説明

ディスプレイ用フィルター

【課題】電磁波遮蔽性能と反射防止性能に優れ、低価格化が図られたディスプレイ用フィルターを提供する。
【解決手段】基材4上に、導電性メッシュ3を有する導電層と、導電層を被覆するように積層された、屈折率が1.55以上のハードコート層と、ハードコート層2上に積層された、屈折率が1.4以下の低屈折率層7とを少なくとも有するディスプレイ用フィルター1であって、ハードコート層が、屈折率1.55以上の有機化合物(A)、屈折率1.6以上の金属酸化物微粒子(B)、及び3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)を、該ハードコート層の全成分に対して下記の比率で含有することを特徴とする。(含有比率)(A)の含有比率;10質量%以上70質量%以下。(B)の含有比率;5質量%以上25質量%未満。(C)の含有比率;25質量%以上85質量%以下。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽性と反射防止性を有する低コストのディスプレイ用フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(以下、LCD)、プラズマディスプレイ(以下、PDP)などのディスプレイは、明瞭なフルカラー表示が可能な表示装置である。ディスプレイには、通常、外光の反射の防止、ディスプレイから発生する電磁波の遮蔽、ディスプレイの保護などを目的とした前面フィルター(以降、単にフィルターと称す)がディスプレイの視認側に配置される。特にPDPはその構造や動作原理上、強度な電磁波が発生するため、人体や他の機器に与える影響が懸念されており、電磁波遮蔽機能と反射防止機能が付与されたフィルターが通常用いられている。
【0003】
一般的なフィルターは、反射防止機能、色調整機能、近赤外線遮断機能等を有する光学機能性フィルムと導電層(電磁波遮蔽層)が設けられたプラスチックフィルム(電磁波遮蔽フィルム)とを接着層を介して積層して形成されている。
【0004】
近年、ディスプレイの低価格化に伴ってフィルターも低価格化を余儀なくされている。上記したような2枚のフィルムからなるフィルターに対して、プラスチックフィルムを1枚のみにすることによって低価格化が可能となる。
【0005】
1枚のみの基材からなるフィルターの1つの構成として、基材上に形成された導電性メッシュを有する導電層を被覆するようにハードコート層や反射防止層等の機能層を配置する態様が挙げられる。上記導電性メッシュは、スパッタや真空蒸着で形成された金属薄膜に比べて、低抵抗の導電層を比較的低コストで得られるということから好ましく用いられている。
【0006】
上記した、導電性メッシュを有する導電層上に、ハードコート層や反射防止層等の機能層を直接に塗工形成することが、特許文献1に記載されている。
【0007】
一方、反射防止フィルムとして、従来から、プラスチックフィルム等の基材上に、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層をこの順に積層したハードコート性反射防止フィルムが知られている(例えば特許文献2)。上記高屈折率層には、一般的に、屈折率の高い金属酸化物微粒子が用いられている。
【0008】
また、ハードコート層に上記の金属酸化物微粒子を含有させて高屈折率化することも提案されている(例えば特許文献3、4)。
【特許文献1】特開2007−243158号公報
【特許文献2】特開2001−350001号公報
【特許文献3】特開2006−106715号公報
【特許文献4】特開2007−86455号公報
【特許文献5】特開2003−327624号公報
【特許文献6】特開2004−12592号公報
【特許文献7】特開2007−58101号公報
【特許文献8】特開2007−84815号公報
【特許文献9】特開2007−292883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、金属酸化物微粒子を含有させて高屈折率化したハードコート層を、導電性メッシュを有する導電層上に直接に塗工すると、導電性メッシュの凸部(細線部分)近傍に金属酸化物微粒子が局在し、透明性を悪化させるという問題が新たに発生した。また、高屈折率層に特定の高屈折率有機化合物を用いた場合、硬度を低下させる傾向や、着色する傾向があるものが多く、硬度や着色性を改善するために、その他の樹脂と併用した場合、十分な高屈折率化ができない問題も生じた。なお、上記特許文献1及び5〜9には、導電性メッシュを有する導電層上に、高屈折率有機化合物を含有するハードコート層を直接に塗工形成することは記載されていない。
【0010】
従って、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を鑑み、電磁波遮蔽性能と反射防止性能に優れ、かつ低価格化が図られたディスプレイ用フィルターを提供することにある。詳細には、低価格化を図るために、導電性メッシュを有する導電層を被覆するように、高屈折率ハードコート層を含む反射防止層が配置されたディスプレイ用フィルターにおいて、前記高屈折率ハードコート層の塗工性と透明性を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、以下の発明によって基本的に達成された。
1) 基材上に、導電性メッシュを有する導電層と、前記導電層上に積層された、屈折率が1.55以上のハードコート層と、前記ハードコート層上に積層された、屈折率が1.4以下の低屈折率層とを少なくとも有するディスプレイ用フィルターであって、
前記ハードコート層が、屈折率1.55以上の有機化合物(A)、屈折率1.6以上の金属酸化物微粒子(B)、及び3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)を、該ハードコート層の全成分に対して下記の比率で含有することを特徴とする、ディスプレイ用フィルター。
【0012】
(含有比率)
有機化合物(A)の含有比率;10質量%以上70質量%以下
金属酸化物微粒子(B)の含有比率;5質量%以上25質量%未満
3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)の含有比率;25質量%以上85質量%以下
2) 前記導電性メッシュの厚みが8μm以下である、上記1)に記載のディスプレイ用フィルター。
3) 前記屈折率1.55以上の有機化合物(A)が、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子、及び芳香族環の中から選ばれる少なくとも1つを含む有機化合物である、上記1)または2)に記載のディスプレイ用フィルター。
4) 前記屈折率1.55以上の有機化合物(A)が、重合性モノマーまたは重合性オリゴマーである、上記1)〜3)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
5) 前記導電性メッシュが、下記イ)またはロ)の導電性メッシュである、上記1)〜4)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
【0013】
イ)基材上に気相製膜法で形成された金属薄膜をエッチングすることによって形成された導電性メッシュ。
【0014】
ロ)基材上にパターン状に印刷された触媒インク層に金属メッキを施すことによって形成された導電性メッシュ。
6) 前記金属酸化物微粒子(B)の平均一次粒子径が150nm未満である、上記1)〜5)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
7) 前記金属酸化物微粒子(B)が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、及びフッ素ドープ酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種である、上記1)〜6)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電磁波遮蔽性、反射防止性及び透明性に優れ、かつ低価格を実現したディスプレイ用フィルターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のディスプレイ用フィルターは、基材上に導電性メッシュを有する導電層と、該導電層上に積層されたハードコート層と、ハードコート層上に積層された低屈折率層を有する。
【0017】
導電性メッシュを有する導電層上に、屈折率の高いハードコート層と、低屈折率層とをこの順に積層することによって、電磁波遮蔽性と反射防止性に優れたディスプレイ用フィルターを低価格で実現することができる。
【0018】
高い反射防止性を得るためには、ハードコート層の屈折率は1.55以上とし、低屈折率層の屈折率を1.4以下にすることが重要である。しかしながら、ハードコート層を屈折率1.55以上に高屈折率化するために、ハードコート層に屈折率の高い金属酸化物微粒子を比較的多量(例えば、ハードコート層の全成分に対して25質量%以上)に含有させると、導電層上にハードコート層を被覆するよう積層するためにハードコート層を導電性メッシュ上に塗工したときに、導電性メッシュ近傍に金属酸化物微粒子が凝集し、透過率を低下させるという問題が新たに発生した。
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ハードコート層に、屈折率1.55以上の有機化合物(A)と、屈折率1.6以上の金属酸化物微粒子(B)とを、特定の比率で含有させ、更に3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)を特定の比率で含有させることによって、ハードコート層本来の性能である膜硬度を低下させずに、ハードコート層の高屈折率化と上記凝集問題の解決が図られることを見いだした。
【0020】
本発明にかかる屈折率が1.55以上のハードコート層は、屈折率1.55以上の有機化合物(A)(以降、単に有機化合物(A)と言う)、屈折率1.6以上の金属酸化物微粒子(B)(以降、単に金属酸化物微粒子(B)と言う)、及び3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)(以降、単に多官能モノマー・オリゴマー(C)と言う)を、それぞれ特定の比率で含有することを特徴とする。
【0021】
即ち、有機化合物(A)の含有比率は、ハードコート層の全成分に対して10質量%以上70質量%以下、金属酸化物微粒子(B)の含有比率は、ハードコート層の全成分に対して5質量%以上25質量%未満、多官能モノマー・オリゴマー(C)の含有比率は、ハードコート層の全成分に対して25質量%以上85質量%以下である。
ここで、上記の各成分の含有比率は、ハードコート層の全成分100質量%に対する含有比率であり、ハードコート層の全成分とは、塗工、乾燥、硬化して形成されたハードコート層の全固形分の質量を意味し、言い換えれば有機溶媒を除いた全成分の質量である。
【0022】
ハードコート層に、有機化合物(A)と金属酸化物微粒子(B)とを上記の特定の比率で含有させて、ハードコート層の高屈折率化を図ることによって、導電性メッシュ近傍での金属酸化物微粒子の凝集を解消することができる。
【0023】
金属酸化物微粒子(B)の含有比率がハードコート層の全成分に対して25質量%以上になると凝集が起こり、一方、同含有比率が5質量%未満になると、ハードコート層を高屈折率化するために有機化合物(A)の増量が必要になり、その結果、ハードコート層の硬度が低下する。
【0024】
有機化合物(A)の含有比率が、ハードコート層の全成分に対して10質量%未満になると、ハードコート層の高屈折率化が困難になり、一方、同比率が70質量%を超えると、上記したようにハードコート層の硬度が低下する。
【0025】
ハードコート層の硬度を確保するためには、有機化合物(A)の含有比率をハードコート層の全成分に対して70質量%以下にして、多官能モノマー・オリゴマー(C)の含有比率を、ハードコート層の全成分に対して25質量%以上85質量%以下にすることが重要である。
【0026】
本発明にかかるハードコート層の屈折率は1.55以上であるが、より高い反射防止性を得るためにはハードコート層の屈折率を1.6以上にすることが好ましい。ハードコート層の屈折率の上限は、2.0以下が好ましい。
【0027】
ハードコート層は、屈折率1.55以上の有機化合物(A)を含有するが、かかる有機化合物(A)としては、フッ素以外のハロゲン原子を含む樹脂(例えば臭素原子を含む樹脂、塩素原子を含む樹脂、ヨウ素原子を含む樹脂)、硫黄原子を含む樹脂、窒素原子を含む樹脂、燐原子を含む樹脂、芳香族環を含む樹脂(例えばフルオレン骨格を含む樹脂、フェニル基を含む樹脂等)が挙げられる。これらの樹脂は透明性を有するものであれば良く、公知または市販のものを使用することができ、また他の樹脂との併用も可能である。
【0028】
フッ素以外のハロゲン原子、例えば臭素原子、塩素原子を含む樹脂としては、臭素化アクリル樹脂、臭素化ウレタン樹脂、臭素化ポリエステル樹脂、臭素化ポリエーテル樹脂、臭素化エポキシ樹脂、臭素化スピロアセタール樹脂、臭素化ポリブタジエン樹脂、臭素化ポリチオールポリエン樹脂、塩素化アクリル樹脂、塩素化ウレタン樹脂、塩素化ポリエステル樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂、塩素化エポキシ樹脂等を用いることができる。臭素原子を含む樹脂の原料成分としては、例えばアクリレートのフェニル基のオルト・パラ位をブロモ化した化合物を用いることができる。これは、市販品としては例えば第一工業製薬社製のBR−42を用いることができる。その他の市販品としては第一工業製薬社製のBR−42M、BR−30M、BR−31等、ダイセル・サイテック社製のRDX51027等を用いることができる。また塩素原子を含む樹脂としては、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートのベンジルクロライド塩などを用いることができ、これらを2種以上混合して用いてもよい。
【0029】
硫黄原子を含む樹脂としては、例えばS,S’−エチレンビス(チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−(チオジエチレン)ビス(チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[チオビス(ジエチレンスルフィド)]ビス(チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−(オキシジエチレン)ビス(チオ(メタ)アクリレート)等を用いることができる。ここでチオ(メタ)アクリレートとはチオメタクリレートおよびチオアクリレートを示す。
これらの中でもS,S’−エチレンビス(チオメタクリレート)、S,S’−(チオジエチレン)ビス(チオメタクリレート)が好適に用いられる。S,S’−エチレンビス(チオメタクリレート)は、1,2−エタンジチオールとアルカリ金属化合物とを反応させて得られる1,2−エタンジチオールのアルカリ金属塩とメタクリロイルクロリドとを非極性有機溶媒中で反応させる方法等により製造することができる。またS,S’−(チオジエチレン)ビス(チオメタクリレート)は日本触媒社製の商品名S2EGとして市販されているものを用いることができる。
【0030】
また硫黄原子と芳香族環を含む樹脂としては、例えばS,S’−(チオジ−p−フェニレン)ビス(チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[4,4’−チオビス(3−クロロベンゼン)]ビス(チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[4,4’−チオビス(3,5−ジクロロベンゼン)](チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[4,4’−チオビス(3−ブロモベンゼン)](チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[4,4’−チオビス(3,5−ジブロモベンゼン)](チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[4,4’−チオビス(3−メチルベンゼン)]ビス(チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[4,4’−チオビス(3,5−ジメチルベンゼン)](チオ(メタ)アクリレート)、S,S’−[4,4’−チオビス(3−メチルベンゼン)]ビス(チオ(メタ)アクリレート)等を用いることができる。これらの中でもS,S’−(チオジ−p−フェニレン)ビス(チオメタクリレート)(住友精化社製MPSMA)が好適に用いられるが、これは4,4’−チオジベンゼンチオールとアルカリ金属化合物とを反応させて得られる4,4’−チオジベンゼンチオールのアルカリ金属塩とメタクリロイルクロリドとを非極性有機溶媒中で反応させる方法等により製造することができる。
【0031】
芳香族環を含む樹脂としては、9,9−ビスフェノキシフルオレン骨格を有するアクリル樹脂、ビフェニル基を有するアクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。例えば新中村化学社製9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(NKエステルA−BPEF)、o−フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート(NKエステル401P)、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノールアクリレート(NKエステルA−LEN−10)、JFEケミカル社製9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BCF)、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BPEF)、大阪ガスケミカル社製ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル(BPEFG)、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート(BPEF−A)、オグソールPGシリーズ、オグソールEGシリーズ、オグソールEAシリーズ、オグソールEA−Fシリーズ、長瀬産業社製オンコートEXシリーズ、共栄社化学社製HIC−Gシリーズ、ADEKA社製RF(X)シリーズ等を用いることができる。
【0032】
本発明にかかる有機化合物(A)としては、上記で例示したように、アクリル基やエポキシ基等の重合性基を含む重合性モノマーまたは重合性オリゴマーであることがより好ましい。
【0033】
上記有機化合物(A)のハードコート層中への含有比率は、ハードコート層の全成分に対して、10質量%以上70質量%以下であり、ハードコート層の高屈折率化と高い硬度を確保するためには、有機化合物(A)の含有比率は20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0034】
本発明にかかるハードコート層は、屈折率が1.6以上の金属酸化物微粒子(B)を含有する。かかる金属酸化物微粒子(B)としては、平均一次粒子径が150nm未満のものが好ましく、更に好ましくは、平均一次粒子径が3〜100nmのものである。なお、本発明の平均一次粒子径とは、金属酸化物微粒子が単独で存在した場合の粒子径を示し、最も頻度の高い粒子径を示すものをいう。金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。具体的には、日機装株式会社製「ナノトラック」を用いて測定することができる。
【0035】
動的光散乱方式では、粒子のブラウン運動に伴う、散乱光強度の自己相関関数が得られる。そして自己相関関数の減衰特性から粒子の拡散定数および粒子径が算出される。拡散定数から粒子径を算出する際に、分散媒の粘度と屈折率を用いる。こうして得られた分散液中の粒子径は広がりを持った分布を示す。本発明の平均粒子径は、体積の重みを乗じた体積基準の粒子径分布のメジアン径とする。
【0036】
平均一次粒子径が150nm未満の金属酸化物微粒子を用いることは、金属酸化物微粒子によってハードコート層の透明性が低下することを抑制できるので好ましい。
【0037】
本発明にかかる金属酸化物微粒子(B)としては、屈折率が1.6以上のものが用いられるが、屈折率が1.7以上の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。金属酸化物微粒子(B)の屈折率の上限は3以下が好ましく、2.8以下がより好ましい。
【0038】
かかる金属酸化物微粒子(B)としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化錫等が挙げられ、これらの金属酸化物微粒子は単独で用いても良いし、複数併用しても良い。
【0039】
金属酸化物微粒子(B)の含有比率は、ハードコート層の全成分に対して5質量%以上25質量%未満であり、より好ましくは10質量%以上20質量%以下の範囲である
本発明にかかるハードコート層は、3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)を含有する。上記の多官能モノマー・オリゴマー(C)を、ハードコート層の全成分に対して25質量%以上85質量%以下の範囲で含有することによって、硬度の高いハードコート層を得ることができる。
【0040】
本発明のハードコート層は、ディスプレイ用フィルターの表面に傷が発生するのを防止のために、硬度が高いことが好ましく、JIS K5600−5−4(1999年)で定義される鉛筆硬度が、1H以上が好ましく、2H以上がより好ましい。上限は9H程度である。上記した硬度は、ディスプレイ用フィルターの視認側の最表面から測定したものである。本発明のディスプレイ用フィルターは、ハードコート層の上に低屈折率層が積層され、低屈折率層が最表面層である場合は、低屈折率層表面から、上記した硬度が測定される。
【0041】
上記した、硬度の高いハードコート層を得るためには、有機化合物(A)の含有量をハードコート層の全成分に対して10質量%以上70質量%以下として、多官能モノマー・オリゴマー(C)の含有比率をハードコート層の全成分に対して25質量%以上85質量%以下にすることが重要である。
【0042】
多官能モノマー・オリゴマー(C)の含有比率がハードコート層の全成分に対して25質量%未満の場合は、十分な硬度が得られず、一方85質量%より多く含有した場合は、有機化合物(A)及び金属酸化物微粒子(B)の含有比率が低下することにより、ハードコート層の十分な高屈折率化が図られない。多官能モノマー・オリゴマー(C)の含有比率、より好ましくは30質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは35質量%以上60質量%以下である。
【0043】
本発明にかかる多官能モノマー・オリゴマー(C)とは、重合性官能基、例えばラジカル重合あるいはカチオン重合を生起する官能基を1分子中に3個以上有する、重合性モノマー及び重合性オリゴマーである。これらの中でも、ラジカル重合性のモノマー、ラジカル重合性のオリゴマーが好ましく、特にラジカル重合性モノマーがハードコート層の硬度を高くする上で好ましい。
【0044】
上記のラジカル重合性のモノマー、及びオリゴマーは、官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和重合性官能基を1分子中に3個以上有する化合物である。上記のラジカル重合性のモノマー、及びオリゴマーにおける、不飽和重合性官能基の数は、1分子当たり4個以上が好ましく、5個以上がより好ましい。上限は10個以下が好ましい。
【0045】
上記のラジカル重合性モノマーの例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレートなどが挙げられる。
【0046】
上記のラジカル重合性オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマーを好ましく用いることができる。
【0047】
ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の反応によって得られたウレタンオリゴマーにアクリレート化合物を反応させることによって得られる。
【0048】
ポリオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメチロール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1、 3-プロパンジオール、1、 4-ブタンジオール、1、 3-ブタンジオール、2、 3-ブタンジオール、1、 5-ペンタンジオール、2、 4-ペンタンジオール、1、 2-ヘキサンジオール、1、 6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1、 9-ノナンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールAポリエトキシグリコール、ポリカーボネートポリオール、ペンタエリスルトール、ソルビトール、スクロース、クオドロールなポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、水添ダイマージオールペンタエリトリトール等;トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスルトール、ソルビトール、スクロース、クオドロール等の3価以上の水酸基を含有する化合物を、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの環状エーテル化合物で変性することにより得られるポリエーテルポリオール;カプロラクトンで変性することにより得られるポリカプロラクトンポリオール;2塩基酸とジオールからなるポリエステルで変性することにより得られるポリエステルポリオール;及びこれらの二種以上の混合物を挙げることができる。
【0049】
より具体的には、EO変性トリメチロールプロパン、PO変性トリメチロールプロパン、テトラヒドロフラン変性トリメチロールプロパン、カプロラクトン変性トリメチロールプロパン、EO変性グリセリン、PO変性グリセリン、テトラヒドロフラン変性グリセリン、カプロラクトン変性グリセリン、EO変性ペンタエリスリトール、PO変性ペンタエリスリトール、テトラヒドロフラン変性ペンタエリスリトール、カプロラクトン変性ペンタエリスリトール、EO変性ソルビトール、PO変性ソルビトール、カプロラクトン変性ソルビトール、EO変性スクロース、PO変性スクロース、EO変性スクロース、EO変性クオドール等及びこれらの二種以上の混合物を挙げることができる。
【0050】
ポリイソシアネート化合物の具体例としては、2、 4-トリレンジイソシアネート、2、 6-トリレンジイソシアネート、4、 4-ジフェニルメタンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビフェニレンジイソシアネート、1、 5-ナフチレンジイソシアネート、o-トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4、 4’-メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1、 3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、およびこれらのビュレット化物、イソシアヌレート化物等の重縮合物、及びこれらの二種以上の混合物を挙げることができる。特に好ましくは、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート化物等が挙げられる。
【0051】
ウレタンオリゴマーのイソシアネート基をアクリレート変性するために用いるアクリレート化合物としては、アクリレート基もしくはメタクリレート基と、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、もしくはアミド基等のイソシアネート基と反応しうる官能基とを有する化合物が挙げられる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
ウレタンアクリレート化合物は市販品を使用することができる。例えば、新中村化学社製のU−4HA、U−6HA、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製のEbecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製のUN−9000H、UN−3220HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS、UN−901T等、サートマー社製のCN929、CN968、CN989、CN9010、CN975を挙げることができる。
【0053】
カチオン重合性のモノマー、及びオリゴマーは、分子中にカチオン重合によって重合可能な基、例えば、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタニル基、オキサシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、オキソラン基など)、ビニルエーテル基、ビニル基、チイラン基、チエタン基、ビシクロオルソエステル基、スピロオルソカーボネート基等を3個以上有する化合物、あるいはラクトン類、環状アセタール構造、環状カーボネート構造、及び環状イミノエーテル構造を有する化合物等が挙げられる。
【0054】
これらの中でも、硬化速度や硬化物の機械的特性の観点から、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、及び3,4−エポキシシクロヘキシル基のいずれかの官能基を有する化合物が好ましい。
【0055】
本発明におけるハードコート層は、導電性メッシュを有する導電層上に積層されるものであり、詳細には導電層上に塗工されたハードコート層形成用塗料を、硬化させることによって、導電層を被覆するように形成される。ハードコート層を硬化させる方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、ハードコート層に、光重合開始剤、カチオン重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
【0056】
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。
【0057】
また、カチオン重合開始剤には、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨウドニウム塩、アリールハロニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体などが挙げられる。
【0058】
さらに、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
【0059】
本発明のハードコート層における光重合開始剤、または熱重合開始剤の使用量は、上記した多官能モノマー・オリゴマー(C)を含む重合性化合物総量100質量%に対して、0.01〜10質量%の範囲が適当である。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また220℃以上の高温で熱硬化させる場合には、熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
【0060】
本発明において、ハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
【0061】
本発明で用いられる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行うと、効率よく硬化させることができる。またさらに、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、ハードコート層の塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
【0062】
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、さらに好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
【0063】
本発明において、ハードコート層を硬化させる方法としては、紫外線を照射して硬化させる方法が、比較的簡単な装置で高い生産性が得られるので好ましい。
【0064】
本発明において、ハードコート層は、導電性メッシュを有する導電層を被覆するように配置されるが、上記の被覆方法として、導電層上にハードコート層を直接に塗工するのが好ましい。ハードコート層の塗工に用いられる塗工方式(塗布方式)としては、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リーバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、スプレー法、ロールコーティング法等の公知のウェットコーティング法を用いることができる。
【0065】
ハードコート層の塗工に用いられる塗工液は、上記した有機化合物(A)、金属酸化物微粒子(B)、多官能モノマー・オリゴマー(C)、及び必要に応じて添加される各種添加剤を溶解するため、あるいは、塗工液の粘度を調整するために、有機溶媒を含有するのが好ましい。ここで言うところの有機溶媒には、ハードコート層を構成する液状の重合性モノマーは含まれない。
【0066】
ハードコート層の塗工液に含有する有機溶媒の量は、塗工液100質量%に対して5〜70質量%の範囲が好ましく、10〜60質量%の範囲が好ましい。これによって、ハードコート層を構成する、有機化合物(A)、多官能モノマー・オリゴマー(C)等の成分を十分に溶解することができ、また、塗工に適した粘度に調整することができる。
【0067】
上記の有機溶媒としては、大気圧下沸点100〜180℃の有機溶媒と大気圧下沸点100℃未満の有機溶媒を混合して用いることが好ましい。大気圧下沸点100〜180℃の有機溶媒を含むことにより、化合物Aと化合物Bの相溶性が増し、硬化塗膜の透明性が向上する。また、塗液の塗布性が良くなり、表面が平坦な被膜を得ることができる。さらに、大気圧下沸点100℃未満の有機溶媒を含むことによって、被膜形成時に、有機溶媒が有効に揮発し、硬度の高い被膜を得ることができる。すなわち、表面が平坦で、かつ、硬度の高い被膜を得ることができる。
【0068】
大気圧下沸点100〜180℃の有機溶媒としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のアセテート類、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類、ブタノール、イソブチルアルコール、ペンタノ−ル、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。これらは単独あるいは混合して用いてもかまわない。これらのうち、特に好ましい有機溶媒の例は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコール等である。
【0069】
大気圧下沸点100℃未満の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メチルエチルケトン等があげられる。これらは単独あるいは混合して用いてもかまわない。
【0070】
本発明において、導電性メッシュを有する導電層を被覆するように積層された、ハードコート層の厚みは、後述する導電性メッシュを有する導電層の厚みより大きいのが好ましく、導電層の厚み100%に対してハードコート層の厚みは130%以上が好ましく、150%以上がより好ましい。上限は300%程度である。導電層の厚みに対してハードコート層の厚みを大きくすることによって、ハードコート層の良好な塗工性を確保することができる。
【0071】
一方、ハードコート層の厚みの上限は、ハードコート層の塗工速度、乾燥及び硬化速度、原材料費等の観点から、12μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。ハードコート層の厚みの下限は、1μm以上が好ましく、2μm以上が好ましい。
【0072】
ハードコート層の厚みが12μmを超えて大きくなると、ハードコート層の塗工速度、乾燥、及び硬化速度が低下することによる生産効率ダウン、及び原材料費の増大によって、本発明の所期の目的である低価格化を実現するのが難しくなる。また、ハードコート層の厚みが厚くなると、折り曲げなどの応力により硬化膜にクラックが入りやすくなるという不都合が生じる場合がある。一方、ハードコート層の厚みが1μmより小さくなると、均一な塗工面を得るのが難しくなり、導電性メッシュを有する導電層を被覆する事ができず、透明性に欠けることとなる。また、ハードコート層の厚みが1μmより小さくなると、ハードコート層としての本来の機能を発揮できなくなる場合がある。
【0073】
上述したように、ハードコート層の厚みを導電層の厚みより大きくして、導電性メッシュの凹凸を埋めることによって、ハードコート層表面の平滑性が向上する。ハードコート層表面の平滑性は、中心線平均粗さRa値で表すことができ、ハードコート層表面の中心線平均粗さRa値としては、300nm以下が好ましい。ハードコート層表面のRa値を300nm以下にすることによって、透明性がより高くなり、また、後述する極薄膜の低屈折率層をハードコート層上に塗工形成するときの良好な塗工性を確保することができる。従って、ハードコート層上に塗工形成された低屈折率層表面の中心線平均粗さRa値も300nm以下であることが好ましい。ハードコート層表面及び低屈折率層表面のRa値の下限は10nm程度である。ここで、中心線平均粗さRa値は、JIS B0601(1982年)の規定に従って測定することができる。
【0074】
前述したように、本発明は、導電層の厚みよりハードコート層の厚みを大きくして、ハードコート層が導電性メッシュを完全に被覆するように塗工形成するのが好ましい。
【0075】
図1は、本発明に係るディスプレイ用フィルターの一例の模式断面図であり、基材4の上に導電性メッシュ3が形成され、導電性メッシュ3上にハードコート層2が積層されている。ここで、ハードコート層2は、導電性メッシュ3を構成する細線部3aに囲まれた開口部3bを埋めて、かつ細線部3aを被覆するように塗工形成されている。
【0076】
ハードコート層が導電性メッシュを完全に被覆するようにハードコート層を塗工形成するためには、ハードコート層の厚み(図1の符号N)は、導電性メッシュの厚み(図1の符号A)に対して130%以上が好ましく、150%以上がより好ましい。ここで、ハードコート層の厚み(N)は、上記したようにハードコート層は導電性メッシュの開口部を埋めてかつ細線部を被覆するように塗工形成されるので、導電性メッシュの細線部の厚み(A)と細線部上のハードコート層の厚み(L)との和である。上記したように、導電性メッシュの厚み(A)に対してハードコート層の厚み(N)を大きくすることによって金属メッシュの凹凸面を十分に埋めて均一化することができる。
【0077】
本発明において、導電性メッシュの厚み(A)は、ハードコート層の塗工性の観点から、8μm以下であることが好ましく、6μmの範囲がより好ましく、特に4μmの範囲が好ましい。一方、高い電磁波遮蔽性を確保するという観点から、導電性メッシュの厚み(A)は、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
【0078】
ハードコート層の厚み(N)は、前述したように、1〜12μmの範囲が好ましい。導電性メッシュの細線部上に存在するハードコート層の厚み(L)は、0.5〜6μmの範囲が好ましく、1〜5μmの範囲がより好ましく、特に2〜4μmの範囲が好ましい。
【0079】
上記した導電性メッシュ及びハードコート層の厚みは、走査型電子顕微鏡によるディスプレイ用フィルターの拡大断面写真から求めることができる。
【0080】
本発明のディスプレイ用フィルターは、ハードコート層上に屈折率が1.4以下の低屈折率層を有する。低屈折率層の屈折率は、1.38以下がより好ましく、屈折率の下限は、1.2程度である。これによって、より高い反射防止性能が得られる。
【0081】
本発明は、屈折率が1.55以上のハードコート層上に低屈折率層が積層されるので、ハードコート層と低屈折率層との間に高屈折率層を有しなくとも、高い反射防止性能が得られる。従って、本発明では、低屈折率層はハードコート層上に直接に積層するのが好ましく、これによって、生産効率が向上する。
【0082】
係る低屈折率層としては、含フッ素ポリマー、(メタ)アクリル酸の部分あるいは完全フッ素化アルキルエステル、含フッ素シリコーン等の有機系材料、または、MgF2 、CaF2 、SiO2 等の無機系材料で構成することができる。以下に低屈折率層の好ましい態様を例示する。
【0083】
低屈折率層の1つの好ましい態様として、MgF2やSiO2等の薄膜を真空蒸着法やスパッタリング、プラズマCVD法等の気相法により形成する方法、或いはSiO2ゾルを含むゾル液からSiO2ゲル膜を形成する方法等が挙げられる。
【0084】
低屈折率層の他の好ましい態様として、シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーを主成分とする構成を採用することができる。なお、ここで言う「結合」とは、シリカ系微粒子のシリカ成分とマトリックスのシロキサンポリマーが反応して均質化している状態を意味する。シリカ系微粒子と結合してなるシロキサンポリマーは、該シリカ系微粒子の存在下、多官能性シラン化合物を溶剤中、酸触媒により、公知の加水分解反応によって、一旦シラノール化合物を形成し、公知の縮合反応を利用することによって得ることができる。
【0085】
かかる多官能性シラン化合物としては、多官能性フッ素含有シラン化合物を含むことが低屈折率化、防汚性の点から好ましく、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランなどの3官能性フッ素含有シラン化合物、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性フッ素含有シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点から、トリフルオロメチルメトキシシラン、トリフルオロメチルエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシランが、より好ましい。
【0086】
かかる多官能性フッ素非含有シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシランなどの3官能性シラン化合物、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシランなどの2官能性シラン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性シラン化合物などが挙げられ、いずれも好適に用いられるが、表面硬度の観点からビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが、より好ましい。
【0087】
また、上述のシリカ系微粒子としては、平均粒子径1nm〜200nmのシリカ系微粒子であることが好ましく、特に好ましくは、平均粒子径1nm〜70nmである。平均粒子径が1nmを下回ると、マトリックス材料との結合が不十分となり、硬度が低下することがある。一方、平均粒子径が200nmを越えると、粒子を多く導入して生じる粒子間の空隙の発生が少なくなり、低屈折率化の効果が十分発現しないことがある。さらに、かかるシリカ系微粒子の中でも、内部に空洞を有する構造のものが、屈折率を低下させるために、特に好ましく使用される。
【0088】
かかる内部に空洞を有するシリカ系微粒子とは、外殻によって包囲された空洞部を有するシリカ系微粒子、多数の空洞部を有する多孔質のシリカ系微粒子等が挙げられ、いずれも好適に用いられる。このような例としては例えば、特許第3272111号公報に開示されている方法によって製造でき、微粒子内部の空洞の占める体積、すなわち微粒子の空隙率としては、5%以上が好ましく、30%以上がさらに好ましい。空隙率は、例えば、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて測定することができる。また、該微粒子自体の屈折率は、1.20〜1.40であるのが好ましく、1.20〜1.35であるのがより好ましい。このようなシリカ系微粒子としては、例えば特開2001−233611号公報に開示されているものや、特許第3272111号公報等の一般に市販されているものを挙げることができる。
【0089】
低屈折率層の厚みは、0.01〜0.4μmの範囲が好ましく、0.02〜0.2μmの範囲がより好ましい。
【0090】
本発明における導電層は、ディスプレイから発生する電磁波を遮蔽するための層であり、導電性メッシュを有する。導電層の表面抵抗値は、低い方が好ましく、3Ω/□以下が好ましく、1Ω/□以下がより好ましく、特に0.5Ω/□以下が好ましい。表面抵抗の下限値は特に限定されないが0.01Ω/□程度である。導電層の表面抵抗値は、4端子法により測定することができる。
【0091】
導電性メッシュを有する導電層を形成する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、1)透明基材上に導電性インキをパターン状に印刷する方法。2)基材上にパターン状に印刷された触媒インク層に金属メッキを施こす方法、3)導電性繊維を用いる方法、4)基材上に金属箔を接着剤で貼り合わせた後にパターニングする方法、5)基材上に気相製膜法あるいはメッキ法により金属薄膜を形成した後にエッチングによりパターニングする方法、6)感光性銀塩を用いる方法、及び7)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
上記の導電性メッシュの製造方法について詳細に説明する。
【0093】
1)基材上に導電性インキをパターン状に印刷する方法は、基材上に導電性インキを、スクリーン印刷、グラビア印刷等の公知の印刷法によりパターン状に印刷する方法である。
【0094】
2)基材上にパターン状に印刷された触媒インク層に金属メッキを施こす方法は、例えば、パラジウムコロイド含有ペーストからなる触媒インクを用いてパターン状に印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して導電性メッシュパターンを形成する方法である。
【0095】
3)導電性繊維を用いる方法は、導電性繊維からなる編布を接着剤または粘着材を介して貼り合わせる方法である。
【0096】
4)基材上に金属箔を接着剤で貼り合わせた後にパターニングする方法は、基材上に金属箔(銅、アルミニウム、又はニッケル等)を接着剤または粘着材を介して貼り合わせた後、この金属箔をフォトリソグラフィー法あるいはスクリーン印刷法などを利用してレジストパターンを作製した後、金属箔をエッチングする方法である。上記のレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィー法が好ましく、フォトリソグラフィー法は、金属箔上に感光性レジストを塗工又は感光性レジストフィルムをラミネートし、パターンマスクを密着させて露光後、現像液で現像してエッチングレジストパターンを形成し、さらに適当なエッチング液でパターン部以外の金属を溶出させて所望の導電性メッシュを形成する方法である。
【0097】
5)基材上に気相製膜法あるいはメッキ法により金属薄膜を形成した後にエッチングによりパターニングする方法は、基材上に金属薄膜(銅、アルミニウム、銀、金、パラジウム、インジウム、スズ、あるいは銀とそれ以外の金属の合金などからなる金属)を、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相製膜法、あるいはメッキ法によって形成し、この金属薄膜をフォトリソグラフィー法あるいはスクリーン印刷法などを利用してレジストパターンを作製した後、金属薄膜をエッチングする方法である。上記のレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィー法が好ましく、フォトリソグラフィー法は、金属薄膜上に感光性レジストを塗工又は感光性レジストフィルムをラミネートし、パターンマスクを密着させて露光後、現像液で現像してエッチングレジストパターンを形成し、さらに適当なエッチング液でパターン部以外の金属を溶出させて所望の導電性メッシュを形成する方法である。この方法では、接着剤や粘着剤を介さずに、基材上に金属薄膜を形成することが好ましい。
【0098】
6)感光性銀塩を用いる方法は、ハロゲン化銀などの銀塩乳剤層を透明基材上にコーティングし、フォトマスク露光あるいはレーザー露光の後、現像処理して銀のメッシュを形成する方法がある。形成された銀メッシュはさらに銅、ニッケルなどの金属でメッキするのが好ましい。この方法は、WO2004/7810号公報、特開2004−221564号公報、特開2006−12935号公報などに記載されており、参照することができる。
【0099】
7)金属薄膜をレーザーアブレーションする方法は、上記5)と同様の方法で基材上に形成された金属薄膜をレーザーアブレーション方式で、金属薄膜のメッシュパターンを作製する方法である。
【0100】
レーザーアブレーションとは、レーザー光を吸収する固体表面へエネルギー密度の高いレーザー光を照射した場合、照射された部分の分子間の結合が切断され、蒸発することにより、照射された部分の固体表面が削られる現象である。この現象を利用することで固体表面を加工することが出来る。レーザー光は直進性、集光性が高い為、アブレーションに用いるレーザー光の波長の約3倍程度の微細な面積を選択的に加工することが可能であり、レーザーアブレーション法により高い加工精度を得ることが出来る。
【0101】
かかるアブレーションに用いるレーザーは金属が吸収する波長のあらゆるレーザーを用いることが出来る。例えばガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、または半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーを用いることが出来る。また、これら固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせることにより得られる第二高調波光源(SHG)、第三高調波光源(THG)、第四高調波光源(FHG)を用いることが出来る。
【0102】
かかる固体レーザーの中でも、プラスチックフィルムを加工しないという観点から、波長が254nmから533nmの紫外線レーザーを用いることが好ましい。中でも好ましくはNd:YAG(ネオジウム:イットリウム・アルミニウム・ガーネット) などの固体レーザーのSHG(波長533nm)、さらに好ましくはNd:YAG などの固体レーザーのTHG(波長355nm)の紫外線レーザーを用いることが好ましい。
【0103】
かかるレーザーの発振方式としてはあらゆる方式のレーザーを用いることが出来るが,加工精度の点からパルスレーザーを用い,さらに望ましくはパルス幅がns以下のQスイッチ方式のパルスレーザーを用いることが好ましい。
【0104】
金属薄膜の上(視認側)に更に0.01〜0.1μmの金属酸化物層を形成した後に、金属薄膜と金属酸化物層とをレーザーアブレーションすることも好ましい。金属酸化物としては銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタン、錫などの金属酸化物を用いることができるが、価格や膜の安定性などの点から銅酸化物が好ましい。金属酸化物の形成方法は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレート法、化学蒸着法、無電解および電解めっき法等を用いることができる。
【0105】
上記した導電性メッシュの製造方法の中でも、厚みが比較的小さい導電性メッシュ(例えば厚みが8μm以下の導電性メッシュ)を容易に製造することができ、かつ高い電磁波シールド性を確保できるという観点から、上記の2)、5)、6)及び7)の製造方法が好ましく用いられる。
【0106】
また、ハードコート層の塗工性、及びハードコート層と導電層との密着性の観点からは、上記の2)、5)及び7)の製造方法で製造された導電性メッシュが好ましく用いられる。特に、上記5)の製造方法は、ハードコート層の塗工性が良好であり、かつ導電性メッシュの製造コストが低いことから、特に好ましく用いられる。
【0107】
上記5)の製造方法について、更に詳細に説明する。
【0108】
基材上に金属薄膜を形成する方法としては、気相製膜法が好ましい。上記の気相製膜法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等が挙げられるが、これらの中でも、スパッタリング及び真空蒸着が好ましい。金属薄膜を形成するための金属としては、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、銀、ステンレス、クロム、チタンなどの金属の内、1種または2種以上を組合せた合金あるいは多層のものを使用することができる。これらの中でも、良好な電磁波シールド性が得られ、メッシュパターン加工が容易で、かつ低価格であるなどの点から、銅が好ましく用いられる。
【0109】
また、金属薄膜の金属として銅を用いる場合は、基材と銅薄膜との間に、5〜100nmの厚みのニッケル薄膜を用いるのが好ましい。これによって、基材と銅薄膜の接着性が向上する。
【0110】
金属薄膜上にレジストパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフィーが好ましく用いられる。かかるフォトリソグラフィー法は、金属薄膜上に感光性レジスト層を積層し、該レジスト層をメッシュパターン状に露光し、現像してレジストパターンを形成し、次いで、金属薄膜をエッチングしてメッシュパターン化し、メッシュ上のレジスト層を剥離除去する方法である。
【0111】
感光性レジスト層としては、露光部分が硬化するネガレジスト、あるいは逆に露光部分が現像によって溶解するポジレジストを用いることができる。感光性レジスト層は金属薄膜上に直接に塗工して積層してもよいし、あるいはフォトレジストからなるフィルムを貼り合わせてもよい。フォトレジスト層を露光する方法としては、フォトマスクを介して紫外線等で露光する方法、もしくはレーザーを用いて直接に走査露光する方法を用いることができる。
【0112】
エッチングする方法としては、ケミカルエッチング法等がある。ケミカルエッチングとは、レジストパターンで保護された金属部分以外の金属をエッチング液で溶解し、除去する方法である。エッチング液としては、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、アルカリエッチング液等がある。
【0113】
基材上に導電性メッシュのみが設けられた、導電性メッシュフィルムのヘイズ値は、6%以下が好ましく、特に5%以下が好ましい。導電性メッシュフィルムのヘイズ値は、導電性メッシュの線幅や線ピッチによっても多少変わってくるが、導電性メッシュの製造方法に大きく左右される。上記した2)、5)、6)、及び7)の導電性メッシュの製造方法で作成された導電性メッシュフィルムは、ヘイズ値が6%以下、更には5%以下を実現することができる。導電性メッシュフィルムのヘイズ値の下限は特に限定されず、低いほど好ましいが、現実的な下限は1%程度である。ここで、ヘイズ値は、JIS K 7136(2000年)に従って測定することができる。
【0114】
上記のヘイズ値が低い導電性メッシュを用いることによって、導電性メッシュ上にハードコート層及び低屈折率層を塗工形成した後のヘイズ値も低く抑えることができ、高い透明性を確保することができる。導電性メッシュ上にハードコート層及び低屈折率層を塗工形成後のヘイズ値としては、5%以下が好ましく、4%以下がより好ましい。導電性メッシュ上にハードコート層及び低屈折率層を塗工形成した後のヘイズ値の下限は特に限定されず、低いほど好ましいが、現実的な下限は0.5%程度である。
【0115】
本発明において、導電性メッシュは黒化処理するのが好ましい。黒化処理は、酸化処理や黒色印刷により行うことができる。例えば、特開平10−41682号、特開2000−9484号、2005−317703号公報等に記載の方法を用いることができる。黒化処理は、導電性メッシュの視認側の表面と両側面を行うのが好ましく、更に導電性メッシュの両面及び両側面を黒化処理するのが好ましい。
【0116】
黒化処理はディスプレイ用フィルターを実際にディスプレイへ装着したときの高コントラストを目的に、導電性メッシュ自体の輝度を抑えるため導電性メッシュ製造時に酸化処理、黒色印刷や黒化メッキ等の処理を行い、反射輝度を低下させるものである。
【0117】
本発明において、ディスプレイ用フィルターを連続生産ラインで効率よく製造するためには、導電性メッシュは連続メッシュであることが好ましい。連続メッシュとは、例えば、長尺ロール状の基材に導電性メッシュを形成するときに、基材の長尺方向に導電性メッシュが連続的に途切れることなく形成された状態を言う。このような連続メッシュは、ハードコート層を塗工するのに好適である。
【0118】
導電性メッシュのメッシュパターンとしては、例えば、正方形、長方形、菱形等からなる格子状メッシュパターン、三角形、5角形以上の多角形からなるメッシュパターン、円形、楕円形からなるメッシュパターン、前記の複合形状からなるメッシュパターン、及びランダムメッシュパターンが挙げられる。これらの中でも、生産性や製品管理の容易性から格子状メッシュパターンが好ましく、特に正方形からなる格子状メッシュパターンが好ましい。
【0119】
本発明に係る導電性メッシュは、その線幅(図1中のW)が、3〜30μmの範囲が適当であり、4〜20μmの範囲が好ましい。導電性メッシュの線ピッチ(図1中のP)は、50〜500μmの範囲が適当であり、80〜300μmの範囲が好ましい。
【0120】
本発明のディスプレイ用フィルターに用いられる基材としては、プラスチックフィルムが好ましい。かかるプラスチックフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂及びセルロース樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂が好ましく用いられる。
【0121】
プラスチックフィルムの厚みとしては、50〜300μmの範囲が適当であるが、コストの観点及び前面フィルターの剛性を確保するという観点から90〜250μmの範囲が特に好ましい。本発明にかかるディスプレイ用フィルターは、基材として1枚のみのプラスチックフィルムを用いるのが好ましい。
【0122】
本発明に用いられるプラスチックフィルムは、前述した導電層あるいは後述する近赤外線遮蔽層等との密着性(接着強度)を強化するためのプライマー層(下引き層、易接着層)を設けておくのが好ましい。
【0123】
係るプライマー層は、水溶性樹脂もしくは水分散性樹脂を用いたものが一般的に知られており、本発明においても好ましく用いられる。水溶性樹脂もしくは水分散性樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が用いられる。プライマー層には、更に架橋剤を含有させるのが好ましく、架橋剤としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物等が挙げられる。プライマー層の厚みは、10〜500nmの範囲が一般的であり、好ましくは20〜300nmの範囲である。プライマー層は、プラスチックフィルムを製造した後、製膜しても良いし、プラスチックフィルムの製造時にインラインで製膜しても良い。
【0124】
さらに本発明のプラスチックフィルムは、後述する光線吸収層や着色層などに含まれる染料や色素の光劣化を防止するために、紫外線遮蔽機能を有するプラスチックフィルムを使用することが好ましい。一般的に紫外線遮蔽層は染料や色素を含有する層より視認者側へ設けられるため紫外線吸収剤を含有するプラスチックフィルムを使用することが最も好ましい態様である。紫外線吸収剤は、フィルム製膜前の溶融工程で熱可塑性樹脂中に練込むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびベンゾオキサジノン系化合物、環状イミノエステル系化合物等が挙げられ、特に好ましくは380nm〜390nmにおける紫外線遮蔽性、色調などの点からベンゾオキサジノン系化合物が好適に使用される。これらの化合物は1種で用いても良いし、2種以上併用しても良い。またHALS(ヒンダードアミン系光安定剤)や酸化防止剤などの安定剤の併用はより好ましい。紫外線吸収剤の含有量は、プラスチックフィルムの全成分中0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがさらに好ましい。紫外線遮蔽性は波長380nm以下における透過率が3%以下であるのが好ましく、これにより紫外線から染料や色素を保護することができる。
【0125】
本発明のディスプレイ用フィルターには、更に近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能などの機能を有する光線吸収層を設けることが好ましい。
【0126】
近赤外線遮蔽機能を有する近赤外線遮蔽層は、波長800〜1100nmの範囲における光線透過率の最大値が20%以下となるように調整するのが好ましい。近赤外線遮蔽機能は、基材(プラスチックフィルム)やハードコート層、あるいは後述する接着層に近赤外線吸収剤を混錬、分散することによって付与してもよいし、近赤外線遮蔽層を新たに設けてもよい。近赤外線遮蔽機能は、近赤外線吸収剤を用いることによって付与することができる。本発明においては、近赤外線吸収剤を樹脂バインダー中に分散もしくは溶解した塗料を塗布乾燥して形成した近赤外線遮蔽層を用いること、あるいはハードコート層や接着層に上記近赤外線吸収剤を含有させる態様が好ましく用いられる。近赤外線吸収剤としては、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、ジイモニウム系化合物等の有機系近赤外線吸収剤、あるいは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、硫化亜鉛、セシウム含有酸化タングステン等の無機系近赤外線吸収剤を用いることができる。
【0127】
上記した近赤外線遮蔽層を新たに設ける場合は、基材と導電性メッシュとの間、もしくは基材に対して導電性メッシュとは反対面に塗工形成して設けることができる。
近赤外線遮蔽機能を基材より視認側に付与する場合は、耐光性に優れる無機系近赤外線吸収剤を用いるのが好ましい。
【0128】
色調調整機能を有する色調調整層は、ディスプレイから発光される特定波長の光を吸収して色純度や白色度を向上させるための機能である。特に赤色発光の色純度を低下させるオレンジ光を遮蔽するのが好ましく、波長580〜620nmの範囲に吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。更に、白色度を向上させるために波長480〜500nmに吸収極大を有する色素を含有させるのが好ましい。色調調整機能は、上記した波長の光を吸収する色素を含有する層を新たに設けてもよいし、上述の近赤外線遮蔽層、ハードコート層あるいは接着層に色素を含有させてもよい。
【0129】
可視光透過率調整機能は、可視光の透過率を調整するための機能であり、染料や顔料を含有させて調整することができる。可視光透過率調整機能は、基材(プラスチックフィルム)、近赤外線遮蔽層、ハードコート層、あるいは接着層に付与してもよいし、新たに透過率調整層を設けてもよい。
【0130】
上述した色調調整機能を有する層及び可視光透過率調整機能を有する層をそれぞれ新たに設ける場合、これらの層は基材と導電性メッシュを有する導電層との間、もしくは基材に対して導電性メッシュを有する導電層とは反対面に設けることができる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、ディスプレイに直接、あるいはガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板等の公知の高剛性基板を介して装着することができる。ディスプレイ用フィルターには、ディスプレイあるいは高剛性基板に貼り付けるための接着層を設けるのが好ましい。
【0131】
接着層には、前述したように近赤外線遮蔽機能、色調調整機能、あるいは可視光透過率調整機能を付与することができる。また、接着層に、ディスプレイを衝撃から保護するための衝撃緩和機能を付与することは好ましい態様である。接着層に衝撃緩和機能を付与するには、接着層の厚みを100μm以上にすることが好ましく、300μm以上がより好ましい。上限の厚みは、接着層のコーティング適性を考慮して3000μm以下が好ましい。
【0132】
接着層には、公知の接着材あるいは粘着材を用いることができる。粘着材としては、アクリル、シリコーン、ウレタン、ポリビニルブチラール、エチレン−酢酸ビニルなどが挙げられる。接着材としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ポリオレフィン型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート 、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂などが挙げられる。
【0133】
本発明にかかるディスプレイ用フィルターは、1枚のみの基材(例えばプラスチックフィルム)からなる1枚基材フィルターであることが好ましい。かかる1枚基材フィルターの好ましい構成例のいくつかを例示するが、本発明はこれらに限定されない。
【0134】
1)接着層/近赤外線遮蔽層/基材/導電性メッシュ/高屈折率ハードコート層/低屈折率層
2)接着層/基材/近赤外線遮蔽層/導電性メッシュ/高屈折率ハードコート層/低屈折率層
3)接着層(近赤外線遮蔽機能を有する)/基材/導電性メッシュ/高屈折率ハードコート層/低屈折率層
4)接着層/基材/導電性メッシュ/高屈折率ハードコート層(近赤外線遮蔽機能を有する)/低屈折率層
上記1)、2)の近赤外線遮蔽層は色調調整機能及び/または可視光透過率調整機能を有してもよく、また、同様に3)の接着層、及び4)のハードコート層は色調調整機能及び/または可視光透過率調整機能を有してもよい。
【0135】
また上記1)、3)の基材は紫外線遮蔽機能を有するものが好ましく、上記2)、4)近赤外線吸収剤は耐光性に優れるものを用いるのが好ましい。
【0136】
図2は、上記のディスプレイ用フィルターの一例を示す模式断面図である。図2において、ディスプレイ用フィルター1は、プラスチックフィルムからなる基材4の一方の面に導電性メッシュ3が形成され、導電性メッシュ3上にハードコート層2が直接に積層され、ハードコート層2上に低屈折率層7が積層されている。基材4の他方の面には近赤外線遮蔽層5及び粘着剤層6が順次積層された構成になっている。
【実施例】
【0137】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(評価方法)
(1)視認性
ディスプレイ用フィルターの低屈折率層とは反対面側の下に写真を置き、低屈折率層側からディスプレイ用フィルターを通して写真を見たときに写真画像がはっきり見えるかどうかを以下の基準で評価した。
A;画像が鮮明に見える。
B;上記Aよりやや劣るが、画像が十分に鮮明に見える。
C;画像がぼやけ、見えにくい。
D;画像が見えない。
(2)ハードコート層及び低屈折率層の屈折率
ハードコート層及び低屈折率層の塗工材料を用いて、シリコンウエハ上に作製した膜厚1.5μmのコーティング被膜について、プリズムカプラー(Metricon(株)製)を用いて、20℃での633nm(He−Neレーザー使用)における膜面に対して垂直方向の屈折率を測定した。
(3)中心線平均粗さRa
ディスプレイ用フィルターの低屈折率層表面の中心線平均粗さRaを、JIS B0601−1982の方法に基づき、表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて測定した。
・測定条件:
送り速さ;0.5mm/S
カットオフ値λc;
Raが20nm以下の場合、λc=0.08mm
Raが20nmより大きく100nm以下の場合、λc=0.25mm
Raが100nmより大きく2000nm以下の場合、λc=0.8mm
評価長さ;8mm
・Ra:表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)でRaと定義されたパラメータ。
(4)鉛筆硬度
ディスプレイ用フィルターの低屈折率層が塗工形成された面の鉛筆硬度を、HEIDON(新東科学(株)製)を用いて、JIS K5600−5−4(1999年)に従って測定し、以下の基準で評価した。
○;2H以上
△;H
×;HB以下
(5)視感反射率(反射防止性)
ディスプレイ用フィルターサンプルについて、分光光度計UV3150PC((株)島津製作所製)を用いて下記のようにして、低屈折率層面から5度の入射角で波長380〜780nmの範囲で反射率(片面反射)を算出し、視感反射率(JIS Z8701−1999において規定されている反射の刺激値Y)を求める。
【0138】
ディスプレイ用フィルターサンプルの低屈折率層とは反対面側からの反射の影響がないようにするため、低屈折率層とは反対面側を60°光沢度(JIS Z 8741)が10以下になるように320〜400番の耐水サンドペーパーで均一に粗面化した後、可視光線透過率が5%以下となるように黒色塗料を塗布して着色し、分光光度計で分光立体角を測定し、JIS Z8701に基づいて視感性反射率(片面光線反射)を算出する。算出式は以下の通りである。
【0139】
T=K×∫[S(λ)×y(λ)× R(λ)]dλ (ただし、積分区間は380〜780nm)
T:片面光線反射率(%)
S(λ) :色の表示に用いる標準の光の分布
y(λ) :XYZ表示系における等色関数
R(λ) :分光立体角反射率
反射防止性としては、視感反射率が1%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましい。
【0140】
(実施例1)
<導電層の形成>
厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標))に、触媒インク(パラジウムコロイド含有ペースト)を用いて格子状メッシュパターンをグラビア印刷し、これを無電解銅メッキ液中に浸漬して、無電解銅メッキを施し、続いて電解銅メッキを施し、さらにNi−Sn合金の電解メッキを施して、厚みが5.5μm、線幅20μm、線ピッチ300μmの導電性メッシュからなる導電層を形成した。このようにして作製した導電層を有するPETフィルムのヘイズ値は2.8%であった。ここでいうピッチとは図1に示すPの距離である。
【0141】
<微粒子分散液1(酸化チタン分散液)の調整>
ルチル型酸化チタン(石原産業(株)製TTO51)10質量部、分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製ディスパービック 161)1質量部、及びメチルイソブチルケトン39質量部を計量し、ガラスビーズ(φ0.1mm)を媒体に用いて、ペイントシェーカーで10時間撹拌し、撹拌後ガラスビーズをろ過し酸化チタン分散液を得た。得られた液の固形分は20質量%で、酸化チタン粒子の平均一次粒子径は64nmであった。
【0142】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 20質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 110質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 54質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.62の高屈折率ハードコート塗料を得た。
【0143】
次に導電層上に高屈折率ハードコート塗料をマイクログラビアコーターで塗工し、80℃で乾燥後、高圧水銀UVランプ(120W/cm)の紫外線を積算光量400mj/cmにて照射して硬化させ、高屈折率ハードコート層を形成した。ハードコート層の乾燥厚みは、導電性メッシュの細線部上の厚み(L)が3μmになるように調整した。
【0144】
<低屈折率層の塗工>
メチルトリメトキシシラン95.2質量部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン65.4質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル300質量部、イソプロパノール100質量部に溶解した。
【0145】
この溶液に、数平均粒子径50nmの外殻の内部に空洞を有するシリカ微粒子分散液(イソプロパノール分散型、固形分濃度20.5%、触媒化成工業社製)297.9質量部、水54質量部およびギ酸1.8質量部を、撹拌しながら反応温度が30℃を越えないように滴下した。
【0146】
滴下後、得られた溶液をバス温40℃で2時間加熱し、その後、溶液をバス温85℃で2時間加熱し、内温を80℃まで上げて、1.5時間加熱した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液を得た。
【0147】
得られたポリマー溶液に、アルミニウム系硬化剤として、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)(商品名 アルミキレートA(W)、川研ファインケミカル(株)社製)4.8質量部をメタノール125質量部に溶解したものを添加し、さらにイソプロパノール 1500質量部およびプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部を添加して、室温にて2時間撹拌し、低屈折率塗料を作製した。
【0148】
得られた低屈折率塗料の被膜をシリコンウエハー上に形成し、上記した方法で求めた屈折率は1.36であった。
【0149】
上記した低屈折率塗料をハードコート層上にマイクログラビアコーターで塗工し、130℃で乾燥および硬化させ、低屈折率層を形成した。低屈折率層の乾燥厚みは約100nmであった。
【0150】
<近赤外線遮蔽層の塗工>
上記で作製した導電層を有するPETフィルムの導電層とは反対側のPETフィルム面に、オレンジ光遮蔽機能を併せ持つ近赤外線遮蔽塗料(近赤外線吸収色素としてのフタロシアニン系色素とジイモニウム系色素、およびオレンジ光吸収色素としてのテトラアザポルフィリン系色素をアクリル系樹脂に混合した塗料)を乾燥厚みが10μmになるようにダイコーターで塗工し、130℃で1分間乾燥および硬化させ、近赤外線遮断層を形成した。
【0151】
<接着層の積層>
セパレートフィルム上に色補正色素を含有したアクリル系透明粘着剤(綜研化学(株)製のSKダイン1811L)を乾燥厚みが約25μmになるようにダイコーターで塗工し、100℃で1分間乾燥および硬化させ、次に上記で作製した各サンプルの近赤外線遮蔽層の上に接着面をロール貼合し、それぞれのディスプレイ用フィルターを得た。色補正色素の含有量および塗工厚みにより、最終的なフィルター透過率が30〜40%になるように調整した。なお、透過率測定はセパレートフィルムを剥離した状態で行った。
(実施例2)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0152】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 55質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 50質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 31質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.61の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(実施例3)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0153】
<微粒子分散液2の調整>
ATO分散液の調整
ATO(三菱マテリアル(株)製T−1)10質量部、分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製ディスパービック 182)2質量部、及びメチルイソブチルケトン38質量部を計量し、ガラスビーズ(φ0.1mm)を媒体に用いて、ペイントシェーカーで14時間撹拌し、撹拌後ガラスビーズをろ過しATO分散液を得た。得られた液の固形分は20質量%で、ATO粒子の平均一次粒子径は53nmであった。
【0154】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 25質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 100質量部
(微粒子分散液2;ATO分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 51質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.58の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(実施例4)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0155】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 57質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 40質量部
(微粒子分散液2;ATO分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 31質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.59の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(実施例5)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0156】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 30質量部
(臭素系アクリル樹脂(第一工業製薬(株)製BR−42)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 100質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 46質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.62の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(実施例6)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0157】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 30質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 100質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 46質量部
(ウレタンアクリレートオリゴマー;根上工業(株)製のアートレジンUN−3320HA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.63の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(実施例7)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0158】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 15質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 50質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 71質量部
(ウレタンアクリレートオリゴマー;根上工業(株)製のアートレジンUN−3320HA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.57の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(比較例1)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0159】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 60質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 100質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 16質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.66の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(比較例2)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0160】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 80質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 16質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.60の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(比較例3)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0161】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
金属酸化物微粒子(B)の分散液 50質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 86質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.52の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(比較例4)
下記の高屈折率ハードコート層に代える以外は、実施例1と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。
【0162】
<高屈折率ハードコート層の塗工>
有機化合物(A) 20質量部
(フルオレン系アクリル樹脂;新中村化学(株)製NKエステルA−BPEF)
金属酸化物微粒子(B)の分散液 150質量部
(微粒子分散液1;酸化チタン分散液、固形分20質量%)
多官能モノマー・オリゴマー(C) 46質量部
(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;日本化薬(株)製DPHA)
メチルイソブチルケトン 30質量部
イソプロピルアルコール 20質量部
重合開始剤 3質量部
(チバスペシャリティケミカル(製)イルガキュア184)
レベリング剤 1質量部
(フッ素系レベリング剤;大日本インキ化学工業(株)のディフェンサMCF−350SF)
上記した組成、配合からなるハードコート塗料を攪拌機により十分混合し、上記した方法で求めた屈折率が1.65の高屈折率ハードコート塗料を得た。
(実施例8〜14)
下記の導電層に代える以外は、実施例1〜7と同様にしてディスプレイ用フィルターを作製した。実施例8は実施例1に対応、実施例9は実施例2に対応、実施例10は実施例3に対応、実施例11は実施例4に対応、実施例12は実施例5に対応、実施例13は実施例6に対応、実施例14は実施例7に対応する。
【0163】
<導電層の形成>
厚み100μmのPETフィルム(東レ(株)製 ルミラー(登録商標))に、スパッタリング法によりニッケル層(厚み0.02μm)を形成し、更にその上に、厚みが2.5μmの銅層を真空蒸着法により形成した。
【0164】
次いで、この銅層の表面にアルカリ現像型ネガレジストフィルムを積層し、格子状パターンのフォトマスクを介して紫外線露光し、炭酸ナトリウムを1質量%含有する現像液を用いて現像処理を行った。次いで、塩化第2鉄溶液によりエッチング処理を行った後、3質量%水酸化ナトリウム水溶液で処理してレジスト層を剥離して、厚みが2.5μm、線幅7μm、線ピッチ130μmの導電性メッシュからなる導電層1を得た。
【0165】
次いで、酸化処理剤(メルテックス(株)製 エンプレート MB―438A/B/純水=8/13/79の割合で調整)を用いて、導電性メッシュを黒化処理した。
このようにして作製した導電層を有するPETフィルムのヘイズ値は、1.9%であった。
【0166】
【表1】

【0167】
表1の結果より、本発明の実施例は、ハードコート層に含有する金属酸化物微粒子の凝集がなく、高い透明性(低屈折率層面のヘイズ値が小さく、Ra値も小さい)、良好な視認性、良好な鉛筆硬度、及び優れた反射防止性が得られていることが分かる。
【0168】
一方、多官能モノマー・オリゴマー(C)の含有比率が25質量%未満の比較例1及び比較例2は、塗膜の鉛筆硬度が不十分である。
【0169】
屈折率1.55以上の有機化合物(A)の含有比率が10質量%未満の比較例3は、ハードコート層の屈折率が低く、反射防止性が不十分であった。
【0170】
金属酸化物微粒子(B)の含有比率が25質量%以上の比較例4は、金属酸化物微粒子の凝集が目立ち、透明性の低下(低屈折率層面のヘイズ値が大きく、Ra値も大きい)と視認性の低下が見られた。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明のディスプレイ用フィルターの一例の模式断面図。
【図2】本発明のディスプレイ用フィルターの一例の模式断面図。
【符号の説明】
【0172】
1 本発明のディスプレイ用フィルター
2 ハードコート層
3 導電性メッシュ
4 基材
5 近赤外線遮蔽層
6 粘着剤層
7 低屈折率層
P 導電性メッシュの線ピッチ
W 導電性メッシュの線幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、導電性メッシュを有する導電層と、前記導電層上に積層された、屈折率が1.55以上のハードコート層と、前記ハードコート層上に積層された、屈折率が1.4以下の低屈折率層とを少なくとも有するディスプレイ用フィルターであって、
前記ハードコート層が、屈折率1.55以上の有機化合物(A)、屈折率1.6以上の金属酸化物微粒子(B)、及び3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)を、該ハードコート層の全成分に対して下記の比率で含有することを特徴とする、ディスプレイ用フィルター。
(含有比率)
有機化合物(A)の含有比率;10質量%以上70質量%以下
金属酸化物微粒子(B)の含有比率;5質量%以上25質量%未満
3官能以上の重合性モノマー及び/または3官能以上の重合性オリゴマー(C)の含有比率;25質量%以上85質量%以下
【請求項2】
前記導電性メッシュの厚みが8μm以下である、請求項1に記載のディスプレイ用フィルター。
【請求項3】
前記屈折率1.55以上の有機化合物(A)が、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子、及び芳香族環の中から選ばれる少なくとも1つを含む有機化合物である、請求項1または2に記載のディスプレイ用フィルター。
【請求項4】
前記屈折率1.55以上の有機化合物(A)が、重合性モノマーまたは重合性オリゴマーである、請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
【請求項5】
前記導電性メッシュが、下記イ)またはロ)の導電性メッシュである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルター。
イ)基材上に気相製膜法で形成された金属薄膜をエッチングすることによって形成された導電性メッシュ。
ロ)基材上にパターン状に印刷された触媒インク層に金属メッキを施すことによって形成された導電性メッシュ。
【請求項6】
前記金属酸化物微粒子(B)の平均一次粒子径が150nm未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルター。
【請求項7】
前記金属酸化物微粒子(B)が、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化鉄、アンチモン酸亜鉛、酸化錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、及びフッ素ドープ酸化錫の中から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のディスプレイ用フィルター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−271393(P2009−271393A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123036(P2008−123036)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】