デジタルカメラおよび画像サーバ
【課題】 デジタルカメラで撮影した画像データをサーバへ転送し保存することはデジタルカメラの操作性を低下させる。
【解決手段】 デジタルカメラ1で撮影した画像データを画像サーバ3へ転送し、第三者へのアクセス権を設定し保存部21へ記憶する。さらに、ネットワーク2経由でプリント受付サーバ4に対し、画像データのプリントを依頼する。また、デジタルカメラ1では、画像サーバ3に転送された画像データを削除する場合、サムネイルとしてデジタルカメラ1に保存するモードを持つ。
【解決手段】 デジタルカメラ1で撮影した画像データを画像サーバ3へ転送し、第三者へのアクセス権を設定し保存部21へ記憶する。さらに、ネットワーク2経由でプリント受付サーバ4に対し、画像データのプリントを依頼する。また、デジタルカメラ1では、画像サーバ3に転送された画像データを削除する場合、サムネイルとしてデジタルカメラ1に保存するモードを持つ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラに関し、とくに、デジタルカメラにより撮影された画像画像データを、ネットワーク上の所定のサーバへ転送する技術、およびその利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラで撮影された画像データは、内蔵されるメモリやデジタルカメラに着脱可能なメモリカード(以降、総称して画像メモリと呼ぶ)へ記録される。しかし画像メモリへ記録できる画像枚数は限られており、撮りきってしまった場合再び撮影できるよう次のような作業を行っていた。
1.記録された画像データの中から不要なものを削除する。
2.着脱可能なメモリカードの場合、新しいメモリカードに取り替える。
3.パーソナルコンピュータなど、より大きな記憶メディアをもつ機器に画像データを移動する。
【0003】
1の場合は不要な画像を検索するのに手間が掛かった。また、この作業を繰り返すうち、もはや削除できる画像がなくなる結果、それ以上メモリ領域の余裕を増やすことができない場合がある。2の場合は、余分に用意しておくメモリカードの分だけコストがかかる、外出先では入手しにくい、などの問題があった。3の場合は、外出先に画像データを移動するための機器を一緒に携帯しなければならず、ユーザの利便性を損ねていた。さらに、いずれの場合も、再び撮影が可能となるまでにある程度の時間が必要となり、シャッタチャンスを逃すことがあった。
【0004】
このような問題点に鑑み、デジタルカメラに通信装置を付加して別の場所にあるサーバへ画像を転送する技術が考案されている。
【0005】
特開平10−304231では、記録する画像サイズの変更時、シャッター半押し時、撮影時などにメモリ残容量をチェックし、画像が記録できないと判断した場合、特定のルールに従って画像データを選択しサーバへ転送後、その画像データを画像メモリ上から削除する技術が開示されている。
【0006】
特開平11−275425では、デジタルカメラにローカルモードとリモートモードという2つの撮影モードを設け、リモートモードでは、撮影した画像データを画像メモリに記録することなく、直接サーバへ転送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−304231
【特許文献2】特開平11−275425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの技術では画像データをサーバへ転送している途中で、さらに撮影をすることはできず、シャッタチャンスを逃す可能性が高いという課題の解決は意図されていない。また、サーバへ記録された画像データは、画像メモリから完全に削除されてしまうため、後から撮影内容を確認できない。あるいは、サーバから画像データを取得することも可能であるが、通信時間が掛かり、操作性は低下してしまう。
【0009】
本発明はこのような技術的背景に鑑みなされたものであって、デジタルカメラの操作性を損なうことなく画像データを外部のサーバへ移動し、画像データの置かれた場所を意識することなく操作できるデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、デジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は、デジタルカメラによって撮影された画像データをネットワーク経由で外部へ転送する第一のタスクと、実際にデジタルカメラによる撮影を実行する第2のタスクとを並行して実施する機能を有する。
【0011】
第2のタスクには、第1のタスクよりも高い優先度が設定され、第1のタスク進行中、または、その起動要求が存在する場合であっても、第2のタスクの起動要求が略リアルタイムに実行されてもよい。
【0012】
本発明の別の態様もデジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は、デジタルカメラによって撮影された画像データをネットワーク経由で外部に転送する処理の起動条件を設定するための条件設定部を含む。
【0013】
起動条件は、デジタルカメラの電池残量に関する設定項目を有してもよく、また電池残量が所定量以上のとき、制御部が前記処理の起動を許可してもよく、さらに電池残量が所定量以下になったとき、制御部が前記処理の起動をユーザに促してもよい。
【0014】
本発明の更に別の態様もデジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は、当該デジタルカメラから、そのデジタルカメラによって撮影された画像データをプリントするための発注情報をプリント主体へ発注する発注処理部を含み、その発注処理部は、発注情報を生成する際、実際にプリントが要求されている画像データに限り、プリント主体からのアクセスを許可するための認証情報を含む形で発注情報を生成する。ここで、プリント主体とは、一般に印画紙への焼付け等のプリント処理を行うプリント業者を指すがこれに限らず、プリント処理のサービスを提供する者であればよい。
【0015】
本発明の更に別の態様もデジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は当該デジタルカメラ内に画像データを保存するための機能と、その画像データをネットワーク経由で外部へ転送し、外部の所定の装置に記録させる機能とを有する。
【0016】
画像データは、外部にある記録装置に記録されるように転送された場合は、当該デジタルカメラ内部にて、その画像データを削除する第1のモードと、縮小画像を保存する第2のモードと含んでもよい。縮小画像とは、例えば、サイズが1024×768ピクセルの画像データを240×180ピクセルに解像度を下げられた画像であるサムネイルや、JPEG形式に圧縮処理を施された画像である。
【0017】
本発明の更に別の態様は画像サーバに関する。この画像サーバは、ネットワーク経由でユーザから送られた画像データを保存する保存部と、そのユーザのデジタルカメラに認証情報を提供する認証部とを含み、そのデジタルカメラにその認証情報が設定され、以降のアクセスが簡易的に行われる。ここで、保存部はユーザ別電子アルバムとしての機能を持つ。
【0018】
本発明の更に別の態様も画像サーバに関する。この画像サーバは、ネットワーク経由でユーザから送られた画像データを保存する保存部と、保存部に保存された画像データをプリントするための要求をユーザから受け付ける発注受付部と、プリントの対象となる画像データに対してアクセスを許可する認証情報を含めた形で、プリント主体へ発注を転送する発注転送部とを含む。
【0019】
本発明の更に別の態様も画像サーバに関する。この画像サーバは、ネットワーク経由でユーザから送られた画像データを公開してもよい相手に関する情報とともに保存する保存部と、公開してもよいといわれる相手に対して、その画像データへのアクセスに必要な認証情報を含む形で通知を行う通知部とを含む。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや組替え、本発明を方法、サーバ、コンピュータプログラム、記録媒体などと表現したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
デジタルカメラの操作性を損なうことなく画像データを外部のサーバへ移動し、画像データの置かれた場所を意識することなくデジタルカメラの操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラおよび画像サーバを含むネットワークシステムを示す図である。
【図2】デジタルカメラに画像サーバを登録するときの処理の手順を示した図である。
【図3】画像データを保存する条件を設定する際に、デジタルカメラに表示される条件設定画面を示した図である。
【図4】デジタルカメラの記録部に記録される画像管理テーブルを示した図である。
【図5】モードの値と画像データの存在場所との対応表を示した図である。
【図6】デジタルカメラのメインループタスクを示すフローチャートである。
【図7】サーバ保存タスクを示すフローチャートである。
【図8】画像サーバへの保存処理の手順を示した図である。
【図9】画像の削除の手順を示すフローチャートである。
【図10】画像サーバ上の画像データを削除する手順を示した図である。
【図11】ネットワークを介した画像データのプリント注文を行うときの処理の手順を示した図である。
【図12】注文ファイルのフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、実施の形態に係るデジタルカメラ1、画像サーバ3、プリント受付サーバ4、およびユーザ端末5がネットワーク2を介し接続されているネットワークシステム101を示した図である。デジタルカメラ1で撮影された画像データは、所定の条件のもと画像サーバ3へ転送される。また、デジタルカメラ1は、プリント受付サーバ4に対し画像サーバ3に転送された指定の画像データをプリントするよう通知する。さらに、ユーザ端末5のユーザに対し、その画像データへのアクセスを許可する。
【0024】
デジタルカメラ1は、記憶部11、制御部12、撮像部13、出力部14、入力部15、通信部16、発注処理部17を備える。
【0025】
記憶部11はROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、着脱可能なメモリカードなどの2次記憶装置から成り、画像サーバ3へアクセスするための認証ファイル、デジタルカメラ1の制御プログラム、画像データ、画像管理テーブル103等を格納する。制御部12はCPU(Central Processing Unit)から成り、記憶部11に格納された制御プログラムに従い、周辺装置の制御を行い、さらに、電池残量に関する設定をも行い、その設定内容を記憶部11に格納する。
【0026】
撮像部13は撮影レンズ、CCD(Charge Coupled Device)などの光電変換器、信号処理装置から成り、被写体の光学像を電気信号へ変換し、制御部12により設定された信号処理を施す。出力部14はLCD(Liquid Crystal Display)から成り、デジタルカメラ1が撮影モードであるときは、撮像部13から入力される画像信号を表示する。また、デジタルカメラ1が再生モードであるときは、記憶部11に記録された画像データが展開され、その画像信号が表示される。さらに、ユーザと対話操作するためのユーザインタフェース画面が表示される。
【0027】
入力部15はダイアル、ボタン、スイッチ等から成り、対話操作におけるデジタルカメラ1のユーザの入力を受け付ける。通信部16は、内蔵無線モジュールあるいはデジタルカメラ1に外付けできる携帯電話などの通信機器から成り、ネットワーク2を介して画像サーバ3、プリント受付サーバ4、あるいはユーザ端末5と接続し、データの送受信を行う。
【0028】
画像サーバ3は、通信部16、保存部21、認証部22、通知部23、発注転送部24、発注受付部25を備え、デジタルカメラ1の要求に従い、通信部16を介し、受信した画像データを記憶したり、指定の画像データを送信したりする。
【0029】
保存部21は、デジタルカメラ1から受信した画像データを記憶する。認証部22は、デジタルカメラ1、プリント受付サーバ4、ユーザ端末5のアクセスを認証する。通知部23は、公開してもよい相手のユーザ端末5に対して、その画像データへのアクセスに必要な認証情報を含む形で通知を行う。発注受付部25は、デジタルカメラ1からプリント受付サーバ4へのプリント処理の注文を受け付け、発注転送部24により、その注文がプリント受付サーバ14へ転送される。
【0030】
プリント受付サーバ4は、デジタルカメラ1からのプリント注文データを受取り、その内容に従って画像データを画像サーバ3から取得し、印画紙への焼付け等のプリント処理を行う。
【0031】
図2は、デジタルカメラ1に画像サーバ3を登録する処理の流れを示した図である。
【0032】
S101では、デジタルカメラ1と画像サーバ3の接続が行われる。画像サーバ3は、あらかじめ所定の通信ポートへの接続要求を待ちうける。次にデジタルカメラ1から画像サーバ3の通信ポートに接続要求が出だされる。画像サーバ3は、デジタルカメラ1からの要求に対し、応答信号を出す。
【0033】
S102では、通信経路の暗号化が行われる。これには、例えば、SSL(Secure Socket Layer)などの方式が利用される。
【0034】
S103では、画像サーバ3のユーザを特定するためのユーザ認証が行われる。ユーザは、画像サーバ3に対してあらかじめユーザ登録を行っているものとし、例えば、パーソナルコンピュータなどでアクセスし、ユーザIDを申請して、パスワードを受け取っておく。このとき画像サーバ3は、それに備えるユーザデータベースを更新し、ユーザ用のディレクトリとして機能する保存部21を用意する。S103では、ユーザがデジタルカメラ1からユーザIDおよびパスワードを手入力し送信する。画像サーバ3は、ユーザデータベースを検索し、登録済みの正式なユーザであることを確認すると、デジタルカメラ1に対し応答信号を送信する。
【0035】
S104では、デジタルカメラ1で撮影された画像データを保存するディレクトリの指定をユーザから受け付け、画像サーバ3は指定された名前のディレクトリを保存部21に作成する。このディレクトリは、ユーザ登録の際に作成されてもよい。
【0036】
S105では、画像サーバ3は、S104で作成したディレクトリをS103で示すユーザ認証ステップなしで読み書きする権限を与える認証ファイルを生成し、デジタルカメラ1に対して送信する。
【0037】
S106では、デジタルカメラ1は、受け取った認証ファイルを画像メモリ上へ記録する。以降、認証ファイルを保持するデジタルカメラ1から画像サーバ3へのアクセスは、ユーザによるユーザID、およびパスワードの入力が省かれ容易となる。
【0038】
S107では、デジタルカメラ1と画像サーバ3との接続が切断される。S108では、デジタルカメラ1において画像サーバ3へ保存する条件が設定される。
【0039】
図3は、条件設定画面102を示しており、撮影した画像データを画像サーバ3に保存する条件をデジタルカメラ1に設定する際に表示される。第1項目の「ネットワーク保存」は、画像サーバ3への保存を有効にするか否かを決定するもので、「する」または「しない」から選択される。「しない」が選択された場合、以降の項目は設定できなくなる。
【0040】
第2項目の「容量」は、画像サーバ3へ保存するための画像メモリ容量の条件を示し、「?枚以上撮影したら」、「撮影可能残数?枚以下」、「?MB以上確保」といった条件の中から選択される。
【0041】
第3項目の「電源」は、「AC電源」、「電池残量が多いとき」、「電池残量が少ないとき」、「いつも」といった条件の中から選択される。「AC電源」は、デジタルカメラ1がAC電源に接続されている場合に保存が行われる。「電池残量が多いとき」は、シャッタチャンスを重視し、「電池残量が少ないとき」は、ユーザに対し画像サーバに対し画像データを保存するように促す。「いつも」の場合は、電源の条件は参照されないことになる。
【0042】
第4項目の「種類」は、ユーザが指定した画像のみ画像サーバ3へ保存する場合は「マークした画像のみ」が、撮影された全ての画像データを対象とする場合は「全て」が選択される。
【0043】
条件設定画面102において設定された内容は、画像メモリ上へ記録される。なお、画像サーバ3への保存条件は、後から設定を変更することが可能であってもよい。
【0044】
図4は、記憶部11の画像メモリ上に記録される画像管理テーブル103である。画像Noフィールドは、撮影された画像データに対し、シーケンシャルに付与される識別番号である。保存ファイル名フィールドは、デジタルカメラ1側の画像メモリ、または画像サーバ3に画像データを保存する際のファイル名が格納される。
【0045】
モードフィールドには、画像データの保存状態が格納される。モードの値と画像データの保存状態との対応表104を図5に示す。モード「A」は、デジタルカメラ1のみに画像データが保存されていることを示す。モード「B」は、デジタルカメラ1にはサムネイル画像が、画像サーバ3には実際に撮影された大きさの画像データ(以降、単に「画像データ」ともいう)が保存されていることを示す。モード「C」は、画像サーバ3にのみ画像データが保存されていることを示す。モード「D」は、どちらにも画像データが保存されておらず、完全に削除されたことを示す。モード「E」は、どちらにも画像データが保存されていることを示す。
【0046】
マークフィールドには、ユーザがその画像にマークしたか否かの情報が格納される。前述の条件設定画面にて「種類」項目に「マークした画像のみ」を選択した場合に、画像サーバ3に保存する画像データの選択時にこのフィールドが参照される。印刷枚数フィールドにはプリント注文する際のプリント枚数が格納される。
【0047】
新しく画像を撮影した場合の画像管理テーブル103の書換え手順は、以下のようになる。まず、画像管理テーブル103に新しいレコードが追加され、画像Noフィールドにシーケンシャルな番号が振られる。その番号を元にして、ファイル名が生成され、保存ファイル名フィールドに記録される。生成されたファイル名で撮影した画像データが画像メモリに保存される。そして、モードフィールドに「A」、マークフィールドに「×」、印刷枚数フィールドに「0」をそれぞれ記録する。
【0048】
図6は、デジタルカメラ1のメインループタスクのフローチャートである。デジタルカメラ1の電源を投入すると、ハードウェアおよびリアルタイムOS(Operation System)の初期化が行われる。そして、本タスクが生成されて、実行権が移される。
【0049】
S201では、タスク間で共有する変数の初期化や、並行して実行される別タスクが生成される。本実施例では、ユーザからの入力が一定時間ないことを示すためのアイドルフラグ変数はOFFに初期化され、画像データを画像サーバ3に保存するためのサーバ保存タスクが生成される。サーバ保存タスクは低い優先度に設定され、他のリアルタイム性を要求する処理を阻害しないようにバックグラウンドで実行される。また、画像サーバ3へ保存する条件を満たさない場合、サーバ保存タスクは休眠状態に入る。サーバ保存タスクの詳細な処理シーケンスは後述する。
【0050】
デジタルカメラ1は、本機を操作するためのボタンやダイアル、外部メディアやケーブルを接続するためのスロット、コネクタ等を備えており、S202で、これらからの入力信号を受け付ける。入力信号はプログラムで判別できる一意のキーに変換され、本タスクに渡される。キーを受け取ると(S202のキー取得)、処理はS203へ進む。一方、ここで一定時間入力信号が受信できなかった場合(S202のタイムアウト)、処理はS208へ進む。
【0051】
S203では、後述するパワーセーブにより各ハードウェアが節電モードに入っている場合、復帰処理が行われる。S204では、アイドルフラグ変数がOFFに設定される。
【0052】
S205では、S202で取得したキーに対する機能が実行される。例えば、撮影モードにおいてシャッターキーが押下された場合は、撮影機能が実行される。撮像部13からの入力信号は、TIFF(Tag Image File Format)形式やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のデータに変換され、画像メモリに保存される。また、上述したように画像管理テーブル103が更新される。
【0053】
また、再生モードにおいて削除キーが押下された場合は、LCDに表示された再生画像データが削除される。削除の詳細については後述する。プリントキーが押下された場合は、画像管理テーブル103からLCDに表示された再生画像に対応するレコードが抽出され、その印刷枚数フィールドの値は1増加する。削除やプリントをはじめとする機能は、それぞれ一つのキーに割り当てられるのではなく、いくつかのキー入力の組合せによって実現されるのが現実的である。例えばデジタルカメラ1は、十字キー、モードキー、決定キーを備え、モードキー押下によってメニュー画面をLCD上に表示し、十字キーによって所望の機能を反転表示させ、決定キーの押下により機能が確定する。
【0054】
S206では、S205で実行した機能が撮影であったかどうかが判定され、撮影と判定されれば(S206のYes)、画像メモリの容量が変化したとみなし処理はS207へ進む。撮影以外の場合(S206のNo)、処理はS210へ進む。
【0055】
S207では、サーバへ保存するための条件を構成する事象が変化したとみなされ、S201で生成されたサーバ保存タスクに対して起床信号が送られる。
【0056】
S202のキー入力待ちにおいて一定時間入力がなかった場合(S202のタイムアウト)、無駄な電力消費を抑えるために、デジタルカメラ1は節電モードに入る。S208でアイドルフラグ変数がONに設定される。S209では、LCD、CCD、信号処理回路などの不要なハードウェア駆動回路がOFFに設定される。さらにCPUに供給するクロック周波数が低くされ、消費電力が抑えられる。つぎに処理は、S207へ進む。
【0057】
S207でサーバ保存タスクが起床され、その処理が終了した場合、およびS206において、S205で実行した機能が撮影でないと判定された場合(S206のNo)、処理はS210に進み、電源のONが継続する場合(S210のON)、処理は202へ戻る。電源がOFFに操作された場合(S210のOFF)、処理が終了する。
【0058】
図7は、サーバ保存タスクのフローチャートである。S301では、画像サーバ3へ保存する条件を満たすかどうかが判定される。保存すべき画像データがあり、かつ前述のS108で設定した保存条件と照合し、条件を満たしていれば(S301のYes)、処理はS302へ進む。 また、S108で設定された保存条件を満たさない場合でも、ユーザがデジタルカメラ1を操作していない、すなわちアイドルフラグ変数がONのとき、処理は条件を満たすものとしてS302へ進んでもよい。
【0059】
保存する条件が満たされない場合(S301のNo)、処理はS308へ進み、休眠状態へ遷移され、条件を構成する事象が変化し、他タスクから起床信号(S207)が送信されるのを待つ。起床すると再びS301へ戻り保存条件を判定する。
【0060】
S302では、画像メモリの中から画像サーバ3へ保存する画像データが選択される。画像管理テーブル103が走査され、モードフィールドが「A」、すなわち画像メモリのみに記録されている画像管理レコードが抽出される。また、保存条件が「マークした画像のみ」となっている場合は、モードフィールドが「A」かつマークフィールドが「○」のレコードが抽出される。抽出されたレコードの保存ファイル名フィールドにより、保存する画像ファイルが特定される。
【0061】
S303では、選択された画像データが画像サーバ3へ保存される。図8は、画像サーバ3への保存処理を示す。S401の画像サーバ3への接続、およびS402の通信経路の暗号化は、それぞれS101、S102と同様の処理なので説明を省略する。
【0062】
S403では、画像サーバ3へ登録する時に受け取って画像メモリ上に記録してある認証ファイルが、画像サーバ3へ送信される。画像サーバ3は、認証ファイルを受け取ると、その認証ファイルからユーザと保存先のディレクトリ(以下、単に「保存ディレクトリ」ともいう)を特定する。さらに接続元のデジタルカメラ1の所有者を正式なユーザであるとみなし、デジタルカメラ1からのアクセス許可を与える(S404)。なお、S401からS404までは、デジタルカメラ1から画像サーバ3にアクセスするときに毎回行われる処理手順であり、以後これら手順をまとめて接続フェーズと呼ぶ。
【0063】
S405では、デジタルカメラ1側で保存されている画像データのファイル名とともに保存リクエストが画像サーバ3へ送信され、つづいて画像データ自身が送信される。画像サーバ3は、受信した画像データをデジタルカメラ1側と同じファイル名で保存ディレクトリ内に記録する。画像データの送受信および保存が成功すると、デジタルカメラ1にOK信号を返送する(S406)。最後に画像サーバ3との接続が切断される(S407)。
【0064】
S304では、図8の保存処理が成功したかどうかが判定され、成功していれば(S304のYes)、処理はS305に進み、失敗していれば(S304のNo)、処理はS301に戻る。S305では、選択された画像データのサムネイルデータが生成される。サイズが1024×768ピクセルや640×480ピクセルの元の画像データが、例えば240×180ピクセルにリサイズされ、JPEG形式のデータに変換される。200万画素級の解像度を持つデジタルカメラ1では、JPEG形式低圧縮率の場合、元データが数百キロバイト〜1メガバイト程度のファイルサイズに対し、サムネイルデータは数十キロバイトに抑えられる。そして画像メモリ上の元データが、生成されたサムネイルデータに置き換えられ、元データが画像メモリ上から削除される(S306)。
【0065】
この時点でデジタルカメラ1の画像メモリ上にサムネイルデータが、画像サーバ3上に元データが、同じファイル名で置かれた状態となる。したがって、S307で画像管理テーブル103のモードフィールドは、モード「A」からモード「B」へ更新し、S301へ戻る。
【0066】
以上の処理を繰り返すことにより、デジタルカメラ1の画像メモリの記録容量の残量を増加させることが可能になる。その際、画像サーバ3への保存処理は、メインタスクとは別に、低い優先度のタスクとして実行されるため、デジタルカメラ1が要求する応答性が損なわれることはない。すなわち、シャッターボタンを押せばすぐに撮影が可能である。
【0067】
また、画像サーバ3へ記録した画像データは、そのサムネイルデータが画像メモリに記録されているため、画像サーバ3から画像データを取得し直すことなく内容の確認が可能である。
【0068】
なお、本実施例では元データの画像サイズを小さくしたサムネイルデータに置き換えることで容量の確保が行われたが、JPEGの圧縮率を高くしたデータ、あるいはこれらを組み合わせたデータを生成して、これに置き換えてもよい。
【0069】
図9は、図6のS205で実行される機能の一つである画像の削除タスクの流れを示すフローチャートである。本実施例では削除のタイプとして、デジタルカメラ1側の画像データのみの削除(以下、単に「ローカル削除」ともいう)と、サーバ側を含めた削除(以下、単に「完全削除」とも言う)の2タイプがあり、ユーザが指定できるようになっている。具体的には画像データを操作するメニューに「ローカル削除」と「完全削除」の2項目を表示し、ユーザがどちらかを選択する。
【0070】
S501では、削除の対象となる画像データのモードが参照され、モードによって次のステップが決定される。モードが「A」の場合、処理はS502へ進み、モードが「B」の場合はS504へ進む。モードが「E」の場合はS508へ進み、モードが「C」の場合はS505へ進む。
【0071】
S502では、画像データをデジタルカメラ1の画像メモリ上から削除する。
デジタルカメラ1上にも画像サーバ3上にも画像データがなくなるので、画像管理テーブル103のモードフィールドを「D」に更新する(S503)。
【0072】
モードが「B」の画像データについては、S504で画像メモリ上のサムネイルデータが削除される。S505で削除のタイプが、「ローカル削除」か「完全削除」のいずれかであるか判断され、「完全削除」なら(S505のYes)、処理はS506へ進み、画像サーバ3上の画像データが削除される。
【0073】
図10は、画像サーバ3上の画像データを削除する処理の流れを示す。S601の接続フェーズでデジタルカメラ1と画像サーバ3とが接続されると、画像サーバ3に対してファイル名とともに削除リクエストが送信される(S602)。
画像サーバ3は、受信したファイル名の画像データを保存ディレクトリ内から削除する。削除が成功すると、デジタルカメラ1にOK信号を返送する(S603)。最後に画像サーバ3とデジタルカメラ1の接続が切断される(S604)。
【0074】
S506の結果、デジタルカメラ1上にも画像サーバ3上にも画像データがなくなるので、画像管理テーブル103のモードフィールドは「D」に更新される(S507)。
【0075】
また、「ローカル削除」なら(S505のNo)、画像サーバ3を変更することなく、処理はS510に進む。その結果、画像サーバ3上のみ画像データが存在する状態となるので、画像管理テーブル103のモードフィールドは「C」に更新される(S507)。
【0076】
モード「E」の画像データについては、S508で画像メモリ上の画像データが削除され、処理はS505へ進む。モード「C」の画像データについては、画像メモリ上に画像データがないので、処理はそのままS505へ進む。
【0077】
このように、画像管理テーブル103に画像データの保存状態を記録しておくことにより、ローカルの画像メモリ上にある画像データと、画像サーバ3上にある画像データとを、デジタルカメラ1から透過的、すなわちそれらの区別を意識することなしに操作することが可能となる。
【0078】
図11は、ネットワーク2を介した画像データのプリント注文が行われる時の処理の流れを示した図である。どの画像データを何枚プリントするかの指定は、あらかじめデジタルカメラ1上でユーザが操作済みであるとする。各画像データのプリント枚数は画像管理テーブル103の印刷枚数フィールドに格納されている。デジタルカメラ1からのプリントの注文は、画像サーバ3の発注受付部25および発注転送部24により行われてもよいが、ここでは、プリント受付サーバ14にデジタルカメラ1から直接注文が行われるケースを述べる。
【0079】
S701の接続フェーズでデジタルカメラ1と画像サーバ3が接続される。S702、S703では、プリントを指示された画像データのうち、画像サーバ3に保存されていないものが画像サーバ3へ保存される。具体的には画像管理テーブル103のレコードが走査され、モードフィールドが「A」かつ印刷枚数フィールドが1以上のレコードに対応する画像データに対して画像サーバ3への保存が行われる。実際の保存手順は、図8のS405およびS406と同じなので説明は省略する。これは走査するレコードがなくなるまで繰り返される。
【0080】
S704では、認証ファイルの発行リクエストが画像サーバ3へ送信される。
ここでの認証ファイルは、第三者であるプリント受付サーバ4が画像サーバ3のユーザディレクトリにアクセスするためのものであり、読み取りの権限のみが許可される。さらにセキュリティの向上を目的として、本認証ファイルによるアクセス回数が制限されたり、例えば発行から12時間以内のみ有効のようにアクセス許可期限が制限されたり、本認証ファイルを使ってアクセスするIPアドレスが限定されてもよい。S705で画像サーバ3は認証ファイルを生成し、デジタルカメラ1に返送する。デジタルカメラ1では、受信された認証ファイルは、「certificate.dat」という名称で画像メモリに一時的に保存される。S706でデジタルカメラ1と画像サーバ3との接続が切断される。
【0081】
S707ではプリントの注文ファイルが生成される。本実施例における注文ファイルのフォーマット105を図12に示す。1〜3行目は画像サーバ3の情報を表す。1行目の[IMAGESERVER]は、以降の行が画像サーバ3の情報を表していることを示すセクション識別子である。2行目および3行目は画像サーバ3のIPアドレスおよびポート番号を示し、この情報を利用してプリント受付サーバ4はユーザの画像サーバ3に接続することができる。
【0082】
4〜5行目は認証データの情報を表す。4行目の[CERTIFICATION]は、以降の行が認証データの情報を表していることを示すセクション識別子である。5行目は認証データのファイル名を示し、プリント受付サーバ4はこのファイル名で送信されたデータを認証ファイルとして認識する。
【0083】
6〜8行目はプリントジョブ情報を示す。6行目の[JOB]は、以降の行がプリントジョブの情報を表していることを示すセクション識別子である。7行目はプリント対象の画像データのファイル名を示し、8行目はプリント枚数を示す。以降、同様の書式でプリントジョブ情報が繰り返し記述される。生成された注文ファイルは、「order.dat」という名称で画像メモリに一時的に保存される。
【0084】
S708では、デジタルカメラ1がプリント受付サーバ4に接続を行い、通信経路の暗号化およびユーザ認証が行われる。この一連の処理は、図2のS101〜S103に示した画像サーバ3との処理と同様であり、あらかじめプリント受付サーバ4にユーザ登録が行われているものとする。この処理は、S101〜S103と同様であり説明は省く。
【0085】
S709では、S705およびS707で用意された認証ファイルおよび注文ファイルがプリント受付サーバ4に送信される。プリント受付サーバ4は、受信した認証ファイルおよび注文ファイルを内部記憶装置の同一ディレクトリ上に一時的に保存する。S710ではデジタルカメラ1とプリント受付サーバ4との接続が切断される。
【0086】
デジタルカメラ1からのプリント注文を受注したプリント受付サーバ4は、送信された注文ファイルから画像サーバ3のIPアドレスおよびポートを抽出し、画像サーバ3へ接続を行い、通信経路の暗号化を行う(S711)。S712では、プリント受付サーバ4は、注文ファイルから認証ファイルのファイル名を抽出し、そのデータを注文ファイルのあるディレクトリ内から読み出し、画像サーバ3へ送信する。画像サーバ3は受信した認証ファイルが自ら発行したものかどうかを判定し、さらにアクセス許可期限、回数、アドレス等が適切であるかを検査して、適切と判断すればプリント受付サーバ4に対して読み出しのアクセス許可を与える(S713)。
【0087】
S714では、プリント受付サーバ4は、注文ファイルからプリントジョブ情報を読み出し、プリントする画像データのファイル名およびプリント枚数を抽出する。そして画像サーバ3に対し、ファイル名とともに画像データリクエストを送信する。
【0088】
S715では、画像サーバ3は受信したファイル名の画像データをプリント受付サーバ4へ送信する。プリント受付サーバ4は受信した画像データを内部記憶装置に一時的に保存する。S714およびS715の処理は注文ファイルに記述されている各プリントジョブ情報に対して繰り返し行われる。S716ではプリント受付サーバ4と画像サーバ3との接続が切断される。
【0089】
S717では、プリント受付サーバ4は取得した画像データを注文ファイルに記述されたプリント枚数に従って印画紙に印刷する。
【0090】
以上により、本実施例におけるデジタルカメラ1からのプリント注文では、第三者であるプリント受付サーバ4からユーザの画像サーバ3へアクセスすることを可能とした。したがって、画像サーバ3に保存されている画像データはプリント注文時にデータ送信する必要がなくなり、通信時間が短縮できる。
【0091】
また、デジタルカメラ1から第三者、ここではデジタルカメラ1のユーザが撮影した画像データを公開してもよいと考える相手に対し、図12と類似の認証ファイル(図示せず)を送信することで、そのファイルに記述してある画像データへのアクセスを許可してもよい。また、デジタルカメラ1を画像サーバ3に登録する際に、アクセスを許可する対象者をアクセスレベルを設定した上で登録しておき、画像サーバ3に画像データを保存する際に、画像データのアクセスレベルを指定してもよい。
【0092】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それら各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲であることは当業者に理解されるところである。そうした変形例を挙げる。
【0093】
実施の形態では、画像サーバ3とプリント受付サーバ4は個別に存在したが、これらを同一のサーバで機能させてもよい。その場合、デジタルカメラ1で撮影された画像データは、実質的に直接プリント受付サーバ4に転送されるため、アクセス権を付加した注文の電子メールを送信する必要がなくなる。さらに、プリントを注文する画像データのみデジタルカメラ1からプリント受付サーバ4へ直接転送されても良い。
【符号の説明】
【0094】
1 デジタルカメラ、 2 ネットワーク、 3 画像サーバ、 4 プリント受付サーバ、 5 ユーザ端末、 11 記憶部、 12 制御部、 15 入力部、 17 発注処理部、 21 保存部、 22 認証部、 23 通知部、 24 発注転送部、 25 発注受付部。
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラに関し、とくに、デジタルカメラにより撮影された画像画像データを、ネットワーク上の所定のサーバへ転送する技術、およびその利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラで撮影された画像データは、内蔵されるメモリやデジタルカメラに着脱可能なメモリカード(以降、総称して画像メモリと呼ぶ)へ記録される。しかし画像メモリへ記録できる画像枚数は限られており、撮りきってしまった場合再び撮影できるよう次のような作業を行っていた。
1.記録された画像データの中から不要なものを削除する。
2.着脱可能なメモリカードの場合、新しいメモリカードに取り替える。
3.パーソナルコンピュータなど、より大きな記憶メディアをもつ機器に画像データを移動する。
【0003】
1の場合は不要な画像を検索するのに手間が掛かった。また、この作業を繰り返すうち、もはや削除できる画像がなくなる結果、それ以上メモリ領域の余裕を増やすことができない場合がある。2の場合は、余分に用意しておくメモリカードの分だけコストがかかる、外出先では入手しにくい、などの問題があった。3の場合は、外出先に画像データを移動するための機器を一緒に携帯しなければならず、ユーザの利便性を損ねていた。さらに、いずれの場合も、再び撮影が可能となるまでにある程度の時間が必要となり、シャッタチャンスを逃すことがあった。
【0004】
このような問題点に鑑み、デジタルカメラに通信装置を付加して別の場所にあるサーバへ画像を転送する技術が考案されている。
【0005】
特開平10−304231では、記録する画像サイズの変更時、シャッター半押し時、撮影時などにメモリ残容量をチェックし、画像が記録できないと判断した場合、特定のルールに従って画像データを選択しサーバへ転送後、その画像データを画像メモリ上から削除する技術が開示されている。
【0006】
特開平11−275425では、デジタルカメラにローカルモードとリモートモードという2つの撮影モードを設け、リモートモードでは、撮影した画像データを画像メモリに記録することなく、直接サーバへ転送する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−304231
【特許文献2】特開平11−275425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの技術では画像データをサーバへ転送している途中で、さらに撮影をすることはできず、シャッタチャンスを逃す可能性が高いという課題の解決は意図されていない。また、サーバへ記録された画像データは、画像メモリから完全に削除されてしまうため、後から撮影内容を確認できない。あるいは、サーバから画像データを取得することも可能であるが、通信時間が掛かり、操作性は低下してしまう。
【0009】
本発明はこのような技術的背景に鑑みなされたものであって、デジタルカメラの操作性を損なうことなく画像データを外部のサーバへ移動し、画像データの置かれた場所を意識することなく操作できるデジタルカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、デジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は、デジタルカメラによって撮影された画像データをネットワーク経由で外部へ転送する第一のタスクと、実際にデジタルカメラによる撮影を実行する第2のタスクとを並行して実施する機能を有する。
【0011】
第2のタスクには、第1のタスクよりも高い優先度が設定され、第1のタスク進行中、または、その起動要求が存在する場合であっても、第2のタスクの起動要求が略リアルタイムに実行されてもよい。
【0012】
本発明の別の態様もデジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は、デジタルカメラによって撮影された画像データをネットワーク経由で外部に転送する処理の起動条件を設定するための条件設定部を含む。
【0013】
起動条件は、デジタルカメラの電池残量に関する設定項目を有してもよく、また電池残量が所定量以上のとき、制御部が前記処理の起動を許可してもよく、さらに電池残量が所定量以下になったとき、制御部が前記処理の起動をユーザに促してもよい。
【0014】
本発明の更に別の態様もデジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は、当該デジタルカメラから、そのデジタルカメラによって撮影された画像データをプリントするための発注情報をプリント主体へ発注する発注処理部を含み、その発注処理部は、発注情報を生成する際、実際にプリントが要求されている画像データに限り、プリント主体からのアクセスを許可するための認証情報を含む形で発注情報を生成する。ここで、プリント主体とは、一般に印画紙への焼付け等のプリント処理を行うプリント業者を指すがこれに限らず、プリント処理のサービスを提供する者であればよい。
【0015】
本発明の更に別の態様もデジタルカメラに関する。このデジタルカメラは、装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、制御部は当該デジタルカメラ内に画像データを保存するための機能と、その画像データをネットワーク経由で外部へ転送し、外部の所定の装置に記録させる機能とを有する。
【0016】
画像データは、外部にある記録装置に記録されるように転送された場合は、当該デジタルカメラ内部にて、その画像データを削除する第1のモードと、縮小画像を保存する第2のモードと含んでもよい。縮小画像とは、例えば、サイズが1024×768ピクセルの画像データを240×180ピクセルに解像度を下げられた画像であるサムネイルや、JPEG形式に圧縮処理を施された画像である。
【0017】
本発明の更に別の態様は画像サーバに関する。この画像サーバは、ネットワーク経由でユーザから送られた画像データを保存する保存部と、そのユーザのデジタルカメラに認証情報を提供する認証部とを含み、そのデジタルカメラにその認証情報が設定され、以降のアクセスが簡易的に行われる。ここで、保存部はユーザ別電子アルバムとしての機能を持つ。
【0018】
本発明の更に別の態様も画像サーバに関する。この画像サーバは、ネットワーク経由でユーザから送られた画像データを保存する保存部と、保存部に保存された画像データをプリントするための要求をユーザから受け付ける発注受付部と、プリントの対象となる画像データに対してアクセスを許可する認証情報を含めた形で、プリント主体へ発注を転送する発注転送部とを含む。
【0019】
本発明の更に別の態様も画像サーバに関する。この画像サーバは、ネットワーク経由でユーザから送られた画像データを公開してもよい相手に関する情報とともに保存する保存部と、公開してもよいといわれる相手に対して、その画像データへのアクセスに必要な認証情報を含む形で通知を行う通知部とを含む。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや組替え、本発明を方法、サーバ、コンピュータプログラム、記録媒体などと表現したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
デジタルカメラの操作性を損なうことなく画像データを外部のサーバへ移動し、画像データの置かれた場所を意識することなくデジタルカメラの操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラおよび画像サーバを含むネットワークシステムを示す図である。
【図2】デジタルカメラに画像サーバを登録するときの処理の手順を示した図である。
【図3】画像データを保存する条件を設定する際に、デジタルカメラに表示される条件設定画面を示した図である。
【図4】デジタルカメラの記録部に記録される画像管理テーブルを示した図である。
【図5】モードの値と画像データの存在場所との対応表を示した図である。
【図6】デジタルカメラのメインループタスクを示すフローチャートである。
【図7】サーバ保存タスクを示すフローチャートである。
【図8】画像サーバへの保存処理の手順を示した図である。
【図9】画像の削除の手順を示すフローチャートである。
【図10】画像サーバ上の画像データを削除する手順を示した図である。
【図11】ネットワークを介した画像データのプリント注文を行うときの処理の手順を示した図である。
【図12】注文ファイルのフォーマットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、実施の形態に係るデジタルカメラ1、画像サーバ3、プリント受付サーバ4、およびユーザ端末5がネットワーク2を介し接続されているネットワークシステム101を示した図である。デジタルカメラ1で撮影された画像データは、所定の条件のもと画像サーバ3へ転送される。また、デジタルカメラ1は、プリント受付サーバ4に対し画像サーバ3に転送された指定の画像データをプリントするよう通知する。さらに、ユーザ端末5のユーザに対し、その画像データへのアクセスを許可する。
【0024】
デジタルカメラ1は、記憶部11、制御部12、撮像部13、出力部14、入力部15、通信部16、発注処理部17を備える。
【0025】
記憶部11はROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、着脱可能なメモリカードなどの2次記憶装置から成り、画像サーバ3へアクセスするための認証ファイル、デジタルカメラ1の制御プログラム、画像データ、画像管理テーブル103等を格納する。制御部12はCPU(Central Processing Unit)から成り、記憶部11に格納された制御プログラムに従い、周辺装置の制御を行い、さらに、電池残量に関する設定をも行い、その設定内容を記憶部11に格納する。
【0026】
撮像部13は撮影レンズ、CCD(Charge Coupled Device)などの光電変換器、信号処理装置から成り、被写体の光学像を電気信号へ変換し、制御部12により設定された信号処理を施す。出力部14はLCD(Liquid Crystal Display)から成り、デジタルカメラ1が撮影モードであるときは、撮像部13から入力される画像信号を表示する。また、デジタルカメラ1が再生モードであるときは、記憶部11に記録された画像データが展開され、その画像信号が表示される。さらに、ユーザと対話操作するためのユーザインタフェース画面が表示される。
【0027】
入力部15はダイアル、ボタン、スイッチ等から成り、対話操作におけるデジタルカメラ1のユーザの入力を受け付ける。通信部16は、内蔵無線モジュールあるいはデジタルカメラ1に外付けできる携帯電話などの通信機器から成り、ネットワーク2を介して画像サーバ3、プリント受付サーバ4、あるいはユーザ端末5と接続し、データの送受信を行う。
【0028】
画像サーバ3は、通信部16、保存部21、認証部22、通知部23、発注転送部24、発注受付部25を備え、デジタルカメラ1の要求に従い、通信部16を介し、受信した画像データを記憶したり、指定の画像データを送信したりする。
【0029】
保存部21は、デジタルカメラ1から受信した画像データを記憶する。認証部22は、デジタルカメラ1、プリント受付サーバ4、ユーザ端末5のアクセスを認証する。通知部23は、公開してもよい相手のユーザ端末5に対して、その画像データへのアクセスに必要な認証情報を含む形で通知を行う。発注受付部25は、デジタルカメラ1からプリント受付サーバ4へのプリント処理の注文を受け付け、発注転送部24により、その注文がプリント受付サーバ14へ転送される。
【0030】
プリント受付サーバ4は、デジタルカメラ1からのプリント注文データを受取り、その内容に従って画像データを画像サーバ3から取得し、印画紙への焼付け等のプリント処理を行う。
【0031】
図2は、デジタルカメラ1に画像サーバ3を登録する処理の流れを示した図である。
【0032】
S101では、デジタルカメラ1と画像サーバ3の接続が行われる。画像サーバ3は、あらかじめ所定の通信ポートへの接続要求を待ちうける。次にデジタルカメラ1から画像サーバ3の通信ポートに接続要求が出だされる。画像サーバ3は、デジタルカメラ1からの要求に対し、応答信号を出す。
【0033】
S102では、通信経路の暗号化が行われる。これには、例えば、SSL(Secure Socket Layer)などの方式が利用される。
【0034】
S103では、画像サーバ3のユーザを特定するためのユーザ認証が行われる。ユーザは、画像サーバ3に対してあらかじめユーザ登録を行っているものとし、例えば、パーソナルコンピュータなどでアクセスし、ユーザIDを申請して、パスワードを受け取っておく。このとき画像サーバ3は、それに備えるユーザデータベースを更新し、ユーザ用のディレクトリとして機能する保存部21を用意する。S103では、ユーザがデジタルカメラ1からユーザIDおよびパスワードを手入力し送信する。画像サーバ3は、ユーザデータベースを検索し、登録済みの正式なユーザであることを確認すると、デジタルカメラ1に対し応答信号を送信する。
【0035】
S104では、デジタルカメラ1で撮影された画像データを保存するディレクトリの指定をユーザから受け付け、画像サーバ3は指定された名前のディレクトリを保存部21に作成する。このディレクトリは、ユーザ登録の際に作成されてもよい。
【0036】
S105では、画像サーバ3は、S104で作成したディレクトリをS103で示すユーザ認証ステップなしで読み書きする権限を与える認証ファイルを生成し、デジタルカメラ1に対して送信する。
【0037】
S106では、デジタルカメラ1は、受け取った認証ファイルを画像メモリ上へ記録する。以降、認証ファイルを保持するデジタルカメラ1から画像サーバ3へのアクセスは、ユーザによるユーザID、およびパスワードの入力が省かれ容易となる。
【0038】
S107では、デジタルカメラ1と画像サーバ3との接続が切断される。S108では、デジタルカメラ1において画像サーバ3へ保存する条件が設定される。
【0039】
図3は、条件設定画面102を示しており、撮影した画像データを画像サーバ3に保存する条件をデジタルカメラ1に設定する際に表示される。第1項目の「ネットワーク保存」は、画像サーバ3への保存を有効にするか否かを決定するもので、「する」または「しない」から選択される。「しない」が選択された場合、以降の項目は設定できなくなる。
【0040】
第2項目の「容量」は、画像サーバ3へ保存するための画像メモリ容量の条件を示し、「?枚以上撮影したら」、「撮影可能残数?枚以下」、「?MB以上確保」といった条件の中から選択される。
【0041】
第3項目の「電源」は、「AC電源」、「電池残量が多いとき」、「電池残量が少ないとき」、「いつも」といった条件の中から選択される。「AC電源」は、デジタルカメラ1がAC電源に接続されている場合に保存が行われる。「電池残量が多いとき」は、シャッタチャンスを重視し、「電池残量が少ないとき」は、ユーザに対し画像サーバに対し画像データを保存するように促す。「いつも」の場合は、電源の条件は参照されないことになる。
【0042】
第4項目の「種類」は、ユーザが指定した画像のみ画像サーバ3へ保存する場合は「マークした画像のみ」が、撮影された全ての画像データを対象とする場合は「全て」が選択される。
【0043】
条件設定画面102において設定された内容は、画像メモリ上へ記録される。なお、画像サーバ3への保存条件は、後から設定を変更することが可能であってもよい。
【0044】
図4は、記憶部11の画像メモリ上に記録される画像管理テーブル103である。画像Noフィールドは、撮影された画像データに対し、シーケンシャルに付与される識別番号である。保存ファイル名フィールドは、デジタルカメラ1側の画像メモリ、または画像サーバ3に画像データを保存する際のファイル名が格納される。
【0045】
モードフィールドには、画像データの保存状態が格納される。モードの値と画像データの保存状態との対応表104を図5に示す。モード「A」は、デジタルカメラ1のみに画像データが保存されていることを示す。モード「B」は、デジタルカメラ1にはサムネイル画像が、画像サーバ3には実際に撮影された大きさの画像データ(以降、単に「画像データ」ともいう)が保存されていることを示す。モード「C」は、画像サーバ3にのみ画像データが保存されていることを示す。モード「D」は、どちらにも画像データが保存されておらず、完全に削除されたことを示す。モード「E」は、どちらにも画像データが保存されていることを示す。
【0046】
マークフィールドには、ユーザがその画像にマークしたか否かの情報が格納される。前述の条件設定画面にて「種類」項目に「マークした画像のみ」を選択した場合に、画像サーバ3に保存する画像データの選択時にこのフィールドが参照される。印刷枚数フィールドにはプリント注文する際のプリント枚数が格納される。
【0047】
新しく画像を撮影した場合の画像管理テーブル103の書換え手順は、以下のようになる。まず、画像管理テーブル103に新しいレコードが追加され、画像Noフィールドにシーケンシャルな番号が振られる。その番号を元にして、ファイル名が生成され、保存ファイル名フィールドに記録される。生成されたファイル名で撮影した画像データが画像メモリに保存される。そして、モードフィールドに「A」、マークフィールドに「×」、印刷枚数フィールドに「0」をそれぞれ記録する。
【0048】
図6は、デジタルカメラ1のメインループタスクのフローチャートである。デジタルカメラ1の電源を投入すると、ハードウェアおよびリアルタイムOS(Operation System)の初期化が行われる。そして、本タスクが生成されて、実行権が移される。
【0049】
S201では、タスク間で共有する変数の初期化や、並行して実行される別タスクが生成される。本実施例では、ユーザからの入力が一定時間ないことを示すためのアイドルフラグ変数はOFFに初期化され、画像データを画像サーバ3に保存するためのサーバ保存タスクが生成される。サーバ保存タスクは低い優先度に設定され、他のリアルタイム性を要求する処理を阻害しないようにバックグラウンドで実行される。また、画像サーバ3へ保存する条件を満たさない場合、サーバ保存タスクは休眠状態に入る。サーバ保存タスクの詳細な処理シーケンスは後述する。
【0050】
デジタルカメラ1は、本機を操作するためのボタンやダイアル、外部メディアやケーブルを接続するためのスロット、コネクタ等を備えており、S202で、これらからの入力信号を受け付ける。入力信号はプログラムで判別できる一意のキーに変換され、本タスクに渡される。キーを受け取ると(S202のキー取得)、処理はS203へ進む。一方、ここで一定時間入力信号が受信できなかった場合(S202のタイムアウト)、処理はS208へ進む。
【0051】
S203では、後述するパワーセーブにより各ハードウェアが節電モードに入っている場合、復帰処理が行われる。S204では、アイドルフラグ変数がOFFに設定される。
【0052】
S205では、S202で取得したキーに対する機能が実行される。例えば、撮影モードにおいてシャッターキーが押下された場合は、撮影機能が実行される。撮像部13からの入力信号は、TIFF(Tag Image File Format)形式やJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のデータに変換され、画像メモリに保存される。また、上述したように画像管理テーブル103が更新される。
【0053】
また、再生モードにおいて削除キーが押下された場合は、LCDに表示された再生画像データが削除される。削除の詳細については後述する。プリントキーが押下された場合は、画像管理テーブル103からLCDに表示された再生画像に対応するレコードが抽出され、その印刷枚数フィールドの値は1増加する。削除やプリントをはじめとする機能は、それぞれ一つのキーに割り当てられるのではなく、いくつかのキー入力の組合せによって実現されるのが現実的である。例えばデジタルカメラ1は、十字キー、モードキー、決定キーを備え、モードキー押下によってメニュー画面をLCD上に表示し、十字キーによって所望の機能を反転表示させ、決定キーの押下により機能が確定する。
【0054】
S206では、S205で実行した機能が撮影であったかどうかが判定され、撮影と判定されれば(S206のYes)、画像メモリの容量が変化したとみなし処理はS207へ進む。撮影以外の場合(S206のNo)、処理はS210へ進む。
【0055】
S207では、サーバへ保存するための条件を構成する事象が変化したとみなされ、S201で生成されたサーバ保存タスクに対して起床信号が送られる。
【0056】
S202のキー入力待ちにおいて一定時間入力がなかった場合(S202のタイムアウト)、無駄な電力消費を抑えるために、デジタルカメラ1は節電モードに入る。S208でアイドルフラグ変数がONに設定される。S209では、LCD、CCD、信号処理回路などの不要なハードウェア駆動回路がOFFに設定される。さらにCPUに供給するクロック周波数が低くされ、消費電力が抑えられる。つぎに処理は、S207へ進む。
【0057】
S207でサーバ保存タスクが起床され、その処理が終了した場合、およびS206において、S205で実行した機能が撮影でないと判定された場合(S206のNo)、処理はS210に進み、電源のONが継続する場合(S210のON)、処理は202へ戻る。電源がOFFに操作された場合(S210のOFF)、処理が終了する。
【0058】
図7は、サーバ保存タスクのフローチャートである。S301では、画像サーバ3へ保存する条件を満たすかどうかが判定される。保存すべき画像データがあり、かつ前述のS108で設定した保存条件と照合し、条件を満たしていれば(S301のYes)、処理はS302へ進む。 また、S108で設定された保存条件を満たさない場合でも、ユーザがデジタルカメラ1を操作していない、すなわちアイドルフラグ変数がONのとき、処理は条件を満たすものとしてS302へ進んでもよい。
【0059】
保存する条件が満たされない場合(S301のNo)、処理はS308へ進み、休眠状態へ遷移され、条件を構成する事象が変化し、他タスクから起床信号(S207)が送信されるのを待つ。起床すると再びS301へ戻り保存条件を判定する。
【0060】
S302では、画像メモリの中から画像サーバ3へ保存する画像データが選択される。画像管理テーブル103が走査され、モードフィールドが「A」、すなわち画像メモリのみに記録されている画像管理レコードが抽出される。また、保存条件が「マークした画像のみ」となっている場合は、モードフィールドが「A」かつマークフィールドが「○」のレコードが抽出される。抽出されたレコードの保存ファイル名フィールドにより、保存する画像ファイルが特定される。
【0061】
S303では、選択された画像データが画像サーバ3へ保存される。図8は、画像サーバ3への保存処理を示す。S401の画像サーバ3への接続、およびS402の通信経路の暗号化は、それぞれS101、S102と同様の処理なので説明を省略する。
【0062】
S403では、画像サーバ3へ登録する時に受け取って画像メモリ上に記録してある認証ファイルが、画像サーバ3へ送信される。画像サーバ3は、認証ファイルを受け取ると、その認証ファイルからユーザと保存先のディレクトリ(以下、単に「保存ディレクトリ」ともいう)を特定する。さらに接続元のデジタルカメラ1の所有者を正式なユーザであるとみなし、デジタルカメラ1からのアクセス許可を与える(S404)。なお、S401からS404までは、デジタルカメラ1から画像サーバ3にアクセスするときに毎回行われる処理手順であり、以後これら手順をまとめて接続フェーズと呼ぶ。
【0063】
S405では、デジタルカメラ1側で保存されている画像データのファイル名とともに保存リクエストが画像サーバ3へ送信され、つづいて画像データ自身が送信される。画像サーバ3は、受信した画像データをデジタルカメラ1側と同じファイル名で保存ディレクトリ内に記録する。画像データの送受信および保存が成功すると、デジタルカメラ1にOK信号を返送する(S406)。最後に画像サーバ3との接続が切断される(S407)。
【0064】
S304では、図8の保存処理が成功したかどうかが判定され、成功していれば(S304のYes)、処理はS305に進み、失敗していれば(S304のNo)、処理はS301に戻る。S305では、選択された画像データのサムネイルデータが生成される。サイズが1024×768ピクセルや640×480ピクセルの元の画像データが、例えば240×180ピクセルにリサイズされ、JPEG形式のデータに変換される。200万画素級の解像度を持つデジタルカメラ1では、JPEG形式低圧縮率の場合、元データが数百キロバイト〜1メガバイト程度のファイルサイズに対し、サムネイルデータは数十キロバイトに抑えられる。そして画像メモリ上の元データが、生成されたサムネイルデータに置き換えられ、元データが画像メモリ上から削除される(S306)。
【0065】
この時点でデジタルカメラ1の画像メモリ上にサムネイルデータが、画像サーバ3上に元データが、同じファイル名で置かれた状態となる。したがって、S307で画像管理テーブル103のモードフィールドは、モード「A」からモード「B」へ更新し、S301へ戻る。
【0066】
以上の処理を繰り返すことにより、デジタルカメラ1の画像メモリの記録容量の残量を増加させることが可能になる。その際、画像サーバ3への保存処理は、メインタスクとは別に、低い優先度のタスクとして実行されるため、デジタルカメラ1が要求する応答性が損なわれることはない。すなわち、シャッターボタンを押せばすぐに撮影が可能である。
【0067】
また、画像サーバ3へ記録した画像データは、そのサムネイルデータが画像メモリに記録されているため、画像サーバ3から画像データを取得し直すことなく内容の確認が可能である。
【0068】
なお、本実施例では元データの画像サイズを小さくしたサムネイルデータに置き換えることで容量の確保が行われたが、JPEGの圧縮率を高くしたデータ、あるいはこれらを組み合わせたデータを生成して、これに置き換えてもよい。
【0069】
図9は、図6のS205で実行される機能の一つである画像の削除タスクの流れを示すフローチャートである。本実施例では削除のタイプとして、デジタルカメラ1側の画像データのみの削除(以下、単に「ローカル削除」ともいう)と、サーバ側を含めた削除(以下、単に「完全削除」とも言う)の2タイプがあり、ユーザが指定できるようになっている。具体的には画像データを操作するメニューに「ローカル削除」と「完全削除」の2項目を表示し、ユーザがどちらかを選択する。
【0070】
S501では、削除の対象となる画像データのモードが参照され、モードによって次のステップが決定される。モードが「A」の場合、処理はS502へ進み、モードが「B」の場合はS504へ進む。モードが「E」の場合はS508へ進み、モードが「C」の場合はS505へ進む。
【0071】
S502では、画像データをデジタルカメラ1の画像メモリ上から削除する。
デジタルカメラ1上にも画像サーバ3上にも画像データがなくなるので、画像管理テーブル103のモードフィールドを「D」に更新する(S503)。
【0072】
モードが「B」の画像データについては、S504で画像メモリ上のサムネイルデータが削除される。S505で削除のタイプが、「ローカル削除」か「完全削除」のいずれかであるか判断され、「完全削除」なら(S505のYes)、処理はS506へ進み、画像サーバ3上の画像データが削除される。
【0073】
図10は、画像サーバ3上の画像データを削除する処理の流れを示す。S601の接続フェーズでデジタルカメラ1と画像サーバ3とが接続されると、画像サーバ3に対してファイル名とともに削除リクエストが送信される(S602)。
画像サーバ3は、受信したファイル名の画像データを保存ディレクトリ内から削除する。削除が成功すると、デジタルカメラ1にOK信号を返送する(S603)。最後に画像サーバ3とデジタルカメラ1の接続が切断される(S604)。
【0074】
S506の結果、デジタルカメラ1上にも画像サーバ3上にも画像データがなくなるので、画像管理テーブル103のモードフィールドは「D」に更新される(S507)。
【0075】
また、「ローカル削除」なら(S505のNo)、画像サーバ3を変更することなく、処理はS510に進む。その結果、画像サーバ3上のみ画像データが存在する状態となるので、画像管理テーブル103のモードフィールドは「C」に更新される(S507)。
【0076】
モード「E」の画像データについては、S508で画像メモリ上の画像データが削除され、処理はS505へ進む。モード「C」の画像データについては、画像メモリ上に画像データがないので、処理はそのままS505へ進む。
【0077】
このように、画像管理テーブル103に画像データの保存状態を記録しておくことにより、ローカルの画像メモリ上にある画像データと、画像サーバ3上にある画像データとを、デジタルカメラ1から透過的、すなわちそれらの区別を意識することなしに操作することが可能となる。
【0078】
図11は、ネットワーク2を介した画像データのプリント注文が行われる時の処理の流れを示した図である。どの画像データを何枚プリントするかの指定は、あらかじめデジタルカメラ1上でユーザが操作済みであるとする。各画像データのプリント枚数は画像管理テーブル103の印刷枚数フィールドに格納されている。デジタルカメラ1からのプリントの注文は、画像サーバ3の発注受付部25および発注転送部24により行われてもよいが、ここでは、プリント受付サーバ14にデジタルカメラ1から直接注文が行われるケースを述べる。
【0079】
S701の接続フェーズでデジタルカメラ1と画像サーバ3が接続される。S702、S703では、プリントを指示された画像データのうち、画像サーバ3に保存されていないものが画像サーバ3へ保存される。具体的には画像管理テーブル103のレコードが走査され、モードフィールドが「A」かつ印刷枚数フィールドが1以上のレコードに対応する画像データに対して画像サーバ3への保存が行われる。実際の保存手順は、図8のS405およびS406と同じなので説明は省略する。これは走査するレコードがなくなるまで繰り返される。
【0080】
S704では、認証ファイルの発行リクエストが画像サーバ3へ送信される。
ここでの認証ファイルは、第三者であるプリント受付サーバ4が画像サーバ3のユーザディレクトリにアクセスするためのものであり、読み取りの権限のみが許可される。さらにセキュリティの向上を目的として、本認証ファイルによるアクセス回数が制限されたり、例えば発行から12時間以内のみ有効のようにアクセス許可期限が制限されたり、本認証ファイルを使ってアクセスするIPアドレスが限定されてもよい。S705で画像サーバ3は認証ファイルを生成し、デジタルカメラ1に返送する。デジタルカメラ1では、受信された認証ファイルは、「certificate.dat」という名称で画像メモリに一時的に保存される。S706でデジタルカメラ1と画像サーバ3との接続が切断される。
【0081】
S707ではプリントの注文ファイルが生成される。本実施例における注文ファイルのフォーマット105を図12に示す。1〜3行目は画像サーバ3の情報を表す。1行目の[IMAGESERVER]は、以降の行が画像サーバ3の情報を表していることを示すセクション識別子である。2行目および3行目は画像サーバ3のIPアドレスおよびポート番号を示し、この情報を利用してプリント受付サーバ4はユーザの画像サーバ3に接続することができる。
【0082】
4〜5行目は認証データの情報を表す。4行目の[CERTIFICATION]は、以降の行が認証データの情報を表していることを示すセクション識別子である。5行目は認証データのファイル名を示し、プリント受付サーバ4はこのファイル名で送信されたデータを認証ファイルとして認識する。
【0083】
6〜8行目はプリントジョブ情報を示す。6行目の[JOB]は、以降の行がプリントジョブの情報を表していることを示すセクション識別子である。7行目はプリント対象の画像データのファイル名を示し、8行目はプリント枚数を示す。以降、同様の書式でプリントジョブ情報が繰り返し記述される。生成された注文ファイルは、「order.dat」という名称で画像メモリに一時的に保存される。
【0084】
S708では、デジタルカメラ1がプリント受付サーバ4に接続を行い、通信経路の暗号化およびユーザ認証が行われる。この一連の処理は、図2のS101〜S103に示した画像サーバ3との処理と同様であり、あらかじめプリント受付サーバ4にユーザ登録が行われているものとする。この処理は、S101〜S103と同様であり説明は省く。
【0085】
S709では、S705およびS707で用意された認証ファイルおよび注文ファイルがプリント受付サーバ4に送信される。プリント受付サーバ4は、受信した認証ファイルおよび注文ファイルを内部記憶装置の同一ディレクトリ上に一時的に保存する。S710ではデジタルカメラ1とプリント受付サーバ4との接続が切断される。
【0086】
デジタルカメラ1からのプリント注文を受注したプリント受付サーバ4は、送信された注文ファイルから画像サーバ3のIPアドレスおよびポートを抽出し、画像サーバ3へ接続を行い、通信経路の暗号化を行う(S711)。S712では、プリント受付サーバ4は、注文ファイルから認証ファイルのファイル名を抽出し、そのデータを注文ファイルのあるディレクトリ内から読み出し、画像サーバ3へ送信する。画像サーバ3は受信した認証ファイルが自ら発行したものかどうかを判定し、さらにアクセス許可期限、回数、アドレス等が適切であるかを検査して、適切と判断すればプリント受付サーバ4に対して読み出しのアクセス許可を与える(S713)。
【0087】
S714では、プリント受付サーバ4は、注文ファイルからプリントジョブ情報を読み出し、プリントする画像データのファイル名およびプリント枚数を抽出する。そして画像サーバ3に対し、ファイル名とともに画像データリクエストを送信する。
【0088】
S715では、画像サーバ3は受信したファイル名の画像データをプリント受付サーバ4へ送信する。プリント受付サーバ4は受信した画像データを内部記憶装置に一時的に保存する。S714およびS715の処理は注文ファイルに記述されている各プリントジョブ情報に対して繰り返し行われる。S716ではプリント受付サーバ4と画像サーバ3との接続が切断される。
【0089】
S717では、プリント受付サーバ4は取得した画像データを注文ファイルに記述されたプリント枚数に従って印画紙に印刷する。
【0090】
以上により、本実施例におけるデジタルカメラ1からのプリント注文では、第三者であるプリント受付サーバ4からユーザの画像サーバ3へアクセスすることを可能とした。したがって、画像サーバ3に保存されている画像データはプリント注文時にデータ送信する必要がなくなり、通信時間が短縮できる。
【0091】
また、デジタルカメラ1から第三者、ここではデジタルカメラ1のユーザが撮影した画像データを公開してもよいと考える相手に対し、図12と類似の認証ファイル(図示せず)を送信することで、そのファイルに記述してある画像データへのアクセスを許可してもよい。また、デジタルカメラ1を画像サーバ3に登録する際に、アクセスを許可する対象者をアクセスレベルを設定した上で登録しておき、画像サーバ3に画像データを保存する際に、画像データのアクセスレベルを指定してもよい。
【0092】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それら各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲であることは当業者に理解されるところである。そうした変形例を挙げる。
【0093】
実施の形態では、画像サーバ3とプリント受付サーバ4は個別に存在したが、これらを同一のサーバで機能させてもよい。その場合、デジタルカメラ1で撮影された画像データは、実質的に直接プリント受付サーバ4に転送されるため、アクセス権を付加した注文の電子メールを送信する必要がなくなる。さらに、プリントを注文する画像データのみデジタルカメラ1からプリント受付サーバ4へ直接転送されても良い。
【符号の説明】
【0094】
1 デジタルカメラ、 2 ネットワーク、 3 画像サーバ、 4 プリント受付サーバ、 5 ユーザ端末、 11 記憶部、 12 制御部、 15 入力部、 17 発注処理部、 21 保存部、 22 認証部、 23 通知部、 24 発注転送部、 25 発注受付部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、
前記制御部は、当該デジタルカメラから、そのデジタルカメラによって撮影された画像データをプリントするための発注情報をプリント主体へ発注する発注処理部を含み、
その発注処理部は、発注情報を生成する際、実際にプリントが要求されている画像データに対する、前記プリント主体からのアクセスを許可するための認証情報を含む形で当該発注情報を生成すること特徴とするデジタルカメラ。
【請求項1】
装置全体を統括する制御部を有するデジタルカメラであって、
前記制御部は、当該デジタルカメラから、そのデジタルカメラによって撮影された画像データをプリントするための発注情報をプリント主体へ発注する発注処理部を含み、
その発注処理部は、発注情報を生成する際、実際にプリントが要求されている画像データに対する、前記プリント主体からのアクセスを許可するための認証情報を含む形で当該発注情報を生成すること特徴とするデジタルカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−88129(P2010−88129A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297270(P2009−297270)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2001−266691(P2001−266691)の分割
【原出願日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願2001−266691(P2001−266691)の分割
【原出願日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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