説明

デジタル直交変調器

【課題】回路規模を小さくし、簡易な構成を実現する。
【解決手段】シリアル−パラレル変換器12は、送信符号列の信号を同相側信号及び直交側信号に分け、マッピング回路13−1,13−2はマッピングを行い、オーバーサンプリング回路14−1,14−2は、マッピング後の信号に0を内挿し、オーバーサンプリングを行う。遅延回路2は、オーバーサンプリング後の直交側信号に対し1クロック分遅延させる。加算器3は、オーバーサンプリング後の同相側信号と1クロック分遅延した直交側信号とを加算し、バンドパスフィルタ4は、加算後の信号に対し、周波数軸上において変調周波数の中心から所定幅の周波数帯を遮断周波数としたレイズドコサイン・ロールオフ特性を有するフィルタ処理を行う。従来のローパスフィルタ、発振器、移相器及び乗算器に代えて、遅延回路2、加算器3及びバンドパスフィルタ4により、所望の変調信号を生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョン放送用の無線中継伝送装置(FPU:Field Pickup Unit)、中継器等において、デジタル信号を無線伝送または有線伝送するために用いるデジタル直交変調器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送信符号列の信号を同相(In Phase)側の信号及び直交(Quadrature Phase)側の信号に分離し、同相側の系統において変調信号を生成し、直交側の系統において同相側とは位相が90度異なる変調信号を生成し、これらの変調信号を加算し直交変調信号として出力するデジタル直交変調器が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
図3は、従来のデジタル直交変調器の構成を示す図である。このデジタル直交変調器11は、例えばQPSK変調器であり、送信符号列の信号を入力し、直交変調信号を生成して出力する。デジタル直交変調器11に入力される送信符号列の信号は、0または1の2値を取るビット列信号である。デジタル直交変調器11は、シリアル−パラレル変換器12、マッピング回路13−1,13−2、オーバーサンプリング回路14−1,14−2、ローパスフィルタ15−1,15−2、発振器16、移相器17、乗算器18−1,18−2、加算器19及びDA変換器20を備えている。マッピング回路13−1、オーバーサンプリング回路14−1、ローパスフィルタ15−1、乗算器18−1及び発振器16は、同相側の変調信号を生成するための系統であり、マッピング回路13−2、オーバーサンプリング回路14−2、ローパスフィルタ15−2、乗算器18−2、発振器16及び移相器17は、直交側の変調信号を生成するための系統である。
【0004】
シリアル−パラレル変換器12は、送信符号列の信号を入力し、同相側の系統の信号と直交側の系統の信号とに分け、マッピング回路13−1,13−2にそれぞれ出力する。
【0005】
マッピング回路13−1,13−2は、シリアル−パラレル変換器12から信号を入力し、その信号の値に応じて変調信号の振幅に相当する値にマッピングする。例えば、入力した信号の値が0のときは1にマッピングし、入力した信号の値が1のときは−1にマッピングする。そして、マッピング回路13−1,13−2は、マッピングした値の信号を、オーバーサンプリング回路14−1,14−2にそれぞれ出力する。
【0006】
オーバーサンプリング回路14−1,14−2は、マッピング回路13−1,13−2から信号を入力し、その信号に0を内挿し、入力した信号に対して4倍または8倍等のサンプリング周波数の信号に変換する。そして、オーバーサンプリング回路14−1,14−2は、0を内挿することにより生成した、所定倍のサンプリング周波数の信号をローパスフィルタ15−1,15−2に出力する。
【0007】
ローパスフィルタ15−1,15−2は、オーバーサンプリング回路14−1,14−2から信号を入力し、オーバーサンプリング回路14−1,14−2におけるオーバーサンプリングの処理によって生じたイメージ成分を除去する。また、ローパスフィルタ15−1,15−2は、当該デジタル直交変調器11を含む装置(例えばFPU)によって出力される無線信号が所望の帯域内の信号になるように、帯域制限を行う。通常、ローパスフィルタ15−1,15−2は、変調速度の半分の遮断周波数によるレイズドコサイン・ロールオフ特性を有するロールオフフィルタが用いられる。
【0008】
発振器16は、所望の中間周波数に等しいコサイン波の信号を、乗算器18−1及び移相器17に出力する。移相器17は、発振器16からコサイン波の信号を入力し、位相を90度回転させてサイン波の信号を生成し、乗算器18−2に出力する。
【0009】
乗算器18−1は、ローパスフィルタ15−1から信号を入力すると共に、発振器16からコサイン波の信号を入力し、入力した2つの信号を乗算する。これにより、コサイン波の周波数を中心周波数とする変調信号を得ることができる。そして、乗算器18−1は、乗算結果の信号を、同相側の系統の変調信号として加算器19に出力する。
【0010】
乗算器18−2は、ローパスフィルタ15−2から信号を入力すると共に、移相器17からサイン波の信号を入力し、入力した2つの信号を乗算する。これにより、同相側と直交する(位相が90度異なる)変調信号を得ることができる。そして、乗算器18−2は、乗算結果の信号を、直交側の系統の変調信号として加算器19に出力する。
【0011】
加算器19は、乗算器18−1から同相側の系統の変調信号を入力すると共に、乗算器18−2から直交側の系統の変調信号を入力し、これらの変調信号を加算し直交変調信号であるQPSK変調信号として出力する。DA変換器20は、加算器19からQPSK変調信号を入力し、デジタル信号をアナログ信号に変換して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−282156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図3に示した従来のデジタル直交変調器11において、ローパスフィルタ15−1,15−2にはFIR(Finite Impulse Response)フィルタが用いられる。このFIRフィルタは、入力信号とフィルタ係数とを乗算するための乗算器を備えている。一般に、デジタル信号処理を行う乗算器は、加算器等に比べて信号処理の負荷が大きい。このため、ローパスフィルタ15−1,15−2の回路規模が大きくなってしまうという問題があった。そこで、乗算器の数をできる限り少なくして、デジタル直交変調器11を構成することが所望されていた。
【0014】
また、従来のデジタル直交変調器11に備えた発振器16は、デジタル信号処理によりコサイン波の信号を逐次生成する回路であるか、または、コサイン波の波形そのもののデータをルックアップテーブルとして保持し、ルックアップテーブルからコサイン波の信号として読み出し逐次出力する回路である。しかしながら、これらのうちのいずれの回路においても、全体として回路規模が大きくなってしまうという問題があった。そこで、発振器16の回路規模を小さくして簡素化する、または、発振器16そのものをなくすことが所望されていた。
【0015】
また、従来のデジタル直交変調器11は、2個の乗算器18−1,18−2を備えているが、これらの乗算器18−1,18−2もなくして、回路規模を小さくして簡素化することが所望されていた。
【0016】
そこで、本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、回路規模を小さくし、簡易な構成を実現可能なデジタル直交変調器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を達成するために、本発明によるデジタル直交変調器は、送信符号列の信号から変調信号を生成するデジタル直交変調器において、所定サンプリング周波数の前記送信符号列の信号を、前記所定サンプリング周波数の1/2倍の同相側信号及び直交側信号に変換するシリアル−パラレル変換器と、前記同相側信号及び直交側信号を、所定の振幅を有する信号にそれぞれマッピングするマッピング回路と、前記所定の振幅を有する同相側信号及び直交側信号に0を内挿し、所定倍のサンプリング周波数の信号にそれぞれ変換するオーバーサンプリング回路と、前記所定倍のサンプリング周波数の直交側信号を、前記所定倍のサンプリング周波数に対応する1クロック分遅延させる遅延回路と、前記所定倍のサンプリング周波数の同相側信号、及び前記1クロック分遅延した直交側信号を加算する加算器と、前記加算された信号に対し、所定の周波数を中心とした帯域制限フィルタ処理を行い、変調信号を出力するバンドパスフィルタと、を備えたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明によるデジタル直交変調器は、送信符号列の信号から変調信号を生成するデジタル直交変調器において、所定サンプリング周波数の前記送信符号列の信号を、前記所定サンプリング周波数の1/2倍の同相側信号及び直交側信号に変換するシリアル−パラレル変換器と、前記同相側信号及び直交側信号を、所定の振幅を有する信号にそれぞれマッピングするマッピング回路と、前記所定の振幅を有する同相側信号及び直交側信号に0を内挿し、所定倍のサンプリング周波数の信号にそれぞれ変換するオーバーサンプリング回路と、前記所定倍のサンプリング周波数の直交側信号を、前記所定倍のサンプリング周波数に対応する1クロック分遅延させる遅延回路と、前記所定倍のサンプリング周波数の同相側信号に対し、所定の周波数を中心とした帯域制限フィルタ処理を行い、同相側変調信号を出力する第1のバンドパスフィルタと、前記1クロック分遅延した直交側信号に対し、前記第1のバンドパスフィルタと同一のフィルタ処理を行い、直交側変調信号を出力する第2のバンドパスフィルタと、前記同相側変調信号及び直交側変調信号を加算し、変調信号を出力する加算器と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、従来のデジタル直交変調器に備えていたローパスフィルタ、発振器、移相器及び乗算器の代わりに、遅延回路、加算器及びバンドパスフィルタを備え、従来と同様の変調信号を生成するようにした。これにより、従来のデジタル直交変調器よりも部品が少なくて済むから、全体として回路規模を小さくし、簡易な構成を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態によるデジタル直交変調器の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は同相側の系統の構成を示すブロック図である。(b)は直交側の系統の構成を示すブロック図である。
【図3】従来のデジタル直交変調器の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)は送信符号列の信号を示すタイムチャートである。(b)はシリアル−パラレル変換器12の(同相側)出力信号を示すタイムチャートである。(c)はシリアル−パラレル変換器12の(直交側)出力信号を示すタイムチャートである。(d)はマッピング回路13−1の(同相側)出力信号を示すタイムチャートである。(e)はマッピング回路13−2の(直交側)出力信号を示すタイムチャートである。(f)はオーバーサンプリング回路14−1の(同相側)出力信号を示すタイムチャートである。(g)はオーバーサンプリング回路14−2の(直交側)出力信号を示すタイムチャートである。
【図5】(a)は送信符号列の信号のスペクトルを示す図である。(b)はシリアル−パラレル変換器12における出力信号のスペクトルを示す図である。(c)はマッピング回路13−1,13−2における出力信号のスペクトルを示す図である。(d)はオーバーサンプリング回路14−1,14−2における出力信号のスペクトルを示す図である。
【図6】(a)はくし型関数g(t)を示す図である。(b)はくし型関数のスペクトルG(f)を示す図である。
【図7】(a)はローパスフィルタ15−1,15−2における出力信号のスペクトルを示す図である。(b)は発振器16における出力信号のスペクトルを示す図である。(c)は乗算器18−1における出力信号(同相側変調信号)のスペクトルを示す図である。(d)は移相器17における出力信号のスペクトルを示す図である。(e)は乗算器18−2における出力信号(直交側変調信号)のスペクトルを示す図である。
【図8】(a)は遅延回路2の出力信号を示す図である。(b)は1/f遅延させたくし型関数を示す図である。
【図9】(a)はバンドパスフィルタ4−1,4−2のスペクトルを示す図である。(b)は1/f遅延させたくし型関数のスペクトルを示す図である。(c)は遅延回路2における出力信号のスペクトルを示す図である。(d)は図2(b)のバンドパスフィルタ4−2が出力する直交側変調信号のスペクトルを示す図である。
【図10】本発明の実施形態によるデジタル直交変調器の変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態によるデジタル直交変調器の構成を示すブロック図である。このデジタル直交変調器1は、図3に示したデジタル直交変調器11と同様に、例えばQPSK変調器であり、送信符号列の信号を入力し、直交変調信号を生成して出力する。デジタル直交変調器1は、シリアル−パラレル変換器12、マッピング回路13−1,13−2、オーバーサンプリング回路14−1,14−2、遅延回路2、加算器3、バンドパスフィルタ4及びDA変換器20を備えている。
【0022】
図3に示した従来のデジタル直交変調器11と図1に示すデジタル直交変調器1とを比較すると、両デジタル直交変調器1,11は、シリアル−パラレル変換器12、マッピング回路13−1,13−2、オーバーサンプリング回路14−1,14−2、加算器3,19及びDA変換器20を備えている点で同一であり、シリアル−パラレル変換器12からオーバーサンプリング回路14−1,14−2までの構成が同一である。一方、従来のデジタル直交変調器11は、ローパスフィルタ15−1,15−2、発振器16、移相器17及び乗算器18−1,18−2を備えているのに対し、デジタル直交変調器1は、遅延回路2及びバンドパスフィルタ4を備えている点で相違する。
【0023】
本発明の実施形態によるデジタル直交変調器1は、従来のローパスフィルタ15−1,15−2、発振器16、移相器17及び乗算器18−1,18−2の代わりに、遅延回路2及びバンドパスフィルタ4を備え、オーバーサンプリング後の信号から中間周波数帯の変調信号をバンドパスフィルタ4によって直接抽出し、直交変調信号を生成することを特徴とする。これにより、従来のデジタル直交変調器11よりも部品が少なくて済むから、全体として回路規模を小さくし、簡易な構成を実現することができる。
【0024】
以下、送信符号列の信号のビットレートfを100Mbpsとし、中間周波数帯における変調信号の中心周波数fを50MHzとして説明する。また、図1において、図3と共通する部分には図3と同一の符号を付してある。
【0025】
〔シリアル−パラレル変換器、マッピング回路、オーバーサンプリング回路の動作〕
まず、図1におけるシリアル−パラレル変換器12、マッピング回路13−1,13−2及びオーバーサンプリング回路14−1,14−2の動作について説明する。図4において、(a)は送信符号列の信号を示すタイムチャート、(b)はシリアル−パラレル変換器12の(同相側)出力信号を示すタイムチャート、(c)はシリアル−パラレル変換器12の(直交側)出力信号を示すタイムチャート、(d)はマッピング回路13−1の(同相側)出力信号を示すタイムチャート、(e)はマッピング回路13−2の(直交側)出力信号を示すタイムチャート、(f)はオーバーサンプリング回路14−1の(同相側)出力信号を示すタイムチャート、(g)はオーバーサンプリング回路14−2の(直交側)出力信号を示すタイムチャートである。図5において、(a)は送信符号列の信号のスペクトルを示す図、(b)はシリアル−パラレル変換器12における出力信号のスペクトルを示す図、(c)はマッピング回路13−1,13−2における出力信号のスペクトルを示す図、(d)はオーバーサンプリング回路14−1,14−2における出力信号のスペクトルを示す図である。図6において、(a)はくし型関数g(t)を示す図、(b)はくし型関数のスペクトルG(f)を示す図である。以下、図4〜図6を用いて説明する。
【0026】
図1を参照して、シリアル−パラレル変換器12は、0または1の2値を取るビットの送信符号列であるNRZ(Non−Return to Zero)信号を入力する。例えば、シリアル−パラレル変換器12は、図4(a)に示すように、送信符号列の信号として「1,0,1,1,0,0,1,0,・・・」を入力するものとする。前述したとおり、この送信符号列の信号は、ビットレートfが100Mbpsであるから、周期T=1/f=10nsecにて振幅値が0または1のパルス列となる。この信号のスペクトルは、図5(a)に示すように、周波数をfとすると、(sin(πf/f))/(πf/f)にNRZ信号の持つ直流成分を加えた特性になる。この信号のビットレートfは100Mbpsであるから、ビットレートfと等しい100MHzで値0をとり、横軸と交差する。
【0027】
シリアル−パラレル変換器12は、送信符号列の信号「1,0,1,1,0,0,1,0,・・・」を入力し、同相側の系統の信号「1,1,0,1,・・・」と直交側の系統の信号「0,1,0,0,・・・」とに分け、図4(b)に示す同相側の信号、及び図4(c)に示す直交側の信号をそれぞれ出力する。これらの信号は、50MHzのサンプリング周波数を有する符号であり、この50MHzが変調速度になる。すなわち、シリアル−パラレル変換器12は、送信符号列の信号に対して2倍の周期2T=20nsecのパルス列の信号(1/2倍のサンプリング周波数の信号)を出力する。この信号のスペクトルは、図5(b)に示すように、信号帯域幅が半分になり、50MHzで横軸と交差する特性になる。これは、シリアル−パラレル変換器12による変換後、各系列の信号速度が半分になるためである。
【0028】
マッピング回路13−1,13−2は、図4(d)(e)に示すように、入力した信号に対し、信号の値が0のときは1を出力し、信号の値が1のときは−1を出力する。マッピング後の信号のスペクトルは、図5(c)に示すように、直流成分がなくなるが帯域幅が図5(b)と変わらない特性になる。
【0029】
オーバーサンプリング回路14−1,14−2は、入力した信号に0を内挿し、4倍または8倍等のサンプリング周波数の信号に変換する。図4(f)(g)は、4倍のサンプリング周波数の信号に変換した例である。オーバーサンプリング回路14−1により、図4(d)に示した50MHzすなわち20ns周期のマッピング回路13−1の出力信号「−1,−1,1,−1,・・・」が、図4(f)に示すように、5ns周期(サンプリング周波数f=200MHz)の「−1,0,0,0,−1,0,0,0,1,0,0,0,−1,0,0,0,・・・」として出力される。また、オーバーサンプリング回路14−2により、図4(e)に示した50MHzすなわち20ns周期のマッピング回路13−2の出力信号「1,−1,1,1,・・・」が、図4(g)に示すように、5ns周期(サンプリング周波数f=200MHz)の「1,0,0,0,−1,0,0,0,1,0,0,0,1,0,0,0,・・・」として出力される。オーバーサンプリング後の信号のスペクトルは、図5(d)に示すように、図5(c)に示したマッピング後の信号と同じスペクトルが50MHz,100MHz,150MHz,200MHzにも現れる特性になる。
【0030】
オーバーサンプリング回路14−1,14−2が、図4(d)(e)に示したマッピング後の信号に対し、0を内挿してオーバーサンプリングするということは、サンプリング周波数f=200MHzにおいて、周期f=50MHzのくし型関数を乗算することに等しい。この場合のくし型関数をg(t)とすると、g(t)は以下の式で表される。
【数1】

ここで、δ(t)はディラックのデルタ関数であり、時刻t=k/fに値を持ち、それ以外は0となる関数である。
【0031】
このくし型関数g(t)を図6(a)に、g(t)のスペクトルG(f)を図6(b)に示す。くし型関数g(t)のスペクトルは、くし型関数g(t)をフーリエ変換することにより求められ、以下の式で表される。
【数2】

【0032】
図4(d)に示したマッピング回路13−1の同相側出力信号をs(t)、図4(e)に示したマッピング回路13−2の直交側出力信号をs(t)、図4(f)に示したオーバーサンプリング回路14−1の同相側出力信号をm(t)、図4(g)に示したオーバーサンプリング回路14−2の直交側出力信号をm(t)とする。例えば、オーバーサンプリング回路14−1の同相側出力信号m(t)は以下の式で表される。
【数3】

ここで、m(t)はs(t)とg(t)の積であるから、そのスペクトルは、s(t)のスペクトルS(f)とg(t)のスペクトルG(f)との畳み込み演算の結果となり、図5(d)に示すように、0Hz,50MHz,100MHz,150MHz,200MHzに信号成分が現れる。50MHz,100MHz,150MHzの成分は、オーバーサンプリングにより生じるイメージ成分である。
【0033】
〔従来のデジタル直交変調器における直交変調〕
次に、図1における遅延回路2、加算器3及びバンドパスフィルタ4の動作について説明する前に、図3に示した従来のデジタル直交変調器11におけるローパスフィルタ15−1,15−2、発振器16、移相器17及び乗算器18−1,18−2の動作について説明する。この説明は、本発明の実施形態によるデジタル直交変調器1における直交変調の動作を一層明確にするためのものである。図7において、(a)はローパスフィルタ15−1,15−2における出力信号のスペクトルを示す図、(b)は発振器16における出力信号のスペクトルを示す図、(c)は乗算器18−1における出力信号(同相側変調信号)のスペクトルを示す図、(d)は移相器17における出力信号のスペクトルを示す図、(e)は乗算器18−2における出力信号(直交側変調信号)のスペクトルを示す図である。以下図7を用いて説明する。
【0034】
図3を参照して、ローパスフィルタ15−1,15−2は、図5(d)に示したオーバーサンプリング回路14−1,14−2の出力信号のスペクトルから、オーバーサンプリングの処理により生じたイメージ成分を除去すると共に、当該デジタル直交変調器11を含む装置(例えばFPU)によって出力される無線信号が所望の帯域内の信号になるように、帯域制限を行う。前述のとおり、ローパスフィルタ15は、変調速度の半分の遮断周波数によるレイズドコサイン・ロールオフ特性を有するロールオフフィルタが用いられることが多く、その特性は、遮断周波数をfcoとすると、以下の式で表される。
【数4】

ここで、αはロールオフ率、fcoはfに対してその半分、この例では25MHzである。ローパスフィルタ15−1,15−2における出力信号のスペクトルは、図7(a)に示すような特性になる。斜線部が、フィルタ処理により抽出された成分である。
【0035】
発振器16は、所望の中間周波数fに等しいコサイン波の信号を出力する。jを虚数単位、発振器16の出力信号をo(t)とすると、o(t)は以下の式で表される。
【数5】

また、発振器16における出力信号のスペクトルO(f)は、o(t)をフーリエ変換することにより求められ、以下の式で表される。
【数6】

発振器16における出力信号のスペクトルは、図7(b)に示すように、周波数fと−fにピークを有する特性となる。図7(b)において、縦軸Reは複素成分の実部を示している。以下、虚部はImで示すこととする。図7(b)では、50MHzにピークが現れており、さらに、−50MHzの負の周波数成分がサンプリング周波数200MHzで折り返って150MHzにピークが現れている。
【0036】
乗算器18−1は、発振器16の出力信号とローパスフィルタ15−1の出力信号とを乗算し、コサイン波の周波数を中心周波数とする変調信号を得る。乗算器18−1における出力信号(同相側変調信号)のスペクトルは、図7(a)に示したローパスフィルタ15−1における出力信号のスペクトルと図7(b)に示した発振器16における出力信号のスペクトルとの畳み込み演算の結果となり、図7(c)に示す特性になる。
【0037】
直交側の系統では、同相側の系統と同様の処理を行うが、直交側の系統では同相側と直交する(位相が90度異なる)変調信号を得るために、移相器17が、発振器16により出力された信号の位相を90度回転させてサイン波の信号を生成する。そして、乗算器18−2において、ローパスフィルタ15−2の出力信号と移相器17の出力信号とを乗算する。
【0038】
移相器17の出力信号をo(t)とすると、o(t)は以下の式で表される。
【数7】

移相器17における出力信号のスペクトルO(f)は、o(t)をフーリエ変換することにより求められ、以下の式で表される。
【数8】

移相器17における出力信号のスペクトルは、図7(d)に示す特性となる。図7(d)において、縦軸Imは複素成分の虚部を示している。
【0039】
乗算器18−2は、移相器17の出力信号とローパスフィルタ15−2の出力信号とを乗算し、同相側と同様に変調信号を得る。乗算器18−2における出力信号(直交側変調信号)のスペクトルは、図7(a)に示したローパスフィルタ15−2における出力信号のスペクトルと図7(d)に示した移相器17における出力信号のスペクトルとの畳み込み演算の結果となり、図7(e)に示す特性になる。
【0040】
加算器19は、乗算器18−1により出力された同相側変調信号と、乗算器18−2により出力された直交側変調信号とを加算し、直交変調信号であるQPSK変調信号を出力する。このようにして得られたQPSK変調信号は、DA変換器20よりアナログ信号に変換され、図示しないRF回路により、所望の無線周波数に周波数変換されて送信される。
【0041】
〔本発明の実施形態によるデジタル直交変調器の直交変調〕
次に、図1における遅延回路2、加算器3及びバンドパスフィルタ4の動作について説明する。前述のとおり、本発明の実施形態によるデジタル直交変調器1は、図3に示した従来のデジタル直交変調器11のローパスフィルタ15−1,15−2、発振器16、移相器17、乗算器18−1,18−2及び加算器19の代わりに、遅延回路2、加算器3及びバンドパスフィルタ4を備えている。デジタル直交変調器1の遅延回路2、加算器3及びバンドパスフィルタ4は、従来のデジタル直交変調器11におけるローパスフィルタ15−1,15−2、発振器16、移相器17、乗算器18−1,18−2及び加算器19と同等の機能を有する。このデジタル直交変調器1は、デジタル直交変調器11と同様の同相側変調信号(図7(c))、及び直交側変調信号(図7(e)、後述する図9(d))を生成する際に、オーバーサンプリング回路14−1,14−2によるオーバーサンプリング後の信号から、変調信号の周波数帯である50MHz,150MHzに存在する変調信号成分をバンドパスフィルタ4−1,4−2によって直接抽出する。
【0042】
図2において、(a)は、図1に示したデジタル直交変調器1から同相側の系統のみを抜き出した構成を示すブロック図であり、(b)は、直交側の系統のみを抜き出した構成を示すブロック図である。図2(a)に示す同相側の系統と図1に示した同相側の系統とが同等であり、図2(b)に示す直交側の系統と図1に示した直交側の系統とが同等であることの説明は後述する。
【0043】
図2(a)において、同相側の系統は、シリアル−パラレル変換器12の出力信号を入力するマッピング回路13−1、オーバーサンプリング回路14−1及びバンドパスフィルタ4−1により構成される。図2(b)において、直交側の系統は、シリアル−パラレル変換器12の出力信号を入力するマッピング回路13−2、オーバーサンプリング回路14−2、遅延回路2及びバンドパスフィルタ4−2により構成される。
【0044】
図8において、(a)は遅延回路2の出力信号を示す図、(b)は1/f遅延させたくし型関数を示す図である。また、図9において、(a)はバンドパスフィルタ4−1,4−2のスペクトルを示す図、(b)は1/f遅延させたくし型関数のスペクトルを示す図、(c)は遅延回路2における出力信号のスペクトルを示す図、(d)は図2(b)のバンドパスフィルタ4−2が出力する直交側変調信号のスペクトルを示す図である。以下、図2(a)(b)、図8及び図9を用いて、同相側の系統と直交側の系統とを分けて説明する。
【0045】
(同相側の系統)
まず、同相側の系統の動作について説明する。図2(a)において、バンドパスフィルタ4−1は、図5(d)に示したオーバーサンプリング回路14−1における出力信号のスペクトルに対し、図9(a)に示す周波数特性を有するスペクトルの帯域制限フィルタ処理を行い、図7(c)に示したスペクトルの信号を出力する。このバンドパスフィルタ4−1は、変調信号の周波数f=50MHzを中心とし、その両側fco=25MHzを遮断周波数としたレイズドコサイン・ロールオフ特性を有する。バンドパスフィルタ4−1の特性は以下の式で表され、前述の式(4)の中心周波数をf=50MHzに移したものとなる。
【数9】

ここで、αはロールオフ率、fcoはfに対してその半分、この例では25MHzである。このフィルタ特性は、中心周波数50MHz及び150MHzにおける2つの遮断周波数によって信号が干渉しないように、予め設定されている。尚、オーバーサンプリング回路14−1において8倍のサンプリング周波数(400MHz)の信号にオーバーサンプリングされる場合には、フィルタ特性は、図9(a)を参照して、50MHz及び150MHzを中心周波数とし、それぞれの両側の25MHzを遮断周波数としたレイズドコサイン・ロールオフ特性になる。
【0046】
このように、前述した特性のバンドパスフィルタ4−1を用いることにより、図7(c)に示したように、図3に示したデジタル直交変調器11における乗算器18−1の出力信号である同相側変調信号と同じ変調周波数及び帯域幅の同相側変調信号を得ることができる。したがって、本発明の実施形態によるデジタル直交変調器1によれば、図3に示した従来のローパスフィルタ15−1、発振器16及び乗算器18−1の代わりに、バンドパスフィルタ4−1を備えるようにしたから、回路規模を小さくして簡素化し、簡易な構成を実現することができる。
【0047】
(直交側の系統)
次に、直交側の系統の動作について説明する。直交側の系統は、同相側の系統と同様の処理を行うが、直交側変調信号は同相側変調信号に対して位相が90度ずれていなければならない。そこで、直交側の系統では、オーバーサンプリング回路14−2とバンドパスフィルタ4−2との間に遅延回路2を設け、遅延回路2によってオーバーサンプリング回路14−2の出力信号を遅延させることにより位相を90度回転させる。
【0048】
図2(b)において、遅延回路2は、図4(g)に示したオーバーサンプリング回路14−2の出力信号を入力し、入力した信号を1クロック(5nsec)遅延させ、図8(a)に示す信号を出力する。
【0049】
ここで、信号を1クロック遅延させる処理は、位相を90度回転させる処理と同じである。これは、以下のように考えることができる。前述したとおり、オーバーサンプリング回路14−2において、入力した信号に対して0を内挿しオーバーサンプリングを行うことは、サンプリング周波数f=200MHzにおいて、マッピング回路13−2の出力信号に、式(2)に示したスペクトルを有する図6(a)における周期f=50MHzのくし型関数g(t)を乗算することに等しい。
【0050】
これに対し、図2(b)のオーバーサンプリング回路14−2及び遅延回路2において、入力した信号に対して0を内挿しオーバーサンプリングを行った後、1クロック遅延させることは、サンプリング周波数f=200MHzにおいて、マッピング回路13−2の出力信号に、図8(b)に示すくし型関数(図6(a)のくし型関数g(t)をサンプリング周期1/f遅延させた関数)を乗算することに等しい。このくし型関数は以下の式で表される。
【数10】

【0051】
時間軸上で信号をΔtだけ遅延させることは、周波数軸上で信号にe-i2πfΔtを乗算することに等しい。ここでは、遅延回路2における遅延時間が1/fであるので、遅延回路2における遅延は、周波数軸上では、オーバーサンプリング回路14−2における出力信号のスペクトルにe-i2πf/fsを乗算することに等しくなる。e-i2πf/fsの乗算は、周波数に比例して位相が回転し、サンプリング周波数f=200MHzで位相が360度回転することを示している。
【0052】
オーバーサンプリング回路14−2及び遅延回路2により、入力した信号に対し1/f遅延させるくし型関数g(t−1/f)のスペクトル(図8(b)のくし型関数のスペクトル)は、図9(b)に示すように、G(f)の成分のうち(図6(b)を参照)、位相がf/4の50MHzで90度、f/2の100MHzで180度、f×3/4の150MHzで270度回転している。したがって、遅延回路2における出力信号のスペクトルは、図5(c)に示したマッピング回路13−2における出力信号のスペクトルと、図9(b)に示したオーバーサンプリング回路14−2及び遅延回路2における1/f遅延させたくし型関数のスペクトルG(f)×e-i2πf/fsとの畳み込み演算の結果となり、図9(c)に示す特性になる。
【0053】
バンドパスフィルタ4−2は、図9(c)に示した遅延回路2における出力信号のスペクトルに対し、図9(a)に示したスペクトルの帯域制限フィルタ処理を行い、図9(d)に示すスペクトルの信号、すなわち直交側の変調信号を出力する。この直交側の変調信号は、同相側の変調信号と直交しており、同相側の変調信号と直交側の変調信号を加算することにより、QPSK変調信号を得ることができる。そして、DA変換器20によりアナログ信号に変換され、図示しないRF回路により、所望の無線周波数に周波数変換され、送信される。
【0054】
このように、前述した特性のオーバーサンプリング回路14−2、遅延回路2及びバンドパスフィルタ4−2を用いることにより、図7(e)及び図9(b)に示したように、図3に示したデジタル直交変調器11における乗算器18−2の出力信号である直交側変調信号と同じ変調周波数及び帯域幅の直交側変調信号を得ることができる。したがって、本発明の実施形態によるデジタル直交変調器1によれば、図3に示した従来のローパスフィルタ15−2、発振器16、移相器17及び乗算器18−2の代わりに、遅延回路2及びバンドパスフィルタ4−2を備えるようにしたから、回路規模を小さくして簡素化し、簡易な構成を実現することができる。
【0055】
〔変形例〕
次に、変形例について説明する。この変形例は、図1に示したデジタル直交変調器1と等価の変調器である。等価であることの説明については後述する。図10は、図1におけるデジタル直交変調器1の変形例の構成を示すブロック図である。このデジタル直交変調器21は、送信符号列の信号を入力し、直交変調信号を生成して出力する。デジタル直交変調器21は、図2(a)(b)に示したように、シリアル−パラレル変換器12、マッピング回路13−1,13−2、オーバーサンプリング回路14−1,14−2、遅延回路2、バンドパスフィルタ4−1,4−2、加算器3及びDA変換器20を備えている。
【0056】
図1のデジタル直交変調器1と図10に示すデジタル直交変調器21とを比較すると、両デジタル直交変調器1,21は、シリアル−パラレル変換器12、マッピング回路13−1,13−2、オーバーサンプリング回路14−1,14−2、遅延回路2、加算器3及びDA変換器20を備えている点で同一である。一方、デジタル直交変調器1のバンドパスフィルタ4は加算器3の後段に備えているのに対し、デジタル直交変調器21のバンドパスフィルタ4−1,4−2は2個存在し、加算器3の前段に備えている点で相違する。
【0057】
〔図1のデジタル直交変調器と図10のデジタル直交変調器とが等価である理由〕
次に、図1に示したデジタル直交変調器1と図10に示したデジタル直交変調器21とが等価である理由について説明する。すなわち、図10では、図2(a)(b)に示したように同相側の系統及び直交側の系統のそれぞれにバンドパスフィルタ4−1,4−2を配置しているが、バンドパスフィルタ4−1,4−2を、オーバーサンプリング回路14−1の出力信号と遅延回路2の出力信号とを加算する加算器3の後段に配置することにより、図1に示すように、バンドパスフィルタ4−1,4−2を1個のバンドパスフィルタ4にまとめることができる。この理由について説明する。
【0058】
図2(a)(b)及び図10において、バンドパスフィルタ4−1,4−2の伝達関数をH(f)とし、これらの出力信号である同相側変調信号をx(t)、そのスペクトルをX(f)、直交側変調信号をx(t)、そのスペクトルをX(f)とする。同相側のバンドパスフィルタ4−1の入力信号をm(t)、そのスペクトルをM(f)、直交側のバンドパスフィルタ4−2の入力信号をm(t)、そのスペクトルをM(f)とすると、x(t),x(t)のスペクトルX(f),X(f)は、以下の式で表される。
【数11】

【数12】

【0059】
デジタル直交変調器21が出力する信号をx(t)とすると、x(t)はxi(t)とx(t)との和であるから、そのスペクトルは、以下の式で表される。
【数13】

【0060】
この式より、図10におけるバンドパスフィルタ4−1,4−2を、図1において、加算器3の後段に1個のバンドパスフィルタ4として配置することができることがわかる。
【0061】
このように、図1に示したデジタル直交変調器1によれば、図10に示したデジタル直交変調器21における2個のバンドパスフィルタ4−1,4−2に代えて1個のバンドパスフィルタ4を備えるようにしたから、回路規模を一層小さくして簡素化し、簡易な構成を実現することができる。
【0062】
尚、図1に示したデジタル直交変調器1及び図10に示したデジタル直交変調器21は、例えば、スーパーハイビジョン信号を中継するFPU、中継機、衛星放送送信機等に用いられる。
【0063】
以上、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、デジタル直交変調器1,21は、DA変換器20を備えていなくてもよい。
【0064】
また、変調方式については、QPSK変調器を例にとり発明の実施形態を説明したが、本発明では、QPSKに限らず、8PSK、16PSK等の他の位相変調、16QAM、64QAM、32QAM、32APSK等の振幅位相変調にも適用可能である。
【0065】
また、バンドパスフィルタ4,4−1,4−2については、レイズドコサイン・ロールオフ特性を有するフィルタを例にとり本発明の実施形態を説明したが、本発明では、レイズドコサイン・ロールオフ特性を有しないフィルタにも適用可能である。要するに、所定の周波数を中心とした帯域制限を行うフィルタであればよい。
【符号の説明】
【0066】
1,11,21 デジタル直交変調器
2 遅延回路
3,19 加算器
4 バンドパスフィルタ
12 シリアル−パラレル変換器
13 マッピング回路
14 オーバーサンプリング回路
15 ローパスフィルタ
16 発振器
17 移相器
18 乗算器
20 DA変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信符号列の信号から変調信号を生成するデジタル直交変調器において、
所定サンプリング周波数の前記送信符号列の信号を、前記所定サンプリング周波数の1/2倍の同相側信号及び直交側信号に変換するシリアル−パラレル変換器と、
前記同相側信号及び直交側信号を、所定の振幅を有する信号にそれぞれマッピングするマッピング回路と、
前記所定の振幅を有する同相側信号及び直交側信号に0を内挿し、所定倍のサンプリング周波数の信号にそれぞれ変換するオーバーサンプリング回路と、
前記所定倍のサンプリング周波数の直交側信号を、前記所定倍のサンプリング周波数に対応する1クロック分遅延させる遅延回路と、
前記所定倍のサンプリング周波数の同相側信号、及び前記1クロック分遅延した直交側信号を加算する加算器と、
前記加算された信号に対し、所定の周波数を中心とした帯域制限フィルタ処理を行い、変調信号を出力するバンドパスフィルタと、
を備えたことを特徴とするデジタル直交変調器。
【請求項2】
送信符号列の信号から変調信号を生成するデジタル直交変調器において、
所定サンプリング周波数の前記送信符号列の信号を、前記所定サンプリング周波数の1/2倍の同相側信号及び直交側信号に変換するシリアル−パラレル変換器と、
前記同相側信号及び直交側信号を、所定の振幅を有する信号にそれぞれマッピングするマッピング回路と、
前記所定の振幅を有する同相側信号及び直交側信号に0を内挿し、所定倍のサンプリング周波数の信号にそれぞれ変換するオーバーサンプリング回路と、
前記所定倍のサンプリング周波数の直交側信号を、前記所定倍のサンプリング周波数に対応する1クロック分遅延させる遅延回路と、
前記所定倍のサンプリング周波数の同相側信号に対し、所定の周波数を中心とした帯域制限フィルタ処理を行い、同相側変調信号を出力する第1のバンドパスフィルタと、
前記1クロック分遅延した直交側信号に対し、前記第1のバンドパスフィルタと同一のフィルタ処理を行い、直交側変調信号を出力する第2のバンドパスフィルタと、
前記同相側変調信号及び直交側変調信号を加算し、変調信号を出力する加算器と、
を備えたことを特徴とするデジタル直交変調器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−268233(P2010−268233A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117956(P2009−117956)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【Fターム(参考)】