説明

データ再生装置及びそのデータ通信方法、データ再生システム、並びにプログラム

【課題】セキュリティ面で問題となる意に反した通信使用を招くことなく、しかも簡便に再生用データの通信を行うことができるデータ再生装置を提供する。
【解決手段】データ再生装置において通常、データ再生行為に使われている着脱可能なデバイスとして、例えばヘッドフォンユニットを用い、このヘッドフォンユニットに認証コードが記録された記憶素子108を含ませる。そして、このヘッドフォンユニットを通信相手と交換して、データ通信のための相互認証を行い、データの転送が終了すると、相互認証状態が解除される。再び相互認証を確立した通信を開始するには、ヘッドフォンユニットの着脱を元に戻して、再度ヘッドフォンユニットの交換を行わなくてはならない。交換相手が目視できる近距離で、上記デバイスの着脱によって相互認証を行うため、不正使用を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能を有するデータ再生装置及びそのデータ通信方法、前記データ再生装置を有するデータ再生システム、並びに前記データ通信方法を実現するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機能を有し、音や画像の再生が可能なデータ再生装置は従来より知られている。このようなデータ再生装置が、無線通信を介して、他のデータ再生装置に記録されたデータのコピーを行う場合は、通信開始前に事前認証を必要する方法が用いられることが多い。例えば、無線通信の認証のために別の通信手段である有線通信を用いたり、通信当事者間で互いに特定の認証コードを入力したりする方法がある。しかし、両方法とも使用者には煩雑な手続きである上、後者の方法は認証コードの偽造などの可能性があった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、クレジットカード状の記録媒体を用いて相互認証を行う方法が提案されている。この方法によれば、無線端末もしくは無線基地局における認証処理で用いられる認証用情報が格納された認証カードを用いて、認証用情報を無線基地局と無線端末との間で受け渡しする。例えば、無線端末の端末情報が書き込まれた認証カードが、ユーザによって無線基地局のカード読み出し部に挿入されると、その認証カード内に格納された無線端末の端末情報が無線基地局に登録される。そして、無線端末の電源が投入されたときに、無線端末は無線基地局に対して認証要求を送付する。認証要求を受け取った無線基地局は、無線端末の認証処理を行い、認証が成立したならば無線端末にアクセス許可を通知する。アクセス許可の通知後は、無線基地局と無線端末との間で通信が行われる。
【特許文献1】特開2001−189722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の方法では、無線基地局と無線端末との間で一度、通信の認証が成立すると、電源が切れるなどしない限り、そのまま認証状態が長時間継続されてしまう。その結果、意に反した通信データのコピーや盗聴などセキュリティ面で問題となる通信使用を招く可能性が大きい。
【0005】
また、認証のための専用記録媒体である認証カードは、不意の電源遮断などに備えて常に携帯する必要があり不便であった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に鑑み、次のような、データ再生装置及びそのデータ通信方法、データ再生システム、並びにプログラムを提供することを目的とする。即ち、セキュリティ面で問題となる意に反した通信使用を招くことなく、しかも簡便に再生用データの通信を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のデータ再生装置は、通信開始前に認証コードによる相互認証を必要とする第1の通信手段と、再生用データを再生する再生手段とを有し、前記再生用データの再生に用いる着脱可能なデバイスが少なくとも1つ装着されるデータ再生装置において、前記認証コードが記録された記憶素子を前記着脱可能なデバイスに設け、外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスを装着しているときに、前記外部のデータ再生装置との間で相互認証を確立して、前記第1の通信手段を介して前記再生用データの通信を開始する手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のデータ再生システムは、上記記載の少なくとも2つのデータ再生装置を有するデータ再生システムにおいて、前記相互認証のシーケンスが開始された後、前記着脱可能なデバイスを着脱した順序に従って、前記各データ再生装置についてデータの送信側及び受信側の設定を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のデータ再生装置のデータ通信方法は、通信開始前に認証コードによる相互認証を必要とする通信手段と、再生用データを再生する再生手段とを有し、前記再生用データの再生に用いる着脱可能なデバイスが少なくとも1つ装着され、該着脱可能なデバイスに、前記認証コードが記録された記憶素子が設けられたデータ再生装置のデータ通信方法であって、外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスを装着しているときに、前記外部のデータ再生装置との間で相互認証を確立して、前記通信手段を介して前記再生用データの通信を開始することを特徴とする。
【0010】
また、本発明のプログラムは、通信開始前に認証コードによる相互認証を必要とする通信手段と、再生用データを再生する再生手段とを有し、前記再生用データの再生に用いる着脱可能なデバイスが少なくとも1つ装着され、該着脱可能なデバイスに、前記認証コードが記録された記憶素子が設けられたデータ再生装置のデータ通信方法を実現するための、コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスが装着されたことを検知する工程と、外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスが装着されているときに、該外部のデータ再生装置との間で相互認証を確立して、前記通信手段を介して前記再生用データの通信を開始する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、セキュリティ面で問題となる意に反した通信使用を招くことなく、しかも簡便に再生用データの通信を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<装置の構成>
図1は、本発明の実施の形態に係るデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
本実施の形態に係るデータ再生装置は、例えば音楽再生用の装置として説明する。
【0015】
このデータ再生装置113は、データ記憶部100、制御ユニット101、音楽再生ユニット102、表示部103、操作部104、着脱検出部105、LEDボタン109、無線通信I/F112、及び有線通信I/F(通信コネクタ)111を備えている。
【0016】
データ再生装置113は、図示しない中央演算装置とROMとRAM等から成る制御ユニット101によって動作が制御される。ROMには、中央演算装置が実行する制御プロクラムが格納され、RAMは中央演算装置のワークエリア等として利用される。
【0017】
ユーザが操作部104によって本データ再生装置113の操作を行うと、制御ユニット101によりデータ記憶部100から例えばデジタル音楽データが読み出され、音楽再生ユニット102に転送される。
【0018】
音楽再生ユニット102は、音楽データをアナログ信号に変換し、着脱検出部105に接続されたヘッドフォンユニット106に送出する。ユーザはヘッドフォンユニット106の一部を両耳に装着することで音楽を鑑賞する。ヘッドフォンユニット106は、小型スピーカーユニットを内蔵したヘッドフォン107と、記憶素子108とで構成されている。記憶素子108は読み書き可能な不揮発性メモリであり、制御ユニット101は記憶素子108に、無線通信I/F112を使用する通信の相互認証に用いる認証コードの読み書きが可能である。この認証コードの書き込みは、操作部104からのユーザの指令、或いは予め決められたタイミングで行われる。
【0019】
また、制御ユニット101は、着脱検出部105にヘッドフォンユニット106が脱着されたことを検知する機能、データ記憶部100に記録された楽曲のデータリストを表示部103に表示する機能を有している。ユーザは、表示部103の表示内容を操作部104によって選択し、自由に再生することができるようになっている。
【0020】
ユーザが本データ再生装置113に新たな楽曲データを追加する際には、有線通信I/F111を外部コンピュータに接続し、楽曲データを転送してデータ記憶部100に保存することになる。
【0021】
さらに、制御ユニット101は、無線通信I/F112と通信アンテナ114を通じて外部と楽曲データの送受信を行う機能を有する。無線通信I/F112は、通信開始前に認証コードによる相互認証が必要な無線通信モード(第1の通信手段)と、相互認証が不要な無線通信モード(第2の通信手段)を使用することができる。通信アンテナ114を通じて送受信される音楽データは、出力される電波が微弱であるために、送受信する対象のデータ再生装置同士が数m以内の近距離に存在しないと送受信を行うことができない。
【0022】
LEDボタン109は、押しボタン付きLEDであって、押しボタン本体の中心部に発光LEDを装備したボタンである。ユーザはこのLEDボタン109の押下によって、制御ユニット101に指令を与えることができる。また、制御ユニット101は、無線通信モードのいずれの通信状態であるかを、当該発光LEDの点灯/消灯/点滅/発光色の変更によって、表示することができる。
【0023】
<楽曲データコピー時の概略動作>
図2(a),(b)は、本実施の形態における楽曲データコピー時の動作を説明するための外観模式図であり、同図(a)は楽曲データ試聴時の状態、同図(b)は楽曲データコピー時の状態を示している。また、図3は、本実施の形態における楽曲データコピー時の動作を示すシーケンス図である。
【0024】
図2(a)に示すように、ユーザAがデータ再生装置113Aの所有者であり、ユーザBがデータ再生装置113Bの所有者である。データ再生装置113A,113Bには、取り外し可能なヘッドフォンユニット106A,106Bがそれぞれ装着されている。本例では、ユーザAが持つデータ再生装置113Aの楽曲データをユーザBが自身の持つデータ再生装置113Bにコピー転送する場合の動作手順(1)〜(6)について、図2及び図3を参照して説明する。なお、図3に示したユーザCのデータ再生装置113Cは、データ再生装置113A及び113Bの周辺に存在するものの、楽曲データのコピー転送の対象とならない装置である。
【0025】
(1)S301〜S303の動作
まず、ユーザA、Bは共に、データ再生装置113A,113Bを試聴モードにする(図3のS301、S302、S303)。即ち、図1に示した構成のデータ再生装置を操作するユーザが操作部104でリスト表示を指示すると、制御ユニット101は、データ記憶部100に記録されている楽曲データのリストを作成し、表示部103に表示する。ユーザは操作部104で再生を指示すると、制御ユニット101は該当する楽曲データの再生を行う。これによってユーザはヘッドフォンユニット106により楽曲の鑑賞を行うことができる。
【0026】
ここで、ユーザA、Bは操作部104により試聴モードを選択する。これを受けて制御ユニット101は無線通信I/F112を通じて、再生中の楽曲データを送信する。このとき、無線通信は相互認証が不要な無線通信モードを用い、送信される楽曲データは再生中の楽曲データを加工して、音質は低下するが圧縮率が高い方式で圧縮して送信する。これは、相互認証を必要としない通信は、公共放送と同様に誰でも受信できるため、コンテンツを保護するために行う。
【0027】
制御ユニット101は上記通信を行いながら同時に受信を行う。ユーザAの周囲にユーザBがいるので、ユーザAのデータ再生装置113AはユーザBが再生している楽曲と同一のものを受信することが可能である。また、ユーザBも同様にユーザAが再生している楽曲を受信することができる。
【0028】
このように試聴モードでは、図2(a)に示すように、自身が聴いている楽曲が周辺のデータ再生装置との間で相互認証が不要な無線通信モードで送信されると共に、周辺のデータ再生装置が再生している楽曲を受信することができる。したがって、試聴モードでは、自分が再生している楽曲を聴きながら、周辺にいるユーザが再生している楽曲を重ねて聴くことができる。また、予め受信或いは自身が再生している楽曲のどちらかだけを選択して鑑賞しても良い。
【0029】
このとき、近くにいるユーザが再生(送信)している受信可能な複数の楽曲データは排他的に選択され、最も電波強度が高いものが選択される。さらに、制御ユニット101は、無線通信が切断されたときにも、再度最も受信状態の良いデータ通信を選択する。これにより、ユーザは安定して楽曲データの受信を行うことができる。また、選択されたデータ通信で受信を行っているときは、ユーザの操作があるまで、或いは一定時間が経過するまでは、データ通信の選択を行わない。
【0030】
そして、データ再生装置113A、113Bは共に、受信されている楽曲の強弱に同調してLEDボタン109A,109Bの発光LEDが緑色に点滅する。つまり、発光LEDの発光輝度が楽曲の強弱と連動する。従って、データ再生装置113AのユーザAが本LEDの点滅を目立つ場所に示していれば、周囲にいるユーザBはこれを見て、ユーザAが自分の聴いている楽曲を同時に鑑賞していることを知ることができる。
【0031】
(2)S304〜S307の動作
ユーザBがユーザAの聴いている楽曲を気に入り、コピーしたいと考えると、ユーザBは、近くにいるユーザAに対して、口頭などで楽曲データのコピー転送の意志を伝えることになる。そして、ユーザAがその要求を受諾すると、ユーザA,Bは共に、それぞれのデータ再生装置113A、113BのLEDボタン109A,109Bを押す(S304、S305)。
【0032】
この押下によって制御ユニット101は、LEDボタンを白色で点灯させる。さらに、制御ユニット101は、接続されているヘッドフォンユニット106内の記憶素子108にアクセスして、ランダムに生成した認証コードを書き込む。さらに、書き込んだ認証コードを制御ユニット101内に保持する。ここで、データ再生装置113Aに装着されていたヘッドフォンセット106Aの記憶素子108には「ID_A」が記憶されているものとする。また、データ再生装置113Bに装着されていたヘッドフォンセット106Bの記憶素子108には「ID_B」が記憶されたとする(S306、S307)。
【0033】
(3)S308〜S319の動作
ユーザA、Bは共にLEDボタン109A,109Bを押した後、データ再生装置113A,113Bからヘッドフォンユニット106A(HPA),106B(HPB)をそれぞれ取り外す(S308、S309)。この時、データ再生装置113A、113Bで再生中の楽曲は一時停止状態となる(S310、S311)。
【0034】
そして、図2(b)に示すように、ユーザBは、ユーザAのデータ再生装置113Aに、自分のヘッドフォンユニット106Bを接続する(S312)。すると、データ再生装置113Aの制御ユニット101は、着脱検出部105の信号によりヘッドフォンユニット106Bの装着を検知し、ヘッドフォンユニット106Bの記憶素子108に保存された認証コード「ID_B」を読み出す(S313)。さらに、データ再生装置113Aの制御ユニット101は、S313で読み出した「ID_B」を無線通信I/F112を用いて送信する(S314)。
【0035】
データ再生装置113B、Cの制御ユニット101は、前記認証コード「ID_B」を受信する(S315、S316)。データ再生装置113Bの制御ユニット101は、保持している認証コード「ID_B」と比較する(S317)。両者が一致すれば、ユーザBのヘッドフォンユニット106Bがデータ再生装置113Aに装着されたと確認されるので、データ再生装置113Bの制御ユニット101は、相互認証を完了して、LEDボタン109Bを青色に点灯させる(S319)。そして、認証完了信号をデータ再生装置113Aに送出する。データ再生装置113Aの制御ユニット101は、上記認証完了信号を受信した後、LEDボタン109Aを青色に点灯させる(S320)。なお、データ再生装置113Cの制御ユニット101は「ID_B」の受信を行うが、何も行わないことになる(S318)。
【0036】
このようにして、事前に相互認証が必要な無線通信モードが確立される。ヘッドフォンユニットの交換は限定された近距離で行われるため、無線認証の意に反した使用は非常に困難である。また、本実施の形態による無線認証は、インターネット上で行われるファイル交換と比較して匿名性が低いので、ファイル交換が急激に拡がらないという特長がある。
【0037】
(4)S321〜S323の動作
次に、データ再生装置113Bにヘッドフォンユニット106Aの装着を行う(S321)。先にヘッドフォンユニット106Bを装着したデータ再生装置113Aは楽曲データの送信側、データ再生装置113Bは楽曲データの受信側に設定される。つまり、ヘッドフォンユニットを着脱した順序に従って、各データ再生装置についてデータの送信側及び受信側の設定が行われる。ユーザA,Bは、データ再生装置113A,BのLEDボタン109A,109Bが青色に点灯したことにより、楽曲データのコピーが行える状態になったことを知る。
【0038】
その後、データ再生装置113A或いは113BのLEDボタン109A,109Bが押下されると、データ再生装置113Aで再生されていた楽曲データのデータ再生装置113Bへの転送が開始される。データ再生装置113Aは楽曲データの送信動作、データ再生装置113Bは楽曲データの受信動作を行う(S322、S323)。このデータ通信は、相互認証が必要な無線通信モードで行われるので、データ再生装置113Cは受信ができない。
【0039】
(5)S324〜S326の動作
次に、データ再生装置113Aでの楽曲データの送信動作、及びデータ再生装置113Bでの楽曲データの受信動作について、さらに詳細に説明する。
【0040】
データ再生装置113Aの制御ユニット101は、送信動作が開始されると、S310で再生を一時停止中である楽曲データをデータ記憶部100より読み出し、相互認証が必要な無線通信モードで無線通信I/F112を介して送信する。同時に、データ再生装置113Aの制御ユニット101は、この楽曲データを圧縮して最初から再生し、ヘッドフォンユニット106Bに出力すると共に、圧縮した楽曲データを相互認証不要な無線通信モードでデータ再生装置113Bへ送信する(S324)。
【0041】
一方、データ再生装置113Bの制御ユニット101は、相互認証が必要な無線通信モードで楽曲データを受信すると同時に、相互認証が不要な無線通信モードで圧縮した楽曲データを受信する。そして、相互認証が必要な無線通信モードで無線通信I/F112を介して受信した楽曲データをデータ記憶部100に格納する。また、圧縮された楽曲データを展開して楽曲再生ユニット102に送り、再生する。ユーザBはヘッドフォンユニット106Aを用いて、該展開された楽曲データを鑑賞することができる(S325)。
【0042】
このようにユーザAとユーザBが交換したヘッドフォンユニットからは、転送中の楽曲データの再生音が出力されることになる。さらに、該転送中は、LEDボタン109A,109Bが楽曲の強弱に合わせて青に点滅する。これにより、ユーザA、Bは共に、データ再生装置113Aからどの楽曲データがコピーされているのかを明確に知ることができ、意に反した操作で所望外の楽曲データがコピーされることを防止する効果がある。
【0043】
データ再生装置113Aの制御ユニット101は、楽曲データの転送が終了したら転送終了信号を相互認証が必要な無線通信モードでデータ再生装置113Bへ送る(S326)。
【0044】
相互認証が必要な楽曲データの転送が、相互認証が不要な圧縮した楽曲データの再生より早く終了した場合、データ再生装置113A,Bはヘッドフォンユニットでの再生をフェードアウトする。また、LEDボタン109A,109Bを消灯する。このことにより、ユーザは楽曲データの転送が終了したことを知ることができる。
【0045】
(6)S327、S328の動作
楽曲データの転送が終了すると、データ再生装置113A、113Bは相互認証が必要な無線通信モードによって確立された相互認証状態を解除する(S327、S328)。再び相互認証状態を確立して楽曲データのコピーを行うには、交換したヘッドフォンユニット106A、106Bの着脱状態を元に戻し、再びS301、S302からの上記動作シーケンスを行わなければならない。
【0046】
前記相互認証状態が解除され、さらにヘッドフォンユニット106Aまたは106Bの取り外しを着脱検出部105が検知すると、データ再生装置113A、113B間の通信が終了する。なお、この通信の終了は、ヘッドフォンユニット106Aまたは106Bの取り外しをトリガーとしたが、タイマを制御ユニット101に設けておき、このタイマが楽曲データの通信の開始から一定の経過時間を計測したときに、通信を終了するようにしても良い。また、ユーザからの指令、或いは通信相手先のデータ再生装置からの要求信号によって通信を終了しても構わない。
【0047】
〈本実施の形態に係る利点〉
本実施の形態では、次のような利点を有している。
【0048】
データ再生装置において通常、データ再生行為に使われている着脱可能なデバイスとして、例えばヘッドフォンユニットを用い、このヘッドフォンユニットに認証コードが記録された記憶素子108を含ませる。そして、このヘッドフォンユニットを通信相手と交換して、データ通信のための相互認証を行い、データの転送が終了すると、相互認証状態が解除される。再び相互認証を確立した通信を開始するには、ヘッドフォンユニットの着脱を元に戻して、再度ヘッドフォンユニットの交換を行わなくてはならない。ヘッドフォンユニットの交換相手が目視できる近距離で、上記デバイスの着脱によって相互認証を行うため、意に反した認証行為が困難である。このように、データ記録装置間のデータ通信において、意に反したコピーや盗聴などセキュリティ面で問題となる通信使用を招くことなく、しかも簡便にデータ通信を行うことが可能になる。
【0049】
また、ヘッドフォンユニットに認証コードが記録された記憶素子108を含ませているので、従来のように、認証のための専用記録媒体である認証カードを常に携帯する必要がなく、利便性が向上する。
【0050】
また、相互認証が必要な無線通信モードと相互認証が不要な無線通信モードを併用したので、データ通信の相互認証を行う前の試聴モードにおいて、相互認証が不要な無線通信モードを使用してデータの事前鑑賞を行うことができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、再生用データの再生に用いる着脱可能なデバイスとして、ヘッドフォンを適用したが、これに限定されず、例えば小型ディスプレイなどでも構わない。
【0052】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによっても達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0053】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0054】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしても良い。
【0055】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0056】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施の形態に係るデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態における楽曲データコピー時の動作を説明するための外観模式図である。
【図3】実施の形態における楽曲データコピー時の動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0058】
100 データ記憶部
101 制御ユニット
102 音楽再生ユニット
103 表示部
104 操作部
105 着脱検出部
106 ヘッドフォンユニット
108 記憶素子
109 LEDボタン
111 有線通信I/F
112 無線通信I/F
113 データ再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信開始前に認証コードによる相互認証を必要とする第1の通信手段と、再生用データを再生する再生手段とを有し、前記再生用データの再生に用いる着脱可能なデバイスが少なくとも1つ装着されるデータ再生装置において、
前記認証コードが記録された記憶素子を前記着脱可能なデバイスに設け、
外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスを装着しているときに、前記外部のデータ再生装置との間で相互認証を確立して、前記第1の通信手段を介して前記再生用データの通信を開始する手段を備えたことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
前記記憶素子に記録された認証コードを読み出す手段と、
前記記憶素子に記録された認証コードを保持する手段と、
前記記憶素子から読み出した認証コードを送信する手段と、
外部のデータ再生装置から認証コードを受信する手段と、
前記外部のデータ再生装置から受信した認証コードと前記保持している認証コードとを比較して、前記外部のデータ再生装置との間で相互認証を確立することを特徴とする請求項1に記載のデータ再生装置。
【請求項3】
前記再生用データの通信を終了した後は、前記相互認証を再び確立するまで、前記第1の通信手段を介して前記再生用データの通信を行わないことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ再生装置。
【請求項4】
前記着脱可能なデバイスの取り外しを検知する手段と、ユーザからの指令を受け付ける手段と、前記再生用データの通信の開始からの経過時間を計測する手段とを有し、
前記着脱可能なデバイスの取り外しの検知、ユーザからの指令、前記外部のデータ再生装置からの要求信号、或いは前記再生用データの通信の開始から予め決められた一定時間の経過により、前記第1の通信手段による通信を終了することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のデータ再生装置。
【請求項5】
通信開始前に認証コードによる相互認証を必要としない第2の通信手段をさらに有し、
前記着脱可能なデバイスを用いて再生されているデータと同一のデータを、前記第2の通信手段によって送信することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のデータ再生装置。
【請求項6】
前記再生手段は、前記再生用データを保存するための記憶手段を有し、
前記第2の通信手段によって送信される再生用データは、前記記憶手段に記憶されたデータを加工したデータであることを特徴とする請求項5に記載のデータ再生装置。
【請求項7】
前記再生手段は、
前記第2の通信手段によって受信した再生用データを、前記再生手段で再生中のデータに重ね合わせて再生することを特徴とする請求項5または6に記載のデータ再生装置。
【請求項8】
前記第2の通信手段で受信可能な複数のデータ通信があるときは、最も受信状態の良いデータ通信を選択する手段を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のデータ再生装置。
【請求項9】
前記第1の通信手段によって再生用データの転送が行われているときに、該転送中の再生用データを加工して生成したデータを前記第2の通信手段で送信することを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載のデータ再生装置。
【請求項10】
発光手段を設け、
前記第1及び第2の通信手段によって送信が行われている再生用データの強弱に応じて、前記発光手段の発光輝度の強弱を制御する手段を有することを特徴とする請求項9に記載のデータ再生装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の少なくとも2つのデータ再生装置を有するデータ再生システムにおいて、
前記相互認証のシーケンスが開始された後、前記着脱可能なデバイスを着脱した順序に従って、前記各データ再生装置についてデータの送信側及び受信側の設定を行うことを特徴とするデータ再生システム。
【請求項12】
通信開始前に認証コードによる相互認証を必要とする通信手段と、再生用データを再生する再生手段とを有し、前記再生用データの再生に用いる着脱可能なデバイスが少なくとも1つ装着され、該着脱可能なデバイスに、前記認証コードが記録された記憶素子が設けられたデータ再生装置のデータ通信方法であって、
外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスを装着しているときに、前記外部のデータ再生装置との間で相互認証を確立して、前記通信手段を介して前記再生用データの通信を開始することを特徴とするデータ再生装置のデータ通信方法。
【請求項13】
通信開始前に認証コードによる相互認証を必要とする通信手段と、再生用データを再生する再生手段とを有し、前記再生用データの再生に用いる着脱可能なデバイスが少なくとも1つ装着され、該着脱可能なデバイスに、前記認証コードが記録された記憶素子が設けられたデータ再生装置のデータ通信方法を実現するための、コンピュータで読み取り可能なプログラムであって、
外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスが装着されたことを検知する工程と、
外部のデータ再生装置で使用する前記着脱可能なデバイスが装着されているときに、該外部のデータ再生装置との間で相互認証を確立して、前記通信手段を介して前記再生用データの通信を開始する工程とを有することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−105642(P2009−105642A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275319(P2007−275319)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】