説明

データ取込制御システム及びデータ取込制御方法

【課題】編集済テープからランダムアクセス方式の記録装置にデータを取込む作業を効率化する。
【解決手段】編集済テープの本編の先頭のTC(タイムコード)値を記憶する記憶手段9と、編集済テープからランダムアクセス方式の記録装置2へのデータの取込を指示する操作手段5と、編集済テープを再生する再生装置14,15と記録装置2とを制御する制御手段5及び12とを備え、制御手段5及び12は、編集済テープから読取らせたTC中の時の値が、記憶手段9内の本編の先頭のTC値中の時の値と一致するかまたは1時間前の値である場合、操作手段5の操作に応じて、記憶手段9内の本編の先頭のTC値から捨てカット及びプリロール分の時間を減じたTC値の位置に再生装置14,15をキューアップさせて再生を開始させ、捨てカットの先頭以降の再生データを記録装置2に記録させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置にデータを取り込ませるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送局では、一般に、取材等によって得た素材であるAV(オーディオ・ビデオ)データを編集した後、その編集済みの素材を、送出用の大容量のAVサーバーである送出サーバーに取り込んでいる。そして、オンエア時には、その送出サーバーから編集済みの素材を送出している。
【0003】
素材の編集には、ノンリニア編集とリニア編集とがある。リニア編集の場合には、図1Aに示すように、VTR内のビデオテープに記録された素材に対して、実際にオンエアする部分である本編部分の先頭位置,終了位置であるSOM(Start Of Message),EOM(End Of Message)が指定される。
【0004】
そして、この編集済みのビデオテープから送出サーバーに素材を取り込むときには、本編部分の前後の余裕部分である捨てカット(例えば1秒分)と、VTRの立ち上がりや他機との調相に要する数秒分のリード部分(プリロール部分)とを考慮して、このリード部分の先頭のテープ位置にキューアップしてビデオテープの再生を開始し、図1Bに示すように、SOMの手前の捨てカットの先頭位置からEOMの後ろの捨てカットの終了位置までの素材を送出サーバーに記録させる。
【0005】
編集済みのビデオテープのフォーマット(SOMのタイムコード値や、捨てカットの時間長等)は、同じ放送局内では、例えばSOMは00:00:00:00であり捨てカットは1秒であるといったように統一されている。したがって、送出サーバーへの取り込み開始点(SOMの手前の捨てカットの先頭位置)のタイムコード値は、同じ放送局内で編集されたビデオテープでは、常に同じ(例えばSOMが00:00:00:00であり捨てカットが1秒である場合には23:59:59:00)である。
【0006】
ただし、異なる放送局同士の間は、編集済みのビデオテープのフォーマットは統一されているわけではない。例えば、SOMのタイムコード値は一般にN:00:00:00(Nは0〜23の整数)すなわちちょうどN時というぴったりした値が用いられるが、00:00:00:00としている放送局もあれば、20:00:00:00としている放送局もある。したがって、異なる放送局同士の間では、送出サーバーへの取り込み開始点のタイムコード値は同じとは限らない。
【0007】
従来、編集済みのビデオテープから送出サーバーに素材を取り込むときには、自己の放送局内で編集したビデオテープであるか他の放送局内で編集されたビデオテープであるかにかかわらず、オペレータがその都度この取り込み開始点のタイムコード値を入力する作業を行っていた。
【0008】
しかし、送出サーバーには、自己の放送局内で編集したビデオテープから素材を取り込むことが多い。そして、前述のように、自己の放送局内で編集したビデオテープの取り込み開始点のタイムコード値は常に同じである。そのため、従来の取り込み作業では、取り込みを行う都度オペレータが同じタイムコード値を入力しなければならないことが多いので、作業が煩雑であり、非効率的であった。
【0009】
なお、本出願人は、編集済みのビデオテープからAVサーバーに素材を取り込んだ後、編集点を微調整する作業を効率化するための発明を既に提案済みである(特許文献1)。しかし、編集済みのビデオテープからAVサーバーに素材を取り込む作業そのものを効率化するための発明は未だ提案されていない。
【0010】
【特許文献1】特開2000−308001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の点に鑑み、編集済みのビデオテープからAVサーバーのようなランダムアクセス方式の記録装置にデータを取り込む作業を効率化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係るデータ取込制御システムは、
編集済みのビデオテープの本編部分の先頭位置のタイムコード値を設定情報として記憶する記憶手段と、
編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置へのデータの取り込みを指示するための操作手段と、
編集済みのビデオテープを再生する再生装置と、このランダムアクセス方式の記録装置とを制御する制御手段と
を備え、
この制御手段は、
この再生装置に、編集済みのビデオテープからタイムコードを読み取らせる第1の処理と、
この第1の処理で読み取らせたタイムコード中の何時であるかを示す値が、この記憶手段に記憶されているこの本編部分の先頭位置のタイムコード中の何時であるかを示す値と一致するかまたはその1時間前の値である、という条件を満たすか否かを判断する第2の処理と、
この第2の処理においてこの条件が満たされた場合、この操作手段が操作されたことに応じて、この記憶手段に記憶されているこの本編部分の先頭位置のタイムコード値から、所定の捨てカット及びプリロール部分の時間長を差し引いたタイムコード値の位置にこの再生装置をキューアップさせて再生を開始させるとともに、この記憶手段に記憶されているこの本編部分の先頭位置のタイムコード値からこの捨てカットの時間長を差し引いたタイムコード値以降の再生データをこのランダムアクセス方式の記録装置に記録させる第3の処理と
を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るデータ取込制御方法は、
編集済みのビデオテープの本編部分の先頭位置のタイムコード値を設定情報として記憶する記憶手段と、
編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置へのデータの取り込みを指示するための操作手段と、
編集済みのビデオテープを再生する再生装置と、このランダムアクセス方式の記録装置とを制御する制御手段と
を備えた装置におけるデータ取込制御方法において、
この制御手段が、この再生装置に、編集済みのビデオテープからタイムコードを読み取らせる第1のステップと、
この制御手段が、この第1のステップで読み取らせたタイムコード中の何時であるかを示す値が、この記憶手段に記憶されているこの本編部分の先頭位置のタイムコード中の何時であるかを示す値と一致するかまたはその1時間前の値である、という条件を満たすか否かを判断する第2のステップと、
この制御手段が、この第2のステップにおいてこの条件が満たされた場合、この操作手段が操作されたことに応じて、この記憶手段に記憶されているこの本編部分の先頭位置のタイムコード値から、所定の捨てカット及びプリロール部分の時間長を差し引いたタイムコード値の位置にこの再生装置をキューアップさせて再生を開始させるとともに、この記憶手段に記憶されているこの本編部分の先頭位置のタイムコード値からこの捨てカットの時間長を差し引いたタイムコード値以降の再生データをこのランダムアクセス方式の記録装置に記録させる第3のステップと
を有することを特徴とする。
【0014】
上記発明では、編集済みのビデオテープの本編部分の先頭位置のタイムコード値が、記憶手段にデフォルトの設定情報として記憶される。そして、編集済みのビデオテープを再生する再生装置とランダムアクセス方式の記録装置とを制御する制御手段が、まず、再生装置に編集済みのビデオテープからタイムコードを読み取らせて、読み取られたタイムコード中の何時であるかを示す値(時・分・秒・フレームのうちの時の値)が、記憶手段内のこのデフォルトのタイムコード中の何時であるかを示す値と一致するかまたはその1時間前の値であるという条件を満たすか否かを判断する。
【0015】
ここで、編集済みのビデオテープでは、現在のテープ位置は、編集終了直後の位置(図1の本編部分のEOMよりも少し後ろの位置)のままか、または、その後図1の本編部分のSOMよりも少し手前まで巻き戻した位置かのいずれかになっている。そして、SOMのタイムコード値は一般にN:00:00:00(Nは0〜23の整数)すなわちちょうどN時というぴったりした値であり、且つ、本編部分の時間長は数分または十数分といった長さなので、EOMよりも少し後ろの位置のタイムコード中の何時であるかを示す値は、SOMのタイムコード中の何時であるかを示す値Nと一致し、SOMよりも少し手前の位置のタイムコード中の何時であるかを示す値は、SOMのタイムコード中の何時であるかを示す値Nよりも1時間前の値(N−1)になる。したがって、再生装置に装填されている編集済みビデオテープのSOMのタイムコード値が、記憶手段にデフォルトとして記憶されているタイムコード値と同じである場合には、上記条件は満たされる。
【0016】
具体的には、前述のように同じ放送局内では編集済みのビデオテープのフォーマット(SOMのタイムコード値や捨てカットの時間長)は統一されているので、自己の放送局におけるフォーマットを記憶手段にデフォルトとして記憶させれば、自己の放送局で編集したビデオテープが再生装置に装填されている場合、上記条件は満たされることになる。
【0017】
そして、この条件が満たされた場合、編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置へのデータの取り込みを指示するための操作手段が操作されると、制御手段は、記憶手段内の本編部分の先頭位置のデフォルトのタイムコード値から、所定の捨てカット及びプリロール部分の時間長を差し引いたタイムコード値の位置に再生装置をキューアップさせて再生を開始させるとともに、このデフォルトのタイムコード値からこの捨てカットの時間長を差し引いたタイムコード値の以降の再生データをランダムアクセス方式の記録装置に記録させる。
【0018】
このように、デフォルトと同じフォーマットの編集済みのビデオテープについては、ランダムアクセス方式の記録装置への取り込み開始点(図1のSOMの手前の捨てカットの先頭位置)のタイムコード値を入力する作業を行うことなく、取り込みを指示する操作を行うだけで、ランダムアクセス方式の記録装置へのデータの取り込みが開始される。
【0019】
これにより、編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置にデータを取り込む作業を効率化することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置にデータを取り込む作業を効率化することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて具体的に説明する。図2は、本発明を適用したテレビジョン放送局内のAVサーバーシステムの構成例を示す図である。このAVサーバーシステムでは、素材サーバー1と、低解像度用サーバー3と、ファイル変換端末4と、収録端末5と、編集端末6と、プレイアウトマネージャー端末7と、ファイル変換端末8と、データベース端末9と、素材管理端末10と、送出端末11と、IDC(Intelligent Device Controller)12とが、ギガビットイーサネット(登録商標)のようなネットワーク13で接続されている。
【0022】
IDC12には、送出(プレイアウト)サーバー2と、放送局内のVTR14,15とがRS422ケーブルで接続されている。送出サーバー2は、SDI(Serial Digital Interface)に対応したエンコーダ及びデコーダを内蔵している。IDC12は、VTR14,15をVTRプロトコルで制御するとともに送出サーバー2をDISKプロトコルで制御して、SDIフォーマットのシリアルデジタル信号をフレーム精度を保ってVTR14,15から再生させて送出サーバー2に記録させるデバイスコントローラである。
【0023】
素材サーバー1,送出サーバー2,低解像度用サーバー3は、それぞれRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)技術を用いた大容量のAVサーバーである。素材サーバー1は、編集対象の素材(AVデータ)を記憶するために用いられる。送出サーバー2は、送出対象の素材を記憶するために用いられる。低解像度用サーバー3は、素材サーバー1,送出サーバー2内の各AVデータに1対1に対応した低解像度のAVデータ(プロキシ画像用のAVデータ)を記憶するために用いられる。
【0024】
各端末4〜11は、それぞれコンピュータ(パーソナルコンピュータあるいはワークステーション)から成っている。
【0025】
データベース端末9は、素材サーバー1及び送出サーバー2に記憶されている素材のリストや、AVサーバーシステムの設定状況の情報等を保持する端末である。
【0026】
収録端末5,編集端末6,素材管理端末10,送出端末11は、それぞれ素材の収録,ノンリニア編集,管理(削除を含む),送出を行うためのオペレーション端末である。
【0027】
ファイル変換端末4は、収録端末5での操作に基づき、放送局と中継現場等とを結ぶ回線(図示略)やVTR14,15からこのAVサーバーシステムに供給されるSDIフォーマットのシリアルデジタル信号を、高解像度の画像ファイル及び低解像度のファイルに変換して、高解像度のファイルを素材サーバー1に記録させるとともに、低解像度のファイルを低解像度用サーバー3に記録させたり収録端末5に送るバックグラウンド用の端末である。なお、VTR14やVTR15でリニア編集された素材は、収録端末5での操作に基づいて直接送出サーバー2に記録させることもできる。
【0028】
ファイル変換端末8は、編集端末6での編集操作に基づき、編集対象となった複数のファイルを素材サーバー1から受信し、編集内容に基づいて加工及び一本化したファイルを作成した後、それに対応する低解像度のファイルを作成し、それらのファイルを送出サーバー2及び低解像度用サーバー3に記録させるバックグラウンド用の端末である。
【0029】
プレイアウトマネージャー端末7は、送出端末11での送出操作に基づき、送出サーバー2から、送出対象のファイルをSDIフォーマットのシリアルデジタル信号にエンコードして放送施設内のルーチィングスイッチャ(図示略)に出力させるバックグラウンド用の端末である。
【0030】
データベース端末9には、設定状況の情報の一種として、自己の放送局における編集済みのビデオテープのフォーマットの情報と、自己の放送局が系列放送局になっているキー放送局における編集済みのビデオテープのフォーマットの情報とがデフォルトとして記憶されている。図3は、データベース端末9に記憶されているこのフォーマット情報を示す図である。自己の放送局では、編集済みのビデオテープの本編部分の先頭位置であるSOM(図1参照)のタイムコード値は00:00:00:00になっており、本編部分の前後の捨てカット(図1参照)の時間長は1秒になっており、これらの値がデータベース端末9に記憶されている。また、キー放送局では、SOMのタイムコード値は10:00:00:00になっており、本編部分の前後の捨てカットの時間長は1秒+1フレームになっており、これらの値がデータベース端末9に記憶されている。
【0031】
図4は、図2の収録端末5に表示されるGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)画面のうち、任意の1台のVTR(図2ではVTR14,15のうちのいずれか)をタブによって選択して、そのVTRでリニア編集された素材を直接送出サーバー2に記録させるためのGUI画面を示す図である。このGUI画面には、RECボタン21と、STOPボタン22と、取り込み開始点のタイムコード値を入力すべきことをオペレータに通知するための表示部23と、取り込み開始点のタイムコード値を入力するための入力欄24と、取り込み終了点のタイムコード値を入力するための入力欄25と、現在再生中の素材のプロキシ画像及びそのタイムコード値が表示される表示欄26とが含まれている。
【0032】
図5は、収録端末5内のCPUが、VTRでリニア編集された素材を直接送出サーバー2に記録させるために実行する処理を示すフローチャートである。この処理は、図4のGUI画面が開かれるとスタートし、最初に、このGUI画面で選択されているVTR内の編集済みのビデオテープからタイムコードを読み取らせるコマンドを、IDC12(図2)に送る(ステップS1)。そして、IDC12がそのコマンドに基づいて当該VTRにタイムコードを読み取らせ、読み取られたタイムコードの値がIDC12から返送されると、そのタイムコードの値を、内部のメモリに一時的に記憶する(ステップS2)。
【0033】
続いて、データベース端末9から、図3に例示したような編集済みビデオテープのデフォルトのフォーマット情報(自己の放送局及びキー放送局における編集済みビデオテープのフォーマットの情報)を取得する(ステップS3)。そして、ステップS1及びS2でVTRに読み取らせて一時記憶したタイムコード中の何時であるかを示す値(時・分・秒・フレームのうちの時の値)が、ステップS3で取得したフォーマット情報中のいずれかのフォーマットにおけるSOMのタイムコード中の何時であるかを示す値と一致するかまたはその1時間前の値である、という条件が満たされているか否かを判断する(ステップS4)。
【0034】
ここで、編集済みのビデオテープでは、現在のテープ位置は、編集終了直後の位置(図1の本編部分のEOMよりも少し後ろの位置)のままか、または、その後図1の本編部分のSOMよりも少し手前まで巻き戻した位置かのいずれかになっている。そして、図6に示すように、SOMのタイムコード値は一般にN:00:00:00(Nは0〜23の整数)すなわちちょうどN時というぴったりした値であり、且つ、本編部分の時間長は数分または十数分といった長さなので、EOMよりも少し後ろの位置のタイムコード中の何時であるかを示す値は、SOMのタイムコード中の何時であるかを示す値Nと一致し、SOMよりも少し手前の位置のタイムコード中の何時であるかを示す値は、SOMのタイムコード中の何時であるかを示す値Nよりも1時間前の値(N−1)になる。したがって、データベース端末9にデフォルトとして記憶されている自己の放送局,キー放送局のフォーマットのうちのいずれかと同じフォーマットの編集済みビデオテープ(すなわち自己の放送局で編集したかまたはキー放送局で編集されたビデオテープ)が当該VTRに装填されている場合には、上記条件は満たされる。
【0035】
ステップS4で条件を満たすと、RECボタン21(図4)がクリックされるまで待機する(ステップS5)。そして、RECボタン21がクリックされると、データベース端末9に記憶されているフォーマットのうち、ステップS4で条件を満たしたほうのフォーマットにおけるSOMのタイムコード値から、当該フォーマットにおける捨てカットの時間長と、プリロール部分の時間長(数秒)とを差し引いたタイムコード値の位置に当該VTRをキューアップさせて再生を開始させるコマンドを、IDC12に送る(ステップS6)。また、当該フォーマットにおけるSOMの手前の捨てカットの先頭位置のタイムコード値以降の再生データを送出サーバー2に記録させるコマンドを、IDC12に送る(ステップS7)。
【0036】
そして、IDC12の制御により当該VTRから再生された後ファイル変換端末4で低解像度のファイルに変換された映像(プロキシ画像)及び現在のタイムコード値を、表示欄26(図4)に表示する(ステップS8)。
【0037】
続いて、入力欄25(図4)に取り込み終了点のタイムコード値が入力されているか否かを判断する(ステップS9)。ノーであれば、表示欄26に、STOPボタン22(図4)のクリックによって記録が終了することを通知するための「STOP」という文字をスーパ表示する(ステップS10)。続いて、STOPボタン22がクリックされるまで待機する(ステップS11)。そして、STOPボタン22がクリックされると、当該VTRに再生を終了させるコマンドをIDC12に送る(ステップS12)とともに、送出サーバー2に記録を終了させるコマンドをIDC12に送り(ステップS13)、処理を終了する。
【0038】
ステップS9でイエスであれば、入力欄25に入力されたタイムコード値のデータが当該VTRで再生されるまで待機する(ステップS14)。そして、前述のステップS12及びS13を経て、処理を終了する。
【0039】
他方、ステップS4で条件を満たさなかった場合(すなわち自己の放送局やキー放送局以外で編集されたビデオテープが当該VTRに装填されている場合)には、表示部23(図4)を点灯させることにより、取り込み開始点のタイムコード値を入力すべきことを通知する(ステップS15)。続いて、入力欄24(図4)にタイムコード値が入力され且つRECボタン21がクリックされるまで待機する(ステップS16)。
【0040】
そして、入力欄24にタイムコード値が入力され且つRECボタン21がクリックされると、入力欄24に入力されたタイムコード値からプリロール部分の時間長(数秒)とを差し引いたタイムコード値の位置に当該VTRをキューアップさせて再生を開始させるコマンドを、IDC12に送る(ステップS17)。また、入力欄24に入力されたタイムコード値以降の再生データを送出サーバー2に記録させるコマンドを、IDC12に送る(ステップS18)。そして、前述のステップS8以下の処理を実行する。
【0041】
次に、このAVサーバーシステムにおいて、収録端末5のオペレータが、自己の放送局で編集したビデオテープやキー放送局で編集されたビデオテープから送出サーバー2に素材を取り込む作業について説明する。例えば自己の放送局で編集したビデオテープがVTR14に装填されており、収録端末5のオペレータが図4のGUI画面でVTR14を選択したとする。
【0042】
すると、図5の処理においてステップS4でイエスとなってステップS5に進むので、オペレータがRECボタン21をクリックすると、ステップS6により、VTR14が、自己の放送局における編集済みビデオテープのフォーマットでのSOMのタイムコード値である00:00:00:00(図3)から当該フォーマットでの捨てカットの時間長1秒(図3)とプリロール部分の時間長(数秒)とを差し引いたタイムコード値の位置にキューアップして再生を開始する。また、ステップS7により、当該フォーマットでのSOMのタイムコード値00:00:00:00から当該フォーマットでの捨てカットの時間長1秒を差し引いたタイムコード値23:59:59:00のテープ位置以降の再生データが、送出サーバー2に記録される。
【0043】
そして、その後STOPボタン22をクリックするか、あるいは予め取り込み終了点のタイムコード値を入力欄25に入力しておくと、ステップS9以下の処理により、VTR14の再生及び送出サーバー2への記録が終了する。
【0044】
また、例えばキー放送局で編集したビデオテープがVTR15に装填されており、収録端末5のオペレータが図4のGUI画面でVTR15を選択したとする。
【0045】
すると、図5の処理においてステップS4でイエスとなってステップS5に進むので、オペレータがRECボタン21をクリックすると、ステップS6により、VTR15が、キー放送局における編集済みビデオテープのフォーマットでのSOMのタイムコード値である10:00:00:00(図3)から当該フォーマットでの捨てカットの時間長1秒+1フレーム(図3)とプリロール部分の時間長(数秒)とを差し引いたタイムコード値の位置にキューアップして再生を開始する。また、ステップS7により、当該フォーマットでのSOMのタイムコード値10:00:00:00から当該フォーマットでの捨てカットの時間長1秒+1フレームを差し引いたタイムコード値09:59:58:59のテープ位置以降の再生データが、送出サーバー2に記録される。
【0046】
そして、その後STOPボタン22をクリックするか、あるいは予め取り込み終了点のタイムコード値を入力欄25に入力しておくと、ステップS9以下の処理により、VTR15の再生及び送出サーバー2への記録が終了する。
【0047】
このように、自己の放送局で編集したビデオテープやキー放送局で編集されたビデオテープについては、送出サーバー2への取り込み開始点(図1のSOMの手前の捨てカットの先頭位置)のタイムコード値を入力する作業を行うことなく、RECボタン21をクリックする(取り込みを指示する操作を行う)だけで、送出サーバー2への素材の取り込みが開始される。
【0048】
これにより、編集済みのビデオテープから送出サーバー2に素材を取り込む作業を効率化することができる。
【0049】
なお、自己の放送局やキー放送局以外で編集されたビデオテープをVTR14やVTR15に装填してそのビデオテープから送出サーバー2に素材を取り込む場合でも、たまたまそのビデオテープのSOMのタイムコード値が00:00:00:00または10:00:00:00であった場合(自己の放送局またはキー放送局における編集済みビデオテープのフォーマットでのSOMのタイムコード値と一致していた場合)には、やはり、図5の処理においてステップS4でイエスとなってステップS5に進むので、送出サーバー2への取り込み開始点のタイムコード値を入力する作業を行うことなく、RECボタン21をクリックするだけで、送出サーバー2への素材の取り込みが開始される。
【0050】
そして、その場合には、捨てカットの時間長は、強制的に1秒または1秒+1フレーム(自己の放送局またはキー放送局におけるフォーマットでの捨てカットの時間長)に揃えられるので、元々のフォーマットとは異なるものになる場合もある。しかし、捨てカット自体は、本編部分の前後の余裕部分なので、元々のフォーマットとは異なる時間長になっても一定の時間長が確保されていれば問題はない。
【0051】
また、自己の放送局やキー放送局以外で編集されたビデオテープをVTR14やVTR15に装填してそのビデオテープから送出サーバー2に素材を取り込む場合であって、そのビデオテープのSOMのタイムコード値が自己の放送局やキー放送局における編集済みビデオテープのフォーマットでのSOMのタイムコード値と一致していなかった場合(例えば20:00:00:00というような値であった場合)には、図5の処理においてステップS4でノーとなってステップS15に進むので、オペレータは、表示部23での通知により、従来どおり取り込み開始点のタイムコード値を入力すべきことに気づく。そして、入力欄24に取り込み開始点のタイムコード値を入力した後RECボタン21をクリックすると、ステップS16〜S18により、VTR14やVTR15の再生と送出サーバー2への記録とが開始される。
【0052】
なお、以上の例では、データベース端末9に、自己の放送局とキー放送局という2つの放送局における編集済みのビデオテープのフォーマットの情報をデフォルトとして記憶している。しかし、別の例として、自己の放送局における編集済みのビデオテープのフォーマットの情報のみをデフォルトとしてデータベース端末9に記憶させたり、自己の放送局を含む3つ以上の放送局における編集済みのビデオテープのフォーマットの情報をデフォルトとしてデータベース端末9に記憶させてもよい。
【0053】
また、以上の例では、データベース端末9に、編集済みのビデオテープのフォーマットの情報として、編集済みのビデオテープの本編部分の先頭位置であるSOM(図1参照)のタイムコード値と、本編部分の前後の捨てカットの時間長とを記憶している。しかし、別の例として、編集済みのビデオテープのフォーマットの情報として、SOMのタイムコード値のみをデータベース端末9に記憶させてもよい。そして、その場合には、図5の処理のステップS6,S7では、SOMのタイムコード値から、捨てカットの時間長として常に一定の時間長(例えば1秒)を差し引くようにすればよい。
【0054】
あるいはまた、編集済みのビデオテープのフォーマットの情報として、SOMのタイムコード値及び捨てカットの時間長に加えて、プリロール部分の時間長もデータベース端末9に記憶させてもよい。そして、その場合には、図5の処理のステップS6では、SOMのタイムコード値から、プリロール部分の時間長として、データベース端末9に記憶されているプリロール部分の時間長のうち当該SOMのタイムコード値と同じフォーマットでのプリロール部分の時間長を差し引くようにすればよい。
【0055】
また、以上の例ではAVサーバーシステムに本発明を適用しているが、本発明は、編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置にデータを取り込ませるあらゆるシステムに適用してよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】編集済みのビデオテープのデータのうち、送出サーバーに記録させる範囲を示す図である。
【図2】本発明を適用したAVサーバーシステムの構成例を示す図である。
【図3】データベース端末に記憶されている編集済みビデオテープのフォーマットの情報を示す図である。
【図4】収録端末に表示されるGUI画面を示す図である。
【図5】収録端末が実行する処理を示すフローチャートである。
【図6】編集済みビデオテープのタイムコード中の時間の値を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 素材サーバー、 2 送出サーバー、 3 低解像度用サーバー、 4 ファイル変換端末、 5 収録端末、 6 編集端末、 7 プレイアウトマネージャー端末、 8 ファイル変換端末、 9 データベース端末、 10 素材管理端末、 11 送出端末、 12 IDC、 13 ネットワーク、 14,15 VTR、 21 RECボタン、 22 STOPボタン、 23 表示部、 24 入力欄、 25 入力欄、 26 表示欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
編集済みのビデオテープの本編部分の先頭位置のタイムコード値を設定情報として記憶する記憶手段と、
編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置へのデータの取り込みを指示するための操作手段と、
編集済みのビデオテープを再生する再生装置と、前記ランダムアクセス方式の記録装置とを制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記再生装置に、編集済みのビデオテープからタイムコードを読み取らせる第1の処理と、
前記第1の処理で読み取らせたタイムコード中の何時であるかを示す値が、前記記憶手段に記憶されている前記本編部分の先頭位置のタイムコード中の何時であるかを示す値と一致するかまたはその1時間前の値である、という条件を満たすか否かを判断する第2の処理と、
前記第2の処理において前記条件が満たされた場合、前記操作手段が操作されたことに応じて、前記記憶手段に記憶されている前記本編部分の先頭位置のタイムコード値から、所定の捨てカット及びプリロール部分の時間長を差し引いたタイムコード値の位置に前記再生装置をキューアップさせて再生を開始させるとともに、前記記憶手段に記憶されている前記本編部分の先頭位置のタイムコード値から前記捨てカットの時間長を差し引いたタイムコード値以降の再生データを前記ランダムアクセス方式の記録装置に記録させる第3の処理と
を行うことを特徴とするデータ取込制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ取込制御システムにおいて、
前記捨てカットの時間長が、前記設定情報として前記記憶手段に記憶されていることを特徴とするデータ取込制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載のデータ取込制御システムにおいて、
表示手段と、タイムコード値を入力するための入力手段とをさらに備えており、
前記第2の処理において前記条件が満たされなかった場合、前記制御手段は、取り込み開始点のタイムコード値を入力すべきことを示す通知を前記表示手段に表示させる処理と、前記入力手段でタイムコード値が入力されたことに応じて、該入力されたタイムコード値からプリロール部分の時間長を差し引いたタイムコード値の位置に前記再生装置をキューアップさせて再生を開始させるとともに、前記入力されたタイムコード値以降の再生データを前記ランダムアクセス方式の記録装置に記録させる処理とを行う
ことを特徴とするデータ取込制御システム。
【請求項4】
編集済みのビデオテープの本編部分の先頭位置のタイムコード値を設定情報として記憶する記憶手段と、
編集済みのビデオテープからランダムアクセス方式の記録装置へのデータの取り込みを指示するための操作手段と、
編集済みのビデオテープを再生する再生装置と、前記ランダムアクセス方式の記録装置とを制御する制御手段と
を備えた装置におけるデータ取込制御方法において、
前記制御手段が、前記再生装置に、編集済みのビデオテープからタイムコードを読み取らせる第1のステップと、
前記制御手段が、前記第1のステップで読み取らせたタイムコード中の何時であるかを示す値が、前記記憶手段に記憶されている前記本編部分の先頭位置のタイムコード中の何時であるかを示す値と一致するかまたはその1時間前の値である、という条件を満たすか否かを判断する第2のステップと、
前記制御手段が、前記第2のステップにおいて前記条件が満たされた場合、前記操作手段が操作されたことに応じて、前記記憶手段に記憶されている前記本編部分の先頭位置のタイムコード値から、所定の捨てカット及びプリロール部分の時間長を差し引いたタイムコード値の位置に前記再生装置をキューアップさせて再生を開始させるとともに、前記記憶手段に記憶されている前記本編部分の先頭位置のタイムコード値から前記捨てカットの時間長を差し引いたタイムコード値以降の再生データを前記ランダムアクセス方式の記録装置に記録させる第3のステップと
を有することを特徴とするデータ取込制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−84437(P2008−84437A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263101(P2006−263101)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】