説明

デジタルデータ伝送装置

【課題】簡単な構成で、受信されたデジタルデータを変換することなく、忠実なデータのまま記録・伝送することができるデジタルデータ伝送装置を提供する。
【解決手段】fs>fs’の場合には、受信するサンプル数の方が送信できるサンプル数より多いので、オーバーフローするデータに対して、副線路処理回路21を備えている。副線路処理回路21は、主線路処理回路20でオーバーフローしたデータを含めて複数の線路にフラグでコントロールしてデータを割り振りながら伝送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体装置とは独立したオーディオ等の外部デジタルインターフェースを付加的に備え、本体装置経由で再生または伝送するデジタルデータ伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体装置とは独立したオーディオ等の外部デジタルインターフェースを付加的に備え、本体装置経由で記録または再生するシステムにおいては、クロックの同期をとるか、または本体装置のサンプリングレートおよび同期を合わせるべく、高度なデジタル信号処理回路でサンプリングレート変換させて処理していた。
【0003】
クロックの同期をとる方法としては、外部ソースを駆動する装置のマスタクロックを本体装置から出力させて用いる方法、あるいは本体装置内部にPLL(Phase Locked Loop)を設けて外部インターフェースに同期したクロックを生成し、それで本体装置を駆動する方法などがある。但し、これらの方法は、外部デジタルソースと本体装置で動作しているサンプリングレートとが同一でなければ不可能である。そこで、このような場合には、本体装置で外部デジタルソースに対してサンプリングレート変換処理を施すことによってデータそのものを加工することで、レートを統一してしまうことが一般的である。
【特許文献1】特開平02−277308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術では、上述したように、クロックの同期をとるための、PLLまたは高度なサンプリングレート変換回路が必要になり、コストアップにつながるというだけでなく、PLLでは、異なるサンプリングレート同士では、対応がとれないことと、サンプリングレート変換することによって忠実なデジタルデータを記録、伝送することができなくなるという問題があった。
【0005】
また、サンプリングレート変換処理によってデータそのものを加工する場合には、従来のオーディオ信号であれば、デジタルデータそのものを変換してしまってもかまわないケースが多かったが、圧縮等の符号化されたデータであったり、オーディオビジュアルとは異なり、データ変換が許されないデジタル情報データを既存フォーマットを利用してオーディオサンプリングレートにのせて伝送するようなケースにおいては役に立たなかった。
【0006】
この発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、あらゆるデジタル情報に係り、記録においても、簡単な構成で、受信されたデジタルデータを変換することなく、忠実なデータのまま記録・伝送することができるデジタルデータ伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した問題点を解決するために、本発明では、第1のサンプリングレートでデジタルデータを伝送する第1のインターフェースと、前記第1のデジタルデータとは非同期で、かつ独立した第2のサンプリングレートでデジタルデータを伝送する第2のインターフェースと、前記第1のインターフェースから入力されたデジタルデータを、フラグとともに主線路を用いて前記第2のインターフェースへ間欠的に伝送する主線制御手段と、前記第1のサンプリングレートが前記第2のサンプリングレートより大であるときには、前記主線路による伝送だけではオーバーフローするデータを、フラグとともに副線路を用いて前記第2のインターフェースへ伝送する副線制御手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明では、前記第2のインターフェースから入力される第2のデジタルデータをそのサンプリングレートのn倍にオーバーサンプリングするフィルタ手段と、前記フィルタ手段によってオーバーサンプリングされた第2のデジタルデータと、前記第1のインターフェースを介して入力された第1のデジタルデータとを加算する加算手段と、前記加算手段によって加算されたデジタルデータをアナログ信号に変換する変換手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
この発明では、主線制御手段により、前記第1のインターフェースから入力されたデジタルデータを、フラグとともに主線路を用いて前記第2のインターフェースへ間欠的に伝送する一方、前記第1のサンプリングレートが前記第2のサンプリングレートより大であるときには、副線制御手段により、前記主線路による伝送だけではオーバーフローするデータを、フラグとともに副線路を用いて前記第2のインターフェースへ伝送する。したがって、あらゆるデジタル情報に係り、記録においても、簡単な構成で、受信されたデジタルデータを変換することなく、忠実なデータのまま記録・伝送することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記第1のサンプリングレートが前記第2のサンプリングレートより小であるときには、主線制御手段により、前記第1のインターフェースから入力されたデジタルデータを、フラグとともに主線路を用いて前記第2のインターフェースへ間欠的に伝送する一方、前記第1のサンプリングレートが前記第2のサンプリングレートより大であるときには、副線制御手段により、前記主線路による伝送だけではオーバーフローするデータを、フラグとともに副線路を用いて前記第2のインターフェースへ伝送するようにしたので、あらゆるデジタル情報に係り、記録においても、簡単な構成で、受信されたデジタルデータを変換することなく、忠実なデータのまま記録・伝送することができるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるオーディオ再生装置の構成を示す回路図である。図において、Aは、外部からのデジタルオーディオインターフェース信号が入力される入力端子であり、入力されるデジタルデータは、そのオーディオのサンプリング周波数fsに依存したレートと固有のタイミングあるいはフォーマットとを有する。Bは、本装置が主に再生するメインのデジタルオーディオ信号(主信号)が入力される入力端子であり、入力されるオーディオのサンプリングレートはfs’である。
【0012】
受信回路1は、入力端子Aに入力されるデジタルオーディオインターフェース信号を受信し、パラレルデータへ変換し、データdnとしてデジタル加算器5に供給する。デジタルフィルタ回路2は、入力端子Bに入力されるデジタルオーディオ信号をオーバーサンプリングしてローパスフィルタリングし、データDnとして加算器5に供給する。デジタル加算器5は、上記データDnとデータdnとをデジタル加算し、その結果(D+d)nをΔΣ変調器3に供給する。ΔΣ変調器3は、デジタル加算された(D+d)nをΔΣ変調し、1ビットストリームデータに変換してローパスフィルタ4に供給する。ローパスフィルタ4は、アナログ回路であって、先のΔΣ変調された1ビットストリームデータを、アナログオーディオ信号に変換するDA変換の機能を有する。分周器6は、上記デジタルフィルタ回路2によるフィルタリングおよびΔΣ変調器3によるΔΣ変調を実行するためにfs’レートに同期したマスタクロックMCKを分周してデジタルフィルタ回路2およびΔΣ変調器3に供給するようになっている。
【0013】
本実施形態の構成の特徴は、主信号を処理するデジタルフィルタ回路2から出力されるデータDnがfs’のn倍にオーバーサンプリングされたパラレルデータであって、該データDnと、入力端子Aから入力され、受信回路1から出力されるパラレルデータdnとを、デジタル加算器5によってそのままデジタル加算して、前述した処理にてDA(デジタル−アナログ)変換することにある。この場合、fsとfs’とが非同期で全く異なるレートであっても、双方のデジタルデータを直接加算する。
【0014】
受信回路1は、その意味では、単にパラレルデータへの変換が実現できればよい。この場合、0次ホールドされたデジタルデータdnとn倍のfs’(n・fs’)でオーバーサンプリングされたDnとを加算することになる。少なくとも入力端子Aへ入力されるデジタルオーディオインターフェース信号の周波数レートfsの周期でパラレルデータdnが更新されるようにする。このようにすることで、実際には、n倍のfs’単位でデジタル加算が実現されて、しかも全く異なるfsレートの特性もそのまま伝達されてDA変換されることになる。
【0015】
正確には、データdnの変化点での非同期誤差が発生するが、それは、1/(n・fs)精度である。この結果、DA変換されたオーディオは、若干の折り返し雑音と1/(n・fs)のレート誤差変動による歪特性を悪化させることになる。しかし、オーバーサンプリング加算後、ΔΣ変調器3によりノイズも可聴外高域にシェービングされるため、聴感上はほとんど違和感を覚えることなく再生することが可能となる。該技術は、一種のサンプリングレート変換処理の1つとも言えなくもないが、本第1実施形態によれば、もともと主信号の処理に必要な構成のなかで外部オーディオデータを同時に処理するのに、最もコストパフォーマンスが高い手段の1つを実現することが可能となる。
【0016】
B.第2実施形態(変形例)
上述した第1実施形態においては、外部からのデジタルオーディオインターフェース信号を受信する受信回路1において、0次ホールドされたデータについて説明したが、これに限らず、1次補間データを生成するようにしてもよい。ここで、図2は、本発明の第2実施形態による1次補間で処理する受信回路およびデジタル加算の一構成例を示す回路図である。図において、シリアルパラレル(S/P)変換回路10は、外部デジタルオーディオインターフェースから入力される2チャンネルステレオデータS−DATAをパラレルデータに変換する。N1,N2は、インバータ回路である。11a〜11cは、パラレルデータラッチ回路である。12a,12bは、デジタルオーディオのゲインを1/2にする除算器である。13a,13bは、デジタル加算器である。14は、2系列のパラレルデータのいずれか一方を選択する切替回路である。15は、ΔΣ変調器である。16は、図示するLchと同一の構成からなるステレオRチャンネル側の処理回路である。
【0017】
外部デジタルオーディオインターフェースから受信された2チャンネルステレオデータS−DATAは、シリアルパラレル変換回路10によってシリアル/パラレル変換されて、そのうち、Lchデータがラッチ回路11aでラッチされる。ラッチ回路11aにおけるラッチ信号は、外部インターフェースのレートfsに依存する、例えばLRCK信号である。ラッチ回路11aのデータは、さらにLRCK信号によって、ラッチ回路11bで遅延させられてラッチされた後、それぞれのデータのゲインが除算器12a,12bで1/2に減衰された後、加算器13aで加算される。これは、時系列的に連続する2個のデータを加算して2で割るいわゆる平均値を生成する回路である。
【0018】
次に、上記平均値と原データとを2fsのレートで切替回路14によって切り替えることにより、平均値補間による2倍オーバーサンプリングデータとなる。2fs周期で切り替わる切替回路14の出力データは、メインオーディオ信号を処理するn・fs’のクロックでラッチ回路11cにラッチされた後、メインオーディオ信号のサンプリング周波数fs’のn倍にオーバーサンプリング補間された各データOSDと加算器13bでデジタル加算され、ΔΣ変調器15でΔΣ変調され、Lchの1bitストリームデータとして出力される。
【0019】
なお、他方のRchデータも処理回路16において同様に処理される。回路構成的には、処理クロックのスピードを上げて時分割で多重処理する実施例も容易に実現することが可能となる。
【0020】
次に、上述した第2実施形態の構成によるデータ処理動作を、図3に示すタイミングチャートを参照して詳細に説明する。LRCK,BCK、S−DATAで示す3線フォーマットとしてよく知られているインターフェースを受信する構成を例としている。したがって、シリアル/パラレル変換されたL,Rchデータは、LRCKの立上がりでラッチすれば、Lchデータが抽出でき、立下がりでラッチすれば、Rchデータが抽出でき、以降はfsレート期間、そのデータがホールドされる。もちろん、オーディオサンプリングレートに依存するタイプのインターフェースであれば、その他に既知のI2Sや、SPDIF(EIAJ/CP1201規格)などのフォーマットにおいても、要はサンプリングレート周期でパラレルデータが抽出できれば全て同じである。
【0021】
このデータは、ラッチ回路11aにホールドされるが、これをそのままラッチ回路11cで取り直せば、前述した実施形態で説明した0次ホールドでデジタル加算する構成と同等である。1次補間データを生成するためには、さらに、ラッチ回路11bでデータを遅延させることにより、タイミング的には、それぞれ時系列的に連続する2個のデータ(LnとLn+1)を取得し、各デジタルオーディオデータのゲインを1/2にする。実際には、2の補数表現(2's-compliment)デジタルデータを1/2にするには、回路的に1ビットシフトするだけである。これらを加算すれば、平均値(Ln+Ln+1)/2が得られる。
【0022】
そして、LRCKのタイミングでデータを切り替えることによって、Ln,(Ln+Ln+1)/2,Ln+1,…のように、fsレートの間を平均値で補間した2倍のオーバーサンプリングデータを生成することができる。これをメインのn倍fs’にオーバーサンプリングされたデータと加算する際は、fsとfs’とが全く異なっていても構わず加算する。問題があるとすれば、図中▼で示す2fsレートでデータ変化する前後のデータがn・fs’の周波数精度で誤差となり、初期fsレートにジッターが発生することである。しかし、これは、主信号を処理するオーバーサンプリング次数を高くすれば、例えば128倍程度に上げれば、聴感上は十分な性能を得ることができる。
【0023】
C.第3実施形態
上述した実施形態では、非同期デジタルオーディオデータを音声再生する系について説明したが、一方では、このデータを原データのまま記録・保存するシステムも必要とされる場合が多い。この場合、本体装置として外部インターフェース受信部と、さらに記録媒体(大容量メモリ等)までが一体となっていれば問題はない。しかしながら、現行では、一般に、これら装置は分離されており、例えば記録装置には、コンピュータのメモリ/ハードディスク、あるいはDAT(デジタルオーディオテープ)/MD(マイクロディスク)などがある。これら記憶装置は、必ずそれらのコントローラと、コンピュータの場合にはCPU(中央処理装置)あるいはその他ペリフェラルとデータ通信する必要がある。該データ通信には、独自フォームでも構わないが、汎用的には共通インターフェースが介在する。
【0024】
本第3実施形態では、それらあらゆるフォーマットに適応・拡張して実施可能な、外部デジタルインターフェースからデータを受信し、異なるフォーマットのデジタルインターフェースへ変換する回路を提供するものである。特に、本第3実施形態では、入力端子Aが例えばデジタルオーディオのサンプリングレートfsに依存するデジタルインターフェースIF1(入力)、出力端子Bは別のサンプリングレートfs’に依存、あるいは固定のデジタルインターフェースIF2(出力)とし、もちろん、サンプリングレートfsとサンプリングレートfs’とは独立かつ非同期である。この場合、fs<fs’であれば、受信するサンプル数よりも送信できるサンプル数の方が多いので、デジタルインターフェース2へは間欠的にデータを送ることができる。その際、有効データと無効データを、フラグと同時に送信すればよく、この方法は既知である。
【0025】
ここで、図4は、本第3実施形態によるインターフェース変換回路の一構成例を示す回路図である。図において、19は、デジタルインターフェースIF1を受信し、データとタイミングとを主線路インターフェース処理回路20および副線路インターフェース処理回路21に供給する受信回路である。主線路処理回路20は、上述した動作を実現するためのである。本第3実施形態の特徴は、上述した方法を拡張したもので、例えば、fs>fs’の場合には、受信するサンプル数の方が送信できるサンプル数より多いので、オーバーフローするデータに対して、副線路処理回路21を備えている。副線路処理回路21は、主線路処理回路20でオーバーフローしたデータを含めて複数の線路にフラグでコントロールしてデータを割り振りながら伝送するものである。タイミング生成器22は、マスタクロックMCKを分周して主線路インターフェース処理回路20および副線路インターフェース処理回路21に供給する。
【0026】
出力するデジタルインターフェースIF2は、前述したように、どのようなフォームであっても構わない。例えば、主線路処理回路20用の出力フォームを複数備えてもよい。また、1fs’内を複数のスロットあるいはパケットに分割して同時に多くのデータを伝送できるようなフォーマットであってもよい。この場合、専用に定められた主線路用スロットの他に副線路用スロットへデータを転送することになる。
【0027】
なお、スロット分割して多くのデータを転送する方法そのものは既に実施されている。Intel社がPC(パーソナルコンピュータ)用のAudio Codec仕様として公開している、Audio Codec‘97 Rev2.1(May 22,1998)版からその構造について図5を参照して説明する。なお、以下では、AC97と略す。AC97インターフェースは、SYNC,BCK,S−DATA−IN,S−DATA−OUTの4線からなる。従来の3線インターフェースと似ているが、異なるところは、BCKを256fs’と高速にしてS−DATAをスロットに分割し、多くのデータやコマンドの伝送を可能にしている。
【0028】
データは、入力と出力の2本に分離されているだけであるので、その意味では、3線構成と同様である。データ線は、13スロットに分割され、スロット0のみ16bit構成で、フラグ類が載り、他スロットは20bit構成で、スロット1に制御用アドレス、スロット2に制御データ、スロット3,4に主信号のステレオLch/Rchデータが載る。このように多くのデータが高い周波数で多重伝送できるので、もはやLch/Rchのみを分別するLRCK信号という概念ではなく、fs’サイクルのレートでフォーマット先頭を表すSYNC信号となっている。
【0029】
AC97インターフェースのフォーマットフレームは、fs’=48kHz固定で使用されるよう定められている。なお、固定レートのフォーマットではあるが、扱うデジタルオーディオデータ等は、サンプリング周波数任意を前提に、フラグ類(スロット0の各ビット)が用意され、各スロットデータが有効であるか無効であるかを、このフラグで定義する。したがって、このような構成において、本発明による副線路のデータとフラグとを主線路以外のスロットに割り当てることで容易に実現することが可能である。
【0030】
図6は、本第3実施形態における主線路/副線路インターフェース処理回路の一構成例を示す回路図である。図において、31は、シリアル−パラレル変換回路、32はパラレル−シリアル変換回路である。33は遅延回路、34〜37はバスドライバ−3ステート回路、38はバス線、39はタイミング生成回路、40はインバータ回路、41,42はNAND回路、43a〜43cはパラレルデータラッチ回路、44a〜44dはフリップフロップ回路である。入力インターフェースは、先に述べた3線信号フォームを例に、出力は上述したAC97インターフェースフォームを例に1chデータ(Lch)のみを処理する構成で示している。
【0031】
シリアル−パラレル変換回路31は、fsレートのデジタルインターフェースIF1からシリアルデータを受け、ラッチ回路43aでLchデータをラッチする。さらに、今度は、fs’から決まるタイミングで、ラッチ回路43bにデータを取り直す。このとき、データがラッチされて準備できていると、フラグf1が出力できるようフラグ処理としてフリップフロップ回路44a,44bおよびNAND回路41が動作する。その後、準備できたフラグf1とデータPCM1とは、AC97インターフェースフォーマットに従うタイミング(a),(b)に合わせてバス8にドライブされ、パラレル−シリアル変換回路32からその他各種フォーマットデータ(図示略)とともに、インターフェースIF2へ出力されると同時に、フラグf1がクリアされる。
【0032】
以上、主線路インターフェース変換処理回路としての動作であるが、前述したように、fs>fs’となり、送信するデータPCM1の数よりも、受信するサンプル数の方が多い場合には、副線路インターフェース処理回路として以下に説明するように動作する。まず、主線路インターフェースのフラグ回路としてフリップフロップ回路44aがセットされているときに、さらに次のサンプル受信があった場合、すなわちオーバーフローになった場合、副線路フラグ回路、フリップフロップ回路44cがセットされる。ここにセットされると、以降、ラッチ回路43aに更新されたデータは、ラッチ回路43cへ流れるようになる。そのときのSYNCフレームにて主線路と副線路とが同時にデータを送信することになる。もちろん、副線路へ乗せるスロットは、主線路と異なっており、バスドライブタイミングは、図示する(d)である。この(a)〜(d)のタイミングは、どのスロットにデータを載せるか、有効データであるかにより、それぞれタイミング回路39によって制御される。但し、AC97フォーマットに従えば、フラグに関しては主/副ともスロット0の異なるビットに乗せることになるので、実際としては、(a)と(c)とは同一タイミングである。
【0033】
上述した動作について、図7のタイミングチャートを参照してより詳細に説明する。図7では、SYNCの立上がり付近のみを中心に簡略的に示している。このSYNCの立上がりから次のSYNCの立上がりまでが、fs’レートのフレームである。これに対して、fsレートのLRCKについては、上記SYNCと非同期かつ異なるレートであるときに、いろいろなケースをフレーム(0)〜(4)に示している。LRCKの立上がりで受信データがラッチ回路43aに更新されていく。そのとき、フリップフロップ回路44aがセットされ、その後発生するSYNCによってフリップフロップ回路44bへフラグがラッチされると、NAND回路41によってフリップフロップ回路44aがクリアされると同時に、データはフリップフロップ回路44bに移ったフラグによってラッチ回路43bにラッチされる。
【0034】
これは、前フレームの中で抽出されたデータが次のSYNCフレームでフラグと対応させて送信するための非同期吸収動作である。フラグは、SYNCフレーム(1)のスロット0に相当するタイミング(a)で出力され、データL0は特定のスロットに対応するタイミング(b)で出力される。
【0035】
フリップフロップ回路44bのフラグ信号は、インターフェースIF2のフォーマットへ出力された時点(タイミング(a))でクリアされる。データの受信がないフレーム(1)の場合には、フレーム(2)へ出力するフォーマットデータへはフラグもデータもセットされない。正確には、フラグ、データともに0に固定して出力されている。
【0036】
次のフレーム(2)においては、同一フレーム内にLRCKによって2サンプルを受信する場合である。まず、最初のデータL1を受信することによって、フラグf1のベースがフリップフロップ回路44aにセットされ、2回目のL2データ受信が発生した場合には、同一フレーム内の2回目であることをフリップフロップ回路44aのステートで判定されて、フリップフロップ回路44cがセットされると同時に、L1データは、ラッチ回路43cにラッチされ、ラッチ回路43aのデータは、新たに受信したデータL2へ更新される。
【0037】
ラッチ回路43cにデータを移動する際のタイミング関係を考慮して、図9に示すように、遅延回路33が挿入されている。副線路回路は、上述したように、同一フレーム内に2回のデータ受信が発生しない限り動作せず、ラッチ回路43cは、次の2サンプル受信が発生するまでデータを保持する。従って、SYNCフレーム(3)では、データL2が主線路としてタイミング(b)のスロットへ、データL1は副線路としてタイミング(d)のスロットへ、同時にフラグf1,f2(スロット0のタイミング(a),(c))とともに出力できる。
【0038】
なお、主線路、副線路に同時にデータが出力される場合には、受信データの時系列順序は、副線路データの方が必ず先行することがインターフェース上の仕様として約束されていれば何ら問題はない。
【0039】
D.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態として、AD/DA変換機能を有するシングルコーディックシステムに応用した例について説明する。図8は、本第4実施形態による装置の一構成例を示す回路図である。図において、Eは、本コーディックシステムのインターフェースで、例えばAC97フォーマットである。51〜54は、上記インターフェースに従うメインのデジタルオーディオ入力/出力回路である。55は、オーバーサンプリングデジタルフィルタ回路である。57は、ΔΣ変調器、58は、DA変換器、59はデシメーションフィルタ回路、60はΔΣ変調器、61はタイミング生成回路、62は水晶発信回路である。
【0040】
図示する破線で囲まれたブロックは、従来のシングルチップのコーディックLSI等で実現されているシステムである。そこへ新たに非同期デジタルインターフェースIF1を備えたサブオーディオソースへの対応に拡張したい場合、その副オーディオ入力回路(受信回路)70を設けて、かつその再生バスに関しては、前述した第1実施形態の図1で示したように、メインとサブオーディオをデジタル加算器56で加算すればよい。記録側に関しては、前述した第3実施形態の図4で示したように、主線路出力回路52と副線路出力回路53を設けるだけで、簡単かつローコストでサブオーディオソースの記録再生機能が組み込み可能となる。
【0041】
各オーディオがステレオ2チャネルとしても、AC97インターフェースへの出力は、S1〜S3の合計6スロットを用いれば、メイン/サブを主/副線路に分割して同時に伝送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1実施形態によるオーディオ再生装置の一構成例を示す回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態によるオーディオ再生装置の外部インターフェース受信回路の一構成例を示す回路図である。
【図3】本第2実施形態による外部インターフェース受信回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】本発明の第3実施形態によるインターフェース変換回路の一構成例を示す回路図である。
【図5】従来のデジタルインターフェースフォーマット例を示すタイミングチャートである。
【図6】本第3実施形態によるインターフェース変換回路の一構成例を示す回路図である。
【図7】本第3実施形態によるインターフェース変換回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】本第4実施形態による装置の一構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0043】
1 受信回路
2 デジタルフィルタ回路(フィルタ手段)
3 ΔΣ変調器
4 ローパスフィルタ(変換手段)
5 デジタル加算器(加算手段)
6 分周器
20 主線路インターフェース処理回路(主線制御手段)
21 副線路インターフェース処理回路(副線制御手段)
51 主オーディオ入力回路
52 主線路出力回路
53 副線路出力回路
54 主オーディオ出力回路
55 オーバーサンプリングデジタルフィルタ回路(フィルタ手段)
56 デジタル加算器(加算手段)
57 ΔΣ変調器
58 DA変換器(変換手段)
59 デシメーションフィルタ回路
60 ΔΣ変調器
61 タイミング生成回路
62 水晶発信回路
70 副オーディオ入力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサンプリングレートでデジタルデータを伝送する第1のインターフェースと、前記第1のデジタルデータとは非同期で、かつ独立した第2のサンプリングレートでデジタルデータを伝送する第2のインターフェースと、前記第1のインターフェースから入力されたデジタルデータを、フラグとともに主線路を用いて前記第2のインターフェースへ間欠的に伝送する主線制御手段と、前記第1のサンプリングレートが前記第2のサンプリングレートより大であるときには、前記主線路による伝送だけではオーバーフローするデータを、フラグとともに副線路を用いて前記第2のインターフェースへ伝送する副線制御手段とを具備することを特徴とするデジタルデータ伝送装置。
【請求項2】
前記第2のインターフェースから入力される第2のデジタルデータをそのサンプリングレートのn倍にオーバーサンプリングするフィルタ手段と、前記フィルタ手段によってオーバーサンプリングされた第2のデジタルデータと、前記第1のインターフェースを介して入力された第1のデジタルデータとを加算する加算手段と、前記加算手段によって加算されたデジタルデータをアナログ信号に変換する変換手段とを具備することを特徴とする請求項1記載のデジタルデータ伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−113429(P2008−113429A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268420(P2007−268420)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【分割の表示】特願平11−310344の分割
【原出願日】平成11年10月29日(1999.10.29)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】