説明

ディスプレイ装置、および電源回路

【課題】ディスプレイ装置においては複数の電源ラインが存在する。したがい、複数の電源ラインがあることを考慮して、過電流防止用の閾値電流値を設定する機能が必要である。
【解決手段】AC−DC変換回路、メインDC−DC変換回路を備えた電源回路を有するディスプレイ装置であって、電源回路のスイッチング素子に流れる電流を検出し、検出結果に基づいて過電流保護の閾値電流値を設定する。閾値電流値は、例えばスタート信号に応じて随時設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置、および電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許文献1がある。この公報には、「直流電源から負荷に供給される出力電流を検出し、その検出した電流値に対応した電流リミット値(閾値電流値)を設定することで、使用負荷に適合した効率のよい過電流検出が行える。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−62209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電源回路では、過電流保護のための閾値電流値が固定であった。したがって、閾値電流値の大きな電源回路を、負荷の小さな装置に使用すると、その装置にとっては過電流が流れても閾値電流値を超えないため、過電流保護ができないという問題を有していた。この問題点を解決したのが、上記特許文献1に開示している技術である。
しかし、ディスプレイ装置の電源回路の場合は、例えば液晶パネルやプラズマディスプレイパネルを有する表示部の駆動、信号回路の駆動、待機状態時のメインマイコン駆動などのために、個別に投入され、また切断される複数の電源ラインが必要である。表示部が画像を表示している時と、画像を表示せずに待機状態にある時で負荷は異なる。もちろん、表示部の画面サイズをはじめとする仕様により、またディスプレイ装置がテレビビジョンの場合ではHDD録画などの機能の有無などにより負荷は異なる。
【0005】
特許文献1の技術は、電源ラインが複数存在する場合について、考慮されていない。特許文献1の技術を複数の電源ラインが存在する装置に用いる場合は、それぞれの電源ラインに対して電流を検出して閾値電流値を設定する機能が必要となるので、部品点数の増加、処理の複雑化などの問題があった。
本発明は、電源ラインが複数の装置においても、動作状態に応じて容易に過電流保護の閾値電流値の設定が可能なディスプレイ装置、および電源回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は供給された映像情報を処理して表示するディスプレイ装置であって、供給された前記映像情報を処理して表示用の映像信号を生成する信号回路と、該信号回路で生成された前記映像信号が供給され該映像信号に基づき映像を表示する表示部と、前記ディスプレイ装置の全体の動作を制御する制御回路と、前記信号回路、表示部及び制御回路を含む前記ディスプレイ装置の構成要素に複数の電源ラインを介して電源を供給する電源回路を有し、
該電源回路は、前記ディスプレイ装置の構成要素に供給する電源電流の検出部を有し、該検出部で検出した電源電流に基づき過電流保護のための閾値電流値を前記電源回路の最大容量以内の値に設定し、
前記制御回路は、前記閾値電流値が設定された後に前記検出部で検出した電源電流が前記閾値電流値以上である場合には、前記電源回路の電源供給を停止するように制御することを特徴としている。
【0007】
また本発明は、複数の電源ラインを介して外部の装置に電源を供給する電源回路であって、前記外部の装置に供給する電源電流の検出部を有し、該検出部で検出した電源電流に基づき過電流保護のための閾値電流値を前記電源回路の最大容量以内の値に設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、電源ラインが複数存在する装置においても、動作状態に応じて容易に過電流保護の閾値電流値を設定できるディスプレイ装置、および電源回路を実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施例におけるディスプレイ装置の構成図である。
【図2】実施例におけるディスプレイ装置の過電流保護動作のフローチャートである。
【図3】第2の実施例におけるディスプレイ装置の構成図である。
【図4】第3の実施例におけるディスプレイ装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、第1の実施例におけるディスプレイ装置の構成図である。
ディスプレイ装置50は、電源回路10、表示部30、スピーカ31、チューナ32、信号回路33、リモコンI/F38、スイッチ42を有する。
チューナ32は、アンテナ39が受信したテレビ放送信号から所望のチャンネルを選局し、所定の映像信号と音声信号を抽出する。
【0012】
信号回路33は、映像回路34、音声回路35、メインマイコン36、EEPROM37により構成されている。メインマイコン36は、マイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)を有する制御回路であって、ディスプレイ装置50の全体の動作を制御する。上記チューナ32により抽出された映像信号および音声信号は、メインマイコン36を介して、それぞれ映像回路34、音声回路35へ出力される。映像回路34は、入力された映像信号に対して輝度補正やγ補正等の信号処理を行い、液晶パネルやプラズマディスプレイパネルを有する表示部30へ出力し、映像を表示する。また、音声回路35は、入力された音声信号を所定の音量に音声を増幅するなどの処理を行い、スピーカ31へ出力し、スピーカ31はディスプレイ装置50の外部へ音声を出力する。なお、EEPROM37はメインマイコン36が、所定の演算処理を行うためのプログラム等を記録するためのものである。70はディスプレイ装置50を操作するためのリモコンであり、リモコン70からの操作信号は、リモコンI/F38を経由してメインマイコン36に送られる。
【0013】
電源回路10は、AC−DC変換回路11、メインDC−DC変換回路20、待機回路用DC−DC変換回路21、フォトカプラ41を有し、生成した電源を表示部30、スピーカ31、チューナ32、信号回路33が必要とする電圧に変換し、それぞれに供給している。ここで、メインDC−DC変換回路20から表示部30に供給する電源のラインを第1の電源ライン81、スピーカ31、チューナ32、信号回路33に供給する電源のラインを第2の電源ライン82とし、待機回路用DC−DC変換回路21からメインマイコン36に供給する電源のラインを第3の電源ライン83とする。また、メインDC−DC変換回路20、待機回路用DC−DC変換回路21、フォトカプラ41を挟んで、AC−DC変換回路11側を1次側、表示部30及び信号回路33側を2次側という。
【0014】
AC−DC変換回路11は、整流ダイオード12、チョークコイル13、AC−DC変換回路制御IC14、スイッチング素子16、電流検出抵抗17、逆流防止ダイオード18、平滑コンデンサ19から構成される。また、AC−DC変換回路制御IC14の内部には、過電流保護回路15および電源用マイコン40が組み込まれている。
【0015】
ここで、電源回路10の動作原理を説明する。
装置外部からの商用電源60を整流ダイオード12で整流する。この時、AC−DC変換回路制御IC14は、まだ起動しておらず、スイッチング素子16は停止状態である。ここで、まず待機回路用DC−DC変換回路21が動作し、メインマイコン36が待機状態で起動する。このとき、メインDC−DC変換回路20は、起動していない。
リモコン70からの電源オン信号を、リモコンI/F38を介してメインマイコン36が受信すると、メインマイコン36は、AC−DC変換回路制御IC14を起動するよう制御する。AC−DC変換回路制御IC14が起動すると、スイッチング素子16が起動しオン・オフを繰り返す。以下、このオン・オフの繰り返し動作をスイッチング動作という。
【0016】
スイッチング素子16がオンのとき、チョークコイル13にエネルギーが蓄えられ、スイッチング素子16がオフになったとき、逆流防止ダイオード18を介して、平滑コンデンサ19に電流が流れる。このとき、電圧が昇圧され、平滑される。これにより、安定したDC電圧をメインDC−DC変換回路20および待機回路用DC−DC変換回路21に供給することができる。メインDC−DC変換回路20は、電源電圧を表示部30、スピーカ31、チューナ部32、信号回路33が必要な電圧に変換し、安定した電圧をそれぞれに供給する。
【0017】
AC−DC変換回路制御IC14は、電流検出手段を有する。本実施の形態においては、AC−DC変換回路制御IC14に組み込まれた電源用マイコン40により、電流検出抵抗17を介して、スイッチング素子16に流れる電流(以下、素子電流Iという)を検出している。さらに、電源用マイコン40は、過電流保護機能を有し、内部に設定した閾値電流値ILと素子電流Iを比較し、素子電流Iが閾値電流値ILを超えた(過電流)場合には、過電流保護回路15を制御してスイッチング素子16を停止させることができる。これによって、メインDC−DC変換回路20が停止する。この過電流保護機能についての詳細は後述する。なお、AC−DC変換回路制御IC14内の電源用マイコン40とメインマイコン36は、フォトカプラ41を介して、データの授受が可能になっている。
【0018】
本実施の形態のディスプレイ装置50においては、過電流保護回路15の閾値電流値ILを設定することが可能である。過電流保護の閾値電流値ILの設定および、過電流保護機能の動作について、図2を用いて説明する。
図2は、実施例におけるディスプレイ装置の過電流保護動作のフローチャートである。
ディスプレイ装置50の電源をオンすると、電源用マイコン40は、上記したようにメインマイコン36からの制御により動作を開始する。電源用マイコン40は、内部にタイマを所持しており、そのタイマを起動する(S201)。電源用マイコン40は、電流検出抵抗17を介して、スイッチング素子16に流れる素子電流Iを検出する(S202)。さらに電源用マイコン40において、検出した電流Iを予め設定した閾値電流値ILと比較する(S203)。なお、予め設定する初期の閾値電流値ILは、その電源として使用できる最大容量に対して設定する。
【0019】
S203において、IL<Iの場合は、所定の時間後(例えば、0.5秒後)に、電源用マイコン40にて素子電流Iを再検出し(S204)、再度検出した素子電流Iと閾値電流値ILと比較する(S205)。ステップ205において、IL<Iの場合は過電流と判断し、過電流保護回路15を制御して、スイッチング素子16をオフさせる(S216)。このように、S202、S204と2回素子電流Iを検出しているのは、ノイズによる誤動作を防止するためである。S205において、IL≧Iの場合、所定の時間(電源用マイコン40に記憶されている所定の時間)とタイマを比較し、タイマオーバか否かを確認する(S206)。タイムオーバしていなければS204へ戻り、再度素子電流Iの検出を行い、S205にて閾値電流値ILと比較する処理を繰り返す。S206にてタイマが所定時間を越えていた(タイマオーバ)場合はタイマをリセット(S207)し、S201へ戻る。
【0020】
ここで、S203において、IL≧Iの場合、閾値電流値ILをさらに適した値に設定して過電流の判定を行うため、次の過電流検出ループに到る。まずタイマをリセットする(S208)。そして、電源用マイコン40は、メインマイコン36より伝達されるスタート信号を受信しているか判断する(S209)。受け取っていなければS201へ戻る。ここで、スタート信号とは、スイッチ42がオンされたときに、メインマイコン36からフォトカプラ41を介して、電源用マイコン40に送られる信号である。このとき、メインマイコン36から信号クロックも送られる。さらに、一定時間(例えば10秒程度)が経過するとメインマイコン36は、ストップ信号および信号クロックを電源用マイコン40に伝達している。
すなわち、電源用マイコン40はS209において、メインマイコン36よりスタート信号を受け取ると、S209からS210に進み、電源用マイコン40は電流検出抵抗17を介して、素子電流Iを検出する(S210)。
【0021】
この素子電流Iの検出はストップ信号を受信するまで繰り返す(S211からS210)。ストップ信号を受信すると、S212に進み、電源用マイコン40は繰り返し検出した素子電流Iの平均値を定常素子電流値IAVとして算出する。次に電源用マイコン40は、定常素子電流値IAVをもとに、例えば定常素子電流値IAVのα倍(例えば1.5倍)を仮の閾値電流値IL2を設定する(S213)。ここで、電源用マイコン40にて、先ほど設定した仮の閾値電流値IL2と前記した電源の最大容量を比較する(S214)。ステップ214において、IL2>最大容量の場合は、S216に進み、過電流保護回路15を制御して、スイッチング素子16を停止させる。これは、先にS203でIL>Iと判定されたにもかかわらず、S210にて素子電流Iを検出中に素子電流Iが急増したこととなり、何らかの異常が考えられるためである。S214において、IL2≦最大容量の場合、電源用マイコン40は仮の閾値電流値IL2を、新しい閾値電流値ILの値として設定する(S215)。そして、S201へ戻る。これにより、新たに設定された閾値電流値ILで過電流を監視することができる。
【0022】
以上により、スイッチ42をオンすることで、ディスプレイ装置の負荷(例えば表示部のインチサイズ、機能の有無など)に適合した閾値電流値ILを設定することができる。なお、スイッチ42をオンする動作は、ディスプレイ装置50を製作する作業者が、装置の組立てを完了して初めて電源を投入した後に行うと良い。或いは、組立て完了後に初めて電源が投入された後、S203でIL>Iと判定された際に、メインマイコン36がスタート信号を発生するようにしても良い。
【0023】
なお、S203における電流ILの初期値を、電源として使用できる最大容量に基づいて定めているため、ディスプレイ装置の初期状態において異常な過電流が流れたとしても、S208からS215に到るループで最大容量を超過する電流がILとして設定される問題は回避されている。
本実施例によれば、回路負荷条件ないし最大負荷電流が変わったとしても回路部品の定数変更は必要とせず、過電流保護回路の閾値電流値を設定することで、一定の基準での保護監視を行いかつ、電源ラインが複数でも1つの過電流検出回路で構成することができる。そのため、電源の最大容量を超えない限り、使用する負荷に関係なく、同一の電源回路を用いることができる。また、閾値電流値の設定も1度行えば良く、設定が容易となる。
【0024】
なお、設定した閾値電流値ILをフォトカプラ41を介してメインマイコン36に送り、OSDなどで表示部30に表示できるようにすることで、閾値電流値ILを確認することが可能となる。
また、上記したAC−DC変換回路11の構成は一例であり、これに限定されるものでなく、電流検出の機能を備えていれば、他の構成のAC−DC変換回路にも適応できる。
【0025】
また、上記電流検出手段は、電源用マイコン40により、電流検出抵抗17を介して、スイッチング素子16に流れる電流を検出しているが、これは一例であり、他の方法を用いて内部に流れる電流を検出しても良い。
前記実施例においては、S214にて過電流か否かを判断しているが、これに限定されるものではない。例えば、S210の素子電流Iの検出時に過電流か否かを判断し、過電流であれば、S216に進み、スイッチング素子16を停止させてもよい。この場合は、S214は不要となる。
【0026】
なお、前記実施例では、スイッチ42をオンすることで、閾値電流値の設定がおこなわれているが、これに限るものではなく、例えば最初の電源投入時だけ、または一定サイクル毎に常に繰返し行うものであってもよい。この場合は、スイッチ42は不要となる。
また、前記実施例では過電流の検出方法を、一定時間内に2度の過電流になった場合を過電流として検出しているが、これに限定されるものではなく、過電流が検出できれば他の方法であってもよい。
さらに、前記実施例のディスプレイ装置50は、スピーカ31、チューナ32、音声回路35を有し、アンテナ39が必要なテレビジョン装置の場合で説明したが、上記スピーカ31、チューナ32、音声回路35、アンテナ39を備えないモニタ装置にも適用可能である。
【0027】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、外部のメモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に保存しておき、この記録媒体をディスプレイ装置50に接続させることでも実現してもよい。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成要素が相互に接続されていると考えてもよい。
【実施例2】
【0028】
図3は、第2の実施例におけるディスプレイ装置の構成図である。
ディスプレイ装置170は、電源回路120、表示部30、信号回路33、スイッチ42を有する。また、図示していないが第1実施例のディスプレイ装置50と同様に、スピーカ、チューナ、リモコンI/Fを有する。
【0029】
また、信号回路33においても、第1の実施例のディスプレイ装置50と同様に、メインマイコン36、映像回路34、音声回路、EEPROM(後二者は図示せず)により構成されている。
なお、第1の実施例のディスプレイ装置50とは、電源回路120が異なり、他は同様でも良いため、ディスプレイ装置170の詳細説明は省略する。
電源回路120は、AC−DC変換回路121、DC−DC変換回路130、待機回路用DC−DC変換回路21、フォトカプラ41を有し、表示部30、スピーカ、チューナ、信号回路33が必要な電圧に変換し、それぞれに供給する。
【0030】
AC−DC変換回路121は、入力される装置外部からの商用電源60(AC)をDCに変換するものである。DC−DC変換回路130は、DC−DC変換回路制御IC131、ハイサイドスイッチング素子134、ローサイドスイッチング素子135、トランス136、共振コンデンサ137、電流検出抵抗138、表示部用出力ライン整流ダイオード140aおよび140b、表示部用出力ラインコンデンサ141、信号回路用出力ライン整流ダイオード150aおよび150b、信号回路用出力ラインコンデンサ151から構成される。また、DC−DC変換回路制御IC131の内部には、過電流保護回路132および電源用マイコン133が組み込まれている。
【0031】
ここで、DC−DC変換回路130から表示部30に供給する電源のラインを第1の電源ライン181、スピーカ、チューナ、信号回路33に供給する電源のラインを第2の電源ライン182とする。また、トランス136、待機回路用DC−DC変換回路21、フォトカプラ41に対して、AC−DC変換回路121側を1次側、表示部30及び信号回路33側を2次側という。
ここで、電源回路120の動作原理を説明する。
【0032】
装置外部の商用電源60からのAC電源を、AC−DC変換回路121にてAC−DC変換する。DC−DC変換回路制御IC131が起動すると、ハイサイドスイッチング素子134およびローサイドスイッチング素子135がスイッチング動作を開始する。このとき、ハイサイドスイッチング素子134およびローサイドスイッチング素子135は交互にオン・オフし、同時にオン状態にならないよう制御を行い、トランス136および共振コンデンサ137の共振を利用し、2次側へ出力を供給する。その出力を表示部用出力ライン整流ダイオード140aおよび140b、信号回路用出力ライン整流ダイオード150aおよび150bにて整流した後、表示部用出力ラインコンデンサ141、信号回路用出力ラインコンデンサ151にて平滑化し、表示部30、スピーカ、チューナ、信号回路33が必要な電圧に変換し、安定した電圧をそれぞれに供給する。
【0033】
ここで、DC−DC変換回路制御IC131に組み込まれた電源用マイコン133は、電流検出抵抗138を介して、ハイサイドスイッチング素子134、ローサイドスイッチング素子135、トランス136、共振コンデンサ137に流れる電流(以下、素子電流Iという)を検出する機能を有する。さらに、電源用マイコン133は、内部に設定した閾値電流値ILと素子電流Iを比較し、素子電流Iが閾値電流値ILを超えた(過電流)場合には、過電流保護回路132を制御してハイサイドスイッチング素子134、ローサイドスイッチング素子135を停止させ、電源を保護する機能を有している。なお、DC−DC変換回路制御IC131内の電源用マイコン133とメインマイコン36は、フォトカプラ41を介して、制御信号の授受が可能となっている。
【0034】
実施例1のディスプレイ装置50の電源回路10と異なる部分は、過電流保護の機能、過電流保護の閾値電流値ILの設定機能を、DC−DC変換回路130に設けた部分である。閾値電流値ILの設定は、スイッチ42からのオン信号によってメインマイコン36が、フォトカプラ41を介して電源用マイコン133にスタート信号を送ることで行われる。設定の動作、方法については、実施例1のディスプレイ装置50と同様であるため説明は省略する。
【0035】
本実施例によれば、例えば表示部のインチサイズや、機能の有無などによって、回路負荷条件ないし最大負荷電流が変わったとしても回路部品の定数変更は必要とせず、過電流保護回路の閾値電流値ILを設定することで、一定の基準での保護監視を行いかつ、電源ラインが複数のDC−DC変換回路においても1つの過電流検出回路で構成することができる。
また、本発明は、実施例2に示すDC−DC変換回路以外のDC−DC変換回路にも適応できる。
【実施例3】
【0036】
図4は、第3の実施例におけるディスプレイ装置の構成図である。
ディスプレイ装置270は、電源回路220、表示部240、信号回路33、スイッチ42を有する。また、図示していないが第2実施例のディスプレイ装置170と同様にスピーカ、チューナ、リモコンI/Fを有する。
また、信号回路33においても、第2の実施例のディスプレイ装置170と同様に、メインマイコン36、映像回路34、音声回路、EEPROM(後二者は図示せず)により構成されている。
【0037】
なお、上記第2の実施例のディスプレイ装置170に用いた表示部30はDC電源駆動であったが、本実施例のディスプレイ装置270に用いる表示部240はAC電源駆動である。そのため、表示部240に出力する駆動電源はACとなるため、電源回路230が第2の実施例のディスプレイ装置とは異なる。その他については、第2の実施例のディスプレイ装置170と同様でも良いため、詳細説明は省略する。
電源回路220は、AC−DC変換回路121、DC−AC変換回路230、DC−DC変換回路280、待機回路用DC−DC変換回路21、フォトカプラ41を有し、表示部240、スピーカ、チューナ、信号回路33が必要な電圧に変換し、安定した電圧をそれぞれに供給する。
AC−DC変換回路121は、入力される装置外部からの商用電源60(AC)をDCに変換するものである。また、DC−DC変換回路280は、信号回路33、スピーカ、チューナ(図示せず)にDC出力を供給するための回路である。
【0038】
DC−AC変換回路230は、DC−AC変換回路制御IC231、ハイサイドスイッチング素子234、ローサイドスイッチング素子235、トランス236、共振コンデンサ237、電流検出抵抗238から構成される。また、DC−AC変換回路制御IC231の内部には、過電流保護回路232および電源用マイコン233が組み込まれている。
表示部240のバックライトに、例えば複数の冷陰極管を使用した場合、図4のように複数のAC出力が必要となる。DC−AC変換回路230から表示部30に供給する複数の電源ラインをそれぞれ第1電源ライン281、第2電源ライン282、第3電源ライン283とする。また、トランス236、DC−DC変換回路280、待機回路用DC−DC変換回路21、フォトカプラ41に対して、AC−DC変換回路121側を1次側、表示部240及び信号回路33側を2次側という。
【0039】
ここで、電源回路220の動作原理を説明する。
装置外部の商用電源60からのAC電源を、AC−DC変換回路121にてAC−DC変換し、DC−AC変換回路230に入力する。ここで、DC−AC変換回路制御IC231が起動すると、ハイサイドスイッチング素子234およびローサイドスイッチング素子235がスイッチング動作を開始する。このとき、ハイサイドスイッチング素子234およびローサイドスイッチング素子235は交互にオン・オフし、同時にオン状態にならないよう制御を行い、トランス236および共振コンデンサ237の共振を利用し、表示部240へAC出力を供給する。また、DC−DC変換回路280は、スピーカ、チューナ、信号回路33が必要な電圧に変換し、安定した電圧をそれぞれに供給する。
【0040】
ここで、DC−AC変換回路制御IC231に組み込まれた電源用マイコン233は、電流検出抵抗238を介して、ハイサイドスイッチング素子234、ローサイドスイッチング素子235、トランス236、共振コンデンサ237に流れる電流(以下、素子電流Iという)を検出する機能を有する。さらに、電源用マイコン233は、内部に設定した閾値電流値ILと素子電流Iを比較し、素子電流Iが閾値電流値ILを超えた(過電流)場合には、過電流保護回路232を制御してハイサイドスイッチング素子234、ローサイドスイッチング素子235を停止させ、電源を保護する機能を有している。なお、DC−AC変換回路制御IC231内の電源用マイコン233とメインマイコン36は、フォトカプラ41を介して、制御信号の授受が可能となっている。
【0041】
実施例1のディスプレイ装置50の電源回路10と異なる部分は、過電流保護の機能、過電流保護の閾値電流値ILの設定機能を、DC−AC変換回路230に設けた部分である。閾値電流値ILの設定は、スイッチ42からのオン信号によってメインマイコン36が、フォトカプラ41を介して電源用マイコン233にスタート信号を送ることで行われる。設定の動作、方法については、実施例1のディスプレイ装置50と同様であるため説明を省略する。
【0042】
本実施例によれば、例えば表示部のインチサイズなどによって、回路負荷条件ないし最大負荷電流が変わったとしても回路部品の定数変更は必要とせず、過電流保護回路の閾値電流値ILを設定することで、一定の基準での保護監視を行いかつ、電源ラインが複数のDC−AC変換回路においても1つの過電流検出回路で構成することができる。
また、本発明は、実施例3に示すDC−AC変換回路以外のDC−AC変換回路にも適応できる。
【符号の説明】
【0043】
10:電源回路、11:AC−DC変換回路、12:整流ダイオード、13:チョークコイル、14:AC−DC変換回路制御IC、15:過電流保護回路、16:スイッチング素子、17:電流検出抵抗、18:逆流防止ダイオード、19:平滑コンデンサ、20:メインDC−DC変換回路、21:待機回路用DC−DC変換回路、30:表示部、31:スピーカ、32:チューナ、33:信号回路、34:映像回路、35:音声回路、36:メインマイコン、37:EEPROM、38:リモコンI/F、39:アンテナ、40:電源用マイコン、41:フォトカプラ、42:スイッチ、50:ディスプレイ装置、60:商用電源、70:リモコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された映像情報を処理して表示するディスプレイ装置であって、
供給された前記映像情報を処理して表示用の映像信号を生成する信号回路と、
該信号回路で生成された前記映像信号が供給され該映像信号に基づき映像を表示する表示部と、
前記ディスプレイ装置の全体の動作を制御する制御回路と、
前記信号回路、表示部及び制御回路を含む前記ディスプレイ装置の構成要素に複数の電源ラインを介して電源を供給する電源回路を有し、
該電源回路は、前記ディスプレイ装置の構成要素に供給する電源電流の検出部を有し、該検出部で検出した電源電流に基づき過電流保護のための閾値電流値を前記電源回路の最大容量以内の値に設定し、
前記制御回路は、前記閾値電流値が設定された後に前記検出部で検出した電源電流が前記閾値電流値以上である場合には、前記電源回路の電源供給を停止するように制御することを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記電源回路はAC−DC変換回路を有し、該AC−DC変換回路が前記検出部を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記電源回路はAC−DC変換回路とDC−DC変換回路を有し、該DC−DC変換回路が前記検出部を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のディスプレイ装置において、前記電源回路はAC−DC変換回路とDC−AC変換回路を有し、該DC−AC変換回路が前記検出部を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項5】
複数の電源ラインを介して外部の装置に電源を供給する電源回路であって、
前記外部の装置に供給する電源電流の検出部を有し、該検出部で検出した電源電流に基づき過電流保護のための閾値電流値を前記電源回路の最大容量以内の値に設定することを特徴とする電源回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電源回路において、該電源回路はAC−DC変換回路を有し、該AC−DC変換回路が前記検出部を備えることを特徴とする電源回路。
【請求項7】
請求項5に記載の電源回路において、該電源回路はAC−DC変換回路とDC−DC変換回路を有し、該DC−DC変換回路が前記検出部を備えることを特徴とする電源回路。
【請求項8】
請求項5に記載の電源回路において、該電源回路はAC−DC変換回路とDC−AC変換回路を有し、該DC−AC変換回路が前記検出部を備えることを特徴とする電源回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−252123(P2012−252123A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124084(P2011−124084)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】