説明

デジタルビデオ再生装置

【課題】 MPEGのデータが記録されたディスクを再生する複数台のデジタルビデオ再生装置によって同期した再生を行う場合に、一時停止後における再生の再開時にも同期して再生することが可能な装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 デジタルビデオ再生装置を構成する再生装置A及び再生装置Bにおいて、カウンタ106及びカウンタ116と、通信部107及び通信部117とを設け、一時停止の指示を受けた後にきりのよいところまで出力したデータの数をカウンタ106及びカウンタ116でカウントし、通信部107及び通信部117を介して互いに他の再生装置へカウント値を送信する。再生の再開時に、各再生装置において、自分のカウント値と他の再生装置から送られてきたカウント値の中から最小のものを選び、そして自分の値からその最小の値を引き、この値の分だけデータバッファからのデータの出力を遅延させ、一時停止後における再生の再開時にも同期して再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、デジタル符号化された映像音声信号を再生するデジタルビデオ再生装置に関し、特に、複数台の再生装置を同期して同時に動作させるデジタルビデオ再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のアナログベースバンドディスク方式では、ディスク上に記録された映像音声信号を再生する際に、1フレームに相当するデータを読出す時間は常に一定であった。単体では2次元の画像を再生するビデオ再生装置を複数台同期運転させることは、このような場合には、映像音声信号が記録された光ディスク等を一定速度で同期させて読出を行なえばさほど難しいことではなかった。たとえば、従来から右目用の画像データを再生するビデオ再生装置と左目用の画像データを再生するビデオ再生装置とを同期信号を用いて同期運転させることで立体映像を得ることは行なわれていた。
【0003】一方、動画データ圧縮方式の国際標準規格であるMPEG(Moving Picture Coding Experts Group)は、予測符号化と不等長符号化方式を採用することによって画像データ量の圧縮を行っている。前記予測符号化は、フレーム内の画素の相関を利用する方法と、フレーム間の相関を利用する方法がある。図3はこれらの方法の内、フレーム間の相関を利用する方法について示したものである。同図において、IはIピクチャを示しており、該Iピクチャはフレーム間の相関を利用しないで圧縮した画像である。PはPピクチャを示しており、これは時間的に前のIピクチャまたはPピクチャを予測画像として利用して圧縮したものである。さらに、BはBピクチャであり、時間的に前のIピクチャまたはPピクチャと時間的に後のIピクチャまたはPピクチャを予測画像として利用して圧縮したものである。
【0004】次に、図4はMPEGにおけるシーケンスの構成を示しており、1つのシーケンスは先頭にシーケンスヘッダを持ち、それに続く複数のGOP(Group Of Picture)から成る。このGOPはIピクチャを先頭とする複数のピクチャから構成されている。MPEGにより圧縮されたビデオやオーディオの符号化されたストリームを実際のアプリケーションに適用するには、同期を含めて統合し1本化するとともに、そのストリームを蓄積メディアやネットワークなどが持つ、固有の物理フォーマットやプロトコルに適合したデータ形式にする必要がある。このビデオやオーディオなどのデータを同期化して多重化するのがMPEGシステムの役割である。
【0005】MPEGのビデオやオーディオのデータはパケットにより多重化される。パケットによる多重化とは、ビデオ及びオーディオの夫々のデータをパケットと呼ばれる適当な長さのストリームに分割し、ヘッダなどの付加情報を付け、ビデオオーディオのパケットを切り換えて時分割転送する方式である。さらに、図5は前記MPEG規格のひとつであるMPEG2のPES(Packetized Elementary Stream)パケットの構造を示している。ビデオやオーディオのデータのストリームは分割され、同図に示す如きヘッダが付加されてパケットデータ部に格納される。MPEG2のトランスポートストリームは、188バイトの固定長トランスポートパケットによって多重化する。また、図6はMPEG2トランスポートパケットのデータ構造を示しており、ここでペイロードに含まれるのは前記図5に示したPESパケットを分割したものである。
【0006】MPEGのシステムにおいては、ビデオ及びオーディオのデータがデコーダにおいていつ復号再生すべきかを示す情報が付加される。即ち、前記図5において、DTS(Decoding Time Stamp)は復号の時間を示し、PTS(PresentationTime Stamp)は再生出力の時間を示している。また、図6に示すトランスポートパケットのアダプテーションフィールド内にはPCR(Program Clock Reference)を持つことができる。PCRは復号器(図示せず)に基準となる時刻を設定するものである。つまり、復号器はPCRを受信すると復号器の内部時計の時刻をPCRの値に設定し、その時刻がDTSになると復号を行い、PTSになると再生出力を実行する。
【0007】続いて図2は、光ディスクを記録媒体としMPEGにより圧縮されたデータを出力する従来のデジタルビデオ再生装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように、デジタルビデオ再生装置は、MPEGにより圧縮されたデータが記録されたディスク201と、このディスクからデータを読み出すディスク読取部203と、データの流れを制御するために一時データを保持し外部に出力するデータバッファ205と、外部から再生開始や一時停止などのコマンドを受信するコマンド受信部204と、外部からのコマンドによりディスク読取部203やデータバッファ205を制御するコントローラ202から構成されている。
【0008】上記の如き構成において、再生コマンドをコマンド受信部204が受信すると、その旨コントローラ202に伝えられる。コントローラ202は再生の指示を受けると、ディスク読取部203にディスク201の再生を指示する。これによりディスク読取部203がディスク201からデータを読み出し、読み出されたデータはデータバッファ205に蓄えられる。そして、コントローラ202がデータバッファ205にデータ出力を指示することで画像データが出力されることになる。こうして出力された画像データは図示されない復号器によって復号され、最終的にTVモニタや液晶プロジェクタ等の表示装置にて映像として再生される。
【0009】次に、データの再生中においてコマンド受信部204が一時停止コマンドを受信し、これがコントローラ202に伝えられた場合、コントローラ202はディスク読取部203にディスクの読み出しの一時停止を指示し、データバッファ205にデータの出力の停止を指示することになる。然し、データの途中で出力を止めると、ピクチャの1部のデータのみを出力することになるため、データの受信側でMPEGストリームを正常に再構成することができなくなることが考えられる。そこで、コントローラ202は、データの区切りのよいところ、たとえば出力中のピクチャデータの最後まで、または出力中のGOPの最後までのデータを出力するようにディスク読取部203やデータバッファ205を指示する。そして一時停止が再開された場合には新たなピクチャやGOPのデータから出力を開始する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く構成された従来のデジタルビデオ再生装置を単独で動作させる場合には何ら問題はない。然し、複数台のデジタルビデオ再生装置を複数台の再生装置で構成し、これら再生装置を同期して再生する場合(複数台の再生装置からの画像によって1つの画面を構成したり、あるいは右目用画像データと左目用画像データを同時に再生して3次元映像を再現したりする場合等、種々の場合がある)には次のような問題が生じる。
【0011】図7は再生装置Aと再生装置Bの2台の再生装置より画像データを出力する場合を示している。時刻Tにおいて一時停止が指示された場合、再生装置Aは時刻T1までデータを出力し、一方、再生装置Bは時刻T2までデータを出力し、夫々の装置が一時停止状態となる。そして、一時停止を解除して再生を再開すべき指示が与えられると、再生装置Aは時刻T1に出力されるべきデータから出力が再開され、また、再生装置Bは時刻T2に出力されるべきデータから出力が再開されることになる。
【0012】然し乍ら、再生装置Aからの画像データを受信した復号器はデータの入力した時刻をT1と設定し、再生装置Bからの画像データを受信した復号器はデータの入力した時刻をT2と設定することになるので、これによって2つの復号器間に時間のずれが生じてしまい、再生される画像の同期が取れなくなる可能性があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため本発明は、デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までに出力したデータの量を積算する出力データ量積算手段と、前記出力データ量積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力データ量積算手段の積算値と前記積算値送受信手段からの積算値とに基づき、前記一時停止を解除して再生を再開する際にデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】また、本発明は、デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までに出力したデータの量を積算する出力データ量積算手段と、前記出力データ量積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力データ量積算手段の積算値及び前記積算値送受信手段からの積算値の中で最小の値を選択すると共に出力データ量積算手段の積算値と前記選択した値との差を求め、前記一時停止を解除して再生を再開する際に前記差の分だけデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】また、本発明は、デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までデータを出力するのに要した時間を積算する出力時間積算手段と、前記出力時間積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力時間積算手段の積算値と前記積算値送受信手段からの積算値とに基づき、前記一時停止を解除して再生を再開する際にデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0016】また、本発明は、デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までデータを出力するのに要した時間を積算する出力時間積算手段と、前記出力時間積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力データ量積算手段の積算値及び前記積算値送受信手段からの積算値の中で最小の値を選択すると共に出力データ量積算手段の積算値と前記選択した値との差を求め、前記一時停止を解除して再生を再開する際に前記差の分だけデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】また、本発明は、デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置及び該複数の再生装置を制御する制御装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までに出力したデータの量を積算する出力データ量積算手段と、前記出力データ量積算手段における積算値を前記制御装置へ送信する積算値送信手段とを備え、前記制御装置は、前記一時停止を解除して各再生装置の再生を再開させる際に、前記各再生装置から受信した積算値に基づいて、各再生装置の再生を再開させるまでの時間を夫々異ならせて同期させる同期制御手段を備えたことを特徴とする。
【0018】また、本発明は、デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置及び該複数の再生装置を制御する制御装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までデータを出力するのに要した時間を積算する出力時間積算手段と、前記出力時間積算手段における積算値を前記制御装置へ送信する積算値送信手段とを備え、前記制御装置は、前記一時停止を解除して各再生装置の再生を再開させる際に、前記各再生装置から受信した積算値に基づいて、各再生装置の再生を再開させるまでの時間を夫々異ならせて同期させる同期制御手段を備えたことを特徴とする。
【0019】また、本発明において、デジタル映像音声信号が予測符号化及び不等長符号化によって圧縮されていることを特徴とする。また、本発明において、前記デジタル映像音声信号データがMPEG方式により圧縮されていることを特徴とする。また、本発明において、前記所定単位は、MPEG方式で圧縮されたデジタル映像音声信号データにおけるIピクチャ,Pピクチャ,Bピクチャ,GOP(Group Of Picture),シーケンスのいずれかであることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態について詳述する。図1は本発明のデジタルビデオ再生装置の一例を示したものであり、再生装置Aと再生装置Bの2台の再生装置によってデジタルビデオ再生装置が構成されている。再生装置Aは、MPEGにより圧縮されたデータが記録されたディスク101(再生装置Bではディスク111)と、このディスクからデータを読み出すディスク読取部103(再生装置Bではディスク読取部113)と、データの流れを制御するために一時データを保持し外部に出力するデータバッファ105(再生装置Bではデータバッファ115)と、外部から再生開始や一時停止などのコマンドを受信するコマンド受信部104(再生装置Bではコマンド受信部114)と、外部からのコマンドにより前記ディスク読取部103(及びディスク読取部113)や前記データバッファ105(及びデータバッファ115)を制御するコントローラ102(再生装置Bではコントローラ112)と、さらに、データの出力数をカウントするカウンタ106(再生装置Bではカウンタ116)と、他の再生装置と情報を交換するための通信部107(再生装置Bでは通信部117)とで構成されている。
【0021】尚、上記において再生開始や一時停止などのコマンドは、赤外線リモコン等の遠隔制御装置からの信号や、別途設けられた主制御装置からの信号等、種々の場合が考えられる。また、再生装置A及び再生装置Bから出力された各画像データは、夫々が図示されない復号器によって復号される。続いて、上記の如く構成された本発明のデジタルビデオ再生装置の動作について説明する。
【0022】<1.停止状態から再生へ>先ず、赤外線リモコン等によって再生装置A及び再生装置Bに対して再生を指示するコマンドが与えられると、これをコマンド受信部104及びコマンド受信部114が受信し、その旨コントローラ102及びコントローラ112に伝えられる。再生の指示を受けたコントローラ102及びコントローラ112は、ディスク読取部103及びディスク読取部113にディスク101及びディスク111の再生を指示する。
【0023】コントローラ102及びコントローラ112より再生の指示を受けたディスク読取部103及びディスク読取部113は、ディスク101及びディスク111を駆動してフォーカスサーボ,トラッキングサーボ,スピンドルサーボ等の各種サーボをアクティブな状態に成し、ディスクからのデータの読み取りが可能な状態になると、その旨コントローラ102及びコントローラ112に伝える。これを受けたコントローラ102及びコントローラ112は、通信部107及び通信部117を介して互いに他方のデジタルビデオ再生装置へディスクからのデータの読み取りが可能な状態になったことを通知する。
【0024】この通知を受けて、コントローラ102及びコントローラ112は、ディスク読取部103及びディスク読取部113がディスク101及びディスク111からデータを読み出し、読み出されたデータはデータバッファ105及びデータバッファ115に蓄えられる。そして、コントローラ102及びコントローラ112がデータバッファ105及びデータバッファ115にデータ出力を指示することで、各デジタルビデオ再生装置より画像データが出力されることになる。こうして出力された画像データは図示されない復号器によって復号され、最終的にTVモニタや液晶プロジェクタ等の表示装置にて映像として映し出される。
【0025】前述のように、2台の再生装置は、互いに他方のデジタルビデオ再生装置へディスクからのデータの読み取りが可能な状態になったことを通知し、この通知を受けて各再生装置が同期して再生を開始するので、表示装置に映し出される映像は時間的にずれることが無い。
<2.再生状態から一時停止へ>次に、上記再生状態から一時停止再生状態からた時の動作について説明する。図7において、例えば時刻Tにおいて各再生装置に一時停止の指示が与えられた場合、データの区切りのよいところまで、即ち、再生装置Aは時刻T1までデータを出力し、また、再生装置Bは時刻T2までデータを出力する。尚、この例ではピクチャの終了まで出力するとしたがGOPの終了まで、あるいはシーケンスの終了まで出力する場合もある。
【0026】また、上記のように再生状態から一時停止の指示が与えられると、上記データの出力と並行して、一時停止の指示を受けた後に出力したデータ数をカウンタ106及びカウンタ116によりカウントする。そして、各再生装置におけるデータの出力終了後に、コントローラ102はカウンタ106のカウント値Xを読み出し、再生装置Aは通信部107よりこのカウント値Xを再生装置Bに対して送信し、これを再生装置Bは通信部117を介して受信する。
【0027】一方、再生装置Bも、コントローラ112はカウンタ116のカウント値Yを読み出し、再生装置Aに対して通信部117よりカウント値Yを送信し、これを再生装置Aは通信部107を介して受信する。このようにして、各再生装置は互いに一時停止の指示を受けた後に出力したデータ数のカウント値を送受信する。
<3.一時停止状態から再生へ>一時停止の解除もしくは再生の再開を指示するコマンドが両再生装置に与えられると、再生装置Aのコントローラ102は自分のカウント値X及び他の再生装置(再生装置B)から送られてきたカウント値Yの中から最小の値を選び出す。今回の例では、カウント値X>カウント値Yなので、カウント値Yを選択する。そして自分のカウント値Xからカウント値Yを引き、この差の分だけデータバッファ105からのデータの出力を遅延させてからデータの出力を再開する。
【0028】一方、再生装置Bでは、コントローラ112は自分のカウント値Y及び他の再生装置(再生装置A)から送られてきたカウント値Xの中から最小の値を選び出す。今回の例ではカウント値Yを選択する。そして自分のカウント値Yからカウント値Yを引き、この差の分だけデータバッファ115からのデータの出力を遅延させるわけが、自分の値はYなのでY−Y=0となり、よって遅延させることなくデータバッファ115からデータの出力を再開する。
【0029】このように、再生装置Bがデータの出力を再開してから、再生装置Aはカウント値Xとカウント値Yの差の時間だけ遅延してからデータの出力を再開することになり、そしてカウント値Xとカウント値Yの差の分だけのデータ量の遅延は、時間的には時刻T1と時刻T2の差分に相当することから、再生再開後における各再生装置のデータ出力の同期を取ることが出来る。
【0030】尚、前記通信部107及び通信部117より送信される値は、一時停止の指示を受けてから各再生装置の出力したデータ量の差が分かればよいことから、前記データ数ではなく、時間情報(時刻T1−時刻T,時刻T2−時刻T)でも可能である。この場合も上記と同様に最小の値(時間情報)を選択し、自分の値からその値を引き、この時間分だけデータの出力を遅延させればよい。
【0031】また、上記の例ではデジタルビデオ再生装置が2台の再生装置で構成されているが、これに限られず、より多くの再生装置で構成しても構わない。さらに、図8に示すように、複数の再生装置(A〜D)と主制御装置とでデジタルビデオ再生装置を構成することも考えられる。この場合、各再生装置が前述の積算値を主制御装置へ送信し、これを受け取った主制御装置が各再生装置に対する前述の遅延時間を算出し、一時停止を解除して各再生装置の再生を再開させる際に(各再生装置は、主制御装置から一時停止を解除するコマンドを受け取るまで一時停止状態にある)、各再生装置の再生を再開させるまでの時間(再開のコマンドを送信するまでの時間)を遅延させる。これにより、再生再開後における各再生装置のデータ出力の同期を取ることが出来る。前記の実施例では、各再生装置が互いに積算値を送受信し、各再生装置で遅延時間の演算を行い、さらに演算結果に基づいて遅延の制御を自らが行っているが、再生装置の数が多くなると、各装置間の相互接続が困難となる。しかし、この実施形態の構成では、積算値の計算は各再生装置で行っているが、各積算値を受信して各装置に対する遅延時間を演算するのは主制御装置であるため、各再生装置を主制御装置に接続するだけでよく、各再生装置の制御も主制御装置が一括して行うことができるという利点がある。
【0032】
【発明の効果】以上、詳述した如く本発明に依れば、MPEG等の予測符号化及び不等長符号化によって圧縮されている映像音声データが記録されたディスクを再生する複数台のデジタルビデオ再生装置によって同期した再生を行う場合に、一時停止後における再生の再開時にも同期して再生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のデジタルビデオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】従来のデジタルビデオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図3】MEPGにおけるIピクチャ,Pピクチャ,Bピクチャの関係を示す図である。
【図4】MPEGにおけるシーケンスの構成を示す図である。
【図5】MPEG2におけるPESパケットの構成を示す図である。
【図6】MPEG2におけるトランスポートパケットの構成を示す図である。
【図7】本発明デジタルビデオ再生装置及び従来のデジタルビデオ再生装置の動作を説明するための図である。
【図8】本発明の他の実施形態におけるデジタルビデオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
101,111 ディスク
102,112 コントローラ
103,113 ディスク読取部
104,114 コマンド受信部
105,115 データバッファ
106,116 カウンタ
107,117 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までに出力したデータの量を積算する出力データ量積算手段と、前記出力データ量積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力データ量積算手段の積算値と前記積算値送受信手段からの積算値とに基づき、前記一時停止を解除して再生を再開する際にデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とするデジタルビデオ再生装置。
【請求項2】 デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までに出力したデータの量を積算する出力データ量積算手段と、前記出力データ量積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力データ量積算手段の積算値及び前記積算値送受信手段からの積算値の中で最小の値を選択すると共に出力データ量積算手段の積算値と前記選択した値との差を求め、前記一時停止を解除して再生を再開する際に前記差の分だけデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とするデジタルビデオ再生装置。
【請求項3】 デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までデータを出力するのに要した時間を積算する出力時間積算手段と、前記出力時間積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力時間積算手段の積算値と前記積算値送受信手段からの積算値とに基づき、前記一時停止を解除して再生を再開する際にデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とするデジタルビデオ再生装置。
【請求項4】 デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までデータを出力するのに要した時間を積算する出力時間積算手段と、前記出力時間積算手段における積算値を相互に送受信する積算値送受信手段と、前記出力データ量積算手段の積算値及び前記積算値送受信手段からの積算値の中で最小の値を選択すると共に出力データ量積算手段の積算値と前記選択した値との差を求め、前記一時停止を解除して再生を再開する際に前記差の分だけデータの出力を遅延させる制御手段とを備えたことを特徴とするデジタルビデオ再生装置。
【請求項5】 デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置及び該複数の再生装置を制御する制御装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までに出力したデータの量を積算する出力データ量積算手段と、前記出力データ量積算手段における積算値を前記制御装置へ送信する積算値送信手段とを備え、前記制御装置は、前記一時停止を解除して各再生装置の再生を再開させる際に、前記各再生装置から受信した積算値に基づいて、各再生装置の再生を再開させるまでの時間を夫々異ならせて同期させる同期制御手段を備えたことを特徴とするデジタルビデオ再生装置。
【請求項6】 デジタル映像音声信号データが記録された記録媒体を再生する複数の再生装置及び該複数の再生装置を制御する制御装置から成るデジタルビデオ再生装置であって、前記各再生装置は、再生の一時停止が指示された時点から所定単位の終端までデータを出力するのに要した時間を積算する出力時間積算手段と、前記出力時間積算手段における積算値を前記制御装置へ送信する積算値送信手段とを備え、前記制御装置は、前記一時停止を解除して各再生装置の再生を再開させる際に、前記各再生装置から受信した積算値に基づいて、各再生装置の再生を再開させるまでの時間を夫々異ならせて同期させる同期制御手段を備えたことを特徴とするデジタルビデオ再生装置。
【請求項7】 前記デジタル映像音声信号データが予測符号化及び不等長符号化によって圧縮されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6記載のデジタルビデオ再生装置。
【請求項8】 前記デジタル映像音声信号データがMPEG方式により圧縮されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7記載のデジタルビデオ再生装置。
【請求項9】 前記所定単位は、MPEG方式で圧縮されたデジタル映像音声信号データにおけるIピクチャ,Pピクチャ,Bピクチャ,GOP(Group OfPicture),シーケンスのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項6記載のデジタルビデオ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−27413(P2002−27413A)
【公開日】平成14年1月25日(2002.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−207012(P2000−207012)
【出願日】平成12年7月7日(2000.7.7)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】