説明

データ処理装置およびデータ処理方法

【課題】ビタビ検出のための状態数を増加させずに、ビタビ検出性能を向上させるデータ処理装置およびデータ処理方法を提供する。
【解決手段】最尤シーケンス検出器20では、所定のパーシャルレスポンスのK次の伝達多項式(係数fi)に等化されたシーケンスynに対し、N次の伝達多項式(係数qi)を有する雑音白色化フィルタ30を通して得られたシンボルシーケンスznについて、ビタビ検出器40により最尤シーケンスを検出する。その際、誤差計算器50および係数更新器60は、ビタビ検出器40のブランチメトリックの計算に使用される係数giの算出を、K+Nよりも小さい次数までで打ち切り、これにより生じた打ち切り誤差を補償するように係数qiおよび係数qiを適応的に算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどに情報を記録/再生するデータ処理装置およびデータ処理方法に関し、特に、パーシャルレスポンス等化された再生信号の符号間干渉による雑音を低減して最尤シーケンスを検出するためのデータ処理装置およびデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスク、磁気テープなどのメディアに対して、データの記録および再生を行うデータ処理装置では、最尤シーケンス検出処理が行われている。
一般に、最尤シーケンス検出処理の方式としては、パーシャルレスポンス等化方式、すなわちPRML(partial-response equalization combined with maximum likelihood sequence detection)方式が知られている。さらに近年では、高線密度化の要求に応えて、雑音予測最尤シーケンス検出方式、たとえば下記特許文献1に開示されるような、NPML(noise-predictive maximum likelihood sequence detection)方式の実用化も進んでいる。
【0003】
パーシャルレスポンスチャンネルの出力は一般的に有色雑音を含んでおり、白色雑音に対して最大の性能を発揮するビタビ検出の検出性能は、雑音の有色性が強くなるとそれに応じて低下していく。
情報記録の高線密度化は雑音有色性を増加させる主たる要因の一つである。NPML方式によれば、パーシャルレスポンスチャンネル出力信号に含まれる雑音成分を白色化することにより、ビタビ検出の性能を最大限発揮するように構成される。
【0004】
図7は、従来のNPML検出方式による最尤シーケンス検出器20aの構成を示すブロック図である。図7に示す最尤シーケンス検出器20aでは、雑音白色化フィルタ30aの係数を適応等化アルゴリズムで逐次求める構成となっている。
なお、雑音白色化フィルタ30aの係数として、予め規定された係数を使用する場合には、誤差計算器50aおよび係数更新器60aは必要ない。
【0005】
図7に示す最尤シーケンス検出器において、パーシャルレスポンスチャンネルの伝達特性の多項式表記(伝達多項式)を下記式(1)、雑音白色化フィルタ30aの伝達多項式を下記式(2)とすると、ビタビ検出器40aは、その伝達多項式が下記式(3)となる有限状態機械の状態遷移に基づいてブランチメトリックを算出する。なお、以下の説明において、Dはユニット遅延演算子を示す。
【0006】
【数1】

【0007】
【数2】

【0008】
【数3】

【0009】
このとき、状態遷移sj→skに対応するブランチメトリックは、下記式(4)により得られる。
【0010】
【数4】

【0011】
式(4)において、an(sj,sk)は、状態遷移sj→skに対応するチャンネル1+G(D)への入力シンボル(符号)を、an-i(sj)は、状態sjが情報として記憶しているチャンネル1+G(D)への入力シンボルを、それぞれ示す。
なお、入力シンボル{an}に対してd制限がある場合には、このd制限がチャンネルを表記する状態遷移図に反映される。ここで、d制限とは、連続する「1」の間に入る「0」の最小連続個数d(最小ラン)が制限されて符号化されている場合をいう。d=1以上である場合には、d=0の場合と比較して状態数が減少する。
下記特許文献2には、最小ランの連続回数を制限することで、情報記録の高線密度化が可能でありエラーの少ない符号語を生成する変調方法について開示されている。
【0012】
誤差計算器50aは、ビタビ検出器40aの出力シンボルa'n-δ(但し、δは検出遅延時間を表す)とパーシャルレスポンス等化サンプルynとから、パーシャルレスポンス等化誤差wn−δを下記式(5)に従って算出する。
【0013】
【数5】

【0014】
さらに、雑音予測誤差en-δを下記式(6)に従って算出する。
【0015】
【数6】

【0016】
係数更新器60aは、LMS適応アルゴリズムを用いて、雑音予測誤差en-δの二乗平均を最小にする係数ベクトル{pi}を算出する。係数ベクトル{pi}は逐次更新され、時刻n+1の係数pi(n+1)は、時刻nの係数pi(n)より、下記式(7)に従って求められる。なお、式(7)において、Kpは更新ゲインである。
【0017】
【数7】

【0018】
NRZI逆変換器70aは、ビタビ検出器40aの出力シンボルa'n-δに対してNRZI逆変換1 mod2 Dを行った後、最尤シーケンス検出器20aから出力する。但し、mod2 はmod2の加算演算を、Dはユニット遅延演算子を、それぞれ表す。
【0019】
雑音白色化フィルタ30aの係数は、それぞれのNに対して、下記式(8)に示す雑音予測誤差enの二乗平均を最小にする{pi}である。
【0020】
【数8】

【0021】
【特許文献1】特許第3157838号公報
【特許文献2】特開平11−346154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ところで、前述したチャンネル1+F(D)は、2K個の状態を有する有限状態機械であるため、PRML方式の最尤シーケンス検出器では、チャンネル1+F(D)を表記する状態遷移図(トレリス線図)に基づいて構成され、基本的にチャンネル1+F(D)と同じ数の状態を有する。
一方、雑音白色化フィルタ30aを有するNPML方式の最尤シーケンス検出器20aの場合、前述したチャンネル1+G(D)は2K+N個の状態を有する有限状態機械であるから、ビタビ検出器40aは基本的にチャンネル1+G(D)と同じ数の状態を有する。
すなわち、NPML方式のビタビ検出器40aの回路規模は、PRML方式のビタビ検出器の回路規模と比較し、雑音白色化フィルタ30aの次数が増加するにつれて、指数関数的に増大することになる。言うまでもなく、回路規模の増大は、コストおよび消費電力等の増大という不利益を招来する。
【0023】
上述した不利益について、具体的な一例に基づいて以下説明する。
下記表1は、上記Nの数に応じた状態数、信号対雑音比SNR(Signal to Noise Ratio)およびビット誤り数について、従来の光ディスク装置を実際に動作させて測定した結果を示す。但し、測定条件として、入力シーケンスがランダム、記録符号が17PP、パーシャルレスポンスが1+D+D、記録レイヤが相変化、レーザ波長が405nm,レンズ開口度が0.85、記録ビット長が69nm、トラックピッチが0.32μm、チルト角がラジアル−0.8°としている。なお、記録符号の17PPとは、上記特許文献2の表2に開示された符号であって、最小ランが1(d=1)である符号である。
【0024】
表1において、ビット誤り数は、NRZI逆変換器70aの出力シーケンス上で測定したものである。また、信号対雑音比SNRは、anが{0,1}に属するとしたとき、下記式(9)により算出された値である。式(9)において、10,000はノイズを平均化するための時間に応じた係数であって、変更可能である。
【0025】
【数9】

【0026】
<表1>
N 状態数 SNR[dB] ビット誤り数
--------------------------------------------
0 4 13.5 766
1 6 13.7 848
2 10 13.7 870
3 16 13.7 1116
4 26 14.1 780
5 42 14.2 650
6 68 14.2 884
7 110 14.6 578
15 26 14.9 498
--------------------------------------------
【0027】
表1において、N=0の場合は単なるPRML方式の最尤シーケンス検出器の結果に相当し、N≧1の場合はNPML方式の最尤シーケンス検出器の結果に相当する。表1の代表的な場合として、N=0,4,7の場合の測定結果を比較すると、ビット誤り数は、Nが大きくなるにつれて減少しているものの、ビタビ復号における状態数は指数関数的に増大している。
したがって、現在PRML方式を実装しているシステムに対し、新たにNPML方式を適用することは、この状態数の増加が装置規模を増大させるため、大きな困難を伴う。
また、N=4の場合の信号対雑音比SNRは、N=0の場合に比べて、0.6dB改善している一方で、N=4の場合のビット誤り数は、N=0の場合に比べて、逆に増加している。すなわち、N=4程度では、PRML方式(N=0)と比較して大きな性能向上が得られず、装置規模が大きくなってしまう。
したがって、状態数を抑制したままで、Nの値を極力向上させることが望まれる。
【0028】
ところで、生き残りパスそれぞれに対応する判定情報を用いてチャンネルの符号間干渉を消去し、ビタビ検出器の状態数を低減する方法が考えられる。
表1のN=15の場合では、かかるフィードバック手段を用いて、状態数を26のままに、雑音白色化フィルタの次数を増加させている。N=15の信号対雑音比は、N=7の場合に比べて0.3dB改善しておりビット誤り数も改善している。
しかしながら、この方法を実装する場合、符号間干渉を消去するために、ビタビ検出器の毎時刻のパスメトリックの比較結果を反映させた補償信号を入力側にフィードバックするためのフィードバックフィルタ等(フィードバック手段)が必要となる。かかるフィードバック手段は、フィードバックフィルタ等の演算に要する時間分の遅延が発生し、動作速度の高速化の障害となる。
【0029】
図8は、N=4、N=7、N=15の場合のチャンネル1+G(D)の係数分布を示す。図8において、横軸は次数Nを、縦軸は係数gを、それぞれ示す。また、(a)はN=15の場合、(b)はN=7の場合、(c)はN=4の場合、である。
図8において、十分に大きな次数を持ったN=15の係数分布を理想的なものと考えると、N=7の係数分布が比較的理想的なものに近いのに対して、N=4の係数分布は理想から相当程度ずれている。図8に示す係数分布からも、N=4では、高いビタビ検出性能が得られないことがわかる。
【0030】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビタビ検出のための状態数を増加させずに、ビタビ検出性能を向上させるデータ処理装置およびデータ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
上記目的を達成するための本発明の第1の観点は、制御部と、第1の係数を含む第1の伝達多項式によりパーシャルレスポンス等化された第1のデータに対し、前記制御部により与えられた第2の係数による第2の伝達多項式に基づいてノイズ除去のためのフィルタリングを行う第1のフィルタ部と、前記第1のフィルタ部の出力に対し、前記制御部により与えられた第3の係数により状態遷移のメトリック演算を行い、最も尤度の高い第2のデータを検出するビタビ検出部と、を有し、前記制御部は、前記第1のデータと前記第2のデータとの誤差を補償するように、前記第2の係数を逐次算出する第1の補償部と、前記第2のデータに対して前記第1の伝達多項式に基づいてフィルタリングを行ってパーシャルレスポンス等化目標値である第3のデータを生成し、前記第1のデータと前記第3のデータとの誤差を補償するように、第4の係数を逐次算出する第2の補償部と、前記第1の係数と、前記第2の補償部により算出された第4の係数とを演算して、前記第3の係数を逐次算出する係数演算部と、を含むデータ処理装置である。
【0032】
好適には、前記第1の補償部は、前記第1のデータに対して、前記第1のフィルタ部と同一の伝達多項式に基づいてノイズ除去のためのフィルタリングを行う第2のフィルタ部と、前記第2のデータに対して、前記係数演算部により算出された第3の係数による伝達多項式に基づいてフィルタリングを行う第3のフィルタ部と、を含み、前記第2および第3のフィルタ部の出力の差分の二乗平均を最小にするように、前記第2の係数を逐次適応的に算出する。
【0033】
好適には、前記第1の係数は、K次(K:整数)の多項式の係数であり、前記第4の係数は、N次(N:整数)の多項式の係数であって、前記係数演算部は、前記K次の多項式と前記N次の多項式を乗算し、当該乗算結果のうち、前記KとNとの和よりも小さいL次までの項の係数を第3の係数として算出する。
【0034】
好適には、前記第2の補償部は、前記第2のデータに対して、前記第1の伝達多項式に基づいてフィルタリングを行う第4のフィルタ部と、前記第1のデータと、前記第4のフィルタ部の出力との差分に対して、第4の係数による伝達多項式に基づいてフィルタリングを行う第5のフィルタ部と、を含み、前記第5のフィルタ部の出力の二乗平均を最小にするように、前記第4の係数を逐次適応的に算出する。
【0035】
上記目的を達成するための本発明の第2の観点は、第1の係数を含む第1の伝達多項式によりパーシャルレスポンス等化された第1のデータに対し、第2の係数による第2の伝達多項式に基づいてノイズ除去のためのフィルタリングを行うステップと、前記フィルタリングによる出力に対し、第3の係数により状態遷移のメトリック演算を行い、最も尤度の高い第2のデータを検出するステップと、前記第2のデータに対して前記第1の伝達多項式に基づいてフィルタリングを行ってパーシャルレスポンス等化目標値である第3のデータを生成し、前記第1のデータと前記第3のデータとの誤差を補償するように、第4の係数を算出するステップと、前記第1の係数と前記第4の係数を演算して前記第3の係数を算出して更新するステップと、前記第1のデータと前記第2のデータとの誤差を補償するように、前記第2の係数を算出して更新するステップと、を有するデータ処理方法である。
【0036】
本発明の第1の観点に係るデータ処理装置の作用は、以下の通りである。
すなわち、第1のフィルタ部は、第1の係数を含む第1の伝達多項式によりパーシャルレスポンス等化された第1のデータに対し、第2の係数による第2の伝達多項式に基づいてノイズ除去のためのフィルタリングを行う。ビタビ検出部は、当該フィルタリングによる出力に対し、第3の係数により状態遷移のメトリック演算を行い、最も尤度の高い第2のデータを検出する。
制御部の第2の補償部は、前記第2のデータに対して前記第1の伝達多項式に基づいてフィルタリングを行ってパーシャルレスポンス等化目標値である第3のデータを生成し、前記第1のデータと前記第3のデータとの誤差を補償するように、第4の係数を算出する。制御部の係数演算部は、前記第1の係数と前記第4の係数を演算して前記第3の係数を算出して更新する。制御部の第1の補償部は、前記第1のデータと前記第2のデータとの誤差を補償するように、前記第2の係数を算出して更新する。
すなわち、制御部では、第1のフィルタ部に対して与える第2の係数と、ビタビ検出部に対して与える第3の係数とを、それぞれ独立して算出する。
【発明の効果】
【0037】
したがって、第1のフィルタ部に対して与える第2の係数を、ビタビ検出部に対して与える第3の係数とは独立に最適化することができる。これにより、第1のフィルタ部の雑音除去性能を高めても、ビタビ検出部の状態数が増加することはない。
すなわち、本発明によれば、ビタビ検出のための状態数を増加させずに、ビタビ検出性能を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下では、本発明のデータ処理装置としての最尤シーケンス検出器20を搭載した光ディスク装置1について説明する。
なお、本発明と実施の形態との対応関係は、以下の通りである。
雑音白色化フィルタ30は、本発明の第1のフィルタ部の一実施形態である。
ビタビ検出器40は、本発明のビタビ検出部の一実施形態である。
誤差計算器50および係数更新器60は、本発明の制御部の一実施形態である。
一般化PRフィルタ57、プレフィルタ58、差分演算器59および係数更新器60は、本発明の第1の補償部の一実施形態である。
PRフィルタ53、差分演算器54、予測誤差フィルタ55および係数更新器60は、本発明の第1の補償部の一実施形態である。
係数変換器56は、本発明の係数演算部の一実施形態である。
プレフィルタ58は、本発明の第2のフィルタ部の一実施形態である。
一般化PRフィルタ57は、本発明の第3のフィルタ部の一実施形態である。
PRフィルタ53は、本発明の第4のフィルタ部の一実施形態である。
予測誤差フィルタ55は、本発明の第5のフィルタ部の一実施形態である。
係数fiは、本発明の第1の係数の一実施形態である。
係数qiは、本発明の第2の係数の一実施形態である。
係数giは、本発明の第3の係数の一実施形態である。
係数piは、本発明の第4の係数の一実施形態である。
【0039】
光ディスク装置1の構成
図1は、データの記録/再生を行う光ディスク装置1のシステム構成を示すブロック図である。
符号化器10は、伝送路や記録媒体に適するように、ユーザ語Inに対してデータの変調を行い、符号語Cnを生成する。なお、ユーザ語Inにおけるnは時刻に応じて付された整数である。
符号化器10における変調方法としては、一般にブロック符号が知られている。このブロック符号は、たとえば、データ列をm×iビットからなる単位にブロック化し、適当な符号則に従って、n×iビットからなる符合語に変換するものである。かかる符号則を規定した所定の変換テーブルに基づいて符号語への変換を行う。
【0040】
符号化器10では、さらに、生成された符号語シーケンス{Cn}を2進のシンボルシーケンスに変換した後、NRZI変換1/(1 mod2 D)を行う。但し、mod2はmod2の加算演算を、Dはユニット遅延演算子を、それぞれ表す。
NRZI変換された2進のシンボルシーケンス{an}は、記録アンプ11を介してピックアップ12に送られ、1/Tのレートで光ディスクメディア13に記録される。なお、Tは、記録波形列のビット間隔である。
【0041】
ディスク13からユーザ語を読み出す場合には、まずピックアップ12により読み出されたアナログ信号がヘッドアンプ14で増幅された後、可変利得アンプ15(VGA)15に送出される。
可変利得アンプ15は、主として、再生された信号振幅の変動を吸収するように、増幅利得を可変とする増幅器である。可変利得アンプ15で処理されたアナログ信号はローパスフィルタ(LPF)16に送られる。ローパスフィルタ16は、ユーザ語Inの読み出しに必要な周波数成分の信号のみを抽出するための波形整形を行う。
【0042】
ローパスフィルタ16で処理されたアナログ信号は、A/D変換器(ADC)17にてデジタルサンプルxnに変換される。なお、A/D変換のサンプリングレートは1/Tである。
変換されたデジタルサンプルシーケンス{xn}は、タイミング&ゲインリカバリー回路18(TGR)18に送られるとともに等化器19に送られる。
タイミング&ゲインリカバリー回路18は、A/D変換器17のサンプリングレートおよびサンプリングタイミングを制御するとともに、A/D変換器17のダイナミックレンジを安定かつ有効に利用できるように可変利得アンプ15の利得を制御する。
【0043】
等化器19は、サンプルシーケンス{xn}を所定のパーシャルレスポンスに等化するように構成されている。本実施の形態におけるパーシャルレスポンスの伝達多項式を、一例として式(10)に示す。すなわち、K=2である。
【0044】
【数10】

【0045】
等化されたサンプルシーケンス{yn}は、最尤シーケンス検出器20に送出され、ビタビ復号により最も尤度が高い2進のシーケンス(最尤シーケンス)が検出される。
なお、最尤シーケンス検出器20の構成および動作については、後に詳述する。
最尤シーケンス検出器20では、検出された2進のシンボルシーケンス{a'n-δ}(δは検出遅延)に対して、さらに逆NRZI変換1 mod2 Dを行い、2進のシンボルシーケンス{inv_a'n-δ}を生成する。2進のシンボルシーケンス{inv_a'n-δ}は、SYNC検出器21および復号器22に送出される。
【0046】
SYNC検出器21は、同期信号としてシーケンス{inv_a'n-δ}に埋め込まれたSYNC語を検出する。
復号器22は、SYNC検出器21から供給されるSYNC語検出信号に基づいて、シンボルシーケンス{inv_a'n-δ}を並列化して符号語C'n-δを生成する。
さらに、復号器22は、符号化器10で使用された変換テーブルに対する逆変換テーブルに基づいて、符号語C'n-δをユーザ語I'n-δに変換する。
【0047】
最尤シーケンス検出器20の構成
次に、最尤シーケンス検出器20の構成について述べる。
図2は、本発明における適応型最尤シーケンス検出器の構成を示すブロック図である。図に示すように、最尤シーケンス検出器20は、雑音白色化フィルタ30と、ビタビ検出器40と、誤差計算器50と、係数更新器60とから構成される。
図7に示した従来の最尤シーケンス検出器20aと比較すると、最尤シーケンス検出器20は、雑音白色化フィルタ30における処理のための係数qと、ビタビ検出器40における処理のための係数gとが、それぞれ独立に与えられる点が特徴となっている。これにより、ビタビ検出器40の処理に影響を与えずに、雑音白色化フィルタ30の性能を向上できるという利点がある。
以下、図2に関連付けて、最尤シーケンス検出器20の構成について説明する。
【0048】
雑音白色化フィルタ30は、等化器19によりパーシャルレスポンス等化されたサンプルシーケンス{yn}に対して、フィルタリングを行う。ここで、雑音白色化フィルタ30は、下記式(11)を伝達多項式とするFIRフィルタである。但し本実施の形態では、M=6とする。
【0049】
【数11】

【0050】
フィルタリングされたサンプルシーケンス{zn}は、ビタビ検出器40に送られ、2進のシンボルシーケンス{a'n-δ}が検出される。ビタビ検出器40は、その伝達多項式が下記式(12)であるチャンネルのトレリス線図に基づいてブランチメトリックを算出するように構成されている。
【0051】
【数12】

【0052】
但し実施の形態ではL=6である。ブランチメトリック計算の詳細については、後述する。
【0053】
ビタビ検出器40で検出されたシンボルシーケンス{a'n-δ}は、NRZI逆変換器70および誤差計算器50に送出される。NRZI逆変換器70は、NRZI逆変換である1 mod2 Dの演算を行い、NRZI逆変換がなされたシンボルシーケンス{inv_a'n-δ}が最尤シーケンス検出器20から出力される。
【0054】
誤差計算器50は、パーシャルレスポンス等化誤差wn-δ、雑音予測誤差en-δおよびプレフィルタ等化誤差e0,n-δを算出する。各誤差計算の詳細については後述する。
図2に示すように、誤差計算器50により計算されたパーシャルレスポンス等化誤差wn-δ、雑音予測誤差en-δ、プレフィルタ等化誤差e0,n-δ、さらにサンプルynのδ時間遅延サンプルyn-δは、係数更新器60に送出される。
【0055】
係数更新器60は、LMS適応アルゴリズムを用いて、雑音予測誤差en-δの二乗平均を最小にする係数ベクトル{pi}と、プレフィルタ等化誤差e0,n-δの二乗平均を最小にする係数ベクトル{qi}を算出する。
係数piの更新計算は、従来の係数更新器60aと同様に、式(8)に基づいて行われる。また、係数qiの更新計算は、下記式(13)に従って行われる。なお、式(13)において、Kqは更新ゲインである。
【0056】
【数13】

【0057】
係数更新器60は、同様に、Kを更新ゲインとしたLMS適応アルゴリズムにより、雑音予測誤差en−δが最小となるように係数piの更新計算を行う。
その際、前述したように、係数piおよび係数qiに対して、6次まで(i=1〜6)の係数を算出する。すなわち、上記式(11)において、M=6である。
【0058】
ビタビ検出器40の構成
次に、ビタビ検出器40の構成について、図3に関連付けて説明する。
図3は、本実施形態に係るビタビ検出器40の構成を示すブロック図である。図3に示すように、ビタビ検出器40は、ブランチメトリック計算回路(BMC)41と、ACS回路(ACS)42と、パスメモリ(MEM)43とを含んで構成される。
【0059】
ブランチメトリック計算回路(BMC)41は、雑音白色化フィルタ30でフィルタリングされたサンプルznと、誤差計算機50から与えられる係数gi(i=1〜6、すなわちL=6)とから、ブランチメトリックを算出する。すなわち、下記式(14)に基づいて、時刻nの状態遷移sj→skに対応するブランチメトリックを算出する。
【0060】
【数14】

【0061】
但し、上記式(14)において、RはA/D変換器17で量子化する際の基準レベルを、an(sj,sk)は状態遷移sj→skに対応する入力シンボルを、an-i(sj)は状態sjが情報として記憶している入力シンボルを、それぞれ示す。また、ここでは、an(sj,sk)とan-i(sj)は{−1,+1}に属するものとする。
【0062】
図4は、伝達多項式が式(12)(L=6)である場合のトレリス線図を示す。ビタビ検出器40は、図4に示したトレリス線図に基づいて処理を行う。
図4において、(a)は遷移前(時刻n)の状態を、(b)は遷移後(時刻n+1)の状態を、(c)はブランチのラベルan/znを、それぞれ示す。
図4(a)および(b)において、丸印内の記号は、状態識別番号を表す。時刻nの状態識別番号は、各状態が記憶している情報であるシンボルシーケンス{an-1, an-2, an-3, an-4, an-5, an-6}を16進表記したものである。同じく時刻n+1の状態識別番号は、シンボルシーケンス{an, an-1, an-2, an-3, an-4, an-5}を16進表記したものである。なお、シンボルシーケンス{an}には、d=1制限がなされている。
【0063】
図4に示すように、本実施の形態に係るビタビ検出器の場合、42本のブランチが存在する。各ブランチのメトリックは、各ブランチに対応したラベルから容易に導き出すことができる。たとえば、状態遷移s00→s00に対応するブランチメトリックは、ブランチのラベルがan/zn = 0/(-1-g1-g-g3-g4-g5-g6)であるから、下記式(15)の通り算出される。
【0064】
【数15】

【0065】
加算・比較・選択(ACS)回路42は、ブランチメトリック計算回路(BMC)41により算出されたブランチメトリックを用いて、各状態に至る生き残りパスの判定を行い、その判定情報を出力する。すなわち、時刻nに状態sj0を通過し状態skに至るパスのメトリック(パスメトリック)は、下記式(16)により得られる。なお、SMはステートメトリックの略である。
【0066】
【数16】

【0067】
一方、時刻nに状態sj1を通過し状態skに至るパスメトリックは、下記式(17)により得られる。
【0068】
【数17】

【0069】
ACS回路42は、式(16)と式(17)により計算されるパスメトリックの大小比較を行い、小さいほうのパスを生き残りパスと判定する。
すなわち、時刻n+1のステートメトリックは、下記式(18)に従って求められる。
【0070】
【数18】

【0071】
但し、比較したパスメトリックが同じであった場合は、一方を生き残りパスとする。
【0072】
ACS回路42から出力される判定情報は、たとえば、下記式(19)の通り算出する。
【0073】
【数19】

【0074】
また、たとえば状態s01のように、時刻n+1の時点で到達するブランチが1本しか存在しない場合、時刻n+1のステートメトリックは、下記式(20)に従って算出する。
【0075】
【数20】

【0076】
この場合は判定が行なわれていないので、判定情報を出力する必要がないが、たとえば、下記式(21)に示すように出力してもよい。
【0077】
【数21】

【0078】
図4に示したトレリス線図では、26の状態が存在する。各状態のステートメトリックおよび判定情報は、トレリス線図から容易に導き出すことができる。
たとえば、状態s00に対するステートメトリックは、下記式(22)の通りとなる。
【0079】
【数22】

【0080】
状態s00に対する判定情報は、下記式(23)の通りとなる。
【0081】
【数23】

【0082】
状態s01に対するステートメトリックは、下記式(24)の通りとなる。
【0083】
【数24】

【0084】
状態s01に対する判定情報は、下記式(25)の通りとなる。
【0085】
【数25】

【0086】
パスメモリ(MEM)43は、すべての生き残りパスがマージするのに必要十分な時間分のパス情報を記憶する。そして、マージした結果が検出シンボルa'n-δとして出力される。パスメモリ43に対して、たとえば公知のレジスタ入れ替え法を用いたデータ処理がなされる。
【0087】
誤差計算器50の構成
次いで、誤差計算機50の構成について、図5に関連付けて説明する。
図5は、誤差計算回路50の構成を示すブロック図である。
【0088】
R倍器51は、ビタビ検出器で決定されたシンボルa'n-δをR倍することによってa'n-δRを生成する。但し、シンボルa'n-δは{−1,+1}に属するとする。
サンプル遅延器52は、パーシャルレスポンス等化サンプルynから、ビタビ検出器40の判定遅延と同じδ時間だけ遅延されたサンプルyn-δを生成する。
【0089】
PRフィルタ53は、等化器19の特性同様、1+D+Dを伝達多項式とするFIRフィルタであり、シンボルa'n-δRからパーシャルレスポンス理想サンプルy'n-δを生成する。すなわち、本実施の形態におけるパーシャルレスポンス理想サンプルは、下記式(26)に基づいて得られる。
【0090】
【数26】

【0091】
差分演算器54は、遅延サンプルyn-δと理想サンプルy'n-δとから、パーシャルレスポンス等化誤差wn-δを生成する。すなわち、パーシャルレスポンス等化誤差wn−δは、下記式(27)により求められる。
【0092】
【数27】

【0093】
予測誤差フィルタ55は、下記式(28)を伝達多項式とするFIRフィルタであり、等化誤差wn-δの畳み込みから雑音予測誤差en-δを生成する。
【0094】
【数28】

【0095】
但し本実施の形態ではN=6である。したがって予測誤差フィルタ55の出力である雑音予測誤差en−δは、下記式(29)に従って算出される。
【0096】
【数29】

【0097】
雑音予測誤差en−δは、係数更新器60に供給される。係数更新器60では、雑音予測誤差en−δが二乗平均が最小となるような係数pがLMS適応アルゴリズムにより算出されて、予測誤差フィルタ55に与えられる。すなわち、雑音予測誤差enが最小となるように適応的に制御がなされる。
【0098】
係数変換器56は、下記式(30)に示す多項式に基づいて、fiとpiとからgiを生成する。すなわち、式(10)および式(11)に示す多項式の乗算結果から、係数giを算出する。
【0099】
【数30】

【0100】
本実施形態においては、K=2、N=6としたため、式(30)により8次(K+N=8)までのgが算出可能である。このうち、係数変換器56では、8次より少ない、たとえば6次までの係数gについて算出する。すなわち、本実施形態では、係数g1からg6が生成される。
係数変換器56により算出された係数gは、前述したように、ビタビ検出器40でのブランチメトリックの計算に使用される(式(14))。
なお、係数giの次数をいくつまで算出するかについては、ビタビ検出における状態数に大きく依存する。したがって、ビタビ検出器40の装置規模により許容される範囲で係数gの次数を決定すればよい。
【0101】
係数変換器56では、算出する係数gを6次までに制限する(打ち切っている)ため、8次まで係数gを算出した場合と比較して、シンボルa'n-δRは、誤差(以下、打ち切り誤差という)を含んでいる。一般化PRフィルタ57、プレフィルタ58および差分演算器59は、打ち切り誤差を補償するための構成(本発明の第1の補償部)である。
【0102】
一般化PRフィルタ57は、式(12)(L=6)を伝達多項式とするFIRフィルタである。シンボルa'n-δRから、下記式(31)に従ってプレフィルタ用理想サンプルz'0,n-δを生成する。
【0103】
【数31】

【0104】
プレフィルタ58は、式(11)の伝達多項式で表されるFIRフィルタであり、遅延サンプルyn-δからサンプルzn-δを生成する。すなわち、プレフィルタ58のフィルタ特性は、雑音白色化フィルタ30と同等であり、出力サンプルは下記式(32)により得られる。
【0105】
【数32】

【0106】
係数qは打ち切り誤差を補償するように、係数更新器60により逐次更新されているので、プレフィルタ58は、打ち切り誤差を補償した特性を備えた雑音白色化フィルタとなっている。
【0107】
差分演算器59は、サンプルzn-δと理想サンプルz'0,n-δとから、プレフィルタ等化誤差e0,n-δを生成する。すなわち、プレフィルタ等化誤差e0,n-δは、下記式(33)により得られる。
【0108】
【数33】

【0109】
後段の係数更新器60では、LMS適応アルゴリズムを用いて、プレフィルタ等化誤差e0,n-δの二乗平均を最小にする係数ベクトル{qi}を算出する。これにより、打ち切り誤差を補償した係数qが算出され、この係数qが雑音白色化フィルタ30に供給されることになる。
【0110】
以上説明したように、本実施形態に係る最尤シーケンス検出器20によれば、所定のパーシャルレスポンスのK次の伝達多項式(係数fi)に等化されたシーケンスynに対し、N次の伝達多項式(係数qi)を有する雑音白色化フィルタ30を通して得られたシンボルシーケンスznについて、ビタビ検出器40により最尤シーケンスを検出する際に、誤差計算器50および係数更新器60では、ビタビ検出器40のブランチメトリックの計算に使用される係数giの算出を、K+Nよりも小さい次数までで打ち切り、これにより生じた打ち切り誤差を補償するように係数piおよび係数qiを適応的に算出するように構成した。
【0111】
したがって、ビタビ検出器40のブランチメトリックの計算に使用される係数giの次数を、雑音白色化フィルタ30の伝達多項式の次数に依存せずに決定できる。これにより、ビタビ検出器40にハードウエア上の制限があるために、装置規模を拡大できない場合であっても、雑音白色化フィルタ30を最適化してシーケンス検出性能を向上させることができる。
たとえば、パーシャルレスポンスの伝達多項式が2次である場合に、ビタビ検出器のハードウエア上の制限から係数giの次数が6までに制限されているとすると、従来は、雑音白色化フィルタ30の伝達多項式の次数は、必然的に4次までの係数qiに制限されていたが、本実施形態に係る最尤シーケンス検出器20によれば、6次までの係数qiまで与えることができ、入力シーケンスに対する雑音白色化性能が向上する。
【0112】
また、本実施形態に係る最尤シーケンス検出器20によれば、打ち切り誤差を補償する際に、ビタビ検出器40の出力シーケンスである打ち切り誤差を含んだ理想サンプルと、雑音白色化フィルタ30と同特性のプレフィルタ58の出力との誤差の二乗平均が最小となるように、LMS適応アルゴリズムを用いて、係数qiを逐次更新する。
これにより、打ち切り誤差を逐次適応的に補償することができる。したがって、ビタビ検出器のハードウエア上の制限から係数giの次数に制限がある場合であっても、シーケンス検出性能を向上させることができる。
【0113】
次に、本実施形態に係る最尤シーケンス検出器20のシーケンス検出性能の一例について以下に説明する。
下記表2は、前述した表1の測定結果に対して、実施形態に係る光ディスク装置1のシーケンス検出の測定を同条件で行い、比較の容易のために、その結果を表1の最後の行に付加した表である。
【0114】
<表2>
N 状態数 SNR[dB] ビット誤り数
-------------------------------------------------
0 4 13.5 766
1 6 13.7 848
2 10 13.7 870
3 16 13.7 1116
4 26 14.1 780
5 42 14.2 650
6 68 14.2 884
7 110 14.6 578
15 26 14.9 498
本実施形態 26 14.6 542
(N=6)
--------------------------------------------------
【0115】
表2が示すように、本実施形態に係るビタビ検出器40は、従来のビタビ検出器40a(N=4)と同じ26の状態数であり、かつ、従来のビタビ検出器40a(N=15)に備わるフィードバック手段を有していないにも関わらず、SNRおよびビット誤り数の点から、従来のビタビ検出器40a(N=7)と同等の性能を達成している。また、本実施形態に係るビタビ検出器40は、同等の性能を有する従来のビタビ検出器40a(N=7)の状態数(110)と比較して、状態数を大幅に低減している。
すなわち、最小限のビタビ検出器の装置規模を維持したまま、シーケンス検出性能を大幅に向上させている。
【0116】
図6は、本実施形態におけるチャンネル1+G(D)の係数分布を示す。図6において、図8と同様に、横軸は次数Nを、縦軸は係数gを、それぞれ示す。図6では、図8と比較して、(d)本実施形態に係る係数分布が付加された点が異なる。
本実施の形態では、g1からg6を係数として使用するようになされているが、図6によれば、g1からg6の範囲における(d)に示す係数分布は、N=4の場合と比較すると、N=15に示す理想的な分布に近いことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】実施形態に係る光ディスク装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係る最尤シーケンス検出器の構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るビタビ検出器の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るビタビ検出器のトレリス線図である。
【図5】実施形態に係る誤差計算回路の構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態に係るチャンネル1+G(D)の係数分布を示す図である。
【図7】従来のNPML方式の最尤シーケンス検出器の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の最尤シーケンス検出器のチャンネル1+G(D)の係数分布を示す。
【符号の説明】
【0118】
1…光ディスク装置、10…符号化器、11…増幅器、12…ピックアップ、13…光ディスクメディア、14…増幅器、15…可変利得アンプ、16…ローパスフィルタ、17…A/D変換器、18…タイミング&ゲインリカバリー回路、19…等化器、20,20a…最尤シーケンス検出器、21…SYNC検出器、22…復号器、30,30a…雑音白色化フィルタ、40,40a…ビタビ検出器、50,50a…誤差計算器、51…R倍器、52…サンプル遅延器、53…PRフィルタ、54…差分演算器、55…予測誤差フィルタ、56…係数変換器、57…一般化PRフィルタ、58…プレフィルタ、59…差分演算器、60,60a…係数更新器、70,70a…NRZI逆変換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
第1の係数を含む第1の伝達多項式によりパーシャルレスポンス等化された第1のデータに対し、前記制御部により与えられた第2の係数による第2の伝達多項式に基づいてノイズ除去のためのフィルタリングを行う第1のフィルタ部と、
前記第1のフィルタ部の出力に対し、前記制御部により与えられた第3の係数により状態遷移のメトリック演算を行い、最も尤度の高い第2のデータを検出するビタビ検出部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1のデータと前記第2のデータとの誤差を補償するように、前記第2の係数を逐次算出する第1の補償部と、
前記第2のデータに対して前記第1の伝達多項式に基づいてフィルタリングを行ってパーシャルレスポンス等化目標値である第3のデータを生成し、前記第1のデータと前記第3のデータとの誤差を補償するように、第4の係数を逐次算出する第2の補償部と、
前記第1の係数と、前記第2の補償部により算出された第4の係数とを演算して、前記第3の係数を逐次算出する係数演算部と、を含む
データ処理装置。
【請求項2】
前記第1の補償部は、
前記第1のデータに対して、前記第1のフィルタ部と同一の伝達多項式に基づいてノイズ除去のためのフィルタリングを行う第2のフィルタ部と、
前記第2のデータに対して、前記係数演算部により算出された第3の係数による伝達多項式に基づいてフィルタリングを行う第3のフィルタ部と、を含み、
前記第2および第3のフィルタ部の出力の差分の二乗平均を最小にするように、前記第2の係数を逐次適応的に算出する
請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記第1の係数は、K次(K:整数)の多項式の係数であり、前記第4の係数は、N次(N:整数)の多項式の係数であって、
前記係数演算部は、前記K次の多項式と前記N次の多項式を乗算し、当該乗算結果のうち、前記KとNとの和よりも小さいL次までの項の係数を第3の係数として算出する
請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記第1の係数は、K次(K:整数)の多項式の係数であり、前記第4の係数は、N次(N:整数)の多項式の係数であって、
前記係数演算部は、前記K次の多項式と前記N次の多項式を乗算し、当該乗算結果のうち、前記KとNとの和よりも小さいL次までの項の係数を第3の係数として算出する
請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記第2の補償部は、
前記第2のデータに対して、前記第1の伝達多項式に基づいてフィルタリングを行う第4のフィルタ部と、
前記第1のデータと、前記第4のフィルタ部の出力との差分に対して、第4の係数による伝達多項式に基づいてフィルタリングを行う第5のフィルタ部と、を含み、
前記第5のフィルタ部の出力の二乗平均を最小にするように、前記第4の係数を逐次適応的に算出する
請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項6】
第1の係数を含む第1の伝達多項式によりパーシャルレスポンス等化された第1のデータに対し、第2の係数による第2の伝達多項式に基づいてノイズ除去のためのフィルタリングを行うステップと、
前記フィルタリングによる出力に対し、第3の係数により状態遷移のメトリック演算を行い、最も尤度の高い第2のデータを検出するステップと、
前記第2のデータに対して前記第1の伝達多項式に基づいてフィルタリングを行ってパーシャルレスポンス等化目標値である第3のデータを生成し、前記第1のデータと前記第3のデータとの誤差を補償するように、第4の係数を算出するステップと、
前記第1の係数と前記第4の係数を演算して前記第3の係数を算出して更新するステップと、
前記第1のデータと前記第2のデータとの誤差を補償するように、前記第2の係数を算出して更新するステップと、
を有するデータ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−85765(P2006−85765A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266774(P2004−266774)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】