説明

デジタル放送受信機

【課題】簡単な操作で、国境付近でも他国の放送を選局せず自国の放送のみ選局し視聴できる地上波デジタル放送受信機を提供する。
【解決手段】DVB−T方式の地上波デジタル放送を受信する地上波デジタル放送受信機において、DVB−T方式で地上波デジタル放送を放送する各国を識別するために予め割り当てた国情報とオリジナルネットワークIDとを対応付けた国情報対ネットワークID対応リストと、ユーザがこの国情報のうちの1つを設定した設定国情報と、チャンネルサーチで受信したそれぞれの放送波から取得したオリジナルネットワークIDとを用いて、設定国情報に対応するネットワークIDのみ抽出し、この抽出したネットワークIDを用いて映像音声信号視聴時の選局に用いるためのチャンネルリストを生成し、このチャンネルリストを用いて映像音声信号視聴の為の選局を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVB−T方式で放送される地上波デジタル放送を受信するデジタル放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波デジタル放送は、世界の多くの国々で、本放送もしくはテスト放送が開始されている。地上波デジタル放送の放送方式の一つにDVB−T方式がある。この方式はヨーロッパを中心とした多くの国々で採用されている方式である。またヨーロッパなど大陸の国々は島国である日本とは異なり、自国と他国とが国境を介して地続きで隣接している。
【0003】
従って、このような国々でDVB−T方式という同一の放送方式でデジタル放送が行なわれていると、国境地域において他国の放送が受信できてしまう状況が発生する。しかしながら、ユーザの殆どは、自国の放送を優先的に受信できれば良い。従って、自国以外の国の放送が受信できるからといって、これら他国の放送を、選局時に使用する情報であるチャンネルリストに不用意に登録してしまうと、例えばリモコンによるアップダウン選局時などには、必要の無い他国のチャンネルも混じって選局してしまうことになり、このチャンネルをスキップするのが面倒となる。
【0004】
また、受信したデジタル放送コンテンツにおいて、そのコンテンツ(以下サービスと呼ぶ場合もある)の番組情報、音声、サブタイトルなどが複数言語によって運用されていても、ユーザがメニューなどによって予め設定した言語が運用されていなかった場合は、上記した複数言語のいずれかを無作為に選択してしまったり、サービスが提示できなかったりしてしまい、ユーザの混乱を導く要因となる。
【0005】
一般的に地上波デジタル放送を放送する各放送局は、それぞれの放送局が送出する放送波には自局のネットワーク情報しか載せず、同一受信地域であっても他局のネットワーク情報は載せていない。従って、デジタル放送受信機は、上記に対応するために、新規購入時や視聴地域移動時等に伴うセットアップの際に、予め放送用として定められている周波数帯域内の全ての物理周波数チャンネルをスキャンし、受信できた物理周波数チャンネルで放送している放送局のネットワーク情報を取得し、この取得したネットワーク情報をチャンネルリストに登録する自動チャンネルサーチ機能を有している。なお、ネットワーク情報には、ネットワーク(放送網)を識別するオリジナルネットワークID、ネットワークネームなどが含まれており、これらをチャンネルリストに登録して選局に使用する。
【0006】
また、言語については、受信機が対応している言語一覧をメニューに表示し、ユーザが希望する一つの言語を選択する機能を有しており、この機能をもとに、デジタル放送コンテンツとして運用される複数言語から1つの言語を選択する。
【0007】
自動チャンネルサーチに関する従来技術としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。これは日本国内を対象とした自動チャンネルサーチに関する技術提案である。
【特許文献1】特開2003−217119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザは、上記した自動チャンネルサーチ機能を用いてチャンネルリストを取得するケースが多いが、この方法だと、国境付近の地域では上記したように、他国の放送もチャンネルリストに整理されずに登録されてしまう。
【0009】
そして、整理されないままチャンネルリストに登録されると、例えばリモコンによるアップダウン選局時などには、必要の無い他国のチャンネルも不用意に選局してしまうことになり、このチャンネルをスキップ及び整理する操作が必要になるという課題がある。
【0010】
更には、自国以外のチャンネルによるサービスは一般的に言語が異なるため、チャンネル情報や番組情報などが自国以外の言語で表示されてしまうという課題がある。
上記課題を解決するには、チャンネルリストに登録されてしまった他国の放送をチャンネルリスト上で削除やソートすれば良い。また言語も、自国の言語での登録をすることが望ましい。しかしながら、この削除やソートの操作は、煩雑さを伴うという新たな課題がある。また、国設定とは別にシステムの優先言語設定を設けて詳細に言語設定をしなければならないという新たな課題もある。
【0011】
上記した自動チャンネルサーチ以外のチャンネルリスト生成方法として、予め自国における各地域のチャンネルプランを入手して、ユーザ自らが手動で物理チャンネルを設定する方法や、デジタル放送受信機が自国における各地域のチャンネルプランを予め全て記憶しておいて、ユーザにその中の居住地域を選択させるという方法も考えられる。しかし、前者は、ユーザが自分の居住地域のチャンネルプランを知らないと設定できないという課題があり、また、ユーザの設定操作が煩雑となる課題がある。また後者は、ユーザにとっては操作の煩雑さはそれほど感じさせないが、自国における各地域毎の膨大なチャンネルプランを、受信機製造時に予め全て受信機機内の記憶素子に記憶しておかなければならず、コスト面で不利であるという課題がある。また、受信機製造後に新たに開局した放送局の情報は含まれないので、この情報を後日更新する機能を搭載しておく必要があり、この面でもコスト面で不利であるという課題がある。
【0012】
一方、言語については、メニューによる言語の設定に基づいて放送される可能性のある複数言語の中から望ましい一つの言語を抽出するが、放送サービスに、設定した言語の運用が無かった場合、放送サービスで運用されている複数言語の中から無作為に選択した言語になってしまうという課題がある。
【0013】
そこで本発明は、上記課題を解決し、余計な記憶素子や機能を追加することなく、操作が簡単な自動チャンネルサーチのみによって、自国、他国の放送を判断することを可能とし、また、チャンネルリストに登録する際に、フィルタリングし、自国の放送のみをチャンネルリストに登録するか、または、自国他国のサービスを分離して登録することを可能とするデジタル放送受信機を提供することを目的とする。
【0014】
特に、選択言語については、スキャン時に検出されたネットワーク情報を使用し、ユーザがメニューによって設定した言語が無かった場合、設定国情報に対する優先言語リストに基づいて選択することを可能とするデジタル放送受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、下記の装置を提供するものである。
(1)各国間で値が重複しないように各放送局へ割り当てられたネットワーク識別コードを少なくとも含むネットワーク情報が、映像音声信号と多重化されて放送されるデジタル放送を受信するデジタル放送受信機において、
各国を識別するために予め割り当てた国情報と、前記各放送局に割り当てられた前記ネットワーク識別コードとを対応付けた国情報対ネットワーク識別コード対応リストを予め記憶しておく記憶手段と、
前記国情報のうちの1つを外部からの指示信号により設定国情報として設定する設定手段と、
予め決められている周波数帯域内の複数の物理周波数チャンネルに対応する前記デジタル放送の各放送波をそれぞれ受信して、前記各放送波から前記ネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得手段と、
前記取得したネットワーク情報に対応する各放送波の物理周波数チャンネルの値と前記ネットワーク情報とを関連付けたチャンネル対応情報をそれぞれ生成し、この生成した各チャンネル対応情報のうちから、前記国情報対ネットワーク識別コード対応リストと、前記設定国情報とを用いて、前記設定国情報に対応するネットワーク識別コードを含んでいるネットワーク情報を有する前記チャンネル対応情報を抽出するネットワーク情報判別手段と、
前記抽出したチャンネル対応情報を用いて映像音声信号視聴時の選局に用いるための物理周波数チャンネルを含んだチャンネルリストを生成して記憶するチャンネルリスト生成記憶手段と
を有することを特徴とするデジタル放送受信機。
(2)複数のネットワーク識別コードそれぞれ毎に、予め複数の言語を優先度の高い順にリスト化した優先言語リストを対応付けたネットワーク識別コード対優先言語リストを記憶するネットワーク識別コード対優先言語リスト記憶手段と、
前記複数のネットワーク識別コード対優先言語リストのうちから、前記設定国情報に対応するネットワーク識別コードに対応する優先言語リストを選択し記憶する優先言語リスト記憶手段と、
前記優先言語リスト記憶手段から供給された優先言語リストと、受信した放送波から取得した言語情報とを用いて、前記優先言語リストに前記言語情報で示される言語が存在した場合はその言語を選択する一方、前記優先言語リストに前記言語情報で示される言語が存在しなかった場合は、前記優先言語リストのうちの最も優先度の高い言語を選択する選択手段と、
を更に有することを特徴とする上記(1)記載のデジタル放送受信機。
(3)前記デジタル放送は、DVB−T方式の地上波デジタル放送であり、前記ネットワーク識別コードはオリジナルネットワークIDであることを特徴とする上記(1)または請(2)記載のデジタル放送受信機。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、余計な記憶素子や機能を追加することなく、自動チャンネルサーチのみによって、他国の放送をチャンネルリストに登録せずに自国の放送のみをチャンネルリストに登録する、もしくは、自国と他国のチャンネルを分離して登録することが可能となる。
【0017】
従って、自国のデジタル放送のみを視聴したいユーザにとって従来必要であった、チャンネルリストの手動登録操作、若しくは自動チャンネルサーチ後の不必要な他国のチャンネルの削除操作を行なう必要がなくなるので使い勝手を向上させることが可能となる。
【0018】
また、言語選択については、放送別に優先度の高い言語を選択することが可能となるので、更に使い勝手を向上させることが可能となる。
また、余計な記憶素子や機能の追加が必要ないので、コストダウンが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明の一実施例を説明する。
本実施例は、例えば国境付近などの、自国以外のデジタル放送(以下、放送と略する)を受信できてしまう地域において自動チャンネルサーチを行なっても、自国以外の放送をチャンネルリストへ登録してしまうことを回避し、また言語選択においても、利用頻度が低い言語が選択されてしまうことを回避するものである。
【0020】
背景技術でも説明したとおり、地上波デジタル放送受信機は、新規購入時や視聴地域移動時等に伴うセットアップの際に、予め放送用として定められている周波数帯域内の全ての物理周波数チャンネル(以降単にチャンネルと呼ぶ)をスキャンし、受信できたチャンネルで放送している放送局のネットワーク情報を取得し、この取得したネットワーク情報をチャンネルリストに登録する自動チャンネルサーチ機能を有している。この自動チャンネルサーチ機能を実行することにより、選局のために使用されるチャンネルリストがプリセットされる。
【0021】
ネットワーク情報には、ネットワーク(放送網)を識別するオリジナルネットワークID、各放送局毎の放送ネットワークの名前を表すネットワークネームなどが含まれており、これらをチャンネルリストに登録して選局に使用する。なお、オリジナルネットワークIDは、各国または国内の各放送局が、DVB(Digital Video Broadcast)に申請して取得するIDであり、DVB方式(前述のDVB−T方式を含む)を用いる各国間で重複しない唯一の識別番号である。
【0022】
一方、言語機能については、多言語をサポートしているデジタル放送受信機では、一般的にユーザが言語を選択するための優先言語選択機能を有しており、放送内容に依存せず、優先言語設定にのみ従って言語が設定される。
<全体構成>
図1は、本発明の一実施例の構成を示す図である。以下に各ブロックの説明と共に信号の流れを説明する。なお、説明は主に自動チャンネルサーチ時の処理を前提に行う。
【0023】
NIM101は、その地域で放送されているデジタル放送波のうちの1つの放送波(チャンネル)に選局し、この選局したデジタル放送波をデジタル復調してMPEG−TS(Moving Picture Experts Group-Transport Stream)信号を得る。
【0024】
なお、NIMとはNetwork interface Module(ネットワークインターフェースモジュール)の略称である。また、MPEG−TS信号とは、MPEG圧縮された映像音声信号やネットワーク情報を含む番組付加情報などの種々の情報が多重化されている信号である。
【0025】
TSデコーダ102は、NIM101から供給されるMPEG−TSからMPEGビデオ信号、MPEGオーディオ信号、番組付加情報などの各種信号及び情報を分離する。
MPEGビデオデコーダ103は、TSデコーダ102から供給されるMPEGビデオ信号を復号して通常のモニタで表示できる方式の映像信号を得る。なお、自動チャンネルサーチ時は、このMPEGビデオデコーダ103は動作させなくとも良い。
【0026】
また、MPEGオーディオ信号に関しても、同様にMPEGオーディオデコーダ(図示せず)で復号して音声信号を生成するが、音声に関しては本説明とは関連が薄いので以後の説明は省略する。
【0027】
信号重畳部104は、後述するOSD生成部105から各種設定用のメニュー画面などのOSD信号が供給された場合は、このOSD信号と、MPEGビデオデコーダ103で復号した映像信号とを重畳し、この重畳映像信号を、図示しないディスプレイモニタなどに出力し画面を表示させる。
【0028】
ネットワーク情報取得部106は、TSデコーダ102から供給される番組付加情報からネットワーク情報を抽出する。
なお、TSデコーダ102から供給される番組付加情報には、ネットワーク情報以外にも、選局に用いる情報や、電子番組表を作成するために用いる情報など種々の情報が含まれている。これらの情報もデジタル放送受信機を動作させるうえでは必要な情報であり、図示しない様々なブロックで処理が行われるが、これらは本説明とは関連が薄いので、以後の説明は省略し、本説明と関連のあるネットワーク情報に関する部分のみを説明する。
【0029】
ネットワーク情報判別部107は、ネットワーク情報取得部106で取得したネットワーク情報からオリジナルネットワークIDとネットワークネームを抽出する。また制御部110から供給される現在選局中の放送波の物理チャンネル番号を取得する。そして、これら取得したオリジナルネットワークIDとネットワークネームと物理チャンネル番号とを対応づけたチャンネル対応情報を一回の選局毎に一組ずつ記憶していく。
【0030】
そして、自動チャンネルサーチ時の最後のチャンネルの処理が終了したならば、上記で記憶した各チャンネル毎のチャンネル対応情報をサーチ開始から終了までに記憶した全チャンネルについて、それぞれのオリジナルネットワークIDと、国情報対ネットワークID対応リスト記録部108に記録してある国情報対ネットワークID対応リストと、予めユーザによって設定されている国情報とを参照し、そのそれぞれのチャンネル対応情報に、ユーザが設定した国情報に対応するオリジナルネットワークIDが含まれているか否かを判別する。そして、ユーザが設定した国情報に対応するオリジナルネットワークIDが含まれているチャンネル対応情報を全て抽出し、これらのチャンネル対応情報の中のネットワークネームと物理チャンネル番号とをチャンネルリスト生成記憶部109へ供給する。
【0031】
チャンネルリスト生成記憶部109は、ネットワーク情報判別部107から供給されたそれぞれのチャンネル毎のネットワークネームと物理チャンネル番号とからチャンネルリストを生成し記憶する。また、チャンネルリスト生成記憶部109は、制御部110から、このチャンネルリスト表示の指示を受けたならば、このチャンネルリストをOSD生成部105へ供給する。
【0032】
なお、制御部110は、自動チャンネルサーチ実行時ではなく通常の選局動作時には、このチャンネルリスト生成記憶部109で生成され記憶されているチャンネルリストを用いて選局動作を実行する。
【0033】
OSD生成部105は、制御部110からの指示があった場合、その指示に従った各種設定用のメニュー画面などのOSD信号を生成し信号重畳部104へ出力する。本説明の場合は、チャンネルリストの表示指示が制御部110からあったならば、チャンネルリスト生成記憶部109から供給されたチャンネルリストから、このチャンネルリスト表示用のOSD信号を生成し出力する。
【0034】
制御部110は、デジタル放送受信機を動作させるために、図に示す各ブロックに適宜制御信号を送信し制御する。図1では詳細な信号線の行き先は省楽しているがほぼ全てのブロックに制御用の信号線が接続されている。本説明では特に、制御部110が、チャンネル自動サーチのための選局制御とネットワーク情報の判別のための制御を行なう場合を説明する。
【0035】
外部入力部111は、ユーザのリモコン操作などで発生した操作情報を操作指示信号に変換して制御部110へ供給する。
また、ネットワークID対優先言語リスト記憶部112は、複数のオリジナルネットワークIDそれぞれ毎に、そのオリジナルネットワークIDに対応する国において、予め複数の言語を、例えば使用頻度の高い言語の順にリスト化した優先言語リストを対応付けたネットワークID対優先言語リストを記憶している。ネットワーク情報判別部107が、ネットワークID対優先言語リスト記憶部112に記憶してある上記のネットワークID対優先言語リストの中から、ユーザが設定した国情報に対応するオリジナルネットワークIDと同一のオリジナルネットワークIDに対応する優先言語リストを抽出して、その優先言語リストを優先言語リスト記憶部113に送る。優先言語リスト記憶部113は、供給された優先言語リストを記憶しておき、制御部110から参照要求があった場合、その記憶している優先言語リストを制御部110へ供給する。
【0036】
一方、言語情報取得部114は、TSデコーダ102から出力された各種信号及び情報の中から言語情報を取得して、それを制御部110へ供給する。
制御部110は、優先言語リスト記憶部113から供給された優先言語リストと、言語情報取得部114から供給された言語情報とに基づいて、最も優先度の高い言語を1つ選択する。具体的な選択方法としては、まず優先言語リストに言語情報取得部114から供給された言語情報で示される言語が存在した場合はその言語を選択する。もし、優先言語リストに言語情報取得部114から供給された言語情報で示される言語が存在しなかった場合は、優先言語リストの最も優先度の高い言語を選択する。
【0037】
これにより、ユーザが設定した言語が、受信した放送サービスで運用されていなかった場合でも、優先度の高い他の言語を選択することが可能となり、その言語による番組情報、音声、サブタイトルを視聴できるようになる。
【0038】
以上が本実施例のデジタル放送受信機の概略構成図である。
<自動チャンネルサーチ処理の流れ>
次に、本実施例における自動チャンネルサーチの処理の流れを詳細に説明する。
【0039】
第2図は上記したデジタル放送受信機における自動チャンネルサーチの処理の流れを示すフローチャートである。以下に、この図2と上記した図1の構成図とを用いて処理の流れを説明する。なお、本処理を行う主体は、特に記述がない場合は、図1で説明した制御部110である。
【0040】
本実施例は、変数nを物理チャンネル番号に対応する変数とし、初期値(n=1、nは1以上の整数)から1ずつインクリメントしながら、想定される最も大きな物理チャンネル番号である最終物理チャンネル番号に対応する所定値m(1以上の整数)に達するまで繰り返しチャンネルサーチ処理を行う例である。
【0041】
自動チャンネルサーチ処理を開始する。
ステップS201では、NIM101を用いて、所定の物理チャンネルに選局する。この段階では物理チャンネル番号nは初期値(n=1)なので1チャンネルの放送波に選局する。
【0042】
ステップS202では、ステップS201でNIM101の選局が成功したか否か、及び、選局した放送波がデジタル放送波であるか否かを判定する。選局成功、かつ、デジタル放送波である場合(ステップS202のYes)は、次のステップS203に処理を移行する。選局失敗、又は、選局した放送波がデジタル放送でない場合(ステップS202のNo)は、以降の各種データ取得処理を行わずにステップS205へ処理をジャンプする。
【0043】
ステップS203では、TSデコーダ102及びネットワーク情報取得部106を用いて、選局した放送波をデジタル復調したMPEG−TSの中の番組付加情報に含まれるネットワーク情報からオリジナルネットワークIDを取得する。
【0044】
ステップS204では、ステップS203と同様の処理でネットワークネームを取得し、このネットワークネームと現在の物理チャンネルnとステップS203で既に取得しているオリジナルネットワークIDとを対応付けたチャンネル対応情報をネットワーク情報判別部107に記憶する。
【0045】
ステップS205では、上記までの処理で選局対象となっていた物理チャンネル番号nが最終物理チャンネル番号mと等しくなったか否かを判定する。等しくないと判定した場合(ステップS205のNo)は、物理チャンネル番号nを1インクリメントしてステップS201へ処理を戻し、物理チャンネル番号(n+1)チャンネルの放送波に選局する。以降の処理をn=mになるまで繰り返す。
【0046】
そして、このステップS205で、n=mになったと判定した場合(ステップS205のYes)は、繰り返し処理から抜けて次のステップS206へ処理を移行する。
ステップS206では、ネットワーク情報判別部107と国情報対ネットワークID対応リスト記憶部108とを用いて、ステップS201からステップS205までの繰り返し処理によって予めネットワーク情報判別部107に記憶してある各チャンネル対応情報と、国情報対ネットワークID対応リストと、予めユーザによって設定されている国情報とを参照して、そのそれぞれのチャンネル対応情報に、ユーザによって設定されている国情報に対応したオリジナルネットワークIDが含まれているか否かを判別する。そして、ユーザが設定した国情報に対応するオリジナルネットワークIDが含まれているチャンネル対応情報を全て抽出し、これらのチャンネル対応情報の中のネットワークネームと物理チャンネル番号とからチャンネルリスト生成記憶部109を用いてチャンネルリストを生成する。そしてこのチャンネルリストを、OSD生成部105、信号重畳部104を介してモニタに表示する。
【0047】
図3に表示イメージを示す。この表示イメージによれば、ネットワーク名が「T-system」「ZDF」「BBC」「Canal」の4個のネットワークによってチャンネルリストが生成されたことを示している。
【0048】
チャンネルリストの生成処理を更に詳細に説明する。
ステップS203で取得したオリジナルネットワークIDは、前述したとおり、DVB方式を採用している各国間で重複しない識別番号が割り振られている。従って、予め各国毎に割り振られているオリジナルネットワークIDと国情報(例えば一意に割り振った番号等)とを対応付けたリストである国情報対ネットワークID対応リストを受信機内の記憶部(国情報対ネットワークID対応リスト記憶部108)に登録しておくことで、チャンネルサーチで取得し、記憶してあるオリジナルネットワークIDから、そのオリジナルネットワークIDが割り振られている国が判別可能である。
【0049】
例えば、ユーザの居住区がフランスの場合、フランスの国情報を2とすると、取得したオリジナルネットワークIDのうち、国情報対ネットワークID対応リストでこの国情報2に対応付けられているオリジナルネットワークIDのみ選択する。そして、この選択したオリジナルネットワークIDに対応する放送網の放送ネットワークを、チャンネルリストへの登録候補とし、このオリジナルネットワークIDと対応付けられたネットワークネームと物理チャンネル番号とをチャンネルリスト登録候補としてユーザに表示する。この表示した例が前述の図3となる。
【0050】
ステップS207では、ステップS206で表示された図3のチャンネルリストを編集するか否かをユーザに確認させる。ユーザが編集不要(ステップS207のNo)との操作を行なった場合は次ステップS209へ処理を移行し、図3のチャンネルリストを記憶する。
【0051】
ステップS207でユーザが編集要(ステップS207のYes)との操作を行なった場合は、ステップS208へ処理を移行し、ネットワークの追加や削除などのチャンネルリストの内容変更をユーザに行なわせた後、次ステップS209へ処理を移行し、この結果のチャンネルリストを記憶する。
【0052】
ステップS210では、優先言語リスト記憶部113から供給された優先言語リストと、言語情報取得部114から供給された言語情報とに基づいて、最も優先度の高い言語を1つ選択する。具体的な選択方法としては、まず優先言語リストに言語情報取得部114から供給された言語情報で示される言語が存在した場合はその言語を選択する。もし、優先言語リストに言語情報取得部114から供給された言語情報で示される言語が存在しなかった場合は、優先言語リストの最も優先度の高い言語を選択する。
【0053】
以上で、自動チャンネルサーチ処理を終了する。
上記したような自動チャンネルサーチ処理を搭載した本実施例の地上デジタル放送受信機によれば、余計な記憶素子や機能を追加することなく、自動チャンネルサーチのみによって、他国の放送をチャンネルリストに登録せずに自国のデジタル放送のみをチャンネルリストに登録し、優先度の高い言語を選択することが可能となる。
【0054】
従って、自国のデジタル放送のみを視聴したいユーザにとって従来必要であった、チャンネルリストの手動登録操作、若しくは自動チャンネルサーチ後の不必要な他国のチャンネルの削除操作を行なう必要がなく、また、言語選択も、優先度の高い言語を選択することが可能となり、使い勝手を向上させることが可能となる。
【0055】
また、余計な記憶素子や機能の追加が必要ないので、コストダウンが可能となる。
なお、本発明は、上記した装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読みとられてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】実施例の処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施例で生成したチャンネルリストの表示例である。
【符号の説明】
【0057】
101 NIM
102 TSデコーダ
103 MPEGビデオデコーダ
104 信号重畳部
105 OSD生成部
106 ネットワーク情報取得部
107 ネットワーク情報判別部
108 国情報対ネットワークID対応リスト記憶部
109 チャンネルリスト生成記憶部
110 制御部
111 外部入力部
112 ネットワークID対優先言語リスト記憶部
113 優先言語リスト記憶部
114 言語情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各国間で値が重複しないように各放送局へ割り当てられたネットワーク識別コードを少なくとも含むネットワーク情報が、映像音声信号と多重化されて放送されるデジタル放送を受信するデジタル放送受信機において、
各国を識別するために予め割り当てた国情報と、前記各放送局に割り当てられた前記ネットワーク識別コードとを対応付けた国情報対ネットワーク識別コード対応リストを予め記憶しておく記憶手段と、
前記国情報のうちの1つを外部からの指示信号により設定国情報として設定する設定手段と、
予め決められている周波数帯域内の複数の物理周波数チャンネルに対応する前記デジタル放送の各放送波をそれぞれ受信して、前記各放送波から前記ネットワーク情報を取得するネットワーク情報取得手段と、
前記取得したネットワーク情報に対応する各放送波の物理周波数チャンネルの値と前記ネットワーク情報とを関連付けたチャンネル対応情報をそれぞれ生成し、この生成した各チャンネル対応情報のうちから、前記国情報対ネットワーク識別コード対応リストと、前記設定国情報とを用いて、前記設定国情報に対応するネットワーク識別コードを含んでいるネットワーク情報を有する前記チャンネル対応情報を抽出するネットワーク情報判別手段と、
前記抽出したチャンネル対応情報を用いて映像音声信号視聴時の選局に用いるための物理周波数チャンネルを含んだチャンネルリストを生成して記憶するチャンネルリスト生成記憶手段と
を有することを特徴とするデジタル放送受信機。
【請求項2】
複数のネットワーク識別コードそれぞれ毎に、予め複数の言語を優先度の高い順にリスト化した優先言語リストを対応付けたネットワーク識別コード対優先言語リストを記憶するネットワーク識別コード対優先言語リスト記憶手段と、
前記複数のネットワーク識別コード対優先言語リストのうちから、前記設定国情報に対応するネットワーク識別コードに対応する優先言語リストを選択し記憶する優先言語リスト記憶手段と、
前記優先言語リスト記憶手段から供給された優先言語リストと、受信した放送波から取得した言語情報とを用いて、前記優先言語リストに前記言語情報で示される言語が存在した場合はその言語を選択する一方、前記優先言語リストに前記言語情報で示される言語が存在しなかった場合は、前記優先言語リストのうちの最も優先度の高い言語を選択する選択手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信機。
【請求項3】
前記デジタル放送は、DVB−T方式の地上波デジタル放送であり、前記ネットワーク識別コードはオリジナルネットワークIDであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のデジタル放送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−22542(P2008−22542A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155125(P2007−155125)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】