説明

データ収集システム

【課題】 容易に期間及び測定データの内容を抽出条件として指定できるデータ収集システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 測定データを取得する2以上のデータ収集子機2と、各データ収集子機2が取得した上記測定データを収集するデータ収集親機1からなるデータ収集システム5において、上記データ収集親機1は、上記データ収集子機2から測定データ及び日時情報を収集するデータ収集部13と、収集された測定データが格納されるデータベースと、上記データベースから測定データを抽出するデータ抽出部11とを備え、上記データ収集部13は抽出用日時情報を求め、上記データ抽出部11は、上記抽出用日時情報を所定の抽出条件と照合し、上記データレコードの抽出を行う手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集システムに係り、更に詳しくは、収集された測定データからのデータ抽出手段を有するデータ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の生産ラインでは、各工程ごとに配置された計測器や加工機等の生産機器をプログラマブルコントローラの制御下で動作させている。この様な生産機器からデータを収集することができれば、各生産機器の稼働状況を把握することができ、また、製造中の対象物について品質チェックも行うことができる。このため、プログラマブルコントローラや計測器などに接続され、測定データを自動的に取得するデータ収集装置が既に知られている。
【0003】
このような従来のデータ収集装置は、通常、各生産工程ごとに分散して配置されている。このため、各データ収集装置によって取得された測定データは、ユーザによって、フレキシブルディスクなどの可搬性記憶媒体に記録され、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置に集められていた。
【0004】
ユーザは、このようにして集められた測定データのうち、上述のような各生産機器の稼働状況の把握や対象物の品質チェック等に必要な測定データを抽出し、表計算ソフトに取りこんだり、グラフを作成したり、統計データを算出するなどの処理を行っていた。ここで、これらの処理に必要な測定データの抽出作業は、ユーザ自身が行っていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようにデータ収集装置が生産工程ごとに分散して配置されている場合、ユーザは必要とする測定データを集めるために、各データ収集装置が設置された場所にわざわざ足を運ぶ必要があった。また、各データ収集装置で取得された測定データを照合してデータベース化する作業もユーザ自身が行わなければならず煩雑であった。
【0006】
また、収集された測定データをユーザが利用しようとすれば、収集された多数の測定データからユーザが必要としている測定データを抽出しなければならない。このような抽出作業はユーザ自身が行わなければならず、煩雑であった。しかも、ユーザ自身が抽出作業を行うことによって、作業ミスが起きやすかった。
【0007】
特に、生産ラインで取得された測定データの場合、それが取得された日時や曜日、測定データの値、あるいは、これらの組み合わせに基づいて抽出しなければならない場合があり、このような抽出作業はユーザにとって煩雑であった。例えば、同一の生産ラインで生産される対象物が日時や曜日に応じて切り替えられている場合、特定の対象物に関する測定データを抽出しようとすれば、期間や曜日に基づく抽出作業が必要となる。また、特定の値又は範囲の測定データを抽出したい場合もある。
【0008】
これらの作業を容易にするため、SQL等のデータベース用言語を利用することも考えられる。しかしながら、データベース用言語を用いて測定データの抽出を行うためには、一般に高度な知識が必要である。また、データベース用言語を用いて必要な測定データを抽出する場合、測定データの抽出条件を変更するたびに煩雑な作業が必要になる。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、容易に測定データの抽出条件を指定することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。特に、期間及び測定データの内容を抽出条件として容易に指定することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明によるデータ収集システムは、測定データを取得する2以上のデータ収集子機と、各データ収集子機が取得した上記測定データを収集するデータ収集親機からなるデータ収集システムにおいて、上記データ収集子機は、測定データとともに当該測定データの取得に関する日時情報を上記データ収集親機へ送信し、上記データ収集親機は、上記データ収集子機から測定データ及び日時情報を収集するデータ収集部と、収集された測定データが格納されるデータベースと、上記データベースから測定データを抽出するデータ抽出部とを備え、上記データベースは、データレコードを単位として更新され、上記データレコードは、上記測定データが格納される2以上のデータフィールドと、抽出用日時情報が格納されたデータフィールドとからなり、上記データ収集部は、1のデータレコードに格納される測定データの日時情報に基づいて当該データレコードの抽出用日時情報を求め、上記データ抽出部は、上記抽出用日時情報を所定の抽出条件と照合し、上記データレコードの抽出を行うように構成される。
【0011】
この様な構成により、データ収集子機が取得した測定データを、データ収集親機のデータベースに集中して保存することができ、ユーザは測定データを収集する作業が軽減される。また、収集された測定データについて、ユーザは複雑なデータベース用言語を用いなくても、抽出条件として日時情報を入力することで必要な測定データを正確かつ容易に抽出することができる。さらに、ユーザは抽出条件として指定する期間の変更を容易に行うことができ、測定データを参照する作業が軽減される。
【0012】
第2の本発明によるデータ収集システムは、上記データ収集親機は、上記抽出条件として抽出曜日及び抽出期間の論理積がユーザによって指定される抽出条件設定部を備え、上記抽出曜日は、1又は2以上の曜日からなり、上記抽出期間は、始点日時又は終点日時により指定された1又は2以上の期間からなるように構成される。
【0013】
この様な構成により、ユーザは複雑なデータベース用言語を用いなくても、データレコードの抽出条件として複数の期間及び曜日の組み合わせを容易に指定することができる。特に、データレコードの抽出を行う対象物が、複数の期間において、特定の曜日にのみ製造されていた場合でも、測定データを正確かつ容易に抽出することができる。
【0014】
第3の本発明によるデータ収集システムは、上記データ収集親機は、上記抽出条件として上記データフィールド及び測定データの範囲がユーザによって指定される抽出条件設定部を備え、上記データ抽出部は、指定された上記データフィールドに格納された上記測定データに対して上記測定データの範囲との照合を行うように構成される。
【0015】
この様な構成により、ユーザは複雑なデータベース用言語を用いなくても、データレコードの抽出条件として、期間及び測定データの範囲を容易に指定してデータレコードの抽出をすることができる。特に、特定の期間にのみ製造された対象物について、寸法や重量等の測定データの範囲によって、品質管理基準の合否を分けている場合において、当該品質管理基準の範囲内又は範囲外の対象物の測定データを正確かつ容易に分けて抽出することができる。
【0016】
第4の本発明によるデータ収集システムは、上記データ収集親機は、上記抽出条件として上記データフィールド及び任意の文字列がユーザによって指定される抽出条件設定部を備え、上記データ抽出部は、指定された上記データフィールドに格納された上記測定データに対して上記文字列とのマッチングを行うように構成される。
【0017】
この様な構成により、ユーザは複雑なデータベース用言語を用いなくても、データレコードの抽出条件として、期間及び文字列を容易に指定してデータレコードの抽出をすることができる。特に、特定の期間にのみ製造された対象物について、測定データに含まれた対象物の種別等の付加情報によって、当該対象物の測定データを正確かつ容易に抽出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容易に測定データの抽出条件を指定できるデータ収集システムを提供することができる。特に、期間及び測定データの内容を抽出条件として容易に指定できるデータ収集システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の形態によるデータ収集システム5を含む計測システムの一例を示した図である。この計測システムは、生産ラインの各工程で計測された計測データの収集及び蓄積を行うシステムであり、ユーザ端末4、データ収集システム5及び外部機器6により構成される。また、この計測システムは、各製造工程ごとに配置されているデータ収集装置をネットワーク3を介して情報処理装置に接続し、各データ収集装置によって取得された複数の測定データを1つの情報処理装置に自動的に収集し、データベース化している。ここでは、上記データ収集装置をデータ収集子機2とし、上記情報処理装置をデータ収集親機1としている。
【0020】
この様なネットワーク化されたシステムを用いれば、ユーザは、データ収集親機1にアクセスするだけで、各データ収集子機2によって取得された測定データを利用することができる。つまり、ユーザは測定データを利用するとき、各データ収集子機2が設置された場所に行く必要がない。
【0021】
外部機器6は、対象物が順次に搬送される生産ライン上の各工程に配置され、それぞれの工程における測定データ、例えば寸法データや温度データを保持するプログラマブルコントローラ(PLC)や測定装置などである。データ収集システム5には、2以上の外部機器6が接続されており、これらの外部機器6が保持している測定データは、データ収集システム5によって収集され、データベース化されてデータ収集システム5内に蓄積される。ユーザは、ユーザ端末4を用いて、データ収集システム5内のデータベースを参照することができる。
【0022】
データ収集システム5は、ネットワーク3を介して接続されたデータ収集親機1及びデータ収集子機2により構成される。ここでは、1つのデータ収集親機1及び2以上のデータ収集子機2が、イーサネット(登録商標)を介して接続され、データ収集親機1と各データ収集子機2の間でIP(Internet Protocol)パケットの送受信を行っているものとする。
【0023】
各データ収集子機2は、1又は2以上の外部機器6に接続されており、これらの外部機器6から測定データ及び日時情報を取得している。なお、日時情報は測定データを取得した日時を表すデータである。外部機器6から取得された測定データ及び日時情報は、データ収集子機2内に一旦蓄積された後、ネットワーク3を介してデータ収集親機1へ伝送される。
【0024】
データ収集親機1は、データ収集子機2に蓄積されている測定データ及び日時情報を収集し、これらの測定データを関連づけてデータレコード化し、データ収集親機1内のデータベースに格納している。ユーザ端末4は、ユーザによってデータレコードの抽出条件が入力され、当該抽出条件はデータ収集親機1に送信される。また、ユーザはユーザ端末4からデータ収集親機1に測定データを抽出する指示を行い、前述の抽出条件によって抽出された測定データは、ユーザ端末4に出力される。
【0025】
図2は、図1のデータ収集親機1について詳細な構成例を示したブロック図である。データ収集親機1は、データベース記憶部10、データ抽出部11、抽出条件設定部12、データ収集部13により構成される。
【0026】
データベース記憶部10は、収集された測定データが格納されるデータベースを備えている。データ収集部13は、データ収集子機2から測定データを受信し、データベースに格納する。データ抽出部11は、データベースに蓄積された測定データをユーザが指定した条件によって抽出し、ユーザ端末4に出力する。また、抽出条件設定部12は、ユーザがユーザ端末4から入力した抽出条件を保持する。当該抽出条件は、データ抽出部11が測定データを抽出する際の抽出条件として用いられる。
【0027】
データ収集部13は、データ収集子機2が取得した測定データを受信し、データベース記憶部10に備えられたデータベースに格納する。このとき、測定データは、当該データ収集子機2に対応するデータフィールドへ格納される。なお、データベースは、測定データの更新単位であるデータレコードからなり、データレコードは、データ収集子機2に対応づけられたデータフィールドからなる。この様にして、データベースには各データ収集子機2から収集された測定データが蓄積されていく。
【0028】
図3は、図2のデータベース記憶部10内に備えられるデータベースの一例を示した図である。このデータベースは、複数のデータレコードR1〜R4からなり、データレコードR1〜R4を単位として更新される。各データレコードR1〜R4は、複数のデータフィールドF1〜F4からなり、データフィールドF1には後述の抽出用日時情報が格納されている。また、データフィールドF2〜F4には、外部機器6から取得した測定データが格納されている。図3では、各行がデータレコードR1〜R4に相当し、各列がデータフィールドF1〜F4に相当している。
【0029】
データ収集部13は、データ収集子機2から収集した測定データを関連づけて、データレコードR1〜R4を生成し、データベースに追加している。ここでは、測定データの種別が、各データフィールドF2〜F4に予め割り当てられ、同一種類の測定データは、データ収集子機2における取得順に基づいて順次に格納され、先に取得された測定データほど若いデータレコードに格納されていく。
【0030】
なお、同一のデータレコードに格納される別種の各測定データは、データ収集子機2によって取得される段階において一定の関連性を有すると想定している。例えば、生産ライン上に設置された各外部機器6によって同一の対象物の寸法や温度等が順次測定されていく場合がある。このとき、データ収集子機2は、予めデータ収集子機2ごとに定められた外部機器6から測定順に寸法や温度等の測定データを取得する。このため、各データ収集子機2によって取得された別種の測定データそれぞれにおいて、取得された順序が同じである各測定データは、同一の対象物についての測定データとなる。
【0031】
ここで取得された測定データは、データ収集親機1のデータ収集部13に受信される。次に、データ収集部13は、受信した測定データをデータ収集子機2の取得順にデータベースに格納していく。このとき、測定データは、取得されたデータ収集子機2に予め関連付けられたデータフィールドに格納され、データレコードを生成する。こうして、先に取得された測定データほど若いデータレコードに格納されていくことで、同一の対象物の測定データを同一のデータレコードに格納し、上記関連性を維持している。この様にして、データベース内において別種の測定データ間の整合性は常に維持されているものとする。
【0032】
図3において、データレコードR1〜R4のデータフィールドF2には測定データa1〜a4が、データ収集子機2による取得順に格納されている。この測定データa1〜a4は、データフィールド2に関連付けられたデータ収集子機2から受信された測定データである。同様に、データフィールドF3やデータフィールドF4にも、対応するデータ収集子機2から受信された測定データが取得順に格納されている。また、それぞれのデータレコードのデータフィールドF1には抽出用日時データt1〜t4が格納されている。
【0033】
ここで、抽出用日時情報は、データ収集部13によって決められる。まず、データ収集部13は、データ収集子機2から測定データを受信する際に、日時情報を取得する。この日時情報は、データ収集子機2が外部機器6から測定データを取得した日時を表すデータである。このため、各測定データには、それぞれに対応する日時データが存在している。次に、データ収集部13は、同じデータレコードに格納される測定データの日時情報に基づいて抽出用日時情報を決定し、データベースに格納する。このとき、抽出用日時情報は、もとになった日時情報に関連付けられた測定データが格納されるデータレコードの所定のデータフィールドに格納される。
【0034】
この様に、データベース内では別々のデータ収集子機2から受信された測定データと、当該測定データに対応する日時情報から決定された抽出用日時情報とによってデータレコードが生成されている。図3においては、抽出用日時データt1、測定データa1、測定データb1及び測定データc1によってデータレコードR1が生成されている。
【0035】
次に、データベース記憶部10に備えられたデータベースから測定データを抽出する場合、ユーザは、ユーザ端末4からデータ収集親機1の抽出条件設定部12に抽出条件を入力する。このとき、ユーザは、抽出条件として期間及び測定データ自体の範囲を用いることができる。ここで、データ収集親機1の抽出条件設定部12は、入力された抽出条件を保持する。この抽出条件に基づいて、データ抽出部11は、データベースから測定データを抽出する。その後、データ抽出部11は、抽出された測定データをユーザ端末4に送信する。
【0036】
図4のステップS101〜S105は、図2のデータ収集システム5におけるデータ抽出部11の処理に関する一例を示したフローチャートである。データ収集親機1のデータ抽出部11は、データベース記憶部10に備えられたデータベースについて、最初のデータレコードから順に、測定データが格納されたデータレコードが存在しているか否かを確認する(ステップS101)。測定データが格納されたデータレコードが存在する場合、データ抽出部11は抽出用日時情報及び測定データを読み込む(ステップS102、S103)。
【0037】
次に、データ抽出部11は読み込んだ抽出用日時情報及び測定データが、抽出条件を満たすか否かを確認する(ステップS104)。抽出用日時情報及び測定データが抽出条件を満たさない場合、現在の処理対象であるデータレコードは抽出されない。このとき、処理対象は次のデータレコードに変わり、ステップS101から処理が始められる。
【0038】
また、抽出用日時情報及び測定データが抽出条件を満たす場合、現在の処理対象であるデータレコードが抽出され、ユーザ端末4に出力される。さらに、処理対象は次のデータレコードに変わり、ステップS101から処理が始められる。この様に、データベース内にあるデータレコードに対して、順次処理が進められ、抽出条件を満たす全てのデータレコードに格納された測定データが抽出される(ステップS105)。
【0039】
図5は、抽出用日時情報の決定を含むデータレコード生成処理の一例を示した説明図である。まず、データ収集親機1のデータ収集部13は、データ収集子機2から日時情報に関連付けられた測定データを受信する。このとき、各データ収集子機2から受信された測定データは、データ収集子機2が取得した順に、1つにまとめられてデータレコードを生成する。一方、各測定データには、それぞれに対応する日時情報が存在する。このため、データ収集部13は、これらの日時情報から抽出用日時情報を決定し、当該抽出用日時情報は関連する測定データと共にデータレコードを生成し、データベースに格納される。
【0040】
ここで、抽出用日時情報は、測定データを抽出する際に抽出条件と比較されるものである。このため、データベースにおいて、1つのデータレコードには、1つの日時情報があれば十分である。そこで、データ収集部13は、同一のデータレコードに格納される測定データに対応する日時情報から抽出用日時情報を決定する。
【0041】
抽出用日時情報の決定においては、例えば、特定の種類の測定データに対応する日時情報を抽出用日時情報としてもよい。この場合、当該測定データが存在しない場合には、同一のデータレコードにおいて予め決められた順に他の種類の測定データを参照し、当該測定データが存在する場合に、当該測定データに対応する日時情報を抽出用日時情報としてもよい。また、抽出用日時情報の決定においては、同一のデータレコードに格納される全ての測定データに対応する日時情報の平均値を抽出用日時情報としてもよい。さらに、同一のデータレコードに格納される全ての測定データに対応する日時情報のうち、最も新しい日時情報又は最も古い日時情報を抽出用日時情報としてもよい。なお、1つのデータレコードには1つの抽出用日時情報が格納されていても良いし、2以上の抽出用日時情報が格納されていてもよい。
【0042】
図5において、測定データa1、測定データb1及び測定データc1は、日時データta1、日時データtb1及び日時データtc1にそれぞれ対応している。これらの測定データはデータ収集親機1に受信されると、データ収集部13によってデータベースに格納される。また、データベース内では、抽出用日時データt1、測定データa1、測定データb1及び測定データc1によってデータレコードR1が生成されている。
【0043】
ここで、データフィールドF1に格納されている抽出用日時データt1は、日時データta1、日時データtb1及び日時データtc1によって決定されたものである。また、データフィールドF2〜F4に格納されている測定データa1、測定データb1及び測定データc1は、それぞれのデータフィールドに対応するデータ収集子機2から受信されたものである。同様にして、順次データレコードが生成され、データベース記憶部10に備えられたデータベースは更新される。
【0044】
次に、データ抽出部11はユーザの指示に基づいて、ユーザが指定した抽出条件でデータベースからデータレコードの抽出を行う。また、抽出条件はユーザによって、ユーザ端末4から入力される。ここで、ユーザは、抽出条件としてデータ収集子機2が測定データを取得した期間や、測定データ自体の範囲を指定することができる。また、これらの抽出条件の論理積及び論理和を用いた論理式として抽出条件を指定することもできる。
【0045】
なお、抽出条件の指定は、抽出用日時情報に対しては期間を指定し、測定データについては、数値の範囲及び文字列を指定することで行う。まず、抽出用日時情報に対する抽出条件の指定は、始点日時及び終点日時を用いて期間を指定する。始点日時及び終点日時の入力は、直接指定及び相対指定によって行うことができる。このとき、直接指定ではユーザは当該日時の年、月、日、時、分及び秒を直接入力する。また、相対指定ではユーザは当該日時について、基準日時から遡る期間の年、月、日、時、分及び秒を入力する。なお、始点日時及び終点日時の両方を直接指定とすることもでき、両方を相対指定とすることもでき、一方を直接指定とし、もう一方を相対指定とすることもできる。
【0046】
また、直接指定においては、抽出条件となる期間を周期的に指定することができる。例えば、始点日時を「1月1日」とし、終点日時を「1月31日」と指定すれば、毎年の1月1日から1月31日までの測定データを抽出することができる。同様に、始点日時を「9時」に指定し、終点日時を「17時」に指定すれば、毎日の9時から17時までの測定データを抽出することができる。
【0047】
図6は、相対指定による抽出条件の指定方法の一例を示した説明図である。図6(a)は、「時点」を用いてデータレコードの抽出期間を相対指定するものである。ここで、2005年1月20日13時20分15秒現在の時点で、始点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「2日」に指定する。同様に終点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「1日」に指定する。この様に指定することで、抽出用日時情報が2005年1月18日13時20分15秒から2005年1月19日13時20分15秒の範囲の測定データが抽出される。
【0048】
一方で、図6(b)は、「期間」を用いてデータレコードの抽出期間を相対指定するものである。ここで、2005年1月20日13時20分15秒現在の時点で、始点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「2日」に指定する。同様に終点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「1日」に指定する。この様な指定を行った際には、抽出期間は、2005年1月18日から19日の2日間、つまり2005年1月18日0時0分0秒から2005年1月19日24時0分0秒(2005年1月20日0時0分0秒)の範囲を指定したことになる。なお、指定した条件に対し、始点又は終点の一方を含んで他方を含まない時刻の範囲が抽出用日時情報についての抽出条件となる。例えば、上記の場合、始点が2005年1月18日0時0分0秒となり、終点が2005年1月19日23時59分59秒となる。この始点及び終点の範囲内の値と抽出用日時情報が一致する場合にデータレコードが抽出される。この様な処理がなされるのは、期間を指定するユーザの意図とデータ抽出部11が抽出する期間の間にずれが生じているからである。このため、時刻についてのサンプリングの最小単位である「秒」を用いてこのずれの補正を行っている。
【0049】
図7は、直接指定及び相対指定による抽出条件の入力画面の一例を示した説明図である。入力画面は、GUIを用いることでユーザにとって入力しやすいものとなっている。また、ユーザは指定項目をポインティングデバイスで容易に指定できる。ここで、始点日時及び終点日時は、直接指定又は相対指定のどちらかを選択することができる。図7において、始点日時の指定方法としてB1の欄に「直接指定」が指定され、終点日時の指定方法としてB2欄に「相対指定」が指定されている。
【0050】
ここで、始点日時について直接指定が指定され、A1〜A6の欄に年、月、日、時、分及び秒が入力されている。また、「設定を無視」のチェックボックスにチェックを入れた場合、その部分の指定が無視される。ここで、C1にチェックを入れると「年」の指定が無視され、「月」以下に入力した期間を毎年繰り返して指定することになる。また、C7にチェックを入れると「秒」の指定が無視され、「分」単位の期間で指定を行うことになる。
【0051】
また、終点日時について相対指定が指定され、D1及びD2の欄に現在から遡る期間が入力されている。なお、D1には数値が、D2には単位がそれぞれ入力されている。ここで、D3にチェックを入れると、指定した単位より小さい単位は無視される。図7においては、D2の欄には「日前」が入力されているので、D3にチェックを入れると「時間」以下の単位は無視され、「日」単位の期間で指定を行うことになる。
【0052】
また、抽出用日時情報に対する抽出条件として曜日を指定することもできる。このとき、複数の曜日を指定する場合は、指定した曜日の論理和をとった期間が抽出条件となる。なお、データ抽出部11は、各データレコード内の抽出用日時情報から曜日データを算出し、抽出条件の曜日と比較する。
【0053】
次に、抽出条件は、測定データ自体の範囲を指定することができる。このとき、ユーザは、抽出条件との比較を行うデータフィールドを指定する。これは、測定データの種類に対応するデータフィールドを指定することで、抽出条件との比較をする測定データの種類を指定することになるからである。なお、測定データの範囲については、上限値及び下限値の少なくとも一方を指定する。
【0054】
また、ユーザは抽出条件として文字列を指定することもできる。ここで、データ抽出部11は、測定データに含まれるデータが数値であっても、当該数値を文字列とみなして抽出条件と比較を行う。このため、データベースに収集された測定データは、数値のみからなるものであっても、数値以外の文字列を含むものであってもよい。なお、測定データに数値以外の文字列が含まれる場合、当該文字列は測定が行われる対象物の対象物の種別や品質など、その意味は何であってもよい。
【0055】
さらに、抽出条件として文字列を指定する場合、いわゆる正規表現を用いて指定することができる。つまり、指定した文字列が測定データの一部と合致することを抽出条件とすることができる。なお、抽出条件として用いる上記文字列は、複数の文字であってもよく、1文字だけの文字であってもよい。
【0056】
また、抽出条件は、日時データや特定の種類の測定データに対して個別に指定できるだけでなく、それらを組み合わせた条件式を抽出条件として指定することもできる。つまり、この条件式として、同一レコード内の異なるフィールドに格納された抽出用日時情報や測定データの値に適用する四則演算や、三角関数や、その他の関数や、論理演算などを組み合わせた演算式を指定し、その演算結果である値に対して抽出範囲を指定することができる。
【0057】
この様にして抽出を行った測定データを、データ抽出部11は、ユーザ端末4に出力する。このとき、ユーザ端末4では、受信した測定データをグラフや一覧表にしてディスプレイに表示することもでき、所定のフォーマットでファイルとして保存することもできる。さらに、ユーザは、ユーザ端末4にファイルとして保存された測定データを統計データとして解析することもできる。
【0058】
また、データ収集親機1は、特定の抽出条件によって測定データの抽出を行うための一連の指示を記憶することができる。また、この一連の指示によって測定データの抽出処理を行うアプリケーションがデータ収集親機1内に備えられる。ここで、ユーザ端末4には、このアプリケーションを指定する情報と、アプリケーションに渡す引数の情報を含むショートカットファイルが保存される。このため、ユーザは、ショートカットファイルを指定することによって、所定の条件でデータベースから測定データを抽出することができる。なお、上記アプリケーション及び引数の情報は、インターネットで用いられているいわゆるURLと同じフォーマットを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態によるデータ収集システム5を含む計測システムの一例を示した図である。
【図2】図1のデータ収集親機1について詳細な構成例を示したブロック図である。
【図3】図2のデータベース記憶部10内に備えられるデータベースの一例を示した図である。
【図4】図2のデータ収集システム5におけるデータ抽出部11の処理に関する一例を示したフローチャートである。
【図5】抽出用日時情報の決定を含むデータレコード生成処理の一例を示した説明図である。
【図6】相対指定による抽出条件の指定方法の一例を示した説明図である。
【図7】直接指定及び相対指定による抽出条件の入力画面の一例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 データ収集親機
2 データ収集子機
3 ネットワーク
4 ユーザ端末
5 データ収集システム
6 外部機器
10 データベース記憶部
11 データ抽出部
12 抽出条件設定部
13 データ収集部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定データを取得する2以上のデータ収集子機と、各データ収集子機が取得した上記測定データを収集するデータ収集親機からなるデータ収集システムにおいて、
上記データ収集子機は、測定データとともに当該測定データの取得に関する日時情報を上記データ収集親機へ送信し、
上記データ収集親機は、上記データ収集子機から測定データ及び日時情報を収集するデータ収集部と、収集された測定データが格納されるデータベースと、上記データベースから測定データを抽出するデータ抽出部とを備え、
上記データベースは、データレコードを単位として更新され、
上記データレコードは、上記測定データが格納される2以上のデータフィールドと、抽出用日時情報が格納されたデータフィールドとからなり、
上記データ収集部は、1のデータレコードに格納される測定データの日時情報に基づいて当該データレコードの抽出用日時情報を求め、
上記データ抽出部は、上記抽出用日時情報を所定の抽出条件と照合し、上記データレコードの抽出を行うことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
上記データ収集親機は、上記抽出条件として抽出曜日及び抽出期間の論理積がユーザによって指定される抽出条件設定部を備え、
上記抽出曜日は、1又は2以上の曜日からなり、
上記抽出期間は、始点日時又は終点日時により指定された1又は2以上の期間からなることを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項3】
上記データ収集親機は、上記抽出条件として上記データフィールド及び測定データの範囲がユーザによって指定される抽出条件設定部を備え、
上記データ抽出部は、指定された上記データフィールドに格納された上記測定データに対して上記測定データの範囲との照合を行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項4】
上記データ収集親機は、上記抽出条件として上記データフィールド及び任意の文字列がユーザによって指定される抽出条件設定部を備え、
上記データ抽出部は、指定された上記データフィールドに格納された上記測定データに対して上記文字列とのマッチングを行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−215998(P2006−215998A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31119(P2005−31119)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】