説明

データ処理システム、データ出力装置、データ処理装置、印刷装置、データ出力プログラム、およびデータ処理プログラム

【課題】印刷対象画像については公開されたページ記述言語を利用したいという要望に応えつつ、地紋画像が容易に偽造されることを防止する。
【解決手段】データ出力装置10は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成するPDLデータ合成部11と、合成後のPDLデータを出力するPDLデータ出力部12とを有し、データ処理装置30は、データ出力装置10により出力された印刷対象画像のPDLデータと地紋画像のPDLデータを受け付けるPDLデータ受付部31と、印刷対象画像のPDLデータを解釈して印刷対象画像の画像データを生成する対象画像データ生成部32と、地紋画像のPDLデータを解釈して地紋画像の画像データを生成する地紋画像データ生成部33と、印刷対象画像の画像データと地紋画像の画像データとを合成する画像データ合成部34とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システム、データ出力装置、データ処理装置、印刷装置、データ出力プログラム、およびデータ処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
文書の印刷時に、不正複写防止等のための地紋画像を文書に重畳して印刷する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、クライアント装置からPDL(ページ記述言語:Page Description Language)データを受け付け、当該PDLデータに対して、オーバーレイ画像を表すPDLデータを付加する装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、あるPDLによりフォーム・オーバレイ・データが登録され、他のPDLからでも上記フォーム・オーバレイ・データを利用することが可能な印刷装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、様々なPDLデータを画像形成出力するプリンタにおいて、予め記憶されているあるPDLのフォーム画像を他のPDLの画像形成出力において利用するものが記載されている。
【0006】
特許文献4には、複数の異なるPDLで記述された画像データが複数存在する場合に、複数のPDLを解釈し、解釈された複数の画像データを合成し、合成された画像データを複数の異なるPDLで記述する技術が記載されている。
【0007】
特許文献5には、文書PDLに対し、複写牽制画像および濃度情報を用いて複写牽制画像重畳のためのPDLコマンドを挿入することにより、出力用PDLを生成する技術が記載されている。
【0008】
特許文献6には、複数種類のPDLを任意に選択して、出力すべきデータを選択したPDLの形式で出力する装置が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−248829号公報
【特許文献2】特開平8−169156号公報
【特許文献3】特開平10−287024号公報
【特許文献4】特開2007−60263号公報
【特許文献5】特開2007−143042号公報
【特許文献6】特開2001−350612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、印刷対象画像に対して地紋画像を付加する場合、セキュリティ等の観点より、地紋画像は容易に偽造されないことが好ましい。また、印刷対象画像を表すページ記述言語としては、公開されているページ記述言語を利用したいという要望がある。
【0011】
本発明は、印刷対象画像については公開されているページ記述言語を利用したいという要望に応えつつ、地紋画像が容易に偽造されることを防止することが可能なデータ処理システム、データ出力装置、データ処理装置、印刷装置、データ出力プログラム、およびデータ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るデータ処理システムは、データ出力装置とデータ処理装置とを含み、前記データ出力装置は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、前記印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成するPDLデータ合成手段と、前記PDLデータ合成手段により得られたPDLデータを出力するPDLデータ出力手段と、を有し、前記データ処理装置は、前記データ出力装置により出力された、前記印刷対象画像を表したPDLデータと、前記地紋画像を表したPDLデータとを受け付けるPDLデータ受付手段と、前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する対象画像データ生成手段と、前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する地紋画像データ生成手段と、前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する画像データ合成手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るデータ出力装置は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、前記印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成するPDLデータ合成手段と、前記PDLデータ合成手段により得られたPDLデータを出力するPDLデータ出力手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るデータ処理装置は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを受け付けるPDLデータ受付手段と、前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する対象画像データ生成手段と、前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する地紋画像データ生成手段と、前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する画像データ合成手段と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る印刷装置は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを受け付けるPDLデータ受付手段と、前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する対象画像データ生成手段と、前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する地紋画像データ生成手段と、前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する画像データ合成手段と、前記画像データ合成手段により得られた画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るデータ出力プログラムは、コンピュータに、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、前記印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成する手順と、前記合成により得られたPDLデータを出力する手順と、を実行させることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るデータ処理プログラムは、コンピュータに、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを受け付ける手順と、前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する手順と、前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する手順と、前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する手順と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、印刷対象画像については公開されているページ記述言語を利用したいという要望に応えつつ、地紋画像が容易に偽造されることを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態に係るデータ処理システムを含む印刷システム100の構成の一例を示すブロック図である。この印刷システム100は、印刷対象画像に地紋画像を付加して印刷するシステムである。
【0021】
図1において、印刷システム100は、ページ記述言語(PDL)で記述された印刷データ(以下、「PDLデータ」と称す)を出力するデータ出力システム1と、当該データ出力システム1により出力されたPDLデータに基づいて印刷を行う印刷装置2とを含む。
【0022】
データ出力システム1は、データ出力装置10を有し、データ出力装置10は、PDLデータ合成部11と、PDLデータ出力部12とを有する。
【0023】
PDLデータ合成部11は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、当該印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成する。
【0024】
印刷対象画像は、具体的には、利用者により印刷が要求された印刷対象データの画像である。ここで、印刷対象データは、印刷装置により印刷可能なデータであればよいが、例えば、文書作成ソフトや表計算ソフトなどの各種アプリケーションソフトのデータや、各種の画像データなどの文書データである。
【0025】
地紋画像は、印刷対象画像が印刷される印刷媒体に埋め込まれる画像であり、ウォータマークなどとも呼ばれる。地紋画像は、例えば、上記印刷媒体の全体に埋め込まれる。一つの態様では、地紋画像は、セキュリティに関する情報を含む画像であり、例えば、印刷対象画像のセキュリティを確保するための画像、印刷物の不正複写を抑制するための画像、印刷物の複写を牽制するための画像、情報の出所や流出経路を追跡するための画像などである。具体的な態様では、地紋画像は、複写機により複写されると所定の情報が浮かび上がる画像である。例えば、地紋画像は、複写機の複写により再現されない背景部分と、複写機の複写により再現される潜像部分とを有し、地紋画像が埋め込まれた印刷媒体が複写機により複写されると、潜像部分のパターンが複写物に現れる。ここで、上記地紋画像に含まれるセキュリティに関する情報としては、例えば、印刷対象データの作成者を特定するための情報(例えば文書作成者の名前)、印刷を行った者を特定するための情報(例えば印刷要求者の名前)、印刷対象データの名称(例えば文書名)、印刷が行われた日時、印刷要求を送信したクライアント装置を特定するための情報(例えばIPアドレス)、印刷を行う印刷装置を特定するための情報(例えばIPアドレス)、「複写禁止」等の文字、市町村等のマーク、印刷物を特定するための情報(例えばシリアル番号)などが挙げられる。
【0026】
公開されたページ記述言語としては、例えば、PCL(Printer Control Language)やポストスクリプト(PostScript)などの汎用のページ記述言語が挙げられる。
【0027】
非公開のページ記述言語としては、例えば、印刷装置2の製造者独自のページ記述言語が挙げられる。
【0028】
地紋画像のPDLデータは、例えばPDLデータ合成部11により生成されるが、所定の記憶装置に予め記憶されていてもよい。
【0029】
一つの態様では、データ出力システム1は、対象PDLデータ生成部20を有し、PDLデータ合成部11は、対象PDLデータ生成部20から印刷対象画像のPDLデータを取得する。
【0030】
具体的には、対象PDLデータ生成部20は、アプリケーションソフトなどから、利用者により印刷が要求された印刷対象データを受け付け、当該印刷対象データに基づき、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で記述したPDLデータを生成し、当該印刷対象画像のPDLデータをPDLデータ合成部11に渡す。
【0031】
PDLデータ合成部11は、図2に示されるように、対象PDLデータ生成部20から、公開されたページ記述言語で記述された印刷対象画像のPDLデータ201を受け取り、当該PDLデータ201に対して、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータ202を付加して、地紋付きのPDLデータ203を生成する。なお、図2の例では、印刷対象画像のPDLデータ201の前に地紋画像のPDLデータ202が付加されているが、印刷対象画像のPDLデータ201の後に地紋画像のPDLデータ202が付加されてもよい。
【0032】
PDLデータ出力部12は、PDLデータ合成部11により得られたPDLデータを出力する。
【0033】
データ出力システム1やデータ出力装置10は、一つの態様では、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、データ出力システム1やデータ出力装置10の機能は、記録媒体に記録されたデータ出力プログラムがメインメモリに読み出されてCPU(Central Processing Unit)により実行されることによって実現される。上記データ出力プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されることも可能であるし、データ信号として通信により提供されることも可能である。ただし、データ出力システム1やデータ出力装置10は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。
【0034】
データ出力システム1やデータ出力装置10は、物理的に一つの装置により実現されてもよいし、物理的に複数の装置により実現されてもよい。
【0035】
一つの態様では、データ出力システム1は、図3に示されるように、クライアント310およびプリントサーバ320により実現される。具体的には、対象PDLデータ生成部20は、クライアント310により実現され、データ出力装置10は、プリントサーバ320により実現される。図3の例では、クライアント310のプリンタドライバ311が、印刷対象画像のPDLデータを生成し、当該印刷対象画像のPDLデータを含む印刷要求をプリントサーバ320に送る。プリントサーバ320は、クライアント310から印刷要求を受けると、当該印刷要求に含まれる印刷対象画像のPDLデータに対して、地紋画像のPDLデータを付加して、地紋付きのPDLデータを含む印刷要求を印刷装置2に送る。
【0036】
別の態様では、データ出力システム1は、図4に示されるように、クライアント410により実現される。図4の例では、クライアント410のプリンタドライバ411が、印刷対象画像のPDLデータを生成し、当該印刷対象画像のPDLデータを含む印刷要求を、プリントキューなどの記憶部412に記憶させる。そして、クライアント410の地紋画像付加ソフト413が、記憶部412から印刷要求を取り出し、当該印刷要求に含まれる印刷対象画像のPDLデータに対して、地紋画像のPDLデータを付加して、地紋付きのPDLデータを含む印刷要求を印刷装置2またはプリントサーバに送る。
【0037】
さらに別の態様では、データ出力システム1は、図5に示されるように、クライアント510により実現される。図5の例では、クライアント510のプリンタドライバ511が、印刷対象画像のPDLデータを生成し、当該印刷対象画像のPDLデータに対して地紋画像のPDLデータを付加して、地紋付きのPDLデータを含む印刷要求を印刷装置2またはプリントサーバに送る。
【0038】
再び図1を参照すると、印刷装置2は、データ処理装置30と印刷部40とを有する。
【0039】
データ処理装置30は、データ出力装置10により出力された地紋付きのPDLデータを受け取り、当該PDLデータを解釈して画像データを生成する。
【0040】
データ処理装置30は、PDLデータ受付部31、対象画像データ生成部32、地紋画像データ生成部33、および画像データ合成部34を有する。
【0041】
PDLデータ受付部31は、データ出力装置10により出力されたPDLデータを受け付ける。すなわち、PDLデータ受付部31は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを受け付ける。
【0042】
対象画像データ生成部32は、PDLデータ受付部31により受け付けられた印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータを解釈して、印刷対象画像の画像データを生成する。印刷対象画像の画像データは、例えばビットマップデータであるが、エッジリストなどの中間形式のデータであってもよい。
【0043】
地紋画像データ生成部33は、PDLデータ受付部31により受け付けられた地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータを解釈して、地紋画像の画像データを生成する。地紋画像の画像データは、例えばビットマップデータであるが、エッジリストなどの中間形式のデータであってもよい。
【0044】
画像データ合成部34は、対象画像データ生成部32により生成された印刷対象画像の画像データと、地紋画像データ生成部33により生成された地紋画像の画像データとを合成して出力する。例えば、画像データ合成部34は、合成後の画像データを印刷部40に出力して印刷部40に印刷させる。
【0045】
データ処理装置30は、一つの態様では、ハードウェア資源とソフトウェアとの協働により実現される。具体的には、データ処理装置30の機能は、記録媒体に記録されたデータ処理プログラムがメインメモリに読み出されてCPU(Central Processing Unit)により実行されることによって実現される。上記データ処理プログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されることも可能であるし、データ信号として通信により提供されることも可能である。ただし、データ処理装置30は、ハードウェアのみにより実現されてもよい。
【0046】
印刷部40は、画像データ合成部34により得られた画像データに基づいて印刷を行う。すなわち、印刷部40は、印刷対象画像に地紋画像が付加された画像を印刷媒体に印刷する。印刷部40は、例えば、電子写真方式やインクジェット方式などのプリントエンジンである。
【0047】
図6は、データ出力システム1の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図6を参照して、データ出力システム1の動作の一例を説明する。
【0048】
データ出力システム1は、利用者により印刷指示された文書データを受け付けると(S11)、公開されたページ記述言語を用いて、上記文書データを、当該文書データの画像(以下、「文書画像」と称す)を表す文書画像のPDLデータに変換する(S12)。
【0049】
ついで、データ出力システム1は、上記文書画像のPDLデータと、非公開のページ記述言語で記述された地紋画像のPDLデータとを合成して、地紋付きのPDLデータを生成する(S13)。このとき、データ出力システム1は、例えば、文書画像のPDLデータを解釈して、文書のページ数やページサイズなどの情報を取得し、当該情報に基づいて地紋画像のPDLデータを生成する。また、データ出力システム1は、文書画像のPDLデータと地紋画像のPDLデータとを合成する際、地紋画像に入っている文字列などを文書に追加する等のために、文書画像のPDLデータを加工してもよい。
【0050】
ついで、データ出力システム1は、地紋付きのPDLデータを印刷装置2に送る(S14)。
【0051】
図7は、印刷装置2の動作の一例を示すフローチャートである。以下、図7を参照して、印刷装置2の動作の一例を説明する。
【0052】
印刷装置2は、データ出力システム1から、文書画像のPDLデータと地紋画像のPDLデータとを含む地紋付きのPDLデータを受け付ける(S21)。
【0053】
ついで、印刷装置2は、上記地紋付きのPDLデータに含まれる、公開されたページ記述言語で記述された文書画像のPDLデータを解釈して、文書画像の画像データを生成する(S22)。
【0054】
また、印刷装置2は、上記地紋付きのPDLデータに含まれる、非公開のページ記述言語で記述された地紋画像のPDLデータを解釈して、地紋画像の画像データを生成する(S23)。
【0055】
そして、印刷装置2は、上記生成された文書画像の画像データと地紋画像の画像データとを合成し(S24)、合成後の画像データに基づき、文書画像に地紋画像が重畳された画像を印刷する(S25)。
【0056】
図8は、データ出力装置10の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図8には、複数種類の公開されたページ記述言語PDL1〜PDLn(nは2以上の整数)に対応可能なデータ出力装置10が示されている。
【0057】
図8において、データ出力装置10は、対象PDLデータ取得部601、PDL判定部602、PDL1前処理部603−1、PDL2前処理部603−2、・・・、PDLn前処理部603−n、地紋PDLデータ生成部604、PDL1合成部605−1、PDL2合成部605−2、・・・、PDLn合成部605−n、およびPDLデータ出力部606を有する。なお、以下の説明では、PDL1前処理部603−1、PDL2前処理部603−2、・・・、およびPDLn前処理部603−nを適宜「PDL前処理部603」と総称し、PDL1合成部605−1、PDL2合成部605−2、・・・、およびPDLn合成部605−nを適宜「PDL合成部605」と総称する。
【0058】
対象PDLデータ取得部601は、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータを取得する。例えば、対象PDLデータ取得部601は、プリンタドライバにより生成された、印刷対象画像のPDLデータを含む印刷要求を取得する。
【0059】
PDL判定部602は、対象PDLデータ取得部601により取得された印刷対象画像のPDLデータのページ記述言語の種類を判定し、印刷対象画像のPDLデータを、その種類に対応するPDL前処理部603に渡す。例えば、印刷対象画像のPDLデータがPDL1で記述されている場合には、PDL判定部602は、当該PDLデータをPDL1前処理部603−1に渡す。
【0060】
PDL1前処理部603−1、PDL2前処理部603−2、・・・、およびPDLn前処理部603−nは、それぞれ、ページ記述言語PDL1、PDL2、・・・、PDLnで記述された印刷対象画像のPDLデータを解釈または処理し、当該PDLデータから、印刷対象画像のページ数やページサイズなど地紋画像の作成に必要な情報を得る。
【0061】
地紋PDLデータ生成部604は、PDL前処理部603により得られた情報に基づき、印刷対象画像に付加されるべき地紋画像を生成し、当該地紋画像を、非公開のページ記述言語PDLxで記述されたPDLデータに変換する。地紋PDLデータ生成部604は、上記印刷対象画像のPDLデータを含む印刷要求に含まれる文書名や文書作成者名等の情報を地紋画像に含めてもよいし、データ出力装置10で生成されたシリアル番号や日時等の情報を地紋画像に含めてもよい。
【0062】
PDL1合成部605−1、PDL2合成部605−2、・・・、およびPDLn合成部605−nは、それぞれ、ページ記述言語PDL1、PDL2、・・・、PDLnで記述された印刷対象画像のPDLデータと、地紋PDLデータ生成部604により生成された地紋画像のPDLデータとを合成する。
【0063】
PDLデータ出力部606は、PDL合成部605により得られた合成後のPDLデータを出力する。
【0064】
なお、図8の例において、データ出力装置10は、非公開のページ記述言語PDLxで記述された印刷対象画像のPDLデータを取得し、当該印刷対象画像のPDLデータと、非公開のPDLxで記述された地紋画像のPDLデータとを合成して出力する機能を有してもよい。
【0065】
図9は、図8のデータ出力装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0066】
データ出力装置10は、プリンタドライバやプリントキューなどから、公開されたページ記述言語で記述された文書画像のPDLデータを取得する(S31)。
【0067】
ついで、データ出力装置10は、上記文書画像のPDLデータのページ記述言語の種類を判定する(S32−1,S32−2,・・・)。
【0068】
そして、データ出力装置10は、上記判定結果に基づき、文書画像のPDLデータのページ記述言語の種類に対応するPDL前処理部603により、文書画像のPDLデータから、地紋画像を生成するための情報を取得する(S33−1,S33−2,・・・,S33−n)。
【0069】
ついで、データ出力装置10は、地紋画像生成処理を実行する(S34−1,S34−2,・・・,S34−n)。地紋画像生成処理では、データ出力装置10は、図10に示されるように、文書画像のPDLデータから取得された情報に基づいて地紋画像を作成し(S310)、当該地紋画像を、非公開のページ記述言語PDLxで記述されたPDLデータに変換する(S320)。
【0070】
ついで、データ出力装置10は、上記判定結果に基づき、文書画像のPDLデータのページ記述言語の種類に対応するPDL合成部605により、上記文書画像のPDLデータと上記地紋画像のPDLデータとを合成する(S35−1,S35−2,・・・,S35−n)。
【0071】
そして、データ出力装置10は、上記合成により得られたPDLデータを出力する(S36)。例えば、合成後のPDLデータを含む印刷要求を印刷装置2に送信する。
【0072】
図11は、データ処理装置30の具体的な構成の一例を示すブロック図である。図11には、複数種類の公開されたページ記述言語PDL1〜PDLn(nは2以上の整数)に対応可能なデータ処理装置30が示されている。
【0073】
図11において、データ処理装置30は、PDLデータ取得部701、PDL判定部702、PDL1対象画像データ生成部703−1、PDL2対象画像データ生成部703−2、・・・、PDLn対象画像データ生成部703−n、PDLx地紋画像判定部704、PDLx対象画像データ生成部705、地紋画像データ生成部706、および画像データ合成部707を有する。なお、以下の説明では、PDL1対象画像データ生成部703−1、PDL2対象画像データ生成部703−2、・・・、およびPDLn対象画像データ生成部703−nを適宜「対象画像データ生成部703」と総称する。
【0074】
PDLデータ取得部701は、データ出力装置10により出力された、印刷対象画像のPDLデータと地紋画像のPDLデータとを含む地紋付きのPDLデータを取得する。
【0075】
PDL判定部702は、PDLデータ取得部701により取得された地紋付きのPDLデータに含まれる各PDLデータのページ記述言語の種類を判定し、当該判定結果に基づき、各PDLデータを、PDL1対象画像データ生成部703−1、PDL2対象画像データ生成部703−2、・・・、PDLn対象画像データ生成部703−n、またはPDLx地紋画像判定部704に渡す。具体的には、PDL判定部702は、ページ記述言語PDL1,PDL2,・・・,PDLnで記述されたPDLデータを、それぞれPDL1対象画像データ生成部703−1,PDL2対象画像データ生成部703−2,・・・,PDLn対象画像データ生成部703−nに渡し、ページ記述言語PDLxで記述されたPDLデータをPDLx地紋画像判定部704に渡す。
【0076】
PDL1対象画像データ生成部703−1、PDL2対象画像データ生成部703−2、・・・、およびPDLn対象画像データ生成部703−nは、それぞれ、ページ記述言語PDL1、PDL2、・・・、PDLnで記述された印刷対象画像のPDLデータを解釈して、印刷対象画像の画像データを生成する。
【0077】
PDLx地紋画像判定部704は、PDL判定部702からページ記述言語PDLxで記述されたPDLデータを受け取り、当該PDLデータが印刷対象画像および地紋画像の何れを表すものかを判定し、この判定結果に基づき、印刷対象画像のPDLデータをPDLx対象画像データ生成部705に渡し、地紋画像のPDLデータを地紋画像データ生成部706に渡す。
【0078】
PDLx対象画像データ生成部705は、PDLx地紋画像判定部704からページ記述言語PDLxで記述された印刷対象画像のPDLデータを受け取り、当該PDLデータを解釈して、印刷対象画像の画像データを生成する。
【0079】
地紋画像データ生成部706は、PDLx地紋画像判定部704からページ記述言語PDLxで記述された地紋画像のPDLデータを受け取り、当該PDLデータを解釈して、地紋画像の画像データを生成する。
【0080】
画像データ合成部707は、対象画像データ生成部703またはPDLx対象画像データ生成部705により生成された印刷対象画像の画像データと、地紋画像データ生成部706により生成された地紋画像の画像データとを合成する。
【0081】
図12は、図11のデータ処理装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
【0082】
データ処理装置30は、データ出力装置10から、文書画像のPDLデータと地紋画像のPDLデータとを含む印刷要求を受け付ける(S41)。
【0083】
ついで、データ処理装置30は、上記印刷要求に含まれるPDLデータについて、ページ記述言語の種類を判定する(S42−1,S42−2,・・・,S42−n,S42−x)。
【0084】
ページ記述言語PDL1〜PDLnのいずれかであると判定された場合には、データ処理装置30は、判定されたPDLデータのページ記述言語の種類に対応する対象画像データ生成部703により、当該PDLデータを解釈して、文書画像の画像データを生成し(S43−1,S43−2,・・・,S43−n)、処理をステップS48に進める。
【0085】
ページ記述言語PDLxであると判定された場合には、データ処理装置30は、当該PDLデータが地紋画像を表すものか否かを判断する(S44)。そして、地紋画像を表すものでないと判断された場合には(S44:NO)、当該PDLデータを解釈して文書画像の画像データを生成し(S45)、地紋画像を表すものであると判断された場合には(S44:YES)、当該PDLデータを解釈して地紋画像の画像データを生成し(S46)、処理をステップS48に進める。
【0086】
ページ記述言語PDL1〜PDLn,PDLxのいずれでもないと判定された場合には、データ処理装置30は、所定のエラー処理を実行し(S47)、処理を終了させる。例えば、データ処理装置30は、印刷できない旨を示す情報を利用者に提示する。
【0087】
ステップS48では、データ処理装置30は、上記印刷要求に含まれる全てのPDLデータについて処理が終了したかどうかを判断する。
【0088】
処理が終了していないと判断された場合(S48:NO)、データ処理装置30は、未処理のPDLデータを処理するために、処理をステップS42−1に戻す。
【0089】
一方、処理が終了したと判断された場合(S48:YES)、データ処理装置30は、ステップS43−1、S43−2、・・・、S43−n、またはS45で生成された文書画像の画像データと、ステップS46で生成された地紋画像の画像データとを合成し(S49)、当該合成により得られた画像データを印刷部40に印刷させる(S50)。
【0090】
なお、図12の例では、印刷要求に含まれる全てのPDLデータを解釈した後に、画像データの合成を行っているが、1ページ毎やあるバンド単位で、PDLデータの解釈および画像データの合成を行ってもよい。
【0091】
以上説明した本実施の形態によれば、次の効果が得られ得る。
【0092】
本実施の形態では、印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、上記印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成して出力する。このため、本実施の形態によれば、印刷対象画像については公開されているページ記述言語を利用したいという要望に応えつつ、地紋画像が容易に偽造されることを防止することが可能となる。
【0093】
例えば、地紋画像を非公開のページ記述言語で表すので、地紋画像を公開されたページ記述言語で表す場合と比較して、地紋画像のPDLデータの解読や偽造が容易でない。特に、文書やページ毎に異なるデータ(例えば日付や通し番号などがコード化されたデータ)が地紋画像に挿入される態様では、地紋画像の偽造は困難となる。
【0094】
また、例えば、印刷対象画像を公開されたページ記述言語(例えば汎用のページ記述言語)を用いて表すので、非公開のページ記述言語については、地紋画像を扱うことができれば足りる。このため、印刷対象画像および地紋画像の両方を非公開のページ記述言語で扱う場合と比較して、非公開のページ記述言語を簡単に定義または作成することができる。
【0095】
また、例えば、印刷対象画像を公開されたページ記述言語を用いて表すので、利用者は、公開されたページ記述言語のプリンタドライバ(例えば汎用のプリンタドライバ)を利用することができる。
【0096】
また、例えば、データ出力装置およびデータ処理装置は、地紋画像について、1種類のページ記述言語を扱えばよいので、複数種類のページ記述言語を扱う場合と比較して、構成が簡単になる。
【0097】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施の形態に係るデータ処理システムを含む印刷システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】PDLデータの合成の様子を示す概念図である。
【図3】データ出力システムの一つの態様を示す図である。
【図4】データ出力システムの別の態様を示す図である。
【図5】データ出力システムの別の態様を示す図である。
【図6】データ出力システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】印刷装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】データ出力装置の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図8のデータ出力装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】図9における地紋画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】データ処理装置の具体的な構成の一例を示すブロック図である。
【図12】図11のデータ処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1 データ出力システム、2 印刷装置、10 データ出力装置、11 PDLデータ合成部、12 PDLデータ出力部、20 対象PDLデータ生成部、30 データ処理装置、31 PDLデータ受付部、32 対象画像データ生成部、33 地紋画像データ生成部、34 画像データ合成部、40 印刷部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ出力装置とデータ処理装置とを含み、
前記データ出力装置は、
印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、前記印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成するPDLデータ合成手段と、
前記PDLデータ合成手段により得られたPDLデータを出力するPDLデータ出力手段と、
を有し、
前記データ処理装置は、
前記データ出力装置により出力された、前記印刷対象画像を表したPDLデータと、前記地紋画像を表したPDLデータとを受け付けるPDLデータ受付手段と、
前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する対象画像データ生成手段と、
前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する地紋画像データ生成手段と、
前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する画像データ合成手段と、
を有する、
ことを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、前記印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成するPDLデータ合成手段と、
前記PDLデータ合成手段により得られたPDLデータを出力するPDLデータ出力手段と、
を有することを特徴とするデータ出力装置。
【請求項3】
印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを受け付けるPDLデータ受付手段と、
前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する対象画像データ生成手段と、
前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する地紋画像データ生成手段と、
前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する画像データ合成手段と、
を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを受け付けるPDLデータ受付手段と、
前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する対象画像データ生成手段と、
前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する地紋画像データ生成手段と、
前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する画像データ合成手段と、
前記画像データ合成手段により得られた画像データに基づいて印刷を行う印刷手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
コンピュータに、
印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、前記印刷対象画像に付加される地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを合成する手順と、
前記合成により得られたPDLデータを出力する手順と、
を実行させることを特徴とするデータ出力プログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
印刷対象画像を公開されたページ記述言語で表したPDLデータと、地紋画像を非公開のページ記述言語で表したPDLデータとを受け付ける手順と、
前記印刷対象画像を表したPDLデータを解釈して、前記印刷対象画像の画像データを生成する手順と、
前記地紋画像を表したPDLデータを解釈して、前記地紋画像の画像データを生成する手順と、
前記印刷対象画像の画像データと前記地紋画像の画像データとを合成する手順と、
を実行させることを特徴とするデータ処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−176013(P2009−176013A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13504(P2008−13504)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】