説明

デンタルワイプ

本発明は、塩基性アミノ酸またはその塩を含むデンタルワイプに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許出願No.61/027,426、2008年2月8日出願、に基づく優先権を主張し、その内容を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0001] デンタルワイプ(dental wipe)は当技術分野で既知であり(たとえば、U.S.Patent No.7,127,771を参照)、歯および/または口腔を清浄にするための一般的な方法が不都合な個体にしばしば用いられる。たとえば旅行者およびオフィス勤務者は自分の口腔を清浄にする必要性を感じる場合があるが、歯のブラッシングやマウスウォッシュの使用は不都合または不可能である。乳児の親は乳児の口腔を清浄にしたいと思うであろうが、乳児が歯ブラシで傷ついたりマウスウォッシュを飲み込んだりする可能性があるので、歯ブラシやマウスウォッシュの使用は危険である。同様に、病弱者、たとえば入院中の無意識患者の口腔のクリーニングもきわめて困難であるが、デンタルワイプを用いて行なうことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0002] デンタルワイプの有用性からみて、より効率的で有効なデンタルワイプの開発が絶えず求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0003] 本発明は、塩基性アミノ酸と組み合わせた、または塩基性アミノ酸と関連させた(association with)、たとえば塩基性アミノ酸を含む組成物(組成物1.0)を含浸させた、含有する、またはそれでコートした、デンタルワイプを含む。塩基性アミノ酸または塩をワイプにコートし、あるいはワイプのマトリックス内に含浸させることができる。
【0005】
[0004] 本発明は、下記の組成物と組み合わせた、または関連させた、デンタルワイプを含む:
1.1.塩基性アミノ酸がアルギニン、リジン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ヒスチジン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸(diaminoproprionic acid)、その塩類、および/またはその組合わせである、組成物1.0;
1.2.塩基性アミノ酸がL−立体配置をもつ、組成物1.0または1.0.1;
1.3.塩基性アミノ酸を含むジ−またはトリ−ペプチドの塩の形で供給される、前記のいずれかの組成物;
1.4.塩基性アミノ酸がアルギニンである、前記のいずれかの組成物;
1.5.塩基性アミノ酸がL−アルギニンである、前記のいずれかの組成物;
1.6.塩基性アミノ酸が塩の型である、前記のいずれかの組成物;
1.7.塩基性アミノ酸の塩がリン酸アルギニンである、前記のいずれかの組成物;
1.8.塩基性アミノ酸の塩が塩酸アルギニンである、前記のいずれかの組成物;
1.9.塩基性アミノ酸の塩が硫酸アルギニンである、前記のいずれかの組成物;
1.10.塩基性アミノ酸の塩が重炭酸アルギニンである、前記のいずれかの組成物;
1.11.さらに、フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウム、およびその組合わせから選択されるフッ化物塩を含む、前記のいずれかの組成物;
1.12.さらに、生理的に許容できるカリウム塩、たとえば硝酸カリウムまたは塩化カリウムを、象牙質知覚過敏を軽減するのに有効な量で含む、前記のいずれかの組成物;
1.13.少なくとも1種類の湿潤剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.14.グリセリン、ソルビトール、およびその組合わせから選択される少なくとも1種類の湿潤剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.15.着香剤、芳香剤および/または着色剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.16.抗細菌剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.17.下記のものから選択される抗細菌剤を含む、前記のいずれかの組成物:トリクロサン(triclosan)、草本エキスおよび精油(たとえばローズマリーエキス、茶エキス、モクレン(magnolia)エキス、チモール(thymol)、メントール、ユーカリプトール(eucalyptol)、ゲラニオール、カルバクロール(carvacrol)、シトラール(citral)、ヒノキトール(hinokitol)、カテコール、サリチル酸メチル、没食子酸エピガロカテキン(epigallocatechin gallate)、エピガロカテキン、没食子酸)、ビスグアニド系防腐剤(たとえばクロルヘキシジン(chlorhexidine)、アレキシジン(alexidine)またはオクテニジン(octenidine))、第四級アンモニウム化合物(たとえばセチルピリジニウムクロリド(CPC)、塩化ベンザルコニウム、テトラデシルピリジニウムクロリド(TPC)、N−テトラデシル−4−エチルピリジニウムクロリド(TDEPC))、フェノール系防腐剤、ヘキセチジン(hexetidine)、オクテニジン、サンギナリン(sanguinarine)、ポビドンヨード(povidone iodine)、デルモピノール(delmopinol)、サリフルオル(salifluor)、金属イオン(たとえば亜鉛塩、たとえばクエン酸亜鉛、スズ(II)塩、銅塩、鉄塩)、サンギナリン、プロポリス(propolis)および酸素化剤(たとえば過酸化水素、緩衝化されたペルオキシホウ酸ナトリウムまたはペルオキシ炭酸ナトリウム)、フタル酸およびその塩、モノパーサル酸(monoperthalic acid)ならびにその塩およびエステル、ステアリン酸アスコルビル、オレオイルサルコシン(oleoyl sarcosine)、硫酸アルキル、スルホコハク酸ジオクチル、サリチルアニリド、臭化ドミフェン(domiphen bromide)、デルモピノール、オクタピノール(octapinol)および他のピペリジノ誘導体、ナイシン製剤、亜塩素酸塩、ならびに以上のいずれかの混合物;
1.18.さらに、歯または口腔への細菌の付着を妨害または阻止する薬剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.19.増白剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.20.ペルオキシド、亜塩素酸金属塩、ペルボレート、ペルカーボネート、ペルオキシ酸、次亜塩素酸塩、およびその組合わせからなる群から選択される増白活性物質から選択される増白剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.21.さらに、過酸化水素または下記の過酸化水素源を含む、前記のいずれかの組成物:たとえば過酸化尿素、またはペルオキシド塩もしくは複合体(たとえばペルオキシホスフェート、ペルオキシカーボネート、ペルボレート、ペルオキシシリケートまたはペルスルフェート塩;たとえばペルオキシリン酸カルシウム、過ホウ酸ナトリウム、ナトリウムカーボネートペルオキシド、ペルオキシリン酸ナトリウム、および過硫酸カリウム)、または過酸化水素−ポリマー複合体、たとえば過酸化水素−ポリビニルピロリドンポリマー複合体;
1.22.さらに抗歯石剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.23.さらに抗歯石剤を含み、それらがポリホスフェート、たとえばピロホスフェート、トリポリホスフェート、またはヘキサメタホスフェート、たとえばナトリウム塩の型のものである、前記のいずれかの組成物;
1.24.さらに、下記のものから選択されるカルシウムおよびホスフェートの供給源を含む、前記のいずれかの組成物:(i)カルシウム−ガラス複合体、たとえばカルシウムナトリウムホスホシリケート、および(ii)カルシウム−タンパク質複合体、たとえばカゼインホスホペプチド−非晶質リン酸カルシウム;
1.25.さらに、下記の可溶性カルシウム塩を含む前記のいずれかの組成物:たとえばカルシウムの有機リン酸塩またはポリリン酸塩、たとえばフィチン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム;可溶性カルボン酸の塩類、たとえばクエン酸カルシウム、リンゴ酸カルシウム、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、ギ酸カルシウム、フマル酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸乳酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、およびプロピオン酸カルシウム;塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウムから選択されるもの;ならびにその混合物;
1.26.さらに、界面活性剤、たとえば陰イオン界面活性剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウム、および両性界面活性剤、たとえばコカミドプロピルベタイン、ならびにその混合物から選択されるものを含む、前記のいずれかの組成物;
1.27.さらに、ブレスフレッシュナー(breath freshner)を含む、前記のいずれかの組成物。
【0006】
1.28.たとえば拭取り(wiping)により口腔に適用した際に、下記のために有効な、前記のいずれかの組成物:
a.齲歯の形成を軽減または抑制する、
b.たとえば定量光誘導蛍光(quantitative light−induced fluorescence)(QLF)または電気的伝導度測定(electrical conductance measurement)(ECM)により検出される、たとえばエナメル質の前齲食病変を軽減、修復または抑制するなど、初期のエナメル質病変を軽減、修復または抑制する、
c.歯の脱灰を軽減または抑制し、再石灰化を促進する、
d.歯の過敏性を軽減する、
e.歯肉炎を軽減または抑制する、
f.口内の潰瘍または切り傷の治癒を促進する、
g.酸産生細菌のレベルを低下させる、
h.アルギニン分解細菌(arginolytic bacteria)の相対レベルを高める、
i.口腔における微生物バイオフィルムの形成を抑制する、
j.糖負荷後の歯垢pHを少なくともpH5.5のレベルに上昇および/または維持する、
k.歯垢の蓄積を軽減する、
l.口内乾燥を処置する、
m.歯を増白する、
n.たとえば口腔組織を介した全身感染の潜在性を低下させることにより、心血管の健康状態を含めた全身の健康状態を増進する、
o.歯の侵食を軽減する、
p.歯を齲食原性細菌に対して免疫化する、ならびに/あるいは
q.歯および口腔を清浄にする;
1.29.本発明は、方法2.0、すなわち
a.齲歯の形成を軽減または抑制する、
b.たとえば定量光誘導蛍光(QLF)または電気的伝導度測定(ECM)により検出される、たとえばエナメル質の前齲食病変を軽減、修復または抑制するなど、初期のエナメル質病変を軽減、修復または抑制する、
c.歯の脱灰を軽減または抑制し、再石灰化を促進する、
d.歯の過敏性を軽減する、
e.歯肉炎を軽減または抑制する、
f.口内の潰瘍または切り傷の治癒を促進する、
g.酸産生細菌のレベルを低下させる、
h.アルギニン分解細菌の相対レベルを高める、
i.口腔における微生物バイオフィルムの形成を抑制する、
j.糖負荷後の歯垢pHを少なくともpH5.5のレベルに上昇および/または維持する、
k.歯垢の蓄積を軽減する、
l.口内乾燥を処置する、
m.歯を増白する、
n.たとえば口腔組織を介した全身感染の潜在性を低下させることにより、心血管の健康状態を含めた全身の健康状態を増進する、
o.歯の侵食を軽減する、
p.歯を齲食原性細菌に対して免疫化する、ならびに/あるいは
q.歯および口腔を清浄にする
方法であって、デンタルワイプを用いて本発明組成物を口腔に適用することを含む方法も包含する。
【0007】
[0005] 本発明の他の態様は当業者に明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0006] 特定の理論により拘束されるつもりはないが、塩基性アミノ酸は口腔において、あるタイプの細菌、たとえば齲食原性ではなく歯および口腔における存在位置についてストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)などの齲食原性細菌と競合するストレプトコッカス・サングイス(S.sanguis)により代謝されると考えられる。これらのアルギニン分解細菌はアルギニンその他の塩基性アミノ酸を使ってアンモニアを産生し、これによりそれらの環境のpHを上昇させることができ、一方、齲食原性細菌は糖を代謝して乳酸を産生し、これは歯垢pHを低下させ、歯を脱灰し、最終的に空洞を生じる傾向がある。本発明組成物を使用すると、アルギニン分解細菌が相対的に増加し、齲食原性細菌が相対的に減少し、その結果、歯垢pHがより高くなると考えられる。
【0009】
[0007] 本発明組成物中に使用できる塩基性アミノ酸には、天然の塩基性アミノ酸、たとえばアルギニン、リジンおよびヒスチジンだけでなく、分子中にカルボキシル基およびアミノ基をもつ塩基性アミノ酸はいずれも含まれる。したがって、塩基性アミノ酸にはアルギニン、リジン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ヒスチジン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸、その塩類、またはその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。具体的な態様において、塩基性アミノ酸はアルギニン、シトルリンおよびオルニチン、好ましくはアルギニン、たとえばl−アルギニンから選択される。
【0010】
[0008] 本発明組成物は、口内に使用される;本発明に使用するための塩類は、提示した量および濃度でそのような用途について安全でなければならない。適切な塩類には医薬的に許容できる塩類であることが当技術分野で知られている塩類が含まれ、これらは提示した量および濃度で一般に生理的に許容できると考えられる。生理的に許容できる塩類には、医薬的に許容できる無機酸もしくは有機酸または塩基から誘導されるもの、たとえば生理的に許容できる陰イオンを形成する酸により形成される酸付加塩、たとえば塩酸塩または臭化物塩、ならびに生理的に許容できる陽イオンを形成する塩基により形成される塩基付加塩、たとえばアルカリ金属、たとえばカリウムおよびナトリウム、またはアルカリ土類金属、たとえばカルシウムおよびマグネシウムから誘導されるものが含まれる。生理的に許容できる塩類は、当技術分野で既知の標準法を用いて、たとえば十分に塩基性の化合物、たとえばアミンと、生理的に許容できる陰イオンを与える適切な酸との反応により得ることができる。好ましい塩は重炭酸塩、たとえば重炭酸アルギニンである。
【0011】
[0009] デンタルワイプおよびそれらの製造方法は当技術分野で周知である。たとえばデンタルワイプは、不織布をそれに指を入れることができるように付形することにより製造できる。たとえばU.S.Patent No.6,721,987を参照;その内容を本明細書に援用する。
【0012】
[0010] 1態様においては、不織布を製造するために用いる繊維に塩基性アミノ酸またはその塩を含有させることができる。
[0011] 織布および不織布をコートするための方法も当技術分野で既知である。たとえば1態様においては、塩基性アミノ酸またはその塩をデンタルワイプに直接吹き付けることができる。本発明の1態様においては、アルギニンまたはその医薬的に許容できる塩を含むエマルジョン浴中でデンタルワイプを処理し、次いで乾燥させる。
【0013】
[0012] 本発明の1態様において、デンタルワイプは場合によりフッ化物またはフッ化物イオン源を含有することができる。多様なフッ化物イオン供与物質を本発明組成物中に可溶性フッ化物の供給源として使用できる。適切なフッ化物イオン供与物質の例は下記にある:U.S.Pat.No.3,535,421,Brinerらに付与;U.S.Pat.No.4,885,155,Parran,Jr.らに付与;およびU.S.Pat.No.3,678,154,Widderらに付与;これらを本明細書に援用する。代表的なフッ化物イオン源には、フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウム、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、フッ化物イオン源には、フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、およびその混合物が含まれる。
【0014】
[0013] 本発明のデンタルワイプは、塩基性アミノ酸の有益な効果をさらに補助するために、防腐剤もしくは抗微生物剤、界面活性剤、増白剤、カルシウム源、フッ化物源、または他の機能性作用物質、たとえば前記のもの、およびその組合わせを含むこともできる。
【0015】
[0014] 本発明による組成物および方法は、修復および再石灰化を促進することにより歯を保護し、特に齲歯の形成を軽減または抑制し、歯の脱灰を軽減または抑制し、再石灰化を促進し、歯の過敏性を軽減し、ならびに、たとえば定量光誘導蛍光(QLF)または電気的齲食モニター(ECM)により検出される初期のエナメル質病変を軽減、修復または抑制する方法に有用である。
【0016】
[0015] 定量光誘導蛍光は、初期病変を検出してその進行または退縮を縦断的にモニターすることができる可視光蛍光である。正常な歯は可視光線中で蛍光発光する;脱灰した歯は発光しないか、またはより低い程度に発光するにすぎない。脱灰領域を定量し、その進行をモニターすることができる。青色レーザー光線を用いて歯を自然蛍光発光させる。無機質が失われた領域は、健全な歯の表面と比較してより低い蛍光をもち、より暗く見える。ソフトウェアを用いて、病変関連の白斑または面積/体積から蛍光を定量する。一般に、既存の白斑病変をもつ対象をパネリストとして参加させる。インビボで実際の歯について測定を行なう。病変面積/体積を臨床試験の開始時に測定する。病変面積/体積の減少(改善)を6カ月間の製品使用後に測定する。このデータは、しばしばベースラインに対する改善率パーセントとして報告される。
【0017】
[0016] 電気的齲食モニターは、電気抵抗に基づいて歯の無機質含量を測定するために用いる技術である。電導度測定は、脱灰およびエナメル質侵食を受けて流体が充たされた歯細管は電気を伝導するという事実を利用する。歯が無機質を失うのに伴って、多孔性が増すため歯は電流に対する抵抗がより低くなる。したがって、患者の歯の電導度の上昇を脱灰の指標とすることができる。一般に、既存の病変をもつ歯根表面について試験を実施する。インビボで実際の歯について測定を行なう。6カ月間の処置の前と後で電気抵抗の変化を測定する。さらに、触覚プローブ(tactile probe)を用いて歯根表面についての古典的な齲食採点を行なう。硬度を3点スケールで分類する:硬い、皮革様、または柔らかい。このタイプの試験では、一般にECM測定についての電気抵抗(高い数字ほど良い)、および触覚プローブ採点に基づく病変部の硬度の改善として、結果を報告する。
【0018】
[0017] したがって、本発明組成物は、有効量のフッ素および/またはアルギニンを含まない組成物と対比して初期のエナメル質病変(QLFまたはECMにより測定)を軽減する方法に有用である。
【0019】
[0018] 本発明組成物はさらに、口腔の有害細菌を減少させる方法、たとえば歯肉炎を軽減または抑制し、酸産生細菌のレベルを低下させ、アルギニン分解細菌の相対レベルを高め、口腔における微生物バイオフィルムの形成を抑制し、糖負荷後の歯垢pHを少なくともpH5.5のレベルに上昇および/または維持し、歯垢の蓄積を軽減し、ならびに/あるいは歯および口腔を清浄にする方法に有用である。
【0020】
[0019] 最後に、本発明組成物は、口内のpHを上昇させて病原性細菌を阻害することにより、口内の潰瘍または切り傷の治癒を促進するのに有用である。
[0020] 口腔組織は全身感染の入り口となる可能性があるので、口内の健康状態の増進は全身の健康状態にも有益となる。口内の良好な健康状態は、心血管の健康状態を含めた全身の健康状態に関連する。塩基性アミノ酸、特にアルギニンは、NO合成経路に補給する窒素源であり、したがって口腔組織における微小循環を増強するので、本発明の組成物および方法は格別な有益性を提供する。より酸性の低い口腔環境を提供することは、胃部不快感(gastric distress)の軽減にも役立ち、胃潰瘍に関連するヘリコバクター(Heliobacter)にとって、より好ましくない環境を作り出す。アルギニンは特に特定の免疫細胞受容体、たとえばT細胞受容体の高発現に必要であり、したがってアルギニンは有効な免疫応答を増強することができる。したがって本発明の組成物および方法は、心血管の健康状態を含めた全身の健康状態を増進するのに有用である。
【0021】
[0021] 全体を通して用いる範囲は、その範囲内にあるあらゆる数値を記述するための略記として用いられる。その範囲内の数値をいずれも範囲の末端として選択できる。さらに、本明細書に引用するすべての参考文献は、それらの全体が本明細書に援用される。本発明の開示における定義と引用した参考文献の定義が矛盾する場合、本発明の開示が支配する。配合物について記載する場合、それらは当技術分野で一般に行なわれるようにそれらの成分により記載することができると理解され、実際の配合物中でその製造、貯蔵および使用に伴ってそれらの成分が互いに反応する可能性があるにもかかわらず、そのような製品は本明細書に記載する配合物に包含されるものとする。
【0022】
[0022] 以下の実施例は、本発明の範囲における具体的な態様をさらに記載および立証する。これらの実施例は説明のために示したにすぎず、本発明の精神および範囲から逸脱しない多数の変更が可能なので、本発明の限定とみなすべきではない。本明細書に提示および記載したもののほか本発明の多様な改変が当業者に自明なはずであり、特許請求の範囲に含まれるものとする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性アミノ酸と組み合わせた、または塩基性アミノ酸と関連させた、デンタルワイプ。
【請求項2】
塩基性アミノ酸が、アルギニン、リジン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ヒスチジン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸、その塩類、および/またはその組合わせである、請求項1に記載のデンタルワイプ。
【請求項3】
塩基性アミノ酸がL−立体配置を有する、請求項1または2に記載のデンタルワイプ。
【請求項4】
塩基性アミノ酸が、塩基性アミノ酸を含むジ−またはトリ−ペプチドの塩の形で供給される、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項5】
塩基性アミノ酸がアルギニンである、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項6】
塩基性アミノ酸がL−アルギニンである、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項7】
塩基性アミノ酸が塩の型である、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項8】
塩基性アミノ酸の塩が、リン酸アルギニン、塩酸アルギニン、硫酸アルギニン、重炭酸アルギニン、およびその組合わせから選択される、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項9】
さらに、フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウム、およびその組合わせからなる群から選択されるフッ化物塩を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項10】
グリセリン、ソルビトール、およびその組合わせからなる群から選択される少なくとも1種類の湿潤剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項11】
さらに、着香剤、芳香剤および/または着色剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項12】
さらに、トリクロサン、草本エキスおよび精油(たとえばローズマリーエキス、チモール、メントール、ユーカリプトール、サリチル酸メチル)、ビスグアニド系防腐剤(たとえばクロルヘキシジン、アレキシジンまたはオクテニジン)、第四級アンモニウム化合物(たとえばセチルピリジニウムクロリド)、フェノール系防腐剤、ヘキセチジン、ポビドンヨード、デルモピノール、サリフルオル、金属イオン(たとえば亜鉛塩、たとえばクエン酸亜鉛)、サンギナリン、プロポリス、およびその組合わせから選択される抗細菌剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項13】
さらに、歯または口腔への細菌の付着を妨害または阻止する薬剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプ。
【請求項14】
a.齲歯の形成を軽減または抑制する、
b.たとえば定量光誘導蛍光(QLF)または電気的伝導度測定(ECM)により検出される、たとえばエナメル質の前齲食病変を軽減、修復または抑制するなど、初期のエナメル質病変を軽減、修復または抑制する、
c.歯の脱灰を軽減または抑制し、再石灰化を促進する、
d.歯の過敏性を軽減する、
e.歯肉炎を軽減または抑制する、
f.口内の潰瘍または切り傷の治癒を促進する、
g.酸産生細菌のレベルを低下させる、
h.アルギニン分解細菌(arginolytic bacteria)の相対レベルを高める、
i.口腔における微生物バイオフィルムの形成を抑制する、
j.糖負荷後の歯垢pHを少なくともpH5.5のレベルに上昇および/または維持する、
k.歯垢の蓄積を軽減する、
l.口内乾燥を処置する、
m.歯を増白する、
n.たとえば口腔組織を介した全身感染の潜在性を低下させることにより、心血管の健康状態を含めた全身の健康状態を増進する、
o.歯の侵食を軽減する、
p.歯を齲食原性細菌に対して免疫化する、ならびに/あるいは
q.歯および口腔を清浄にする
方法であって、前記請求項のいずれか1項に記載のデンタルワイプを用いて対象の口腔をぬぐうことを含む方法。
【請求項15】
対象が乳児である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象がイヌまたはネコである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
対象が病弱者である、請求項14に記載の方法。

【公表番号】特表2011−511796(P2011−511796A)
【公表日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546020(P2010−546020)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/033297
【国際公開番号】WO2009/100270
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】