、測定範囲である1μm〜30μmの範囲を256分割して頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準メディアン径とする。
【0074】
また、上記トナー粒子の形状は、丸みを帯びたものであることが好ましく、トナー粒子の形状は、たとえば、下記式で規定される平均円形度により表すことができる。具体的には、平均円形度の値が0.700から1.000であることが好ましく、0.850から0.990がより好ましいものである。
【0075】
平均円形度=円相当径より求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
トナー粒子の平均円形度は、たとえば「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定することが可能である。
【0076】
具体的には、トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散処理を1分間行ってトナー粒子を分散させる。上記分散処理を行った後、前記「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードに設定して、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。
【0077】
本発明で使用可能なトナー粒子を製造する方法は、特に限定されるものではなく、粉砕法の他、乳化分散法、懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法等の重合法、その他の公知の方法等を挙げることができる。これらの中でも、重合法によるトナー作製はその製造工程で粒子の形状や大きさを制御しながら所望のトナーを形成することが可能で、細密画像を構成する微小ドット画像を忠実に再現する小径トナーの作製に最適なものである。
【0078】
そして、重合法によるトナー製造方法の中でも、乳化重合法や懸濁重合法により予め120nm前後の樹脂粒子を形成し、この樹脂粒子を凝集、融着させて粒子形成を行う乳化会合法は本発明で用いるトナー粒子を作製する好ましい方法の1つである。すなわち、乳化会合法は、樹脂粒子の凝集・融着工程やその後に続く熟成工程の条件を制御することにより、上記範囲の体積基準メディアン径と平均円形度を有するトナー粒子を安定的に作製することを可能にするトナー粒子製造方法である。
【0079】
トナー粒子を粉砕法、乳化分散法等により作製する場合、結着樹脂として、たとえば、以下のものを使用することが可能である。すなわち、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂等の公知の樹脂の使用が可能である。これらを1種類単独で、あるいは、2種類以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0080】
一方、重合法によりトナー粒子を作製する場合、すなわち、前述の懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法等により作製する場合は、結着樹脂を作製するために以下に示す様なビニル系の重合性単量体が用いられる。重合法によりトナー粒子を作製する場合に使用される重合性単量体としては、たとえば、以下に挙げるスチレン系単量体やメタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、オレフィン系単量体等が挙げられる。
【0081】
先ず、スチレン系単量体の具体例としては、たとえば、以下に示すスチレンやスチレン誘導体がある。すなわち、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等。
【0082】
また、メタクリル酸エステル系単量体の具体例としては、たとえば、以下に示すメタクリル酸エステル誘導体がある。すなわち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等。
【0083】
また、アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、たとえば、以下に示すアクリル酸エステル誘導体がある。すなわち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等。
【0084】
また、オレフィン系単量体の具体例としては、たとえば、エチレン、プロピレン、イソブチレン等がある。
【0085】
また、上記ビニル系単量体の他に、以下に示すハロゲン化ビニル系単量体やビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、ビニルケトン系単量体等もある。ハロゲン化ビニル系単量体の具体例には、たとえば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等がある。また、ビニルエステル系単量体の具体例には、たとえば、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等がある。また、ビニルエーテル系単量体の具体例には、たとえば、ビニルメチルエーテルやビニルエチルエーテル等があり、ビニルケトン系単量体の具体例には、たとえば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等がある。
【0086】
さらに、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物系の単量体化合物やビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体等のビニル系単量体がある。これらのビニル系単量体は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0087】
また、イオン性解離基を有する重合性単量体を組み合わせて用いることも可能である。イオン性解離基を有する重合性単量体は、たとえば、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等の置換基を構成基として有するものである。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等がある。
【0088】
さらに、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を用いて架橋構造の樹脂を得ることもできる。
【0089】
次に、本発明で使用されるトナーに使用可能な着色剤、ワックス等について説明する。
【0090】
本発明では、良好な仕上がりのシール製品を作製するので、トナー粒子中に以下に示す着色剤を含有させることが可能である。先ず、黒色の着色剤としては、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックがあり、さらにマグネタイト、フェライト等の磁性粉も使用可能である。
【0091】
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、たとえば、顔料として、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同202、同206、同207、同209、同222、同238、同269等がある。また、染料として、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122等がある。
【0092】
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、たとえば、顔料として、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同155、同162、同180、同185等がある。また、染料として、C.I.ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同44、同56、同61、同77、同79、同80、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162等がある。
【0093】
さらに、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、たとえば、顔料として、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66、C.I.ピグメントグリーン7等がある。また、染料として、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等がある。
【0094】
本発明では、イエロー、マゼンタ、シアントナーを用いて高精彩な画像を得るために染料を用いることも可能である。これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を併用することも可能である。着色剤の含有量は、トナー粒子中に0.5質量%から20質量%とすることが好ましく、2質量%から10質量%がより好ましい。
【0095】
また、本発明に使用されるトナーは、トナー粒子中にワックスを含有させることも可能で、公知のワックスを使用することができる。ワックスの具体例としては、低分子量のポリプロピレンやポリエチレン、酸化型のポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスが好ましいものとして挙げられる。ワックスの含有量は、トナー粒子中に1質量%から30質量%が好ましく、3質量%から15質量%がより好ましい。
【0096】
また、トナーの帯電性向上のためにトナー粒子中に荷電制御剤(帯電制御剤ともいう)を含有させることも可能である。荷電制御剤荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電付与が行えるものであれば、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することが可能である。
【0097】
摩擦帯電によりトナーを正に帯電する正帯電制御剤としては、たとえば、ニグロシン系染料や第4級アンモニウム塩、アルコキシ化アミン、アルキルアミド、モリブテン酸キレート顔料、イミダゾール化合物等がある。そして、市販のニグロシン系染料として「ニグロシンベースEX(オリエント化学工業社製)」等、市販の第4級アンモニウム塩として「第4級アンモニウム塩(オリエント化学工業社製)」、「コピーチャージPX VP435(ヘキストジャパン社製)」等がある。さらに、市販のイミダゾール化合物として「PLZ1001(四国化成工業社製)」等がある。
【0098】
また、摩擦帯電によりトナーを負に帯電する負帯電制御剤としては、たとえば、金属錯体、チオインジゴ系顔料、第4級アンモニウム塩、カリックスアレーン化合物、ホウ素化合物、フッ化マグネシウムやフッ化カーボン等のフッ素化合物等がある。市販の金属錯体としては、オリエント化学工業社製の「ボントロンS−22」、「ボントロンS−34」、「ボントロンE−81」や、保土ヶ谷化学工業社製の「スピロンブラックTRH」等がある。また、市販の第4級アンモニウム塩として「コピーチャージNX VP434(ヘキストジャパン社製)」等、市販のカリックスアレーン化合物として「ボントロンE−81(オリエント化学工業社製)」等、市販のホウ素化合物として「LR147(日本カーリット社製)」等がある。さらに、負帯電制御剤として使用される金属錯体には、上記市販品の他に、オキシカルボン酸金属錯体、ジカルボン酸金属錯体、アミノ酸金属錯体、ジケトン金属錯体、ジアミン金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ベンゼン誘導体骨格金属錯体、アゾ基含有ベンゼン−ナフタレン誘導体骨格金属錯体等を使用することが可能である。
【0099】
荷電制御剤の含有量は、トナー粒子中に0.01質量%から30質量%が好ましく、0.1質量%から10質量%がより好ましい。
【0100】
また、本発明で使用されるトナーは、必要に応じてトナー粒子表面へ外添剤を添加、混合したトナーとすることも可能で、外添剤の添加により流動性や帯電性、クリーニング性等を向上させることができる。代表的な外添剤としては、以下に示す無機酸化物微粒子や無機ステアリン酸化合物微粒子、無機チタン酸化合物粒子等の無機微粒子が挙げられる。
【0101】
無機酸化物微粒子;シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子等
無機ステアリン酸化合物微粒子;ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等
無機チタン酸化合物微粒子;チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛等
これら無機微粒子は、耐熱保管性や環境安定性を向上させるために、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等により表面処理を施したものが好ましい。
【0102】
外添剤の添加量は、その合計がトナー100質量部に対して0.05質量部から5質量部が好ましく、0.1質量部から3質量部がより好ましい。また、複数種類の外添剤粒子を組み合わせて使用することも可能である。
【0103】
本発明で使用されるトナーは、トナーのみから構成される磁性または非磁性の一成分現像剤として使用可能であるが、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として使用することも可能である。トナーを二成分現像剤として使用する場合、キャリアとしては、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等、従来より公知の材料を磁性粒子として使用することが可能である。これらの中でもフェライト粒子が好ましい。
【0104】
また、磁性粒子表面を樹脂等で被覆したコートキャリアやバインダ樹脂中に磁性体微粉末を分散させたバインダ型キャリアも使用可能である。コートキャリアを構成する被覆樹脂は、特に限定されるものではないが、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル共重合体系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等がある。また、バインダ型キャリアを構成する樹脂も、特に限定されるものではなく公知のものが使用可能で、たとえば、スチレンアクリル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、フェノール系樹脂等の使用が可能である。
【0105】
キャリアの体積基準メディアン径は20μmから100μmが好ましく、20μmから60μmがより好ましい。キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分析装置「HELOS(シンパテック(株)製)」により測定可能である。
【0106】
次に、シール材料10を構成する第一の剥離シート12aへトナー画像を転写することが可能な画像形成装置について図3を用いて説明する。図3は、第一の剥離シート12へ転写させる未定着のトナー画像Tを形成することが可能な画像形成装置3の構成を説明する概略図である。
【0107】
画像形成装置3は、ドラム状の像担持体である感光体ドラム31と、その周面に沿って配置された帯電部32、現像部34、転写部35、分離部36、クリーニング部37等を有するものである。
【0108】
図中の矢印aは、感光体ドラム31の感光面である周面を走査露光する図示しない画像書込部のレーザビームの光路を示し、矢印bはトナー画像が転写される前の剥離シート12の進路を、矢印cは転写されたトナー画像を担持する第一の剥離シート12aの進路を示す。また、矢印rは感光体ドラム31の回転方向を示す。
【0109】
帯電部32のコロナ放電により一様帯電された感光体ドラム31へ、図示しない画像書込部により画像情報を担持したビーム光にて走査露光がなされ、感光体ドラム31上に潜像が形成される。形成された潜像は感光体ドラム31の回転により現像部34との対向位置で現像部34よりトナーの供給を受けて現像されトナー画像Tとなる。
【0110】
現像された像の位置に対応して、第一の剥離シート12aがタイミングローラ52によって送り出され、転写部35の作用により感光体ドラム31上のトナー画像Tは第一の剥離シート12a上に転写される。
【0111】
トナー画像Tを担持した第一の剥離シート12aは、分離部36の作用により感光体ドラム31から分離される。そして、感光体ドラム31近傍には分離爪38が配置され、分離爪38の先端を感光体ドラム31表面に当接させることにより、第一の剥離シート12aが感光体ドラム31より確実に離脱できる様にしている。
【0112】
画像形成装置3では、トナー画像Tを担持した第一の剥離シート12aを分離した後、クリーニング部37により感光体ドラム31の面上に残存するトナーの除去が行われる。クリーニング部37は、たとえばポリウレタン樹脂等の弾性を有する樹脂で作製されているクリーニングブレード371を有し、クリーニングブレード371の先端で回転駆動する感光体ドラム31の面を摺擦することにより、感光体ドラム31面に残存するトナーを除去する。以上の手順を経て、図3に示す画像形成装置3は、第一の剥離シート12a上に未定着のトナー画像Tを転写、担持させている。
【実施例】
【0113】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に示す形態のみに限定されるものではない。
【0114】
1.「ディスプレイシール1〜21」の作製
1−1.「剥離シートA〜F」の作製
(1)「剥離シートA〜D」の作製
下記に示す市販の用紙表面に市販の低温硬化型シリコーンエラストマー材料「SE1740」(東レ・ダウコーニング社製)をバーコータで塗布し、80℃で1時間加熱硬化処理することにより厚さ5μmの樹脂層を有する「剥離シートA、B」を用意した。一方、上記手順による樹脂層を形成しないで、用紙をそのまま剥離シートとしたものを「剥離シートC、D」とする。なお、「剥離シートA、C」の作製に使用した用紙は「Jペーパー」(コニカミノルタビジネスソリューションズ社製)で、「剥離シートB、D」の作製に使用した用紙は「PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)である。
【0115】
(2)「剥離シートE、F」の作製
厚さ50μmの市販の透明ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、上記市販の低温硬化型シリコーンエラストマー材料「SE1740」(東レ・ダウコーニング社製)をバーコータで塗布し、80℃で1時間加熱硬化処理することにより厚さ5μmの樹脂層を有する「剥離シートE」を用意した。また、上記手順による樹脂層を形成しないで、上記PETフィルムをそのまま剥離シートとしたものを「剥離シートF」とする。
【0116】
以上の手順で作製した「剥離シートA〜F」を下記表1に示す。なお、下記表1中で、前記「Jペーパー」を「J紙」、前記「PODグロスコート紙」を「グロスコート紙」としている。
【0117】
【表1】

【0118】
1−2.「粘着剤シート1〜6」の作製
(1)「粘着剤シート1」の作製
粘着剤シート用の基材として、市販の透明ポリエチレンテレフタレートフィルムベース(厚さ50μm、透過濃度0.05)を用意し、これを1辺の長さ10cmの正方形の形状になるように裁断してシール材料用の基材とした。当該基材上に市販のシリコーンゲル材料A「CY52−276」(東レ・ダウコーニング(株)製)をバーコータで塗布し、70℃で1時間加熱硬化処理を施し、基材厚さを含めた厚さ100μmの「粘着剤シート1」を作製した。上記手順で作製した「粘着剤シート1」はJIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが1未満のものであった。
【0119】
(2)「粘着剤シート2」の作製
前記「粘着剤シート1」の作製で使用したシリコーンゲル材料Aに代えて、市販のシリコーンゲル材料B「SE1891H」(東レ・ダウコーニング(株)製)を用いた他は同じ手順を採ることにより「粘着剤シート2」を作製した。上記手順で作製した「粘着剤シート2」も前記「粘着剤シート1」同様、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが1未満のものであった。
【0120】
(3)「粘着剤シート3」の作製
前記「粘着剤シート1」の作製で、粘着剤用材料として、前述のシリコーンゲル材料Bを1質量%、市販のシリコーンエラストマー材料A「SE1740」(東レ・ダウコーニング(株)製)を99質量%となる様に混合、調製したものを用いた。また、加熱硬化処理を温度120℃の下で1時間行うものに変更した。その他は同じ手順を採ることにより、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが2の「粘着剤シート3」を作製した。
【0121】
(4)「粘着剤シート4」の作製
前記「粘着剤シート3」の作製で、粘着剤用材料に前記シリコーンゲル材料Bを1質量%、前記シリコーンエラストマー材料Aを90質量%、市販のシリコーンエラストマー材料B「Sylguard184」を9質量%となる様に混合、調製したものを用いた。その他は同じ手順を採ることにより、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが5の「粘着剤シート4」を作製した。
【0122】
(5)「粘着剤シート5、6」の作製
前記「粘着剤シート3」の作製で、粘着剤用材料として、前記シリコーンエラストマー材料Aを84質量%、前記シリコーンエラストマー材料Bを16質量%となる様に混合、調製したものを用いた。その他は同じ手順を採ることにより、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが10の「粘着剤シート5」を作製した。また、前記「粘着剤シート3」の作製で、粘着剤用材料として、前記シリコーンエラストマー材料Aを80質量%、前記シリコーンエラストマー材料Bを20質量%となる様に混合、調製したものを用いた。その他は同じ手順を採ることにより、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが12の「粘着剤シート6」を作製した。
【0123】
以上の手順で作製した「粘着剤シート1〜6」について、粘着剤用材料を作製する際に使用した各材料の質量比とJIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さを下記表2に示す。
【0124】
【表2】

【0125】
1−3.「シール材料1〜14」の作製
下記表3に示す様に、前記表1に記載の「剥離シートA〜F」と前記表2に記載の「粘着剤シート1〜6」を組み合わせて、下記表3に示す様に「シール材料1〜14」を作製した。このうち、「シール材料7」は「第一の剥離シート」を搭載しないもので、トナー画像を感光体より直接粘着剤シートに未定着のトナー画像を転写するものである。なお、下記表3では、「第一の剥離シート」を「第一剥離シート」、「第二の剥離シート」を「第二剥離シート」としている。
【0126】
【表3】

【0127】
1−4.「トナー粒子1〜4」の作製
乳化会合法により「トナー粒子1〜3」を、また、粉砕法により「トナー粒子4」を作製した。すなわち、
(1)「トナー粒子1」の作製
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、上記界面活性剤溶液に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とした後、下記化合物を含有する重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。
【0128】
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチル−3−メルカププトプロピオネート 16質量部
滴下後、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い「樹脂粒子1h」を含有する「樹脂粒子分散液1h」を作製した。
【0129】
(b)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、を添加し、90℃に加温して溶解させて単量体溶液を調製した。
【0130】
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱した。この界面活性剤溶液に、前記「樹脂粒子1h」を固形分換算で260質量部と下記化合物を含有する重合性単量体混合液を添加した。すなわち、
スチレン 245質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5質量部
ワックス「HNP−11(日本精鑞社製)」 67質量部
添加後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて1時間混合分散処理を行うことにより乳化粒子を含む分散液を調製した。
【0131】
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、この系を82℃で1時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、「樹脂粒子1HM」を含有する「樹脂粒子分散液1HM」を作製した。
【0132】
(c)第3段重合
上記「樹脂粒子分散液AHM」に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にした後、下記化合物を含有する重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 435質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 33質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「樹脂粒子a」を含有する「樹脂粒子分散液A」を作製した。上記「樹脂粒子分散液A」に含有される「樹脂粒子A」の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ、体積基準メディアン径で150nmであった。また、公知の方法でガラス転移温度を測定したところ45℃であった。
【0133】
(d)「着色剤粒子分散液」の調製
ドデシル硫酸ナトリウム10質量%水溶液900質量部を撹拌しながら、市販の着色剤(カーボンブラック;「リーガル330R(キャボット社製)」)100質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理することにより着色剤分散液を調製した。前記着色剤分散液中の着色剤粒子の平均分散径を市販の動的光散乱式粒度分布測定装置「マイクロトラックUPA150(マイクロトラック社製)」で測定したところ150μmであった。
【0134】
(e)「トナー母体粒子1」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂粒子分散液A」 300質量部(固形分換算)
イオン交換水 1400質量部
「着色剤粒子分散液」 120質量部(固形分換算)
を投入した。さらに、ポリオキシエチレン−2−ドデシル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解した溶液を添加し、液温を30℃にした後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
【0135】
次いで、塩化マグネシウム・6水和物35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を、撹拌状態の下で30℃にて10分間かけて添加して3分間保持してから昇温を開始した。昇温は60分かけて90℃まで行い、90℃に保持した状態で上記粒子の凝集、融着を行った。この状態で「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用いて反応容器内で成長する粒子の粒径測定を行い、体積基準メディアン径が6.5μmになったときに塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子の成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温を98℃にして加熱撹拌を行い、「FPIA−2100(シスメックス社製)」による測定で平均円形度が0.930になるまで粒子の融着を進行させた。
【0136】
その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液のpHを2に調整して撹拌を停止した。この様にして「トナー母体粒子分散液1」を作製した。
【0137】
上記工程を経て作製した「トナー母体粒子分散液1」をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、「トナー母体粒子1」のウェットケーキを形成した。
【0138】
このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより「トナー母体粒子1」を作製した。
【0139】
(f)「トナー粒子1」の作製
作製した「トナー母体粒子1」100質量部に対し、数平均一次粒径が80nmの疎水性シリカ微粒子を3.5質量%、数平均一次粒径が10nmの疎水性チタニア微粒子を0.6質量%になる様に添加した。そして、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用いて周速35m/sで25秒間混合処理することにより、体積基準メディアン径が6.5μm、平均円形度0.930の「トナー粒子1」を作製した。
【0140】
(2)「トナー粒子2、3」の作製
前記「トナー粒子1」の作製で、トナー母体粒子を作製する際、粒子の体積基準メディアン径が5.0μmになったときに前記塩化ナトリウム水溶液を添加して粒子成長を停止させた。また、前記熟成処理時に「FPIA−2100(シスメックス社製)」による測定で平均円形度が0.990になるまで粒子の融着を進行させた。その他は同じ手順を採ることにより体積基準メディアン径が5.0μm、平均円形度0.990の「トナー粒子2」を作製した。
【0141】
また、トナー母体粒子を作製する際、粒子の体積基準メディアン径が8.0μmになったときに前記塩化ナトリウム水溶液を添加して粒子成長を停止させた。また、前記熟成処理時に「FPIA−2100(シスメックス社製)」による測定で平均円形度が0.850になるまで粒子の融着を進行させた。その他は同じ手順を採ることにより体積基準メディアン径が8.0μm、平均円形度0.850の「トナー粒子3」を作製した。
【0142】
(3)「トナー粒子4」の作製
上記「トナー粒子1〜3」を形成する結着樹脂及び着色剤と同じものを、市販の二軸混練装置へ投入し、混練、粉砕処理を行うことにより、体積基準メディアン径が8.5μm、平均円形度が0.700の「トナー粒子4」を作製した。
【0143】
1−5.「ディスプレイシール1〜21」の作製
(1)「ディスプレイシール1〜14」の作製
上記手順で作製した1辺の長さ10cmの正方形の「シール材料1〜6、8〜14」より、第一の剥離シートを剥がし、定着装置を取り外した市販の画像形成装置「bizhub C253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)に前記第一の剥離シートをセットした。そして、第一の剥離シート上に「トナー粒子1」を用いて、人物写真画像と細線画像(8本/mm、6本/mm、4本/mm)からなるトナー画像を形成した。前記トナー画像を形成した第一の剥離シートを、前記「シール材料1〜6、8〜14」の粘着剤シート面上へ5×10Paの押圧力で貼付して、トナー画像を有する「ディスプレイシール1〜6、8〜14」を作製した。
【0144】
(2)「ディスプレイシール7」の作製
前記定着装置を取り外した画像形成装置に「シール材料7」セットし、粘着剤シート上に前記人物写真画像と細線画像からなるトナー画像を形成した。トナー画像が担持された粘着剤シート面上に「剥離シートC」を5×10Paの押圧力で貼付して「ディスプレイシール7」を作製した。
【0145】
(3)「シール製品15〜17」の作製
前記手順により「ディスプレイシール4」を作製する際、画像形成用のトナー粒子を「トナー粒子2〜4」に変更した他は同じ手順をとることにより「ディスプレイシール15〜17」を作製した。
【0146】
(4)「シール製品18、19」の作製
前記手順により「ディスプレイシール11」を作製した際、前記トナー画像を担持させた第一の剥離シートを粘着剤シート面上に貼付するときの押圧力を1×10Paに変更した他は同じ手順をとることにより「ディスプレイシール18」を作製した。また、前記手順により「ディスプレイシール14」を作製した際、前記トナー画像を担持させた第一の剥離シートを粘着剤シート面上に貼付するときの押圧力を1×10Paに変更した他は同じ手順をとることにより「ディスプレイシール19」を作製した。
【0147】
(5)「ディスプレイシール20」の作製
前記「ディスプレイシール7」を作製した際、前記トナー画像を担持させた粘着剤シート面上に「剥離シートC」を1×10Paの押圧力で貼付して「ディスプレイシール20」を作製した。
【0148】
(6)「ディスプレイシール21」の作製
前記画像形成装置に所定の定着装置を取り付け、基材として前記透明ポリエチレンテレフタレートフィルムベース(厚さ50μm、透過濃度0.05)を搭載し、当該基材上にトナー画像を形成した。次に、トナー画像を形成した基材に前述の「粘着剤シート4」を作製するときに使用した粘着剤用材料を塗布し、「粘着剤シート4」を作製するときと同じ条件で処理を行い、基材に定着画像を有する粘着剤シートを作製した。そして、当該粘着剤シートの片面に「剥離シートC」を、もう一方の面に「剥離シートE」を5×10Paの押圧力で貼付して「ディスプレイシール21」を作製した。
【0149】
上記「ディスプレイシール1〜21」を作製する際に使用したシール材料、トナー粒子、押圧力を表4に示す。また、表4では、作製したディスプレイシールのうち本発明の構成を有するものを実施例、本発明の構成を有していないものを比較例と表示した。
【0150】
【表4】

【0151】
2.評価実験
上記表4に示す「ディスプレイシール1〜21」について、以下に示す様に、貼付時の取扱性、接着性、ディスプレイシールの仕上がり、被着物へ貼付後の耐久性、トナー画像埋設性について評価を行った。ここで、表4に示す様に、「ディスプレイシール1〜6、8〜19」を「実施例1〜18」、「ディスプレイシール7、20、21」を「比較例1〜3」とした。
【0152】
〈取扱性〉
上記「ディスプレイシール1〜21」の粘着剤シートからの第一の剥離シートと第二の剥離シートの剥がし易さについて以下の様に評価し、○と△を合格とした。すなわち、
○;粘着剤シートより剥離シートをスムーズに剥離できた
△;剥離に若干時間を要したが、粘着剤シートへ損傷を与えなかった
×;剥離困難で、粘着剤シートにキズや折れ等の損傷を発生させた。
【0153】
〈接着性〉
上記「ディスプレイシール1〜21」が、以下に示す凹凸面上、曲面上、ヒトの関節部分上へシワを発生させずに貼り付けられるか否かを評価した。ここで、凹凸面上への貼付を行う際の被着物として、ピッチ32mmの市販のポリ塩化ビニル樹脂製波板(タキロン社製、幅634mm、長さ1829mm)を用いた。また、曲面上への貼付を行う際の被着物として、市販の4号バレーボール「モルテンMTV4SLW」(モルテン社製、白色、人工皮革貼り、直径20cm、注入圧力300hPa)を用いた。さらに、ヒトの関節部分への貼付を行う際の被着物として、研究者の両ヒザを用いた。粘着剤シート上にシワを発生させずに被着物へ貼付できたものを合格(○)とし、被着物へ貼付する際にシワを発生させたものを不合格(×)とした。
【0154】
〈仕上がり性〉
第一及び第二の剥離シートを剥離してガラス平板上へ貼付した上記「ディスプレイシール1〜21」について、粘着剤シートそのものの仕上がりと形成したトナー画像(人物写真画像と細線画像)の仕上がりを以下の様に評価し、○と△のものを合格とした。すなわち、
○;粘着剤シート上にキズが発生していないこと、人物写真画像に濃度低下がないこと、及び、全ての細線画像についてルーペ観察で線のつぶれや切れがみられないこと
△;粘着剤シート上にキズがないこと、人物写真画像に濃度低下がないこと、及び、全ての細線画像について肉眼観察で線のつぶれや切れがみられないもの
×;肉眼観察で、粘着剤シート上のキズ発生、人物写真画像の画像濃度低下、または、細線画像上で切れ等の画像欠陥が認められたもの。
【0155】
〈トナー画像耐久性〉
前記「接着性」の評価で研究者の両ヒザに貼付した試料を用いて評価を行った。具体的には、両ヒザに試料を貼り付けた状態で20回の屈伸を行い、屈伸後の粘着剤シート面とトナー画像を目視観察して以下の様に評価した。○と△を合格のものを合格とした。すなわち、
○;粘着剤シート面とトナー画像の両方にひび割れ等の破損や変形が全くなかったもの
△;粘着剤シート面に破損がなく、トナー画像は若干変形したもののひび割れ等の破損はなかったもの
×;粘着剤シート面とトナー画像の一方にひび割れ等の破損が発生したもの。
【0156】
〈トナー粒子埋設性〉
前記「仕上がり性」の評価でガラス平板に貼付した上記「ディスプレイシール1〜21」の粘着剤シート面上に白紙を5分間押し当て、押し当てた白紙を目視観察して白紙上にトナーが存在しないものを合格(○)とし、トナーの存在が認められるものを不合格(×)とした。
【0157】
以上の結果を下記表5に示す。
【0158】
【表5】

【0159】
表5に示す様に、本発明の構成を有するディスプレイシールを評価した「実施例1〜18」は、取扱性、接着性、仕上がり性、耐久性、トナー粒子埋設性のいずれもが良好な結果が得られるものになった。一方、本発明の構成を有さないディスプレイシールを評価した「比較例1〜3」は、上記「実施例1〜18」で得られた様な結果にはならないことが確認された。
【符号の説明】
【0160】
1 ディスプレイシール
10 シール材
11 粘着剤シート
12 剥離シート
12a 第一の剥離シート
12b 第二の剥離シート
3 画像形成装置
31 感光体ドラム
32 帯電部
34 現像部
35 転写部
36 分離部
37 クリーニング部
H 被着物
T トナー画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
トナー粒子を埋設するとともに、付着が可能な可撓性の粘着剤シートと、
前記粘着剤シートの一方の面を被覆し、未定着のトナー画像を前記粘着剤シートへ供給する第一の剥離シートと、
前記粘着剤シートのもう一方の面を被覆する第二の剥離シートを有することを特徴とするディスプレイシール。
【請求項2】
前記第一の剥離シートと前記第二の剥離シートの少なくとも一方が、前記粘着剤シートと接触する側に樹脂層を有するものであることを特徴とする請求項1に記載のディスプレイシール。
【請求項3】
前記第二の剥離シートが、透明な材質で形成されているものであることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイシール。
【請求項4】
前記粘着剤シートに使用されている粘着剤は、JIS K6253 タイプAに準じて測定される硬さが2以上10以下のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスプレイシール。
【請求項5】
前記粘着剤シートは、少なくとも、シリコーン樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイシール。
【請求項6】
前記剥離シートの樹脂層に使用されている樹脂が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイシール。
【請求項7】
前記未定着のトナー画像を構成するトナー粒子は、
体積基準メディアン径が5μm以上8μm以下であり、かつ、平均円形度が0.850以上0.990以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイシール。
【請求項8】
少なくとも、トナー粒子を埋設させて形成したトナー画像を有する粘着剤シートと、前記粘着剤シートを被覆する第一の剥離シートと第二の剥離シートを有するディスプレイシールの製造方法であって、
電子写真方式の画像形成により感光体に形成した未定着のトナー画像を担持させた前記第一の剥離シートを前記粘着剤シートに重畳させ、
重畳させた前記第一の剥離シートより前記粘着剤シートへトナー粒子を埋設させることにより前記粘着剤シートの中にトナー画像を形成することを特徴とするディスプレイシールの製造方法。
【請求項9】
前記第一の剥離シートより前記粘着剤シートへトナー粒子を埋設させるときに、1×10Pa以上1×10Pa以下の押圧力を付与して、前記粘着剤シートの中にトナー画像を形成することを特徴とするディスプレイシールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−23578(P2013−23578A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159608(P2011−159608)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】