説明

デッドボルトの制御機構及びオプティカルロック

【課題】扉前面にバックセットに通ずる鍵穴が無く、しかもサムターンを備えない構造のデッドボルト制御機構及びこれを備えたオプティカルロックを低コストで提供する。
【解決手段】デッドボルト11が錠ケース15内に収容又は錠ケース15から突出するように弾発付勢するスプリング12と、錠ケース15の外に設置され、制御盤40から入力される制御信号に応じて前記扉の面と略平行にプランジャ21を出没させるソレノイド20と、扉の面と略垂直に設置され、ソレノイド20からのプランジャ21の出没と連動して回動するシャフト13と、シャフト13とともに回転し、シャフト13の回転に伴ってスプリング12の弾性力と対向する方向にデッドボルト11を付勢するカム14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を本締まりさせるデッドボルトを駆動制御する機構に関し、特に、扉の前面に鍵穴を備えない構造の錠システムに好適なデッドボルトの制御機構及びこれを用いたオプティカルロックに関する。
【背景技術】
【0002】
住居などへ不正に進入する手口の一つとして、「ピッキング」と呼ばれる不正開錠方法が用いられている。
【0003】
近年、防犯意識の向上に伴い、扉に取り付けられる錠も耐ピッキング性の高いものが使用されている。例えば、電気錠はその一つであり、電気錠の中にはそもそも扉にシリンダが取り付けられていないタイプのものもある。このタイプの電気錠は、シリンダ自体が存在しないため、ピッキングによる不正開錠は不可能である。
【0004】
電気錠に関する従来技術としては、特許文献1に開示される「電気錠の施・解錠機構」がある。
特許文献1に開示される発明は、錠ケース内に組み込んだソレノイドを駆動することでデッドボルトの出没させるものである。
【特許文献1】特開2004−360336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように電気錠の中にはシリンダを備えないタイプのものもあるが、これは補助錠として用いられるごく一部のものである。電気錠を主錠として用いるためには停電や故障対策としてシリンダ及びサムターンを設ける必要がある。
【0006】
しかし、不正開錠の手口は「ピッキング」だけではない。例えば、「サムターン回し」といった別の手口によって不正開錠されることもある。上記のように一般的な電気錠にはサムターンが設けられているため、サムターン回しに対する防犯性は従来のシリンダ錠と何ら変わりがない。
【0007】
しかも、特許文献1に開示される発明は、特殊な構造のバックセットが必要であるため、製造コストが高くなってしまうという問題があった。
【0008】
このように、従来は、扉前面にバックセットに通ずる鍵穴が無く、しかもサムターンを備えない構造で、デッドボルトを錠ケースから出没させる機構は提供されていなかった。
【0009】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、扉前面にバックセットに通ずる鍵穴が無く、しかもサムターンを備えない構造のデッドボルト制御機構及びこれを備えたオプティカルロックを低コストで提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、第1の態様として、扉に設置される錠ケースに収容されたデッドボルトを該錠ケースから出没させるためのデッドボルト制御機構であって、デッドボルトが錠ケース内に収容又は錠ケースから突出するように弾発付勢する弾性部材と、錠ケースの外に設置され、外部から入力される制御信号に応じて扉の面と略平行にプランジャを出没させるソレノイドと、扉の面と略垂直に設置され、ソレノイドからのプランジャの出没と連動して回動するシャフトと、シャフトとともに回転し、該シャフトの回転に伴って弾性部材の弾性力と対向する方向にデッドボルトを付勢するカムとを有するデッドボルトの制御機構を提供するものである。
【0011】
本発明の第1の態様においては、プランジャの直線運動がクランク機構によって回転運動に変換されてシャフトへ伝達されることが好ましい。
【0012】
本発明の第1の態様の上記のいずれの構成においても、ソレノイドが二つ配置され、各々のソレノイドは同一の制御信号に応じてシャフトを同方向に回転させるようにプランジャを出没させることが好ましく、これに加えて、ソレノイドは、プランジャの出没方向の延長線同士が扉と平行な面内で交差するようV字状に配置されていることがより好ましい。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明は、第2の態様として、請求項1から4のいずれか1項記載のデッドボルトの制御機構を用いたオプティカルロックであって、制御信号を出力する制御装置をさらに有し、錠ケースは、認証情報を記憶したマイコンチップ及び該マイコンチップの指令に基づいて認証情報を光信号として発する発光素子を有するオプティカルキーが第1の認証位置に配置された際に、それが正規のオプティカルキーである場合にのみ該オプティカルキーに電力を供給する手段と、第1の認証位置に配置された正規のオプティカルキーが発する光信号を、電気信号に変換する受光素子と、光信号を通過させる形状の導光路を備え、受光素子が異物によって破壊されないように保護する手段と、導光路を通過した光のうち、所定の光のみを受光素子に到達させるフィルタと、電気信号が、正規のオプティカルキーであることを示す認証情報であるか否かを判断する判断手段と、第2の認証位置に正規のオプティカルキーが配置されたことを検出する検出手段とを備え、制御装置は、判断手段が正規のオプティカルキーの認証情報であると判断した場合には、デッドボルトが錠ケースに収納されるようにソレノイドへ制御信号を出力し、正規のオプティカルキーが第2の認証位置へ配置されたことを検出手段が検出した場合には、デッドボルトが錠ケースから突出するようにソレノイドへ制御信号を出力することを特徴とするオプティカルロックを提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、扉前面にバックセットに通ずる鍵穴が無く、しかもサムターンを備えない構造のデッドボルト制御機構及びこれを備えたオプティカルロックを低コストで提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〔第1の実施形態〕
本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1に、本発明を適用した錠システムの構成を示す。この錠システムは、バックセット10及びソレノイド20(20a、20b)及びカム30からなるデッドボルト制御機構と、制御盤40と、鍵認証部50とを有する。なお、制御盤40が設置される側を“内”、鍵認証部50が設置される側を“外”とする。
【0016】
バックセット10は、既存のシリンダ錠に適用されるものと同様の構成であり、デッドボルト11、スプリング12、シャフト13、カム14を有し、これらを錠ケース15に収容している。なお、図1には図示しないが、空締まりのための機構(ラッチボルトなど)を備えていてもよい。
デッドボルト11は、錠システムが設置された扉を本締まりさせるための部材である。スプリング12は、デッドボルト11を錠ケース15に収容する方向に付勢している。シャフト13は、一端が錠ケース15から突出しており、錠ケース15から突出した部分にはカム30が取り付けられている。カム14は、シャフト13に固定されており、シャフト13とともに回動する。
【0017】
ソレノイド20は、制御盤40に接続されており、制御盤40からの制御信号に応じてプランジャ21(21a、21b)を出没させる。プランジャ21a、21bの先端は、ジョイントを介してカム30に連結されている。ソレノイド20は、角型でも丸型でも適用可能であるが、省スペースの観点からは丸型のものであることが好ましい。
【0018】
図2に示すように、各プランジャは、シャフト13を中心として点対称となる位置でカム30と連結されている。
【0019】
制御盤40は、解錠スイッチ41と施錠スイッチ42とを有する。制御盤40には、鍵認証部50から入力される解錠信号又は施錠信号に基づいてソレノイド20を駆動するためのコンピュータを備えている。なお、制御盤40にバッテリーを内蔵し、商用電源か供給されない状況でも施錠・解錠を行えるようにすることが好ましい。
【0020】
鍵認証部50は、解錠位置又は施錠位置に配置された鍵が正規のものであるか否かを識別し、正規のものであると判断した場合に、制御盤40へ解錠信号又は施錠信号を出力する。
鍵の認証の仕方は任意であり、公知のものを適用できる。すなわち、鍵の形状に基づく物理的な認証の他、磁気的、電気的、光学的又は電磁気的な認証など、あるいはこれらを組み合わせた認証方法を適用可能である。
【0021】
錠システムの動作について説明する。
まず、解錠時の動作について説明する。図4に、錠システムの解錠動作の流れを示す。錠システムが施錠状態にある場合には、制御盤40は、鍵認証部50から解錠信号が入力されるか解錠スイッチ41が押下されるのを待機する(ステップS101)。
鍵認証部50から解錠信号が入力されるか解錠スイッチ41が押下された場合には(ステップS101/Yes)、制御盤40はソレノイド20a及び20bのそれぞれに制御信号を出力する(ステップS102)。
図2に示すように、施錠状態では収納されていたプランジャ21aは制御盤40からの制御信号に応じて突出し、施錠状態では突出していたプランジャ21bは制御盤からの制御信号に応じて収納される(ステップS103)。これにより、カム30にトルクが作用して左回りに回転し、カム30に固定されているシャフト13もこれとともに左回りに回転する(ステップS104)。
【0022】
図3に示すように、シャフト13が左回りに回転すると、デッドボルト11を付勢して錠ケース15から突出させていたカム14も左回りに回転し、デッドボルト11を付勢しなくなる。このため、デッドボルト11はスプリング12の弾性力によって錠ケース15に収容される(ステップS105)。
【0023】
次に施錠時の動作について説明する。図5に、錠システムの施錠動作の流れを示す。錠システムが解錠状態にある場合には、制御盤40は、鍵認証部50から施錠信号が入力されるか施錠スイッチ42が押下されるのを待機する(ステップS201)。
鍵認証部50から施錠信号が入力されるか施錠スイッチ42が押下された場合には(ステップS201/Yes)、制御盤40はソレノイド20a及び20bのそれぞれに制御信号を出力する。
図2に示すように、解錠状態では突出していたプランジャ21aは制御盤40からの制御信号に応じて収納され、解錠状態では収納されていたプランジャ21bは制御盤からの制御信号に応じて突出する。これにより、カム30にトルクが作用して右回りに回転し、カム30に固定されているシャフト13もこれとともに右回りに回転する。
【0024】
図3に示すように、シャフト13が右回りに回転すると、カム14も右回りに回転し、スプリングの弾性力に打ち勝ってデッドボルト11を付勢する。このため、デッドボルト11は錠ケース15から突出する。
【0025】
このように、本実施形態にかかる錠システムは、既存のバックセットを用いて構成できるため、製造が容易であるだけでなく、既に設置されている錠装置と取り替えて設置することが可能である。
しかも、外部から施錠・解錠の操作をするためのシリンダを備える必要がないため、ピッキングによって不正に解錠される恐れがない。
さらに、デッドボルトを駆動するカム(カム14)の位置は、扉の外側からはわからないため、ピッキング以外の不正解錠方法に対する耐性も高い。
さらに、右開きの扉にも左開きの扉にも適用可能であるため、汎用性が高く製造コストの低減が図れる。
【0026】
なお、本実施形態においては、シャフト13を左回りに回転させると解錠、右回りに回転させると施錠となる構成を例としたが、シャフト13を右回りに回転させると施錠で左回りに回転させると解錠となる構成であっても良いことは言うまでもない。
【0027】
〔第2の実施形態〕
本発明を好適に実施した第2の実施形態について説明する。本実施形態にかかる錠システムの構成は、第1の実施形態と同様である。
ただし、本実施形態においては、外部から施錠・解錠操作をするための認証を光学的認証装置によって行っている。
図6に、本実施形態に適用する光学的認証装置を示す。
なお、この光学的認証装置は、図7に示すように、鍵110を認証部120に嵌合させたのちに時計回りに回転させると、鍵110が解錠用の認証位置(第1の認証位置)に配置される。逆に、反時計回りに回転させると、鍵110が施錠用の認証位置(第2の認証位置)に配置される。
【0028】
鍵110は、マイコンチップ111、発光素子112、レンズ113、および受電部114を有する。
マイコンチップ111は、正規の鍵であることを示す認証情報を記憶している。マイコンチップ111のCPUは、ビット数が多いほど認証情報を複雑にできるため好ましい。発光素子112は、マイコンチップ111の指令に基づいて、電気信号を光信号に変換して出力する。例えば、光の変調(発光のON/OFFの切り替え)によって、認証情報をデジタル伝送方式で出力する。発光素子112としては、レーザダイオード(LD)や発光ダイオード(LED)等を適用できる。レンズ113は、発光素子112の出力光を収束する。受電部114は、鍵110が解錠用の認証位置へ配置された場合に、送電部128と整合するように配置する。
【0029】
認証部120は、制御部121、受光素子122、電源123、保護手段125、フィルタ手段126、鍵検出センサ127、送電部128、解錠用スイッチ129a、および施錠用1スイッチ29bを有する。
【0030】
制御部121は、受光素子122から入力された電気信号が、制御部121自身が保持している認証情報と一致するか否かを判断し、認証情報と一致すると判定した場合は、錠システムを解錠状態に移行させる命令を制御盤40に出力する。
さらに、鍵110と認証部120とが嵌合して鍵検出スイッチ127が閉じた場合は、認証部120を待機モードから作動モードに移行させる。なお、待機モードとは、電源123から認証部120の各部に電力が供給されていない状態であり、作動モードとは、電源123から認証部120の各部に電力が供給されている状態である。通常、認証部120は待機モードとなっており、施錠/解錠動作時のみ作動モードとすることで省電力を実現する。加えて、鍵110が解錠用の認証位置に配置されている場合は、電源123を制御して必要に応じて鍵110へ電力を供給させる。
さらに加えて、制御部121は、バックセット10の状態を検出して、施錠状態であるか解錠状態であるかを判断する。
【0031】
受光素子122は、受光した光信号を電気信号に変換して制御部121に出力する。受光素子122としては、フォトダイオード(PD)やフォトトランジスタ等を適用できる。
電源123は、認証部120の各部に電源を供給し、鍵110が解錠用の認証位置に配置されている場合は、制御部121の指示に基づいて、鍵110にも電力を供給する。電源123としては、電池やレギュレーションされたDC電源を適用できる。
電源123は、待機モードでは認証部20の各部に電力を供給しないことで省電力を図り、作動モードでは認証部20の各部に電力を供給する。
【0032】
保護手段125は、所定の口径の穴251を有する。保護手段125は、受光素子122がピッキング金具等で破壊されるのを防ぐ機能を有する。保護手段125は、認証部120が格納されるケース(不図示)の筐体壁の一部であってもよいし、ケースと別個に設けてもよい。
穴251の径は、受光素子122を作動させるのに最低限必要な光量の光が通過できる径より大きく、かつ、ピッキング金具等を挿入できない大きさとする。受光素子122を作動させるにために最低限必要な光量の光を通過させる穴の径は、発光素子12が発する光の波長や受光素子122の感度等によって異なるが、3mm以下とすることが好ましい。なお、穴251の形状は円形に限定されず、上記条件を満たす大きさであれば、矩形や楕円形等でもよい。
【0033】
フィルタ手段126は、穴251を通過した光のうち、所定の波長かつ所定の輝度(光量)以上の光のみを受光素子122に到達させる。なお、これらの条件のどちらか一方のみを満たす光を受光素子122に到達させてもよい。
所定の波長の光を通過させる手段としては、例えば、バンドパスフィルタを適用できる。また、所定の輝度(光量)以上の光を通過させる手段としては、例えば、偏光フィルタや減光フィルタを適用できる。
すなわち、フィルタ手段126の特性は、例えば、バンドパスフィルタと減光フィルタとの少なくともいずれかを有する構成によって実現できる。
バンドパスフィルタは、所定の波長の光のみを通過させるため、正規の鍵が発する光と異なる波長の光信号を受光素子が検出することを防止できる。
偏光フィルタや減光フィルタは、入力された光の輝度を弱める機能を有する。すなわち、偏光フィルタや減光フィルタは、所定の光量以下の光信号を受光素子が反応しないレベルまで減衰させる。
【0034】
鍵検出スイッチ127は、鍵110と認証部120とが嵌合した場合に、電源123と制御部121とを導通させる。例えば、鍵検出スイッチ127は、鍵110を認証部120に嵌合させた場合に、鍵110に設けた凸起が機械的にリレーを閉じるようにしてもよいし、あるいは電気的な接触によってリレーを閉じるようにしてもよい。
送電部128は、受電部114と整合することで、電源123と鍵110とを導通させる。
解錠用スイッチ129aは、鍵110が解錠用の認証位置に配置されたことを検出する。施錠用スイッチ129bは、鍵110が施錠用の認証位置に配置されたことを検出する。解錠用スイッチ129aおよび施錠用スイッチ129bは、例えば、鍵110に設けた凸起が機械的にリレーを閉じるようにしてもよいし、電気的な接触によってリレーを閉じるようにしてもよい。
【0035】
図8に、鍵110と錠120とを嵌合位置で嵌合させた状態を示す。この図を参照して、図9〜図11に示す本発明を適用した錠システムによる解錠/施錠動作の流れを説明する。
【0036】
〈解錠/施錠共通の動作〉
図9に、解錠/施錠で共通の動作の流れを示す。
まず、ユーザが、鍵110と認証部120とを嵌合させると(ステップS301)、鍵検出スイッチ127のリレーが閉じて、制御部121に電力が供給される(ステップS302)。制御部121は、電源123を制御して認証部120の各部に電力を供給させ、認証部120を作動モードに移行する(ステップS303)。
認証部120が作動モードに移行したのち、制御部121は、バックセット10の状態を検出して、施錠状態であるか解錠状態であるかを判断する(ステップS304)。
【0037】
その後、ユーザが錠110を回転させると、解錠用スイッチ129a、あるいは施錠用スイッチ129bが、解錠用あるいは施錠用の認証位置に鍵110が配置されたことを検出する(ステップS305)。
鍵110が解錠用の認証位置に配置された場合は(ステップS306/Yes)、図10に示す解錠動作を実行する。一方、鍵110が施錠用の認証位置に配置された場合は(ステップS306/No)、図11に示す施錠動作を実行する。
【0038】
〈解錠動作〉
図10に、解錠動作の流れを示す。
ステップS304で解錠状態であると判断した場合は(ステップS401/No)、解錠する必要がないので、認証部120は待機モードに移行し(ステップS411)、動作を終了する。
施錠状態であると判断した場合は(ステップS401/Yes)、ステップS402以下の処理を実行する。
【0039】
鍵110が解錠用の認証位置に配置されると、送電部128と受電部114とが整合する。これによって、電源123と鍵110とが導通し、電源123から鍵110の各部に電力が供給される(ステップS402)。
マイコンチップ111は、電源123から電力が供給されると、発光素子112を制御し、ダミーデータを光信号130として送出させる(ステップS403)。発光素子112から送出された光信号130は、レンズ113により収束され、穴251を介してフィルタ手段126に入力される。
受光素子122が、フィルタ手段126を通過した光信号130を受光し、電気信号に変換して制御部121に入力すると(ステップS404/Yes)、制御部121は、ダミーデータと同期をとる(ステップ3205)。
【0040】
その後、マイコンチップ111は、発光素子112を制御し、認証情報を光信号131として送出させる(ステップS406)。発光素子112から送出された光信号131は、レンズ113により収束され、穴251を介してフィルタ手段126に入力される。受光素子122は、フィルタ手段126を通過した光信号131を受光すると、電気信号に変換して制御部121に入力する(ステップS407/Yes)。
制御部121は、受光素子122から入力された電気信号が、制御部121自身が保持している認証情報と一致するかを判断する(ステップS408)。
【0041】
一致すると判断した場合(ステップS408/Yes)、制御部121は、電源123を制御して鍵110への電力の供給を停止させる(ステップS409)。制御部121は、制御盤40へ解錠信号を送り錠システムを解錠状態に移行させる(ステップS410)。その後、認証部120各部への電力の供給を停止して待機モードに移行し(ステップS411)、処理を終了する。
【0042】
一方、一致しないと判断した場合(ステップS408/No)、制御部121は、電源123を制御して鍵110への電力の供給を停止させる。さらに制御部121は、不図示の発音手段(スピーカ等)を用いてユーザにエラーを通知する(ステップS412)。その後、認証部120各部への電力の供給を停止して待機モードに移行し(ステップS413)、処理を終了する。
【0043】
また、フィルタ手段126に入力された光信号が、受光素子122に到達しなかった場合(ステップS404/No、またはステップS407/No)、制御部121は、一定時間が経過した後、鍵110への電力の供給を停止させる(ステップS413)。その後、認証部120各部への電力の供給を停止して待機状態に移行し(ステップS411)、処理を終了する。
【0044】
なお、認証情報と一致しないと判断した場合に(ステップS408/No)、制御部121がこれをカウントするようにし、一定期間内に所定の回数(任意に設定可)に達した場合は、鍵による解錠操作を全く受け付けない状態に移行するようにしてもよい。この状態は、所定の時間経過後、自動的に解除されるようにするとよい。
【0045】
〈施錠動作〉
図11に、施錠動作の流れを示す。
ステップS304で施錠状態であると判断した場合は(ステップS501/No)、施錠する必要がないので、錠120は待機モードに移行し(ステップS503)、動作を終了する。
【0046】
施錠状態であると判断した場合(ステップS501/Yes)、制御部121は、制御盤40に施錠信号を送り錠システムを施錠状態に移行させる(ステップS502)。その後、認証部120は待機モードに移行して(ステップS503)、動作を終了する。
【0047】
なお、鍵110に所定の凹凸パターンを設け、認証部120と適合しないパターンの場合は、認証部120と嵌合できないようにしたり、第1あるいは第2の認証位置まで回転できないようにするとよい。あるいは、適合しない鍵を、第1あるいは第2の認証位置まで回転させても、解錠用スイッチ129aあるいは施錠用スイッチ129bが作動しないようにしてもよい。
【0048】
本発明にかかるデッドボルトの制御機構は、扉の外側からはバックセット内に物理的な力を加えることがないため、上記のような手法で鍵を認証する錠システムに好適に適用可能である。
【0049】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。
例えば、上記実施形態では、デッドボルトがスプリングによって錠ケース内に収容される方向に付勢される構成を例としたが、デッドボルトがスプリングによって錠ケースから突出する方向に付勢されていて、カムの働きによって錠ケース内に収容される構成としてもよい。
また、上記実施形態では二つのソレノイドを略V字状に設置する構成を例としたが、シャフトを回転させてデッドボルトを付勢する(スプリングの弾性力に打ち勝つ)のに十分な力を備えるのであれば、単体でもかまわない。さらに、二つのソレノイドとカムとがクランク状となるようにソレノイドを設置しても良い。
また、ソレノイドは扉の内側の表面に設置するのではなく、扉に内蔵させても良い。
このように、本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を好適に実施した第1の実施形態にかかる錠システムの構成を示す図である。
【図2】ソレノイドから出没するプランジャとカムとの連結状態を示す図である。
【図3】シャフトの回転に伴ってデッドボルトが錠ケースから出没する状態を示す図である。
【図4】錠システムの解錠動作の流れを示す図である。
【図5】錠システムの施錠動作の流れを示す図である。
【図6】本発明を好適に実施した第2の実施形態にかかる錠システムに適用する光学的認証装置の構成を示す図である。
【図7】光学的認証装置の認証位置を示す図である。
【図8】鍵を認証中の光学的認証装置を示す図である。
【図9】光学的認証装置の動作の流れを示す図である。
【図10】光学的認証装置の動作の流れを示す図である。
【図11】光学的認証装置の動作の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 バックセット
11 デッドボルト
12 スプリング
13 シャフト
14、30 カム
15 錠ケース
20 ソレノイド
40 制御盤
41 解錠スイッチ
42 施錠スイッチ
50 鍵認証部
110 鍵
111 マイコンチップ
112 発光素子
113 レンズ
114 受電部
120 認証部
121 制御部
122 受光素子
123 電源
125 保護手段
126 フィルタ手段
127 鍵検出スイッチ
128 送電部
129a 解錠用スイッチ
129b 施錠用スイッチ
130 光信号(ダミーデータ)
131 光信号(認証情報)
251 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉に設置される錠ケースに収容されたデッドボルトを該錠ケースから出没させるためのデッドボルト制御機構であって、
前記デッドボルトが前記錠ケース内に収容又は前記錠ケースから突出するように弾発付勢する弾性部材と、
前記錠ケースの外に設置され、外部から入力される制御信号に応じて前記扉の面と略平行にプランジャを出没させるソレノイドと、
前記扉の面と略垂直に設置され、前記ソレノイドからの前記プランジャの出没と連動して回動するシャフトと、
前記シャフトとともに回転し、該シャフトの回転に伴って前記弾性部材の弾性力と対向する方向に前記デッドボルトを付勢するカムとを有するデッドボルトの制御機構。
【請求項2】
前記プランジャの直線運動がクランク機構によって回転運動に変換されて前記シャフトへ伝達されることを特徴とする請求項1記載のデッドボルトの制御機構。
【請求項3】
前記ソレノイドが二つ配置され、各々のソレノイドは同一の制御信号に応じて前記シャフトを同方向に回転させるように前記プランジャを出没させることを特徴とする請求項1又は2記載のデッドボルトの制御機構。
【請求項4】
前記ソレノイドは、前記プランジャの出没方向の延長線同士が前記扉と平行な面内で交差するようV字状に配置されていることを特徴とする請求項3記載のデッドボルトの制御機構。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載のデッドボルトの制御機構を用いたオプティカルロックであって、
前記制御信号を出力する制御装置をさらに有し、
前記錠ケースは、
認証情報を記憶したマイコンチップ及び該マイコンチップの指令に基づいて前記認証情報を前記光信号として発する発光素子を有するオプティカルキーが前記第1の認証位置に配置された際に、それが正規のオプティカルキーである場合にのみ該オプティカルキーに電力を供給する手段と、
前記第1の認証位置に配置された正規のオプティカルキーが発する光信号を、電気信号に変換する受光素子と、
前記光信号を通過させる形状の導光路を備え、前記受光素子が異物によって破壊されないように保護する手段と、
前記導光路を通過した光のうち、所定の光のみを前記受光素子に到達させるフィルタと、
前記電気信号が、正規のオプティカルキーであることを示す認証情報であるか否かを判断する判断手段と、
前記第2の認証位置に正規のオプティカルキーが配置されたことを検出する検出手段とを備え、
前記制御装置は、
前記判断手段が前記正規のオプティカルキーの認証情報であると判断した場合には、前記デッドボルトが前記錠ケースに収納されるように前記ソレノイドへ前記制御信号を出力し、正規のオプティカルキーが前記第2の認証位置へ配置されたことを前記検出手段が検出した場合には、前記デッドボルトが前記錠ケースから突出するように前記ソレノイドへ前記制御信号を出力することを特徴とするオプティカルロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−177390(P2007−177390A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373321(P2005−373321)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(505476146)株式会社クリエイティブシステムズ (1)
【Fターム(参考)】