説明

データベース構築システム

【課題】各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースの信頼性を向上させること。
【解決手段】各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを構築するデータベース構築装置が各放送受信装置から受信した全てのプローブ情報をプローブ履歴として一旦蓄積し、プローブ履歴として蓄積された各プローブ情報に対して正当性の判定を行い、正当性の判定の結果、不当と判定したプローブ情報を除外し、正当であると判定したプローブ情報のみを用いてデータベースを更新するようにデータベース構築システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データベース構築システムに関するものであり、特に、各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースの信頼性を向上させることができるデータベース構築システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放送受信装置が存在する場所で受信可能な放送チャンネルに関する情報を、所定のサーバから提供する放送システムがある。かかる放送システムによれば、放送受信装置は、独自に放送チャンネルのサーチを行わなくても、所定のサーバから受信した情報に基づき、容易に受信可能な放送チャンネルの設定を行うことができる。
【0003】
そして、かかる放送システムを実現するには、各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを構築する必要がある。各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを構築する技術としては、たとえば、特許文献1に記載の技術がある。
【0004】
特許文献1に記載の技術では、各放送受信装置が受信中の放送チャンネルに関する受信状況および放送受信装置の位置を示す情報を、所定の集計センタが受信する。そして、集計センタは、受信した情報を、かかる情報に含まれる位置に応じて各エリアに対応付けて蓄積することで各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを構築する。
【0005】
特許文献1に記載の技術によれば、集計センタは、調査員などによりエリア毎の受信状況調査を行わなくとも、各放送受信装置から送信されてくる受信状況および各放送受信装置の位置を対応付けて蓄積するだけで、各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを容易に構築することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−252965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術には、構築したデータベースの信頼性が低いという問題があった。
【0008】
たとえば、放送の受信機能が故障した放送受信装置は、実際には受信可能なエリアであるにも関わらず、受信不可能である旨の受信状況を集計センタへ送信してしまう。しかし、集計センタは、このような誤った受信状況をデータベースの構築に使用するため、データベースの信頼性が低下してしまう。
【0009】
このように、従来の技術では、集計センタがデータベースの構築に用いる情報のなかに、上記のように信頼性の低い情報も含まれている。このため、結果として構築されたデータベースの信頼性が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースの信頼性を向上させることができるデータベース構築システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、エリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを構築するデータベース構築システムであって、複数の放送受信装置から前記放送チャンネル毎の受信強度および該放送受信装置の位置を含むプローブ情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記プローブ情報を蓄積する情報蓄積手段と、前記受信手段によって新たに受信された前記プローブ情報である新規プローブ情報の送信エリアから送信された前記プローブ情報のうち当該新規プローブ情報と前記放送チャンネルが同一の前記プローブ情報を前記情報蓄積手段から抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された前記プローブ情報に含まれる前記受信強度および前記新規プローブ情報に含まれる前記受信強度に基づいて当該新規プローブ情報が正当であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって正当と判定された前記新規プローブ情報を用いて前記データベースを更新するデータベース更新手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを構築するデータベース構築装置が各放送受信装置から受信した全てのプローブ情報をプローブ履歴として一旦蓄積し、プローブ履歴として蓄積された各プローブ情報に対して正当性の判定を行い、不当と判定したプローブ情報を除外し、正当であると判定したプローブ情報のみを用いてデータベースを更新するため、各エリア別に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースの信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、従来におけるDB構築手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本発明におけるDB構築手法を示す図である。
【図3】図3は、本実施例に係るDB構築システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本実施例に係るプローブ履歴の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施例に係る最適DBの一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施例に係る正規分布および正当範囲の設定手順ならびに受信強度の正当性判定手順の一例を示す図である。
【図7】図7は、本実施例に係る自車履歴比較判定部および全車履歴比較判定部による判定手順を示す図である。
【図8】図8は、本実施例に係る最適DBの構築手順の一例を示す図である。
【図9】図9は、本実施例に係る最適DB構築処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施例に係る正規分布作成処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施例に係るプローブ情報の正当性判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るデータベース(以下、「DB」という)構築システムの実施例を詳細に説明する。まず、実施例の詳細な説明に先立って、本発明におけるDB構築手法の概要について、従来におけるDB構築手法と対比して説明する。図1は、従来におけるDB構築手法の概要を示す図であり、図2は、本発明におけるDB構築手法を示す図である。
【0015】
以下では、車両に搭載される放送受信装置(以下、「車載装置」という。)から放送の受信強度および車両の位置を含むプローブ情報を受信し、受信したプローブ情報に基づき、エリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したDBを構築するDB構築システムを例に挙げて説明する。
【0016】
なお、本発明に係るDB構築システムがDBの構築に用いる情報は、車載装置から受信したプローブ情報に限定するものではなく、たとえば、家庭用テレビ受像機などの固定型の放送受信装置から受信した受信強度および放送受信装置の設置位置を含む情報であってもよい。
【0017】
また、以下の説明におけるエリアとは、地図上の領域を分割した各分割領域を示すものである。ここでは、各エリアを一辺が1Kmの正方形(いわゆる「3次メッシュ」)として説明するが、各エリアの一辺は1Kmに限定するものではなく、各エリアの形状は正方形に限定するものではない。
【0018】
図1に示すように、従来のDB構築手法では、Xエリア、Yエリア、Zエリアという異なるエリアを走行中の車両に搭載された各車載装置が所定の集計センタ内に設けられたDB構築装置へプローブ情報を送信する(同図の(1)参照)。
【0019】
DB構築装置へ送信される各プローブ情報には、各車両の位置および各車載装置が受信している放送チャンネルの受信状況が含まれている。そして、DB構築装置は、各車載装置から受信したプローブ情報を用いて、エリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したDBを構築する(同図の(2)参照)。
【0020】
たとえば、DB構築装置で受信されたプローブ情報がXエリアを走行中の車両から送信されたもので、所定の放送チャンネルに関する受信状況を含んでいたとする。
【0021】
かかるプローブ情報を受信した場合、DB構築装置は、上記所定の放送チャンネルをXエリアで受信可能な放送チャンネルとしてDBへ記憶させる。そして、DB構築装置は、受信した他のプローブ情報に基づき、他の放送チャンネルについても同様に各エリアでの受信可否を判定してDBへ記憶させることでエリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したDBを構築する。
【0022】
しかし、同図に示すDB構築手法によって構築されたDBは、各エリアでの受信環境の経年変化や各車載装置の状態などを考慮せずに構築されていたため、信頼性に欠けるという問題があった。
【0023】
たとえば、Xエリアに以前は存在しなかった高層建築物が新たに建設された場合、高層建築物の周辺で局地的に所定の放送チャンネルが受信できない受信不可能領域が形成されることがある。そして、受信不可能領域を走行している車両の車載装置は、DB構築装置へXエリアで所定の放送チャンネルが受信不可能であることを示すプローブ情報を送信する。
【0024】
このため、DB構築装置は、実際にはXエリア内の大半の領域で上記所定の放送チャンネルが受信可能であっても、Xエリアでは受信不可能である旨の誤った情報をDBへ記憶させる恐れがある。
【0025】
また、たとえば、放送受信機能が故障している車載装置の場合、実際には所定の放送チャンネルを受信可能なXエリアにあるにもかかわらず、DB構築装置へXエリアから所定の放送チャンネルを受信不可能であることを示すプローブ情報を送信することがある。
【0026】
このため、DB構築装置は、受信機能が故障している車載装置からプローブ情報を受信した場合、実際には所定の放送チャンネルが受信可能なXエリアで、所定の放送チャンネルが受信不可能である旨の情報をDBへ記憶させる恐れがある。
【0027】
このように、従来のDB構築手法では、DB構築装置が各車載装置から受信したプローブ情報を全て正当なものとしてDBの構築に用いていたため、構築されたDBの信頼性が低下するという問題があった。
【0028】
そこで、本発明におけるDB構築手法は、各車載装置から受信した各プローブ情報が正当なものか否かを判定し、正当と判定したプローブ情報だけを用いて最適DBを構築する。
【0029】
具体的には、本発明におけるDB構築手法では、図2に示すように、各車載装置からDB構築装置1へプローブ情報を送信する(同図の(1)参照)。なお、ここでは、XエリアおよびYエリアを走行中の車両に設けられた車載装置の放送受信機能が正常であり、Zエリアを走行中の車両に設けられた車載装置の放送受信機能が異常(故障)の場合を例に挙げて説明する。
【0030】
そして、図2に示すDB構築装置1は、各車載装置からプローブ情報を受信すると、受信したプローブ情報を一旦蓄積する(同図の(2)参照)。その後、DB構築装置1は、新たなプローブ情報(以下、「新規プローブ情報」という。)を受信すると、新規プローブ情報に含まれる受信強度と、新規プローブ情報と同じエリアから以前に送信されて蓄積されている他のプローブ情報中の受信強度とに基づき、新規プローブ情報の正当性を判定する(同図の(3)参照)。ここで、他のプローブ情報は、新規プローブ情報と同一放送チャンネルに関するものとする。
【0031】
同図に示す例では、DB構築装置1は、XエリアおよびYエリアから受信した新規プローブ情報を正当と判定し、Zエリアから受信した新規プローブ情報を不当と判定する。そして、DB構築装置1は、新規プローブ情報のうち正当と判定したプローブ情報、つまりXエリアおよびYエリアから送信された新規プローブ情報のみを用いて最適DBを構築する(同図の(4)参照)。
【0032】
このように、DB構築装置1は、新規プローブ情報のうち正当と判定したプローブ情報のみを用いて最適DBを構築するため、受信機能に異常をきたした車載装置から受信したプローブ情報のように信頼性の低いプローブ情報の内容が最適DBに反映されることがない。したがって、本発明によれば、DB構築装置1によって構築する最適DBの信頼性を向上させることができる。
【0033】
また、本発明におけるDB構築手法では、一旦不当と判定したプローブ情報について、DB構築装置1で蓄積している全プローブ情報を用いて再度正当性を判定する。そして、一旦不当と判定したプローブ情報であっても、再度判定した結果正当と判定された場合には、最適DBの構築に用いる。かかる再判定の詳細については、図7を用いて後述する。
【0034】
以下では、本発明におけるDB構築手法を適用したDB構築システムについての実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、車載装置から放送の受信強度および車両の位置を含むプローブ情報を受信し、受信したプローブ情報に基づき、エリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したDBを構築するDB構築システムを例に挙げて説明する。
【0035】
なお、本発明におけるDB構築手法は、エリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したDBを構築する様々なDB構築システムに対して適用することができる。たとえば、本発明におけるDB構築手法は、家庭用テレビ受像機などの固定型の放送受信装置がエリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したDBを構築するDB構築システムに対しても適用することができる。
【実施例】
【0036】
図3は、本実施例に係るDB構築システム100の構成を示すブロック図である。同図に示すように、DB構築システム100は、DB構築装置1および車載装置2を備えている。なお、同図には、DB構築システム100の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素については記載を省略している。
【0037】
同図に示すように、車載装置2は、通信部21と記憶部22と制御部23とを備えている。通信部21は、DB構築装置1との間で各種情報の送受信を行う通信インターフェースである。また、記憶部22は、受信強度情報22aと位置情報22bと車両情報22cと最適受信DB(自車用)22dとを記憶する不揮発性の情報記憶デバイスである。
【0038】
ここで、受信強度情報22aは、車載装置2により受信した放送チャンネル毎の受信強度を示す情報である。なお、受信強度情報22aは、アンテナにより受信した放送信号の電界強度を検知するセンサ3から入力される情報である。
【0039】
また、位置情報22bは、車両(自車両)の走行位置を示す情報である。なお、位置情報22bは、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した信号および予め記憶した地図情報に基づき自車両の位置を特定する機能を備えたナビゲーション装置4から入力される情報である。
【0040】
また、車両情報22cは、たとえば、自車の登録ナンバーなどの各車両を識別可能な情報および各車両の車種やグレードを識別可能な情報を含む情報である。また、最適受信DB(自車用)22dは、自車両の走行エリアで受信可能な放送チャンネルが記憶されたDBである。なお、最適受信DB(自車用)22dは、DB構築装置1から受信した情報である。
【0041】
また、制御部23は、車載装置2全体の動作を統括制御する処理部であり、たとえば、CPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを有する情報処理装置により構成している。
【0042】
そして、制御部23は、CPUがROMから各種プログラムを読出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより機能するプローブ情報生成部23aおよび受信可能チャンネル設定部23bを備えている。
【0043】
プローブ情報生成部23aは、記憶部22から放送チャンネル毎の受信強度情報22a、位置情報22b、車両情報22cを読み出し、読み出した各情報を放送チャンネル毎に関連付けることで放送チャンネル別にプローブ情報を生成する処理部である。そして、プローブ情報生成部23aは、生成したプローブ情報を定期的または放送を受信したタイミングで通信部21を介してDB構築装置1へ送信する。
【0044】
受信可能チャンネル設定部23bは、記憶部22から最適受信DB(自車用)22dを読み出し、自車の走行エリアで受信可能な放送チャンネルを自動的に設定する処理部である。たとえば、受信可能チャンネル設定部23bは、それまで受信できていた放送チャンネルが車両の移動によって受信できなくなった場合に、移動先のエリアで受信可能な放送チャンネルへ自動的に切替えるネットワークフォロー処理を行う。
【0045】
また、受信可能チャンネル設定部23bは、自車の移動によって車載装置の位置するエリアが変わった場合、移動先のエリアで受信可能な複数の放送チャンネルを自動的にバックグラウンドで設定するエリアプリセット処理を行う。
【0046】
一方、DB構築装置1は、通信部11と記憶部12と制御部13とを備えている。通信部11は、車載装置2との間で各種情報の送受信を行う通信インターフェースである。また、記憶部12は、プローブ履歴12aおよび最適DB12bを記憶する不揮発性の情報記憶デバイスである。
【0047】
ここで、図4および図5を用いて記憶部12に蓄積されるプローブ履歴12aおよび最適DB12bについて説明する。図4は、本実施例に係るプローブ履歴12aの一例を示す図であり、図5は、本実施例に係る最適DB12bの一例を示す図である。
【0048】
ここでは、まず、図4を用いてプローブ履歴12aの説明を行い、その後、図5を用いて最適DB12bの説明を行う。本実施例におけるプローブ履歴12aは、DB構築装置1が各車載装置2から受信したプローブ情報およびプローブ情報の受信履歴を蓄積して記憶したものである。
【0049】
具体的には、図4に示すように、プローブ履歴12aには、プローブ情報を送信してきた車載装置2が搭載されている車両を識別可能な情報、車種を識別可能な情報、プローブ情報の受信日時、車載装置2によって受信された放送チャンネルの放送種別、周波数、受信強度、車載装置2の位置がそれぞれ対応付けられて蓄積されている。
【0050】
たとえば、プローブ履歴12aには、車種Iの車両N1から2009年1月1日の12時にプローブ情報を受信したこと、プローブ情報を送信した車載装置2が同日時に北緯・・東経・・の位置において周波数AのAM放送を受信強度XXXで受信していたことが記憶されている。
【0051】
次に、図5を用いて記憶部12に記憶される最適DB12bについて説明する。最適DB12bは、制御部13によって構築されたエリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したDBである。特に、最適DB12bは、DB構築装置1が各車載装置2から受信した複数のプローブ情報のなかで、正当と判定したプローブ情報のみを用いて構築されたDBである。
【0052】
具体的には、図5に示すように、最適DB12bには、各エリアを識別するためのメッシュID、メッシュIDに対応するエリアで放送を受信可能な車種、受信可能な放送種別、各放送チャンネルの周波数、メッシュIDに対応するエリアでの放送の受信強度がそれぞれ対応付けられて蓄積されている。
【0053】
たとえば、同図に示すように、最適DB12bには、メッシュID:xxxに対応するエリアで車種Iの車両に搭載されている車載装置では、周波数AのAM放送の放送チャンネルを受信強度XXXで受信可能であることを示す情報などが記憶されている。
【0054】
そして、DB構築装置1は、車載装置2から車両の位置を示す情報とともに、最適DB12bの配布要求を受信した場合に、受信した車両の位置を含むエリアに対応した最適DB12bを前述の最適受信DB(自車用)22dとして車載装置2へ送信する。
【0055】
図3の説明に戻り、DB構築装置1の制御部13は、車種判別部13a、正規分布作成部13b、受信強度正当性判定部13c、自車履歴比較判定部13d、全車履歴比較判定部13e、最適DB構築部13fを備えている。
【0056】
車種判別部13aは、プローブ履歴12aから新規プローブ情報を読み出し、新規プローブ情報に含まれる車両情報に基づき新規プローブ情報の送信元である車両の車種を判別する処理部である。そして、車種判別部13aは、車種の判別結果とともに新規プローブ情報を正規分布作成部13bへ出力する。
【0057】
正規分布作成部13bは、受信強度正当性判定部13cが新規プローブ情報に含まれる受信強度の正当性を判定する際に使用する正規分布を作成する処理部である。正規分布作成部13bは、新規プローブ情報が送信された送信エリアと同一のエリアから送信されたプローブ情報のなかで、新規プローブ情報と放送チャンネルが同一のプローブ情報群をプローブ履歴12aから読み出す。
【0058】
そして、正規分布作成部13bは、プローブ履歴12aから読み出したプローブ情報群を用いて新規プローブ情報が送信されたエリアにおける放送の受信強度に関する正規分布を作成する。
【0059】
また、正規分布作成部13bは、作成した正規分布内に、受信強度正当性判定部13cが新規プローブ情報に含まれる受信強度の正当性を判定する基準となる正当範囲を設定する。そして、正規分布作成部13bは、正当範囲が設定された正規分布とともに新規プローブ情報を受信強度正当性判定部13cへ出力する。なお、正規分布作成部13bによる正規分布の作成手順および正当範囲の設定手順については、後に図6を用いて詳述する。
【0060】
また、受信強度正当性判定部13cは、正規分布作成部13bにより作成された受信強度に関する正規分布と新規プローブ情報に含まれる受信強度とを比較することにより、新規プローブ情報中の受信強度が正当か否かを判定する。
【0061】
そして、受信強度正当性判定部13cは、受信強度が正当であると判定した場合、新規プローブ情報を最適DB構築部13fへ出力し、受信強度が不当であると判定した場合、新規プローブ情報を自車履歴比較判定部13dへ出力する。
【0062】
ここで、図6を用いて正規分布作成部13bにより作成される正規分布および正当範囲の設定手順と、受信強度正当性判定部13cによる新規プローブ情報中の受信強度の正当性判定手順について説明する。図6は、本実施例に係る正規分布および正当範囲の設定手順ならびに受信強度の正当性判定手順の一例を示す図である。
【0063】
正規分布作成部13bは、正規分布を作成する場合、まず、新規プローブ情報が送信されたエリアと同一エリアから新規プローブ情報を送信した車両と同車種の車両から送信されたプローブ情報をプローブ履歴12a内で検索し、検索したプローブ情報群を読み出す。ここで、正規分布作成部13bがプローブ履歴12aから読み出すプローブ情報は、新規プローブ情報と同一放送チャンネルに関するプローブ情報である。
【0064】
その後、正規分布作成部13bは、図6(A)に示すように、プローブ履歴12aから読み出した各プローブ情報に含まれる受信強度に関する分布関数を正規分布として作成する。なお、図6(A)では、新規プローブ情報の送信されたエリアが新規プローブ情報に対応する放送チャンネルを受信可能なエリアであった場合の正規分布を示している。
【0065】
同図(A)に示すように、ここでは、新規プローブ情報に対応する放送チャンネルを受信可能なエリアから送信されたプローブ情報に基づいて正規分布を作成しているため、受信強度の分布は、比較的良好に受信可能な60dB付近に集中している。
【0066】
つまり、新規プローブ情報を送信した車載装置2の受信機能が正常であれば、新規プローブ情報の受信強度は、60dB近傍の値をとるはずである。このため、正規分布作成部13bは、正規分布における受信強度の平均値(ここでは、60dB)±σの範囲を正当範囲として設定する。なお、ここでは、正規分布作成部13bは、一例として40〜80dBの範囲を正当範囲として設定している。
【0067】
こうして、正規分布作成部13bにより正規分布が作成され、正当範囲が設定されると、受信強度正当性判定部13cは、新規プローブ情報の受信強度が正当範囲内にあるか否かを判定することで、新規プローブ情報に含まれる受信強度の正当性を判定する。
【0068】
具体的には、図6(B)に示すように、受信強度正当性判定部13cは、たとえば、車両N1の車載装置2から受信した新規プローブ情報の受信強度が50dBであった場合、受信強度が正当範囲内であるため、車両N1に搭載されている車載装置2の受信機能を正常と判断して新規プローブ情報の受信強度を正当であると判定する。
【0069】
同様に、受信強度正当性判定部13cは、車両N2の車載装置2の受信機能を正常と判断して新規プローブ情報の受信強度を正当であると判定する。
【0070】
一方、受信強度正当性判定部13cは、車両N3の車載装置2から受信した新規プローブ情報の受信強度が25dBであった場合、受信強度が正当範囲外であるため、車両N3に搭載されている車載装置2の受信機能を異常と判断して新規プローブ情報の受信強度を不当であると判定する。
【0071】
そして、受信強度正当性判定部13cは、受信強度が正当であると判定した新規プローブ情報を最適DB構築部13fへ出力し、受信強度が不当であると判定した新規プローブ情報を自車履歴比較判定部13dへ出力する。
【0072】
また、正規分布作成部13bは、新規プローブ情報の送信されたエリアが新規プローブ情報に対応する放送チャンネルを受信不可能なエリアであった場合、図6(C)に示す分布関数を正規分布として作成する。
【0073】
同図(C)に示すように、ここでは、新規プローブ情報に対応する放送チャンネルを受信不可能なエリアから送信されたプローブ情報に基づいて正規分布を作成しているため、受信強度の分布は、正常には放送を受信できない30dB付近に集中している。
【0074】
つまり、新規プローブ情報を送信した車載装置2の受信機能が正常であれば、新規プローブ情報の受信強度は、30dB近傍の値をとるはずである。このため、正規分布作成部13bは、正規分布における受信強度の平均値(ここでは、30dB)±σの範囲を正当範囲として設定する。なお、ここでは、正規分布作成部13bは、一例として0〜40dBの範囲を正当範囲として設定している。
【0075】
こうして、正規分布作成部13bにより正規分布が作成され、正当範囲が設定されると、受信強度正当性判定部13cは、新規プローブ情報の受信強度が正当範囲内にあるか否かを判定することで、新規プローブ情報に含まれる受信強度の正当性を判定する。
【0076】
つまり、受信強度正当性判定部13cは、図6(D)に示すように、車両N1および車両N2の車載装置2の受信機能を正常と判断して新規プローブ情報の受信強度を正当であると判定する。また、受信強度正当性判定部13cは、車両N3の車載装置2の受信強度検出機能に異常があると判断して新規プローブ情報の受信強度を不当であると判定する。
【0077】
そして、受信強度正当性判定部13cは、受信強度が正当であると判定した新規プローブ情報を最適DB構築部13fへ出力し、受信強度が不当であると判定した新規プローブ情報を自車履歴比較判定部13dへ出力する。
【0078】
なお、正規分布作成部13bが正規分布作成のためにプローブ履歴12aから読み出すプローブ情報は、新規プローブ情報の送信エリアを分割したサブエリアのなかで新規プローブ情報の送信位置を含むサブエリアから送信されたプローブ情報であってもよい。
【0079】
このように、新規プローブ情報が送信された位置を含むサブエリアから送信されたプローブ情報を読み出した場合、正規分布作成部13bは、新規プローブ情報が送信されたエリアよりもさらに狭い範囲の受信環境を想定した正規分布を作成することができる。
【0080】
また、ここでは、正規分布作成部13bが正規分布を作成する場合に、新規プローブ情報を送信した車両と同車種の車両から送信されたプローブ情報をプローブ履歴12aから読み出しているが、読み出すプローブ情報は、同車種から送信されたプローブ情報に限定するものではない。
【0081】
たとえば、正規分布作成部13bは、車種毎の受信感度の差が比較的小さい場合に、新規プローブ情報を送信した車両の車種を含めた全車種の車両から送信されたプローブ情報をプローブ履歴12aから読み出してもよい。
【0082】
このように、正規分布作成部13bが全車種の車両から送信されたプローブ情報をプローブ履歴12aから読み出した場合、同車種の車両から送信されたプローブ情報よりも多くのプローブ情報を用いて正規分布を作成することができる。したがって、正規分布作成部13bにより作成される正規分布の信頼性が向上する。
【0083】
図3の説明に戻り、自車履歴比較判定部13dは、新規プローブ情報を送信した車載装置2の同一エリアにおける現在および過去の受信可否状態を比較することによって、新規プローブ情報を送信した車載装置2の故障または受信環境の経年変化を推定する処理部である。
【0084】
そして、自車履歴比較判定部13dは、新規プローブ情報を送信した車載装置2が故障している、または受信環境が経年変化していると推定した場合に、新規プローブ情報を全車履歴比較判定部13eへ出力する。
【0085】
一方、自車履歴比較判定部13dは、新規プローブ情報を送信した車載装置2が故障しておらず、且つ受信環境が経年変化していないと推定した場合、新規プローブ情報を最適DB構築部13fへ出力する。なお、自車履歴比較判定部13dによる判定手順については、後に図7を用いて詳述する。
【0086】
また、全車履歴比較判定部13eは、新規プローブ情報を送信した車載装置2による放送の受信可否状態と、新規プローブ情報と同一走行エリアから同一放送チャンネルに関するプローブ情報を送信した全ての車載装置2による受信可否状態とを比較することで新規プローブ情報を送信した車載装置2の故障を判定する処理部である。
【0087】
そして、全車履歴比較判定部13eは、新規プローブ情報を送信した車載装置2が故障していると判定した場合、新規プローブ情報をプローブ履歴12aから削除する。一方、全車履歴比較判定部13eは、新規プローブ情報を送信した車載装置2が故障していないと判定した場合、新規プローブ情報を最適DB構築部13fへ出力する。
【0088】
ここで、図7を用いて自車履歴比較判定部13dおよび全車履歴比較判定部13eによる判定手順について説明する。図7は、本実施例に係る自車履歴比較判定部13dおよび全車履歴比較判定部13eによる判定手順を示す図である。なお、同図では、新規プローブ情報を送信した車載装置2を搭載の車両を自車N、自車以外の車両を他車Nnとして説明する。
【0089】
自車履歴比較判定部13dは、受信強度正当性判定部13cから受信強度が不当と判定された新規プローブ情報が入力されると、自車Nの車載装置2が過去に同一エリアから送信した同一放送チャンネルに関するプローブ情報をプローブ履歴12aから読み出す。
【0090】
そして、自車履歴比較判定部13dは、プローブ履歴12aから読み出したプローブ情報の受信強度が所定の受信可能閾値以上であった場合、過去は受信可能状態であったと判定する。一方、自車履歴比較判定部13dは、プローブ履歴12aから読み出したプローブ情報の受信強度が所定の受信可能閾値未満であった場合、過去は受信不可能であったと判定する。
【0091】
そして、自車履歴比較判定部13dは、自車Nの車載装置2による現在および過去の受信可否状態が異なっていた場合、自車Nの車載装置2が故障している、もしくは新規プローブ情報が送信されたエリアで受信環境が変化していると推定する。
【0092】
たとえば、自車履歴比較判定部13dにより、図7(A)に示すように、自車Nの車載装置2が過去にXエリアで新規プローブ情報に対応する放送チャンネルを受信可能であったと判定したとする。
【0093】
一方、自車履歴比較判定部13dにより、同図(A)に示すように、自車Nの車載装置2が、現在Xエリアで新規プローブ情報に対応する放送チャンネルを受信不可能であると判定したとする。
【0094】
このように、同じXエリアにおいて過去には受信可能であった放送チャンネルの放送が、現在は受信不可能となった場合、自車Nの車載装置2が故障している、もしくはXエリアで受信環境が変化している可能性がある。
【0095】
なぜなら、たとえば、Xエリアに過去には存在しなかった高層建築物が新たに建設された場合や過去に故障していなかった自車Nの車載装置2が現在故障していた場合には、現在および過去で受信可否状態が異なるからである。
【0096】
また、Xエリアにおいて過去には受信不可能であった放送チャンネルの放送が、現在は受信可能となったと判定した場合にも、自車Nの車載装置2が故障している、もしくはXエリアで受信環境が変化している可能性がある。
【0097】
なぜなら、たとえば、過去にXエリアに存在していた高層建築物がその後解体された場合、現在および過去で受信可否状態が異なるからである。また、過去に受信不可能を示す正当なプローブ情報を送信していた正常な車載装置2が、その後の故障により誤って同一の走行エリアから受信可能なことを示すプローブ情報を送信した場合にも、現在および過去で受信可否状態が異なる。
【0098】
このため、自車履歴比較判定部13dは、自車Nの受信可否状態が現在および過去で異なっていた場合、新規プローブ情報を正当とは判定せずに全車履歴比較判定部13eへ出力する。
【0099】
一方、自車履歴比較判定部13dは、自車Nの受信可否状態が現在および過去で一致していた場合、新規プローブ情報を正当と判定して最適DB構築部13fへ出力する。
【0100】
次に、同図(B1)、(B2)を参照して全車履歴比較判定部13eの動作について説明する。全車履歴比較判定部13eは、自車履歴比較判定部13dから新規プローブ情報が入力されると、Xエリアから他車Nnの車載装置2によって現在(最近)送信されたプローブ情報をプローブ履歴12aから読み出す。ここでプローブ履歴12aから読み出されるプローブ情報は、新規プローブ情報と同一の放送チャンネルに関するプローブ情報である。
【0101】
なお、ここでの現在(最近)とは、新規プローブ情報が送信された日時から所定期間前の期間(たとえば一週間以内)を示すものである。また、ここでは、全車履歴比較判定部13eは、他車Nnの車載装置2が現在(最近)送信したプローブ情報を読み出す場合を例に挙げているが、自車Nの車載装置2が最近送信したプローブ情報も含めて読み出すようにしてもよい。
【0102】
そして、全車履歴比較判定部13eは、新規プローブ情報の受信強度と所定の受信可能閾値とを比較して、自車Nの車載装置2による現在の受信可否状態を判定する。また、全車履歴比較判定部13eは、プローブ履歴12aから読み出したプローブ情報の受信強度と所定の受信可能閾値とを比較して、他車Nnの車載装置2による現在の受信可否状態を判定する。
【0103】
その結果、全車履歴比較判定部13eは、現在のXエリアでの自車Nの車載装置2による受信可否状態と、現在のXエリアでの他車Nnの車載装置2による受信可否状態とが同一でない場合、自車Nの車載装置2が故障していると判定する。
【0104】
一方、全車履歴比較判定部13eは、現在のXエリアでの自車Nの車載装置2による受信可否状態と、現在のXエリアでの他車Nnの車載装置2による受信可否状態とが同一であった場合、Xエリアの受信環境が最近変化したと判定する。
【0105】
たとえば、全車履歴比較判定部13eは、Xエリアで自車Nが放送を受信不可能なときに、図7(B1)に示すように、Xエリアで現在他車Nnが自車Nと同一の放送チャンネルを受信可能であった場合、自車Nの車載装置2が故障していると判定する。
【0106】
一方、全車履歴比較判定部13eは、Xエリアで自車Nが放送を受信不可能なときに、図7(B2)に示すように、Xエリアで現在他車Nnも自車Nと同一の放送チャンネルを受信不可能であった場合、高層建築物の建設などによりXエリアの受信環境が最近変化したと判定する。
【0107】
そして、全車履歴比較判定部13eは、上記した判定の結果、自車Nの車載装置2が故障していると判定した場合、新規プローブ情報を不当と判定してプローブ履歴12aから削除する。一方、全車履歴比較判定部13eは、上記した判定の結果、Xエリアの受信環境が変化したと判定した場合、新規プローブ情報を正当と判定して最適DB構築部13fへ出力する。
【0108】
このように、全車履歴比較判定部13eは、明らかに故障した車載装置2から送信された不当な新規プローブ情報については、プローブ履歴12aから削除することで、後に正規分布作成部13bが作成する正規分布の信頼性を向上させることができる。
【0109】
図3の説明に戻り、最適DB構築部13fは、受信強度正当性判定部13c、自車履歴比較判定部13d、全車履歴比較判定部13eから入力されるそれぞれ正当と判定された新規プローブ情報だけを用いて図5に示した最適DB12bを更新しながら構築する処理部である。
【0110】
ここで、図8を用いて最適DB構築部13fによる最適DB12bの構築手順について説明する。図8は、本実施例に係る最適DB12bの構築手順の一例を示す図である。最適DB構築部13fは、入力される複数の新規プローブ情報の各受信強度を放送チャンネル毎にエリア単位で平均化することで、各エリアにおける放送チャンネル毎の受信強度を決定する。
【0111】
たとえば、図8に示すように、メッシュID:xxxで識別されるメッシュXに対応するエリア内で、3台の車両N1、N2、N3の各車載装置2から送信された新規プローブ情報が最適DB構築部13fへ入力された場合について説明する。
【0112】
ここでは、同図に示すように、P地点の車両N1の車載装置2から周波数Aの放送チャンネルを60dBの受信強度で受信していることを示す新規プローブ情報が送信されたとする。またQ地点の車両N2の車載装置2からは、周波数Aの放送チャンネルを55dBの受信強度で受信していることを示す新規プローブ情報が送信されたとする。また、R地点の車両N3の車載装置2からは周波数Aの放送チャンネルを50dBの受信強度で受信していることを示す新規プローブ情報が送信されたとする。
【0113】
そして、最適DB構築部13fは、Xメッシュに対応するエリア内を走行している3台の車両N1、N2、N3の各車載装置2から送信された上記新規プローブ情報が入力されると、3つの新規プローブ情報中の各受信強度を平均化処理することで、メッシュXのエリアに関する受信強度を決定する。
【0114】
ここでは、最適DB構築部13fは、60d、55dB、50dBという3つの受信強度の平均値である55dBをメッシュXのエリアでの周波数Aの放送に関する受信強度と決定して最適DB12bへ記憶させる。
【0115】
このように、最適DB構築部13fは、同一エリアから送信された複数の受信強度を平均化処理した値を各エリアでの放送チャンネル毎の受信強度として最適DB12bへ記憶させるため、最適DB12bで管理する情報量を低減することができる。
【0116】
また、最適DB構築部13fは、最適DB12bを構築する際に、あるエリア内に局地的に所定の放送チャンネルを受信可能な受信可能領域が存在していた場合、受信可能領域の面積がエリアの面積に占める割合を算出する。
【0117】
そして、最適DB構築部13fは、算出した割合が所定の割合に満たない場合、あるエリア内に局所的な受信可能領域が存在していても、局所的な受信可能領域でのみ受信可能な放送チャンネルは受信不可能として最適DB12bを構築する。これにより、最適DB12bで受信可能としている放送チャンネルに関しては、確実に受信可能であることを保障することができる。
【0118】
次に、図9〜11を用いてDB構築装置1の制御部13が実行する処理手順について説明する。図9は、本実施例に係る最適DB構築処理の処理手順を示すフローチャートであり、図10は、本実施例に係る正規分布作成処理の処理手順を示すフローチャートであり、図11は、本実施例に係るプローブ情報の正当性判定処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、図9〜図11においては、制御部13が実行する処理手順のうち、最適DBの構築に関する処理手順のみを示す。
【0119】
ここでは、最適DB構築処理、正規分布作成処理、プローブ情報の正当性判定処理の順に説明する。また、以下の説明では、新規プローブ情報を単にプローブ情報という。
【0120】
図9に示すように、制御部13は、DB構築装置1へ電源が投入されると、最適DB構築処理を開始する。そして、制御部13は、最適DB構築処理を開始すると、プローブ履歴12aからプローブ情報を取得する(ステップS101)。続いて、制御部13は、正規分布が作成済か否かを判定する(ステップS102)。
【0121】
そして、制御部13は、正規分布が作成済でないと判定した場合(ステップS102,No)、図10に示す正規分布作成処理を実行し(ステップS103)、その後、処理を終了する。
【0122】
また、制御部13は、正規分布が作成済であると判定した場合(ステップS102,Yes)、図11に示すプローブ情報の正当性判定処理を実行する(ステップS104)。続いて、制御部13は、プローブ情報の正当性判定処理の結果、プローブ情報が正当であると判定されたか否かを判定する(ステップS105)。
【0123】
そして、制御部13は、プローブ情報が正当でないと判定された場合(ステップS105,No)、不当と判定されたプローブ情報をプローブ履歴12aから削除して(ステップS107)、処理をステップS108へ移す。
【0124】
また、制御部13は、プローブ情報が正当であると判定された場合(ステップS105,Yes)、正当と判定されたプローブ情報を用いて最適DB12bを構築する(ステップS106)。
【0125】
続いて、制御部13は、正当と判定されたプローブ情報の蓄積または不当と判定されたプローブ情報の削除に伴う正規分布の更新処理を行い(ステップS108)、その後、処理を終了する。そして、制御部13は、DB構築装置1へ電源が投入されている期間、ステップS101〜ステップS108の処理を繰り返し実行する。
【0126】
次に、制御部13がステップS103で正規分布作成処理について説明する。図10に示すように、制御部13は、正規分布作成処理を開始すると、まず各車載装置2から受信したプローブ情報をプローブ履歴12aへ蓄積する(ステップS201)。
【0127】
続いて、制御部13は、プローブ履歴12aへ蓄積されたプローブ情報の受信強度を正規分布化することによって、正規分布を作成する(ステップS202)。その後、制御部13は、生成した正規分布における受信強度の平均値を算出し、算出した平均値±σの範囲を正当範囲として設定し(ステップS203)、処理を終了する。
【0128】
次に、制御部13がステップS104で実行するプローブ情報の正当性判定処理について説明する。図11に示すように、制御部13は、プローブ情報の正当性判定処理を開始すると、まずプローブ情報の受信強度が正規分布に設定された正当範囲外か否かを判定する(ステップS301)。
【0129】
そして、制御部13は、受信強度が正当範囲内であると判定した場合(ステップS301,No)、受信したプローブ情報を正当と判定し(ステップS306)、処理を終了する。また、制御部13は、受信強度が正当範囲外であると判定した場合(ステップS301,Yes)、プローブ情報を送信した車載装置2に関する過去のプローブ履歴12aが存在するか否かを判定する(ステップS302)。
【0130】
そして、制御部13は、プローブ履歴12aが存在しないと判定した場合(ステップS302,No)、処理をステップS304へ移す。また、制御部13は、プローブ履歴12aが存在すると判定した場合(ステップS302,Yes)、プローブ情報を送信した車載装置2の同一エリアにおける同一チャンネルの現在および過去の受信可否状態が異なるか否かを判定する(ステップS303)。
【0131】
そして、制御部13は、現在および過去の受信可否状態が一致していると判定した場合(ステップS303,No)、受信したプローブ情報を正当と判定し(ステップS306)、処理を終了する。
【0132】
また、制御部13は、現在および過去の受信可否状態が異なると判定した場合(ステップS303,Yes)、受信したプローブ情報の送信元である自車の受信可否状態と、受信したプローブ情報の送信エリアで同一放送チャンネルを最近受信した他車の受信可否状態とが異なるか否かの判定を行う(ステップS304)。
【0133】
そして、制御部13は、自車および他車の受信可否状態が一致すると判定した場合(ステップS304,No)、受信したプローブ情報を正当と判定し(ステップS306)、処理を終了する。また、制御部13は、自車および他車の受信可否状態が異なると判定した場合(ステップS304,Yes)、受信したプローブ情報を不当と判定し(ステップS305)、処理を終了する。
【0134】
上述してきたように、DB構築システム100では、DB構築装置1が各車載装置2から受信した各プローブ情報に対して正当性の判定を行い、判定の結果不当と判定したプローブ情報を除外し、正当であると判定したプローブ情報のみを用いて最適DB12bを構築する。しがたって、最適DB12bの信頼性を向上させることができる。
【0135】
また、本実施例では、自車履歴比較判定部13dおよび全車履歴比較判定部13eが新規プローブ情報と比較するプローブ情報をプローブ履歴12aから読み出す場合に、新規プローブ情報と同一エリアから送信された同一放送チャンネルに関するプローブ情報を読み出しているが、以下のプローブ情報を読み出してもよい。
【0136】
すなわち、自車履歴比較判定部13dおよび全車履歴比較判定部13eは、新規プローブ情報が送信されたエリアを分割したサブエリアのなかで新規プローブ情報が送信された位置を含むサブエリアから送信されたプローブ情報を読み出してもよい。
【0137】
このように、新規プローブ情報が送信された位置を含むサブエリアから送信されたプローブ情報を読み出した場合、新規プローブ情報が送信されたエリアよりもさらに狭い範囲に限定して、自車および他車に搭載された各車載装置2による受信可否状態を判定することができる。しがって、新規プローブ情報の信頼性をより一層厳密に判定することができる。
【符号の説明】
【0138】
100 データベース構築システム
1 データベース構築装置
11 通信部
12 記憶部
12a プローブ履歴
12b 最適DB
13 制御部
13a 車種判別部
13b 正規分布作成部
13c 受信強度正当性判定部
13d 自車履歴比較判定部
13e 全車履歴比較判定部
13f 最適DB構築部
2 車載装置
21 通信部
22 記憶部
22a 受信強度情報
22b 位置情報
22c 車両情報
22d 最適受信DB(自車用)
23 制御部
23a プローブ情報生成部
23b 受信可能チャンネル設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア毎に受信可能な放送チャンネルを記憶したデータベースを構築するデータベース構築システムであって、
複数の放送受信装置から前記放送チャンネル毎の受信強度および該放送受信装置の位置を含むプローブ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記プローブ情報を蓄積する情報蓄積手段と、
前記受信手段によって新たに受信された前記プローブ情報である新規プローブ情報の送信エリアから送信された前記プローブ情報のうち当該新規プローブ情報と前記放送チャンネルが同一の前記プローブ情報を前記情報蓄積手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された前記プローブ情報に含まれる前記受信強度および前記新規プローブ情報に含まれる前記受信強度に基づいて当該新規プローブ情報が正当であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって正当と判定された前記新規プローブ情報を用いて前記データベースを更新するデータベース更新手段と
を備えたことを特徴とするデータベース構築システム。
【請求項2】
前記新規プローブ情報の前記送信エリアから送信された前記プローブ情報のうち当該新規プローブ情報と前記放送チャンネルが同一の前記プローブ情報に含まれる前記受信強度の分布を生成する分布生成手段と、
前記分布生成手段によって生成された前記分布について前記受信強度に関する所定の正当範囲を設定する設定手段と
をさらに備え、
前記判定手段は、
前記新規プローブ情報に含まれる前記受信強度が前記正当範囲に含まれている場合に、当該新規プローブ情報を正当と判定することを特徴とする請求項1に記載のデータベース構築システム。
【請求項3】
前記新規プローブ情報に含まれる前記受信強度に基づいて当該新規プローブ情報の送信元である前記放送受信装置に関する最新の受信可否状態を判定する第1の状態判定手段と、
前記新規プローブ情報の送信元である前記放送受信装置から送信された前記プローブ情報のうち当該新規プローブ情報と前記送信エリアが同一の前記プローブ情報に含まれる前記受信強度に基づいて当該放送受信装置に関する過去の受信可否状態を判定する第2の状態判定手段と
をさらに備え、
前記判定手段は、
前記第1の状態判定手段および前記第2の状態判定手段の判定結果が同一であった場合に、前記新規プローブ情報を正当と判定することを特徴とする請求項1または2に記載のデータベース構築システム。
【請求項4】
前記新規プローブ情報と前記送信エリアが同一の前記プローブ情報に含まれる前記受信強度に基づいて、前記新規プローブ情報の送信元である前記放送受信装置以外の前記放送受信装置に関する受信可否状態を判定する第3の状態判定手段と
をさらに備え、
前記判定手段は、
前記第1の状態判定手段および前記第3の状態判定手段の判定結果が同一であった場合に、前記新規プローブ情報を正当と判定することを特徴とする請求項3に記載のデータベース構築システム。
【請求項5】
前記情報蓄積手段に蓄積されている前記プローブ情報に含まれる前記受信強度を前記プローブ情報の前記送信エリア単位で放送チャンネル毎に平均化する平均化手段
をさらに備え、
前記データベース更新手段は、前記平均化手段によって平均化された前記受信強度を各前記エリアにおける放送チャンネル毎の前記受信強度と決定して前記データベースを更新することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のデータベース構築システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−139172(P2011−139172A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296427(P2009−296427)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】