説明

デジタル処理リンクを有する運動制御システム

振動制御システム用のデジタル処理リンクが、中継局でセンサ信号を収集し、これらのセンサ信号を結合して集合的信号にして、デジタル通信プロトコルに基づいて基地局に送信する。これらのセンサ信号を基地局で分離し、個別に処理して、アクチュエータへの1つ以上の出力制御信号を生成して、測定した振動に対抗する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本願は、2008年9月6日出願の米国特許仮出願第61/0948956号(特許文献1)に基づいて優先権を主張し、この特許仮出願は参考文献として本明細書に含める。
【0002】
本発明は一般に、特に航空宇宙産業及び工作機械産業用途向けの、継続的な振動に対抗する能動(アクティブ)振動システム、及び振動の発生に対抗する能動平衡システムに関するものであり、センサ、コントローラ、及びアクチュエータ間のリンクのようなシステム内の電力及び通信リンクを含む。
【背景技術】
【0003】
能動振動システム及び能動平衡システムは一般に、振動、運動、及び他の環境または性能変数を検出して、アクチュエータを制御するシステムコントローラにフィードバックを供給するための複数のセンサを必要とする。例えば、加速度計は振動を監視し、タコメータは、振動の発生に関連するプロペラまたは機械軸のような回転部分の速度を監視し、位置センサはアクチュエータの動作性能を監視する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許仮出願第61/0948956号明細書
【特許文献2】米国特許第5757662号明細書
【特許文献3】米国特許第6236934号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】S. W. Dyer, W. Winzenz, and G. Billoud, ”Active In-Process Balanshing”, Proceedings of XIIIth Symposium Vibrations, Shocks & Noise, Lyon France, 2002
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センサに電力を供給し、特に長距離にわたってセンサからのデータを伝達するための、センサに至る配線は、能動振動システム及び能動平衡システムに大幅な重量及び体積を加え、伝送に対して環境の電磁的影響を与え得る。センサからの、低信号レベルでの、あるいは長い配線長にわたる伝送は、特にこうした電磁的外乱の影響を受けやすい。能動振動システムまたは能動平衡システムを必要とする工作機械及び航空機の環境は、短い移動距離にわたるセンサデータの伝送でさえも乱し得る強い電磁界を含むことが多い。アクチュエータ、特にそのコントローラから分離されたアクチュエータ、または介在する電磁界の影響を受けやすいアクチュエータとのデータ交換についても、同様の問題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な実現は、局所的な電磁的外乱、電気サージ、及び他の環境影響にほとんど影響されないデジタルプロトコルに基づいて、センサ群と、能動振動システム及び能動平衡システムのコントローラとの間の安全なデータ交換を提供する。多数のセンサからの信号が、中継局においてデジタルプロトコルに基づいて結合され、コントローラに関連する基地局への共通配線対上で一緒に伝送される。これらの配線対は、データの送信及び受信用の配線対を共に含むことが好ましく、デジタルプロトコルに従ったエラーチェック通信も伝達し、送信電力も供給する。多数のセンサからの信号が同じ配線対上で集合的に伝送されるが、伝送速度を増加させつつ、伝送のエネルギー量をより均等に拡散させて、電磁波妨害の発生を低減することができ、さもなければこの電磁波妨害は他の通信に悪影響し得る。
【0008】
振動を調整する運動制御システムとしての本発明の1つの実現は、振動についての情報を取得する複数のセンサ、振動に対抗するアクチュエータ、及びセンサから取得した情報を処理すると共に、振動に対抗するようにアクチュエータを制御するコントローラという通常の特徴を含む。これに加えて、この運動制御システムは、複数のセンサとコントローラとの間のデジタル処理リンクを特徴とする。このデジタル処理リンクは、センサに関連する中継局及びコントローラに関連する基地局を含む。中継局は、センサからの信号どうしを結合して集合的信号にするマルチプレクサ/デマルチプレクサ、及びこの集合的信号を通信プロトコルに基づいて送信する通信ノードを含む。基地局は、この集合的信号を通信プロトコルに基づいて受信する他の通信ノードと、この集合的信号を複数の個別処理可能なデジタル信号に分割するデマルチプレクサ/マルチプレクサを含む。データ送受信ラインは、中継局と基地局とを相互接続する。上記コントローラは、基地局からのデジタル信号を処理して、アクチュエータを制御して振動を調整するための制御信号を出力する。
【0009】
基地局の通信ノードも、通信プロトコルに基づいてアクチュエータ用の制御信号を送信するように構成されている。アクチュエータはセンサの付近に配置され、例えば能動平衡システム内に見出され、基地局の通信ノードは、アクチュエータへの制御信号を、データ送受信ライン上で中継局の通信ノードに送信する。アクチュエータは、複数のアクチュエータの1つとすることができ、コントローラは、複数の制御信号を出力するように構成することができる。基地局のデマルチプレクサ/マルチプレクサは、複数の制御信号を結合して、データ送受信ライン上での伝送用の集合的制御信号にし、中継局のマルチプレクサ/デマルチプレクサは、この集合的制御信号を、複数のアクチュエータに別個に指向させることのできる複数の制御信号に分割する。
【0010】
アクチュエータは、複数のアクチュエータの1つとすることができ、これら複数のアクチュエータを基地局と相互接続するための第2デジタルリンクを、同じ基地局と第2中継局との間に設けることができる。基地局のデマルチプレクサ/マルチプレクサは、複数のアクチュエータ用の出力制御信号どうしを結合して集合的出力制御信号にし、基地局の通信ノードは、この集合的出力制御信号を通信プロトコルに基づいて第2中継局に送信する。第2中継局の通信ノードは、この集合的出力制御信号を受信し、第2中継局のマルチプレクサ/デマルチプレクサは、この集合的出力制御信号を、複数のアクチュエータ用の複数の制御信号に分割する。
【0011】
上記デジタル処理リンクは、基地局と中継局との間の電力伝送用に用いることができる。基地局に関連する電源をデータ送受信ラインに結合して、中継局に電力を伝送することができる。中継局の変圧器は、データ送受信ライン上で電力を受け、この電力を、1つ以上のセンサへの伝達用に調整する。
【0012】
中継局の通信ノードは、上記集合的信号を、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットを有する一連のフレームに変換することが好ましい。これに加えて、中継局の通信ノードは、上記集合的信号のエネルギー量を上記データ送受信ライン上に拡散させて、電気的妨害を低減することが好ましい。中継局の通信ノードは、雷サージを伝送することを回避するための、断路形式の保護回路も含むことが好ましい。中継局は、センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器を含むことができる。
【0013】
アクチュエータは、1つ以上の同調周波数でエネルギーを増幅することが好ましい。例えば、アクチュエータは、回転軸の周りを回転可能な1つ以上の偏心質量、あるいは直線軸に沿って往復運動可能な並進可能質量を含むことができる。上記複数のセンサは、振動を検出するために用いられる加速度計を含むことができる。中継局は、この中継局と複数のセンサとの間の平均距離を低減するように配置することが好ましい。
【0014】
本発明の、回転可能シャフト用の能動平衡器(アクティブバランサ)としての他の実現は、回転可能シャフトの回転軸に対して位置決め可能な1つ以上の偏心質量を含む。ドライバ(駆動装置)は、これら1つ以上の偏心質量を、回転可能シャフトの回転軸に対して再位置決めする。1つ以上の回転センサを1つ以上の振動センサと共に含む複数のセンサが、回転可能シャフトの性能特性を監視する。コントローラは、センサから取得した情報を処理して、回転可能シャフト内の振動を低減するようにドライバの動作を制御する。中継局はセンサからの情報を収集し、基地局はコントローラに接続されている。データは、中継局と基地局の間で通信プロトコルに基づいて送信及び受信され、このプロトコルは、送信誤りの監視及び再送信も提供する。
【0015】
ドライバは、上記複数のセンサの1つ以上が内部に組み込まれたコイルブロックの一部分として形成することができる。これら複数のセンサは、上記1つ以上の偏心質量の位置を監視するための1つ以上のセンサをコイルブロック内に含むことが好ましい。
【0016】
中継局は、複数センサからの信号を結合して集合的信号にするマルチプレクサ/デマルチプレクサ、及びこの集合的信号を通信プロトコルに基づいて送信する通信ノードを含むことが好ましい。基地局は、この集合的信号を通信プロトコルに基づいて受信する他の通信ノード、及びこの集合的信号を別個に処理可能な複数のデジタル信号に分割するデマルチプレクサ/マルチプレクサを含むことが好ましい。データ送受信ラインは、通信プロトコルに基づいて情報を交換するために中継局と基地局とを相互接続することが好ましく、基地局に関連する電源は、電力を送受信ライン上で伝送して中継局に供給することが好ましい。
【0017】
本発明の、能動平衡制御システムとしてのさらの他の実現は、回転用部材を支持する構造内の振動を最小化する。この構造に装着した複数のセンサは振動を監視する。1つ以上のアクチュエータが、各可動質量をそれぞれの同調周波数で駆動する。コントローラが、複数のセンサから情報を受信して、検出した構造内の振動を相殺するように1つ以上のアクチュエータの動作を制御する。センサからの情報を取集する中継局とコントローラに接続された基地局とが、通信プロトコルに基づいて、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットで情報を交換する。
【0018】
本発明は、振動に対抗する方法として実現することもできる。複数のセンサを用いて複数の振動を監視する。複数のセンサから出力される信号が、振動についての情報を伝達する。これらのセンサからの信号を中継局で結合して集合的信号にし、この集合的信号を、通信プロトコルに基づいて、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットで、データ送受信ライン上で送信する。この集合的信号を、コントローラに関連する基地局で、通信プロトコルに基づいて受信する。基地局に関連する電源からの電力も、データ送受信ライン上で中継局に伝送する。中継局で受信した電力を、上記センサの1つ以上に分配する。基地局で受信した上記集合的信号を、複数の処理可能なデジタル信号に分割する。このデジタル信号をコントローラ内で処理し、信号をコントローラからアクチュエータに対して出力して、監視中の振動に対抗する。
【0019】
上記センサは、最適化検討の結果に応じて分布させることが好ましい。中継局をこれらのセンサ間に配置して、センサと中継局との間の平均距離を低減することが好ましい。
【0020】
本発明の他の実現は、運動制御システムを作製する方法、機械振動を制御する方法、及び航空機構造内の振動を制御する方法を含む。
【0021】
以上の一般的な説明、及び以下の詳細な説明は共に、本発明の好適例であり、請求項に記載する本発明の性質及び特徴を理解するための概要または枠組を提供することを意図していることは明らかである。図面は本発明のさらなる理解をもたらすべく含め、本明細書に含まれ、その一部を構成する。図面は本発明の種々の実施例を例示し、その説明と共に、本発明の原理及び動作を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】コントローラを含む基地局と、複数のセンサ及び複数のアクチュエータに共に接続された中継局との間のデジタル処理リンクを示すブロック図である。
【図2】図1のデジタル処理リンクを組み込んだ能動平衡システムの図である。
【図3】コイルアセンブリ内に組み込まれた中継局の構成を示すブロック図である。
【図4】不平衡に対抗する力を生成するための平衡器のロータ位置を示す図である。
【図5】影響係数に基づく制御アルゴリズムのブロック図である。
【図6】スピンドル平衡器のデジタル処理リンクの電気回路図である。
【図7】機体の一部分中の航空機プロペラ平衡器の図である。
【図8】本発明によるデジタル処理リンクを組み込んだ能動振動制御システムのブロック図である。
【図9】図8の能動振動制御システムの制御アルゴリズムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明では、本発明の追加的特徴及び利点を説明し、これらの特徴及び利点は部分的に、この説明より当業者がすぐに分かるか、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに図面を含めた明細書に記載された発明を実施することによって認識される。
【0024】
以下、図面に例示する本発明の好適な実施例を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1に示す好適なデジタル処理リンク1は、中継局12を基地局14と相互接続する。中継局12は、複数のセンサ16からの入力信号、及び複数のアクチュエータ18への出力信号に共通のルーティングを提供する。中継局内では、マルチプレクサ/デマルチプレクサ20、例えばデジタルマルチプレクサのフィールドプログラマブル・ゲートアレイが、複数のセンサからの入力信号を結合して、通信ノード22に転送される単一の集合的センサ信号にする。センサ信号用のアナログ−デジタル変換器は、フィールドプログラマブル・ゲートアレイの形で実現することができ、あるいは、この目的用の専用回路を設けることができる。
【0026】
通信ノード22は、LVDS(low voltage differential signaling:低電圧差動信号伝達)で、あるいはイーサネット(登録商標)インターフェースとともにRS422チップで実現することができ、上記集合的センサ信号を基地局14に送信し、この送信は、この集合的センサ信号を、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットを有する一連のフレームに変換する通信プロトコルに基づく。中継局12と基地局14とを相互接続する送受信ラインを含むツイスト配線対24及び26は、所定プロトコルに基づいて上記集合的センサ信号を伝達する。このプロトコルは、集合的センサ信号のエネルギー量をツイスト配線対24、26上で時間的に拡散して、電気的妨害を低減する。自動断路を含む保護回路28を中継局12に組み込んで、落雷または他のスプリアス(不要波)高電圧外乱に対するサージ保護を提供することができる。同様の保護回路30を、基地局14に設けることができる。
【0027】
基地局14内の同様の通信ノード32は、通信プロトコルに基づいて上記集合的センサ信号を受信し、同様のデマルチプレクサ/マルチプレクサ34は、この集合的センサ信号を別個に処理可能な複数のデジタル信号に分割する。コントローラ36は、制御ソフトウェアに基づいて動作するデジタルシグナルプロセッサ(デジタル信号処理装置)を含み、個別のセンサ信号を受信して、アクチュエータ18を制御するための複数の出力制御信号を発生する。参考文献として本明細書に含める米国特許第5757662号(特許文献2)及び第6236934号(特許文献3)は能動平衡器を記載し、これは不平衡補償器とも称し、不平衡に関するセンサ信号を、偏心的に駆動する質量アクチュエータ用の制御信号に変換するための制御構造及びアルゴリズムを有する。
【0028】
デマルチプレクサ/マルチプレクサ34は、複数の出力制御信号を結合して単一の集合的制御信号にし、この集合的制御信号は、通信ノード32によって、ツイスト配線対24、26を通した中継局12の通信ノード22への通信プロトコルに基づく送信用に変換される。中継局12のマルチプレクサ/デマルチプレクサ20は、この集合的制御信号を複数の個別制御信号に分割し、これらの制御信号は別個に、複数のアクチュエータ18に指向される。
【0029】
デジタル処理リンク10は、複数のセンサ信号及び複数の制御信号を共に、イーサネット(登録商標)プロトコルのような好適な通信プロトコルに基づいて伝達することができるが、デジタル処理リンク10は、センサ信号のみ、または制御信号のみを伝達するように構成することもでき、あるいは、基地局を1つ以上の中継局と組み合わせて、センサ信号と制御信号とを別個に伝達することができる。
【0030】
デジタル通信をサポートすることに加えて、デジタル処理リンク10は、基地局14から中継局12への電力の伝送もサポートする。電源40は基地局14内に実装され、パワー・オーバー・イーサネット(登録商標)(PoE:Power over Ethernet(登録商標))システムのような標準的な実現により、電気結合42、44を通してツイスト配線対24、26に別個に接続される。中継局12内では、変換器46が電気結合48、50を通して電力を受けて、1つ以上のセンサ16、あるいは中継局12内にあるか、さもなければ中継局12に関連する他の装置に給電する。
【0031】
デジタル処理リンク10は、図2に示すような能動平衡システム60の一部として実現される。ツール(工具)またはワークピース(加工片)のスピンドルのような回転器具内の不平衡は、多種の回転機械における有害な振動の大きな原因となり得る。対抗的な不平衡を生成することによって、例えば回転器具の質量の追加、除去、または再配分によって、補正が達成される。回転対称の回復は一般に、非対称の原因に近づくことに制約があることにより、大まかにしかできないことが多い。これに加えて、平衡器及び機械インピーダンスの動特性は、速度変化に適応するための不均衡補正を必要とし得る。
【0032】
連続的平衡処理は能動平衡処理とも称し、変化する平衡要件に適応する。こうしたものとして、機械の動作中に、変化する状態についてのセンサ信号を伝達し、進行中の平衡補正を行うための制御信号を伝達するために、信頼性のある通信を必要とする。電子制御の工作機械、回転電源の航空機、または工業用送風機のような他の回転機械の電磁環境は、電気的妨害を生じさせて、センサ信号及び制御信号、特に、本質的に弱い信号または大きな距離を進む必要のある信号の伝送を乱し得る。
【0033】
図2に示すように、図1のデジタル処理リンク10は、能動平衡システム60の重要部分として構成される。前部ベアリング66及び後部ベアリング68によって、回転軸64の周りに回転するように支持される回転スピンドルまたはシャフト62は回転体70を担持し、回転体70は、機械加工具(ツール)、ワークピース、プロペラ、または送風機の羽根を含む種々の形態をとることができる。振動検出センサ72、74は、加速度計の形態をとることができ、スピンドルまたはシャフト62の回転によって加わる振動の大きさ及び位相に関する継続的な情報を提供する。必要に応じて、アナログ−デジタル変換器を中継局に組み込んで、センサ信号をデジタル形式に変換することができる。
【0034】
補正は、前部平衡器80及び後部平衡器82によって与えられ、これらの平衡器は、前部ベアリング66及び後部ベアリング68に隣接する2つの横断面内で補正を与える。2つの平衡器80、82は、スピンドルまたはシャフト62と一緒に回転する調整可能なロータ(回転子)アセンブリ84、88、及び平衡補正を行うための角度調整ロータをロータアセンブリ84、88内に提供するコイルアセンブリ86、90を含む。状態センサ92、94、96、98は、コイルアセンブリ88、90内に組み込まれて、スピンドルまたはシャフト62及び平衡器80、82の性能について報告する。状態センサ92、94、96、98は、ロータの速度及び相対位置を監視するためのホール効果センサ、温度センサ、及びデジタル加速度計を含むことができ、これらは全てコイルアセンブリ88、90内に統合することが好ましい。
【0035】
振動センサ72、74によって取得した振動情報、及び状態センサ92、94、96、98によって取得した状態情報は共に、図に示すように中継局12に送られる。特に、平衡器80、82の一方だけを平衡動作を実行するために用いる場合は、中継局12自体を、コイルアセンブリ86、90の一方に統合することができる(例えば、コイルアセンブリ内に存在する1つ以上のボード内に配置する)。
【0036】
図1のデジタル処理リンクに関して説明したように、センサ信号どうしを結合し、デジタル通信プロトコルに基づいて基地局14に集合的に送信し、基地局14では、これらのセンサ信号を分離し、既知のアルゴリズムに従って処理して、アクチュエータ18として機能するそれぞれのコイルアセンブリ86、90を動作させるための出力制御信号を発生する。これらの出力制御信号はコイルアセンブリ86、90に直接送ることができるが、基地局14がこれらの制御信号を結合し、デジタル通信プロトコルに基づいて中継局に集合的に送信し、中継局でこれらの制御信号を分離して、それぞれのコイルアセンブリ86、90に更に送ることが好ましい。基地局14をPoEシステムと共に用いて、基地局14と中継局12との間のデジタル通信をサポートするのと同じ配線対24、26を通して電力を供給して、任意のセンサ72、74、92、94、96、98、あるいは中継局12に関連する他の装置に電力を伝達することもできる。
【0037】
組み込みソフトウェアを有するシステムコントローラ36を含む基地局14は、中継局12から遠隔の場所に配置することができ、更には平衡を必要とする工作機械、航空機、または回転機械等のコントローラに組み込むこともできる。基地局と中継局との間の通信は、環境的な電気的外乱に対して保護され、それ自体は他の通信に対する電気的妨害を少ししか生じさせない。
【0038】
図3に、平衡器のコイルアセンブリ内に組み込まれた中継局100の構成を例示する。3つのホール効果センサ102、104、106、温度センサ108、及びデジタル加速度計110を示し、これらの全てが、好適にはフィールドプログラマブル・ゲートアレイ112内に実装されたマルチプレクサ/デマルチプレクサに接続されている。このフィールドプログラマブル・ゲートアレイ112には、デジタル加速度計110を駆動するための発振器114も結合されている。フィールドプログラマブル・ゲートアレイ112を駆動するための第2発振器(図示せず)を設けることができる。組み込みデジタル加速度計の代替または追加として、外部アナログ加速度計116を、信号調整器118及びアナログ−デジタル変換器120と共に用いて、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ112に振動情報を提供することができる。種々のセンサ信号がフィールドプログラマブル・ゲートアレイ内で結合されて通信ノードに指向され、通信ノードはここでは、デジタル通信プロトコル(イーサネット(登録商標))に基づいて、配線対126を通して基地局(図示せず)にデータを送受信する一対のデジタル通信チップ112、114(例えばLVDSまたはRS422)を含むものとして示す。
【0039】
図2の能動平衡システム60は、スピンドルまたはシャフト62用の間隔をおいたベアリング支持体66、68に隣接する2つの平面内の能動平衡を例示する。しかし、不平衡なワークピースのように不平衡の原因の近くに配置されていれば、単一の平衡器でも、振動を誘発する不平衡を除去するのに十分であり得る。
【0040】
図4に示すように、平衡器80、82の各々が、スピンドルまたはシャフト62の回転軸64の周りに角度調整可能な組み込みの不平衡を伴う2つのロータを含むことが好ましい。不平衡の設定は、(a)ロータを互いに対して角度調整して不平衡補正の大きさを調整し、(b)これらのロータを一緒に、スピンドルまたはシャフト62の軸64の周りで調整して、この不平衡補正の角度配向または位相角を調整することによって達成される。
【0041】
平衡器80、82は振動を検出し、不平衡調整を行って振動を低減する。コントローラ36は加速度計の振動レベルを連続的に監視し、振動がソフトウェア中に設定された最大許容レベルを超えると、コントローラ36は必要な不平衡補正の大きさ及び位相角を決定する。コントローラ36から出力される制御信号を、平衡コイルアセンブリ86、90への精密に整形された電流パルスの形式にして、ロータを新たな角度位置に移動させることができる。振動レベルが最大許容レベルを下回ると、コントローラ36からのさらなる入力をなくして、ロータは設定された角度位置に留まる。
【0042】
平衡コイルアセンブリ86、90からの状態情報は、加速度計の振動信号と共に、コントローラ36内の適合アルゴリズムへの入力を与える。好適なアルゴリズムは、システムの動的係数を計算し、コイルアセンブリ86、90に至る増幅器への出力制御信号を発生する。この出力制御信号は、重みを加えたロータアセンブリを所望の角度位置へ角度的にシフト(移動)させる。コイルアセンブリは、静止したフレームまたはハウジング(筐体)に固定され、作動電力は磁界形式で空隙を越えて渡される。永久磁石の使用は、外的電力なしに受動的に、カウンターウェイト(対抗荷重)ロータを定位置に固定することを可能にする。
【0043】
制御アルゴリズムは、いわゆる「影響係数」の使用に基づくことが好ましく、影響係数は複素値の伝達関数係数であり、所定回転速度において、特定の平衡面からの不平衡入力を、関連する振動センサ72または74の定常状態出力に関係付ける。これらの影響係数は実験的に、あるいは適応制御法を通して得ることができる。例えば、複数の振動制御の各繰り返しの間に、振動データをサンプリングし、これらを復調して、複素値の音響振動を得ることができる。測定した振動データ及び記憶している影響係数に基づいて、コントローラは、検出した振動を最小化するのに必要な角度位置またはロータを計算する。コントローラは、各補正後に影響係数を再計算して、変化する状態に適応することが好ましい。図5に概略的に示す好適な制御アルゴリズムは、S. W. Dyer, W. Winzenz, 及びG. Billoudによる”Active In-Process Balanshing”と題した、XIIIth Symposium Vibrations, Shocks & Noise, Lyon France, 2002の予稿集(非特許文献1)に開示され、この刊行物は参考文献として本明細書に含める。
【0044】
図6は、スピンドル平衡器用のデジタル処理リンクの電気回路図を提供する。
【0045】
能動平衡システム60は、C−130のような航空機及びE2C航空機プロペラ用の飛行中プロペラ平衡システム(IPBS:In-Flight Propeller Balancing Systems)に適用することができる。このシステムは、プロペラ及びギアボックスにおける、プロペラの静的または動的な不平衡によって生じ得るような1回転に1回(1P:once-per-revolution)の振動レベルを低減するように設計することができる。平衡システムの概略図を図7に示す。
【0046】
平衡システムは自律的に動作して、地上待機中及び飛行中の動作中に共に、プロペラの不平衡を監視し、監視中の不平衡に対抗して振動を低減することが好ましい。飛行中の動作中には、航空機のプロペラは、外来物からの衝撃によって損傷し得る。この損傷はプロペラを不平衡にして、機内の騒音及び振動を生じさせる。必要な平衡補正は、異なるエンジン出力設定または空気力学的なプロペラ負荷に対しても変動し得る。可変ピッチプロペラ上では、ピッチ及び羽根の外径の小変更が、1回転に1回の振動を生じさせ得る。従って、異なる飛行状態における動的な平衡の変化を補償するためには、平衡器と平衡器コントローラとの間の重要な飛行中通信を伴う能動平衡が要求される。能動平衡システム60は、静的及び空気力学的の両者の不平衡によって生じる1回転に1回の(1P)振動を低減することができ、これによりプロペラアセンブリ及び他のエンジン構成部品の寿命を改善する。
【0047】
図8に示す能動振動制御システム150は、本発明によるデジタル処理リンク152からの同様の効果を得る。能動振動制御システム150は、固定翼機またはヘリコプターの機体に内蔵させることができる。
【0048】
加速度計の形態のような複数の振動センサ154は、タコメータの形態のような速度センサ156と共に、継続的な振動に関する情報を収集し、この情報を中継局158に送る。特に図1の中継局12関して説明したように、中継局158内には、複数の振動センサ信号と複数の速度センサ信号とを結合して集合的センサ信号にして、保護的なデジタル通信プロトコルに基づいて、配線対160で基地局162に送信する。
【0049】
特に図1の基地局14に関して説明したように、上記集合的センサ信号は、基地局162内で別個のセンサ信号に分割される。別個のセンサ信号は、基地局162内で従来アルゴリズムに従って処理されて、アクチュエータ170、172、174用の制御信号が出力される。これらの出力信号は、デジタル形式で共通バス164に沿って一連の増幅器176、178、180に伝達され、これらの増幅器は電源182から別個に電力を受けて、出力制御信号に従ってアクチュエータ170、172、174を駆動することが好ましい。
【0050】
センサ及びアクチュエータの数は、特定用途に適応させる。アクチュエータ170、172、174は、機体のような振動構造184に固定され、直線振動または回転により電磁的に駆動される質量を含む電磁力発生器とすることができる。電気機械的アクチュエータは、機械的共振を利用して力をN/回転の周波数で増幅することが好ましい。ヘリコプター用途向けの代表的な同調周波数は、300〜1200ポンドの力において17.2ヘルツ〜28ヘルツである。
【0051】
制御アルゴリズムは、時間領域のフィルタードX最小二乗平均(Filtered−X LMS)に基づくことが好ましく、例えばノースカロライナ州ケーリーにあるロード社(Load Corporation)から入手可能なDC−9及びサイテーションX(Citation X)を含む固定翼航空機用のLORD NVXTMシステムである。図9に、LORD(登録商標)AVCSにおいて使用されるFiltered−X LMSアルゴリズムのブロック図を示す。
【0052】
能動振動制御システムをヘリコプターまたは他の航空機に適応させるためのシステム設計プロセス(工程)は、3段階で実行することが好ましい。第1段階では、伝達関数を得て、種々の飛行状態における機体振動を測定する。第2段階では、この測定データを用いて、各アクチュエータの位置及び力の限度、及び各加速度計の位置を規定することによってシステムを最適化する。第3段階では、能動振動制御システムを航空機上に設置し、飛行試験を通して性能を実証する。
【0053】
飛行中の振動の測定値並びに伝達関数は、あり得るアクチュエータ位置と制御加速度計位置との間で比較する。このデータは、最小離陸重量及び最大離陸重量を含む航空機の3通り以上の重量及び重心設定について収集することが好ましい。これらの設定毎に、飛行試験も実行して機内振動を測定する。一般に、各飛行は20回の安定した(定常状態)及び過渡的な飛行状態から成る。
【0054】
収集したデータを用いて最適化分析を実行して、センサ及びアクチュエータの適切な位置数を決定し、関連する振動低減性能及びそれに関連する重量ペナルティ(重量についての不利な条件)を予測する。能動振動制御システムのいくつかの異なる構成を設置して、飛行中の性能を実証することが好ましい。振動測定は、比較目的で、システム作動及び不作動で記録する。システム性能は、旋回及びフレアのような過渡状態下で試験する。システムの安定性及びトラッキングを評価して、最終的なソフトウェア調整を実行する。
【0055】
デジタル処理リンク152は、デジタル処理リンク10と同様に、センサまたは他の器具とコントローラとの間の長い配線長を解消することによって、重量、コスト、及び複雑性を低減することを期待され、そしてデジタル通信プロトコルを利用し、伝送の両端に保護回路を組み込むことによって信頼性を向上させることを期待される。
【0056】
本発明の範囲を逸脱することなしに、本発明に種々の変更及び変形を加え得ることは、当業者にとって明らかである。従って、本発明は、こうした変更及び変形が特許請求の範囲及びその等価物の範囲内に入るならば、これらの変更及び変形を含むことを意図している。また、請求項中の異なる語句の範囲は、同一または異なる構造またはステップにより実現されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を調整する運動制御システムであって、
振動についての情報を取得するための複数のセンサと、
前記振動に対抗するためのアクチュエータと、
前記センサから取得した情報を処理し、前記振動に対抗するように前記アクチュエータを制御するコントローラと、
前記複数のセンサと前記コントローラとの間のデジタル処理リンクとを備え、
前記デジタル処理リンクは、
前記センサからの信号どうしを結合して集合的信号にするマルチプレクサ/デマルチプレクサ、及び前記集合的信号を通信プロトコルに基づいて送信する通信ノードを含む中継局と、
前記集合的信号を前記通信プロトコルに基づいて受信する他の通信ノード、及び前記集合的信号を別個に処理可能な複数のデジタル信号に分割するデマルチプレクサ/マルチプレクサを含む基地局と、
前記中継局と前記基地局とを相互接続するデータ送受信ラインとを備え、
前記コントローラは、前記基地局からの前記デジタル信号を処理し、前記アクチュエータを制御するための制御信号を出力して前記振動を調整するように構成されていることを特徴とする運動制御システム。
【請求項2】
前記基地局の前記通信ノードは、前記通信プロトコルに基づいて、前記アクチュエータ用の前記制御信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項3】
前記基地局の前記通信ノードは、前記アクチュエータ用の前記制御信号を、前記データ送受信ライン上で前記中継局の前記通信ノードに送信すること特徴とする請求項2に記載の運動制御システム。
【請求項4】
(a)前記アクチュエータが複数のアクチュエータのうちの1つであり、
(b)前記コントローラが複数の制御信号を出力し、
(c)前記基地局の前記デマルチプレクサ/マルチプレクサが、前記複数の制御信号を結合して単一の集合的制御信号にして、前記データ送受信ライン上で送信し、
(d)前記中継局の前記マルチプレクサ/デマルチプレクサが、前記集合的制御信号を複数の制御信号に分割して、前記複数のアクチュエータに指向させることを特徴とする請求項3に記載の運動制御システム。
【請求項5】
前記アクチュエータが複数のアクチュエータのうちの1つであり、
前記運動制御システムが、前記基地局と、前記複数のアクチュエータを前記基地局と相互接続する第2中継局との間の第2デジタル処理リンクを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項6】
前記基地局の前記デマルチプレクサ/マルチプレクサが、前記アクチュエータ用の出力制御信号どうしを結合して集合的出力制御信号にし、前記基地局の前記通信ノードが、前記集合的出力制御信号を、前記通信プロトコルに基づいて前記第2中継局に送信することを特徴とする請求項5に記載の運動制御システム。
【請求項7】
前記第2中継局の通信ノードが、前記集合的出力制御信号を受信し、前記第2中継局のマルチプレクサ/デマルチプレクサが、前記集合的出力制御信号を、前記アクチュエータへの複数の制御信号に分割すること特徴をとする請求項6に記載の運動制御システム。
【請求項8】
前記基地局に関連し、前記データ送受信ライン上で電力を伝送するための電源と、
前記中継局に関連し、前記データ送受信ライン上で電力を受け、この電力を調整して前記センサのうちの1つ以上に伝達する変圧器と
を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項9】
前記中継局の前記通信ノードが、前記集合的制御信号を、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットを有する一連のフレームに変換することを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項10】
前記中継局の前記通信ノードが、前記集合的制御信号のエネルギー量を前記データ送受信ライン上で時間的に拡散させて、電気的妨害を低減することを特徴とする請求項9に記載の運動制御システム。
【請求項11】
前記中継局の前記通信ノードが、雷サージを伝送することを回避するための断路器を含むことを特徴とする請求項10に記載の運動制御システム。
【請求項12】
前記中継局が、前記センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換器を含むことを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項13】
前記アクチュエータが、電気コイルの影響下で、回転軸の周りに相対的に角度位置決め可能な2つ以上の偏心質量を含むことを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項14】
前記複数のセンサが、振動を測定する加速度計、及び前記偏心質量の相対的な角度位置を測定するための他のセンサを含むことを特徴とする請求項13に記載の運動制御システム。
【請求項15】
前記アクチュエータが、1つ以上の同調周波数で力を増幅することを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項16】
前記アクチュエータが、回転軸の周りに回転可能な1つ以上の偏心質量を含むことを特徴とする請求項15に記載の運動制御システム。
【請求項17】
前記アクチュエータが、直線軸に沿って往復運動可能な並進可能質量を含むことを特徴とする請求項15に記載の運動制御システム。
【請求項18】
前記複数のセンサが、振動を検出するために用いる加速度計を含むことを特徴とする請求項1に記載の運動制御システム。
【請求項19】
前記中継局が、当該中継局と前記複数のセンサとの間の平均距離を低減するように配置されていることを特徴とする請求項18に記載の運動制御システム。
【請求項20】
回転可能なシャフト用の能動平衡器であって、
前記回転可能なシャフトの回転軸に対して位置決め可能な1つ以上の偏心質量と、
前記回転可能なシャフトの前記回転軸に対して前記1つ以上の偏心質量を再位置決めするドライバと、
1つ以上の回転センサを1つ以上の振動センサと共に含み、前記回転可能なシャフトの性能特性を監視するための複数のセンサと、
前記センサから取得した情報を処理して、前記回転可能なシャフト内の振動を低減するように前記ドライバの動作を制御するコントローラと、
前記センサからの情報を収集する中継局、及び前記コントローラに接続された基地局と、
送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットで、前記中継局と前記基地局との間でデータを送受信するための通信プロトコルと、
を備えていることを特徴とする能動平衡器。
【請求項21】
前記ドライバが、前記複数のセンサのうちの1つ以上が内部に組み込まれたコイルブロックの一部分として形成されていることを特徴とする請求項20に記載の能動平衡器。
【請求項22】
前記複数のセンサが、前記1つ以上の偏心質量の位置を監視するための1つ以上のセンサを前記コイルブロック内に含むことを特徴とする請求項21に記載の能動平衡器。
【請求項23】
前記中継局が、前記センサからの信号どうしを結合して集合的信号にするマルチプレクサ/デマルチプレクサ、及び前記集合的信号を前記通信プロトコルに基づいて送信する通信ノードを含むことを特徴とする請求項20に記載の能動平衡器。
【請求項24】
前記基地局が、前記集合的信号を前記通信プロトコルに基づいて受信する他の通信ノード、及び前記集合的信号を別個に処理可能な複数のデジタル信号に分割するデマルチプレクサ/マルチプレクサを備えていることを特徴とする請求項23に記載の能動平衡器。
【請求項25】
前記中継局と前記基地局とを接続し、前記通信プロトコルに基づいて情報を交換するためのデータ送受信ラインと、
前記基地局に関連し、前記データ送受信ライン上で前記中継局に電力を伝送するための電源と
を更に備えていることを特徴とする請求項20に記載の能動平衡器。
【請求項26】
前記中継局から前記複数のセンサのうちの1つ以上への電力伝送経路を更に備えていることを特徴とする請求項25に記載の能動平衡器。
【請求項27】
回転部材を支持する構造内の振動を最小化する能動振動制御システムであって、
前記構造に装着され、振動を監視するための複数のセンサと、
可動質量を同調周波数で駆動する1つ以上のアクチュエータと、
前記複数のセンサから情報を受信し、検出した前記構造内の振動を相殺するように前記1つ以上のアクチュエータの動作を制御するコントローラと、
前記センサからの情報を収集する中継局、及び前記コントローラに接続された基地局と、
送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットで、前記中継局と前記基地局との間でデータを送受信するための通信プロトコルと
を備えていることを特徴とする能動振動制御システム。
【請求項28】
前記センサと前記中継局との間の平均距離を低減するために、前記中継局が前記センサ間の中心に配置されていることを特徴とする請求項27に記載の能動振動制御システム。
【請求項29】
前記中継局と前記基地局とを接続し、前記通信プロトコルに基づいて情報を転送するためのデータ送受信ラインと、
前記基地局に関連し、前記データ送受信ライン上で前記中継局に、データに加えて電力を伝送するための電源と
を更に備えていることを特徴とする請求項27に記載の能動振動制御システム。
【請求項30】
前記中継局から前記複数のセンサのうちの1つ以上への、1つ以上の電力伝送経路を更に備えていることを特徴とする請求項29に記載の能動振動制御システム。
【請求項31】
前記中継局が、前記センサからの信号どうしを結合して集合的信号にするマルチプレクサ/デマルチプレクサ、及び前記集合的信号を前記通信プロトコルに基づいて送信する第1通信ノードを含むことを特徴とする請求項27に記載の能動振動制御システム。
【請求項32】
前記基地局が、前記集合的信号を前記通信プロトコルに基づいて受信する第2通信ノード、及び前記集合的信号を別個に処理可能な複数のデジタル信号に分割するデマルチプレクサ/マルチプレクサを含むことを特徴とする請求項31に記載の能動振動制御システム。
【請求項33】
振動に対抗する方法であって、
複数のセンサを用いて振動を監視するステップと、
前記複数のセンサから信号を出力して、前記振動についての情報を伝達するステップと、
中継局において、前記センサからの前記信号どうしを結合して集合的信号にするステップと、
前記集合的信号を、データ送受信ライン上で、通信プロトコルに基づいて、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットで送信するステップと、
コントローラに関連する基地局において、前記集合的信号を前記通信プロトコルに基づいて受信するステップと、
前記基地局に関連する電源からの電力を、前記データ送受信ライン上で前記中継局に伝送するステップと、
前記電力を、前記中継局から前記センサのうちの1つ以上に分配するステップと、
前記基地局において受信した前記集合的信号を、処理可能な複数のデジタル信号に分割するステップと、
前記デジタル信号を前記コントローラ内で処理するステップと、
前記コントローラからの信号を、前記監視中の振動に対抗するためのアクチュエータに対して出力するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
最適化検討の結果に応じて、前記センサを分布させるステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記センサ間に前記中継局を配置して、前記センサと前記中継局との間の平均距離を低減するステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記集合的信号を送信するステップが、前記集合的信号を、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットを有する一連のフレームに変換することを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記集合的信号を送信するステップが、前記集合的信号のエネルギー量を前記データ送信ライン上で時間的に拡散して、妨害を低減することを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記センサからのアナログ信号をデジタル信号に変換するステップを含むことを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項39】
振動を調整する振動制御システムを作製する方法であって、
振動についての情報を取得するための複数のセンサを配置するステップと、
前記振動に対抗するためのアクチュエータを用意するステップと、
前記センサから取得した情報を処理して、前記振動に対抗するように前記アクチュエータを制御するコントローラを用意するステップと、
前記複数のセンサと前記コントローラとの間にデジタル処理リンクを確立するステップであって、
中継局において、前記センサからの信号どうしを結合して集合的信号にし、この集合的信号を、前記中継局から通信プロトコルに基づいて送信するサブステップと、
基地局において、前記集合的信号を前記通信プロトコルに基づいて受信し、前記集合的信号を別個に処理可能な複数のデジタル信号に分割するサブステップとを含むステップと、
前記基地局からのデジタル信号を前記コントローラで処理し、前記アクチュエータを制御するための制御信号を出力して前記振動を調整するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
前記中継局を前記センサ間に配置して、前記センサと前記中継局との間の平均距離を低減するステップを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記コントローラと前記アクチュエータの間にデジタル処理リンクを確立するステップを含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記アクチュエータが複数のアクチュエータのうちの1つであり、
前記コントローラと前記アクチュエータとの間に前記デジタル処理リンクを確立するステップが、前記基地局において、前記コントローラからの出力制御信号どうしを結合して集合的出力制御信号にし、この集合的出力制御信号を、前記通信プロトコルに基づいて前記基地局から送信することを含むことを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記コントローラと前記アクチュエータとの間に前記デジタル処理リンクを確立するステップが、前記中継局において、前記集合的出力制御信号を前記通信プロトコルに基づいて受信し、前記集合的出力制御信号を、前記アクチュエータへの複数の個別制御信号に分割することを含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記コントローラと前記アクチュエータとの間に前記デジタル処理リンクを確立するステップが、第2中継局において、前記集合的出力制御信号を前記通信プロトコルに基づいて受信し、前記集合的出力制御信号を前記アクチュエータへの複数の個別制御信号に分割することを含むことを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項45】
機械の振動を制御する方法であって、
機械の回転可能シャフト用の能動平衡器を動作させるステップであって、前記機械の回転可能シャフトは、当該機械の回転可能シャフトの回転軸に対して位置決め可能な1つ以上の偏心質量を有するステップと、
1つ以上の回転センサを1つ以上の振動センサと共に含む複数のセンサを用いて、前記機械の回転可能シャフトの振動特性を監視するステップと、
中継局において、前記センサからの情報を収集し、前記収集した情報を、基地局を通してコントローラに送信するステップと、
前記中継局と前記基地局との間で、通信プロトコルに基づいて、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットでデータを送受信するステップと、
前記センサから取得した前記情報を前記コントローラで処理して、前記コントローラから前記能動平衡器用の制御信号を出力するステップと、
前記制御信号に応答して、前記能動平衡器の前記1つ以上の偏心質量を、前記機械の回転可能シャフトの前記回転軸に対して再位置決めして、前記機械の回転可能シャフト内の振動を低減するステップと
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項46】
航空機構造内の複数の振動を制御する方法であって、
前記航空機構造に装着された複数のセンサを用いて、前記航空機構造内の振動を監視するステップと、
中継局において、前記センサからの情報を収集し、前記収集した情報を、コントローラに接続された基地局に送信するステップと、
前記中継局と前記基地局との間で、通信プロトコルに基づいて、送信誤りを監視して再送信するための所定フォーマットでデータを送受信するステップと、
前記複数のセンサからの前記情報を前記コントローラで処理して、可動質量を同調周波数で駆動する1つ以上のアクチュエータに対して制御信号を出力するステップと、
前記1つ以上のアクチュエータを前記同調周波数で動作させて、検出した前記航空機構造内の振動を相殺して、前記航空機構造内の振動を調整するステップと
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−502365(P2012−502365A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526243(P2011−526243)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056092
【国際公開番号】WO2010/028280
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(507381329)ロード コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】