説明

データ処理装置、方法、およびプログラム

【課題】外部装置から受信したデータをメモリに書き込みメモリ上で当該データに所定の処理を行うデータ処理装置において消費電力を低減するための好適な技術を提供する。
【解決手段】アクセス動作を行う通常モードと、前記アクセス動作を制限して消費電力を低減する省電力モードとの切り替えを制御されるメモリと、前記メモリに書き込まれるべきデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部にて前記データが受信されたときに、前記メモリに対する起動要求信号を発行する要求発行部と、前記起動要求信号に応じて、前記メモリを前記省電力モードから前記通常モードへ切り替える制御部と、前記起動要求信号の発行後に、前記データを前記メモリに書き込むための書き込みコマンド信号を発行するコマンド発行部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセス動作を制限して消費電力を低減することができるメモリを備えたデータ処理装置に関し、特にネットワークから受信されたデータを前記メモリに保持する場合に、前記メモリにおける消費電力を好適に制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ、コピー、スキャナ、ネットワークプリンタの機能を単一の筐体に実装したネットワーク複合機と呼ばれる装置が広く普及し、オフィスの省スペース化に貢献している。
【0003】
ネットワーク複合機には、省スペース化のみならず省電力化への強い要請があり、消費電力を低減するための種々の工夫が周知となっている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【0004】
特許文献1には、ネットワークを介して外部装置と接続され、外部装置から受信された受信パケットデータに応じて、電力消費モードを変更する画像形成装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、LAN(Local Aria Network)を介して複数の外部装置が接続される場合に、外部装置から受信される印刷データの有無に応じて、CPU(Central Processing Unit)等へのクロック信号の供給および停止を切り替える印刷装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−289361号公報
【特許文献2】特開2001−180083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来の技術を実際の応用に用いるとき、消費電力を十分に低減できない場合があるという問題がある。
【0007】
そのような場合の1つの典型的な例として、ネットワーク複合機、特にLAN経由で受信されるデータを印刷するネットワークプリンタであって、LANインターフェース部が受信したデータをメモリに書き込み、CPUがメモリに書き込まれたデータを印刷装置に転送することによって、印刷処理を遂行する装置を挙げることができる。
【0008】
このように構成されるネットワークプリンタにおけるメモリは、印刷のためのデータを何時書き込まれるか判らないため、アクセス動作を制限することで消費電力を低減するような省電力モードに設定することができないという問題がある。
【0009】
このような問題は、ネットワークプリンタに限らず、外部装置から受信したデータをメモリに書き込みメモリ上で当該データに所定の処理を行うデータ処理装置において一般的に生じる。
【0010】
従来の技術は、このような状況下でメモリを省電力モードに設定可能とするための具体的な構成を開示していない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、外部装置から受信したデータをメモリに書き込みメモリ上で当該データに所定の処理を行うデータ処理装置において消費電力を低減するための好適な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係るデータ処理装置は、アクセス動作を行う通常モードと、前記アクセス動作を制限して消費電力を低減する省電力モードとの切り替えを制御されるメモリと、前記メモリに書き込まれるべきデータを受信するデータ受信部と、前記データ受信部にて前記データが受信されたときに、前記メモリに対する起動要求信号を発行する要求発行部と、前記起動要求信号に応じて、前記メモリを前記省電力モードから前記通常モードへ切り替える制御部と、前記起動要求信号の発行後に、前記データを前記メモリに書き込むための書き込みコマンド信号を発行するコマンド発行部とを備える。
【0013】
この構成によれば、メモリに書き込まれるべきデータが受信されたときに、要求発行部がメモリを省電力モードから通常モードへ切り替えるための起動要求信号を発行し、制御部が起動要求信号に応じてメモリを省電力モードから通常モードへ切り替えるので、メモリを常時通常モードにしておく必要がなくなる。その結果、消費電力を削減する優れた効果が得られる。
【0014】
また、前記データ処理装置は、さらに、前記データ受信部にて受信された前記データが前記メモリへ書き込まれる前に、前記データに対して前処理を行う副処理部を有し、前記要求発行部は、前記副処理部での前記前処理の終了後に、前記起動要求信号を発行してもよい。
【0015】
この構成によれば、データがメモリに書き込まれる前に前処理を施されるべき場合に好適な、消費電力を削減する効果が得られる。
【0016】
また、前記制御部は、前記メモリを前記省電力モードから前記通常モードへ切り替えるときに、前記メモリが前記通常モードになったことを示すメモリ起動完了通知信号を発行し、前記コマンド発行部は、前記メモリ起動完了通知信号に応じて、前記書き込みコマンド信号を発行してもよい。
【0017】
この構成によれば、メモリが確実に通常モードになったときに、書き込みコマンド信号を発行することができる。
【0018】
また、前記制御部は、前記メモリを前記通常モードから前記省電力モードへ切り替えるときに、前記メモリが前記省電力モードになったことを示す省電力モード移行通知信号を発行し、前記要求発行部は、前記省電力モード移行通知信号が予め受信されている場合のみ、前記起動要求信号を発行してもよい。
【0019】
この構成によれば、メモリが既に通常モードになっているときには、無駄になる起動要求信号の発行処理を省略できる。
【0020】
なお、本発明は、データ処理装置として実現できるだけでなく、データ処理方法、およびプログラムとして実現することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るデータ処理装置によれば、メモリに書き込まれるべきデータが受信されたときに、要求発行部がメモリを省電力モードから通常モードへ切り替えるための起動要求信号を発行し、制御部が起動要求信号に応じてメモリを省電力モードから通常モードへ切り替えるので、メモリを常時通常モードにしておく必要がなくなる。その結果、消費電力を削減する優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るデータ処理装置の一例としてのネットワーク複合機を含む通信システムの構成の一例を示す図である。
【0023】
この通信システムは、ネットワーク複合機1及び2、端末装置3及び4、PSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆電話交換回線網)5、並びにLAN(Local Area Network)6から構成される。
【0024】
ネットワーク複合機1は、PSTN5を介してネットワーク複合機2と接続され、またLAN6を介して端末装置3及び4と接続される。
【0025】
ここで、ネットワーク複合機1は、本発明のデータ処理装置の一例である。
ネットワーク複合機1は、スキャナ及びプリンタを備えており、ファクシミリ、コピー、スキャナ、ネットワークプリンタの機能を単一の筐体に実装している。
【0026】
ネットワーク複合機1は、例えば、スキャナにて原稿を読み取って得た画像データをPSTN5を介してネットワーク複合機2へファクシミリ送信することよりファクシミリ機能を実現し、前記画像データをLAN6を介して端末装置3及び4へ送信することよりスキャナ機能を実現し、前記画像データをプリンタで印刷出力することによりコピー機能を実現し、また、LAN6を介して端末装置3及び4から受信された印刷データをプリンタで印刷出力することによりネットワークプリンタ機能を実現する。
【0027】
図2は、ネットワーク複合機1の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
ネットワーク複合機1は、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read Only Memory)11、SRAM(Static Random Access Memory)121、DRAM(Dynamic RAM)122、モデム13、NCU(Network Control Unit)14、操作パネル15、ディスプレイ16、スキャナ17、プリンタ18、LAN(Local Area Network)I/F19、及びPDL(Page Description Language)処理部20を備える。
【0028】
CPU10は、ROM11に格納されたプログラムを実行することにより、ネットワーク複合機1の全体を制御する。
【0029】
CPU10は、例えば、DRAM122に書き込まれた印刷データ、画像データなどをプリンタ18へ転送することによって、印刷処理を行う。
【0030】
ROM11は、CPU10が実行するプログラムを格納する、読み出し専用メモリである。
【0031】
SRAM121は、CPU10がプログラムを実行する際に用いられるワークデータ等を保持する読み書き可能なメモリである。
【0032】
DRAM122は、CPU10によって処理されるべき、印刷データ、画像データなどのデータを保持する読み書き可能なメモリである。DRAM122は、例えば供給されるクロック信号の周波数に応じて、アクセス動作を行う通常モードと、前記アクセス動作を制限して消費電力を低減する省電力モードとの間で、動作モードの切り替えを制御される。
【0033】
モデム13は、DRAM122に保持された画像データをファクシミリ信号に変調して送信し、また外部からから受信されたファクシミリ信号を画像データに復調する。モデム13は、例えばG3規格に準拠したファックスモデムである。
【0034】
NCU14は、モデム13とPSTN5との接続を制御する網制御装置である。
操作パネル15は、利用者からの操作を受け付けるタッチパネル、及び複数のキーで構成される。
【0035】
ディスプレイ16は、利用者への操作ガイドおよびネットワーク複合機1の動作状態を表示する表示装置であり、例えばLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)である。
【0036】
スキャナ17は、画像読み取り装置であり、CPU10の制御下で、原稿を光学的に読み取ることによって得た画像データを出力する。
【0037】
プリンタ18は、印刷装置であり、CPU10の制御下で、例えばDRAM122に保持されたデータによって表される画像を印刷出力する。
【0038】
LANI/F19は、ネットワーク複合機1とLAN6とを接続する通信アダプタであり、例えば、LAN6を介して接続された端末装置3及び4から印刷データを受信し、DRAM122へ書き込む。
【0039】
PDL処理部20は、ページ記述言語で表現された印刷データ(以下、ページ記述データ)をプリンタ18が直接処理できる低位の印刷データに展開する処理部であり、例えば、ページ記述データが端末装置3及び4から受信された場合に、受信されたページ記述データを低位の印刷データに展開し、展開後の印刷データをDRAM122へ書き込む。
【0040】
図3は、ネットワーク複合機1の主要部の機能を実現するハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。図3には、説明の便宜のため、図2に示されるいくつかの部が再掲される。これらの部には図2と同じ符号を付して説明を省略する。
【0041】
ネットワーク複合機1の主要部は、バス33で接続された主処理部30、PDL処理部20、LANI/F19から構成される。バス33は、データ信号を伝送するデータ線(実線)と、割り込みなどの制御信号を伝送する制御線(点線)とを含むバスであり、例えば、PCI(Peripheral Componet Interconnect)バスが利用できる。主処理部30、PDL処理部20、LANI/F19は、それぞれ独立したプリント配線基板に実装されてもよい。
【0042】
主処理部30には、CPU10、ROM11、SRAM121、DRAM122、モデム13、NCU14が設けられ、さらにコントローラ31(図2には示さず)が設けられる。コントローラ31は、CPU10とバス33、プリンタ18、スキャナ17、およびDRAM122との間のデータ転送を制御する。コントローラ31は動作モード制御部32を含み、動作モード制御部32はDRAM122の動作モードを、前述した通常モードと省電力モードとの間で切り替える制御を行う。
【0043】
動作モード制御部32は、一例として、周波数をリフレッシュ動作に必要な最低の周波数に落としたクロック信号をDRAM122に供給することでDRAM122を省電力モードにし、クロック信号の周波数を通常のアクセス動作のための周波数に回復することでDRAM122を通常モードにしてもよい。
【0044】
また、動作モード制御部32は、リフレッシュ動作に必要な電源を残し、他の電源の供給を停止することでDRAM122を省電力モードにし、全ての電源の供給を再開することでDRAM122を通常モードにしてもよい。
【0045】
このような制御のために、動作モード制御部32は、CPU10から動作モードを指定するデータを書き込まれるレジスタと、当該レジスタの内容に応じた周波数のクロック信号を生成する可変周波数発振器と、当該レジスタの内容に応じて電源の供給を遮断するスイッチとで構成される。
【0046】
LANI/F19には、接続部192、MPU(Micro Processing Unit)191が設けられる。
【0047】
接続部192は、LAN6と物理的に接続し、印刷データを含むデータをLAN6から受信する。
【0048】
MPU191は、プロセッサ、ROM、RAM、入出力ポートなどを備えた1つのコンピュータシステムであり、ROMに予め記録されているプログラムをプロセッサが実行するソフトウェア処理によって、以下の機能を実現する。
【0049】
MPU191は、DRAM122を省電力モードから通常モードへ切り替えるための起動要求信号、および受信されたデータをDRAM122に書き込むための書き込みコマンド信号を、バス33を介して主処理部30へ送信する。
【0050】
MPU191は、DRAM122が通常モードになったことを示すメモリ起動完了通知信号、およびDRAM122が省電力モードになったことを示す省電力モード移行通知信号を、バス33を介して主処理部30から受信する。
【0051】
PDL処理部20には、MPU201が設けられる。
MPU201は、プロセッサ、ROM、RAM、入出力ポートなどを備えた1つのコンピュータシステムであり、ROMに予め記録されているプログラムをプロセッサが実行するソフトウェア処理によって、以下の機能を実現する。
【0052】
MPU201は、LANI/F19で受信された印刷データがページ記述データである場合に、受信されたページ記述データを、バス33を介して取得し、プリンタ18が直接処理できる低位の印刷データに展開する。
【0053】
MPU201は、DRAM122を省電力モードから通常モードへ切り替えるための起動要求信号、および展開後の低位の印刷データをDRAM122に書き込むための書き込みコマンド信号を、バス33を介して主処理部30へ送信する。
【0054】
なお、上述の構成において、DRAM122は本発明のメモリの一例であり、動作モード制御部32は本発明の制御部の一例である。また、LANI/F19における接続部192は、本発明のデータ受信部の一例であり、MPU191は、本発明の要求発行部およびコマンド発行部の一例である。また、MPU201は、本発明の副処理部、要求発行部およびコマンド発行部の一例である。
【0055】
次に、上述のように構成されたネットワーク複合機1の主要部の動作の一例を詳細に説明する。
【0056】
図4は、LANI/F19にてプリンタ18で印刷されるべき印刷データが受信された場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。ここでは、受信された印刷データは、プリンタ18が直接処理できる低位の印刷データであるとして説明する。
【0057】
LANI/F19のMPU191は、DRAM122の動作モードを表す値を保持するメモリ動作モードフラグを用いて、図4に示される処理を行う。
【0058】
接続部192にて印刷データが受信されると(S13)、メモリ動作モードフラグに省電力モードを表す値が保持されている場合(S14で省電力)、MPU191はメモリ起動要求処理を行う(S15)。メモリ起動要求処理において、MPU191は、DRAM122を省電力モードから前記通常モードへ切り替えるための起動要求信号を発行する。
【0059】
起動要求信号には、例えば、INTBが用いられる。INTBとは、バス33に用意されるAからDまでの4つの割り込み信号線のうちのBにアサートされる割り込み信号を言う。
【0060】
主処理部30のCPU10は、INTBを受信することで、後ほど詳述するメモリ起動処理を行う(S31)。CPU10は、メモリ起動処理の最後に、DRAM122が通常モードになったことを示すメモリ起動完了通知信号を発行する。
【0061】
メモリ起動完了通知信号には、例えば、起動要求信号と同じINTBが用いられる。
MPU191は、起動要求信号としてのINTBをアサートした後、メモリ起動完了通知信号としてのINTBが受信されるのを待つ。メモリ起動完了通知信号としてのINTBの受信後、MPU191は、印刷要求処理を行う(S17)。印刷要求処理において、MPU191は、印刷データをDRAM122へ書き込むためのコマンド信号を発行する。コマンド信号には、例えば、DMA(Direct Memory Access)によるデータ書き込みを指示する一般的な信号が用いられる。コマンド信号は、バス33を介してコントローラ31に送られる。
【0062】
CPU10は、DRAM122に書き込まれた印刷データをプリンタ18へ転送する印刷処理を行う。このとき、CPU10は、DRAM122の動作モードが通常モードに復帰したことを示す通常モード復帰通知信号をLAN/IF19へ発行する(S32)。MPU191は、通常モード復帰通知信号の受信後、メモリ動作モードフラグを、通常モードを表す値に更新する(S17)。
【0063】
CPU10は、印刷データを含むDRAM122に書き込まれたデータについて行うべき全ての処理が終了したときに、後ほど詳述するメモリ停止処理を行う(S33)。CPU10は、メモリ停止処理の最後に、DRAM122が省電力モードになったことを示す省電力モード移行通知信号を発行する。
【0064】
MPU191は、省電力モード移行通知信号の受信後、メモリ動作モードフラグを、省電力モードを表す値に更新する(S18)。
【0065】
次に、主処理部30のCPU10によって行われるメモリ起動処理およびメモリ停止処理の詳細について説明する。
【0066】
主処理部30のCPU10は、メモリ起動処理およびメモリ停止処理が同時に複数起動された場合でも矛盾が発生しないように、グローバル変数である起動処理進行中フラグおよび停止処理進行中フラグを用いて、メモリ起動処理およびメモリ停止処理を行う。
【0067】
図5は、メモリ起動処理の詳細な一例を示すフローチャートである。
CPU10は、まず、停止処理進行中フラグが1の間待ち(S311)、続いて、起動処理進行中フラグが1の間待つ(S312)。その後、起動処理進行中フラグを1に更新してから(S313)、以下に述べる処理を行う。
【0068】
DRAM122が省電力モードで動作している場合(S314で省電力)、CPU10は、例えば、動作モード制御部32に設けられるレジスタに通常のアクセス動作用の周波数を指示する値を書き込むことで、動作モード制御部32からDRAM122に供給されるクロック信号の周波数を通常のアクセス動作用の周波数に回復させる(S315)。
【0069】
その後、CPU10は、起動処理進行中フラグを0に更新し(S316)、メモリ起動完了通知をLANI/F19へ送る(S317)。
【0070】
図6は、メモリ停止処理の詳細な一例を示すフローチャートである。
メモリ停止処理は、DRAM122のデータに対して行うべき処理がなくなったことが判ったときに実行される。例えば、主処理部30のCPU10で、DRAM122のデータに対して行うべき処理をリストする管理プロセスを実行しておき、リストされる処理がなくなったときに、管理プロセスがメモリ停止処理を起動してもよい。
【0071】
CPU10は、停止処理進行中フラグが1である場合(S331)、および起動処理進行中フラグが1である場合(S332)は、DRAM122を停止せずに処理を終了する。その他の場合、停止処理進行中フラグを1に更新してから(S333)、以下に述べる処理を行う。
【0072】
CPU10は、例えば、動作モード制御部32に設けられるレジスタにリフレッシュ動作に必要な最低の周波数を指示する値を書き込むことで、動作モード制御部32からDRAM122に供給されるクロック信号の周波数をリフレッシュ動作に必要な最低周波数に落とす(S334)。
【0073】
その後、CPU10は、停止処理進行中フラグを0に更新し(S335)、省電力モード移行通知信号をLANI/F19へ送る(S336)。
【0074】
次に、LANI/F19にてページ記述データが受信された場合について説明する。ページ記述データは、前述したように、プリンタ18へ送られる前に、PDL処理部20において、プリンタ18で直接処理できる低位の印刷データに変換される。
【0075】
図7は、LANI/F19にてページ記述データが受信された場合の動作の一例を示すシーケンスチャートである。ページ記述データが受信されたか、プリンタ18が直接処理できる低位の印刷データが受信されたかは、LANI/F19のMPU191によって、受信データの内容に応じて判断される。
【0076】
PDL処理部20のMPU201は、DRAM122の動作モードを表す値を保持するメモリ動作モードフラグを用いて、図7に示される処理を行う。
【0077】
接続部192にてページ記述データが受信されると、MPU191は、受信されたページ記述データを低位の印刷データに展開する指示を、PDL処理部20に対して発行する(S11)。
【0078】
PDL処理部20のMPU201は、受信されたページ記述データを、バス33を介してLANI/F19から取得し、プリンタ18が直接処理できる低位の印刷データに展開する(S21)。
【0079】
MPU201は、展開処理が開始され、ページ記述データが印刷データに展開された後、メモリ動作モードフラグに省電力モードを表す値が保持されている場合(S24で省電力)、MPU201は、DRAM122を省電力モードから前記通常モードへ切り替えるための起動要求信号を発行するメモリ起動要求処理を行う(S25)。
【0080】
MPU201が発行する起動要求信号には、MPU191が発行する起動要求信号との区別のため、例えば、INTDが用いられる。
【0081】
主処理部30のCPU10は、INTDを受信することで、前述したメモリ起動処理を行う(S31)。CPU10は、メモリ起動処理の最後に、DRAM122が通常モードになったことを示すメモリ起動完了通知信号を発行する。
【0082】
メモリ起動完了通知信号には、例えば、起動要求信号と同じINTDが用いられる。
MPU201は、メモリ起動完了通知信号の受信後、メモリ動作モードフラグを、通常モードを表す値に更新する(S26)。
【0083】
続いて、MPU201は、ページ記述データから展開された印刷データをDRAM122へ書き込むためのコマンド信号を発行する印刷要求処理を行う(S27)。
【0084】
CPU10は、DRAM122に書き込まれた印刷データをプリンタ18へ転送する印刷処理を行う(S32)。
【0085】
CPU10は、印刷データを含むDRAM122に書き込まれたデータについて行うべき全ての処理が終了したときに、前述したメモリ停止処理を行う(S33)。CPU10は、メモリ停止処理の最後に、DRAM122が省電力モードになったことを示す省電力モード移行通知信号を発行する。
【0086】
MPU201は、省電力モード移行通知信号の受信後、メモリ動作モードフラグを、省電力モードを表す値に更新する(S28)。
【0087】
以上説明したように、本実施の形態のネットワーク複合機1によれば、LANI/F19およびPDL処理部20は、DRAM122に書き込むべきデータが発生したときに、DRAM122を省電力モードから通常モードへ切り替えるための起動要求信号を発行し、動作モード制御部32は、前記起動要求信号に応じて、DRAM122を省電力モードから通常モードへ切り替えるので、DRAM122を常時通常モードにしておく必要がなくなる。その結果、消費電力を削減する優れた効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、ネットワークから受信されたデータを処理するデータ処理装置として、ネットワークプリンタ、ネットワーク複合機などに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係るネットワーク複合機を含む通信システムの一構成例を示す図
【図2】ネットワーク複合機の機能的な構成の一例を示すブロック図
【図3】ネットワーク複合機のハードウェアの構成の一例を示すブロック図
【図4】ネットワーク複合機の動作の一例を示すシーケンスチャート
【図5】メモリ起動処理の詳細な一例を示すフローチャート
【図6】メモリ停止処理の詳細な一例を示すフローチャート
【図7】ネットワーク複合機の動作の一例を示すシーケンスチャート
【符号の説明】
【0090】
1、2 ネットワーク複合機
3、4 端末装置
5 PSTN
6 LAN
10 CPU
11 ROM
121 SRAM
122 DRAM
13 モデム
14 NCU
15 操作パネル
16 ディスプレイ
17 スキャナ
18 プリンタ
19 LANI/F
191 MPU
192 接続部
20 PDL処理部
201 MPU
30 主処理部
31 コントローラ
32 動作モード制御部
33 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス動作を行う通常モードと、前記アクセス動作を制限して消費電力を低減する省電力モードとの切り替えを制御されるメモリと、
前記メモリに書き込まれるべきデータを受信するデータ受信部と、
前記データ受信部にて前記データが受信されたときに、前記メモリに対する起動要求信号を発行する要求発行部と、
前記起動要求信号に応じて、前記メモリを前記省電力モードから前記通常モードへ切り替える制御部と、
前記起動要求信号の発行後に、前記データを前記メモリに書き込むための書き込みコマンド信号を発行するコマンド発行部と
を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記データ処理装置は、さらに、
前記データ受信部にて受信された前記データが前記メモリへ書き込まれる前に、前記データに対して前処理を行う副処理部を有し、
前記要求発行部は、前記副処理部で前記前処理が開始された後に、前記起動要求信号を発行する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記メモリを前記省電力モードから前記通常モードへ切り替えるときに、前記メモリが前記通常モードになったことを示すメモリ起動完了通知信号を発行し、
前記コマンド発行部は、前記メモリ起動完了通知信号に応じて、前記書き込みコマンド信号を発行する
請求項1または請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記メモリを前記通常モードから前記省電力モードへ切り替えるときに、前記メモリが前記省電力モードになったことを示す省電力モード移行通知信号を発行し、
前記要求発行部は、前記省電力モード移行通知信号が予め受信されている場合のみ、前記起動要求信号を発行する
請求項1または請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
アクセス動作を行う通常モードと前記アクセス動作を制限して消費電力を低減する省電力モードとの切り替えを制御されるメモリに書き込むべきデータを受信するデータ受信ステップと、
前記データ受信ステップにて前記データが受信されたときに、前記メモリに対する起動要求信号を発行する要求発行ステップと、
前記起動要求信号に応じて、前記メモリを前記省電力モードから前記通常モードへ切り替える制御ステップと、
前記起動要求信号の発行後に、前記データを前記メモリに書き込むための書き込みコマンド信号を発行するコマンド発行ステップと
を含むデータ処理方法。
【請求項6】
アクセス動作を行う通常モードと前記アクセス動作を制限して消費電力を低減する省電力モードとの切り替えを制御されるメモリに書き込むべきデータを受信するデータ受信ステップと、
前記データ受信ステップにて前記データが受信されたときに、前記メモリに対する起動要求信号を発行する要求発行ステップと、
前記起動要求信号に応じて、前記メモリを前記省電力モードから前記通常モードへ切り替える制御ステップと、
前記起動要求信号の発行後に、前記データを前記メモリに書き込むための書き込みコマンド信号を発行するコマンド発行ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−134763(P2010−134763A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311235(P2008−311235)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】