説明

データ収集システム

【課題】 2以上のユーザ端末から任意に選択されたユーザ端末をデータ収集親機に接続し、当該データ収集親機内のデータベースを閲覧する際のユーザ操作を簡略化することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 複数のデータ収集子機2とデータ収集親機1とをネットワーク接続したデータ収集システム5であって、データ収集親機1が、各データ収集子機2から測定データを受信するデータ収集部123と、受信した測定データが格納されるデータベース114と、ユーザ端末4からの要求に応じて、データベース114内の測定データをユーザ端末4へ送信するデータベース管理部104と、測定データに基づくユーザ端末4の画面表示動作を規定する閲覧設定データを保持する閲覧設定記憶部113と、ユーザ端末4からの要求に応じて、閲覧設定データの更新及び上記ユーザ端末4への送信を行う閲覧設定管理部103とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集システムに係り、更に詳しくは、2以上の各データ収集子機がそれぞれ測定データを取得し、データ収集親機がこれらの測定データを収集するデータ収集システムであって、データ収集親機に接続されたユーザ端末を用いて、収集された測定データの閲覧、又は、当該システムの動作設定を行うことができるデータ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近の生産ラインでは、生産工程ごとに配置された計測器や加工機等の生産機器をプログラマブルコントローラの制御下で動作させている。この様な生産機器からデータを取得して蓄積することができれば、各生産機器の稼働状況を把握することができ、また、生産中の製品について品質チェックも行うことができる。このため、プログラマブルコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)や計測器などに接続され、測定データを自動的に取得し、蓄積していくデータ収集装置が既に知られている。
【0003】
このような従来のデータ収集装置は、通常、生産工程ごとに分散して配置されている。このため、各データ収集装置に蓄積された測定データは、フレキシブルディスクやメモリカードなどの可搬性記憶媒体に記録され、ユーザによって、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置に集められて処理されていた。つまり、各データ収集装置に蓄積された測定データの収集や照合は、ユーザ自身が行わなければならず煩雑であった。
【0004】
そこで、生産工程ごとに配置されているデータ収集装置をネットワークを介して情報処理装置に接続し、各データ収集装置によって取得された複数の測定データを1つの情報処理装置に自動的に収集し、データベース化することが考えられる。ここでは、ネットワーク接続されたデータ収集装置及び情報処理装置をそれぞれデータ収集子機及びデータ収集親機と呼び、また、ネットワーク接続された機器からなるシステムをデータ収集システムと呼ぶことにする。この様なデータ収集システムを用いれば、ユーザは、データ収集親機にアクセスするだけで、各データ収集子機によって取得された測定データを利用することができる。つまり、各データ収集子機が設置された場所に行く必要がなくなり、利便性が高いと考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記データ収集親機内のデータベースに対するユーザからのアクセス方法には、データ収集親機がユーザインターフェースを備えて実現する方法と、汎用コンピュータからなるユーザ端末をデータ収集親機に接続して実現する方法が考えられるが、後者を採用する方が、データ収集親機をより小型化でき、また、より安価に実現することができる。つまり、閲覧ソフトウエアをインストールしたパーソナルコンピュータをデータ収集親機に接続すれば、データ収集親機内のデータベースから所望の測定データを抽出し、画面表示させることができる。
【0006】
測定データの抽出条件には、日時、曜日、測定データの値などを用いた様々な条件が考えられる。また、画面表示方法には、テーブル表示、グラフ表示などの様々な表示方法が考えられる。これらの抽出条件や画面表示方法は、ユーザによって任意に指定されるものであるが、前回の指定内容がユーザ端末内に保持されていれば、データベースにアクセスするたびに、同じ抽出条件や画面表示方法を指定する操作を繰り返す必要はない。
【0007】
しかしながら、例えばデータ収集親機が生産現場などに設置されている場合、ノートパソコンなどの可搬性のユーザ端末を必要な時にデータ収集親機に接続して使用する場合が多くなると考えられる。このような場合、複数のユーザ端末のいずれを接続しても、データベースにアクセスすることができれば、利便性が高いと考えられる。ところが、前回とは異なるユーザ端末をデータ収集親機に接続した場合、前回と同じ抽出条件や画面表示方法であっても、同じ指定操作を繰り返し行わなければならず煩雑である。
【0008】
また、データ収集子機の設定作業は、ユーザが各データ収集子機の設置場所に行って行わなければならず、データ収集システムに収容されるデータ収集子機が多数ある場合には時間がかかる作業となる。しかも、多品種少量生産を行っている生産ラインでは、生産品種がしばしば変更され、そのたびに、各データ収集子機の設定を変更する必要が生ずる。従って、設定ソフトウエアをインストールしたユーザ端末をデータ収集親機に接続し、当該ユーザ端末から、データ収集親機の動作設定のみならず、各データ収集子機の動作設定も行うことができれば利便性が高いと考えられる。
【0009】
この場合も、複数のユーザ端末のいずれを接続しても動作設定を行うことができれば、利便性が高いと考えられる。ところが、各ユーザ端末内に保持されている設定データが互いに異なっている場合、それを元にして変更された設定データをデータ収集親機に送信すれば、データ収集親機内の新しい設定データが、ユーザ端末内の古い設定データに上書きされてしまうおそれがある。また、ユーザ端末からデータ収集親機内に保持されている設定データの一部を更新すれば、新旧の設定データ間に不整合が生じて、正常な動作を行うことができなくなるおそれもある。このような問題を回避しようとすれば、データ収集親機と複数のユーザ端末について、それぞれが保持している設定データについてバージョン管理を行っておかなければならず煩雑である。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、2以上のユーザ端末から任意に選択されたユーザ端末をデータ収集親機に接続し、当該データ収集親機内のデータベースを閲覧する際のユーザ操作を簡略化することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。特に、ユーザが任意に設定できる閲覧設定データについて、異なるユーザ端末を用いる場合であっても、同じ設定操作を繰り返す必要がなく、利便性の高いデータ収集システムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、2以上のユーザ端末から任意に選択されたユーザ端末をデータ収集親機に接続し、各データ収集子機の設定データを容易に更新することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。特に、データ収集親機及び各ユーザ端末について、煩雑なバージョン管理を行うことなく、設定データ間に不整合が生ずるのを抑制することができるデータ収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の本発明によるデータ収集システムは、測定データを取得する複数のデータ収集子機と、各データ収集子機から測定データを収集するデータ収集親機とを備え、上記データ収集親機にはユーザ端末が接続可能なデータ収集システムにおいて、上記データ収集子機は、測定データを取得して上記データ収集親機に送信するデータ取得部を備え、上記データ収集親機は、各データ収集子機から上記測定データを受信するデータ収集部と、受信した上記測定データが格納されるデータベースと、上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記データベース内の測定データを上記ユーザ端末へ送信するデータベース管理部と、上記測定データに基づく上記ユーザ端末の画面表示動作を規定する閲覧設定データを保持する閲覧設定記憶部と、上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記閲覧設定データの更新及び上記ユーザ端末への送信を行う閲覧設定管理部とを備えて構成される。
【0013】
各データ収集子機において取得された測定データは、データ収集親機によって収集され、データ収集親機内にデータベースとして保持されている。ユーザは、このデータ収集親機に接続されたユーザ端末を用いて、上記データベースから測定データを抽出し、画面表示させることができる。このようなデータベース閲覧時の動作を規定する閲覧設定データは、ユーザ端末において指定され、ユーザ端末において使用されるが、データ収集親機内に記憶されている。このため、前回とは異なるユーザ端末を使用してデータベースを閲覧する場合であっても、前回と同じ閲覧設定データに基づく動作を行わせることができ、ユーザは、同じ設定操作を繰り返す必要がない。
【0014】
第2の本発明によるデータ収集システムは、上記構成に加えて、上記データ収集親機が、上記ユーザ端末において実行可能なコンピュータプログラムであって、上記閲覧設定データに基づいて上記測定データの画面表示を行うための閲覧プログラムを記憶する端末プログラム記憶部と、上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記閲覧プログラムを上記ユーザ端末に送信する端末プログラム管理部とを備えて構成される。
【0015】
このような構成により、ユーザ端末は、データ収集親機のデータベースに基づいて画面表示を行うための閲覧プログラムを予めインストールしておいたものでなくてもよい。つまり、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータをユーザ端末として直ちに用いることができる。
【0016】
第3の本発明によるデータ収集システムは、上記構成に加えて、上記データ収集親機が、子機設定データを保持する子機設定記憶部と、上記子機設定データを上記データ収集子機へ送信する設定データ送信部と、上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記子機設定データの更新及び上記ユーザ端末への送信を行うシステム設定管理部とを備え、上記データ収集子機が、上記データ収集親機から受信した上記子機設定データを保持する設定データ記憶部を備え、上記データ取得部が、上記設定データ記憶部に保持されている子機設定データに基づいて測定データを取得するように構成される。
【0017】
この様な構成により、各データ収集子機で用いられる子機設定データをデータ収集親機に接続されたユーザ端末から更新することができる。しかも、ユーザ端末が、データ収集親機内に保持されている子機設定データを取得することができるので、新しい設定データが、古い設定データによって誤って上書きされるのを防止することができる。従って、データ収集親機と各ユーザ端末は、それぞれが保持している子機設定データに関し、煩雑なバージョン管理を行っておく必要がない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、2以上のユーザ端末から任意に選択されたユーザ端末をデータ収集親機に接続し、当該データ収集親機内のデータベースを閲覧する際の操作を簡略化することができるデータ収集システムを提供することができる。特に、ユーザが任意に設定できる閲覧設定データについて、異なるユーザ端末を用いる場合であっても、同じ設定操作を繰り返す必要がなく、利便性の高いデータ収集システムを実現することができる。
【0019】
また、本発明によれば、2以上のユーザ端末から任意に選択されたユーザ端末をデータ収集親機に接続し、データ収集親機に接続された各データ収集子機の設定データを容易に更新することができるデータ収集システムを提供することができる。特に、データ収集親機及び各ユーザ端末について、煩雑なバージョン管理を行うことなく、設定データ間に不整合が生ずるのを抑制することができるデータ収集システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の実施の形態によるデータ収集システムを含む計測システムの一例を示した図である。この計測システムは、生産ラインの各工程で計測された計測データの収集及び蓄積を行うシステムであり、ユーザ端末4、データ収集システム5及び外部機器6により構成される。
【0021】
外部機器6は、製品が順次に搬送される生産ライン上の各工程に配置され、それぞれの工程における測定データ、例えば、寸法データや温度データを保持するプログラマブルコントローラ(PLC)や測定装置などである。データ収集システム5には、2以上の外部機器6が接続されており、これらの外部機器6が保持している測定データは、データ収集システム5によって収集され、データベース化されてデータ収集システム5内に蓄積される。
【0022】
データ収集システム5は、ネットワーク3を介して接続されたデータ収集親機1及びデータ収集子機2により構成される。ここでは、1つのデータ収集親機1及び2以上のデータ収集子機2が、イーサネット(登録商標)を介して接続され、データ収集親機1と各データ収集子機2との間でIP(Internet Protocol)パケットの送受信を行っている。
【0023】
各データ収集子機2は、1又は2以上の外部機器6に接続されており、これらの外部機器6から測定データを取得している。このデータ取得処理は、データ収集親機1からの指示に基づいて開始され、外部機器6から取得した測定データは、データ収集子機2内に一旦蓄積された後、ネットワーク3を介してデータ収集親機1へ伝送される。また、各データ収集子機2の動作を規定する子機設定データは、データ収集親機1内に保持されており、必要に応じて、データ収集親機1からデータ収集子機2にダウンロードされる。
【0024】
データ収集親機1は、データ収集子機2に蓄積されている測定データを収集し、これらの測定データを関連づけてレコード化し、データ収集親機1内のデータベースに格納している。データ収集親機1の動作を規定する親機設定データは、ユーザ端末4からデータ収集親機1に伝送される。同様にして、子機設定データも、ユーザ端末4からデータ収集親機1に伝送され、データ収集親機1内に格納されている。この子機設定データは、その後、必要に応じて、データ収集親機1からデータ収集子機2へ自動的にダウンロードされて、各データ収集子機2の設定処理は自動的に行われる。
【0025】
ユーザ端末4は、データ収集親機1に接続される端末装置であり、例えば、ノートパソコンなどの可搬性パーソナルコンピュータが用いられる。ユーザは、このユーザ端末4を用いて、データ収集親機1内に保持されている親機設定データや子機設定データを更新することができる。また、データ収集親機1内のデータベースを閲覧することもできる。なお、データ収集処理は、ユーザ端末4をデータ収集親機1に接続していなくても実行することができ、ユーザが端末装置を必要とする場合にだけ、ユーザ端末4をデータ収集親機1に接続すればよい。
【0026】
図2は、図1のデータ収集親機1の一構成例を示したブロック図である。子機設定記憶部111は、ネットワーク3に接続される可能性のある全てのデータ収集子機2について、それぞれの子機設定データを保持している。具体的には、各データ収集子機2に共通のシステムプログラムと、各データ収集子機2ごとに異なる測定データの取得タイミングなどを示す個別設定データからなる。親機設定記憶部112は、親機設定データを記憶している。
【0027】
閲覧設定記憶部113は、閲覧設定データを記憶し、また、端末プログラム記憶部115は、閲覧プログラムを記憶している。閲覧プログラムは、ユーザ端末4において実行可能なコンピュータプログラムであり、データベース記憶部114から測定データを抽出して画面表示させるための処理手順が規定されている。閲覧設定データは、測定データの抽出条件や画面表示方法などを規定するデータであり、閲覧プログラムによって利用される。
【0028】
子機設定送信部121は、ネットワーク3に接続されているデータ収集子機2を監視し、この監視結果に基づいて、データ収集子機2へ子機設定データを送信している。例えば、新たにデータ収集子機2が検出された場合や、古い子機設定データを保持しているデータ収集子機2が検出された場合に、当該データ収集子機2に対し、子機設定記憶部111内に保持されている子機設定データを送信する。
【0029】
データ収集部122は、各データ収集子機2から測定データを収集し、データベース記憶部114に格納する。このデータ収集処理は、スタートボタン123の操作信号に基づいて開始される。ユーザがスタートボタン123を操作すると、データ収集部122が、各データ収集子機2へ収集開始パケットを送信し、その後、各データ収集子機2から測定データを含むデータパケットが送信される。このデータパケットを受信したデータ収集部122が、これらの測定データを整理してデータベース記憶部114に格納する。
【0030】
次に、ユーザ端末4とのインターフェース手段について説明する。システム設定管理部101、ユーザ認証部102、閲覧設定管理部103、データベース管理部104及び端末プログラム管理部105は、いずれもユーザ端末4からの要求に基づいて動作するインターフェース手段である。
【0031】
システム設定管理部101は、ユーザ端末4からの要求に応じて、子機設定記憶部111及び親機設定記憶部112にアクセスする。すなわち、ユーザ端末4から読み出し要求を受信すれば、子機設定データ及び親機設定データを読み出して、ユーザ端末4に送信する。また、ユーザ端末4から更新要求を受信すれば、子機設定データ及び親機設定データを更新する。
【0032】
この更新処理は、一括更新処理又は差分更新処理として実現される。一括更新処理は、子機設定記憶部111及び親機設定記憶部112内の全てのデータを一括して更新する処理である。また、差分更新処理は、子機設定記憶部111及び親機設定記憶部112内の一部のデータのみを対象として更新を行う際、ユーザ端末4からデータ収集親機1へ更新されるデータ(差分データ)のみを送信し、当該一部のデータのみを更新する処理である。一括更新処理を行うことによって、設定データ間の不整合性の問題の発生を抑制することができる。また、差分更新処理を行うことにより、ユーザ端末4からデータ収集親機1へ送信されるデータ量を抑制することができる。
【0033】
閲覧設定管理部103は、ユーザ端末4からの要求に応じて、閲覧設定記憶部113にアクセスする。すなわち、ユーザ端末4から読み出し要求を受信すれば、閲覧設定データを読み出して、ユーザ端末4に送信する。また、ユーザ端末4から更新要求を受信すれば、閲覧設定データを更新する。この更新処理は、閲覧設定記憶部113内の一部のデータのみを対象として更新することもできる。
【0034】
データベース管理部104は、ユーザ端末4からの要求に応じて、データベース記憶部114から測定データを読み出して、ユーザ端末4に送信する。測定データの読み出し要求は、ユーザ端末4で実行中の閲覧プログラムが生成する。
【0035】
端末プログラム管理部105は、ユーザ端末4からの要求に応じて、端末プログラム記憶部115から閲覧プログラムを読み出して、ユーザ端末4に送信する。このため、ユーザ端末4は、閲覧プログラムを実行可能であれば、予め閲覧プログラムをインストールしていなくても、データ収集親機1内のデータベースを閲覧することができる。
【0036】
ユーザ認証部102は、ユーザ端末4から閲覧設定記憶部113へのアクセス要求があった場合に認証処理を行っている。この認証処理に成功すれば、ユーザ認証部102から閲覧設定管理部103へ許可信号が出力され、閲覧設定記憶部113へアクセスすることができるが、失敗すれば閲覧設定記憶部113へアクセスすることはできない。例えば、ユーザ認証部102が、ユーザ端末4に対してパスワードの送信を求め、その後、ユーザ端末4から受信したパスワードと、予め登録されているパスワードとの照合を行うことによりユーザを認証している。
【0037】
パスワードが登録されている各ユーザには、読み出しのみが可能な権限と、読み出し及び更新がともに可能な権限のいずれかが予め割り当てられている。このため、登録されているユーザが認証処理に成功した場合、当該ユーザに予め割り当てられているアクセスの種類のみが許可される。つまり、読み出しのみの権限を有するユーザとして認証に成功した場合であれば、閲覧設定データを読み出すことはできるが、更新することはできない。
【0038】
図3は、図2のデータベース記憶部114内に格納されるデータベースの一例を示した図である。このデータベースは、複数のデータレコードR1〜R4からなり、データレコードR1〜R4を単位として更新される。各データレコードR1〜R4は、複数のデータフィールドF1〜F4からなり、フィールドF1〜F4には、日時データや外部機器6から取得した測定データが格納されている。図3では、各行がデータレコードR1〜R4に相当し、各列がデータフィールドF1〜F4に相当している。
【0039】
データ収集親機1は、データ収集子機2から収集した測定データを関連づけて、データレコードR1〜R4を生成し、データベースに追加している。ここでは、抽出用日時情報がデータフィールドF1に、測定データの種別が、データフィールドF2〜F4に予め割り当てられており、データ収集部122は、収集された測定データから同一の製品についての測定データを抽出して、抽出用日時情報とともにデータレコードR1〜R4を生成し、データベースに順次に追加している。
【0040】
抽出用日時情報は、データレコードR1〜R4に対応づけられた日時データであり、データレコードR1〜R4を単位として、測定データの抽出を行う際に用いられる。この抽出用日時情報は、例えば、同一データレコードの各フィールドF2〜F4に格納されている各測定データとともにデータ収集子機2から収集された日時データであって、各データ収集子機2において当該測定データが取得された日時を示すデータに基づいて決定される。
【0041】
図4は、図1のデータ収集子機2の一構成例を示したブロック図である。データ収集子機2は、動作設定部201、設定データ記憶部202、データ取得部203、測定データ記憶部204及びデータ送信部205により構成される。
【0042】
設定データ記憶部202は、データ収集子機2の動作を規定する設定データを保持している。この設定データは、ネットワーク3を介してデータ収集親機1から与えられる子機設定データであり、動作設定部201によって設定データ記憶部202に格納される。
【0043】
データ取得部203は、外部機器6から測定データを取得し、測定データ記憶部204に格納している。測定データを取得するタイミングは、設定データ記憶部202内の設定データによって決定される。すなわち、データ取得部203は、上記設定データによって指定されたデータ取得条件が成立するたびに、外部機器6から測定データを取得している。
【0044】
データ送信部205は、ネットワーク3を介して、測定データ記憶部204内に保持されている測定データをデータ収集親機1へ送信している。このデータ送信は、図示しないタイマー部からのタイムアップ信号に基づいて周期的に行われる。また、測定データ記憶部204がオーバーフローしないように、測定データ記憶部204内に一定量以上の測定データが蓄積された場合にもデータ送信が行われる。
【0045】
図5は、図1のユーザ端末4の一構成例を示したブロック図である。このユーザ端末4は、表示部401、入力部402、プログラム実行部(CPU)403、I/F(インターフェース)部404、プログラム記憶部405及びデータ記憶部406により構成される。
【0046】
表示部401は、LCD(液晶表示装置)やCRT(陰極線管)などの表示装置であり、プログラム実行部403の指示に基づいて画面表示を行っている。入力部402は、キーボードやポインティングデバイスなどの入力手段であり、ユーザが入力操作を行えば入力信号がプログラム実行部403へ出力される。I/F部404は、データ収集親機1との接続時に通信を行うためのインターフェース回路である。
【0047】
プログラム記憶部405は、プログラム実行部403で実行されるプログラムを保持している。ここでは、閲覧プログラム及び設定更新プログラムが格納されているものとする。閲覧プログラムは、データ収集親機1から測定データを抽出して画面表示させるための処理手順が規定されている。また、閲覧設定データを更新するための処理手順も含まれている。この閲覧プログラムは、プログラム記憶部405に予め格納しておいてもよいが、予め格納されていない場合には、データ収集親機1からダウンロードすることもできる。設定更新プログラムは、データ収集親機1内に保持されている親機設定データ及び子機設定データを更新するための処理手順が規定されている。
【0048】
データ記憶部406は、閲覧設定データ、親機設定データ及び子機設定データを保持している。閲覧設定データは、閲覧プログラムによって利用され、その更新も閲覧プログラムによって行われる。親機設定データ及び子機設定データは、設定更新プログラムによって更新される。
【0049】
閲覧設定データは、ユーザが指定可能なパラメータからなり、この閲覧設定データを変更することによって、所望の抽出条件で測定データを抽出し、所望の表示方法で画面表示させることができる。また、この閲覧設定データをデータ収集親機1から読み出して使用することにより、異なるユーザ端末4を利用している場合であっても、前回のデータベース閲覧時と同じ条件でデータベースを閲覧することができる。さらに、前回と異なる条件でデータベースを閲覧する場合であっても、異なる条件だけを変更すればよいため、ユーザ操作を簡略化することができる。なお、変更後の閲覧設定データをデータ収集親機1へ送信し、閲覧設定記憶部113に格納しておけば、次回も同じ条件でデータベースを閲覧することができる。
【0050】
データ収集親機1内に保持されている子機設定データ及び親機設定データを一括更新する場合、ユーザ端末4のデータ記憶部406に保持されている子機設定データ及び親機設定データが、設定更新プログラムによって一括してデータ収集親機1に送信される。子機設定データ及び親機設定データの一部を更新する場合であれば、データ収集親機1からこれらの設定データをダウンロードしてデータ記憶部406に格納し、データ記憶部406内において必要な更新を行った後、再びデータ収集親機1へ一括して送信される。一方、差分更新する場合であれば、データ収集親機1からダウンロードされたデータ記憶部406内のデータのうち、設定更新プログラムによって更新されたデータのみが、データ収集親機1へ送信される。
【0051】
図6は、閲覧プログラムによって表示される複数の表示画面間の関係について一例を示した図である。図中の(a)はデータ表示画面、(b)は抽出条件設定ダイアログ、(c)はデータ表示設定ダイアログ、(d)はグラフ設定ダイアログ、(e)はグラフカスタマイズダイアログである。データ表示画面(a)は、閲覧設定データに基づいて、測定データがグラフ形式及びテーブル形式で表示される表示画面である。ダイアログ(b)〜(e)は、閲覧設定データをユーザが指定又は変更するための表示画面であり、ダイアログ(b)〜(e)上での操作が、データ表示画面(a)の内容に影響を与える。
【0052】
これらのダイアログ(b)〜(e)は、データ表示画面(a)上のボタン操作に基づいて、モーダルダイアログとして起動される。モーダルダイアログとは、ダイアログが開かれると、当該ダイアログが閉じられるまでは他の操作が禁止されるものをいう。つまり、ダイアログ(b)〜(e)が起動された後は、当該ダイアログが閉じられるまで、データ表示画面(a)への操作は禁止される。
【0053】
図7は、図6のデータ表示画面(a)の一例を示した図である。データ表示画面は、グラフ表示エリアa1及びテーブル表示エリアa2に分割されており、これらのエリアa1,a2は同じ測定データが異なる形式で表示されている。これらの表示に用いられる測定データは、閲覧設定データとしての抽出条件によって、データベースから抽出された測定データである。
【0054】
抽出条件設定ダイアログ(b)は、データ収集親機1内のデータベースからデータレコードR1〜R4を抽出する抽出条件を指定するダイアログであり、当該ダイアログ上で指定された抽出条件に基づいて抽出されたデータレコードR1〜R4の測定データが、データ表示画面(a)に表示される。
【0055】
データ表示設定ダイアログ(c)は、データ表示画面(a)に表示させるデータフィールドF1〜F4を指定するダイアログである。つまり、データ表示画面(a)には、指定された抽出条件に基づいて抽出されたデータレコードR1〜R4の指定されたデータフィールドF1〜F4のみが表示される。
【0056】
グラフ設定ダイアログ(d)は、データ表示画面(a)のグラフ表示エリアa1内においてグラフ描画を行うための基本的事項を指定するためのダイアログである。例えば、グラフの種類が、折れ線グラフ、棒グラフ、散布図、ヒストグラムなどの中から選択され指定される。また、グラフの各軸に割り当てるデータ系列が指定される。ここでは、上記データ系列として、データベースのフィールドF1〜F4のいずれかが指定される。
【0057】
グラフカスタマイズダイアログ(e)は、グラフ描画に関する付随的事項を指定するためのダイアログである。例えば、グラフの色、文字の表示サイズ、各軸のラベル表示などが指定される。
【0058】
次に、閲覧プログラムによる抽出処理について説明する。データ収集親機1内のデータベースから特定のデータレコードR1〜R4を抽出する抽出処理は、閲覧設定データ内の抽出条件に基づいて行われる。この抽出条件には、測定データを取得した期間や、測定データ自体の範囲が用いられる。また、これらの抽出条件の論理積及び論理和を用いた論理式を抽出条件として用いることもできる。
【0059】
抽出条件は、抽出用日時情報に対しては期間が指定され、測定データについては、数値の範囲又は文字列が指定される。まず、抽出用日時情報に対する抽出条件は、始点日時及び終点日時を用いて期間が指定される。始点日時及び終点日時の入力は、直接指定及び相対指定によって行うことができる。直接指定とは、年、月、日、時、分及び秒などを用いて日時を直接的に指定する方法である。また、相対指定とは、現在日時などの基準日時から遡る期間を年、月、日、時、分及び秒などを用いて指定する方法である。始点日時及び終点日時は、ともに直接指定及び相対指定のうち任意の一方を用いて指定することができ、一方を直接指定、他方を相対指定とする組み合わせであってもよい。
【0060】
また、直接指定においては、抽出条件となる期間を周期的に指定することもできる。例えば、始点日時を「1月1日」とし、終点日時を「1月31日」と指定すれば、毎年の1月1日から1月31日までの測定データを抽出することができる。同様に、始点日時を「9時」に指定し、終点日時を「17時」に指定すれば、毎日の9時から17時までの測定データを抽出することができる。
【0061】
図8は、相対指定による抽出条件の指定方法の一例を示した説明図である。図8(a)は、「時点」を用いてデータレコードの抽出期間を相対指定するものである。ここで、2005年1月20日13時20分15秒現在の時点で、始点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「2日」に指定する。同様に終点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「1日」に指定する。この様に指定することで、抽出用日時情報が2005年1月18日13時20分15秒から2005年1月19日13時20分15秒の範囲のデータレコードR1〜R4が抽出される。
【0062】
一方、図8(b)は、「期間」を用いてデータレコードの抽出期間を相対指定するものである。ここで、2005年1月20日13時20分15秒現在の時点で、始点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「2日」に指定する。同様に終点日時について、基準日時である「現在」から遡る期間を「1日」に指定する。この様に指定することで、抽出用日時情報が2005年1月18日から19日の2日間、つまり2005年1月18日0時0分0秒から2005年1月19日24時0分0秒(2005年1月20日0時0分0秒)の範囲のデータレコードR1〜R4が抽出される。
【0063】
図9は、図6の抽出条件設定ダイアログ(b)の一例を示した図である。入力画面は、GUIを用いることでユーザにとって入力しやすいものとなっている。また、ユーザは指定項目をポインティングデバイスで容易に指定できる。始点日時及び終点日時は、直接指定又は相対指定のどちらかを選択することができる。図9において、始点日時の指定方法として600の欄に「直接指定」が指定され、終点日時の指定方法として700欄に「相対指定」が指定されている。
【0064】
ここで、始点日時について直接指定が指定され、611〜616の欄に年、月、日、時、分及び秒が入力されている。また、「設定を無視」のチェックボックスにチェックを入れた場合、その部分の指定が無視される。ここで、621にチェックを入れると「年」の指定が無視され、「月」以下に入力した期間を毎年繰り返して指定することになる。また、616にチェックを入れると「秒」の指定が無視され、「分」単位の期間で指定を行うことになる。
【0065】
また、終点日時について相対指定が指定され、701及び702の欄に現在から遡る期間が入力されている。なお、701には数値が、702には単位がそれぞれ入力されている。ここで、703にチェックを入れると、指定した単位より小さい単位は無視される。図9においては、702の欄には「日前」が入力されているので、703にチェックを入れると「時間」以下の単位は無視され、「日」単位の期間で指定を行うことになる。
【0066】
また、抽出用日時情報に対する抽出条件として曜日を指定することもできる。このとき、複数の曜日を指定する場合は、指定した曜日の論理和をとった期間が抽出条件となる。この場合、各データレコードR1〜R4内の抽出用日時情報から曜日データが算出され、抽出条件の曜日と比較される。
【0067】
次に、抽出条件は、測定データ自体の範囲を指定することもできる。このとき、抽出条件との比較が行われるデータフィールドF2〜F4が指定され、抽出条件と比較すべき測定データの種類が指定される。なお、測定データの範囲については、上限値及び下限値の少なくとも一方が指定される。
【0068】
また、ユーザは抽出条件として文字列を指定することもできる。この場合、測定データに含まれるデータが数値であっても、当該数値を文字列とみなして抽出条件と比較を行う。このため、データベースに収集された測定データは、数値のみからなるものであっても、数値以外の文字列を含むものであってもよい。
【0069】
さらに、抽出条件として文字列を指定する場合、いわゆる正規表現を用いて指定することができる。つまり、指定した文字列が測定データの一部と合致することを抽出条件とすることができる。なお、抽出条件として用いる上記文字列は、複数の文字であってもよく、1文字だけの文字であってもよい。
【0070】
また、抽出条件は、日時データや特定の種類の測定データに対して個別に指定できるだけでなく、それらを組み合わせた条件式を抽出条件として指定することもできる。この条件式は、抽出用日時情報の期間や測定データ自体の範囲などの個別の条件について、各条件を論理積や論理和などによって組み合わせたものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態によるデータ収集システムを含む計測システムの一例を示した図である。
【図2】図1のデータ収集親機1の一構成例を示したブロック図である。
【図3】図2のデータベース記憶部114内に格納されるデータベースの一例を示した図である。
【図4】図1のデータ収集子機2の一構成例を示したブロック図である。
【図5】図1のユーザ端末4の一構成例を示したブロック図である。
【図6】閲覧プログラムによって表示される複数の表示画面間の関係について一例を示した図である。
【図7】図6のデータ表示画面(a)の一例を示した図である。
【図8】相対指定による抽出条件の指定方法の一例を示した説明図である。
【図9】図6の抽出条件設定ダイアログ(b)の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0072】
1 データ収集親機
2 データ収集子機
4 ユーザ端末
5 データ収集システム
6 外部機器
101 システム設定管理部
102 ユーザ認証部
103 閲覧設定管理部
104 データベース管理部
105 端末プログラム管理部
111 子機設定記憶部
112 親機設定記憶部
113 閲覧設定記憶部
114 データベース記憶部
115 端末プログラム記憶部
121 子機設定送信部
122 データ収集部
123 スタートボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定データを取得する複数のデータ収集子機と、各データ収集子機から測定データを収集するデータ収集親機とを備え、上記データ収集親機にはユーザ端末が接続可能なデータ収集システムにおいて、
上記データ収集子機は、測定データを取得して上記データ収集親機に送信するデータ取得部を備え、
上記データ収集親機は、各データ収集子機から上記測定データを受信するデータ収集部と、受信した上記測定データが格納されるデータベースと、上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記データベース内の測定データを上記ユーザ端末へ送信するデータベース管理部と、上記測定データに基づく上記ユーザ端末の画面表示動作を規定する閲覧設定データを保持する閲覧設定記憶部と、上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記閲覧設定データの更新及び上記ユーザ端末への送信を行う閲覧設定管理部とを備えたことを特徴とするデータ収集システム。
【請求項2】
上記データ収集親機は、上記ユーザ端末において実行可能なコンピュータプログラムであって、上記閲覧設定データに基づいて上記測定データの画面表示を行うための閲覧プログラムを記憶する端末プログラム記憶部と、
上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記閲覧プログラムを上記ユーザ端末に送信する端末プログラム管理部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。
【請求項3】
上記データ収集親機は、子機設定データを保持する子機設定記憶部と、上記子機設定データを上記データ収集子機へ送信する設定データ送信部と、上記ユーザ端末からの要求に応じて、上記子機設定データの更新及び上記ユーザ端末への送信を行うシステム設定管理部とを備え、
上記データ収集子機は、上記データ収集親機から受信した上記子機設定データを保持する設定データ記憶部を備え、
上記データ取得部は、上記設定データ記憶部に保持されている子機設定データに基づいて測定データを取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ収集システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−217550(P2006−217550A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−31118(P2005−31118)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】