説明

デジタル音声映像情報の記録装置

【課題】タイトルごと及びストリームに対応して任意の情報を入力できるHDD搭載型DVD記録装置を提供する。
【解決手段】第1の外部装置19から入力されたデジタル音声信号およびデジタル映像信号のそれぞれを順次符号化する符号化手段11と、少なくとも前記符号化手段により符号化された音声の符号化データおよび映像の符号化データと検索用データとを一定単位毎に順次多重化する多重化手段12と、前記多重化手段により多重化されたデータを第1の情報記録媒体14mに記録する第1の記録手段14および第2の情報記録媒体15mに記録する第2の記録手段15と、第2の外部装置からのユーザ情報を入力する入力手段13と、前記入力手段に入力されたユーザ情報を、前記第1の記録手段により前記第1の情報記録媒体に記録させるとともに、前記第2の記録手段により前記第2の情報記録媒体に記録させる制御手段18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号や音声信号をDVD媒体やハードディスク媒体に記録するHDD搭載型DVD記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のDVD(Digital Versatile Disc)記録再生装置には、ハードディスクドライブ(HDD)とDVDドライブの両方が設けられたものが知られており、テレビジョンなどの外部装置から入力される映像信号及び音声信号を、ハードディスク媒体またはDVD媒体の何れに対しても記録することができ、また一方の媒体に記録した情報を他方の媒体にダビングすることもできるものが開発されている(以下、この種の装置をHDD搭載型DVD記録装置という。特許文献1)。
【0003】
ところで、従来のDVD記録装置では、タイトル名を入力又は編集する機能を有するものの、タイトルごと又はストリームに対応した任意情報を付加することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−152658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、タイトルごと及びストリームに対応して任意の情報を入力できるHDD搭載型DVD記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、第1の外部装置から入力されたデジタル音声信号およびデジタル映像信号のそれぞれを順次符号化する符号化手段と、
少なくとも前記符号化手段により符号化された音声の符号化データおよび映像の符号化データと検索用データとを一定単位毎に順次多重化する多重化手段と、
前記多重化手段により多重化されたデータを第1の情報記録媒体に記録する第1の記録手段および第2の情報記録媒体に記録する第2の記録手段と、
第2の外部装置からのユーザ情報を入力する入力手段と、
前記入力手段に入力されたユーザ情報を、前記第1の記録手段により前記第1の情報記録媒体に記録させるとともに、前記第2の記録手段により前記第2の情報記録媒体に記録させる制御手段と、を備えたデジタル音声映像情報の記録装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザタイトル情報(第1及び第2の情報記録媒体に記録されるデータのタイトルに関連した情報)やユーザストリーム情報(第1及び第2の情報記録媒体に記録されるデータのストリームの時間軸に応じて推移する又はストリームの任意点に対応する情報)などのユーザ情報を第2の外部装置から入力手段へ入力し、このユーザ情報を第1の情報記録媒体や第2の情報記録媒体に記録する。これにより、第1の情報記録媒体や第2の情報記録媒体には、音声情報や映像情報以外にユーザが任意に設定できるユーザ情報をたとえばテキストなどのフォーマットで記録することができ、タイトルまたはストリームに対応したユーザ情報を再生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第1及び第2実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の他の処理タイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第2実施形態に係る記録フラグを示す図である。
【図6】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第3実施形態を示すブロック図である。
【図7】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第3実施形態に係るユーザストリーム情報を記録するためのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図8】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第3実施形態に係るハードディスク媒体のワークエリアのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図9】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第3実施形態に係るユーザタイトル情報の書き込み、読み出し及び削除処理を説明するための図である。
【図10】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第3実施形態に係るユーザストリーム情報の書き込み、読み出し及び削除処理を説明するための図である。
【図11】本発明のデジタル音声映像情報記録装置の第3実施形態に係るDVD媒体のデータフォーマットの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は本発明のデジタル音声映像情報記録装置(以下、単にDVD記録装置ともいう。)の実施形態を示すブロック図である。本実施形態のDVD記録装置100は、テレビ放送などで提供される音声信号および映像信号をリアルタイムで符号化および多重化しながらハードディスク媒体14m及びDVD媒体15mに記録し、再生するものであり、記録する際に、DVDドライブ15にDVD媒体15mをセットしたらハードディスク媒体14mへの記録を開始し、DVD媒体15mの記録の準備が整ったらハードディスク媒体14mからDVD媒体15mへリアルタイムでダビングするものである。ただし、音声情報および映像信号の供給源となるものは、テレビ放送にのみ限定されるものではなく、ビデオカメラ、デジタル放送、電話回線による情報交信など、あらゆる供給源からの情報を取り込むことができる。
【0011】
なお、本例に係るハードディスク媒体14mが本発明の第1の情報記録媒体に相当し、本例に係るDVD媒体15mが本発明の第2の情報記録媒体に相当し、本例に係るハードディスクドライブ14が本発明の第1の記録手段に相当し、本例に係るDVDドライブ15が本発明の第2の記録手段に相当する。
【0012】
同図に示す符号化手段11は、図外のデータセレクタ等を介してテレビ受信機などの外部装置から送出されるデジタル音声信号及びデジタル映像信号をそれぞれ符号化するものであり、符号化された音声信号と映像信号は次の多重化手段12へ送出され、この多重化手段12にて、たとえば1GOP(Group of Pictures)ごとに多重化される。また、この多重化時に、DVDビデオ規格に準拠したナビゲーションパックデータの生成も行い、これらをDVDビデオストリームとしてハードディスク媒体14mに記録する。なお、符号化手段11及び多重化手段12は、たとえばMPEG2エンコーダプロセッサやSDRAMなどの電子部品を用いて具体化することができる。
【0013】
MPEG2エンコーダ等により校正される多重化手段12にて生成されたDVDストリームデータは、ストレージインターフェース13を介して本発明の第1の記録手段であるハードディスクドライブ14にてハードディスク媒体14mに記録される。ストレージインターフェース13は、ハードディスクドライブ14のハードディスク媒体14mにデータを記録するとともに、当該ハードディスク媒体14mに記録されたデータを読み出し、DVDドライブ15のDVD媒体15mや、これらを再生するための復号化手段16に送出する。また、多重化手段12にて生成されたDVDストリームデータは、ストレージインターフェース13を介して本発明の第2の記録手段であるDVDドライブ15にてDVD媒体15mに記録されることもある。
【0014】
ハードディスク媒体14mやDVD媒体15mに記録されたデータを再生する際には、ストレージインターフェース13を介して図外の再生用FIFOメモリに一時的に保存し、このデータを、MPEG2デコーダプロセッサなどで構成された復号化手段16に送出する。
【0015】
MPEG2デコーダプロセッサなどで構成された復号化手段16では、DVDストリームデータをデジタル音声信号とデジタル映像信号とに復号化し、さらに必要に応じてこれらデジタル音声信号とデジタル映像信号をデジタル/アナログ変換器によってアナログ音声信号とアナログ映像信号とに復号し、TVモニタなどで構成される再生手段17に送出し、ここで再生する。
【0016】
本例に係る制御手段18は、DVDドライブ15にDVD媒体15mが装着されたことを検出したら、多重化手段12により多重化されたデータを一定単位毎にハードディスクドライブ14によりハードディスク媒体14mに順次記録させる。また、この一定単位毎の記録処理の間に、ハードディスクドライブ14によりハードディスク媒体14mに先ほど記録したデータを読み出してDVDドライブ15によりDVD媒体15mに記録させる。この処理をストレージインターフェース13に対して実行させる。
【0017】
次に、この制御手段18における処理手順を図2のフローチャート及び図3のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0018】
まず、DVD記録装置100のメインスイッチが入力されると、初期化(ステップS1)ののちに、自己診断が実行され(ステップS2)、自己診断の結果がエラーの場合はそのままエラー表示をするなどしてこのルーチンを終了する(ステップS3→S4)。ステップS3において自己診断結果に異常が確認されなかった場合はステップS5へ進み、復旧の有無を確認する。その結果、復旧が必要である場合にはステップS6へ進み、DVD媒体15mがDVDドライブ15に挿入されているかどうかを確認し、挿入されているときはステップS7にて復旧処理を実行したのちステップS8へ進む。この復旧処理については、第2実施形態で詳述する。ステップS6においてDVDドライブ15にDVD媒体15mが挿入されていないときは復旧処理を行わないでステップS8へ進む。
【0019】
以上の処理を終了したら、DVDドライブ15のトレイを開き(ステップS8)、DVD媒体15mが挿入されたら(ステップS9)、トレイを閉じる(ステップS10)。これ以後、テレビ受信機などの外部装置からの音声信号及び映像信号をハードディスク媒体14mに記録することを許可する。この処理については後述する。
【0020】
次いで、DVDドライブ15にDVD媒体15mが物理的に挿入されたかどうかを確認し(ステップS11)、DVD媒体15mが確認されなかったらこのルーチンを終了する(ステップS12)。ステップS11にてDVD媒体15mが確認されたら、ステップS13へ進んでDVD媒体15mの種類を確認し、書き込み不可能なDVD媒体であるときはエラー表示をしてこのルーチンを終了する(ステップS23)。
【0021】
ステップS13にてDVD媒体15mが書き込み可能なDVD媒体、たとえばDVD+RWなどであるときは、当該DVD記録装置100に対するユーザの指令が「記録」であるか「再生」であるかを確認し(ステップS14)、再生指令であるときはステップS15へ進む。
【0022】
ステップS15にて再生指令のドライブがハードディスクドライブ14かDVDドライブ15かを確認し、ハードディスクドライブ14であるときはハードディスク媒体14mのコンテンツを再生したのち(ステップS20)、ルーチンを終了する(ステップS21)。一方、ステップS15において再生指令のドライブがDVDドライブ15であるときは、DVD媒体15mのコンテンツを再生したのち(ステップS18)、ルーチンを終了する(ステップS19)。
【0023】
ステップS14に戻り、DVD記録装置100に対するユーザの指令が「記録」であるときは、ステップS22へ進んでDVD媒体15mの記録残量を確認し、記録残量がないときはエラーを表示してルーチンを終了する(ステップS23)。ステップS22において記録残量があるときは、次のステップS24においてDVD媒体15mがフォーマット済みであるかどうかを確認する。
【0024】
ステップS24においてDVD媒体15mが未フォーマットであるときはステップS25へ進んでフォーマットを実行する一方で、フォーマット済みであるときはステップS26へ進んで記録されたテーブルを読み込み、次のステップS27にて試し書き(OPC)を実行する。
【0025】
ステップS14におけるユーザの指令が「記録」であるときは、DVD媒体15mを挿入したステップS9から上記ステップS25のフォーマット又はステップS27の試し書きまでの処理を実行することにより、DVD媒体15mへの記録の準備が完了するが、このステップS9からステップS25又はS27までの間に、外部装置から入力される音声信号及び映像信号はDVD媒体15mには記録できない。
【0026】
このため、既述したようにステップS9にてDVD媒体15mが挿入され、ステップS10にてトレイを閉じたら、これ以後は、テレビ受信機などの外部装置からの音声信号及び映像信号をハードディスク媒体14mに記録することを許可する。そして、DVD記録装置100に対してユーザから「DVD媒体への記録」指令が入力されているときは、DVD媒体15mへの記録準備が整う前であっても、ハードディスク媒体14mへ記録を開始する。
【0027】
この処理を図3のタイミングチャートを参照しながら説明する。
【0028】
まず、同図に示す初期フェーズt1において外部装置からの音声信号及び映像信号を、図1に示す符号化手段11及び多重化手段12により符号化及び多重化し、ストレージインターフェース13を介してハードディスクドライブ14のハードディスク媒体14mにリアルタイムで記録し始める。このハードディスク媒体14mへの記録は、所定の間隔、たとえば3秒周期で0.5秒間(たとえば3.75MBずつ)実行する。
【0029】
図2におけるステップS25又はS27の処理が完了してDVD媒体15mへの記録が準備できたら、上記ハードディスク媒体14mへの書き込み処理の間の時間、すなわち2.5秒間(3秒周期−0.5秒)のうちのたとえば0.5秒間を使って、それまでにハードディスク媒体14mに記録したデータを読み込み、残りの時間のうちのたとえば1.7秒間を使って、今読み込んだデータをDVD媒体15mへ記録する。この処理は、図1に示す制御手段18からハードディスクドライブ14へ読み出し指令を送出し、ストレージインターフェース13を介してDVDドライブ15へ書き込み指令を送出することにより行う。
【0030】
以上の、外部装置からハードディスク媒体14mへの書き込み、ハードディスク媒体14mからデータの読み込み、DVD媒体15mへのデータの書き込みという一連の処理を、3秒の周期を使用して繰り返し実行する。
【0031】
図3に示すように、ハードディスク媒体14mに書き込んだデータの全てをDVD媒体15mへダビングするのが終了する前に、外部装置からの入力が終了したら、外部装置からハードディスク媒体14mへの書き込み処理が不要となるので、それ以後のハードディスク媒体からのデータの読み込み処理及びDVD媒体15mへのデータの書き込み処理の容量を、それまでの5MBからたとえば6MBにそれぞれ増加させると、それ以後のダビング時間が短縮されることになる。
【0032】
また、DVD媒体15mへのダビングが開始されたら、当該DVD媒体15mに記録したデータの再生が可能となるが(いわゆる追っかけ再生)、その場合には、ハードディスク媒体14mからのデータの読み込み処理とDVD媒体15mへの書き込み処理に加えて、DVD媒体15mからのデータの読み込み処理が加わるので、再び3秒間の周期の中でこれらの処理時間を割り当てる。同図に示す例では、ハードディスク媒体14mからのデータの読み込み処理を0.2秒(2MB)、DVD媒体15mへの書き込み処理を1.2秒(2MB)、DVD媒体15mからのデータの読み込み処理を1.2秒(1.875MB×2)としている。
【0033】
なお、外部装置からハードディスク媒体14mへの書き込み処理は、たとえば3.75MBの容量ずつ実行する一方で、ハードディスク媒体14mからDVD媒体15mへのダビング処理は、これより大きいたとえば5MBの容量で実行するので、図4に示すように、外部装置からの入力が終了する前にダビング処理が、外部装置からハードディスク媒体14mへの書き込み処理に追いつくこともある。この場合には、そのままハードディスク媒体14mへの書き込み処理を続行してもよいし、同図に示すように外部装置からハードディスク媒体14mへの書き込み処理に代えてDVD媒体15mへ直接書き込む処理を行ってもよい。
【0034】
以上の処理が図2に示すステップS28〜S30のストリーム転送、記録ストップ及び残ストリーム転送の処理である。このように、DVD媒体15mの記録準備が整う前であっても、外部装置からの音声信号と映像信号を一旦ハードディスク媒体14mへ記録し、これを記録処理の間の時間を使って順次DVD媒体へダビングするので、全てのデータをDVD媒体へ記録することができる。また、ハードディスク媒体14mには外部装置から入力されるデータが全て記録されているので、何らかの原因によりDVD媒体15mへのダビングに失敗したときであっても、そのデータを再度読み出して記録することができる。
【0035】
そして、外部装置からの入力が終了し、ハードディスク媒体14mからDVD媒体15mへのダビング処理が終了し、ユーザがDVDドライブ15のトレイを開ける指示を入力したら(ステップS31)、そのタイミングで、いま記録したストリームのテーブルやメニューを当該DVD媒体15mのテーブル領域に記録し(ステップS32)、最後にトレイを開いてDVD媒体15mを取出可能とする(ステップS33)。なお、テーブル情報やメニュー情報はDVD媒体15mをDVDドライブ15から取り出すタイミングでなくても書き込むことができるが、こうすることで次の記録を連続して実行する場合などにおいて、テーブル情報等の書き込みに要する時間を記録処理に使用することができる。
【0036】
なお、図2のフローチャートには示していないが、外部装置からの音声信号と映像信号をハードディスク媒体14mやDVD媒体15mに記録している途中で、ハードディスク媒体14m及び/又はDVD媒体15mの記録残量がなくなった場合や何れかのドライブ14,15や媒体14m,15mにエラーが発生した場合には、その媒体のセッションをクローズし、記録を終了させるが、他方の媒体への記録は継続して行う。これにより、後で他方から一方へのダビングを可能とする。
【0037】
《第2実施形態》
本発明の第2実施形態に係るDVD記録装置100は、基本的には上述した第1実施形態に係るDVD記録装置100と同様に、外部装置からの音声信号と映像信号をハードディスク媒体14mに記録し、この記録処理の間の時間を使用してDVD媒体15mへのダビング処理を行うものであるが、記録の開始時、ハードディスク媒体のみへの記録時、ハードディスク媒体からDVD媒体へのダビング時、セッションクローズ時のそれぞれのフェーズにおいて、DVD記録装置の電源が遮断されたとき、次に電源が供給されたら今まで記録した状態に続けて記録処理を普及させる処理を含むものである(図2のステップS7参照)。
【0038】
すなわち、図1に示すブロック図において、本例に係る制御手段18は、多重化手段12により多重化されたデータを一定単位毎にハードディスクドライブ14によりハードディスク媒体14mに順次記録させるとともに、この一定単位毎の記録処理の間に、ハードディスクドライブ14によりハードディスク媒体14mに記録したデータを読み出してDVDドライブ15によりDVD媒体に記録させるDVD記録装置100であって、その記録状態、具体的には記録の開始時、ハードディスク媒体のみへの記録時、ハードディスク媒体からDVD媒体へのダビング時、セッションクローズ時といった記録状態をハードディスク媒体14mに記録し、記録途中で異常が発生してそれが復旧したときは、このハードディスク媒体14mに記録された記録状態に基づいてDVD媒体15mへの記録を復旧させる。
【0039】
具体的には、DVD記録装置100の電源が遮断されたときのタイミングを監視するために、記録ステータスフラグをハードディスク媒体14mに保持する。図5に記録フラグの一例を示すが、この例ではステータスフラグ0〜10の11状態を識別することができる。
【0040】
このように、各記録ステータスフラグをハードディスク媒体14mに保持することで、ダビング途中で電源遮断等の異常が発生してもそれが復旧したときは、ハードディスク媒体14mに保持しておいた記録ステータスフラグに基づいて、中断した処理途中から処理を再開することができる。これにより、こうした異常時に最初からダビングを再開する必要がなくなる。
【0041】
なお、ハードディスク媒体14mに保持させておくステータスフラグとしては、上述した外部装置からの記録処理だけでなく、たとえばタイトル削除、タイトル名編集、媒体名編集、タイトル保護設定などのDVD媒体15mに対する編集処理について行うこともできる。この場合、ビデオマネージャ(VMG=Video Manager;DVD−Video規格で定義された媒体全体に関する情報を有するテーブル)、ビデオタイトルセット(VTS=Video Title Set;DVD−Video規格及び+VR規格で定義されたタイトルに関する情報を有するテーブル)、ビデオレコーディングマネージャインフォメーション(VRMI=Video Recording Manager Information;+VR規格で定義されたタイトルに関する情報を有するテーブル)などのテーブル情報をハードディスク媒体14mのワークエリアに展開し、編集結果をハードディスク媒体14mに保持するとともに、その情報をハードディスクワークエリアへ書き込む際に、更新状態をハードディスクワークエリア操作フラグで保持する。そして、DVD記録装置100の電源遮断が発生して再度電源が投入されたら、ハードディスクワークエリア操作フラグによりテーブル情報の更新状態を検出し、編集処理の復旧を行うかどうかを判断し、復旧する場合には電源遮断が発生した手前までのDVD媒体情報を復旧させる。
【0042】
《第3実施形態》
図6は本発明のDVD記録装置の第3実施形態を示すブロック図である。本実施形態のDVD記録装置100は、テレビ放送などで提供される音声信号および映像信号をリアルタイムで符号化および多重化しながらハードディスク媒体14m及びDVD媒体15mに記録し、再生可能とするものであり、記録する際にユーザが自由に入力できるユーザ情報を多重化データに関連付けて記録し、これを再生したときにユーザ情報も再生することができるものである。ただし、音声情報および映像信号の供給源となるものは、テレビ放送にのみ限定されるものではなく、ビデオカメラ、デジタル放送、電話回線による情報交信など、あらゆる供給源からの情報を取り込むことができる。
【0043】
ちなみに、DVDビデオ規格で定義された、ナビゲーションパックで始まり整数個のGOP(Group of pictures;MPEG2規格で定義された、単独で再生可能な画像の最小単位)を含むユニットをVOBU(Video Object Unit)と称し、複数のVOBUが集合して一つのチャプタ(たとえば一つのまとまりのシーン)を構成し、複数のチャプタが集合して一つのタイトル(たとえば一本の映画)を構成するが、本例のユーザ情報は、タイトル毎に関連付けて記録することも、またVOBU単位やチャプタ単位で関連付けて記録することもできる。
【0044】
図6に示す符号化手段11、多重化手段12、ストレージインターフェース13、ハードディスクドライブ14、DVDドライブ15、復号化手段16及び再生手段17の各構成は、上述した第1実施形態と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
【0045】
本例に係るDVD記録装置100では、第2の外部装置19がストレージインターフェース13にたとえばRS232Cシリアルインターフェースで接続され、所望のユーザ情報をDVD記録装置100に入力する。
【0046】
本例のユーザ情報にはユーザタイトル情報とユーザストリーム情報が含まれる。
【0047】
ユーザタイトル情報とは、ハードディスク媒体14mやDVD媒体15mに記録されるタイトルに関連付けられた個別情報であって、タイトルの名前、ID、タイトル固有のテキスト情報などである。
【0048】
また、ユーザストリーム情報とは、データのストリームの時間軸に応じて推移する情報又はストリームの任意点に対応する情報であって、チャプタやVOBUに関連付けられた個別情報、たとえばチャプタやVOBUの名前、ID、又はこれらの固有のテキスト情報である。
【0049】
ユーザタイトル情報はデータのストリームの時間軸に対応付けて記録する必要はないが、ユーザストリーム情報はそのストリームのVOBUアドレスに対応付けて記録する必要がある点が相違する。図7はユーザストリーム情報を記録するためのデータフォーマットの一例を示す図であり、複数のVOBUデータ(たとえば512バイト)からなるタイトルに対し、目的とするユーザストリーム情報は対応するVOBUのVOBU先頭アドレスとともに記録される(たとえば256バイト)。
【0050】
本例の制御手段18は、第2の外部装置19から入力された、こうしたユーザ情報を、一旦ハードディスク媒体14mに記録し、DVDドライブ15のトレイを開いてDVD媒体15mを取り出す際に当該ユーザ情報をDVD媒体15mに記録する。
【0051】
図8はハードディスク媒体14mのワークエリアのデータフォーマットの一例を示す図であり、ここにワークエリアの更新領域(たとえば512バイト)や、ビデオマネージャ(VMG=Video Manager;DVD−Video規格で定義された媒体全体に関する情報を有するテーブル)、ビデオタイトルセット(VTS=Video Title Set;DVD−Video規格及び+VR規格で定義されたタイトルに関する情報を有するテーブル)、ビデオレコーディングマネージャインフォメーション(VRMI=Video Recording Manager Information;+VR規格で定義されたタイトルに関する情報を有するテーブル)などのテーブル情報とともに、ユーザタイトル情報とユーザストリーム情報を展開する。
【0052】
なお、ビデオマネージャVMG,ビデオタイトルセットVTS,ビデオレコーディングマネージャインフォメーションVRMIは、DVDドライブ15に挿入されたDVD媒体から読み込んでストレージインターフェースに保持されているものをここにそのまま展開する。
【0053】
ユーザタイトル情報のワークエリアは、さらに複数のユーザタイトル領域(ここでは49領域)に分割され、さらに情報ポインタのワークエリアも設けられている。この情報ポインタには、さらにタイトル別のユーザタイトル情報ポインタと、ユーザタイトル情報領域の操作フラグが含まれている。
【0054】
この情報ポインタは、ユーザタイトル情報やユーザストリーム情報を書き込み/読み出し/削除する際に使用される。
【0055】
たとえば、図9においてタイトル#2に書き込み要求されたユーザタイトル情報を書き込む場合には、まずユーザタイトル情報操作フラグを1(ユーザタイトル情報操作中)にし、書き込み要求されたタイトル#2に対応する情報ポインタにポインタを書き込み、指定したポインタ位置からユーザタイトル情報を書き込んだのち、ユーザタイトル情報操作フラグを2(ユーザタイトル情報操作完了)にする。そして、DVDドライブ15のトレイを開いたときにDVD媒体15mにユーザタイトル情報を書き込み、ユーザタイトル情報操作フラグを0(DVD媒体から展開されたままの状態)にしたのち情報ポインタのみをDVD媒体15mに書き込む。
【0056】
また、図9においてタイトル#2に書き込んだユーザタイトル情報を読み出す場合には、読み出し要求されたタイトル#2に対応する情報ポインタを読み出し、この指定されたポインタ位置からユーザタイトル情報を読み出す。
【0057】
また、図9において記録したタイトル#2を削除した場合には、ワークエリア操作フラグを1(ワークエリア更新中)にし、削除したタイトル#2より後のポインタを1タイトル分だけ前に移動し(同図の右図参照)、削除により余ったタイトル#49の情報ポインタに0xFF(ユーザタイトル情報がなし)を書き込んだのち、ワークエリア操作フラグを2(ワークエリア更新完了)にする。そして、DVDドライブ15のトレイを開いたときにDVD媒体15mにユーザタイトル情報を書き込み、ユーザタイトル情報操作フラグを0(DVD媒体から展開されたままの状態)にしたのち情報ポインタのみをDVD媒体15mに書き込む。DVD媒体15mへの書き込みが終了したらワークエリア操作フラグを0(DVD媒体から展開されたままの状態)にする。これにより、タイトル#2の削除操作に連動してユーザタイトル情報も自動的に削除されることになる。
【0058】
図10はユーザストリーム情報の書き込み/読み出し/削除する際の情報ポインタの処理手順を示す図であり、同図においてタイトル#2の所定位置に書き込み要求されたユーザストリーム情報を書き込む場合には、書き込み要求されたタイトル#2に対応するユーザストリーム情報ポインタにポインタを書き込み、指定したポインタ位置からユーザストリーム情報を書き込む。そして、書き込んだユーザストリーム情報のサイズより次タイトルユーザストリーム情報ポインタを書き込む。
【0059】
また、図10においてタイトル#2に書き込んだユーザストリーム情報を読み出す場合には、読み出し要求されたタイトル#2に対応するユーザストリーム情報ポインタを読み出し、この指定されたポインタ位置からユーザストリーム情報を読み出す。
【0060】
また、図10において記録したタイトル#2を削除した場合には、ワークエリア操作フラグを1(ワークエリア更新中)にし、削除したタイトル#2より後のポインタを1タイトル分だけ前に移動し(同図の右図参照)、削除により余ったタイトル#49の情報ポインタに0xFFFFFFFF(ユーザストリーム情報がなし)を書き込む。最終タイトルを削除した場合には最終タイトルのユーザストリーム情報ポインタを次タイトルユーザストリーム情報ポインタに書き込む。そして、ワークエリア操作フラグを2(ワークエリア更新完了)にし、DVDドライブ15のトレイを開いたときにDVD媒体15mにユーザストリーム情報を書き込み、DVD媒体15mへの書き込みが終了したらワークエリア操作フラグを0(DVD媒体から展開されたままの状態)にする。これにより、タイトル#2の削除操作に連動してユーザストリーム情報も自動的に削除されることになる。
【0061】
図11はDVD媒体15mのデータフォーマットの一例を示す図であり、ストリーム領域の先頭にユーザタイトル情報及びユーザストリーム情報などのユーザ情報の記録領域を確保する。ユーザ情報の記録領域としてテーブル領域(VMG,VTS,VRMI)を使用しないでストリーム領域を使用することで、他の再生装置を用いて再生したり追記したりする場合においても再生互換性及び記録互換性を確保することができる。なお、ストリーム領域の先頭をユーザ情報の記録領域として使用するので、実際のストリーム領域の先頭、同図で言えば554Aの位置をテーブル領域に記録されたテーブルに記録しておく。
【0062】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0063】
100…DVD記録装置
11…符号化手段
12…多重化手段
13…ストレージインターフェース
14…ハードディスクドライブ(第1の記録手段)
14m…ハードディスク媒体(第1の記録媒体)
15…DVDドライブ(第2の記録手段)
15m…DVD媒体(第2の記録媒体)
16…復号化手段
17…再生手段
18…制御手段
19…第2の外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の外部装置から入力されたデジタル音声信号およびデジタル映像信号のそれぞれを順次符号化する符号化手段と、
少なくとも前記符号化手段により符号化された音声の符号化データおよび映像の符号化データと検索用データとを一定単位毎に順次多重化する多重化手段と、
前記多重化手段により多重化されたデータを第1の情報記録媒体に記録する第1の記録手段および第2の情報記録媒体に記録する第2の記録手段と、
第2の外部装置からのユーザ情報を入力する入力手段と、
前記入力手段に入力されたユーザ情報を、前記第1の記録手段により前記第1の情報記録媒体に記録させるとともに、前記第2の記録手段により前記第2の情報記録媒体に記録させる制御手段と、を備えたデジタル音声映像情報の記録装置。
【請求項2】
前記ユーザ情報は、前記第1及び第2の情報記録媒体に記録されるデータのタイトルに関連したユーザタイトル情報と、前記第1及び第2の情報記録媒体に記録されるデータのストリームの時間軸に応じて推移する又はストリームの任意点に対応するユーザストリーム情報を含む請求項1記載のデジタル音声映像情報の記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第2の情報記録媒体の記録フォーマットにおいて、ストリーム領域の先頭にユーザ情報記録領域を確保し、ここに前記ユーザ情報を記録する請求項1又は2記載のデジタル音声映像情報の記録装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記ユーザ情報に対応したタイトルが前記第1の情報記録媒体又は前記第2の情報記録媒体から削除されたときは、当該ユーザ情報のポインタデータを書き換え又は移動させる請求項1〜3の何れかに記載のデジタル音声映像情報の記録装置。
【請求項5】
前記第1の情報記録媒体又は第2の情報記録媒体に記録された多重化データを音声信号と映像信号とのそれぞれに復号化する復号化手段と、
前記復号化手段により復号化された音声信号および映像信号、並びに前記第1の情報記録媒体又は第2の情報記録媒体に記録されたユーザ情報を再生する再生手段と、をさらに備えた請求項1〜4の何れかに記載のデジタル音声映像情報の記録装置。
【請求項6】
前記第1の情報記録媒体がハードディスク媒体であり、前記第2の情報記録媒体がDVD媒体である請求項1〜5の何れかに記載のデジタル音声映像情報の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−192096(P2010−192096A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21055(P2010−21055)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【分割の表示】特願2005−164663(P2005−164663)の分割
【原出願日】平成17年6月3日(2005.6.3)
【出願人】(501064343)株式会社プランネット・アソシエイツ (8)
【Fターム(参考)】