説明

デジタルデータの記録装置および記録方法

【課題】 可変ビットレートのデジタルデータを単位期間分ずつ連続した領域に記録する場合に、フラグメンテーションの発生を抑える。
【解決手段】 バッファメモリのデータ量が単位期間分以上のときには、バッファメモリのデジタルデータを単位期間分ずつ読み出し、この読み出したデジタルデータを連続した領域として記録する(ステップ106)。バッファメモリのデータ量が単位期間分に満たないときには、その単位期間分に満たないデジタルデータのデータ量に対応する時間と、単位期間の長さとから、データ量を予測する(ステップ112)。この予測したデータ量のデジタルデータを連続して記録することのできる記録可能領域にその単位期間のデジタルデータを記録する(ステップ106)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デジタルデータの記録装置および記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルオーディオデータの記録再生に使用されているミニディスク(登録商標)においては、所定量のデジタルデータごとに1クラスタが構成されるとともに、その1クラスタがディスクへの記録単位とされている。
【0003】
このようなシステムに対して、10〜20秒程度の期間を1単位とし、この単位期間におけるデジタルデータが、ディスク上で連続した領域を占めるように記録を行うシステムが考えられている。
【0004】
図3は、そのようなシステムの信号処理方法を説明するためのもので、ビデオ信号およびオーディオ信号が、例えば図3Aに示すように、MPEG2方式のデジタルデータ(プログラムストリーム)DMにエンコードされる。そして、このデータDMが図3Bに示すようにバッファメモリに順に書き込まれるとともに、図3Cに示すように、データDRとして間欠的に順に読み出される。
【0005】
この場合、データDRは、MPEGデータDMを単位期間TUNITごとに区切り、この単位期間TUNITごとのデータを、期間TRECごとに時間軸圧縮して一定の速度で読み出した信号である。このとき、単位期間TUNITは10〜20秒のうちの任意の長さである。そして、1回の記録の間に単位期間TUNITの長さを変更してもよいが、システムや制御が複雑になることを避けるため、一般には、単位期間TUNITは、少なくとも1回の記録の間では固定とされる。
【0006】
また、期間TRECは、読み出したデータ#nをディスクに記録する期間であり、後述から明らかとなるが、期間TRECの長さは一定ではない。さらに、ある期間TRECと次の期間TRECとの間の期間が、記録ヘッドのシーク期間あるいは記録の休止期間となる。なお、以下、期間TUNITごとのデータDMあるいは期間TRECごとのデータDRを、データ#n(n=1、2、3、・・・)とする。
【0007】
そして、バッファメモリから読み出されたデータDRに対して記録用の変調処理が行われ、この変調処理の行われたデータDRがデータ#1、#2、#3、・・・の順にディスクに記録される。
【0008】
なお、MPEGデータDMは可変ビットレートであり、単位期間TUNITの長さは一定であるから、単位期間TUNITに含まれるデータ#nのデータ量(データサイズ)は、その期間TUNITの映像および音声の内容に対応して変化する。そして、MPEGデータDMが記録期間TRECごとにデータDRとして読み出されてディスクに記録されるとき、データDRのビットレートは一定であるから、記録期間TRECの長さは、その期間TRECにおけるデータDRの内容に対応して変化する。また、1つの記録期間TRECに対応する記録領域の大きさは、その期間TRECにおけるデータ#nの内容に対応して変化する。
【0009】
図4Aは、図3に示すバッファメモリのデータ量(データ残量)DBUFが変化する様子を示し、図4Bは、ディスクへの記録の様子を示す。なお、ディスクに不良セクタを生じていたり、記録や消去を繰り返したため、古い記録区間が断片化されたりしていると、記録に使用できない領域を生じるが、図4Bにおいて、記号×はその記録に使用できない領域を示す。また、符号および記号のない領域が記録可能領域である。
【0010】
そして、図4Aにおいて、時点t0に記録の開始が指示されると、記録ヘッドが、ディスク上の最初の記録可能領域の開始位置にシークされるとともに、時点t0からバッファメモリへのMPEGデータDMの書き込みが開始される。したがって、バッファメモリにおけるデータ量DBUFは時点t0から次第に増加していく。なお、この増加速度は、データDMが可変ビットレートなので、一定ではない。
【0011】
そして、時点t1にデータ量DBUFがバッファメモリの上限値DLIMに達すると、バッファメモリのデータDMは時点t1からデータDRのデータ#1として読み出されていき、したがって、データ量DBUFは時点t1から次第に減少していく。なお、実際には、期間t1以後もデータDMの書き込みは、連続して行われている。
【0012】
そして、時点t2に1単位期間TUNIT分のデータ#1が読み出されると、その読み出しはいったん終了され、したがって、時点t2からデータ量DBUFは再び次第に増加していく。
【0013】
一方、期間t1〜t2は記録期間TRECでもあり、この期間t1〜t2にバッファメモリから読み出されたデータ#1は、図4Bに示すように、連続した領域としてディスクに記録されていく。
【0014】
そして、時点t2にバッファメモリからのデータ#1の読み出しを終了すると、バッファメモリにおける次のデータ#2のデータ量から、そのデータ#2を記録するのに必要な領域の大きさが算出され、期間t2〜t3に、その算出された領域の大きさを満たす記録可能領域へと、記録ヘッドがシークされる。
【0015】
そして、時点t3に記録ヘッドのシークを終了すると、時点t1と同様、バッファメモリのデータ#2が時点t3から読み出されるとともにディスクに記録されていく。したがって、データ量DBUFは時点t3から次第に減少していく。
【0016】
こうして、期間t1〜t2〜t3における処理と同様の処理が、期間t3〜t4〜t5に繰り返されてデータ#2がディスクへと記録され、さらに、期間t5〜t6〜t7にも繰り返されてデータ#3がディスクへと記録される。
【0017】
そして、時点t7になると、データ#4の読み出しおよびディスクへの記録が開始される。しかし、図4の場合、時点t7にバッファメモリに残っているデータ#4のデータ量DBUFが1単位期間TUNIT分に満たないので、時点t8にバッファメモリのデータ量DBUFが0となる。このため、時点t8になると、バッファメモリからのデータ#4の読み出しおよびディスクへのデータ#4の記録はいったん中止される。したがって、データ#4は、その前部分#4Aだけが記録されることになる。また、時点t8からバッファメモリのデータ量DBUFは、再び増加していく。
【0018】
そして、時点t9にデータ量DBUFがバッファメモリの上限値DLIMに達すると、バッファメモリからは、データ#4の残り部分#4Bが読み出され、この残り部分#4Bは、期間t7〜t8に記録された前部分#4Aの領域に続くように、ディスクへと記録されていく。したがって、図4Aに示すようにデータ#4の読み出しは時間的に分割されるが、図4Bに示すようにデータ#4の記録された領域は連続することになる。
【0019】
そして、時点t10にデータ#4の残り部分#4Bの読み出しおよびディスクへの記録を終了すると、以後、時点t2以降の処理が繰り返される。したがって、データDR、すなわち、MPEGデータDMは、1単位期間TUNIT分ごとに1つの連続した領域としてディスクに記録されることになる。
【0020】
以上が、バッファメモリから見たデータDRの読み出しおよび記録であり、ディスクへの記録の様子である。したがって、上述のシステムにおいては、10〜20秒程度の期間TUNITを単位とし、この単位期間TUNITにおけるMPEGデータが、ディスク上で連続した領域を占めるように記録が行われる。
【0021】
したがって、上述のシステムによれば、記録時、ディスクへの記録を行う期間TRECが間欠的になり、期間t0〜t1、t8〜t9などには、ディスクのドライブを休止させておくことができるので、ディスクのドライブに必要な平均の消費電力を小さくすることができ、電池を電源とする記録機器、例えばビデオカメラ一体形レコーダでは、撮影・記録時間を長くすることができる。
【0022】
また、単位期間TUNITの長さが固定であるとともに、1つの単位期間TUNITに対応するディスク上の領域は連続するので、再生時(および記録時)、再生ヘッドのシークを確実に行うことができ、したがって、ビデオ信号やオーディオ信号を単位期間TUNITのつなぎ目でも連続して得ることができるので、映像や音声をつなぎ目でもシームレスに再生することができる。
【0023】
なお、先行技術文献として例えば以下のものがある。
【特許文献1】特開平5−54518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
ところで、例えば時点t1の場合には、バッファメモリにMPEGデータDMが1単位期間TUNIT分以上たまっているので、上述のように、データ#1のデータ量を検出してデータ#1を記録するために必要な領域の大きさを算出し、次に、その算出した領域の大きさを満たす記録可能領域に記録ヘッドをシークさせればよい。このことは、時点t4、t6、t10などでも同様である。
【0025】
しかし、例えば時点t6の場合には、バッファメモリにおけるデータ#4が1単位期間TUNIT分に満たないので、データ#4の総データ量が不明である。このため、データ#4を記録する場合には、図5に示すような処理を行っている。すなわち、まず、1単位期間TUNITが取り得る最大のデータ量を想定し、図5Aに示すように、その最大のデータ量を記録するために必要な記録可能領域の大きさSBLKを求める。
【0026】
そして、図5Bの場合には、データ#3の記録された領域に続く記録可能領域ABLK_Aの大きさが、必要な記録可能領域の大きさSBLKよりも小さい。そこで、記録ヘッドを、必要な大きさSBLKよりも大きい記録可能領域ABLK_Bにシークさせ、図5Cに示すように、その記録可能領域ABLK_Bにデータ#4Aを記録し、その後、データ#4Bを記録し、さらに、データ#5以降を順に記録していく。
【0027】
したがって、図5Cに示すように、実際にデータ#4を記録するのに必要な領域の大きさが、記録可能領域ABLK_Aよりも小さい場合であっても、この記録可能領域ABLK_Aはデータ#4の記録には使用されないことになる。
【0028】
この結果、時点t6のように、バッファメモリのデータ量DBUFが1単位期間TUNIT分に満たない状態が繰り返されると、記録に使用できない領域が増加してしまい、ディスク上の実際に使用可能な領域が少なくなってしまう。また、MPEGデータDRが必要以上に分断されて記録されるので、記録時のシーク回数が増加し、結果として再生時のシーク回数も増加してしまう。
【0029】
さらに、記録可能領域ABLK_Aを別の記録時に使用するように構成しても、その記録時に無駄なシークが発生することになり、消費電力が増大するとともに、再生時にも必ず無駄なシークが発生することになり、再生時の消費電力も増大する。
【0030】
そこで、図4Aの場合、時点t7になってもデータ#4(前部分#4A)の読み出しおよび記録を開始しないで、バッファメモリへのデータ#4の残り部分#4Bの書き込みを続行し、時点t1のように、バッファメモリのデータ量DBUFが上限値DLIMに達したら、時点t1以降と同様、バッファメモリからのデータ#4の読み出しおよびディスクへの記録を開始することが考えられる。そのようにすれば、実際に記録されるデータ#nのデータ量から必要な領域の大きさを求めることができるので、記録可能領域を有効に使用することができる。
【0031】
しかし、この方法においては、例えば時点t6におけるバッファメモリのデータ量DBUFが、場合によっては1単位期間TUNITにおけるデータ量の最大値にほぼ等しくなることがあり、MPEGデータのデータレートが高い場合には、データ量DBUFが、1単位期間TUNITにおけるデータ量の最大値に近い値から上限値DLIMまでの範囲で変化することになるので、見かけ上、バッファメモリの容量が小さくなってしまう。
【0032】
この発明は、以上のような問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0033】
この発明においては、
可変ビットレートのデジタルデータが書き込まれるとともに、この書き込まれたデジタルデータが間欠的に読み出されるバッファメモリと、
このバッファメモリから読み出されたデジタルデータをディスクに記録する記録ヘッドと、
上記バッファメモリから読み出されたデジタルデータを、上記ディスクに記録するときの記録位置を制御する制御回路と
を有し、
この制御回路は、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータのデータ量が単位期間分以上あるときには、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータを上記単位期間分ずつ読み出すとともに、
この読み出したデジタルデータを連続した領域として記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記読み出したデジタルデータを上記単位期間分ごとに連続した領域として記録し、
上記バッファメモリにおける上記デジタルデータのデータ量が上記単位期間分に満たないときには、
その単位期間分に満たないデジタルデータのデータ量に対応する時間と、上記単位期間の長さとから、その単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間におけるデジタルデータのデータ量を予測するとともに、
この予測したデータ量のデジタルデータを連続して記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記単位期間分に満たないデータ量のデジタルデータを記録するとともに、
この記録部分に続いて、上記単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間の残りのデジタルデータを記録する
ようにしたデジタルデータの記録装置
とするものである。また、
可変ビットレートのデジタルデータをバッファメモリに書き込むとともに、この書き込まれたデジタルデータを間欠的に読み出し、
このバッファメモリから読み出したデジタルデータを記録ヘッドに供給してディスクに記録す場合において、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータのデータ量が単位期間分以上あるときには、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータを上記単位期間分ずつ読み出すとともに、
この読み出したデジタルデータを連続した領域として記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記読み出したデジタルデータを上記単位期間分ごとに連続した領域として記録し、
上記バッファメモリにおける上記デジタルデータのデータ量が上記単位期間分に満たないときには、
DPRE=DBUF+(TUNIT−TBUF)×BMAX
DPRE :予測されるデータ量
DBUF :上記バッファメモリに残っているデータのデータ量
TUNIT:上記単位期間の長さ
TBUF :上記バッファメモリに残っているデータの再生時間
BMAX :上記デジタルデータの最大ビットレート
により、その単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間におけるデジタルデータのデータ量DPREを予測するとともに、
この予測したデータ量DPREのデジタルデータを連続して記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記単位期間分に満たないデータ量のデジタルデータを記録するとともに、
この記録部分に続いて、上記単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間の残りのデジタルデータを記録する
ようにしたデジタルデータの記録方法
とするものである。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、例えばデータ#4のように、バッファメモリにおけるデジタルデータのデータ量が単位期間分に満たないときには、そのデータ量に対応する時間を考慮して、その単位期間におけるデータ量を予測し、この予測結果から必要な記録可能領域に記録ヘッドをシークさせているので、ディスクを有効に使用することができる。
【0035】
また、最初から記録可能領域を有効に使用するので、記録時のシーク回数が減少し、結果として再生時のシーク回数も減少し、電池を電源とする機器では、記録時間や再生時間を長くすることができる。さらに、バッファメモリの全容量を有効に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1はこの発明による記録装置の一例を示す。デジタルビデオ信号およびデジタルオーディオ信号が、入力端子11V、11Aを通じてビデオエンコーダ12Vおよびオーディオエンコーダ12Aに供給されて例えばMPEG2方式におけるデジタルデータ(エレメンタリストリーム)にエンコードされる。そして、そのエンコード出力がマルチプレクサ13に供給されて1つのMPEG2方式のデジタルデータ(プログラムストリーム)DMにマルチプレクスされ、マルチプレクサ13からは、例えば図3Aに示すように、MPEGデータDMが連続して取り出される。
【0037】
そして、このMPEGデータDMが、例えば図4Aにも示すように、バッファメモリ14に順に書き込まれるとともに、データDRとして順に読み出され、この読み出されたデータDRが変調回路15に供給されて記録用の変調が行われて記録信号とされる。そして、この記録信号が記録ヘッド16に供給され、図4Bに示すように、例えばディスク19に記録される。
【0038】
また、以上の処理を実現するため、ドライブ制御部17が設けられるとともに、マイクロコンピュータにより構成されたシステムコントローラ18が設けられる。そして、システムコントローラ18によりドライブ制御部17を通じてディスク19に対する記録ヘッド16の記録位置が制御される。また、この例においては、システムコントローラ18はメモリコントローラの機能をも有するもので、システムコントローラ18によりバッファメモリ14におけるデータDMの書き込みおよびデータDRの読み出しが制御される。
【0039】
さらに、システムコントローラ18によりマルチプレクサ13および変調回路15もデータDM、DRに対応して制御される。また、ディスク19の記録可能領域および記録に使用できない領域がシステムコントローラ18により把握されて管理され、その管理情報が変化したときにはディスク19に記録される。
【0040】
以上のようにして、デジタルビデオ信号およびデジタルオーディオ信号がディスク19に記録される。
【0041】
そして、システムコントローラ18には、これを構成するマイクロコンピュータが実行するプログラムの一部として、例えば図2に示す記録ルーチン100が用意される。この記録ルーチン100はデータ#nの記録ごとに実行され、時点t6のように、バッファメモリ14のデータ量DBUFが1単位期間TUNITに満たないときでも適切な記録可能領域へのシークが実現される。
【0042】
すなわち、時点t2、t4、t6、t10などのように前回の記録期間TRECの終了時点になると、システムコントローラ18を構成するマイクロコンピュータの処理がルーチン100のステップ101からスタートし、次にステップ102において、バッファメモリ14のデータ量DBUFが1単位期間TUNIT分以上あるかどうかが判別される。
【0043】
そして、時点t2、t4などのように、バッファメモリ14のデータ量DBUFが1単位期間TUNIT分以上あるときには、処理はステップ102からステップ103に進み、このステップ103において、バッファメモリ14のデータDMの最初の1単位期間TUNIT分のデータ#nのデータ量が算出される。
【0044】
続いて、ステップ104において、システムコントローラ18の管理しているディスク19の管理情報に基づいて、ステップ103により算出されたデータ量のデータ#nを連続して記録することのできる記録可能領域が探索され、次にステップ105において、記録ヘッド16がステップ104により探索された記録可能領域にシークされる。
【0045】
そして、ステップ106において、ステップ105によりシークされた記録可能領域に、ステップ103によりデータ量が算出されたデータ#nが、連続した領域として記録され、その後、ステップ107によりルーチン100を終了する。なお、この終了時点が、時点t2、t4などである。
【0046】
こうして、例えばデータ#1、#2、#3は、それぞれが1つの連続した領域となるように、ディスク19に記録されていく。
【0047】
一方、ステップ102において、時点t6のように、バッファメモリ14のデータ量DBUFが1単位期間TUNIT分に満たないときには、処理はステップ102からステップ111に進み、このステップ111において、バッファメモリ14に残っているデータDMのデータ量DBUFが算出される。
【0048】
次にステップ112において、図4の場合であれば、データ#4のデータ量が(1)式により予測される。すなわち、バッファメモリ14に残っているデータ#nが属する単位期間TUNITのデータ量DPREが(1)式にしたがって予測される。
【0049】
DPRE=DBUF+(TUNIT−TBUF)×BMAX ・・・ (1)
DPRE :予測されるデータ量
DBUF :バッファメモリ14に残っているデータのデータ量
TUNIT:1単位期間の長さ(10〜20秒のいずれか)
TBUF :バッファメモリ14に残っているデータの再生時間
BMAX :デジタルデータDMの最大ビットレート
この場合、データ量DBUFは、例えば、バッファメモリ14に対する書き込みアドレスと読み出しアドレスとの差から求めることができる。また、再生時間TBUFは、バッファメモリ14に蓄積しているデータのストリームから取得することができ、例えばストリーム内のピクチャのヘッダを検出してフレーム数をカウントすればよい。さらに、1単位期間の長さTUNITおよび最大ビットレートBMAXは、システムコントローラ18にあらかじめ与えられている値である。
【0050】
そして、処理はステップ112に続いてステップ104に進み、このステップ104において、ステップ112により予測したデータ量DPREのデータを連続して記録することのできる記録可能領域が探索され、次にステップ105において、記録ヘッド16がステップ104により探索された記録可能領域にシークされる。
【0051】
続いて、ステップ106において、ステップ105によりシークされた記録可能領域に、バッファメモリ14に残っているデータ、今の場合、データ#4の前部分#4Aが記録され、その後、残りの部分#4Bが1つの領域として連続するように記録され、ステップ107によりルーチン100を終了する。
【0052】
したがって、例えばデータ#4が、1つの連続した領域となるように、ディスク19に記録される。
【0053】
そして、ルーチン100がデータ#nごとに実行されるので、データDR、つまり、MPEGデータDMは、例えば図4に示すように、ディスク19に記録されていく。なお、この記録時、ディスク19に記録されている領域の管理情報は、システムコントローラ18によりルーチン100の処理に対応して更新されていく。
【0054】
こうして、上述の記録装置によれば、MPEGデータDMをディスク19に記録することができる。なお、再生は、上述の記録とは相補の処理により実現することができる。すなわち、ディスク19に記録されている管理情報にしたがって、ディスク19から記録信号をデータ#nの順に間欠的に再生するとともに、その再生した記録信号からデータDRを復調してバッファメモリに順に書き込み、その書き込んだデータDRをMPEGデータDMとして連続して読み出せばよい。
【0055】
以上のようにして、上述の記録装置によれば、MPEGデータDMをディスク19に記録することができるが、その場合、特に上述の記録装置によれば、例えばデータ#4のように、記録の開始時点t6に1単位期間TUNIT分がバッファメモリ14にたまっていないときには、(1)式にしたがってデータ量DPREを予測するようにしているので、ディスク19を有効に使用することができる。
【0056】
すなわち、図5に示す方法の場合には、例えばデータ#4として1単位期間TUNITにおける最大のデータ量を予測するのに対し、(1)式の場合には、データ#4のうち、未知のデータ部分#4Bについてのみ、最大のデータ量を予測するので、データ#4に対する予測データ量DPREが、図5に示す方法の場合の予測データ量よりも小さくなる。
【0057】
したがって、データ#4を記録するために必要な領域の予測サイズ(大きさ)も、図5に示す方法の場合の予測値以下となるので、データ#4を例えば図5Bにおける記録可能領域ABLK_Aに記録する確率が高くなる。つまり、図5に示す方法の場合には使用しない記録可能領域に、1単位期間TUNIT分のデータDRを記録する確率が高くなる。この結果、短い記録可能領域でも記録に有効に記録が行われるので、ディスク19を有効に使うことができる。
【0058】
また、最初から記録可能領域ABLK_Aを有効に使用するので、記録時のシーク回数が減少し、結果として再生時のシーク回数も減少し、電池を電源とする機器では、記録時間や再生時間を長くすることができる。
【0059】
さらに、バッファメモリ14のデータ量DBUFは、最小値0から上限値DLIMまで変化するので、バッファメモリ14の全容量を有効に使用することができる。また、データDRのビットレートが高い、バッファメモリ14の容量が小さいなどの理由により、1単位期間TUNIT分のデータDMがバッファメモリ14に入りきらないような場合でも、バッファメモリ14の全容量を有効に使用することができる。
【0060】
なお、上述においては、ディスク19はDVD−Rやブルーレイディスクなどの光ディスクとすることができ、あるいはMOなどの光磁気ディスクとすることもできる。また、可変ビットレートのデータを単位時間分ずつディスクに記録する場合であれば、記録するデータの内容、信号のフォーマット、ディスクの種類、ディスク上のデータの管理方法などにかかわらず、この発明を適用することができる。
【0061】
〔略語の一覧〕
DVD−R:DVD Recordable
MO :Magneto-Optical disk
MPEG :Motion Picture Experts Group
MPEG2:MPEG Phase 2
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の一形態を示す系統図である。
【図2】この発明の一形態を示すフローチャートである。
【図3】この発明を説明するための図である。
【図4】この発明を説明するための図である。
【図5】この発明を説明するための図である。
【符号の説明】
【0063】
11Aおよび11V…入力端子、12A…ビデオエンコーダ、12V…オーディオエンコーダ、13…マルチプレクサ、14…バッファメモリ、15…変調回路、16…記録ヘッド、17…ドライブ制御部、18…システムコントローラ、19…ディスク、100…記録ルーチン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変ビットレートのデジタルデータが書き込まれるとともに、この書き込まれたデジタルデータが間欠的に読み出されるバッファメモリと、
このバッファメモリから読み出されたデジタルデータをディスクに記録する記録ヘッドと、
上記バッファメモリから読み出されたデジタルデータを、上記ディスクに記録するときの記録位置を制御する制御回路と
を有し、
この制御回路は、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータのデータ量が単位期間分以上あるときには、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータを上記単位期間分ずつ読み出すとともに、
この読み出したデジタルデータを連続した領域として記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記読み出したデジタルデータを上記単位期間分ごとに連続した領域として記録し、
上記バッファメモリにおける上記デジタルデータのデータ量が上記単位期間分に満たないときには、
その単位期間分に満たないデジタルデータのデータ量に対応する時間と、上記単位期間の長さとから、その単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間におけるデジタルデータのデータ量を予測するとともに、
この予測したデータ量のデジタルデータを連続して記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記単位期間分に満たないデータ量のデジタルデータを記録するとともに、
この記録部分に続いて、上記単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間の残りのデジタルデータを記録する
ようにしたデジタルデータの記録装置。
【請求項2】
可変ビットレートのデジタルデータが書き込まれるとともに、この書き込まれたデジタルデータが間欠的に読み出されるバッファメモリと、
このバッファメモリから読み出されたデジタルデータをディスクに記録する記録ヘッドと、
上記バッファメモリから読み出されたデジタルデータを、上記ディスクに記録するときの記録位置を制御する制御回路と
を有し、
この制御回路は、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータのデータ量が単位期間分以上あるときには、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータを上記単位期間分ずつ読み出すとともに、
この読み出したデジタルデータを連続した領域として記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記読み出したデジタルデータを上記単位期間分ごとに連続した領域として記録し、
上記バッファメモリにおける上記デジタルデータのデータ量が上記単位期間分に満たないときには、
DPRE=DBUF+(TUNIT−TBUF)×BMAX
DPRE :予測されるデータ量
DBUF :上記バッファメモリに残っているデータのデータ量
TUNIT:上記単位期間の長さ
TBUF :上記バッファメモリに残っているデータの再生時間
BMAX :上記デジタルデータの最大ビットレート
により、その単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間におけるデジタルデータのデータ量DPREを予測するとともに、
この予測したデータ量DPREのデジタルデータを連続して記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記単位期間分に満たないデータ量のデジタルデータを記録するとともに、
この記録部分に続いて、上記単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間の残りのデジタルデータを記録する
ようにしたデジタルデータの記録装置。
【請求項3】
可変ビットレートのデジタルデータをバッファメモリに書き込むとともに、この書き込まれたデジタルデータを間欠的に読み出し、
このバッファメモリから読み出したデジタルデータを記録ヘッドに供給してディスクに記録する場合において、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータのデータ量が単位期間分以上あるときには、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータを上記単位期間分ずつ読み出すとともに、
この読み出したデジタルデータを連続した領域として記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記読み出したデジタルデータを上記単位期間分ごとに連続した領域として記録し、
上記バッファメモリにおける上記デジタルデータのデータ量が上記単位期間分に満たないときには、
その単位期間分に満たないデジタルデータのデータ量に対応する時間と、上記単位期間の長さとから、その単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間におけるデジタルデータのデータ量を予測するとともに、
この予測したデータ量のデジタルデータを連続して記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記単位期間分に満たないデータ量のデジタルデータを記録するとともに、
この記録部分に続いて、上記単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間の残りのデジタルデータを記録する
ようにしたデジタルデータの記録方法。
【請求項4】
可変ビットレートのデジタルデータをバッファメモリに書き込むとともに、この書き込まれたデジタルデータを一定の速度で、かつ、間欠的に読み出し、
このバッファメモリから読み出したデジタルデータを記録ヘッドに供給してディスクに記録する場合において、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータのデータ量が単位期間分以上あるときには、
上記バッファメモリにおけるデジタルデータを上記単位期間分ずつ読み出すとともに、
この読み出したデジタルデータを連続した領域として記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記読み出したデジタルデータを上記単位期間分ごとに連続した領域として記録し、
上記バッファメモリにおける上記デジタルデータのデータ量が上記単位期間分に満たないときには、
DPRE=DBUF+(TUNIT−TBUF)×BMAX
DPRE :予測されるデータ量
DBUF :上記バッファメモリに残っているデータのデータ量
TUNIT:上記単位期間の長さ
TBUF :上記バッファメモリに残っているデータの再生時間
BMAX :上記デジタルデータの最大ビットレート
により、その単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間におけるデジタルデータのデータ量DPREを予測するとともに、
この予測したデータ量DPREのデジタルデータを連続して記録することのできる記録可能領域に上記記録ヘッドをシークさせ、
このシーク先の記録可能領域に上記単位期間分に満たないデータ量のデジタルデータを記録するとともに、
この記録部分に続いて、上記単位期間分に満たないデジタルデータを含む単位期間の残りのデジタルデータを記録する
ようにしたデジタルデータの記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−40382(P2006−40382A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218064(P2004−218064)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】