説明

データ処理装置、画像形成システム、ドライバプログラム

【課題】自動的に印刷用ファイルを分割することで、オーバーフローの発生を防止する。
【解決手段】印刷用ファイルを生成、送信するデータ処理装置等であって、装置を制御するとともにオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせたファイル名と、ファイルの印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを取得する制御部7、を有し、制御部7は、履歴データに基づく確認により印刷用ファイルを生成しようとするファイルが、以前にオーバーフローを生じさせたファイルと同じ場合、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、データ量未満となるように、印刷用ファイルを分割して複数生成し、画像形成装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、複合機、複合機等の画像形成装置と通信可能に接続されたデータ処理装置に関する。又、データ処理装置と画像形成装置で構成される画像形成システムに関する。更に、これらデータ処理装置、画像形成システムに利用するドライバプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタやプリンタ機能を有する画像形成装置(例えば、複合機、複写機)は、使用者の端末としてのデータ処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ)から、印刷用ファイルを受信し、その印刷用ファイルに基づき印刷を行う。例えば、使用者は、データ処理装置で、アプリケーションソフト(例えば、電子文書閲覧ソフト等)を利用してファイルの印刷を指示し、その後、起動されるドライバプログラムが、がプリンタ等が解釈可能な形式の印刷用ファイルを生成し、印刷用ファイルをプリンタ等に送信する。
【0003】
そして、印刷でのエラーの発生を未然に防ぐため、異常が発生した際の履歴を記憶しておく場合がある。このような、印刷制御装置の一例が特許文献1に記載されている。具体的に、特許文献1の印刷制御装置は、所定の文書データに対応する画像を所定の印刷装置により印刷させ、印刷装置での印刷に異常が生じた場合、印刷異常を生じた文書データに対応し印刷異常の原因に関連する所定の項目の内容を履歴データとして蓄積する履歴管理手段と、文書データについて項目の内容が履歴データの内容と一致等するか否かを判断する履歴判断手段と、履歴判断手段で一致等すると判断される場合、文書データを印刷する前に印刷中止指示が受け付けられると、当該印刷を中止する制御手段と備える。この構成により、発生すべきエラー(印刷異常)を未然に回避しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0020]等参照)。
【特許文献1】特開2007−241609
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、印刷で発生するエラーには、印刷しようとするファイルのデータのサイズが大きいため、印刷用ファイルのサイズも大きくなり(例えば、高解像度イメージデータ)、画像形成装置に搭載される画像処理用のメモリ(ワークメモリ)に収まりきらなくなるオーバーフローがある。更に、このオーバーフローは、集約処理、拡大処理等、画像形成装置内のメモリ使用量を増大させる機能を利用すると生じ易くなる。そのため、従来、大きなデータサイズのファイルの印刷を行う際、使用者は、1つのファイルを、オーバーフローが生じないと予測するページごとに分割する、カットアンドトライ的な対策(例えば、100ページ分のファイルを、10ページずつ印刷する)を行って印刷が行われていた。
【0005】
しかし、これでは、使用者は、1つのファイルを印刷するために、複数回印刷指示を行わなくてはならず、煩雑であるという問題がある。しかも、メモリ使用量を増大させる機能利用の影響を勘案しつつ、1回の印刷でのページ数を定めなければならない。又、オーバーフローの生ずるファイルが、使用頻度の高い会議用書類や、説明用書類、資料である場合等、このカットアンドトライ的な対策をその都度行わなければならない場合がある。又、使用者がオーバーフローが生じないと予測してページ単位で分割して印刷しても、オーバーフローが生じてしまう場合がある。そして、オーバーフローが生じた場合、エラーとして画像形成装置が停止し、使用者は、エラー回復措置(搬送路内の用紙の除去等)を行った上で、印刷を再開しなければならない。又、このような印刷の失敗が度重なれば、使用者に不快感を与え、用紙の無駄、時間の浪費となる問題もある。
【0006】
ここで、特許文献1記載の発明をみると、メモリのオーバーフローに関する記載は一切無く、特許文献1記載の発明は、オーバーフローの問題に対し、対応できない。又、たとえ、オーバーフローに対し、履歴データを残すとしても、特許文献1記載の発明では、単にオーバーフロー発生時の履歴を示すに留まり、オーバーフローの発生を防ぐことができない。従って、特許文献1記載の発明でも、オーバーフローを避けるには、カットアンドトライ的な対策を行う必要があり、上述した問題に対し、何ら解決策を示さない。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、オーバーフローが生ずるファイルの印刷を行う場合、履歴データを参照しつつ、自動的に印刷用ファイルを分割することで、オーバーフローの発生を防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解消するために、請求項1記載のデータ処理装置は、印刷を行おうとするファイルを変換して、印刷用ファイルを生成し、生成した印刷用ファイルを通信可能に接続される画像形成装置に送信するデータ処理装置であって、装置の制御を行うとともに、前記画像形成装置が搭載するメモリにデータが収まりきらないオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせた前記ファイル名と、前記ファイルの前記印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに前記画像形成装置が印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを前記画像形成装置と通信を行って取得する制御部、を有し、前記制御部は、前記履歴データに基づく確認により前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じ場合、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、前記データ量未満となるように、前記印刷用ファイルを分割して複数生成し、前記画像形成装置に送信することとした。
【0009】
この構成によれば、オーバーフローが生ずる大きなファイルの印刷を行う場合、履歴データを参照しつつ、自動で印刷用ファイルを分割することで、オーバーフローの発生を防止することができる。従って、履歴データを得ることができれば、カットアンドトライ的な作業を一切することなく、印刷を完了させることができ、以後、印刷の途中でオーバーフローが発生し、印刷やり直しをすることが無くなる。従って、用紙の無駄、時間の浪費(画像形成装置の生産性低下)が無くなるとともに、使用者に不快感を与えることもなくなり、使用者の利便性を大きく向上させることができる。
【0010】
又、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記画像形成装置での印刷を設定する設定画面を表示するディスプレイと、使用する印刷機能の設定を行うための設定入力部と、を有し、前記制御部は、前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じ場合、前記画像形成装置でオーバーフローを起こしやすいとして、予め定められた印刷機能について、設定変更を確認するための印刷設定確認画面を前記ディスプレイに表示させ、設定入力部で設定変更を受け付けることとした。この構成によれば、オーバーフローが生ずる原因となる印刷設定の設定解除や設定変更を使用者に促すので、尚更のこと、オーバーフローの発生を防ぐことができる。
【0011】
又、請求項3記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記履歴データは、オーバーフローが生じた際、及び、以前にオーバーフローが生じたものの、その後オーバーフローが生じずに印刷できた際の、前記予め定められた印刷機能の設定の有無を示すデータを含み、前記制御部は、オーバーフローが生じずに印刷できた際に設定した機能を、設定例表示画面としてディスプレイに表示させることとした。
【0012】
この構成によれば、どのような印刷機能を設定すれば、オーバーフローが生じ、又は、オーバーフローが生じないかの判断基準を使用者に対し示すことができる。従って、使用者は、印刷設定の設定解除や設定変更を行った方がよい印刷機能を容易に認識でき、使用者の判断を行う上での容易性を高めることができる。
【0013】
又、請求項4記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記制御部は、前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じであり、前記履歴データに記録されるオーバーフローなしに印刷を成功した際に設定された機能と、今回の印刷において設定された機能が同じ場合、成功した際の前記履歴データを参照して、同じように前記印刷用ファイルを分割することとした。この構成によれば、画像形成装置でのメモリの使用量を増加させる印刷設定がなされていても、確実にオーバーフローが生ずることなく、印刷を完了させることができる。
【0014】
又、請求項5記載の発明は、請求項2乃至4の発明において、前記予め定められた印刷機能は、集約印刷機能、拡大印刷機能、解像度設定機能、印刷色設定機能、画像追加機能、ページ入替機能のいずれか、又は、複数の組み合わせであることとした。この構成によれば、画像形成装置でのメモリ使用量を少なくすることができ、オーバーフローの発生を防ぎ易くすることができる。尚、本発明の最適な実施例を示す。
【0015】
又、請求項6記載の画像形成システムは、印刷を行おうとするファイルを変換して、印刷用ファイルを生成し、生成した印刷用ファイルを通信可能に接続される画像形成装置に送信するデータ処理装置と、画像形成装置とで構成される画像形成システムであって、前記画像形成装置は、前記印刷用ファイルに基づき、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成装置が搭載するメモリにデータが収まりきらないオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせた前記ファイル名と、前記ファイルの前記印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに前記画像形成装置が印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを記憶する記憶部とを有し、前記データ処理装置は、装置の制御を行うとともに、前記履歴データを前記記憶部から取得する制御部を有し、前記制御部は、前記履歴データに基づく確認により前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じ場合、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、前記データ量未満となるように、前記印刷用ファイルを分割して複数生成し、前記画像形成装置に送信することとした。
【0016】
又、請求項7記載のドライバプログラムは、印刷を行おうとするファイルを変換して、印刷用ファイルを生成し、生成した印刷用ファイルを通信可能に接続される画像形成装置に送信するデータ処理装置にインストールされるドライバプログラムであって、前記画像形成装置が搭載するメモリにデータが収まりきらないオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせた前記ファイル名と、前記ファイルの前記印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに前記画像形成装置が印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを前記画像形成装置と通信を行って、前記データ処理装置の制御部に、取得させるステップと、前記データ処理装置の制御部に、前記履歴データに基づく確認により、前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じかを確認させるステップと、同じものである場合、前記制御部に、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、前記データ量未満となるように、前記印刷用ファイルを分割して複数生成し、前記画像形成装置に送信させるステップと、をデータ処理装置に実行させることとした。
【0017】
これら請求項5、請求項6の構成は、請求項1記載の発明を、画像形成システム及びデータ処理装置に搭載されるドライバプログラムとしてとらえたものであり、請求項1記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明に係るデータ処理装置、画像形成システム、ドライバプログラムは、オーバーフローが生ずるような大きなサイズのファイルの印刷を行う場合、履歴データを参照しつつ、自動的に印刷用ファイルを分割することで、オーバーフローの発生を防止できる。更に、印刷設定確認画面や設定例表示画面で、オーバーフローが生じないように使用者を導くこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1〜図10に基づき、本発明の実施形態を説明する。但し、本実施形態に記載されている構成等の各要素は、発明の範囲を限定せず、単なる説明例にすぎない。
【0020】
(画像形成システム1の概略構成)
まず、図1に基づき、本発明の実施形態に係る画像形成システム1の概略を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システム1の一例を示す概略図である。
【0021】
本発明の実施形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置とデータ処理装置で構成される。尚、本実施形態では、データ処理装置としては、使用者の端末2(パーソナルコンピュータ)を例に挙げ、画像形成装置として複合機3を例に挙げて説明する。そして、図1に示すように、複合機3は、複数の端末2とネットワークやケーブルで接続でき、双方向通信が可能である。この接続により、各端末2は、複合機3が解釈可能な印刷用ファイル等を複合機3に送信し、複合機3は、印刷用ファイルを元に印刷を行う。言い換えると、複合機3は、プリンタとして機能する。
【0022】
そして、各端末2は各種情報を表示するためのディスプレイ21と、入力装置として各端末2の操作・入力を行うためのキーボード22(設定入力部に相当)を有し、その他、マウス23(図4参照、設定入力部に相当)が、各端末2に装着される。更に、例えば、各端末2には、HDD74(Hard Disk Drive、図4参照)等の記憶装置が内蔵され、文書作成ソフト(ワープロソフト)、イメージデータ編集ソフト(グラフィックソフト)、電子文書作成、閲覧ソフト、スライド画面等を作成するプレゼンテーションソフト等の各種アプリケーションソフト25をインストールすることができ、使用者は、各種アプリケーションソフト25を用いて作成、閲覧したファイルの印刷指示を行える。印刷指示があった場合、各端末2内のHDD74にインストールされる複合機3用のドライバプログラム24により、印刷用ファイルが、ファイルを変換して生成される。
【0023】
例えば、ドライバプログラム24は、PDL(ページ記述言語、Page Description Language、複合機3に対して描画を指示するためのプログラミング言語)を用いて、印刷指示されたファイルを印刷用ファイルに変換する。そして、端末2は、印刷用ファイルをHDD74等にスプーリングし、その後、複合機3側に印刷用ファイルを送信する。複合機3は、印刷用ファイルを元に画像形成に用いる画像データを生成し、印刷を行う。
【0024】
(画像形成装置の概略構成)
まず、図2及び図3に基づき、本実施形態に係る複合機3(画像形成装置に相当)の構造、動作の概略を説明する。図2は、本発明の実施形態に係る複合機3の構成の一例を示す正面模型的断面図である。図3は、本発明の実施形態に係る画像形成ユニット50の構成の一例を示す拡大模型的断面図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態の複合機3は、最上部に原稿カバー3aを有し、その下部に画像読取部3bを有する。又、複合機3は、内部に給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5a、定着部5b、中間転写部6を主構成として有する。
【0026】
画像読取部3bは、上面にコンタクトガラス3cを備え、コピー時等、コンタクトガラス3cに載置された原稿を読み取る。そして、画像読取部3b内に、露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等(いずれも不図示)が配され、原稿への反射光をイメージセンサに導き、イメージセンサの出力をA/D変換し原稿の画像データを得る。そして、原稿カバー3aは、上下に開閉可能であり、コンタクトガラス3cに載置された原稿を押さえる。
【0027】
給紙部4a(本実施形態では4a1、4a2の2つ)は、本体内最下部に配され、その内部にコピー用紙等、各種、各サイズの用紙を収容する。各給紙部4aは、印刷時、1枚ずつ用紙を搬送路4bに送り出す。搬送路4bは、垂直上方に向け給紙部4aから排出トレイ45まで用紙を搬送する通路である(図1に搬送方向を破線矢印で図示)。搬送路4bには、用紙案内用のガイド板41や、モータ等からなる駆動機構(不図示)に接続され回転駆動する搬送ローラ対42、43が設けられる。又、用紙を2次転写ローラ67と中間転写ベルト65のニップにタイミングを合わせて進入させるレジストローラ対44が、2次転写ローラ67の下方に設けられる。
【0028】
次に、図2及び図3に基づき、画像形成部5aを説明する。図2に示すように、画像形成部5aは、給紙部4a1の上方かつ、中間転写部6の下方に設けられる。そして、画像形成部5aは、図1の左側から、ブラック用の画像形成ユニット50K、イエロー用の画像形成ユニット50Y、マゼンタ用の画像形成ユニット50M、シアン用の画像形成ユニット50Cの順で並列された複数の画像形成ユニット50と、それらの下方に、各感光体ドラム52にレーザ光による走査・露光を行う露光部51で構成される。ここで、使用するトナーの色が異なるものの、各画像形成ユニット50K〜50Cは構造が共通し、以下では特に説明する場合を除き、「K」、「Y」、「M」、「C」の記号は省略し、共通する部材に同一の符号を用いる。
【0029】
図3に示すように、各画像形成ユニット50は、周面にトナー像を担持する感光体ドラム52と、帯電部53、現像部54、清掃部55等で構成される。そして、各画像形成ユニット50では、画像読取部で取得した画像データや、端末2等から受信した画像データ等に基づき、トナー像を形成する。
【0030】
具体的に、トナー像形成では、帯電部53は、感光体ドラム52の表面を所定電位に帯電させる。露光部51は、画像データにあわせて半導体レーザ装置(不図示)の点消灯を行い、帯電後の感光体ドラム52の走査・露光を行う。現像部54は、トナーを収容し、トナーを所定の電位に帯電させる。又、現像部54は、トナーを飛翔させて静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。清掃部55は、感光体ドラム52と接し、残トナーや感光体ドラム52に付着した水分、帯電生成物等を回収、除去する。
【0031】
次に、図2に戻り、中間転写部6を説明する。中間転写部6は、各感光体ドラム52からトナー像が1次転写され、用紙に2次転写を行う。中間転写部6は、駆動ローラ61、2本の従動ローラ62、63、4本の1次転写ローラ64、これら複数のローラに周回可能に張架される無端状の中間転写ベルト65、ベルト清掃装置66、2次転写ローラ67等で構成される。駆動ローラ61は、2次転写ローラ67に対向して配され、モータ・ギア等から構成される駆動機構(不図示)の接続により回転駆動する。
【0032】
中間転写ベルト65は、駆動ローラ61の駆動で、図1で時計回りに周回する。各1次転写ローラ64は、各感光体ドラム52と中間転写ベルト65を挟むようにそれぞれ配される。ベルト清掃装置66は、図1の右端に設けられ、2次転写後に中間転写ベルト65表面に残留するトナー等を除去、回収する。又、2次転写ローラ67は、駆動ローラ61に対向し、駆動ローラ61方向に中間転写ベルト65に圧接する。
【0033】
転写プロセスでは、所定の電圧が各1次転写ローラ64に印加され、各感光体ドラム52が担持する各色のトナー像は、中間転写ベルト65表面にタイミングを合わせて重ね合わされ、1次転写される。そして、レジストローラ対44は、タイミングをあわせて用紙を搬送し、中間転写ベルト65上のトナー像と用紙が、中間転写ベルト65と2次転写ローラ67のニップに同時に進入する。この時、2次転写ローラ67に、所定の電圧が印加され、中間転写ベルト65から用紙にカラーのトナー像が2次転写される。尚、1色印刷の場合は、形成されるトナー像が1色で1次、2次転写が同様に行われる。
【0034】
定着部5bは、発熱体を内蔵する加熱ローラ56と、これに圧接する加圧ローラ57とを有し、2次転写部の上方に配され、2次転写されたトナー像を用紙に定着させる。両ローラのニップに2次転写後の用紙が進入し、加熱・加圧でトナー像が用紙に定着する。そして、定着の完了後の用紙は排出トレイ45に排出され、画像形成が完了する。
【0035】
(画像形成システム1のハードウェア構成)
次に、図4に基づき、本発明の実施形態に係る画像形成システム1のハードウェア構成の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る画像形成システム1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。尚、図4では、端末2については、便宜上1台分のみ図示している。
【0036】
まず、端末2の説明をする。端末2内には、中央演算処理装置としてのCPU71、起動用のデータやプログラムを記憶するROM72(Read Only Memory)、CPU71での処理に用いるプログラムやファイルのデータを展開するRAM73(Random Access Memory)、大容量の記憶装置としてのHDD74(Hard Disk Drive)や、外部の入出力装置とデータのインプット、アウトプットを行うためのI/O部75、及び、端末2をネットワーク等に接続するためのネットワークインターフェイス76が取り付けられ、これらの部材で、端末2の制御部7を構成する。
【0037】
そして、図4に示すように、HDD74には、上述したようなアプリケーションソフト25と、複合機3に印刷用ファイルを送信するためのドライバプログラム24がインストールされる。印刷時、このドライバプログラム24が起動し、複合機3に送信する印刷用ファイルを生成する。生成された印刷用ファイルは、ネットワークインターフェイス76から、複合機3のI/F部34(インターフェイス部)に送られ、例えば、I/F部34から複合機3の制御基板31に入力される。即ち、端末2は、印刷を行おうとするファイルを変換して、印刷用ファイルを生成し、生成した印刷用ファイルを通信可能に接続される複合機3に送信する。又、I/O部75には、入出力装置として、キーボード22、マウス23、ディスプレイ21等が接続され、使用者は、各種入力、操作を行える。
【0038】
次に、複合機3の構成を説明する。本実施形態の複合機3の各部、各部材の動作制御のため、機内に制御基板31が設けられる。制御基板31は、複合機3の画像形成部5aや中間転写部6等の各部と接続され、例えば、感光体ドラム52等の回転、帯電、現像等の多様な制御を行う。
【0039】
そして、例えば、制御基板31には、CPU32、記憶部33等が設けられ、大容量(例えば、数十G〜数Tバイトの記憶容量)の記憶装置としてHDD33aが接続される。CPU32は、中央演算処理装置であり、制御用プログラム、データに基づき、各種演算等を行い、複合機3の各部を制御する。又、記憶部33は、ROM、RAM、フラッシュROM等の揮発性と不揮発性の記憶装置を組み合わせて構成される。記憶部33とHDD33aは、制御プログラム、制御データ、画像データ等のデータを記憶する。又、本発明に関しては、オーバーフロー発生に関する履歴データ(詳細は後述)を記憶部33又はHDD33aに記憶することができる。
【0040】
そして、本実施形態の複合機3には、画像処理部8が設けられる。画像処理部8には、画像メモリ81(ワークメモリ)が設けられる。例えば、端末2から送信される印刷用ファイルは、一旦、複合機3の記憶部33やHDD33aに蓄積され、その後、画像メモリ81は、その蓄積された印刷用ファイルを受け取る。尚、印刷用ファイルは、HDD33aに蓄積できるので、印刷用ファイルのデータのサイズが大きくても、確実に複合機3は受け取ることができる。上述したように印刷用ファイルは、PDLで記述されたデータであり、画像処理部8は、印刷用ファイルから実際の画像データ(印刷イメージ、ラスタイメージ)を計算、生成する。画像メモリ81は、この計算、生成された画像データも保持できる。そして、画像メモリ81から画像処理後の画像データを画像形成部5aの露光部51に出力し、露光部51は受け取った画像データに基づき、静電潜像を形成する。更に、画像メモリ81は、画像処理における作業領域としても利用できる。
【0041】
又、画像処理部8には、多様な画像処理を行えるように、画像処理向けに複数の画像処理機能の回路を1つにまとめた集積回路であるASIC82を有する。又、画像処理部8には、ASIC82内の回路や、あるいは、ASIC82と別の回路としてハードウェア的に、若しくは、ソフトウェア的に、集約処理部83、ズーム処理部84、画像追加部85、解像度変更部86、色変更部87、ページ入替部88等が設けられる。
【0042】
集約処理部83は、複数ページ(例えば、2ページや4ページ)を、縮小、回転等を行って1枚のページに落とし込む画像処理を行う部分である。ズーム処理部84は、画像データの拡大・縮小を行う画像処理を行う部分である。画像追加部85は、印刷を行う画像データに、例えば、「マル秘」、「複写禁止」、「サンプル」、「コピー」等の文言について、すかし文字や、コピーにより現れる地紋文字のデータを重ね合わせる処理を行う部分である。解像度変更部86は、画像データの解像度を変更する部分である。色変更部87は、画像データをカラーから白黒に落とす等、印刷色に関する処理を行う部分である。ページ入替部88は、週刊誌綴じの様な製本印刷の場合にページの順番を入れ替える処理を行う部分である。このように、印刷時に、端末2から複合機3に印刷用ファイルが送信され、制御部7を介し、印刷用ファイルが画像処理部8に送り込まれ、画像処理部8が画像処理を行う。
【0043】
(印刷設定)
次に、図5及び図6に基づき、本実施形態の端末2での印刷設定可能な項目の一例を説明する。図5及び図6は、本発明の実施形態に係る画像形成システム1での印刷設定画面の一例を示す図である。尚、端末2では、多様な印刷設定が可能であるが、本説明では、複合機3での画像メモリ81の使用量の観点で問題となる機能を中心にして説明する。
【0044】
まず、図5(a)は、端末2で印刷を行う際に表示される設定画面のうち、基本設定画面91の一例である。例えば、基本設定画面91は、端末2での各アプリケーションソフト25で印刷実行を指示した際に、ドライバプログラム24の起動により表示される。そして、使用者は、ディスプレイ21に表示された設定画面に、マウス23等で入力を行うことで、印刷に使用する機能の設定を行うことができる。
【0045】
図5(a)に示す基本設定画面91では、用紙サイズや印刷の向きや部数等、印刷に関し、使用者の設定の頻度が高い基本的な項目を設定することができる。そして、設定が完了すれば、使用者はOKボタン91aを押すと、印刷用ファイルの生成や複合機3への送信が開始される。又、キャンセルボタン91bは、印刷をやめる場合等に押される。又、画面上部に複数のタブが並び、図5(a)では、基本設定タブ91cが選択されている。
【0046】
そして、使用者がマウス23等で、レイアウトタブ92を選択すると、図5(b)に示すように、ブックレット印刷のチェックボックス92a、ページ集約のチェックボックス92b、変倍のチェックボックス92cが表示される。尚、各図では表示していないが、選択すれば、レ字状のチェックが入る。そして、ブックレット印刷のチェックボックス92aを選択して印刷を実行すれば、ページ入替部88を動作させて、週刊誌とじのように印刷用ファイル中のページの順番を入れ替えられ、中折りして小冊子形式となる印刷物を得ることができる。
【0047】
又、ページ集約のチェックボックス92bを選択して印刷を実行すれば、集約処理部83を動作させて、1枚に複数ページ(例えば、2、4、6、8、9、12、16、25、32枚等)を含む印刷物を得ることができる。そして、プルダウンメニュー形式で、集約ページ数欄92dとレイアウト欄92eへの入力により、集約するページ数とページレイアウトの設定を行うことができる。尚、以後、集約印刷に関する記述では、必要に応じ、例えば、「2in1」のように「Nin1(Nは、集約するページ数)」の形式で記述する。又、変倍のチェックボックス92cを選択して印刷を実行すれば、ズーム処理部84を動作させて、変倍率欄92fで変倍率を指定して画像の拡大・縮小の行われた印刷物を得ることができる。
【0048】
次に、使用者がマウス23等で、印刷品質タブ93を選択すると、図6(a)に示すように、印刷の品質に関する機能を設定することができる。そして、品質設定欄93aで、印刷品質(例えば、品質が高いほど高解像度)をプルダウンメニュー形式で設定することができる。そして、複合機3は解像度変更部86で動作させて画像データを形成し、指定された解像度で、露光部51の点消灯速度を切り換える等により、解像度を変更する。例えば、印刷する際の解像度を、1200dpi、600dpi、300dpi等のように変更することができるほか、使用者が品質を定義しておくことができる。
【0049】
又、カラーの項目では、例えば、カラーモード欄93bで、プルダウンメニュー形式で印刷物における使用色の設定を行うことができる。そしてカラーモードの項目では、例えば、「カラー(4色の画像形成ユニット50を使用)」と「白黒(ブラックの画像形成ユニット50Kのみ使用)」を選択することができる。色変更部87は、カラーデータが含まれた印刷用ファイルから、白黒に落とした画像データを形成できる。
【0050】
次に、そして、使用者がマウス23等で、拡張機能タブ94を選択すると、ウォーターマークボタン94a、セキュリティ・ウォーターマークボタン94bが表示される。ウォーターマークボタン94aを押せば、別画面で挿入する文字を設定することができ(例えば、「複写禁止」など)、設定後に印刷を実行すれば、画像追加部85が機能して、すかし文字の含まれた印刷物を得ることができる。又、同様に、セキュリティ・ウォーターマークボタン94bを押せば、画像追加部85が機能して、別画面で埋め込んでおく文字を設定することができ(例えば、「マル秘」、「複写禁止」等)、設定後に印刷を実行すれば、地紋文字(コピーすると複写物に現れる)の埋め込まれた印刷物を得ることができる。例えば、各ウォーターマークに相当する画像データは、各端末2で形成され、印刷用ファイルに添付されて、複合機3に送信することができるし、各複合機3内で各ウォーターマークの画像データが生成されてもよい。
【0051】
上述したような印刷における機能を、ドライバプログラム24で設定した場合、その設定内容を示す設定が、印刷用ファイルに反映又は設定データとして添付され送信される。そして、複合機3は、設定データをみる等により、制御基板31が、実行すべき画像処理を画像処理部8に指示する等により、印刷用ファイルを元に画像処理をほどこし、使用者の所望する画像が印刷される。
【0052】
(画像メモリ81の使用量の増加)
次に、複合機3のHDD33a等に蓄積された印刷用ファイルを、画像処理部8の画像メモリ81は受け取るが、印刷設定による画像メモリ81の使用量増加を述べる。
【0053】
まず、集約印刷では、印刷用ファイル中の集約するページの全ての画像データを画像メモリ81の領域内に確保する。その後、回転処理等や整列処理を行って印刷物での画像の方向や配列を調整する。例えば、2in1の場合、2ページ分の画像データを90度回転させた後、2ページ分を1ページに統合し、ズーム処理部84等で縮小処理をかける。例えば、16in1ならば、16ページ分の画像データの領域を確保し、ページの順番(1ページ内の配列)を確保しつつ、縮小処理をかける。従って、複数ページ分の画像データの領域を確保する必要があり、又、回転作業等の作業用スペースの確保の必要性から画像メモリ81でのメモリ使用量が増加する。
【0054】
次に、拡大処理であるが、拡大処理では、印刷用ファイルの各ページについて拡大するので、単純に、画像メモリ81内で必要とするメモリの容量が増大する。例えば、A4サイズの画像をA3に拡大する場合、画像の面積は、約2倍になるので、解像度が同じならば、メモリ使用量は、約2倍となる。
【0055】
次に、ブックレット印刷では、印刷するページ(画像データ)の順番を入れ替えるので、例えば、画像メモリ81は、ブックレット印刷しようとする全ページ分の画像データを画像メモリ81に蓄積した上で、順番を入れ替える。従って、全ページ分を蓄積できるだけの容量が必要となる。又、画像品質に関しては、高解像度の画像ほど、同じ面積の領域に対する画素数は多くなるので、1ページあたりのデータ量は増える。
【0056】
又、カラーと白黒に関しては、例えば、カラーでは、RGBで各256階調とすると、1画素あたり、R、G、Bの各色8ビット必要であるが、白黒印刷であれば、グレー256階調ならば、1画素あたり8ビット、2値化するのであれば、1画素あたり1ビットで良い。従って、カラーの場合、グレーや2値化画像よりも画像データのサイズは大きくなる。又、画像追加に関しては、各ページの画像データに加え、各画像データに重ねるためのウォーターマーク、セキュリティ・ウォーターマーク用の画像データが必要となる。この追加される画像分だけ、画像メモリ81の使用量が増える。
【0057】
従って、単に印刷を行う場合に比べ、集約機能、拡大機能、ブックレット印刷機能、カラー設定、印刷品質(解像度)、画像追加等の機能追加によって、画像メモリ81でのメモリ使用量が大きくなることがある。そして、これらの機能設定を行うことにより、画像メモリ81でオーバーフローが生ずることがある。そこで、以下では、画像メモリ81のオーバーフローと発生の防止を述べる。
【0058】
(履歴データ)
次に、図7に基づき、本発明の実施形態に係るオーバーフローの発生の防止策について述べる。図7は、本発明の実施形態に係るオーバーフローが発生した際の履歴データ(履歴リストLS)の一例である。
【0059】
複合機3に搭載される画像メモリ81は無制限ではなく、スペースや製造コストの観点から有限である。そして、複合機3には、十分な画像メモリ81を搭載することが通常であるが、それでも、集約等の印刷設定や、順次送り込まれる印刷用ファイルの領域を確保すべき場合もあり、画像メモリ81に収まりきらず、あふれてしまうことがある(オーバーフロー)。
【0060】
そして、オーバーフローが生ずると、あふれた部分の画像データの消失等、適切な印刷を継続できないため、制御基板31がロックをかけ、印刷動作等を停止させる。具体的には、画像処理部8から制御基板31のCPU32に割り込み信号が入力され、制御基板31は印刷動作を停止させ、印刷用ファイルを送信した端末2に、オーバーフローが発生した旨の警告データを送信する。この警告データを受けて、ドライバプログラム24は、端末2のディスプレイ21にエラー発生を表示させる。
【0061】
このオーバーフローは、印刷を行おうとした元のファイルのサイズが大きい場合に生じ得る(例えば、数百ページにも及ぶPDFファイルなど)。又、印刷用ファイルにおける1ページ分のデータ量が、大きい場合でも生じ得る。更に、例えば、印刷用ファイルを複合機3が受け取っている途中でも、複合機3は先に受けた印刷用ファイルの画像形成を開始できるが、画像メモリ81で、画像形成完了により破棄される画像データよりも、送信されてくる印刷用ファイルの方が多い状態が続くと、ある程度印刷した後、オーバーフローに到ることがある。
【0062】
又、オーバーフローは、上述した画像メモリ81の使用量が増加する印刷機能を設定した場合にも生じやすくなる。特に、1ページ分のデータ量が大きい場合、印刷機能を設定すると、オーバーフローは生じやすくなる。そして、毎回、例えば、頻繁に印刷する会議用、説明用等の書類、資料に関するファイルを印刷しようとしてオーバーフローが生ずれば、使用者の利便性を損なう。そこで、本実施形態の複合機3は、オーバーフローが発生した場合、その時の状況や印刷設定を履歴データとして記憶する。
【0063】
そして、本実施形態の端末2では、履歴データを参照して、以前にオーバーフローを起こした同じファイルについて印刷を行う場合、印刷用ファイルを自動的に分割して複合機3に送信を行う。これにより、使用者は、カットアンドトライ的に印刷を実行せずに単に、再度印刷を実行するだけで、オーバーフローの発生を防ぐことができる。
【0064】
具体的に、本実施形態の複合機3は、オーバーフローが生じた場合、履歴データとしてオーバーフローを生じさせたファイルを特定する情報(例えば、ファイル名)や、印刷の設定の他、先頭ページからオーバーフロー無しに印刷を実行できたページ数や、先頭ページからオーバーフローが発生までのページの印刷用ファイルでのデータ量を記憶する。
【0065】
そして、以後のオーバーフローを生じさせたファイルの印刷では、端末2(ドライバプログラム24)は、複合機3の記憶部33又はHDD33aに記憶される履歴データを、複合機3から受信し、エラーが無く実行できたページ数の印刷用ファイルのデータ量(サイズ)以下のサイズに1つあたりの印刷用ファイルの大きさを抑えつつ、ページ単位で印刷用ファイルの分割を行う。更に、履歴データを参照して、端末2が印刷用ファイルを分割して生成した際の印刷結果や印刷設定を、以前にオーバーフローを生じさせたデータと関連づけて(対応させて)履歴データとして複合機3は記憶部33等に記憶する。この履歴データを端末が印刷時に取得する。
【0066】
即ち、端末2は、装置の制御を行うとともに、複合機3が搭載する画像メモリ81にデータが収まりきらないオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせたファイル名と、印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに複合機3が印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを複合機3と通信を行って取得する制御部7(取得した履歴データは、RAM73やHDD74等の記憶装置に保持)を有し、制御部7は、履歴データに基づく確認により印刷用ファイルを生成しようとするファイルが、以前にオーバーフローを生じさせたファイルと同じ場合、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、データ量未満となるように、印刷用ファイルをページ単位で分割して複数生成し、複合機3に送信する。
【0067】
このような履歴データの一例を図7に示す。図7に示す履歴データ(履歴リストLS)に、オーバーフローが発生した場合の印刷しようとしたファイル名、オーバーフロー無しに印刷を完了したか否かの可否、オーバーフロー発生まで印刷できたページ数、先頭ページからオーバーフロー無しに印刷したページまでの印刷用ファイルの大きさ(データ量、図7では、X1〜X5として例示)、オーバーフローが生じなかった場合の分割された印刷用ファイルの内の最大のもののサイズ(データ量、Y1〜Y3として例示)、集約印刷等の印刷の設定内容等が履歴データとして複合機3の記憶部33に記憶される。具体的に、履歴データとしては、集約印刷機能、拡大印刷機能、解像度設定機能、印刷色設定機能、画像追加機能、ページ入替機能について記憶される。尚、更に機能を追加しても良い。
【0068】
そして、図7に示すように、1度でもオーバーフローが生じたファイルについては、オーバーフローが生じた場合と、オーバーフローが生ずることなく印刷できた場合も、履歴が蓄積されていく。そして、例えば、図7の表の2行目(番号1−2の行)に示すように、1行目の履歴(番号1−1の行)のうち、履歴データ中のオーバーフローが無く印刷を実行できたページ数の印刷用ファイルのデータ量(X1の値)を参照して、印刷用ファイルの分割を行うので、印刷設定が同じならば、次回以降、オーバーフローを生ぜずに印刷をすることができる。尚、例えば、分割された印刷用ファイルのうち、2つめ以降の印刷用ファイルは、先の印刷用ファイルの全ての印刷が完了し画像メモリ81が空になってから、送信することができる。
【0069】
ここで、印刷設定が異なる場合、先の履歴データを参照して、印刷用ファイルの分割を行っても良い。しかし、印刷設定によってどの程度画像メモリ81の使用量が増大するかは、どのようなファイルを印刷するかによっても左右されることがある。又、印刷設定によっては、オーバーフローが生じない場合もあり得る。従って、オーバーフローが生ずるか予測しがたい面がある。そこで、本実施形態の複合機3では、印刷設定が異なる場合、ひとまず、印刷用ファイルの分割をしない。そして、履歴データを蓄積する。
【0070】
例えば、表の2行目(番号1−2の行)では、集約印刷を行っておらず、白黒印刷であるのに対し、表の3行目(番号1−3の行)では、2in1及び、カラー印刷であり、印刷設定が異なっている。更に、表の4行目(番号1−4の行)では、ウォーターマークの画像追加やブックレット印刷等のページ入替を行い、番号1−2、1−3とも設定が異なる。従って、表の2行目(番号1−2の行)の履歴を参照して印刷用ファイルの分割を行っても、オーバーフローが生じる場合がある。
【0071】
しかし、本実施形態の複合機3では、履歴データを取り、一旦印刷実行された設定については、オーバーフローが生じずに印刷を実行できたページ数とそのページ数分の印刷用ファイルの大きさを把握し、以降、同一のファイルについて同じ印刷設定が行われて印刷が実行されれば、確実にオーバーフローを生じずに印刷を行うことができる。例えば番号1−2の行や番号1−5の行
【0072】
このようなオーバーフロー防止策でも十分に効果を奏するが、本実施形態の端末2(ドライバプログラム24)は、オーバーフロー発生を防ぐため、履歴データを複合機3の記憶部33から取得し、印刷しようとするファイルが過去にオーバーフローを生じさせたものである場合、印刷設定の変更を、使用者に確認、提案する。そこで、以下、説明する。
【0073】
(印刷設定変更の提案)
次に、図8及び図9に基づき、本発明の実施形態に係る印刷設定変更の確認、提案を説明する。図8は、本発明の実施形態に係るオーバーフロー防止策の一例としての設定画面の一例を示す図である。図9は、本発明の実施形態に係る過去の印刷成功例を示す画面の一例を示す図である。
【0074】
まず、図8から説明する。図8は、端末2が複合機3と通信を行い、印刷しようとするファイルで以前にオーバーフローがあったことを認識した際に、端末2のディスプレイ21に表示される印刷設定確認画面95の一例を示している。
【0075】
印刷設定確認画面95では、最上位部分に、以前、印刷しようとするファイルでオーバーフローが生じたことの注意を喚起する表示が行われる。そして、印刷設定確認画面95では、複合機3での画像メモリ81の使用量が増える印刷設定が表示される。又、各印刷設定に割り当てられた領域では、使用者が設定した現在設定表示欄96とプルダウン方式で変更後の設定が表示される設定変更欄97がそれぞれ配される。更に、例えば、どのように設定を変えれば、オーバーフローが生じ難くなるかの説明書きも表示される。
【0076】
そして、集約設定に関する領域F1の現在設定表示欄96aには、使用者が先にドライバプログラム24で設定した集約印刷の設定が表示される(図8では、一例として、16in1の場合を図示)。そして、集約数が多い程、画像メモリ81に蓄積すべきページ数が増えるので、画像メモリ81の使用量が多くなる傾向がある。そこで、使用者は、集約数を減らす変更選択を設定変更欄97aに入力できる。尚、図8では、4in1に落とし、画像メモリ81の使用量を減らそうとする例を示している。
【0077】
次に、拡大設定に関する領域F2の現在設定表示欄96bには、使用者が先にドライバプログラム24で設定した拡大印刷の設定が表示される(図8では、一例として200%の場合を図示)。そして、拡大すれば画像メモリ81の使用量が多くなるので、例えば、使用者は、拡大の度合を落とす変更を設定変更欄97bに入力できる。尚、図8では、100%(等倍)に落とし、画像メモリ81の使用量を減らそうとする例を示している。
【0078】
又、解像度に関する領域F3の現在設定表示欄96cには、使用者が先にドライバプログラム24で設定した解像度の設定が表示される(図8では、一例として高画質の場合を図示)。そして、高画質では、同じ面積に対する画素数が多くなるので、画像メモリ81の使用量が多くなる。そこで、例えば、使用者は、解像度を落とす変更を設定変更欄97cに入力できる。そして、図8では、通常に落とし、画像メモリ81の使用量を減らす例を示している。
【0079】
又、色設定に関する領域F4の現在設定表示欄96dには、使用者が先にドライバプログラム24で設定した印刷色の設定が表示される(図8では、一例としてカラーの場合を図示)。そして、カラーでは、1画素に要するビット数が白黒の場合よりも多くなる。そこで、例えば、図8に示すように、使用者は、白黒に落とし、画像メモリ81の使用量を減らす変更を設定変更欄97dに入力できる。
【0080】
又、画像追加に関する領域F5の現在設定表示欄96eには、使用者が先にドライバプログラム24で設定した画像追加の設定が表示される(図8では、一例としてウォーターマークの場合を図示)。そして、画像を追加すると、画像メモリ81の使用量が多くなる。そこで、例えば、図8に示すように、使用者は、画像追加をなくし、画像メモリ81の使用量を減らす変更を設定変更欄97eに入力できる。
【0081】
又、ページ入替に関する領域F6の現在設定表示欄96fには、使用者が先にドライバプログラム24で設定した画像追加の設定が表示される(図8では、一例としてブックレット印刷の場合を図示)。そして、ページ入替をすると、作業領域の確保のため、画像メモリ81の使用量が多くなる。そこで、例えば、図8に示すように、使用者は、ページ入替をなくし、画像メモリ81の使用量を減らす変更を設定変更欄97fに入力できる。
【0082】
即ち、端末2は、複合機3での印刷を設定する設定画面を表示するディスプレイ21や、使用する印刷機能の設定を行うためのキーボード22やマウス23等の入出力装置を有し、これらを利用して、制御部7は、印刷用ファイルを生成しようとするファイルが、以前にオーバーフローを生じさせたファイルと同じ場合、複合機3でオーバーフローを起こしやすいとして、予め定められた印刷機能について、設定変更を確認するための印刷設定確認画面95をディスプレイ21に表示させ、キーボード22等による設定変更を受け付ける。
【0083】
このように、以前にオーバーフローが生じたファイルの印刷をする際に、端末2は、できるだけ画像メモリ81の使用量が少なくなるように、印刷設定の変更の提案を行うので、使用者には、オーバーフローの発生の可能性を認識させるとともに、オーバーフローの発生を防ぐように導くことができる。
【0084】
更に、印刷設定確認画面95の最下方には、履歴データでのオーバーフローが生じなかった印刷設定例を表示させるためのリンク98を設けることができる。そして、マウス23等でリンク98をクリックすれば、図9に示すような、過去にオーバーフローが生じずに印刷を実行できた設定例表示画面99が端末2のディスプレイ21に表示される。
【0085】
即ち、履歴データには、オーバーフローが生じた際、及び、以前にオーバーフローが生じたものの、その後オーバーフローが生じずに印刷できた際の、予め定められた印刷機能の設定の有無を示すデータが含まれ、制御部7は、オーバーフローが生じずに印刷できた際に設定した機能を、設定例表示画面99として、ディスプレイ21に表示させる。このような過去にオーバーフローを生じず印刷できた例を参考にして、使用者は、図8に示す印刷設定確認画面95での印刷設定変更を行うことができる。そして、過去と同じ設定をすれば、履歴データを参照して、前回と同様に印刷用ファイルの分割を行えば良く、この場合、確実にオーバーフローを生じさせずにファイルの印刷を行うことができる。
【0086】
尚、印刷用ファイルの1枚目のページのデータのサイズが大きすぎて、オーバーフローが生じ、1枚も印刷できない場合が、極めて希に生じ得る。このような場合も、オーバーフローが生じたため、履歴データとして記憶しておく(この場合、図7に示す履歴リストでのエラー無しページ数の欄と、エラー無しデータ量の欄は、ゼロとなる)。そして、1枚も印刷できなかったファイルについて、再度、印刷が試みられた場合、例えば、ドライバプログラム24は、印刷設定確認画面95を表示し、画像メモリ81の使用量を少なくする設定を勧めることになる。尚、全ての印刷設定を解除してもオーバーフローが起きれば、それは、搭載される画像メモリ81が本質的に足りず、画像メモリ81を増設することが求められる。
【0087】
(制御の流れ)
次に、図10に基づき、本発明の実施形態に係るオーバーフロー防止での制御の流れの一例を説明する。図10は、本発明の実施形態に係るオーバーフロー防止制御の一例を示すフローチャートである。
【0088】
まず、図10におけるスタートは、使用者が、各アプリケーションソフト25で複合機3をプリンタとして利用して印刷を行う指示を行った時点である。そして、印刷実行指示で、端末2でドライバプログラム24が起動し、端末2は、印刷しようとするファイルを確認する(ステップ♯1)。次に、端末2は、印刷しようとするファイルについて、複合機3に問い合わせて、オーバーフロー発生の履歴があるかを確認する(ステップ♯2)。もし、履歴が無ければ(ステップ♯2のNo)、印刷用ファイルの分割をせずに印刷を実行し(ステップ♯3)、複合機3は、オーバーフローの発生の有無を確認し(ステップ♯4)、オーバーフローが発生すれば(ステップ♯4のYes)、複合機3は、その履歴を履歴データとして保存する(ステップ♯5)。もし、オーバーフローが発生しなければ(ステップ♯4のNo)、制御処理を終了する(エンド)
【0089】
一方、オーバーフローの発生履歴があれば(ステップ♯2のYes)、端末2は、複合機3から印刷しようとするファイルの履歴データ(履歴リストLS)を受信、取得し、例えば、RAM73等に記憶する(ステップ♯6)。そして、端末2は、履歴データを参照、確認し、ディスプレイ21に印刷設定確認画面95を表示する(ステップ♯7)。
【0090】
そして、端末2は、印刷設定確認画面95での設定を確認し、設定内容が過去にオーバーフローを生じずに印刷ができた過去の成功例の設定と一致するか確認する(ステップ♯8)。過去の成功例と一致するならば(ステップ♯8のYes)、過去の成功例を参考にして、例えば、今回の印刷と過去の成功例での印刷用ファイルのうち最大のもののサイズが同じになるように、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを定め、印刷用ファイルを分割する(ステップ♯9)。即ち、制御部7は、印刷用ファイルを生成しようとするファイルが、以前にオーバーフローを生じさせたファイルと同じであり、履歴データに記録されるオーバーフローなしに印刷を成功した際に設定された機能と、今回の印刷において設定された機能が同じ場合、成功した際の履歴データを参照して、同じように印刷用ファイルを分割する。
【0091】
一方、今回の印刷設定が過去の成功例と一致する設定で無ければ(ステップ♯8のNo)、履歴データの内で、同一の設定での失敗例があるかを確認する(ステップ♯10)。もし失敗例があれば(ステップ♯10のYes)、その時、オーバーフローが生じずに印刷できたページ数分の印刷用ファイルの大きさを最大のデータ量として、印刷用ファイルを分割する(ステップ♯11)。もし、失敗例が無ければ(ステップ♯10のNo)、ステップ♯3に移行して、履歴データが得られる。
【0092】
そして、印刷用ファイルを分割した後(ステップ♯9、11)、端末2は、順次印刷用ファイルを複合機3に送信し、複合機3は、例えば、分割されたもののうち、2つめ以降の印刷用ファイルを、先に受信した印刷用ファイルの印刷が完了するごとに受け取り、履歴データに印刷結果やその設定を追加する(ステップ♯12→エンド)。そして、画像処理等が行われた後、印刷が実行される。
【0093】
このようにして、本実施形態によれば、オーバーフローが生ずる大きなファイルの印刷を行う場合、履歴データを参照しつつ、自動で印刷用ファイルを分割することで、オーバーフローの発生を防止することができる。従って、履歴データを得ることができれば、カットアンドトライ的な作業を一切することなく、以後は印刷の途中でオーバーフローが発生し、印刷やり直しをすることが無くなる。従って、用紙の無駄、時間の浪費(画像形成装置の生産性低下)が無くなるとともに、使用者に不快感を与えることもなくなり、使用者の利便性を大きく向上させることができる。
【0094】
又、印刷設定確認画面95でオーバーフローが生ずる原因となる印刷設定の設定変更を使用者に促すので、尚更のこと、オーバーフローの発生を防ぐことができる。設定例表示画面99で、どのような印刷機能を設定すれば、オーバーフローが生じ、又は、オーバーフローが生じないかの判断基準を使用者に対し示すことができる。従って、使用者は、印刷設定の設定解除や設定変更を行った方がよい印刷機能を容易に認識でき、使用者の判断を行う上での容易性を高めることができる。
【0095】
次に、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、先頭ページからオーバーフローが発生するまで印刷できたページ数と、そのページ分のデータ量を履歴データとして複合機3は記憶するが、代わりに、先頭ページからオーバーフローが発生するまで複合機3が端末2から受信できたページ数と、そのページ分のデータ量を履歴データとしてもよい。
【0096】
又、上記実施形態では、履歴データを共有し、複合機3の共同使用者の全員で履歴データを蓄積、利用できるようにする観点から、複合機3が履歴データを記憶する場合を示したが、各端末2も不揮発的に履歴データを記憶にしても良い(例えば、HDD74に記憶)。これにより、複合機3と通信を行わないで、オーバーフローの生じない印刷用ファイルの分割を行うことができる。
【0097】
又、上記実施形態では、データ処理装置の端末2の動作を中心に述べたが、本発明は、データ処理装置と画像形成装置(例えば、複合機3)で構成される画像形成システム、及び、データ処理装置のドライバプログラムの発明としても捉えることができる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、画像形成装置と接続されるデータ処理装置や、画像形成装置とデータ処理装置で構成される画像形成システムや、端末にインストールされるドライバプログラムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】実施形態に係る画像形成システムの一例を示す概略図である。
【図2】実施形態に係る複合機の構成の一例を示す正面模型的断面図である。
【図3】実施形態に係る画像形成ユニットの構成の一例を示す拡大模型的断面図である。
【図4】実施形態に係る画像形成システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る画像形成システムでの印刷設定画面の一例を示す図である。
【図6】実施形態に係る画像形成システムでの印刷設定画面の一例を示す図である。
【図7】実施形態に係るオーバーフローが発生した際の履歴データ(履歴リスト)の一例である。
【図8】実施形態に係るオーバーフロー防止策の一例としての設定画面の一例を示す図である。
【図9】実施形態に係る過去の印刷成功例を示す画面の一例を示す図である。
【図10】実施形態に係るオーバーフロー防止制御の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 画像形成システム 2 端末(データ処理装置)
21 ディスプレイ 22 キーボード(設定入力部)
23 マウス(設定入力部) 26 ドライバプログラム
3 複合機(画像形成装置) 31 制御基板(画像形成装置の一部)
33 記憶部(画像形成装置の一部) 5a 画像形成部
7 制御部 8 画像処理部
81 画像メモリ(メモリ) 95 印刷設定確認画面
99 設定例表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行おうとするファイルを変換して、印刷用ファイルを生成し、生成した印刷用ファイルを通信可能に接続される画像形成装置に送信するデータ処理装置であって、
装置の制御を行うとともに、前記画像形成装置が搭載するメモリにデータが収まりきらないオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせた前記ファイル名と、前記ファイルの前記印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに前記画像形成装置が印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを前記画像形成装置と通信を行って取得する制御部、を有し、
前記制御部は、前記履歴データに基づく確認により前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じ場合、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、前記データ量未満となるように、前記印刷用ファイルを分割して複数生成し、前記画像形成装置に送信することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記画像形成装置での印刷を設定する設定画面を表示するディスプレイと、
使用する印刷機能の設定を行うための設定入力部と、を有し、
前記制御部は、前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じ場合、前記画像形成装置でオーバーフローを起こしやすいとして、予め定められた印刷機能について、設定変更を確認するための印刷設定確認画面を前記ディスプレイに表示させ、前記設定入力部は設定変更を受け付けることを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記履歴データは、オーバーフローが生じた際、及び、以前にオーバーフローが生じたものの、その後オーバーフローが生じずに印刷できた際の、前記予め定められた印刷機能の設定の有無を示すデータを含み、
前記制御部は、オーバーフローが生じずに印刷できた際に設定した機能を、設定例表示画面としてディスプレイに表示させることを特徴とする請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じであり、前記履歴データに記録されるオーバーフローなしに印刷を成功した際に設定された機能と、今回の印刷において設定された機能が同じ場合、成功した際の前記履歴データを参照して、同じように前記印刷用ファイルを分割することを特徴とする請求項3記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記予め定められた印刷機能は、集約印刷機能、拡大印刷機能、解像度設定機能、印刷色設定機能、画像追加機能、ページ入替機能のいずれか、又は、複数の組み合わせであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
印刷を行おうとするファイルを変換して、印刷用ファイルを生成し、生成した印刷用ファイルを通信可能に接続される画像形成装置に送信するデータ処理装置と、画像形成装置とで構成される画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
前記印刷用ファイルに基づき、画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成装置が搭載するメモリにデータが収まりきらないオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせた前記ファイル名と、前記ファイルの前記印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに前記画像形成装置が印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを記憶する記憶部と、を有し
前記データ処理装置は、
装置の制御を行うとともに、前記履歴データを前記記憶部から取得する制御部を有し、
前記制御部は、前記履歴データに基づく確認により前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じ場合、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、前記データ量未満となるように、前記印刷用ファイルを分割して複数生成し、前記画像形成装置に送信することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
印刷を行おうとするファイルを変換して、印刷用ファイルを生成し、生成した印刷用ファイルを通信可能に接続される画像形成装置に送信するデータ処理装置にインストールされるドライバプログラムであって、
前記画像形成装置が搭載するメモリにデータが収まりきらないオーバーフローが生じた際の、オーバーフローを生じさせた前記ファイル名と、前記ファイルの前記印刷用ファイルのうち先頭ページからオーバーフローが生じずに前記画像形成装置が印刷できたページまでのデータ量を示す情報を含む履歴データを前記画像形成装置と通信を行って、前記データ処理装置の制御部に、取得させるステップと、
前記データ処理装置の制御部に、前記履歴データに基づく確認により、前記印刷用ファイルを生成しようとする前記ファイルが、以前にオーバーフローを生じさせた前記ファイルと同じかを確認させるステップと、
同じものである場合、前記制御部に、1つあたりの印刷用ファイルの大きさを、前記データ量未満となるように、前記印刷用ファイルを分割して複数生成し、前記画像形成装置に送信させるステップと、をデータ処理装置に実行させるドライバプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−102515(P2010−102515A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273505(P2008−273505)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】