説明

デジタルカメラ

【課題】着脱自在のモニタ装置を備えるデジタルカメラにおいて、取り外された状態のモニタ装置に、カメラ本体から画像データを送信しモニタ表示可能にする。
【解決手段】デジタルカメラ10をカメラ本体11と、カメラ本体11に着脱自在なモニタ装置12とから構成する。モニタ装置12がカメラ本体11に装着されるとき、コネクタ13を介してカメラ本体11からモニタ装置12へ有線通信を用いて動画像データを転送する。カメラ本体11からモニタ装置12が取り外されているとき、無線コントローラ14、15による無線通信を用いて動画像データをモニタ装置12へ転送する。無線通信の場合には、有線通信のときよりも単位時間当たりのデータ転送量を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルー画像の表示を行うデジタルカメラに関し、特に表示部が着脱可能に構成されたデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、一般に撮影画像やスルー画像を表示するためのモニタを備える。このようなカメラの中には、モニタをヒンジ等の回転機構を介してカメラ本体に対して回転可能としたものもある。また更に、カメラ本体に対してモニタを着脱自在にしたデジタルカメラも提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−261697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載のデジタルカメラでは、モニタをカメラ本体から取り外した状態でもカメラのスルー画像や撮影されたビデオ画像をモニタに表示できることが望ましい。しかしデータ転送に利用できる無線帯域では、転送可能なデータ量が制限されるためこのような動画のモニタ表示は実質的に行えない。
【0005】
本発明は、デジタルカメラにおいて、カメラ本体から動画像データをモニタ装置に無線送信してモニタ表示可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデジタルカメラは、撮像手段と、モニタ装置との間で無線通信を行う第1無線通信手段とを備え、前記撮像手段により得られる動画像データを第1無線手段を用いてモニタ装置へ転送する場合、モニタ表示のために有線を用いて動画像データを転送する場合に比べ、単位時間当たりのデータ転送量を低減することを特徴としている。
【0007】
また、デジタルカメラは、撮像手段と、第1コネクタと、第1無線通信手段とを備えるカメラ本体と、カメラ本体に着脱可能であり、モニタと、第1コネクタに接続可能な第2コネクタと、第1無線手段と無線通信可能な第2無線通信手段とを備えるモニタ装置とを備え、第1、第2無線手段を用いて無線通信によりカメラ本体からモニタ装置へ動画像データを転送する場合、接続された第1、第2コネクタを通した有線通信を用いて動画像データを転送する場合に比べ、単位時間当たりのデータ転送量を低減する。
【0008】
動画像データの転送に有線通信または無線通信の何れを使用するかは、例えば第1および第2コネクタの接続を検知することで判断される。
【0009】
単位時間当たりのデータ転送量の低減は、例えば転送される動画像データの解像度を低減することにより行われる。また、単位時間当たりのデータ転送量の低減は、例えば転送される動画像データのフレームレートを低減することにより行われてもよい。更に、単位時間当たりのデータ転送量の低減は、例えば転送される動画像データの圧縮率を高めることにより行われてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、デジタルカメラにおいて、カメラ本体から動画像データをモニタ装置に無線送信してモニタ表示可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の動画像データ転送処理のフローチャートである。
【図3】コネクタ端子の接続状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態であるデジタルカメラの概略的な構成を示すブロック図である。
【0013】
デジタルカメラ10は、カメラ本体11とモニタ装置12とから構成され、モニタ装置12は、カメラ本体11に着脱自在に構成される。モニタ装置12がカメラ本体11に装着されているとき、カメラ本体11とモニタ装置12は、コネクタ13(13A、13B)を介して電気的に接続され、このときカメラ本体11とモニタ装置12の間では、コネクタ13を介してスルー画像などの動画像データや撮像された静止画像の画像データ、あるいは制御指令などの制御信号が送受信される。一方、カメラ本体11からモニタ装置12が分離されている場合には、各々に設けられた無線コントローラ14、15を用いた無線通信により上記データや制御信号の送受信が行われる。
【0014】
カメラ本体11では、レンズ群16、絞り17、シャッタ18を通して、撮像素子19において被写体像の撮影が行われる。撮像素子19で撮影された画像は、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)20に送られ、所定の画像処理が施された後、メモリ21に一時的に保存されるとともに、コネクタ13または無線コントローラ14、15を介してモニタ装置12のデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)22へと送られる。DSP22に入力された画像は、メモリ23に保存されるとともにイメージLCD(モニタ)24に表示される。なお、メモリ21に保存された画像は、必要に応じてメモリカードなどの外部記録媒体25に記録される。
【0015】
また、本実施形態のカメラ本体11には、手ブレ補正用の防振機構が設けられ、防振機構は防振駆動回路26によって制御される。図1の例では、防振機構にイメージセンサを駆動するイメージセンサシフト方式が採用されるが、撮影レンズを駆動するレンズユニットスイング方式であってもよい。
【0016】
本実施形態において、レンズ群16、絞り17、シャッタ18などの光学系は、レンズ駆動回路27によって制御され、防振駆動回路26およびレンズ駆動回路27は、DSP20によって制御される。また、カメラ本体11、モニタ装置12のDSP20、22には各々操作スイッチ群28、29が接続され、DSP20、22では、操作スイッチ群28、29に設けられたスイッチの操作に基づいて各種の処理が実行される。なお、操作スイッチ群29に替えて、あるいは付加的に、イメージLCD24にタッチパネルを設けてもよい。
【0017】
次に図2のフローチャートを参照して、本実施形態のデジタルカメラ10における動画像データ転送処理について説明する。なお、図2の動画像データ転送処理は、カメラ本体11のDSP20において所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0018】
デジタルカメラは、一般に高解像度化の流れにある。本実施形態のデジタルカメラ10においても撮像素子19で得られるスルー画像の解像度は、例えばVGA(640×480画素)である。しかし、無線通信に用いられる周波数帯域には制限があるため、データ転送速度にも限界がある。例えばIEEE802.11nの規格を用いた無線LAN(Local Area Network)におけるデータ転送速度は、実効速度が3MB/s以下であるのに対し、フレームレート30fpsのVGAでは9.2MB/sの転送速度が必要である。
【0019】
以上のことから本実施形態では、スルー画像などの動画像データ転送処理では、カメラ本体11とモニタ装置12がコネクタ13で接続され有線通信がデータ転送に利用される場合と、カメラ本体11からモニタ装置12が取り外され、無線通信がデータ転送に利用される場合に応じて、単位時間当たりの転送データ量を変更する。
【0020】
ステップS100では、動画像のデータ転送要求の有無が判断され、データ転送要求があると、ステップS102においてモニタ装置(LCDユニット)12が装着されているか否か、すなわちデータ転送が有線で行われるか無線で行われるかが判定される(モニタ装置12の装着の有無を検知する方法については図3を参照して後述する)。
【0021】
ステップS102において、モニタ装置12が装着されており、データ転送が有線で行われると判断される場合には、ステップS104において、大容量データ転送モードが選択されるとともに、ステップS106において相対的に高い解像度の画像データが通常のフレームレートでコネクタ13を通した有線でモニタ装置12へと転送され、この処理は終了する。例えば、カメラ本体11のDSP20からは、VGAの画像が30fpsで有線を通してモニタ装置12のDSP22へと送信され、イメージLCD24に動画像として表示される。
【0022】
一方、ステップ102において、モニタ装置12が取り外されており、データ転送が無線で行われると判断される場合には、ステップS108において、低容量データ転送モードが選択されるとともに、ステップS110において、無線コントローラ14、15を用いた同モードによる画像データのモニタ装置12への転送が無線で行われ、この処理は終了する。
【0023】
ここで、低容量データ転送モードとしては、表示解像度を切替え、転送される画像の解像度を相対的に低い解像度に変換して通常のフレームレートで送信する方法や、解像度はそのままにフレームレートを低いフレームレートに切り替える方法、あるいは動画像を圧縮して転送する場合には、圧縮率を高くするなどの方法がある。また、これらの方法を組み合わせることも可能である(特に帯域が更に狭いブルートゥースなどを用いる場合など)。
【0024】
解像度を低減する場合には、例えばVGAからQVGAに画像データを変換し、30fpsで動画像データの転送を行い、イメージLCD24にはQVGAの動画が30fpsで表示される。また、解像度を維持し、フレームレートを下げる方法では、VGAを維持したままフレームレートを30fpsから10fpsに低減して動画像データの転送を行い、イメージLCD24にはVGAの動画が10fpsで表示される。
【0025】
次に図3を参照して、本実施形態におけるモニタ装置12の装着の有無を検出する構成について説明する。本実施形態では、モニタ装置12の装着の有無をコネクタ13の1つの端子を用いて検出し、これによりデータ転送が有線であるか無線であるかを判断している。
【0026】
図3は、検出に用いられるコネクタ13の端子の接続状態を示す模式図である。コネクタ13は、複数の端子を備えるが、図3には例示的にそれぞれ3つの端子が示される。図3では、モニタ装置12のコネクタ13Bが、カメラ本体11のコネクタ13Aに接続された状態が示される。
【0027】
モニタ装置12の検出用端子は、グラウンドに接続されており、この端子に対応するカメラ本体11側のコネクタ13Aの端子は、抵抗Rを介してプルアップされ、DSP20の検出用の端子に接続される。すなわち、モニタ装置12がカメラ本体11から取り外され、コネクタ13A、13Bが接続されていない状態では、DSP20の検出用端子はハイの状態に維持されるが、モニタ装置12がカメラ本体11に装着されコネクタ13A、13Bが接続されると、グラウンドされてローの状態に切り替わる。したがって、DSP20は、検出用端子の入力がハイであるかローであるかによってモニタ装置12の装着を検出することができる。
【0028】
以上のように本実施形態によれば、着脱自在のモニタ装置を備えるデジタルカメラにおいて、取り外された状態のモニタ装置に、カメラ本体から動画像データを送信しモニタ表示することができる。
【0029】
なお、本実施形態において、デジタルカメラは、スチルカメラ、ビデオカメラの何れであってもよい。
【0030】
また、本実施形態では、モニタ装置がカメラ本体に対し着脱自在であった。しかし、本発明は、例えばモニタ機能および無線機能を備えたデジタルカメラとは別個独立したモニタ装置に、デジタルカメラから無線で動画像データを転送するシステムに対しても適用可能である。この場合、デジタルカメラは例えばカメラ本体に一体化されたモニタを備え、別体のモニタ装置への動画像データの無線転送は、ユーザによるモードの切替えにより行われ、無線転送では動画像をカメラ本体のモニタに表示するときよりも単位時間当たりのデータ転送量が低減される。
【符号の説明】
【0031】
10 デジタルカメラ
11 カメラ本体
12 モニタ装置
13 コネクタ
14、15 無線コントローラ
24 イメージLCD
26 防振駆動回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
モニタ装置との間で無線通信を行う第1無線通信手段とを備え、
前記撮像手段により得られる動画像データを第1無線手段を用いて前記モニタ装置へ転送する場合、モニタ表示のために有線で動画像データを転送する場合に比べ、単位時間当たりのデータ転送量を低減する
ことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記撮像手段と、第1コネクタと、前記第1無線通信手段とを備えるカメラ本体と、
前記カメラ本体に着脱可能であり、モニタと、前記第1コネクタに接続可能な第2コネクタと、前記第1無線手段と無線通信可能な第2無線通信手段とを備えるモニタ装置とを備え、
前記第1、第2無線手段を用いて無線通信により前記カメラ本体から前記モニタ装置へ動画像データを転送する場合、接続された前記第1、第2コネクタを通した有線通信を用いて動画像データを転送する場合に比べ、単位時間当たりのデータ転送量を低減する
ことを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記動画像データの転送に有線通信または無線通信の何れを使用するかが、前記第1および第2コネクタの接続を検知することで判断されることを特徴とする請求項1または請求項2の何れか一項に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記単位時間当たりのデータ転送量の低減が、転送される動画像データの解像度を低減することにより行われることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記単位時間当たりのデータ転送量の低減が、転送される動画像データのフレームレートを低減することにより行われることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記単位時間当たりのデータ転送量の低減が、転送される動画像データの圧縮率を高めることにより行われることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−84973(P2012−84973A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227486(P2010−227486)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】