説明

デジタル放送受信機

【課題】ユーザによりテレビの受信性能(フロントエンド性能)を切り替え可能にしたデジタル放送受信機を提供すること
【解決手段】デジタル放送波を受信して復調するフロントエンド部と、フロントエンド部の受信モードを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶した受信モード選択画面を画面表示する映像表示部と、記憶部に記憶されたフロントエンド部の受信モードによりフロントエンド部の設定を制御する制御部を備え、ユーザは画像によりブロックノイズの有無を確認し、最適なフロントエンドの受信モードを選択することができ、リモコンのキー入力操作によりフロントエンドの性能モードを切り替え可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザによりデジタルテレビの受信性能(フロントエンド性能)を切り替え可能にしたデジタル放送受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタル放送受信機において、チューナと復調LSIで構成されテレビの受信性能を左右するフロントエンドは、適応制御を行わずに一意的にレジスタ設定値を決定していた。もしくは、その復調LSIのレジスタ設定値をあらかじめ2種類以上準備し、適応制御アルゴリズムにより、そのレジスタ設定値切り替えを行っていた。
【0003】
ここで、従来のデジタル放送受信機の構成を交えながら説明する。図10は従来のデジタル放送受信機のブロック図である。
【0004】
図10において、デジタル放送受信機900は、放送波を受信するためにアンテナ200が接続されている。また、デジタル放送受信機900は、ユーザが遠隔より操作できるようリモコン300により遠隔操作可能となっている。
【0005】
デジタル放送受信機900は、入力端子910と、フロントエンド部920と、制御部950と、リモコン受信部960と、OSD(On Screen Display)部970と、映像表示部980とで構成している。
【0006】
入力端子910は、アンテナ200が受信した放送波をデジタル放送受信機900に入力するインターフェースである。
【0007】
フロントエンド部920は、入力端子910から入力した放送波を受信してユーザの選択したチャンネルをチューニングするチューナ部921と、チューニングされた受信信号を映像信号に復調する復調部922から構成されている。復調部922は一意的に決定されたレジスタ設定値で受信信号を復調する。もしくは、受信信号から最適なレジスタ値を選択するための基準値を算出し、その基準値に基づいて最適なレジスタ値を設定するという適応アルゴリズムを動作させ、復調する。
【0008】
制御部950は、ユーザがリモコン300から操作ガイドの表示などの指示を入力したとき、OSD部970にOSD図を表示させるようにする。また、ユーザがリモコン300で入力したチャンネルチューニングの指示をフロントエンド部920のチューナ部921に出力する。
【0009】
リモコン受信部960は、ユーザがリモコン300で入力した指示をリモコン信号から電気信号に変換し、制御部950に伝達する。
【0010】
OSD部970は、制御部950の指示により操作ガイドの図を作成するなど、受信した映像以外のOSD画面を作成する。
【0011】
映像表示部980は、フロントエンド部920の復調部922で復調された映像信号を表示したり、その映像信号の上に、OSD部970で作成された映像を上乗せして表示したりする。映像表示部980はプラズマディスプレイ、液晶パネル、ブラウン管などで構成される。
【特許文献1】特開2002−374430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、実際にアンテナで受信する信号は多種多様であり、適応制御アルゴリズムの想定よりも大きく外れた信号を受信する状況になった場合、前記従来の構成では適応制御アルゴリズムが正しく動作せず、その受信信号に適したレジスタ設定値にならずに、受信結果としてブロックノイズが発生する場合があるという課題があった。また、送信側としての規格外の信号を受信するときや、難視聴地域で受信するときも、適応制御アルゴリズムが正しく動作せず、ブロックノイズが発生するこという課題があった。
【0013】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ユーザによりテレビの受信性能(フロトエンド性能)を切り替え可能にしたデジタル放送受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記従来の課題を解決するために、本発明のデジタル放送受信機は、デジタル放送波を受信して復調するフロントエンド部と、フロントエンド部の受信モードを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶した受信モード選択画面を画面表示する映像表示部と、記憶部に記憶されたフロントエンド部の受信モードによりフロントエンド部の設定を制御する制御部を備える。
【0015】
また、本発明のデジタル放送受信機は、デジタル放送波を受信して復調するフロントエンド部と、フロントエンド部の受信モードを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶した受信モード選択画面を画面表示する映像表示部と、記憶部に記憶されたフロントエンド部の受信モードによりフロントエンド部の設定を制御する制御部と、フロントエンド部が復調した映像のブロックノイズ量を検出するブロックノイズ検出部とを備え、制御部は、前記ブロックノイズ検出部が検出したブロックノイズ量を前記映像表示部に画面表示させる。
【0016】
また、本発明のデジタル放送受信機は、デジタル放送波を受信して復調するフロントエンド部と、フロントエンド部の受信モードを複数記憶した記憶部と、記憶部に記憶した受信モード選択画面を画面表示する映像表示部と、記憶部に記憶されたフロントエンド部の受信モードによりフロントエンド部の設定を制御する制御部と、フロントエンド部が復調した信号のビット誤り率を算出するビット誤り率算出部とを備え、制御部は、ビット誤り率算出部が算出したビット誤り率量を映像表示部に画面表示させる。
【0017】
本構成によって、ユーザは最適なフロントエンドの受信モードを確認することができ、リモコンのキー入力操作によりフロントエンドの性能モードを切り替え可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のデジタル放送受信機によれば、アンテナで受信する多種多様信号で適応制御アルゴリズムの想定よりも大きく外れた信号を受信する状況になった場合や、送信側としての規格外の信号や難視聴地域で受信する状況になった場合に、ブロックノイズの発生しない映像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
まず、本発明のデジタル放送受信機の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信機のブロック図である。
【0021】
図1において、デジタル放送受信機100は、放送波を受信するためにアンテナ200が接続されている。また、デジタル放送受信機100は、ユーザが遠隔より操作できるようリモコン300により遠隔操作可能となっている。
【0022】
デジタル放送受信機100は、入力端子110と、フロントエンド部120と、記憶部140と、制御部150と、リモコン受信部160と、OSD(On Screen Display)部170と、映像表示部180とで構成されている。
【0023】
入力端子110は、アンテナ200が受信した放送波をデジタル放送受信機100に入力するインターフェースである。
【0024】
フロントエンド部120は、入力端子110から入力した放送波を受信してユーザの選択したチャンネルをチューニングするチューナ部121と、チューニングされた受信信号を映像信号に復調する復調部122から構成されている。復調部122は制御部150経由でユーザから指示されたフロントエンドの受信モードで受信信号を復調する。
【0025】
記憶部140は、フロントエンド部120の復調部122の受信モードを複数記憶している。その複数のモードとは、通常受信モードと、フロントエンド性能の重要な性能を強くするモードで、2種類以上準備する。そして、仮に、フロントエンド強化モードAとフロントエンド強化モードBとする。そして、通常受信モード、フロントエンド強化モードA、フロントエンド強化モードBの各々のレジスタ値を記憶部140に準備する。
【0026】
通常受信モードは復調部122のレジスタ設定値をあらかじめ2種類以上準備し、適応制御アルゴリズムにより、そのレジスタ設定値切り替えを行うモードである。そして、フロントエンド強化モードA、Bは適応制御せずに、各々の1種類のレジスタ値を準備しておき、強化する性能はAとBで違うという特徴を持つ。たとえば、フロントエンド強化モードAでは対位相雑音性能を強くするレジスタ値を準備する。フロントエンド強化モードBでは、ゴースト性能を強くするレジスタ値を準備する。なお、フロントエンド強化モードは、前記位相雑音性能、ゴースト性能だけでなく、ノイズ性能、AGC追従性能など、復調部122を構成する構成要素全てにおいて準備する可能性があり、受信モードの数を増やせば拡張可能である。
【0027】
制御部150は、ユーザがリモコン300でフロントエンドの受信モードを選択する指示を入力したとき、OSD部170に図2の受信モードの選択の図を表示させるようにする。そして、ユーザがリモコン300で選択したフロントエンドの受信モードを記憶部140に記憶された複数のモードから選択された受信モードを選び出し、フロントエンド部120の復調部122に出力して、フロントエンド部120が最適な受信モードで受信信号を復号するように制御する。
【0028】
リモコン受信部160は、ユーザがリモコン300で入力した指示をリモコン信号から電気信号に変換し、制御部150に伝達する。
【0029】
OSD部170は、制御部150の指示により図2の受信モードの選択の図を作成したり、OSD画面を作成したりする。
【0030】
映像表示部180は、フロントエンド部120の復調部122で復調された映像信号を表示したり、その映像信号の上に、OSD部170で作成された映像を上乗せして表示したりする。映像表示部180はプラズマディスプレイ、液晶パネル、ブラウン管などで構成される。
【0031】
次に、本発明のデジタル放送受信機のフローについて説明する。図3は本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信機の受信モード選択のフローチャートである。
【0032】
ユーザがチューニングする地上波デジタル放送のチャンネルのフロントエンドの受信モードを通常受信モード以外に選択するときは、まず制御部150はリモコン受信部160経由でリモコン信号を入力し、受信モードの選択画面に入る指示であることを確認する。そして、制御部150はOSD部170に図2のデジタル放送受信機の受信モード選択の図を作成するように指示し、映像表示部180に受信モードの選択画面を表示させる(ステップS410)。
【0033】
受信モードは出荷時において設定1(通常受信モード)であるが、この受信モード選択画面でユーザは設定2(フロントエンド強化モードA)、設定3(フロントエンド強化モード)のいずれかをリモコン300で選択することが可能となる。制御部150は、ユーザが設定1(通常受信モード)以外の受信モードを選択したかどうかを確認する(ステップS420)。ステップS420で設定1(通常受信モード)以外を選択した場合、例えば、ユーザがリモコン300で設定2(フロントエンド強化モードA)を選択した場合、制御部150はリモコン受信部160経由で入力したリモコン信号から現在チューニング中のチャンネルの受信モードを設定2(フロントエンド強化モードA)に変更すると判断する。そして、制御部150は記憶部140に記憶されている設定2(フロントエンド強化モードA)の設定レジスタ値を呼出し(ステップS430)、フロントエンド部120の復調部122に出力し、復調部122が設定2(フロントエンド強化モードA)の設定レジスタ値で再復調を行うように制御する(ステップS440)。
【0034】
また、ステップS420で設定1(通常受信モード)を選択した場合、受信モード選択を終了する。
【0035】
ユーザは映像受信画面をみて受信結果が良好であるかどうか判断する(ステップS470)。ステップS470で受信結果が良好と判断した場合は、そのチャンネルでの受信モード選択が完了してその受信モードで固定すべく、リモコン300で受信モード選択の完了の指示を行う。制御部150はリモコン受信部160経由で、ユーザからの受信モード選択完了指示を入力し、最後に再復調した受信モードがそのチャンネルの最適受信モードとして記憶部140に記憶する(ステップS480)。
【0036】
或いは、ステップS470での受信結果が良好と判断しなかった場合は、再度ステップS420に戻って、他の受信モードでステップS430からステップS440の再復調を行う。そして、ユーザは映像画面を見て、受信結果が良好であるかを判断し(ステップS470)、最適な受信モードを選択する。制御部150はユーザが選択した受信モードがそのチャンネルの最適受信モードとして記憶部140に記憶する(ステップS480)。これらのフローにて本発明のデジタル放送受信機の受信モードの選択は完了する。
【0037】
かかる構成によれば、フロントエンド性能にとって重要な性能を重視したモードを有し、ユーザのキー入力操作でモード設定を行うことにより、最適な受信モードを選択することが可能となり、ブロックノイズの少ない良好な画像を出力することができる。
【0038】
(実施の形態2)
まず、本発明のデジタル放送受信機の構成について説明する。図4は、本発明の実施の形態2におけるデジタル放送受信機のブロック図である。
【0039】
図4において、デジタル放送受信機500は、放送波を受信するためにアンテナ200が接続されている。また、デジタル放送受信機500は、ユーザが遠隔より操作できるようリモコン300により遠隔操作可能となっている。
【0040】
デジタル放送受信機500は、入力端子510と、フロントエンド部520と、ブロックノイズ検出部530と、記憶部540と、制御部550と、リモコン受信部560と、OSD(On Screen Display)部570と、映像表示部580とで構成されている。
【0041】
入力端子510は、アンテナ200が受信した放送波をデジタル放送受信機500に入力するインターフェースである。
【0042】
フロントエンド部520は、入力端子510から入力した放送波を受信してユーザの選択したチャンネルをチューニングするチューナ部521と、チューニングされた受信信号を映像信号に復調する復調部522から構成されている。復調部522は制御部550経由でユーザから指示されたフロントエンドの受信モードで受信信号を復調する。
【0043】
ブロックノイズ検出部530は、復調部522で復調した映像信号に含まれているブロックノイズを定量的に検出する。検出結果は、ブロックノイズの大きさと数量の2つの要素のデータとして算出される。そして、ブロックノイズの検出結果を制御部550に出力する。
【0044】
記憶部540は、フロントエンド部520の復調部522の受信モードを複数記憶している。その複数のモードとは、通常受信モードと、フロントエンド性能の重要な性能を強くするモードで、2種類以上準備する。そして、仮に、フロントエンド強化モードAとフロントエンド強化モードBとする。そして、通常受信モード、フロントエンド強化モードA、フロントエンド強化モードBの各々のレジスタ値を記憶部540に準備する。
【0045】
通常受信モードは復調部522のレジスタ設定値をあらかじめ2種類以上準備し、適応制御アルゴリズムにより、そのレジスタ設定値切り替えを行うモードである。そして、フロントエンド強化モードA、Bは適応制御せずに、各々の1種類のレジスタ値を準備しておき、強化する性能はAとBで違うという特徴を持つ。たとえば、フロントエンド強化モードAでは対位相雑音性能を強くするレジスタ値を準備する。フロントエンド強化モードBでは、ゴースト性能を強くするレジスタ値を準備する。なお、フロントエンド強化モードは、前記位相雑音性能、ゴースト性能だけでなく、ノイズ性能、AGC追従性能など、復調部522を構成する構成要素全てにおいて準備する可能性があり、受信モードの数を増やせば拡張可能である。
【0046】
制御部550は、ユーザがリモコン300でフロントエンドの受信モードを選択する指示を入力したとき、OSD部570に図5の受信モードの選択の図を表示させるようにする。そして、ユーザがリモコン300で選択したフロントエンドの受信モードを記憶部540に記憶された複数のモードから選択された受信モードを選び出し、フロントエンド部520の復調部522に出力して、フロントエンド部520が最適な受信モードで受信信号を復号するように制御する。復調部522が復調した後、制御部550はブロックノイズ検出部530が検出した映像信号のブロックノイズの検出結果を入力し、受信モード毎にブロックノイズの検出結果をOSD部570に出力する。更に、各チャンネルの受信モード毎のブロックノイズの検出結果を記憶部540に記憶させ、ユーザがチャンネル毎に設定した受信モードも記憶部540に記憶させる。また、ユーザがリモコン300で入力したチャンネルチューニングの指示をフロントエンド部520のチューナ部521に出力する。
【0047】
リモコン受信部560は、ユーザがリモコン300で入力した指示をリモコン信号から電気信号に変換し、制御部550に伝達する。
【0048】
OSD部570は、制御部550の指示により図5の受信モードの選択の図を作成したり、受信モード毎にブロックノイズの検出結果を表示する図を作成したり、OSD画面を作成する。
【0049】
映像表示部580は、フロントエンド部520の復調部522で復調された映像信号を表示したり、その映像信号の上に、OSD部570で作成された映像を上乗せして表示したりする。映像表示部580はプラズマディスプレイ、液晶パネル、ブラウン管などで構成される。
【0050】
次に、本発明のデジタル放送受信機のフローについて説明する。図6は本発明の実施の形態2におけるデジタル放送受信機の受信モード選択のフローチャートである。
【0051】
ユーザがチューニングする地上波デジタル放送のチャンネルのフロントエンドの受信モードを通常受信モード以外に選択するときは、まず制御部550はリモコン受信部560経由でリモコン信号を入力し、受信モードの選択画面に入る指示であることを確認する。そして、制御部550はOSD部570に図5のデジタル放送受信機の受信モード選択の図を作成するように指示し、映像表示部580に受信モードの選択画面を表示させる(ステップS410)。
【0052】
受信モードは出荷時において設定1(通常受信モード)であるが、この受信モード選択画面でユーザは設定2(フロントエンド強化モードA)、設定3(フロントエンド強化モード)のいずれかをリモコン300で選択することが可能となる。制御部550は、ユーザが設定1(通常受信モード)以外の受信モードを選択したかどうかを確認する(ステップS420)。ステップS420で設定1(通常受信モード)以外を選択した場合、例えば、ユーザがリモコン300で設定2(フロントエンド強化モードA)を選択した場合、制御部550はリモコン受信部560経由で入力したリモコン信号から現在チューニング中のチャンネルの受信モードを設定2(フロントエンド強化モードA)に変更すると判断する。そして、制御部550は記憶部540に記憶されている設定2(フロントエンド強化モードA)の設定レジスタ値を呼出し(ステップS430)、フロントエンド部520の復調部522に出力し、復調部522が設定2(フロントエンド強化モードA)の設定レジスタ値で再復調を行うように制御する(ステップS440)。
【0053】
また、ステップS420で設定1(通常受信モード)を選択した場合、受信モード選択を終了する。
【0054】
復調部522でチューニングされた受信信号の復調が終了したとき、復調部522は映像信号をブロックノイズ検出部530に出力する。そして、ブロックノイズ検出部530はその映像信号に含まれているブロックノイズをブロックノイズの大きさと数量の2つの要素のデータとして定量的に算出して、検出する。ブロックノイズ検出部530は、検出結果を制御部550に出力する(ステップS450)。
【0055】
制御部550はブロックノイズ検出部530からブロックノイズ検出結果を入力し、再復調した設定2(フロントエンド強化モードA)での選局状態として、ブロックノイズ検出結果を画面表示すべく、OSD部570にOSD画面の作成の指示を行う。そして、OSD部570で作成されたブロックノイズ検出結果が表示されたOSD画面を映像表示部580に表示する(ステップS460)。
【0056】
ユーザはブロックノイズ検出結果を見て受信結果が良好であるかどうか判断する(ステップS470)。ステップS470で受信結果が良好と判断した場合は、そのチャンネルでの受信モード選択が完了してその受信モードで固定すべく、リモコン300で受信モード選択の完了の指示を行う。制御部550はリモコン受信部560経由で、ユーザからの受信モード選択完了指示を入力し、最後に再復調した受信モードがそのチャンネルの最適受信モードとして記憶部540に記憶する(ステップS480)。
【0057】
或いは、ステップS470での受信結果が良好と判断しなかった場合は、再度ステップS420に戻って、他の受信モードでステップS430からステップS450の再復調を行う。そして、制御部550は、複数のモードで再選局したブロックノイズ検出結果を画面表示すべく、OSD表示部570に指示し、映像表示部580に複数のブロックノイズ検出結果をOSD表示する(ステップS460)。そして、ユーザは映像表示部580に表示された複数のブロックノイズ検出結果を見て受信結果が良好であるかを判断し(ステップS470)、最適な受信モードを選択する。制御部550はユーザが選択した受信モードがそのチャンネルの最適受信モードとして記憶部540に記憶する(ステップS480)。これらのフローにて本発明のデジタル放送受信機の受信モードの選択は完了する。
【0058】
かかる構成によれば、フロントエンド性能にとって重要な性能を重視したモードを有し、ユーザのキー入力操作とブロックノイズ検出結果とでモード設定を行うことにより、最適な受信モードを選択することが可能となり、ブロックノイズの少ない良好な画像を出力することができる。
【0059】
なお、本実施の形態において、最適受信モードはユーザのリモコン300により記憶部540に記憶するとしたが、制御部550がブロックノイズ検出結果により自動的に記録部540に記憶するとしても良い。その場合は、ユーザが特定のチャンネルで受信モード選択をリモコン300により指示すると、制御部550はリモコン受信部560経由で入力した指示に従い、記憶部540から各受信モードを呼出す。そして、呼出した受信モード毎にフロントエンド部520の復調部522は再復調を行い、ブロックノイズ検出部530に映像を出力する。そして、ブロックノイズ検出部530は映像に含まれたブロックノイズの検出結果を制御部550に出力する。制御部550は、記憶部540に記憶された全ての受信モードを復調部522に再復調するように指示し、ブロックノイズ検出部530から全ての受信モードでのブロックノイズ検出結果を入力すると、最適受信モードを選択する。そして、制御部550はOSD部560に全受信モードのブロックノイズ検出結果を表示したOSD画面の作成を指示し、映像表示部580に全ての受信モードのブロックノイズ検出結果を表示させる。更に、制御部550は記憶部540にそのチャンネルでの最適受信モードを記憶させる。
【0060】
なお、本実施の形態において、選択された1つのチャンネルの最適受信モードを選択するとしたが、全受信チャンネルの最適受信モードを選択するとしても良い。その場合は、例えば、初期のチャンネルチューニング設定時に、低チャンネルから高チャンネルにチューニング設定を行う際に、チャンネル毎に上記の受信モード選択のアルゴリズムを適応する。
【0061】
(実施の形態3)
まず、本発明のデジタル放送受信機の構成について説明する。図7は、本発明の実施の形態3におけるデジタル放送受信機のブロック図である。
【0062】
図7において、デジタル放送受信機700は、放送波を受信するためにアンテナ200が接続されている。また、デジタル放送受信機700は、ユーザが遠隔より操作できるようリモコン300により遠隔操作可能となっている。
【0063】
デジタル放送受信機700は、入力端子710と、フロントエンド部720と、ビット誤り率算出部730と、記憶部740と、制御部750と、リモコン受信部760と、OSD(On Screen Display)部770と、映像表示部780とで構成されている。
【0064】
入力端子710は、アンテナ200が受信した放送波をデジタル放送受信機700に入力するインターフェースである。
【0065】
フロントエンド部720は、入力端子710から入力した放送波を受信してユーザの選択したチャンネルをチューニングするチューナ部721と、チューニングされた受信信号を映像信号に復調する復調部722から構成されている。復調部722は制御部750経由でユーザから指示されたフロントエンドの受信モードで受信信号を復調する。
【0066】
ビット誤り率算出部730は、復調部722の誤り訂正部により算出された1ビット当たりの誤りの割合を算出する。算出結果は、1以下の数字で表され、たとえば100ビットに対して1ビット誤りがある場合は、1×10の−2乗という数量として、算出され、ゼロであれば誤りがないと判断できる。そして、ビット誤り率の算出結果を制御部750に出力する。
【0067】
記憶部740は、フロントエンド部720の復調部722の受信モードを複数記憶している。その複数のモードとは、通常受信モードと、フロントエンド性能の重要な性能を強くするモードで、2種類以上準備する。そして、仮に、フロントエンド強化モードAとフロントエンド強化モードBとする。そして、通常受信モード、フロントエンド強化モードA、フロントエンド強化モードBの各々のレジスタ値を記憶部740に準備する。
【0068】
通常受信モードは復調部722のレジスタ設定値をあらかじめ2種類以上準備し、適応制御アルゴリズムにより、そのレジスタ設定値切り替えを行うモードである。そして、フロントエンド強化モードA、Bは適応制御せずに、各々の1種類のレジスタ値を準備しておき、強化する性能はAとBで違うという特徴を持つ。たとえば、フロントエンド強化モードAでは対位相雑音性能を強くするレジスタ値を準備する。フロントエンド強化モードBでは、ゴースト性能を強くするレジスタ値を準備する。なお、フロントエンド強化モードは、前記位相雑音性能、ゴースト性能だけでなく、ノイズ性能、AGC追従性能など、復調部722を構成する構成要素全てにおいて準備する可能性があり、受信モードの数を増やせば拡張可能である。
【0069】
制御部750は、ユーザがリモコン300でフロントエンドの受信モードを選択する指示を入力したとき、OSD部770に図8の受信モードの選択の図を表示させるようにする。そして、ユーザがリモコン300で選択したフロントエンドの受信モードを記憶部740に記憶された複数のモードから選択された受信モードを選び出し、フロントエンド部720の復調部722に出力して、フロントエンド部720が最適な受信モードで受信信号を復号するように制御する。復調部722が復調した後、制御部750はビット誤り率算出部730が算出したビット誤り率の検出結果を入力し、受信モード毎にビット誤り率の算出結果をOSD部770に出力する。更に、各チャンネルの受信モード毎のビット誤り率の算出結果を記憶部740に記憶させ、ユーザがチャンネル毎に設定した受信モードも記憶部740に記憶させる。また、ユーザがリモコン300で入力したチャンネルチューニングの指示をフロントエンド部720のチューナ部721に出力する。
【0070】
リモコン受信部760は、ユーザがリモコン300で入力した指示をリモコン信号から電気信号に変換し、制御部750に伝達する。
【0071】
OSD部770は、制御部750の指示により図8の受信モードの選択の図を作成したり、受信モード毎にブロックノイズの検出結果を表示する図を作成したり、OSD画面を作成する。
【0072】
映像表示部780は、フロントエンド部720の復調部722で復調された映像信号を表示したり、その映像信号の上に、OSD部770で作成された映像を上乗せして表示したりする。映像表示部780はプラズマディスプレイ、液晶パネル、ブラウン管などで構成される。
【0073】
次に、本発明のデジタル放送受信機のフローについて説明する。図9は本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信機の受信モード選択のフローチャートである。
【0074】
ユーザがチューニングする地上波デジタル放送のチャンネルのフロントエンドの受信モードを通常受信モード以外に選択するときは、まず制御部750はリモコン受信部760経由でリモコン信号を入力し、受信モードの選択画面に入る指示であることを確認する。そして、制御部750はOSD部770に図5のデジタル放送受信機の受信モード選択の図を作成するように指示し、映像表示部780に受信モードの選択画面を表示させる(ステップS410)。
【0075】
受信モードは出荷時において設定1(通常受信モード)であるが、この受信モード選択画面でユーザは設定2(フロントエンド強化モードA)、設定3(フロントエンド強化モード)のいずれかをリモコン300で選択することが可能となる。制御部750は、ユーザが設定1(通常受信モード)以外の受信モードを選択したかどうかを確認する(ステップS420)。ステップS420で設定1(通常受信モード)以外を選択した場合、例えば、ユーザがリモコン300で設定2(フロントエンド強化モードA)を選択した場合、制御部750はリモコン受信部760経由で入力したリモコン信号から現在チューニング中のチャンネルの受信モードを設定2(フロントエンド強化モードA)に変更すると判断する。そして、制御部750は記憶部740に記憶されている設定2(フロントエンド強化モードA)の設定レジスタ値を呼出し(ステップS430)、フロントエンド部720の復調部722に出力し、復調部722が設定2(フロントエンド強化モードA)の設定レジスタ値で再復調を行うように制御する(ステップS440)。
【0076】
また、ステップS420で設定1(通常受信モード)を選択した場合、受信モード選択を終了する。
【0077】
復調部722でチューニングされた受信信号の復調が終了したとき、復調部722はビット誤り率算出部730に出力する。そして、ビット誤り率算出部730は、映像信号中のビット誤り率の算出結果を制御部750に出力する(ステップS455)。
【0078】
制御部750はビット誤り率算出部730からビット誤り率算出結果を入力し、再復調した設定2(フロントエンド強化モードA)での選局状態として、ビット誤り率算出結果を画面表示すべく、OSD部770にOSD画面の作成の指示を行う。そして、OSD部770で作成されたビット誤り率算出結果が表示されたOSD画面を映像表示部780に表示する(ステップS465)。
【0079】
ユーザはビット誤り率算出結果を見て受信結果が良好であるかどうか判断する(ステップS470)。ステップS470で受信結果が良好と判断した場合は、そのチャンネルでの受信モード選択が完了してその受信モードで固定すべく、リモコン300で受信モード選択の完了の指示を行う。制御部750はリモコン受信部760経由で、ユーザからの受信モード選択完了指示を入力し、最後に再復調した受信モードがそのチャンネルの最適受信モードとして記憶部740に記憶する(ステップS480)。
【0080】
或いは、ステップS470での受信結果が良好と判断しなかった場合は、再度ステップS420に戻って、他の受信モードでステップS430からステップS450の再復調を行う。そして、制御部750は、複数のモードで再選局したビット誤り率算出結果を画面表示すべく、OSD表示部770に指示し、映像表示部780に複数のビット誤り率算出結果をOSD表示する(ステップS460)。そして、ユーザは映像表示部780に表示された複数のビット誤り率算出結果を見て受信結果が良好であるかを判断し(ステップS470)、最適な受信モードを選択する。制御部750はユーザが選択した受信モードがそのチャンネルの最適受信モードとして記憶部740に記憶する(ステップS480)。これらのフローにて本発明のデジタル放送受信機の受信モードの選択は完了する。
【0081】
かかる構成によれば、フロントエンド性能にとって重要な性能を重視したモードを有し、ユーザのキー入力操作とビット誤り率の算出結果とでモード設定を行うことにより、最適な受信モードを選択することが可能となり、ブロックノイズの少ない良好な画像を出力することができる。
【0082】
なお、本実施の形態において、最適受信モードはユーザのリモコン300により記憶部740に記憶するとしたが、制御部750がビット誤り率算出結果により自動的に記録部740に記憶するとしても良い。その場合は、ユーザが特定のチャンネルで受信モード選択をリモコン300により指示すると、制御部750はリモコン受信部760経由で入力した指示に従い、記憶部740から各受信モードを呼出す。そして、呼出した受信モード毎にフロントエンド部720の復調部722は再復調を行い、ビット誤り率算出部730に映像を出力する。そして、ビット誤り率算出部730はビット誤り率算出結果を制御部750に出力する。制御部750は、記憶部740に記憶された全ての受信モードを復調部122に再復調するように指示し、ブロックノイズ検出部730から全ての受信モードでのビット誤り率算出結果を入力すると、最適受信モードを選択する。そして、制御部750はOSD部760に全受信モードのビット誤り率算出結果を表示したOSD画面の作成を指示し、映像表示部780に全ての受信モードのビット誤り率算出結果を表示させる。更に、制御部750は記憶部740にそのチャンネルでの最適受信モードを記憶させる。
【0083】
なお、本実施の形態において、選択された1つのチャンネルの最適受信モードを選択するとしたが、全受信チャンネルの最適受信モードを選択するとしても良い。その場合は、例えば、初期のチャンネルチューニング設定時に、低チャンネルから高チャンネルにチューニング設定を行う際に、チャンネル毎に上記の受信モード選択のアルゴリズムを適応する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明にかかるデジタル放送受信機は、アンテナで受信する多種多様信号に対して、ブロックノイズの発生しない映像を提供することが可能になるので、ユーザによりテレビの受信性能(フロントエンド性能)を切り替え可能にしたデジタル放送受信機等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信機のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信機の受信モード選択の図
【図3】本発明の実施の形態1におけるデジタル放送受信機の受信モード選択のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2におけるデジタル放送受信機のブロック図
【図5】本発明の実施の形態2におけるデジタル放送受信機の受信モード選択の図
【図6】本発明の実施の形態2におけるデジタル放送受信機の受信モード選択のフローチャート
【図7】本発明の実施の形態3におけるデジタル放送受信機のブロック図
【図8】本発明の実施の形態3におけるデジタル放送受信機の受信モード選択の図
【図9】本発明の実施の形態3におけるデジタル放送受信機の受信モード選択のフローチャート
【図10】従来のデジタル放送受信機のブロック図
【符号の説明】
【0086】
100、500、700 デジタル放送受信機
110、510、710 入力端子
120、520、720 フロントエンド部
121、521、721 チューナ部
122、522、722 復調部
140、540、740 記憶部
150、550、750 制御部
160、560、760 リモコン受信部
170、570、770 OSD部
180、580、780 映像表示部
200 アンテナ
300 リモコン
530 ブロックノイズ検出部
730 ビット誤り率算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送波を受信して復調するフロントエンド部と、
前記フロントエンド部の受信モードを複数記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記受信モード選択画面を画面表示する映像表示部と、
前記記憶部に記憶されたフロントエンド部の受信モードにより前記フロントエンド部の設定を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記フロントエンド部の前記受信モードを切り替えることを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項2】
デジタル放送波を受信して復調するフロントエンド部と、
前記フロントエンド部の受信モードを複数記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記受信モード選択画面を画面表示する映像表示部と、
前記記憶部に記憶されたフロントエンド部の受信モードにより前記フロントエンド部の設定を制御する制御部と、
前記フロントエンド部が復調した映像のブロックノイズ量を検出するブロックノイズ検出部を備え、
前記制御部は、前記ブロックノイズ検出部が検出したブロックノイズ量を前記映像表示部に画面表示させることを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブロックノイズ検出部が検出したブロックノイズ量を複数の受信モード毎に記憶させることを特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信機。
【請求項4】
前記制御部は、前記複数の受信モードの前記ブロックノイズ量から最適な受信モードを選択し、前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項3に記載のデジタル放送受信機。
【請求項5】
デジタル放送波を受信して復調するフロントエンド部と、
前記フロントエンド部の受信モードを複数記憶した記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記受信モード選択画面を画面表示する映像表示部と、
前記記憶部に記憶されたフロントエンド部の受信モードにより前記フロントエンド部の設定を制御する制御部と、
前記フロントエンド部が復調した信号のビット誤り率を算出するビット誤り率算出部とを備え、
前記制御部は、前記ビット誤り率算出部が算出したビット誤り率量を前記映像表示部に画面表示させることを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項6】
前記制御部は、前記ビット誤り率算出部が算出したビット誤り率量を複数の受信モード毎に記憶させることを特徴とする請求項5に記載のデジタル放送受信機。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の受信モードの前記ビット誤り率量から最適な受信モードを選択し、前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項6に記載のデジタル放送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−182521(P2008−182521A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14765(P2007−14765)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】