説明

デジタル放送受信装置

【課題】放送の視聴が中断されている間に受信された放送チャネルの番組を、中断後に視聴することができるデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】監視部11は車両の走行状態を監視し、走行していることを検出した場合、切替制御部12に当該状況を通知する。切替制御部12は放送チャネルの再生停止、及び記録装置6に走行中となった以降の当該チャネルの録画を開始するようセレクタ8に指示を与える。監視部11が車両の停止を検出した場合、切替制御部12は録画の中止とともに録画した放送チャネルの内容を高速再生するようセレクタ8に指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末に組み込まれた状態で、所定の放送チャネルの番組を録画・再生するデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カーナビゲーションシステム(以降、単にカーナビとする)や携帯情報端末などの移動体端末の中には、テレビチューナを備え、所定の放送チャネルの番組を視聴できるように構成されたものがある。このような移動体端末によれば、放送チャネルを受信可能な場所であれば、どのような場所であっても番組を視聴することができる。
【0003】
しかし、上述の移動体端末により番組を視聴する場合、移動体端末の動作状況によっては番組の視聴を妨げられる場合があり、視聴を妨げられている間に受信された放送チャネルの番組を視聴することができなくなるという問題があった。
【0004】
例えば、従来のカーナビは番組を再生している状態からカーナビの搭載された車両が走行を開始した場合に、番組の再生を中断するように構成されたものが多い。このようなカーナビにおいては、車両の走行中に受信された放送チャネルの番組を視聴することができなくなってしまう。また、番組を再生している状態から車両が走行を開始した場合に番組の再生を中断しないように構成されたカーナビにおいても、運転者は車両の運転に集中しなければならないため、車両の走行中に受信されている放送チャネルの番組を視聴することができなくなってしまう。また、デジタル放送を録画する装置については以下の特許文献がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−101797号公報
【0006】
特許文献1には記録媒体に記録する番組に優先度を与え、優先度の低いものは圧縮率を高くして記録する事により記録領域を効率的に扱うことが出来るといった発明が開示されている。しかし、当該発明は移動体に当該装置が搭載された場合については言及されておらず、上記走行中における番組再生の中断に対処するという課題についての解決手段を提示するものではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のデジタル放送受信装置は上記のように構成されており、視聴が中断されている間に受信された放送チャネルの番組を中断後に視聴できないという課題があった。本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、視聴が中断されている間に受信された放送チャネルの番組を、中断後に視聴することができるデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るデジタル放送受信装置は、デジタル放送の番組コンテンツを受信する受信手段と、前記受信手段により受信した番組コンテンツを蓄積する蓄積手段と、前記受信手段により受信した番組コンテンツ又は前記蓄積手段により蓄積された番組コンテンツを再生する再生手段と、視聴者の視聴環境を監視する監視手段と、前記監視手段による視聴環境の監視結果に基づいて前記蓄積手段及び前記再生手段を制御する制御手段とを有するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、視聴が中断されている間に受信された放送チャネルの番組を中断後に視聴することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る録画再生処理のフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態2に係る録画再生処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下にこの発明をより詳細に説明する為に、この発明の実施の形態について添付の図面に従って説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はデジタル放送を受信するアンテナ、2及び3は直接視聴または録画用としてアンテナ1で受信したテレビ放送波を受ける第1チューナ及び第2チューナであり、各々のチューナ2,3は別々のトランスポートストリーム(Transport Stream:以下TSとする)信号を受信可能とする。
【0012】
ここで、TSについて補足する。「ストリーム」は、動画や音楽などを再生する際にすべてのデータを受け取る前に再生を開始するデータ配列方式または配列データである。MPEG(Moving Picture Experts Group)−2では、任意の数の符号化された映像や音声、付加データなど個別のストリームを多重化し、それぞれの同期をとりながら再生するための方式を規定しているが、広範囲のアプリケーションに対応するために規定されたストリームの1つがTSである。
【0013】
TSは、放送に対応させるため1本のストリームの中を複数のプログラムで構成(各プログラムは、デジタルの映像、音声、データのパケットの配列からなる)することができるもので、また、放送や通信ネットワークなどデータの伝送誤りが発生する環境に適用されることを想定して冗長度を大きくとってある。TSは、伝送レートが固定の通信路で使用されている。
【0014】
4は多重分離部で、第1チューナ2及び第2チューナ3からのTS信号を多重分離し、各パケット情報からデジタル映像及びデジタル音声を連続信号として生成する手段である。6はTS信号を直接記録する記録装置、7は記録装置6の記録内容の読み出し位置及び書き込み位置を制御する記録制御部である。8は第1チューナ2、第2チューナ3及び記録装置6からの出力TS信号を記録装置6及び多重分離部4への振り分け選択をするセレクタである。
【0015】
11は利用者による入力操作や車両の走行状態や携帯電話の通話状態等の機器の動作状況を監視する監視部である。12は切替制御部で、セレクタ8に対してTS信号の切り替えを要求する手段である。監視部11から切替制御部12には車両の走行状態や携帯電話の通話状態等の機器の動作状況が通知される。
【0016】
13は多重分離部4により多重分離された信号をデコードし、映像信号、音声信号、データ放送信号を取り出すデコーダである。14はデコーダ13から出力される映像信号により映像表示を行う表示装置、15は音声信号を受けて音声を取り出すスピーカ、9は入力装置である。31は入力装置9からの入力を制御する入力制御部である。入力制御部31は、利用者が使用する様々な入力装置9からの入力を扱うために設けられており、入力制御部31にはユーザからの選局チャネルや動作モードを含むキー入力等の情報が入力装置9から伝達される。
【0017】
また、入力制御部31において、異なる入力装置9(例:赤外線リモコン、タッチパネル等)からの信号がさらに抽象化されたレベルの信号(例:チャネル番号1選択等)に変換される。32は番組のTS_id及びサービス(TSを構成する単位で、現行の地上波アナログ放送のチャンネルに相当、以下「チャンネル」と称する)を記憶する記憶装置である。
【0018】
TS_idは、各TSに割り当てられたIDで、デジタル放送ではTS毎に周波数帯域が割り当てられており、TSの切り替えはこのTS_idを用いてチューナのチューニング処理を変えることにより行われる。記憶装置32にはチャネル切替(BSデジタル、CSデジタル、地上波デジタル等のTSの切替も含む)に必要な対応テーブル(ユーザの指定されたチャネルがどのTS_idのどのサービスに相当するか)を含む情報が格納され、チャネル切替の際に参照される。
【0019】
尚、図1において、アンテナ1、第1チューナ2及び第2チューナ3は受信手段に、記録装置6は蓄積手段に、多重分離部4、デコーダ13、表示装置14及びスピーカ15は再生手段に、入力装置9、監視部11及び入力制御部31は監視手段に、記録制御部7、セレクタ8、切替制御部12及び記憶装置32は制御手段にそれぞれ相当する。
【0020】
以下に、デジタル放送受信装置がカーナビゲーションシステムに搭載された場合を例にとって、録画再生処理の処理手順を図2に基づいて説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る録画再生処理のフローチャートである。図2においてこの録画再生処理は、入力装置9を介した利用者からの指示によりカーナビの動作モードが本録画再生処理を実行しない通常モードから本録画再生処理を実行するタイムシフトモードに切替られている状態で、入力装置9を介した利用者からの指示により放送チャネルが指定された際に開始される。そして、本録画再生処理は、動作モードが通常モードに切替られるか、カーナビが停止(電源OFF)された際に終了する。
【0021】
まず、デジタル放送受信装置の監視部11は、車両が走行中であるかどうかをチェックする(ステップST110)。この処理においては、例えば位置検出センサの速度センサにより車両の走行速度が検出されていれば車両が走行中であると判定され、車両の走行速度が検出されていなければ車両が停止中であると判定される。
【0022】
このステップST110の処理で車両が停止中であれば(ステップST110“NO”)、監視部11は切替制御部12に当該状況を通知し、切替制御部12はセレクタ8に指定された放送チャネルの番組の再生を指示する(ステップST120)。この処理においては、指定された放送チャネルにおける番組の映像が表示装置14に表示されると共に、番組の音声がスピーカ15から出力される。
【0023】
次に、入力制御部31は利用者による入力装置9を介した放送チャネルを切替えるための操作が行われたかどうかをチェックする(ステップST130)。このステップST130の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われたら(ステップST130“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に第1チューナ2または第2チューナ3を介して放送チャネルを切替えるよう指示する(ステップST140)。
【0024】
こうして、ステップST140の処理を終えるか、ステップST130の処理で放送 チャネルを切替えるための操作が行われていなければ(ステップST130“NO”)、ステップST110の処理に戻る。また、ステップST110の処理で車両が走行中であれば(ステップST110“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に指定された放送チャネルの番組の再生の停止を指示する(ステップST150)。この処理においては、指定された放送チャネルの番組の映像が表示装置14に表示されなくなる。
【0025】
次に、切替制御部12はセレクタ8に対してステップST150の処理で再生が停止された番組の録画の開始を指示する(ステップST160)。この処理において録画された番組は、記録装置6に録画データとして記録される。次に、監視部11は、車両が走行中であるかどうかをチェックする(ステップST170)。この処理は、ステップST110の処理と同様の処理である。
【0026】
このステップST170の処理で車両が走行中であれば(ステップST170“YES”)、入力制御部31は、入力装置9により放送チャネルを切替えるための操作が行われたかどうかをチェックする(ステップST180)。この処理は、ステップST130の処理と同様の処理である。
【0027】
このステップST180の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われていなければ(ステップST180“NO”)、ステップST170の処理に戻る。一方、ステップST180の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われたら(ステップST180“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に放送チャネルの切替えを指示する(ステップST190)。
【0028】
次に、切替制御部12はセレクタ8に対して録画の終了を指示する(ステップST200)。この処理においては、ステップST160の処理で開始された番組の録画が終了される。
【0029】
こうして、ステップST200の処理を終えた後、ステップST160の処理に戻る。これによって、ステップST160以降の処理で、ステップST190の処理で切替えられた放送チャネルの番組が録画されることになる。また、監視部11によるステップST170の処理で車両が停止中であれば(ステップST170“NO”)、切替制御部12はセレクタ8に番組再生の開始を指示する(ステップST210)。
【0030】
この処理においては、記録装置6に記録されている録画データのうち、ステップST160の処理で録画が開始された以降の番組データで示される番組が、通常よりも高速(ステップST120による番組の再生よりも1.2倍の速度)に再生される(時間短縮再生)。なお、ここでは、録画データで示される番組の映像が表示装置14に表示されると共に、番組の音声がスピーカ15から出力される。
【0031】
次に、監視部11は車両が走行中であるかどうかをチェックする(ステップST220)。この処理は、ステップST110及びステップST170の処理と同様の処理である。このステップST220の処理で車両が走行中であれば(ステップST220“YES”)、ステップST210の処理で開始された番組の再生を一旦停止して(ステップST230)、ステップST170の処理に戻る。この後、再度、ステップST170からステップST210の処理に移った際には、このステップST230の処理で一旦停止した時点から番組の再生が再開される。
【0032】
また、ステップST220の処理で車両が停止中であれば(ステップST220“NO”)、記録制御部7が記録装置6に再生すべき録画データが残っているかどうかをチェックする(ステップST240)。ステップST210の処理で録画済番組の再生を開始した後も、ステップST160の処理による番組の録画は継続されている。そのため、ステップST210の処理では、ステップST160の処理で録画された番組が順次再生されていくことになる。
【0033】
しかし、ステップST210の処理では、番組が通常よりも高速に再生されるため、ステップST160の処理で録画された録画データがなくなってしまい、録画データによる番組の再生が、チューナにより受信されているリアルタイムな番組の再生に追いついてしまうことがある。そこで、このステップST240の処理では、ステップST210の処理で再生を開始した番組の録画データが残っているかどうかをチェックすることによって、録画データによる番組の再生が、チューナにより受信されているリアルタイムな番組の再生に追いついたかどうかがチェックされる。
【0034】
このステップST240の処理で、再生すべき録画データが残っていなければ(ステップST240“NO”)、切替制御部12はセレクタ8に録画終了を指示し(ステップST250)、ステップST120の処理に戻る。こうして、ステップST120の処理において、第1チューナ2又は第2チューナ3により受信されている放送チャネルの番組がリアルタイムに再生されるようになる。
【0035】
一方、ステップST240の処理で、再生すべき録画データが残っていれば(ステップST240“YES”)、入力制御部31は放送チャネルを切替えるための操作が行われたかどうかをチェックする(ステップST260)。この処理は、ステップST130、ステップST180の処理と同様の処理である。
【0036】
このステップST260の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われていなければ(ステップST260“NO”)、ステップST220の処理に戻る。一方、ステップST260の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われたら(ステップST260“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に放送チャネルの切替えを指示し(ステップST270)、録画及び再生の終了を指示する(ステップST280)。
【0037】
この処理においては、ステップST160の処理で開始された番組の録画及びステップST210の処理で開始された番組の再生が終了する。
こうして、ステップST280の処理を終えた後、ステップST110の処理に戻る。
【0038】
このように構成されたカーナビによれば、図2におけるステップST160の処理で、車両が走行中となった以降に受信される放送チャネルの番組が記録装置6に録画(録画データとして記録)される。そのため、記録装置6には、車両が走行中となった以降に第1チューナ2又は第2チューナ3により受信された放送チャネルの番組が録画されることになる。よって、こうして録画された番組を、車両が停止中となった後にステップST210の処理で再生することで、車両が走行中に受信された放送チャネルの番組を後から視聴することができる。
【0039】
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2について図3を参照して説明する。上記実施の形態1では車両の停止を検出後に録画を開始したのに対して、本実施の形態2では、放送チャネルの選局と同時に番組の録画が開始される。カーナビは、実施の形態1に記載のカーナビと同様の構成であり、一部処理内容が異なるだけであるため、この相違点のみを詳述する。
【0040】
図3はこの発明の実施の形態2に係る録画再生処理のフローチャートである。図3における録画再生処理は、カーナビの動作モードが本録画再生処理を実行しない通常モードから本録画再生処理を実行するタイムシフトモードに切り替えられている状態で、放送チャネルが指定された際に開始される。そして、本録画再生処理は、動作モードが通常モードに切替えられるか、カーナビが停止(電源OFF)された際に終了する。
【0041】
まず、デジタル放送受信装置の切替制御部12は、セレクタ8に指定された放送チャネルの番組の再生及び録画の開始を指示する(ステップST310)。この処理においては、指定された放送チャネルの番組の再生が開始されると同時に録画が開始される。なお、録画された番組は、記録装置6に録画データとして記録される。
【0042】
次に、監視部11は車両が走行中であるかどうかをチェックする(ステップST320)。この処理においては、例えば位置検出センサ群の速度センサにより車両の走行速度が検出されていれば車両が走行中であると判定され、車両の走行速度が検出されていなければ車両が停止中であると判定される。
【0043】
このステップST320の処理で車両が停止中であれば(ステップST320“NO”)、切替制御部12はセレクタ8に指定された放送チャネルの番組の再生を指示する(ステップST330)。この処理においては、指定された放送チャネルにおける番組の映像が表示装置14に表示されると共に、番組の音声がスピーカ15から出力される。
【0044】
次に、入力制御部31は放送チャネルを切替えるための操作が行われたかどうかをチェックする(ステップST340)。このステップST340の処理で放送チャネルを切替るための操作が行われていなければ(ステップST340“NO”)、ステップST320の処理に戻る。
【0045】
一方、ステップST340の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われたら(ステップST340“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に放送チャネルの切替えを指示する(ステップST350)。次に、切替制御部12はセレクタ8に録画終了を指示する(ステップST360)。この処理においては、ステップST310の処理で開始された番組の録画が終了されると共に、記録装置6に記録されている録画データのうち、ステップST310の処理以降に記録された録画データが消去される。
【0046】
こうして、ステップST360の処理を終えた後、ステップST310の処理に戻る。これによって、ステップST310以降の処理で、ステップST350の処理で切替えられた放送チャネルの番組の録画が行われることになる。また、ステップST320の処理で車両が走行中であれば(ステップST320“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に放送チャネルの番組の再生の停止を指示する(ステップST370)。この処理においては、放送チャネルの番組の映像が表示装置14に表示されなくなる。
【0047】
次に、記録制御部7は頭出しデータを記録する(ステップST380)。頭出しデータは、録画データで示される番組における時間軸上の位置(タイミング)を特定するためのデータであって、以降の処理で番組を頭出し再生する際に利用されるものである。この処理においては、ステップST320の処理で車両が走行中となった、つまり、車両が走行を開始したタイミングを特定するための頭出しデータが記録装置6に記録される。
【0048】
次に、監視部11は車両が走行中であるかどうかをチェックする(ステップST390)。この処理は、ステップST320の処理と同様の処理である。このステップST390の処理で車両が走行中であれば(ステップST390“YES”)、入力制御部31は放送チャネルを切替えるための操作が行われたかどうかをチェックする(ステップST400)。この処理は、ステップST340の処理と同様の処理である。
【0049】
このステップST400の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われていなければ(ステップST400“NO”)、ステップST390の処理に戻る。一方、ステップST400の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われたら(ステップST400“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に放送チャネルを切替えるよう指示する(ステップST410)。
【0050】
次に、切替制御部12はセレクタ8に対し録画終了を指示する(ステップST420)。この処理においては、ステップST360の処理と同様に、番組の録画が終了されると共に録画データが消去される。こうして、ステップST420の処理を終えた後、ステップST310の処理に戻る。これによって、ステップST310以降の処理で、ステップST410の処理で切替えられた放送チャネルの番組の録画が行われることになる。
【0051】
また、ステップST390の処理で車両が停止中であれば(ステップST390“NO”)、切替制御部12はセレクタ8に番組再生の開始を指示する(ステップST430)。この処理においては、切替制御部12の指示によりセレクタ8及び記録制御部7が再生のための制御処理を行い、記録装置6に記録されている録画データで示される番組が、記録装置6に記録されている頭出しデータで示される時点から頭出し再生される。
【0052】
このとき、録画データで示される番組は、通常よりも高速(ステップST330による番組の再生よりも1.2倍)に再生される(時間短縮再生)。なお、ここでは、録画データで示される番組の映像が表示装置14に表示されると共に、番組の音声がスピーカ15から出力される。
【0053】
次に、監視部11は車両が走行中であるかどうかをチェックする(ステップST440)。この処理は、ステップST320及びステップST390の処理と同様の処理である。このステップST440の処理で車両が走行中であれば(ステップST440“YES”)、切替制御部12はセレクタ8にステップST430の処理で開始された番組再生の終了を指示して(ステップST450)、頭出しデータを記録し直した後(ステップST460)、ステップST390の処理に戻る。このステップST460の処理においては、ステップST440の処理で車両が走行中となった、つまり、車両が走行を開始したタイミングを特定するための頭出しデータが記録装置6に記録される。
【0054】
また、ステップST440の処理で車両が停止中であれば(ステップST440“NO”)、記録制御部7は再生すべき録画データが残っているかどうかをチェックする(ステップST470)。ステップST430の処理で録画済番組の再生を開始した後も、ステップST310の処理による番組の録画は継続されている。そのため、ステップST430の処理では、ステップST310の処理で録画された番組が順次再生されていくことになる。
【0055】
しかし、ステップST430の処理では、番組が通常よりも高速に再生されるため、ステップST310の処理で録画された録画データがなくなってしまい、録画データによる番組の再生が、第1チューナ2又は第2チューナ3により受信されているリアルタイムな番組の再生に追いついてしまうことがある。そこで、このステップST470の処理では、ステップST430の処理で再生を開始した番組の録画データが残っているかどうかをチェックすることによって、録画データによる番組の再生が、第1チューナ2又は第2チューナ3により受信されているリアルタイムな番組の再生に追いついたかどうかがチェックされる。
【0056】
このステップST470の処理で、再生すべき録画データが残っていなければ(ステップST470“NO”)、切替制御部12はセレクタ8に録画終了を指示し(ステップST480)、ステップST330の処理に戻る。一方、ステップST470の処理で、再生すべき録画データが残っていれば(ステップST470“YES”)、入力制御部31は放送チャネルを切替えるための操作が行われたかどうかをチェックする(ステップST490)。この処理は、ステップST340、ステップST400の処理と同様の処理である。
【0057】
このステップST490の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われていなければ(ステップST490“NO”)、ステップST440の処理に戻る。一方、ステップST490の処理で放送チャネルを切替えるための操作が行われたら(ステップST490“YES”)、切替制御部12はセレクタ8に放送チャネルを切替えるよう指示し(ステップST500)、録画及び再生の終了を指示する(ステップST510)。
【0058】
この処理においては、ステップST310の処理で開始された番組の録画及びステップST430の処理で開始された番組の再生が終了されると共に、記録装置6内に記録された録画データのうちステップST310の処理以降に記録された録画データが消去される。
こうして、ステップST510の処理を終えた後、ステップST310の処理に戻る。
【0059】
このように構成されたカーナビによれば、走行中の車両が停止した際に、車両が走行中となった以後に録画された番組の再生が図3におけるステップST430の処理において開始される。そのため、車両が走行中にチューナにより受信された放送 チャネルの番組を、走行中となっていた期間だけ遅らせた状態で視聴することができる。
【0060】
実施の形態3.
実施の形態1及び2における監視部11による車両の走行状態検出をウィンドウの非表示状態検出に置き換えることにより、車載端末を含む携帯情報端末においても同様の機能を実現可能である。例えば、番組再生ウィンドウがナビゲーションの地図ウィンドウにより一部または全部が表示となることが考えられる。この場合、車両の走行開始を番組再生ウィンドウの非表示と置き換えることにより同様の機能が実現される。
【符号の説明】
【0061】
1 アンテナ、2 第1チューナ、3 第2チューナ、4 多重分離部、6 記録装置、7 記録制御部、8 セレクタ、9 入力装置、11 監視部、12 切替制御部、13 デコーダ、14 表示装置、15 スピーカ、31 入力制御部、32 記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送の番組コンテンツを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した番組コンテンツを蓄積する蓄積手段と、
前記受信手段により受信した番組コンテンツ又は前記蓄積手段により蓄積された番組コンテンツを再生する再生手段と、
視聴者の視聴環境を監視する監視手段と、
前記監視手段による視聴環境の監視結果に基づいて前記蓄積手段及び前記再生手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記監視手段は視聴者の視聴環境として車両の走行状態を監視し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した前記番組コンテンツを前記再生手段により再生中に、前記監視手段により車両の走行開始が検出された場合には、前記再生手段による番組コンテンツの再生を停止させるとともに前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を開始させ、前記監視手段により車両の停止が検出された場合には、前記蓄積手段に蓄積された番組コンテンツを前記再生手段により高速再生を開始させ、前記蓄積手段に高速再生すべき番組コンテンツが残っていなければ、前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を終了させることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記監視手段は視聴者の視聴環境として車両の走行状態を監視し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した番組コンテンツを前記再生手段により再生開始させるとともに前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を開始させ、前記監視手段により車両の走行開始が検出された場合には、前記再生手段による番組コンテンツの再生を停止させるとともに前記蓄積手段に番組コンテンツと頭出しデータを蓄積させ、前記監視手段により車両の停止が検出された場合には、前記蓄積手段に蓄積された番組コンテンツを前記頭出しデータで示される部分から前記再生手段により高速再生を開始させ、前記蓄積手段に高速再生すべき番組コンテンツが残っていなければ、前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を終了させることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記監視手段は視聴者の視聴環境として携帯情報端末における番組再生ウィンドウの表示状態を監視し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した番組コンテンツを前記再生手段により再生中に、前記監視手段により番組再生ウィンドウの非表示が検出された場合には、前記再生手段による番組コンテンツの再生を停止させるとともに前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を開始させ、前記監視手段により番組再生ウィンドウの表示が検出された場合には、前記蓄積手段に蓄積された番組コンテンツを前記再生手段により高速再生を開始させ、前記蓄積手段に高速再生すべき番組コンテンツが残っていなければ、前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を終了させることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記監視手段は視聴者の視聴環境として携帯情報端末における番組再生ウィンドウの表示状態を監視し、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した番組コンテンツを前記再生手段により再生開始させるとともに前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を開始させ、前記監視手段により番組再生ウィンドウの非表示が検出された場合には、前記再生手段による番組コンテンツの再生を停止させるとともに前記蓄積手段に番組コンテンツと頭出しデータを蓄積させ、前記監視手段により番組再生ウィンドウの表示が検出された場合には、前記蓄積手段に蓄積された番組コンテンツを前記頭出しデータで示される部分から前記再生手段により高速再生を開始させ、前記蓄積手段に高速再生すべき番組コンテンツが残っていなければ、前記蓄積手段による番組コンテンツの蓄積を終了させることを特徴とする請求項1記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−124924(P2011−124924A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282934(P2009−282934)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】