説明

ディスプレイ照明システムおよびその製造方法

照明システム(8)は、光学的に透明な部品で作られかつ4つの端面(10、10’)を有する光導波路(18)を備える。端面(10)の1つを介して光導波路(18)中にその光が結合される光源(12)は、この端面(10)に向かい合って位置している。光導波路(18)は、光ガイド(30)を有する。いくつかのファイバ(34)が光ガイド(30)の表面(32)に取り付けられている。ファイバ(34)は、複屈折特性を有する。複屈折特性を与える好ましい方法は、適切なポリマー・プラスチック材料のファイバ(34)をその長手方向に引き伸ばすことである。光源(12)からの光はファイバ(34)によって偏光され、そして偏光が出口表面(16)を介して光導波路(18)から外部に結合される。照明システム(8)は、例えば移動電話、PDA、その他のLCDパネルのフロント・ライトまたはバック・ライトに使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的に透明でかつ出口表面と複数の端面とを有する光導波路を備える照明システムであって、その端面の少なくとも1つと向かい合って光源が位置し、その光源の光が前記少なくとも1つの端面で光導波路中に結合されるようになっており、光導波路が光源で放射された光を偏光させるために光導波路と一体化された偏光手段を有する照明システムに関する。
本発明は、さらに、光学的に透明でかつ出口表面および複数の端面を有する光導波路の偏光手段を製造する方法であって、光源がその端面の少なくとも1つと向かい合って位置するように構成され、その光源の光が前記少なくとも1つの端面で光導波路中に結合され、偏光手段が光源で放射された光を偏光させるように構成されている方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LCDディスプレイは、移動電話、PDAまたは他の電子デバイスの情報を使用者(以下で見る人と呼ぶ)にディスプレイするために使用されることが多い。LCDディスプレイは、好ましくは、偏光で照明される。照明は、光がディスプレイ・パネルを介して見る人の方に放射されるバック・ライト照明としてか、または光がディスプレイ・パネルの方に放射されそれから見る人の方に向けて逆に反射されるフロント・ライト照明としてかのどちらかで行われるかもしれない。国際出願97/08582は、ディスプレイ・パネルの照明を実現する光導波路を含んだディスプレイ・デバイスを記載している。光導波路は、複屈折材料で満たされた溝を備えている。溝の複屈折材料が、側面から入射する光を互いに逆の偏りを有する2つの光ビームに分割する。光導波路の溝は、このように異方性一軸材料(例えばネマチック液晶材料)で満たされて、照明すべきディスプレイ・パネルに向けて所望の偏りの外部結合(outcoupling)を実現する。しかし、光導波路は製造ステップに敏感であり、溝が表面特性および充填に関して高品質にならない場合には、実質的な量の望ましくない偏りの光が外部に結合されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術の欠点を減少させるか、またはなくして、製造し易くかつ実質的に所望の偏りの光だけの外部結合を実現する照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、プリアンブルに従った照明システムであって、偏光手段が、光学的に透明な材料で作られかつ前記少なくとも1つの端面で光導波路中に結合される前記光を受け取るように構成された光ガイドと、光学的に透明な材料で作られかつ複屈折特性を有する複数のファイバとを備え、ファイバが出口表面で光ガイド上に層を形成し、ファイバが光ガイドで受け取られた光を偏光させて、出口表面を介して偏光を外部に結合させるように構成されていることを特徴とする照明システムで達成される。
【0005】
本発明の利点は、非常に滑らかな表面を有するファイバが容易に入手可能なことが多いことである。ファイバの滑らかな表面のために、迷光の形成が減少し、また所望の方向に偏向された偏光の量が増す。ファイバは、好ましくは、例えば光通信領域または織物製造領域で主要商品として入手可能なようなファイバである。
【0006】
本発明の他の利点は、ファイバの種類、材料、形および直径を適切に選ぶことで複屈折性の程度を制御すること、およびそれらの特性を光ガイドに取り付けられる個々のファイバ全てについて同じにすることが、ファイバによって容易になることである。したがって、外部に結合される偏光に所望の方向を与える光導波路を実現することが非常に容易になる。
【0007】
従来技術の光導波路では、複屈折材料のいわゆるディレクタ機能すなわち光軸の向きの指示、すなわち、1つの偏りの特定の方向から入射する光が、偏りに依存して常光線屈折率か異常光屈折率かのどちらかのただ1つの屈折率だけを見るようにする機能は、必ずしも十分に制御されていない。したがって、従来技術では、1つの偏りの光、例えばs光は、常光線屈折率と異常光屈折率との両方を見ることができるので、それで望み通りに外部に結合されないいくらかの光が「無駄」になる。その上、従来技術では、さらに、他の偏り、例えばp光のいくらかの光が、また、常光線屈折率と異常光屈折率との両方を見るので、必然的にある程度外部に結合されるようになる。本発明は、改善されたディレクタ機能を提供し、所望の偏りの光の全てを、およびほとんど所望の偏りの光だけを外部に結合させる。
【0008】
請求項2に記載の対策は、外部に結合される偏光の方向のさらに優れた制御を実現するという利点を有する。
【0009】
請求項3に記載の対策は、ファイバに複屈折特性を与える効率のよい方法を実現するという利点を有する。プラスチック・ポリマー材料で作られたファイバは容易に利用できる。引伸ばしの程度を調整することによって、高い精度で複屈折特性を制御することができる。ファイバを引き伸ばすことで、ファイバの複屈折特性が入射光の方向に依存することが保証される。長手方向に引き伸ばされた引伸ばしファイバに対して垂直な方向に入射する光は、2つの異なる屈折率を見るが、一方で、ファイバ方向に入射する光は、常光線屈折率である1つの屈折率だけを見る。引伸ばしファイバに対して垂直に入射する特定の偏りの光、すなわちs光かp光はただ1つの屈折率だけを見るという点で、ファイバを引き伸ばすことは最適ディレクタ機能を可能にする。このように、所望の偏りの光は非常に高い程度で外部に結合されるようになり、一方で、望ましくない偏りの光はほとんど完全に外部に結合されなくなる。
【0010】
請求項4に記載の対策は、偏光を望ましくない方向に偏向させるかもしれない引っかき傷および汚れからファイバを保護するという利点を有する。さらに、樹脂層は、ファイバを光ガイド上の適切な位置に保持するのに役立つ。樹脂層は等方性であるので、それ自体では偏りに寄与しない。これによって、光学的光ガイドの偏り挙動がより制御し易くなる。
【0011】
請求項5に記載の対策は、複屈折率ファイバで偏向されない偏りの光は、また、樹脂層からファイバの中に入り次にファイバから樹脂層の中に戻るときに、偏向または反射されないという利点を有する。これによって、光導波路から外部に結合される望ましくない偏りの光の量が減少する。さらに、所望の偏りの光の方向の制御は、その光の望ましくない偏向および反射も起こらなくなるので、改善される。
【0012】
請求項6に記載の対策は、望ましくない偏りの光が所望の偏りの光と同じ方向で外部に結合されないように望ましくない偏りの光の方向を制御することが、さらに改善されるという利点を有する。
【0013】
請求項7に記載の対策は、また、所望の偏りの光の効率のよい、適切に画定された方向での外部結合を、実現するという利点を有する。所望の偏りの光で無駄にされるものはほとんどない。さらに、ファイバを密に詰めることによって、照明システムが照明することを目的とするディスプレイ・パネルのような対象物の表面にわたって非常に一様な光分布が実現される。
【0014】
請求項8に記載の対策は、編み組み構造および非編み組み構造が容易に使用できることが多く、かつ非常に密に詰まったファイバ構造を実現するという利点を有する。したがって、例えばディスプレイ・パネルの一様な照明が得られる。編み組み構造および非編み組み構造は、また、複屈折特性を与えるためにファイバの引伸ばしが使用される用途で特に扱いやすい。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、光導波路の偏光手段を製造する方法を提供することであり、この方法は、従来技術の方法よりも効率がよく、またより高い品質を有する偏光手段を実現する。この目的は、プリアンブルに記載の方法であって、前記少なくとも1つの端面で光導波路中に結合される前記光を受け取るための光ガイドを光学的に透明な材料で形成するステップと、光学的に透明な材料で作られたファイバを引き伸ばしてファイバに複屈折特性を与えるステップと、出口表面に近接した光ガイドの表面にファイバを取り付けて光ガイドで受け取られた光を偏光させ、かつ出口表面を介して偏光を外部に結合させるステップと、を特徴とする方法で達成される。
【0016】
この方法の利点は、引伸ばしの程度を調整してファイバの複屈折特性を高い精度で制御できることである。ファイバの引伸ばしは、一軸(長手方向)かまたは二軸である。一軸引伸ばしは、ファイバに複屈折特性を与えるので好ましい。ファイバの二軸引伸ばしは、ファイバに三屈折特性を与える。三屈折ファイバは、望ましくない偏りの光も外部に結合させるので、余り好ましくない。ファイバ自体は、迷光の量を減少させる滑らか表面を有する主要商品として容易に使用可能である。
【0017】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記述される実施形態から明らかになり、またその実施形態に関連して説明する。
【0018】
ここで本発明をより詳細に添付の図面を参照して説明する。
図は概略であり、一定の比でない。対応する部品は一般に同じ参照数字を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の説明で、「複屈折性の」は、透明物体が第1の偏りの光に対して1つの屈折率すなわち常光線屈折率を有し、前記第1の偏りに対して反対である第2の偏りの光に対して別の屈折率すなわち異常光屈折率を有することを意味する。複屈折を示す材料は、「異方性」と呼ぶことができる。光の偏りに無関係に同じ屈折率を有する材料は「等方性」と呼ばれる。
【0020】
図1に概略を示すディスプレイ・デバイスは、イメージ・ディスプレイ・パネル2および図示しない、見る人とディスプレイ・パネル2との間にあってディスプレイ・パネル2のフロント・ライト照明を実現する照明システム8を備える。
【0021】
イメージ・ディスプレイ・パネル2は、ツイスト・ネマチック(TN)、スーパツイスト・ネマチック(STN)または強誘電性効果に基づいた液晶材料5を2つの基板3、4の間に備えて、入射光の偏りの方向を変調する。イメージ・ディスプレイ・パネル2は、例えば、ピクセルのマトリックスを備え、そのピクセルの光反射画像電極6が基板3の上に設けられている。基板4は光透過性であり、例えばITO(インジウム錫酸化物)から成る1つまたは複数の光透過電極7を有する。画像電極は、駆動ユニット9によって駆動電圧を供給される接続線6’、7’を介して、電圧を与えられる。基板および電極は、知られているやり方で配向層15をコーティングされている。
【0022】
照明システム8は、光学的に透明な部品で作られかつ4つの端面10、10’を有する光導波路18を備える。端面の1つ例えば10を介して光導波路18中にその光が結合される光源12は、この端面に向かい合って位置している。光源12は、例えば、棒状蛍光灯であるかもしれない。特に、例えば携帯電話のような小さなイメージ・ディスプレイ・パネルを有するフラット・パネル・ディスプレイ・デバイスでは、光源は、代わりに、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)で構成されるかもしれない。
【0023】
光導波路18の出口面16はイメージ・ディスプレイ・パネル2に面している。光が結合されて入っていかない透明板の各端面10’は、反射板を備えることができる。このようにして、出口面16で外に結合されないで光導波路18を通って伝播し端面10’に達した光が、このようにこの端面10’を介して光導波路18を出るのが防止される。
【0024】
光が照明システム8の光出力に寄与することなく光導波路18を出るのを防ぐために、好ましいことに、ランプ12の光は、結合手段13を介して光導波路18中に結合される。
【0025】
ランプ12からの光ビーム20は、以下で述べるやり方で偏光に変換されるので、その結果、主に1つの偏りの光が反射型イメージ・ディスプレイ・パネル2の方に偏向され(ビーム21)、そして、ピクセルの状態に依存して、同じかまたは反対の極性で反射される(ビーム22)ようになる。
【0026】
ピクセルでの反射後、反対の偏りの光は、位相板またはリターダ(retarder)24で直線偏光に変換され、この実施形態で反射光が吸収されるような透過軸の方向を有する偏光子25に達する。同様に、同じ偏りの偏光は偏光子25を通過する。
【0027】
内部表面(例えば、表面16)で反射された迷光は、ビーム22の偏りに対して反対の偏りを有し、また、リターダ24によって、偏光子25で吸収される直線偏光に変換される(ビーム26)。また、内部反射によって光導波路18内に生じた寄生光も偏光子25で吸収される(ビーム27)。
【0028】
図2は、光導波路18の3次元図である。光導波路18は、PMMA(ポリメチルメタクリラート)のような優れた光学特性を有する材料で作られた直角平行六面体である平らな光ガイド30を備える。光ガイド30の寸法は、実際の用途に適合するように構成されるが、一般的な例として、PDA(個人向け携帯型情報機器)ディスプレイの場合、60mm×60mmで厚さが2mmであるかもしれない。光ガイド30は、ディスプレイ・パネル2に面した平らな表面32を有する。表面32の最上部に、いくつかの平行なファイバ34が互いに隣接して取り付けられて、平行ファイバ34の層35を形成している。ファイバ34は、ランプ12から光を受け取るこの端面10に対して平行である。ファイバ34の直径は、実際の用途に適合するように調整されるが、例として、25マイクロメートルであるかもしれない。
【0029】
ファイバ34は、引き伸ばしたとき複屈折特性を得るPET(ポリエチレンテレフタラート)またはPEN(ポリエチレンナフタラート)のような材料で作られる。すなわち、ファイバ34は、入射光に対して異方性である。一軸引伸ばしで、そのようなファイバは、正規屈折率とも呼ばれる常光線屈折率および異常光屈折率を得る。PETまたはPENファイバの場合、異常光屈折率は、常光線屈折率よりも大きい。引伸ばしの程度および材料によって、異常光屈折率が常光線屈折率とどのくらい異なるかが決まる。ファイバ34を表面32に取り付ける前に、異常光屈折率が得られる程度に、すなわちファイバ34が複屈折性になる程度に、ファイバ34を引き伸ばしておく。ファイバ34の光ガイド30への取り付けは、樹脂層36を使用して行う。液体状態の樹脂をファイバ34と一緒に光導波路30の上に積層し、その後例えばUV光を利用して硬化して、ファイバ34がその中に埋め込まれている樹脂層36を形成する。s偏光を外部に結合させるために、樹脂は、等方性でかつファイバ34の常光線屈折率と実質的に同じである屈折率を硬化状態で有するように選ばれる。他の実施形態で代わりにp偏光を外部に結合させることが望ましい場合には、硬化樹脂の屈折率はファイバの異常光屈折率と実質的に同じであるべきである。
【0030】
例として、図3は、光源12から放射された偏光されていない光のビーム20の挙動を示す。ビーム20が、複屈折性で異常光屈折率を有するファイバ34に入り、かつこの異常光屈折率はファイバ34が埋め込まれている樹脂層36の屈折率よりも大きいとき、ビーム20は、s偏光(すなわち、光波の面が紙の面と一致している)であるビーム21と、p偏光(すなわち、光波の面が紙の面に対して垂直である)であるビーム26とに分割される。図3から明らかなように、p偏光であるビーム26は、ファイバ34の常光線屈折率に支配され、ファイバ34の常光線屈折率は樹脂層36の屈折率と実質的に同じであるので、全然偏向されない。しかし、s偏光であるビーム21は、樹脂層36の屈折率よりも大きな異常光屈折率に支配されるので、偏向される。図3に示すように、ビーム21(s偏光)は、出口表面16に対して実質的に直角で光導波路18から外部に結合される。そして、ビーム21は、上で説明したようにディスプレイ・パネル2に入る。ビーム26は、光導波路18の内部で内部全反射され、最後に、光導波路18から小さな角度で外部に結合されるので、ビーム26はディスプレイ・パネル2に達しないか、または端面10、10’のうちの1つを介して光導波路18を出る。
【0031】
図3に示すように、光源12からの光は、光ガイド30の面からいくぶん小さな角度で光ガイド30中に結合されるが、一方で、外部に結合されるs偏光は、光ガイド30の面に対して垂直で外部に結合される。光源12からの光ビーム20の小さな角度のために、望ましくない極性の光すなわちp偏光は出口表面16を介して外部に結合されなくなり、代わりに、その表面16で反射されるようになる。
【0032】
図4は、本発明の他の実施形態である。図3の実施形態に比べて主な差は、照明システム108が、樹脂層36に埋め込まれた楕円形ファイバ134を含む光導波路118を備えることである。楕円形ファイバ134は、図4に示すように、ビーム21を形成するs偏光のより大きな偏向を生じさせる。
【0033】
図5は、本発明のさらに他の実施形態を示す。図2の実施形態と比較して主な差は、光導波路218がファイバ234を有し、そしてこのファイバ234が、樹脂層236中に埋め込まれて光ガイド30に取り付けられた編み組み構造240の一部を形成することである。編み組み構造240を埋め込む前に、編み組み構造240は、光源12と向かい合っている端面10に平行な方向に引き伸ばされている。編み組み構造240を引き伸ばすことで、端面10に平行なそのファイバ234は、複屈折特性を与えられ、図3で説明した同じ原理に従って光源12からの光を偏光させる。
【0034】
図6〜図8は、本発明の効率を証明するために行われた実験の結果を示す。実験では、Eldim S.AのEzcontrast160測定システムを使用して、偏光角度輝度分布を測定した。図6〜図8の目盛は、3から260lm/cdまでを表す。図6は、先に言及した国際出願WO97/08582に記載されたものに設計が似ている従来技術光導波路のs偏光(s光)の外部結合を示す。この場合はs光である偏光を外部に結合させる所望の方向は、先に言及したように、光導波路の出口表面16に対して垂直である。図6では、この所望の方向の輝度は、0および180表示を通る軸に沿って示されている。しかし、図6から明らかなことであるが、従来技術光導波路もまた90表示の近くで高い輝度を示す。この90表示に沿った輝度は、小さな角度で、すなわち出口表面に対して垂直でなくほとんど出口表面に沿って、外部に結合されるようになったs光を表す。そのような小さな角度のs光は、ディスプレイ・パネルに達しないで、無駄にされる。小さな角度でのs光の同じくらい大きな外部結合は、おそらく溝および溝を満たす異方性一軸ネマチック液晶材料の不規則での光の散乱によっている。
【0035】
本発明を試験するために、本発明に従った光導波路を製造した。平らなPMMA光ガイドを形成した。PET膜を元の長さの4.2倍に引き伸ばして複屈折特性を得て、その後、ファイバに切断した。そして、UV光で硬化された後で光導波路と同じでかつファイバの常光線屈折率と実質的に同じ屈折率を有するアクリル樹脂を利用して、ファイバを光ガイドの上に積層した。
【0036】
図7は、本発明に従った光導波路のs光の輝度を示す。図7から明らかなことであるが、s光のほとんどは出口表面に対して垂直な方向で外部に結合される(すなわち、s光輝度は、0−180軸に沿って強い最大を有する)。
【0037】
図8は、本発明に従った光導波路のp偏光(p光)の輝度を示す。図8から明らかなことであるが、出口表面に対して垂直で外部に結合されるp光はほとんどない(すなわち、0−180軸に沿ったp光輝度は非常に低い)。出口表面に対して垂直な方向でのs光輝度対p光輝度の約数(コントラストとも呼ばれる)は、約15である。したがって、本発明に従った光導波路は、ディスプレイ・パネルを照明する偏光を供給する効率が非常によいことが明らかである。引き伸ばしたPET膜を切断して得られるものよりも適切に画定された滑らかな表面特性を有する、光ファイバのようなファイバでは、非常に高いコントラストが本発明を利用した結果であるかもしれないし、また余りにも小さな角度で外部に結合されるs光の量はさらに減少するかもしれないと考えられる。
【0038】
理解されることであろうが、添付の特許請求の範囲内で、上述の実施形態の多数の修正が可能であろう。
【0039】
したがって、例えば、ファイバは、図5で説明したように編み組み構造の一部を形成するかもしれないし、図3で説明したように平行なファイバであるかもしれないし、または非編み組み構造の一部を形成するかもしれない。
【0040】
引伸ばしは、ファイバの長手方向に行うべきである。編み組み構造および非編み組み構造では、引伸ばしは、好ましくは、光源が向かい合って位置付けされている端面に対して平行なその方向で行われる。引伸ばしの程度は、使用されるファイバの所望複屈折特性を得るように選ばれるかもしれない。
【0041】
1つの光源を使用する代替えとして、相対する端面にある2つの光源を使用することも可能である。
【0042】
編み組み構造または非編み組み構造に含まれるファイバでは、引伸ばしは、2つの直角をなす方向で行われるかもしれない。したがって、第1の方向にあるファイバは第1のステップで一軸に引き伸ばされ、そして第2の垂直な方向にあるファイバは第2のステップで一軸に引き伸ばされるかもしれない。そのとき、編み組み構造または非編み組み構造が一体化された導波路の2つの直角をなす端面に、2つの光源を位置付けすることができる。そのような場合、両方向から入射する光は、編み込み構造または非編み組み構造の複屈折ファイバで偏光させることができる。
【0043】
また、ファイバのいくらかが複屈折性であり、他は等方性かまたは僅かに複屈折性であるファイバの層を得るように、ファイバを混合することも可能である。
【0044】
個々のファイバは、光ガイドの全長または全幅に沿って延びることができ、または導波路の全長に沿って延びるように配列された短い長さの複数のファイバを使用することができる。
【0045】
図1に示すディスプレイ・デバイス1は、いわゆるフロント・ライト照明システム8を備える。すなわち、照明システム8は、ディスプレイ・パネル2と、偏光子25を介して放射された光を観察する見る人との間にある。本発明に従った照明システムはバック・ライト・システムとしても使用できることは明らかである。すなわち、ディスプレイ・パネルは照明システムと見る人との間にある。バック・ライト照明システムでは、光導波路からの偏光はディスプレイ・パネルの方に向けられ、そして、ピクセルの状態に依存して、その偏光のうちのいくらかがディスプレイ・パネルを通過し見る人に達することができるようになる。このように、本発明は様々な型の液晶ディスプレイ(例えば、透過反射型、反射型、または透過型)および様々な種類の液晶効果に応用することができ、先に与えた実施例に限定されない。
【0046】
ファイバ34の代わりとして、また、ストリップおよび同様な物を使用することも可能である。円形、楕円形、正方形または三角形のファイバの形が、常光線屈折率と異常光屈折率との間の関係と共に、外部に結合される光の方向を決定する。
【0047】
要約すると、照明システム8は、光学的に透明な部品で作られかつ4つの端面10、10’を有する光導波路18を備える。端面10の1つを介して光導波路18中にその光が結合される光源12は、この端面10に向かい合って位置している。光導波路18は、光ガイド30を有する。いくつかのファイバ34が光ガイドの表面32に取り付けられている。ファイバ34は、複屈折特性を有する。複屈折特性を与える好ましい方法は、適切なポリマー・プラスチック材料のファイバ34をその長手方向に引き伸ばすことである。光源12からの光はファイバ34によって偏光され、そして偏光が出口表面16を介して光導波路から外部に結合される。照明システムは、例えば移動電話、PDA、その他のLCDパネルのフロント・ライトまたはバック・ライトに使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に従った照明システムを備えた反射型ディスプレイ・デバイスの実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示した光導波路を示す3次元図である。
【図3】図2の光導波路を示す断面図である。
【図4】第2の実施形態に従った光導波路を示す断面図である。
【図5】第3の実施形態に従った光導波路を示す3次元図である。
【図6】従来技術に従った光導波路を使用した所望の偏りの偏光の外部結合を示す図である。
【図7】本発明に従った光導波路を使用した所望の偏りの偏光の外部結合を示す図である。
【図8】本発明に従った光導波路を使用した望ましくない偏りの偏光の外部結合を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的に透明でかつ出口表面および複数の端面を有する光導波路を備え、その端面の少なくとも1つに向かい合って光源が位置し、その光源の光が前記少なくとも1つの端面で前記光導波路中に結合されるようになっており、前記光導波路が前記光源で放射された光を偏光させるために前記光導波路と一体化された偏光手段を有する照明システムであって、
前記偏光手段が、光学的に透明な材料で作られかつ前記少なくとも1つの端面で前記光導波路中に結合される前記光を受け取るように構成された光ガイドと、光学的に透明な材料で作られかつ複屈折特性を有する複数のファイバとを備え、前記ファイバが前記出口表面で前記光ガイド上に層を形成し、前記ファイバが前記光ガイドで受け取られた前記光を偏光させて前記出口表面を介して偏光を外部に結合させるように構成されていることを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記ファイバの少なくともいくつかが、前記光源からの光が結合され入る前記少なくとも1つの端面に対して平行である、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記ファイバが、複屈折性の引き伸ばされたポリマー材料で作られている、請求項1および2のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項4】
前記偏光手段が、さらに、前記ファイバを覆う等方性樹脂層を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記ファイバが、常光線屈折率および異常光屈折率を有し、前記ファイバの常光線屈折率が前記樹脂層の屈折率と実質的に同じである、請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記光ガイドが、前記ファイバの常光線屈折率と実質的に同じである屈折率を有する等方性材料で作られている、請求項1から5のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記ファイバが、密に詰まりかつ互いに平行である、請求項1から6のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記ファイバが、前記光ガイドに接触された編み組み構造かまたは非編み組み構造に構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項9】
光学的に透明でかつ出口表面および複数の端面を有する光導波路の偏光手段であって、光源がその端面の少なくとも1つに向かい合って位置するように構成され、その光源の光が前記少なくとも1つの端面で前記光導波路中に結合されるようになっており、前記偏光手段が前記光源で放射された光を偏光させるように構成された偏光手段を製造する方法であって、
前記少なくとも1つの端面で前記光導波路中に結合される前記光を受け取るための光ガイドを光学的に透明な材料で形成するステップと、
光学的に透明な材料で作られたファイバを引き伸ばして、前記ファイバに複屈折特性を与えるステップと、
前記出口表面に近接した前記光ガイドの表面に前記光ファイバを取り付けて、前記光ガイドで受け取られる光を偏光させ、かつ前記出口表面を介して偏光を外部に結合させるステップと、を特徴とする方法。
【請求項10】
前記ファイバが、前記光源からの光が結合されて入る前記少なくとも1つの端面に対して平行であるように取り付けられる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ファイバが、前記ファイバに添えられた樹脂を利用して前記光ガイドに取り付けられる、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記ファイバは、前記光導波路から外部に結合される偏光が前記出口表面に対して実質的に直角で外部に結合されるような程度に、引き伸ばされる、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2006−517720(P2006−517720A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502531(P2006−502531)
【出願日】平成16年1月20日(2004.1.20)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050038
【国際公開番号】WO2004/070464
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】