説明

データ処理システム、そのコンピュータプログラムおよびデータ処理方法

【課題】一般消費者に特定スペースでの特定消費商品の消費に対応して所定サービスを提供することができるデータ処理システムを提供する。
【解決手段】データ処理システム100は、喫煙スペースSSで一般消費者に消費される紙巻タバコPTの燃焼温度を検出し、その燃焼温度の検出時間を測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツDCの出力終了とを連動させる。このため、喫煙スペースSSで紙巻タバコPTを喫煙する一般消費者に、その喫煙行為に対応してデジタルコンテンツDCを効果的に提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定スペースで一般消費者に所定サービスを提供するためのデータ処理システムに関し、特に、特定温度を発生する特定消費商品が消費される特定スペースで利用されるデータ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、各所に喫煙スペースが用意されている。しかし、現在の喫煙スペースは、タバコ喫煙のみを目的とした隔離エリアでしかない。このため、一般的に、喫煙者は手持ちぶさたである。
【0003】
そこで、本出願人が過去に出願したデータ処理システムでは、喫煙スペースにコンテンツ出力部を設置しておき、一般消費者に広告データを提供する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−126373号公報
【特許文献2】特開2003−330396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、日常的ではない特別な広告データを喫煙スペースで一般消費者に提供することができる。しかし、広告は提供する企業には重要であるが、視聴する一般ユーザに積極的に興味を持たせることは困難である。
【0005】
特に、喫煙者は喫煙スペースを毎日のように繰り返し利用する可能性がある。このような場合、喫煙スペースを利用する一般消費者は同一のコンテンツを繰り返し視聴することになる。従って、第一回目は興味を持ったとしても、第二回目からは興味を失うことになる。
【0006】
上述のように特定スペースで提供するコンテンツへの興味を強化するため、例えば、一般消費者の入場に連動してコンテンツを提供するシステムなどがある。しかし、これは一般消費者の入場を検知するとコンテンツの出力を開始しているだけであり、やはり第一回目は興味を持ったとしても、第二回目からは興味を失うことになる。
【0007】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、特定消費商品が消費される特定スペースで一般消費者に効果的に所定サービスを提供することができるデータ処理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータ処理システムは、特定スペースで一般消費者に所定サービスを提供するためのデータ処理システムであって、デジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、特定スペースにデジタルコンテンツを出力するコンテンツ出力部と、特定スペースで一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を検出する温度検出部と、特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツの出力終了とを連動させる出力制御部と、を有する。
【0009】
従って、本発明のデータ処理システムでは、特定スペースで一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を温度検出部で検出し、その特定温度の検出時間を出力制御部で測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツの出力終了とを連動させる。このため、例えば、いわゆる紙巻タバコが特定消費商品として一般消費者により特定スペースである喫煙スペースで喫煙されるようなときに、その喫煙終了の直前タイミングにデジタルコンテンツの出力終了を連動させるようなことができる。
【0010】
また、本発明のデータ処理システムにおいて、コンテンツ記憶部は、複数のデジタルコンテンツを記憶しており、出力制御部は、特定温度の検出終了の直前タイミングで出力するデジタルコンテンツを切り換えてもよい。
【0011】
また、本発明のデータ処理システムにおいて、出力制御部は、直前タイミングで切り換えたデジタルコンテンツの出力終了を特定温度の検出終了に連動させてもよい。
【0012】
また、本発明のデータ処理システムにおいて、出力制御部は、特定温度の検出開始とデジタルコンテンツの出力開始とを連動させてもよい。
【0013】
また、本発明のデータ処理システムにおいて、温度検出部は、特定消費商品の複数の特定温度を検出し、出力制御部は、複数の特定温度ごとにコンテンツ出力部にデジタルコンテンツを出力させてもよい。
【0014】
また、本発明のデータ処理システムにおいて、温度検出部は、特定温度に検出感度が対応しているIRセンサを有してもよい。
【0015】
また、本発明のデータ処理システムにおいて、特定消費商品は、タバコからなり、特定スペースは、喫煙スペースからなり、温度検出部は、タバコの少なくとも燃焼時の特定温度を検出してもよい。
【0016】
また、本発明のデータ処理システムにおいて、温度検出部が検出する特定温度により特定スペースでの火災発生を判定する火災判定部を、さらに有してもよい。
【0017】
本発明のコンピュータプログラムは、特定スペースで一般消費者に所定サービスを提供するためのデータ処理システムのためのコンピュータプログラムであって、コンテンツ出力デバイスで出力されるデジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶処理と、特定スペースで一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を検出する温度検出処理と、特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツの出力終了とを連動させる出力制御処理と、をデータ処理システムに実行させる。
【0018】
本発明のデータ処理方法は、特定スペースで一般消費者に所定サービスを提供するためのデータ処理システムのデータ処理方法であって、コンテンツ出力デバイスで出力されるデジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶工程と、特定スペースで一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を検出する温度検出工程と、特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツの出力終了とを連動させる出力制御工程と、を有する。
【0019】
なお、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理システム、コンピュータプログラムによりデータ処理システムに実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0020】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でもよい。
【0021】
また、本発明のデータ処理方法には複数の工程を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明のデータ処理方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0022】
さらに、本発明のデータ処理方法の複数の工程は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある工程の実行中に他の工程が発生すること、ある工程の実行タイミングと他の工程の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【0023】
また、本発明で云う連動とは、ある事象やタイミングの検出をトリガとして、ある動作が実行されることを意味している。このため、その検出タイミングと動作タイミングとが完全に一致している必要はなく、タイムラグが介在してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明のデータ処理システムでは、特定スペースで一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を温度検出部で検出し、その特定温度の検出時間を出力制御部で測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツの出力終了とを連動させる。このため、例えば、いわゆる紙巻タバコが特定消費商品として一般消費者により特定スペースである喫煙スペースで喫煙されるようなときに、その喫煙終了の直前タイミングにデジタルコンテンツの出力終了を連動させるようなことができる。従って、特定消費商品が消費される特定スペースで一般消費者に効果的に所定サービスを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態のデータ処理システム100は、特定スペースである喫煙スペースSSで一般消費者に所定サービスを提供するために利用される。
【0026】
このため、本実施の形態のデータ処理システム100は、図1に示すように、デジタルコンテンツDCを記憶するコンテンツ記憶部110と、喫煙スペースSSにデジタルコンテンツDCを出力するコンテンツ出力部120と、喫煙スペースSSで一般消費者に消費される特定消費商品である紙巻タバコPTの特定温度を検出するサーモグラフィ130と、特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツDCの出力終了とを連動させる出力制御部140と、を有する。
【0027】
より詳細には、この出力制御部140は、時間集計部141、直前生成部142、直前連動部143、を有する。時間集計部141は、特定温度の検出時間を測定して集計する。
【0028】
直前生成部142は、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングを生成する。直前連動部143は、直前タイミングとデジタルコンテンツDCの出力終了とを連動させる。
【0029】
また、コンテンツ記憶部110は、複数のデジタルコンテンツDCを記憶している。そして、出力制御部140は、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングで出力するデジタルコンテンツDCを切り換えることにより、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングと特定のデジタルコンテンツDCの出力終了とを連動させる。
【0030】
また、出力制御部140は、特定温度の検出開始とデジタルコンテンツDCの出力開始とを連動させる。さらに、特定温度の検出終了に対応して出力するデジタルコンテンツDCを切り換えることで、特定温度の検出終了とデジタルコンテンツDCの出力終了も連動させる。
【0031】
紙巻タバコPTは、当然ながら燃焼することで消費される。そこで、サーモグラフィ130は、IRセンサ131、ドライバ回路132、画像処理部133、光学フィルタ134、等を有する。
【0032】
IRセンサ131は、例えば、検出感度が2〜5μmの短波長用のPtSiタイプやInSbタイプ、0.9〜1.7μmの近赤外線用のInGaAsタイプ、8〜14μmの長波長用のMCTタイプ、8〜9.2μmの長波長用のQWIPタイプ、8〜14μmの長波長用のマイクロボロメータタイプやフェロエレクトリックタイプ、等からなる。
【0033】
ただし、このIRセンサ131は、所定特性の光学フィルタ134が装着されることにより、着火された紙巻タバコPTの燃焼温度に検出感度が対応している。ドライバ回路132は、IRセンサ131の出力信号から紙巻タバコPTの燃焼温度に対応した温度分布画像を生成する。画像処理部133は、ドライバ回路132が出力する温度分布画像から特定温度を検出する。
【0034】
本実施の形態のデータ処理システム100が適用される喫煙スペースSSは、例えば、建物に用意された一室などからなる。図2に示すように、その喫煙スペースSSには複数の座席PSが用意されており、その座席PSごとにコンテンツ出力デバイスとしてディスプレイデバイス121が設置されている。
【0035】
ディスプレイデバイス121は、例えば、いわゆるベールビューLCD(Liquid Crystal Display)などの、視野角が所定範囲に限定されている狭視野角ディスプレイからなる。
【0036】
そして、相互に対応している座席PSとディスプレイデバイス121とは、ディスプレイデバイス121の視野角に座席PSが配置されているとともに、座席PSに着席した一般消費者の視認範囲にディスプレイデバイス121が配置されている。
【0037】
さらに、相互に対応していない座席PSとディスプレイデバイス121とは、ディスプレイデバイス121の視野角の外側に座席PSが配置されているとともに、座席PSに着席した一般消費者の視認範囲の外側にディスプレイデバイス121が配置されている。
【0038】
IRセンサ131は、例えば、全部の座席PSを撮像できる喫煙スペースSSの天井などに設置されている。喫煙スペースSSのバックヤードにはデータベースサーバ101が設置されており、このデータベースサーバ101にIRセンサ131と複数のディスプレイデバイス121が接続されている。
【0039】
データベースサーバ101には適正なコンピュータプログラムが実装されている。このコンピュータプログラムに対応してデータベースサーバ101が各種の処理動作を実行することにより、上述の各部110〜140が論理的に実現されている。
【0040】
コンテンツ記憶部110は、データベースサーバ101がコンピュータプログラムに対応して認識する記憶エリアなどに相当する。コンテンツ出力部120は、データベースサーバ101がコンピュータプログラムに対応してディスプレイデバイス121を動作制御する機能などに相当する。
【0041】
サーモグラフィ130の画像処理部133は、データベースサーバ101がコンピュータプログラムに対応して画像処理を実行する機能などに相当する。出力制御部140は、データベースサーバ101がサーモグラフィ130の出力データとコンピュータプログラムとに対応して、ディスプレイデバイス121に出力させるデジタルコンテンツDCを選択する機能などに相当する。
【0042】
上述のようなデータ処理システム100のコンピュータプログラムは、例えば、ディスプレイデバイス121で出力されるデジタルコンテンツDCを記憶するコンテンツ記憶処理と、喫煙スペースSSで一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を検出する温度検出処理と、特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された検出時間から予想される特定温度の検出終了の直前タイミングとデジタルコンテンツDCの出力終了とを連動させる出力制御処理と、をデータベースサーバ101に実行させるように記述されている。
【0043】
上述のような構成において、本実施の形態のデータ処理システム100は、一般消費者による喫煙スペースSSの利用を促進するため、喫煙スペースSSを利用する一般消費者にデジタルコンテンツDCを提供する。
【0044】
より詳細には、本実施の形態のデータ処理システム100は、デジタルコンテンツDCとして、例えば、常時出力コンテンツ、特定コンテンツ、終了直前コンテンツ、が登録されている。
【0045】
常時出力コンテンツは、例えば、喫煙スペースSSの利用方法の案内ガイダンスなどからなり、一般消費者の有無などに関係なく常時出力される。特定コンテンツは、一般消費者の喫煙中のみ提供される動画などからなる。終了直前コンテンツは、顧客訴求を目的とした各種情報からなり、予想される喫煙終了の直前タイミングに出力される。
【0046】
上述のような各種のデジタルコンテンツDCが登録されているデータ処理システム100は、IRセンサ131により喫煙スペースSSの全部の座席PSを常時撮像している。
【0047】
このような状態で、図3に示すように、ディスプレイデバイス121には、例えば、喫煙スペースSSの利用方法の案内ガイダンスが、デジタルコンテンツDCである常時出力コンテンツとして常時出力されている(ステップS1)。
【0048】
そこで、例えば、一般消費者が喫煙スペースSSに入場して座席PSに着席し、紙巻タバコPTを取り出して着火すると、これがIRセンサ131により検出される(ステップS2−Y)。
【0049】
すると、本実施の形態のデータ処理システム100は、着火された紙巻タバコPTの燃焼温度を特定温度として検出することにより、図5に示すように、出力されているデジタルコンテンツDCを前述の案内ガイダンスの常時出力コンテンツから動画などの特定コンテンツに切り換える(ステップS3)。
【0050】
このような状態で、データ処理システム100は、その紙巻タバコPTの着火から消火までを燃焼温度の検出時間として測定し(ステップS4,S8)、これを喫煙時間として集計する(ステップS9)。
【0051】
同時に、集計されている喫煙時間から、喫煙終了の直前タイミングが予想される。そこで、その喫煙終了の直前タイミングになると(ステップS5−Y)、出力されているデジタルコンテンツDCを特定コンテンツから終了直前コンテンツに切り換える(ステップS6)。
【0052】
さらに、このように終了直前コンテンツが出力された状態で、実際の紙巻タバコPTの消火が検出されると(ステップS7−Y)、これで燃焼温度の検出時間が特定される(ステップS8)。
【0053】
すると、終了直前コンテンツの出力が終了され(ステップS8)、常時出力コンテンツの出力が再開される(ステップS1)。上述のように実際の紙巻タバコPTの喫煙の検出時間が特定されると(ステップS8)、その検出時間により集計結果が更新される(ステップS9)。
【0054】
なお、実際には喫煙終了の直前タイミングに先行して実際の消火が検出される場合もあるが(ステップS5−N,S7−Y)、このような場合には、例えば、出力されるデジタルコンテンツDCが特定コンテンツから常時出力コンテンツに直接に切り換えられる(ステップS3〜S9,S1)。
【0055】
ただし、直前タイミングに先行して消火が検出されたときに、デジタルコンテンツDCを特定コンテンツから終了直前コンテンツに切り換えてから常時出力コンテンツに切り換えてもよい(図示せず)。
【0056】
本実施の形態のデータ処理システム100は、上述のように喫煙スペースSSで一般消費者に消費される紙巻タバコPTの燃焼温度を検出し、その燃焼温度の検出に対応してデジタルコンテンツDCを出力する。このため、喫煙スペースSSで紙巻タバコPTを喫煙する一般消費者に、その喫煙行為に対応してデジタルコンテンツDCを提供することができる。
【0057】
特に、紙巻タバコPTの燃焼温度の検出時間を測定して集計し、集計された検出時間から予想される喫煙終了の直前タイミングで出力するデジタルコンテンツDCを切り換える。
【0058】
このため、一般消費者が予想しない喫煙終了の直前タイミングにデジタルコンテンツDCを切り換えることができる。従って、終了直前コンテンツとして提供するデジタルコンテンツDCの訴求効果を極めて向上させることができる。
【0059】
なお、喫煙時間の長短は喫煙スペースSSに対応することが予想される。例えば、オフィス街にある喫煙スペースSSならば喫煙時間は短時間であることが予想され、歓楽街にある喫煙スペースSSならば喫煙時間は長時間であることが予想される。
【0060】
しかし、本実施の形態のデータ処理システム100では、その喫煙スペースSSで実際に喫煙時間を測定して集計するので、その喫煙スペースSSごとに最適な直前タイミングを生成することができる。
【0061】
また、このように実際に測定して集計した喫煙時間に対応して直前タイミングを生成するので、その直前タイミングから喫煙終了までに最適な時間の終了直前コンテンツを用意しておくこともできる。
【0062】
さらに、本実施の形態のデータ処理システム100は、上述のような終了直前コンテンツなどの出力終了を紙巻タバコPTの燃焼温度の検出終了とも連動させる。従って、終了直前コンテンツなどとして提供するデジタルコンテンツDCの訴求効果を向上させることができる。
【0063】
また、本実施の形態のデータ処理システム100では、紙巻タバコPTの燃焼温度の検出開始とデジタルコンテンツDCの出力開始とを連動させる。このため、喫煙を開始した一般消費者に動画などの特定コンテンツをデジタルコンテンツDCとして即座に提供することができる。
【0064】
しかも、本実施の形態のデータ処理システム100では、紙巻タバコPTの燃焼温度の検出開始とデジタルコンテンツDCの出力開始とを連動させる。このため、喫煙を開始した一般消費者にデジタルコンテンツDCを提供することができる。従って、特定コンテンツなどとして提供するデジタルコンテンツDCの訴求効果を向上させることができる。
【0065】
さらに、本実施の形態のデータ処理システム100では、IRセンサ131は、紙巻タバコPTの燃焼温度に検出感度が対応している。このため、背景輻射などを誤検出することなく、一般消費者の喫煙行為に対応してデジタルコンテンツDCを的確に提供することができる。しかも、上述のような検出感度のIRセンサ131としては、前述のように各種タイプのデバイスを利用することができ、その方式を限定する必要がない。
【0066】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では消費により特定温度を発生する特定消費商品が紙巻タバコPTからなることを例示した。しかし、このような特定消費商品が加温や加冷されている缶詰飲料などでもよい(図示せず)。
【0067】
また、上記形態ではタバコパックTPとの差異を明確とするため、実際に喫煙されるタバコを紙巻タバコPTと称呼した。しかし、この喫煙される特定消費商品が、いわゆる葉巻でもよい(図示せず)。
【0068】
さらに、上記形態では一般消費者にデジタルコンテンツDCを的確に提供するために喫煙スペースSSにIRセンサ131を設置しておくことを例示した。しかし、このようなデータ処理システムが、IRセンサ131が検出する特定温度により喫煙スペースSSでの火災発生を判定してもよい(図示せず)。
【0069】
当然ながら、喫煙スペースSSには火災報知システムが必要である。つまり、上述のようなデータ処理システムは、火災報知システムのIRセンサ131を利用して一般消費者にデジタルコンテンツDCを的確に提供できることになる。
【0070】
また、上記形態では紙巻タバコPTの燃焼温度のみ検出し、この検出に対応してデジタルコンテンツDCを出力することを例示した。しかし、紙巻タバコPTの複数の特定温度を検出し、その複数の特定温度ごとにデジタルコンテンツDCを出力してもよい(図示せず)。
【0071】
例えば、紙巻タバコPTは、一般消費者による吸引の有無や、吸引の強度に対応して燃焼温度が変化する。そこで、この燃焼温度を複数段階に検出し、その複数の検出に対応してデジタルコンテンツDCを出力してもよい。
【0072】
また、上記形態では、図6に示すように、特定温度が検出されていないときにデジタルコンテンツDCとして常時出力コンテンツが常時出力されており、この常時出力コンテンツの出力終了とデジタルコンテンツDCである特定コンテンツの出力開始とが特定温度の検出開始と連動され、この特定コンテンツの出力終了とデジタルコンテンツDCである終了直前コンテンツの出力開始とが直前タイミングと連動され、この終了直前コンテンツの出力終了が特定温度の検出終了と連動されることを例示した。
【0073】
しかし、図7(a)に示すように、特定温度が検出されていないときにはデジタルコンテンツDCが出力されず、特定温度の検出開始と特定コンテンツとの出力開始とが連動され、この特定コンテンツの出力終了と終了直前コンテンツの出力開始とが直前タイミングと連動され、この終了直前コンテンツが最後まで出力されてから終了されてもよい。
【0074】
なお、特定温度が検出されていないときにはデジタルコンテンツDCが出力されず、特定温度の検出開始と特定コンテンツとの出力開始とが連動され、直前タイミングから所定時間が経過した時点で特定コンテンツの出力が終了されて終了直前コンテンツが出力されなくともよい(図示せず)。この場合、特定コンテンツの出力を直前タイミングから所定時間でフェードアウェイさせてもよい。
【0075】
また、特定温度が検出されていないときに常時出力コンテンツが常時出力されており、この常時出力コンテンツの出力終了と特定コンテンツの出力開始とが特定温度の検出開始と連動され、この特定コンテンツの出力終了とデジタルコンテンツDCである終了直前コンテンツの出力開始とが直前タイミングと連動され、この終了直前コンテンツが最後まで出力されてから終了されてもよい(図示せず)。
【0076】
また、特定温度が検出されていないときにはデジタルコンテンツDCが出力されず、特定温度の検出開始と特定コンテンツとの出力開始とが連動され、この特定コンテンツの出力終了とデジタルコンテンツDCである終了直前コンテンツの出力開始とが直前タイミングと連動され、この終了直前コンテンツが最後まで出力されてから終了されてもよい(図示せず)。
【0077】
さらに、上記形態では特定コンテンツが一般的な喫煙時間より長時間の動画などからなることを想定した。しかし、図7(b)に示すように、特定コンテンツが、例えば、一般的な喫煙時間に連続的に出力される短時間の複数の特定コンテンツからなってもよい。
【0078】
そして、このように一般的な喫煙時間に複数の短時間の特定コンテンツが連続的に出力される場合、その特定コンテンツの出力が喫煙終了の直前タイミングで中断されてもよいが、図7(b)に示すように、喫煙終了の直前タイミングが発生してから、その短時間の特定コンテンツを最後まで出力してもよい。
【0079】
同様に、喫煙終了が検出されてから終了直前コンテンツを最後まで出力してもよい。これらの場合、出力中の特定コンテンツや終了直前コンテンツが中断されることがないので、一般消費者の不満を改善することができる。
【0080】
なお、前述のように特定コンテンツや終了直前コンテンツを完了せずに中断するときには、いわゆるフェードアウェイの手法で一般消費者の違和感を緩和してもよい(図示せず)。
【0081】
また、上述のように複数の短時間の特定コンテンツが連続的に出力される場合、当然ながら、その複数の特定コンテンツの出力時間は相違していてもよい。その場合、最初の方に長時間の特定コンテンツを出力してから最後の方に短時間の特定コンテンツを出力すれば、喫煙終了の検出タイミングと特定コンテンツの終了タイミングとを緻密に対応させることができる。
【0082】
さらに、上記形態では特定コンテンツが動画などからなることを想定した。しかし、特定コンテンツがリアルタイムに出力されるビデオゲームなどからなってもよい。この場合、やはり喫煙終了の直前タイミングと同時にビデオゲームを中断してもよく、喫煙終了の直前タイミングが発生するとビデオゲームを所定状態まで進行させてから終了してもよい。
【0083】
また、上記形態では紙巻タバコPTの燃焼温度のみに対応してデジタルコンテンツDCを出力することを例示した。しかし、紙巻タバコPTの銘柄も検出してデジタルコンテンツDCを出力してもよい。
【0084】
より具体的には、図4に示すように、紙巻タバコPTのタバコパックTPには、JAN(Japanese Article Number)コードなどの商品IDデータが商品バーコードTBとして表記されている。
【0085】
そこで、データ処理システム100の座席PSごとにバーコードリーダ(図示せず)を設置しておき、一般消費者にタバコパックTPの商品バーコードTBをバーコードリーダでデータ処理システム100に入力させる。
【0086】
この場合、データ処理システム100は、一般消費者が喫煙する紙巻タバコPTの銘柄を認識できるので、その銘柄に対応して複数種類のデジタルコンテンツDCを選択的に出力するようなことができる。
【0087】
なお、特定消費商品であるタバコパックTPにRFIDチップが貼付されており、このRFIDチップに商品IDデータが記録されており、データ処理システムがRFIDリーダで商品IDデータを取得してもよい(図示せず)。
【0088】
さらに、上記形態では喫煙スペースSSには一般消費者が自由に出入りできることを例示した。しかし、上述のようなタバコパックTPの確認により喫煙スペースSSへの入場を制限してもよい。
【0089】
その場合、例えば、喫煙スペースSSの入口に電動ゲートとバーコードリーダを設置しておき(図示せず)、タバコパックTPの商品バーコードTBを確認できないと喫煙スペースSSへの入場を許可しないようなことができる(図示せず)。
【0090】
当然ながら、喫煙スペースSSの一般消費者はタバコパックTPを所持しており、タバコパックTPを所持していない一般消費者が喫煙スペースSSに入場することはない。このため、適正な一般消費者は問題なく喫煙スペースSSに入場させることができる。
【0091】
さらに、上記形態では紙巻タバコPTの燃焼温度の検出に対応してデジタルコンテンツDCを出力することを例示した。しかし、紙巻タバコPTの燃焼温度を検出日時とともに出力し、デジタルコンテンツDCの出力を検出日時にも対応して制御してもよい。この場合、平日と休日で相違するデジタルコンテンツDCを提供するようなことができる。
【0092】
さらに、上記形態では喫煙スペースSSが建物に用意された一室からなることを例示した。しかし、喫煙スペースSSが、飲食店に用意された喫煙席、屋外に用意されたオープンスペース等でもよい(図示せず)。
【0093】
このように喫煙スペースが屋外に用意されている場合、例えば、複数の狭視野角のディスプレイデバイス121を設置しておき、IRセンサ131の撮像画像により一般消費者を識別し、対応するディスプレイデバイス121でデジタルコンテンツDCを表示すればよい。
【0094】
この場合、屋外のオープンスペースに設置されているディスプレイデバイス121は周囲から自由に視認されるが、このディスプレイデバイス121が狭視野角であるため、正面に相対する一般消費者でないとデジタルコンテンツDCの視認は困難である。このため、デジタルコンテンツDCを正当な一般消費者のみに提供することができる。
【0095】
さらに、視野角が下方に設定されているディスプレイデバイス121を上方に配置し、その表示画面を下側に傾斜させておくようなこともできる。この場合も、上方に位置するディスプレイデバイス121は周囲から自由に視認されるが、その下方に位置する一般消費者でないとデジタルコンテンツDCを視認することは困難である。
【0096】
なお、現在では視野角の方向を制御できるディスプレイデバイスもある(図示せず)。そこで、このようなコンテンツ出力部を屋外に設置しておき、IRセンサ131の撮像画像により一般消費者が識別されたときに、その方向にディスプレイデバイスの視野角を制御してデジタルコンテンツDCを提供してもよい。
【0097】
また、上記形態ではディスプレイデバイス121が狭視野角ディスプレイからなり、一対一に対応する座席PSの一般消費者のみにデジタルコンテンツDCを提供することを例示した。
【0098】
しかし、ディスプレイデバイス121が、複数のデジタルコンテンツDCを各々所定の視野角で複数方向に出力するマルチビューディスプレイからなり、相互に対応している座席PSとディスプレイデバイス121とは、ディスプレイデバイス121の複数の視野角の各々に座席PSが配置されているとともに、座席PSに着席した一般消費者の視認範囲にディスプレイデバイス121が配置されていてもよい(図示せず)。
【0099】
上述のようなディスプレイデバイス121は、複数方向に相違するデジタルコンテンツDCを同時に出力することができる。このため、一個のディスプレイデバイス121で複数の一般消費者に個々にデジタルコンテンツDCを提供することができる。
【0100】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態のデータ処理システムの論理構造を示す模式的なブロック図である。
【図2】データ処理システムの物理構造を示す模式的なブロック図である。
【図3】データ処理システムの処理動作を示すフローチャートである。
【図4】特定消費商品であるタバコパックの外観を示す斜視図である。
【図5】デジタルコンテンツの出力形態を示す模式的なタイムチャートである。
【図6】デジタルコンテンツの出力形態を示す模式的なタイムチャートである。
【図7】変形例のデジタルコンテンツの出力形態を示す模式的なタイムチャートである。
【符号の説明】
【0102】
100 データ処理システム
101 データベースサーバ
110 コンテンツ記憶部
120 コンテンツ出力部
121 ディスプレイデバイス
130 サーモグラフィ
131 IRセンサ
132 ドライバ回路
133 画像処理部
134 光学フィルタ
140 出力制御部
141 時間集計部
142 直前生成部
143 直前連動部
DC デジタルコンテンツ
PS 座席
PT 紙巻タバコ
SS 喫煙スペース
TB 商品バーコード
TP タバコパック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定スペースで一般消費者に所定サービスを提供するためのデータ処理システムであって、
デジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部と、
前記特定スペースに前記デジタルコンテンツを出力するコンテンツ出力部と、
前記特定スペースで前記一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を検出する温度検出部と、
前記特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された前記検出時間から予想される前記特定温度の検出終了の直前タイミングと前記デジタルコンテンツの出力終了とを連動させる出力制御部と、
を有するデータ処理システム。
【請求項2】
前記コンテンツ記憶部は、複数の前記デジタルコンテンツを記憶しており、
前記出力制御部は、前記特定温度の検出終了の直前タイミングで出力する前記デジタルコンテンツを切り換える請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記出力制御部は、前記直前タイミングで切り換えた前記デジタルコンテンツの出力終了を前記特定温度の検出終了に連動させる請求項2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記出力制御部は、前記特定温度の検出開始と前記デジタルコンテンツの出力開始とを連動させる請求項1ないし3の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記温度検出部は、前記特定消費商品の複数の前記特定温度を検出し、
前記出力制御部は、複数の前記特定温度ごとに前記コンテンツ出力部に前記デジタルコンテンツを出力させる請求項1ないし4の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記温度検出部は、前記特定温度に検出感度が対応しているIR(infrared)センサを有する請求項1ないし5の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
前記特定消費商品は、タバコからなり、
前記特定スペースは、喫煙スペースからなり、
前記温度検出部は、前記タバコの少なくとも燃焼時の前記特定温度を検出する請求項1ないし6の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記温度検出部が検出する前記特定温度により前記特定スペースでの火災発生を判定する火災判定部を、さらに有する請求項7に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
特定スペースで一般消費者に所定サービスを提供するためのデータ処理システムのためのコンピュータプログラムであって、
コンテンツ出力デバイスで出力されるデジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶処理と、
前記特定スペースで前記一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を検出する温度検出処理と、
前記特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された前記検出時間から予想される前記特定温度の検出終了の直前タイミングと前記デジタルコンテンツの出力終了とを連動させる出力制御処理と、
を前記データ処理システムに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項10】
特定スペースで一般消費者に所定サービスを提供するためのデータ処理システムのデータ処理方法であって、
コンテンツ出力デバイスで出力されるデジタルコンテンツを記憶するコンテンツ記憶工程と、
前記特定スペースで前記一般消費者に消費される特定消費商品の特定温度を検出する温度検出工程と、
前記特定温度の検出時間を測定して集計し、集計された前記検出時間から予想される前記特定温度の検出終了の直前タイミングと前記デジタルコンテンツの出力終了とを連動させる出力制御工程と、
を有するデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−134056(P2009−134056A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309845(P2007−309845)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【Fターム(参考)】