説明

データ処理装置及び画像形成装置

【課題】オーバーランが発生した場合でも、そのオーバーランが発生したことに起因する異常の影響を最小限にくいとめるデータ処理装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】データ処理装置300は、データを複数の記憶領域203aに順に記憶するバッファメモリ203と、データを記憶するメインメモリ100と、複数の記憶領域203aからデータを順に読み出して、メインメモリ100に書き込むDMAC204と、を備える。DMAC204は、所定の場合に、記憶領域203aに記憶される第1のデータ群を構成するデータをメインメモリ100に書き込むと、メインメモリ100に書き込んだそのデータを、その後に記憶領域203aに記憶された第2のデータ群を構成するデータによって上書きする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記憶部に記憶させるデータ処理装置、及びそのデータ処理装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機や複合機等の画像形成装置では、原稿の画像を読み取って画像データを生成する原稿読取部、画像データを記憶するメインメモリ、そのメインメモリに記憶される画像データに基づいて用紙に画像を形成するエンジン部、及びその他のデバイスなど、多くのデバイス(インターフェース)がバスを使用している。特に、原稿読取部及びエンジン部は、リアルタイムにバスを介してメインメモリにアクセスする必要がある。具体例としては、画像形成装置は、原稿読取部によって生成された画像データをバッファメモリに一時的に記憶した後、バスを介してバッファメモリからメインメモリに画像データを移動させている。
【0003】
ところで、そのバスの占有権に関しては優先度がある。このため、バッファメモリからメインメモリに画像データを移動させる際に、バスが他のデバイスによって占有される場合には、画像形成装置は、バッファメモリからメインメモリに画像データを移動させることができない。この場合には、バッファメモリの記憶容量に余裕がなくなり、バッファメモリに記憶されるデータが新たなデータによって上書きされる可能性、すなわち、バッファメモリのオーバーランが発生する可能性がある。このようなバッファメモリのオーバーランが発生することを防ぐために、バッファメモリに記憶されたデータのデータ量を検出して、データの転送量を決定する装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−174145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、新たなデバイスがバスに接続された場合には、決定される転送量が小さくなるおそれがあるため、バッファメモリのオーバーランが発生する可能性がある。
【0006】
本発明は、オーバーランが発生した場合でも、そのオーバーランが発生したことに起因する異常の影響を最小限にくいとめるデータ処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1のデータ群及び第2のデータ群それぞれを構成するデータを順次受け付ける受付部と、複数の記憶領域を有し、前記受付部によって受け付けられたデータを複数の前記記憶領域に順に記憶する第1記憶部と、データを記憶する第2記憶部と、複数の前記記憶領域からデータを順に読み出して、前記第2記憶部に書き込む記憶制御部と、を備え、前記記憶制御部は、複数の前記記憶領域の全てに前記第1のデータ群を構成するデータが記憶された場合であって、さらに複数の前記記憶領域のうちのいずれかの記憶領域に記憶されたデータが、前記第1のデータ群を構成する他のデータによって上書きされたときに、前記記憶領域に記憶されるデータを前記第2記憶部に書き込むと、前記第2記憶部に書き込んだ当該データを、その後に前記記憶領域に記憶された前記第2のデータ群を構成するデータによって上書きするデータ処理装置に関する。
【0008】
また、データ処理装置は、複数の前記記憶領域それぞれは、データを記憶した場合にフラグが設定され、前記記憶制御部は、前記フラグが設定されている前記記憶領域にデータが書き込まれた場合に、当該記憶領域に新たなデータが上書きされたと判定することが好ましい。
【0009】
また、本発明は、上述したデータ処理装置と、原稿の画像を読み取って画像データを生成する撮像部と、前記撮像部によって読み取られた画像データに基づいて、画像を被画像形成媒体に形成するエンジン部と、を備え、前記第1のデータ群及び前記第2のデータ群は、前記撮像部によって生成された画像データのうちの1ライン分の画像データから構成される画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、オーバーランが発生した場合でも、そのオーバーランが発生したことに起因する異常の影響を最小限にくいとめるデータ処理装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の一実施形態に係るコピー機の全体構成を説明するための図である。
【図2】コピー機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】水平同期信号(HSYNC)、画像データ及びオーバーラン検出信号について説明するための図である。
【図4】メインメモリに書き込まれた画像データについて説明するための第1の図である。
【図5】メインメモリに書き込まれた画像データについて説明するための第2の図である。
【図6】コピー機の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、データ処理装置、及びそのデータ処理装置が配置された画像形成装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明の画像形成装置の一実施形態として、コピー機1について説明する。まず、コピー機1の全体構成について説明する。図1は、画像形成装置の一実施形態に係るコピー機1の全体構成を説明するための図である。
【0013】
図1に示すように、コピー機1は、原稿搬送部10と、原稿読取部20と、用紙搬送部30と、画像形成部40と、転写部50と、定着部60とを備える。
原稿搬送部10は、ADF(Automatic Document Feeder)であり、原稿載置部11と、第1送りローラー12と、ガイド13と、タイミングローラー対14と、原稿排出部15とを備える。第1送りローラー12は、原稿載置部11に載置された原稿Gを1枚ずつ順にタイミングローラー対14に供給する。タイミングローラー対14は、原稿読取部20が原稿Gの画像を読み取るタイミングと、原稿Gの画像が原稿読取部20によって読み取られる位置(ガイド13が配置されている位置)に原稿Gを供給するタイミングとを合わせるために、原稿Gの搬送又は原稿Gの搬送停止を行う。ガイド13は、搬送された原稿Gを後述する第1読取面21aに導く。原稿排出部15は、原稿読取部20によって画像が読み取られた(ガイド13を通過した)原稿Gをコピー機本体2の外部に排出する。
原稿排出部15におけるコピー機本体2の外側には、原稿集積部16が形成される。原稿集積部16には、原稿排出部15から排出された原稿Gが積層して集積される。
【0014】
原稿読取部20は、第1読取面21aと、第2読取面22aとを備える。第1読取面21aは、ガイド13に対向して配置された第1コンタクトガラス21の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。第2読取面22aは、第1読取面21aに隣接して(図1に示す場合では、第1読取面21aの右側の大部分に亘って)配置される。第2読取面22aは、原稿搬送部10を用いずに原稿Gの画像を読み取る場合に用いられる。第2読取面22aは、原稿Gが載置される第2コンタクトガラス22の上面に沿って形成され、原稿Gの画像を読み取る面となる。
【0015】
また、原稿読取部20は、照明部23と、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27と、撮像部28とをコピー機本体2の内部に備える。照明部23と第1ミラー24とは、それぞれ副走査方向Xに移動する。第2ミラー25と第3ミラー26とは、図1において照明部23及び第1ミラー24の左側に配置される。さらに、第2ミラー25及び第3ミラー26は、第1ミラー24と、第2ミラー25と、第3ミラー26と、結像レンズ27とを介した第1読取面21a又は第2読取面22aから撮像部28までの距離(光路長)を一定に保ちつつ、それぞれ副走査方向Xに移動する。
【0016】
照明部23は、原稿Gに光を照射する光源である。第1ミラー24、第2ミラー25及び第3ミラー26は、光路長を一定に保ちつつ、原稿Gによって反射された光を結像レンズ27に導くためのミラーである。結像レンズ27は、第3ミラー26から入射した光を撮像部28に結像させる。撮像部28は、入射された光を電気信号に変換することにより、結像された光像に基づいて画像データを得るための撮像素子であり、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサーである。
【0017】
用紙搬送部30は、第2送りローラー31と、第3送りローラー32と、レジストローラー対33と、用紙排出部34とを備える。第2送りローラー31は、給紙カセット36に収容される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。第3送りローラー32は、手差しトレイ37に載置される用紙T(被画像形成媒体)を転写部50に供給する。レジストローラー対33は、転写部50にトナー画像が到達するタイミングと、転写部50に用紙Tを供給するタイミングとを合わせるために、用紙Tの搬送又は用紙Tの搬送停止を行う。また、レジストローラー対33は、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正を行う。用紙排出部34は、トナー画像が定着された用紙Tをコピー機本体2の外部に排出する。
用紙排出部34におけるコピー機本体2の外側には、排紙集積部35が形成される。排紙集積部35には、用紙排出部34から排出された用紙Tが積層して集積される。
【0018】
画像形成部40は、トナー画像を形成するためのものであり、感光体ドラム41と、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45と、トナーカートリッジ46と、1次転写ローラー47と、中間転写ベルト48と、対向ローラー49とを備える。
感光体ドラム41(41a,41b,41c,41d)は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローそれぞれのトナー画像を形成するために、感光体又は像担持体として機能する。各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの周囲には、感光体ドラム41の回転方向に沿って上流側から下流側へ順に、帯電部42と、レーザースキャナーユニット43と、現像器44と、クリーニング部45とが配置される。帯電部42は、感光体ドラム41の表面を帯電させる。レーザースキャナーユニット43は、感光体ドラム41の表面から離れて配置され、後述するメインメモリ100に記憶される原稿Gに関する画像データに基づいて感光体ドラム41の表面を走査露光する。これにより、感光体ドラム41の表面には、露光された部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。現像器44は、感光体ドラム41の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー画像を形成する。クリーニング部45は、除電器(図示せず)によって感光体ドラム41の表面が除電された後のその表面に残るトナー等を除去する。
トナーカートリッジ46は、現像器44に供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ46と現像器44とは、トナー供給路(図示せず)により接続されている。
【0019】
1次転写ローラー47(47a,47b,47c,47d)は、中間転写ベルト48における各感光体ドラム41a,41b,41c,41dとは反対側にそれぞれ配置される。中間転写ベルト48は、画像形成部40及び転写部50を通過するベルトである。中間転写ベルト48の一部分は、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dと各1次転写ローラー47a,47b,47c,47dとの間に挟み込まれ、各感光体ドラム41a,41b,41c,41dの表面に形成されたトナー画像が1次転写される。対向ローラー49は、環状形状の中間転写ベルト48の内側に配置され、中間転写ベルト48を図1に示す矢印A方向に進行させるための駆動ローラーである。
【0020】
転写部50は、2次転写ローラー51を備える。2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48における対向ローラー49とは反対側に配置され、中間転写ベルト48の一部分を対向ローラー49との間に挟みこむ。さらに、2次転写ローラー51は、中間転写ベルト48に1次転写されたトナー画像を用紙Tに2次転写させる。
【0021】
定着部60は、加熱回転体61と、加圧回転体62とを備える。加熱回転体61と加圧回転体62とは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで、トナーを溶融及び加圧し、そのトナーを用紙Tに定着させる。
【0022】
次に、コピー機1の機能構成について説明する。図2は、コピー機1の機能構成を示すブロック図である。図3は、水平同期信号(HSYNC)、画像データ及びオーバーラン検出信号について説明するための図である。図4は、メインメモリ100に書き込まれた画像データについて説明するための第1の図である。図5は、メインメモリ100に書き込まれた画像データについて説明するための第2の図である。
【0023】
コピー機1は、上述した構成要素(原稿搬送部10、原稿読取部20、用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60)を備える。用紙搬送部30、画像形成部40、転写部50及び定着部60によりエンジン部3が構成される。なお、以下では、原稿搬送部10及びエンジン部3の説明を省略する。
さらに、図2に示すように、コピー機1は、上述した機能構成に加えて、操作部70と、ハードディスクドライブ(HDD)80と、制御部90と、第2記憶部としてのメインメモリ100と、を備える。原稿搬送部10と、原稿読取部20と、エンジン部3と、操作部70と、HDD80と、制御部90と、メインメモリ100とは、バス110に接続される。
【0024】
操作部70は、テンキー(図示せず)、タッチパネル(図示せず)及びスタートキー(図示せず)等を備える。テンキーは、印刷部数等の数字を入力するために操作される。タッチパネルは、種々の機能(一例として、印刷倍率の設定機能や、複数のページを1枚の用紙Tに割り付ける機能(2in1等))が割り当てられた複数のキー等を表示する。タッチパネルに表示されたキーは、種々の機能のうちのいずれかをコピー機1に実行させるために操作される。スタートキーは、印刷を実行させるために操作される。操作部70は、いずれかのキーが操作されることにより、このキーが操作されたことを表す信号を制御部90に供給する。
【0025】
HDD80は、例えば、コピー機1において利用される制御プログラム、及びこの制御プログラムによって利用されるデータ等を記憶する。
制御部90は、原稿搬送部10、原稿読取部20、エンジン部3、操作部70等を制御する。
【0026】
メインメモリ100は、画像データを記憶する。画像データは、後述する撮像部28によって原稿Gの画像を1ライン毎に読み取ることに基づいて生成される。そして、1ラインに対応する画像データは、1つのデータ群に対応する。1ラインに対応する画像データ(データ群)は、複数のデータに分割可能である。したがって、後述するように1ラインに対応する画像データ(データ群)がバッファメモリ203に記憶される場合には、画像データを構成する複数のデータは、1つ毎にバッファメモリ203における1つの記憶領域203aに記憶される。
【0027】
原稿読取部20は、上述した撮像部28に加えて、受付部201と、画像処理部202と、第1記憶部としてのバッファメモリ203と、記憶制御部としてのDMAC(Direct Memory Access Controller)204と、を備える。
【0028】
ここで、本発明の一実施形態に係るデータ処理装置300は、受付部201、バッファメモリ203、DMAC204及びメインメモリ100を備える。
【0029】
撮像部28は、上述したように、原稿Gの画像を読み取って画像データを生成する。すなわち、撮像部28は、水平同期信号(HSYNC)に応じて原稿Gの画像を1ライン毎に読み取って、その1ラインに対応する画像データ(データ群)を順次生成して出力する。具体的には、撮像部28は、図3に示すように、HSYNCが高(High)になる毎に、原稿Gの画像を読み取って、1ラインに対応する画像データ(1),(2),(3)…を生成して出力する。
【0030】
受付部201は、第1のデータ群及び第2のデータ群(複数のデータ群)それぞれを構成するデータを順次受け付ける。すなわち、受付部201は、撮像部28から出力された1ラインに対応する画像データ(データ群)を順次受け付ける。ここで、第2のデータ群(第2の画像データ)は、第1のデータ群(第1の画像データ)の次に受付部201によって受け付けられたものである。
【0031】
画像処理部202は、受付部201によって受け付けられた画像データに基づく画像に対して、例えば、階調補正等の画像処理を行う。
【0032】
バッファメモリ203は、複数の記憶領域203aを有する。本実施形態においては、バッファメモリ203は、4つの記憶領域203aを有する。なお、本発明では、バッファメモリ203が有する記憶領域203aの数は4つに限定されることはない。ここで、1つの記憶領域203aは、データをメインメモリ100に転送する場合の転送単位となる容量(一例として、32バイト)を有する。転送単位となる容量は、1ラインに対応する画像データ(1つのデータ群)のサイズよりも小さい。
【0033】
また、バッファメモリ203には、受付部201によって受け付けられたデータ(1ラインに対応する画像データ)が複数の記憶領域203aに順に記憶される。すなわち、バッファメモリ203には、画像データが記憶領域203aに順に記憶される。これにより、1つの画像データは、複数の記憶領域203aに分割して記憶される。記憶領域203aには、データを記憶した場合にフラグが設定される。例えば、記憶領域203aにおいては、データを記憶しない場合にフラグ「0」が設定され、データを記憶する場合にフラグ「1」が設定される。
【0034】
DMAC204は、複数の記憶領域203aからデータを順に読み出して、メインメモリ100に書き込む。すなわち、DMAC204は、バッファメモリ203に一定量(転送単位となる量)のデータが記憶されると、そのデータを、バス110を介してメインメモリ100に転送する。
【0035】
ここで、バス110が他のデバイスによって占有(使用)されている場合には、DMAC204は、メインメモリ100へのデータの転送を待機する。この場合には、複数の記憶領域203aの全てにデータが記憶される可能性がある。
【0036】
さらに、複数の記憶領域203aの全てにデータが記憶されたにもかかわらず、撮像部28から画像データがさらに出力されることにより、複数の記憶領域203aのうちのいずれかの記憶領域203aにおけるデータが、受付部201によって受け付けられた新たなデータによって上書きされる可能性がある。例えば、複数の記憶領域203aの全てに第1の画像データを構成するデータが記憶されたにもかかわらず、さらに複数の記憶領域203aのうちのいずれかの記憶領域203aに記憶されたデータが、第1の画像データを構成する他のデータによって上書きされる可能性がある。すなわち、バッファメモリ203のオーバーランが発生する可能性がある。
【0037】
DMAC204は、記憶領域203aにおいて上書きが発生したか否かを次のように判定する。すなわち、DMAC204は、フラグが設定されている記憶領域203aにデータが書き込まれた場合に、その記憶領域203aに新たなデータが上書きされたと判定する。すなわち、DMAC204は、フラグが「1」に設定されている記憶領域203aにデータが書き込まれた場合に、上書きされたことを示すオーバーラン検出信号を生成する。一例として、DMAC204は、図3に示すように、画像データ(5)を構成するデータが記憶領域203aに記憶されるときに、上述した上書きが発生した場合には、オーバーラン検出信号を生成する。
【0038】
DMAC204は、上述したように記憶領域203aにおいて上書きが発生した場合に、記憶領域203aに記憶されるデータ(第1の画像データを構成するデータ)をメインメモリ100に書き込むと、メインメモリ100に書き込んだそのデータ(第1の画像データを構成するデータ)を、その後に記憶領域203aに記憶された第2のデータ群を構成するデータによって上書きする。
【0039】
すなわち、まず、DMAC204は、記憶領域203aにおいて他のデータ等をメインメモリ100に転送して、他のデータを含む第1の画像データのデータをメインメモリ100の所定の領域に書き込む。その後、記憶領域203aには、第2の画像データを構成するデータが記憶される。次に、DMAC204は、第1の画像データの次に受付部201によって受け付けられた第2の画像データを構成するデータを記憶領域203aから読み出してメインメモリ100に書き込む場合には、第1の画像データが記憶されている所定の領域に、第2の画像データを構成するデータを書き込む。これにより、第1の画像データは、第2の画像データによって上書きされる。ここで、第2の画像データを構成するデータが記憶領域203aに記憶される場合には、データの上書きが発生していないものとする。
【0040】
一例として、画像データ(5)を構成するデータが記憶領域203aに記憶されるときに上書きが発生して、オーバーラン検出信号が生成された場合(図3参照)には、DMAC204は、図4に示すように、画像データ(1)〜(4)を構成するデータをメインメモリ100の所定の領域(アドレス0x0000〜0x0FFF、0x1000〜0x1FFF、0x2000〜0x2FFF、0x3000〜0x3FFF)に順次記憶させるのに続いて、画像データ(5)を構成するデータをアドレス0x4000〜0x4FFFに記憶させる。次に、DMAC204は、オーバーラン検出信号が生成された画像データ(5)を構成するデータをアドレス0x4000〜0x4FFFに記憶させているため、図5に示すように、次の画像データ(6)を構成するデータをアドレス0x4000〜0x4FFFに記憶させる。DMAC204は、画像データ(7)を構成するデータ以降についても、メインメモリ100に所定の領域に順次記憶させる。
【0041】
次に、本実施形態におけるコピー機1(データ処理装置300)の動作について説明する。図6は、コピー機1の動作について説明するためのフローチャートである。
【0042】
ステップST1において、撮像部28は、水平同期信号(HSYNC)に応じて原稿Gの画像を1ライン毎に読み取る。
【0043】
ステップST2において、バッファメモリ203には、ステップST1の読み取りに基づいて生成された画像データが記憶される。
【0044】
ステップST3において、DMAC204は、オーバーラン検出信号が生成されたか否かを判断する。すなわち、DMAC204は、水平同期信号(HSYNC)が高(High)になる毎に、オーバーラン検出信号が高(High)になっているか否かを判断する。オーバーラン検出信号が生成されていない場合(No)には、処理は、ステップST4に進む。オーバーラン検出信号が生成されている場合(Yes)には、処理は、ステップST5に進む。ここで、「Yes」の場合には、DMAC204は、図3に示す画像データ(6)に対応する水平同期信号(HSYNC)が高(High)になった場合に、オーバーラン検出信号が高(High)になっていると判断すると、1ライン前の画像データ(5)をバッファメモリ203に記憶する際に、バッファメモリ203のオーバーランが発生したと判定する。
【0045】
ステップST4において、DMAC204は、バッファメモリ203に記憶されている画像データを読み出して、その画像データをメインメモリ100に書き込む。ステップST4の処理の後は、ステップST8に進む。
【0046】
一方、ステップST5において、DMAC204は、他のデバイスによるバス110の占有(使用)が解除されることにより、バッファメモリ203に記憶される画像データをメインメモリ100に転送できるようになったか否かを判断する。メインメモリ100に画像データを転送できない場合(No)には、ステップST5の判断が再度行われる。メインメモリ100に画像データを転送できる場合(Yes)には、処理は、ステップST6に進む。
【0047】
ステップST6において、DMAC204は、バッファメモリ203に記憶される画像データをメインメモリ100に書き込む(転送する)。一例として、図4に示すように、オーバーランが発生したラインに対応する画像データ(5)をメインメモリに書き込む。
【0048】
ステップST7において、DMAC204は、次のラインの画像データをメインメモリ100に書き込む場合に、バッファメモリ203のオーバーランが発生したラインの画像データを次のラインの画像データで上書きする。一例として、図4に示すように、オーバーランが発生したラインに対応する画像データ(5)をメインメモリ100に記憶した場合に、DMAC204は、図5に示すように、画像データ(5)を次のラインの画像データ(6)で上書きする。
【0049】
ステップST8において、DMAC204は、バッファメモリ203に記憶される全てのデータがメインメモリ100に書き込まれたか否かを判断する。全てのデータがメインメモリ100に書き込まれていない場合(No)には、処理は、ステップST3に戻る。全てのデータがメインメモリ100に書き込まれている場合(Yes)には、処理は、終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のコピー機1(データ処理装置300)によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、本実施形態のコピー機1(データ処理装置300)は、複数の記憶領域203aの全てに第1の画像データを構成するデータが記憶された場合であって、さらに複数の記憶領域203aのうちのいずれかの記憶領域203aに記憶されたデータが、第1の画像データを構成する他のデータによって上書きされたときに、記憶領域203aに記憶されるデータをメインメモリ100に書き込むと、メインメモリ100に書き込んだそのデータを、その後に記憶領域203aに記憶された第2の画像データを構成するデータによって上書きする。そして、メインメモリ100に記憶された画像データに基づいて用紙Tに画像が形成された場合には、上書きされた1ライン分の画像データ(第1の画像データ)に対応する画像は、用紙Tに形成されない。また、用紙Tに形成されない画像が1ラインの画像データに対応する場合には、例えば、その1ラインの画像データに基づく画像の前後で画像全体の連続性を確保することができるため、その1ラインの画像データに基づく画像を形成しないことに起因する悪影響が生じ難い。したがって、コピー機1(データ処理装置300)は、オーバーランが発生した場合でも、そのオーバーランが発生したことに起因する異常の影響を最小限にくいとめることができる。
【0051】
また、DMAC204は、フラグが「1」に設定されている記憶領域203aにデータが書き込まれた場合に、その記憶領域203aに新たなデータが上書きされたと判定する。これにより、DMAC204は、バッファメモリ203のオーバーランが発生したか否かを判定することができる。
【0052】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、種々の形態で実施することができる。
上述した実施形態では、1ライン分の画像データに関してオーバーランが発生した場合には、そのラインの画像データに基づく画像を用紙に形成しない場合について説明した。しかし、2ライン以上続けて画像データに関してオーバーランが発生した場合には、制御部は、上述したタッチパネルに警告画像を表示させ、又は、スピーカ(図示せず)から警告音や警告音声を出力させてもよい。ここで、上述した警告は、例えば、原稿読取部20によって原稿Gの画像を再度読み取らせるよう指示する旨の警告である。
【0053】
また、本実施形態のコピー機1は、カラーコピー機であるが、この形態に限定されることはなく、モノクロコピー機であってもよい。
また、本実施形態のコピー機1は、中間転写ベルト48を介して用紙Tにトナー画像を転写している(間接転写方式)が、この形態に限定されることはなく、感光体ドラムに形成されたトナー画像を直接に用紙Tに転写してもよい(直接転写方式)。
また、本実施形態のコピー機1は、用紙Tの片面を印刷する構成であるが、これに限定されることはなく、用紙の両面を印刷する構成であってもよい。
【0054】
また、本発明の画像形成装置は、上述したコピー機1に限定されることはない。すなわち、本発明の画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンター機能及びスキャナ機能を備える複合機であってもよく、ファクシミリやプリンターであってもよい。
また、本発明の画像形成装置によってトナー画像が定着される被画像形成媒体は用紙Tに限定されることはなく、例えば、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)シート等のフィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…コピー機(画像形成装置)、3…エンジン部、20…原稿読取部、28…撮像部、201…受付部、203…バッファメモリ(第1記憶部)、204…DMAC(記憶制御部)、100…メインメモリ(第2記憶部)、110…バス、300…データ処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のデータ群及び第2のデータ群それぞれを構成するデータを順次受け付ける受付部と、
複数の記憶領域を有し、前記受付部によって受け付けられたデータを複数の前記記憶領域に順に記憶する第1記憶部と、
データを記憶する第2記憶部と、
複数の前記記憶領域からデータを順に読み出して、前記第2記憶部に書き込む記憶制御部と、を備え、
前記記憶制御部は、複数の前記記憶領域の全てに前記第1のデータ群を構成するデータが記憶された場合であって、さらに複数の前記記憶領域のうちのいずれかの記憶領域に記憶されたデータが、前記第1のデータ群を構成する他のデータによって上書きされたときに、前記記憶領域に記憶されるデータを前記第2記憶部に書き込むと、前記第2記憶部に書き込んだ当該データを、その後に前記記憶領域に記憶された前記第2のデータ群を構成するデータによって上書きする
データ処理装置。
【請求項2】
複数の前記記憶領域それぞれは、データを記憶した場合にフラグが設定され、
前記記憶制御部は、前記フラグが設定されている前記記憶領域にデータが書き込まれた場合に、当該記憶領域に新たなデータが上書きされたと判定する
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のデータ処理装置と、
原稿の画像を読み取って画像データを生成する撮像部と、
前記撮像部によって読み取られた画像データに基づいて、画像を被画像形成媒体に形成するエンジン部と、を備え、
前記第1のデータ群及び前記第2のデータ群は、前記撮像部によって生成された画像データのうちの1ライン分の画像データから構成される
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−16063(P2013−16063A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149150(P2011−149150)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】