説明

データ生成方法、制御装置、および発光装置

【課題】 光ヘッドに転送するデータ量を低減させる。
【解決手段】 画像データDiが供給されるとホストコントローラ10の補正演算部12は、補正値メモリ11から読み出した補正データDhに応じて発光量データDo1を生成する。圧縮符号化部14は、発光量データを対数化して所定の量子化ステップSにより量子化し、量子化後の値を符号化して圧縮発光量データDbを生成し、復号化伸張処理部21に供給する。復号化伸張処理部21は、供給された符号に対応する発光量データDo2をLUT22から取得し、これを定電流ドライバ23に供給する。定電流ドライバ23は、供給された発光量データDo2に応じて発光素子24を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子が配列されて構成された光ヘッドに伝送するデータを圧縮する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としてのプリンタには、感光体ドラムなどの像担持体に静電潜像を形成するためのヘッド部として、多数の発光素子がアレイ状に配列された発光装置が用いられる。ヘッド部は、複数の発光素子を主走査方向に沿って配置した1本のラインで構成されることが多い。
【0003】
また、情報処理装置からプリンタに圧縮した印刷画像データを送信し、高速なプリントアウトを実現する方法が知られている(例えば特許文献1参照。)。また、音声等のデータを対数変換した後、量子化することにより、小さな値のデータにおける量子化誤差を低減させる符号化方法が知られている。
【特許文献1】特開平9−244832号公報(図1、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の発光素子としては、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下適宜「OLED」と略称する)素子が知られている。OLED素子などの発光素子は駆動電流の大きさに応じて発光量、具体的には光度が変化するが、上述のような複数の発光素子をライン状に配置したヘッド部では、製造時のばらつき等により、駆動電流の大きさが同一であっても個々の発光素子により光度が異なる問題があった。このため、個々の発光素子毎に駆動電流を補正するデータを格納しておき、発光素子の駆動電流を微調整し、光度のばらつきを補償することが行われている。
【0005】
しかしながら、このような補償を行うためには、ヘッド部に補正データを供給する必要があり、転送すべきデータ量が増大する問題があった。上述の特許文献1に開示された方法では、個々の発光素子の光度のばらつきについては考慮されておらず、したがって、対策も講じられていない。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ヘッド部に転送するデータ量を低減することを解決課題としている。また、単純に対数化したデータを量子化するだけでは、近似誤差が生じてしまい、印刷品質の面から改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、本発明に係るデータ生成方法は、制御装置と複数の発光素子を備える光ヘッドとの間で伝送するデータを生成するものであって、前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データ(例えば、図1のDh)と画像データ(例えば、図1のDi)とに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データ(例えば、図1のDo1)を生成し、前記発光量データを対数変換して対数変換データ(例えば、図4のDlog)を生成し、前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN(Nは自然数、N<M)個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データ(例えば、図4のDa)を生成し、前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて圧縮データ(例えば、図4のDb)を生成することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、補正済みの発光量データに基づいて光ヘッドに伝送する圧縮データを生成するので、光ヘッドにおいて補正データに基づいて画像データを補正する必要がなくなる。また、補正済みの発光量データを対数変換するので、階調の小さい領域で量子化誤差を低減することができる。さらに、量子化により取り得る値が減少するように量子化ステップを定めるので、圧縮データのデータ量を削減することがきる。くわえて、光ヘッドに伝送する圧縮データのデータ量が転送速度の制約を受ける場合に、量子化ステップを調整することによって、転送速度が許容される範囲で圧縮した圧縮データを生成することができる。
【0008】
上述したデータ生成方法において、前記画像データはi(iは自然数)ビットのデータであり、前記補正データはj(jは自然数)ビットのデータであり、前記所定の演算は、Mが、M<2(i+j)となるものであることが好ましい。この場合には、発光量データを生成する過程でもデータを圧縮することが可能となる。
【0009】
また、上述したデータ生成方法において、前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、2個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が高いものを含むことが好ましい。ビットパターンの反転周期が短いと高い周波数成分を含む。そのような圧縮データを伝送すると、不要輻射が発生する可能性がある。さらに、消費電力が増大する。この発明によれば、量子化データの割り当てのないビットパターンには、割り当てのあるすべてのビットパターンと比較して周波数成分が高いものを含むので、不要輻射を抑制するとともに消費電力を削減することができる。
【0010】
また、上述したデータ生成方法において、前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、2個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が低いものを含むことが好ましい。ビットパターンの反転周期が長いと低い周波数成分を含む。そのようなビットパターンは直流バランスが崩れているので、波形を正確に伝送することが容易でない。この発明によれば、量子化データの割り当てのないビットパターンには、割り当てのあるすべてのビットパターンと比較して周波数成分が低いものを含むので、直流バランスを改善することができる。
【0011】
また、上述したデータ生成方法において、前記量子化データの取り得るN個の値を発生頻度順に並べたとき、前記圧縮データの符号の割り当ては、発生頻度が低い量子化データほど、対応する圧縮データのビットパターンの周波数成分が周波数分布の中心から離れるように設定することが好ましい。この場合には、発生頻度の低い量子化データほど、ビットパターンの周波数分布の中心から離れるように割り当てるので、圧縮データのビットパターンは、低い周波数成分を有するビットパターンおよび高い周波数成分を有するビットパターンの発生頻度を低くすることができる。この結果、直流バランスを改善することができる。
【0012】
次に、本発明に係る制御装置は、複数の発光素子を備える光ヘッドを制御するものであって、前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データと画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成する補正演算部と、前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成する対数変換部と、前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN(Nは自然数、N<M)個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成する量子化部と、前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて圧縮データを生成して前記光ヘッドに出力する符号化部とを備える。
【0013】
この発明によれば、補正済みの発光量データに基づいて光ヘッドに伝送する圧縮データを生成するので、光ヘッドにおいて補正データに基づいて画像データを補正する必要がなくなる。また、補正済みの発光量データを対数変換するので、階調の小さい領域で量子化誤差を低減することができる。さらに、量子化により取り得る値が減少するように量子化ステップを定めるので、圧縮データのデータ量を削減することがきる。くわえて、光ヘッドに伝送する圧縮データのデータ量が転送速度の制約を受ける場合に、量子化ステップを調整することによって、転送速度が許容される範囲で圧縮した圧縮データを生成することができる。
【0014】
また、上述した制御装置において、前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、前記符号化部は、2個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が高いものを含むことが好ましい。この発明によれば、量子化データの割り当てのないビットパターンには、割り当てのあるすべてのビットパターンと比較して周波数成分が高いものを含むので、不要輻射を抑制するとともに消費電力を削減することができる。
【0015】
また、上述した制御装置において、前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、前記符号化部は、2個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が低いものを含むことが好ましい。この発明によれば、量子化データの割り当てのないビットパターンには、割り当てのあるすべてのビットパターンと比較して周波数成分が低いものを含むので、直流バランスを改善することができる。
【0016】
また、上述した制御装置において、前符号化部は、前記量子化データの取り得るN個の値を発生頻度順に並べたとき、前記圧縮データの符号の割り当ては、発生頻度が低い量子化データほど、対応する圧縮データのビットパターンの周波数成分が周波数分布の中心から離れるように設定することが好ましい。この場合には、発生頻度の低い量子化データほど、ビットパターンの周波数分布の中心から離れるように割り当てるので、圧縮データのビットパターンは、低い周波数成分を有するビットパターンおよび高い周波数成分を有するビットパターンの発生頻度を低くすることができる。この結果、直流バランスを改善することができる。
【0017】
また、本発明に係る制御装置は、複数の発光素子を備える光ヘッドを制御するものであって、前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データと画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成する補正演算部と、前記発光量データをN(Nは自然数、N<M)個の値を取り得る圧縮データに変換する圧縮部とを備え、前記圧縮部は、前記発光量データの各値と前記圧縮データの各値とを対応付けて記憶した記憶部を備え、前記補正演算部で生成された前記発光量データに基づいて前記記憶部を参照して前記圧縮データを生成し、前記記憶部に記憶される前記圧縮データは、前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成し、前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成し、前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて生成されたものであることを特徴とする。この発明によれば、記憶部を備えるので、対数変換、量子化、および符号化といった処理を実行する必要がなくなる。この結果、簡易な構成で、高速の処理が可能となる。
【0018】
また、本発明に係る制御装置は、複数の発光素子を備える光ヘッドを制御するものであって、前記複数の発光素子の各々で表示すべき階調を指定する画像データに、前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正する処理を施し、且つ、データ量を圧縮する処理を施した圧縮データを生成する補正圧縮部(例えば、図15の16)と、前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データを記憶した補正データ記憶部(例えば、図15の11)とを備え、前記補正圧縮部は、前記画像データの各値および前記補正データの各値と前記圧縮データの各値とを対応付けて記憶した圧縮データ記憶部を有し、前記画像データおよび前記補正データ記憶手段から読み出した前記補正データに基づいて、前記圧縮データ記憶部を参照して、前記圧縮データを生成し、前記圧縮データは、前記補正データと前記画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成し、前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成し、前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成し、前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて生成されたものであることを特徴とする。この発明によれば、圧縮データ記憶部を備えるので、補正演算、対数変換、量子化、および符号化といった処理を実行する必要がなくなる。この結果、簡易な構成で、高速の処理が可能となる。
【0019】
次に、本発明に係る発光装置は、制御装置と複数の発光素子を備える光ヘッドとを備えたものであって、前記制御装置は、前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データと前記画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成する補正演算部と、前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成する対数変換部と、前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN(Nは自然数、N<M)個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成する量子化部と、前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて圧縮データを生成して前記光ヘッドに出力する符号化部とを備え、前記光ヘッドは、受信した前記圧縮データを伸張して前記発光量データを復号する復号化伸張部(例えば、図1の21)と、復号した前記発光量データに基づいて前記複数の発光素子を駆動する駆動部(例えば、図1の23)とを備えることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、補正済みの発光量データに基づいて光ヘッドに伝送する圧縮データを生成するので、光ヘッドにおいて補正データに基づいて画像データを補正する必要がなくなり、圧縮データを伸張することによって発光量データを復号できる。また、補正済みの発光量データを対数変換するので、階調の小さい領域で量子化誤差を低減することができる。さらに、量子化により取り得る値が減少するように量子化ステップを定めるので、圧縮データのデータ量を削減することがきる。くわえて、光ヘッドに伝送する圧縮データのデータ量が転送速度の制約を受ける場合に、量子化ステップを調整することによって、転送速度が許容される範囲で圧縮した圧縮データを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図面を参照しながら本発明に好適な実施の形態を説明する。
<A.実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置の要部の構成を示すブロック図である。この発光装置100は、例えばプリンタ等の印刷装置において静電潜像の形成に用いられる。この図に示されるように、この発光装置100は、印刷画像の画像データDi(印刷ドット毎の階調データ)が供給されるホストコントローラ10と、このホストコントローラ10からの発光量データに応じて駆動される光ヘッド20とを備えている。
【0022】
ホストコントローラ10は、補正データDhが格納された補正値メモリ11と、補正データDhに応じて画像データDiを補正して発光量データDo1を生成する補正演算部12と、発光量データDo1を圧縮符号化して圧縮発光量データDbを出力する圧縮符号化部14とを備える。圧縮発光量データDbはパラレル形式で光ヘッド20に伝送される。
【0023】
また、光ヘッド20は、ホストコントローラ10から受信した圧縮発光量データDbを復号化して伸張する復号化伸張処理部21と、伸張された発光量データDoに応じた駆動電流を生成する定電流ドライバ23と、例えば有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下適宜「OLED」と略称する)素子等からなる発光素子24とを備える。なお、復号化伸張処理部21は、圧縮発光量データDbと発光量データDo2とを対応付けて記憶したLUT22を有する。
【0024】
この光ヘッド20では、複数(例えばn個)の発光素子24がライン状に配置されて構成されている。同一の駆動電流を供給した場合でも、各々の発光素子24の光度には、製造時のばらつき等によって光度が相違する。このため、この発光装置100では、補正値メモリ11に各々の発光素子24の補正データDhを格納しておき、補正演算部12が画像データDiと補正データDhとに基づいて発光量データDo1を生成し、これに応じて発光素子24を駆動することにより、発光素子24ごとの光度のばらつきを補正する。換言すれば、補正データDhは発光素子24ごとの光度のばらつきを補正できるように定められている。
【0025】
図2に、補正値メモリ11に格納されている補正データDhを例示する。補正データDhは、光ヘッド20の製造後等に予め発光素子24の発光特性を測定し、これに応じて設定しておく。この例では、画像データDiが、16階調(4ビット)で、n個の発光素子24毎に、基準光量に対して−20%〜+5%程度の範囲で6ビット(64値)の補正データDhを設定し得る場合について示している。
【0026】
補正演算部12は、外部から画像データDiが供給されると、この画像データDiの印刷位置の発光素子24に対応する補正データDhを補正値メモリ11から取得し、例えば次に示す式(1)により、画像データDiに対応する発光量データDo1を求め、圧縮符号化部14に供給する。
Do1=(0.25×Dh+52.25)×Di……(1)
【0027】
図2に、4ビットの画像データDiと6ビットの補正データDhとの組み合わせから生成され得る発光量データDo1の値を示す。発光量データDo1は10ビットのデータである。また、図3に、画像データDiに対応する発光量データDoをグラフで示す。これらの図に示すように、発光量データDo1の値には、例えば1〜52,69〜104等のように、使用されていない値がある。これは、上述した式(1)によって「52.25」がオフセットとして与えられるからである。また、同じ発光量データDo1の値が重複している部分も存在している。この例では、発光量データDo1の値は674通りしかなく、1024通りを表現可能な10ビットで符号化するのは無駄が多い。すなわち、発光量データDo1の取り得る値をM個とし、画像データDiをi(iは自然数)ビット、補正データDhをj(jは自然数)ビットとしたとき、式(1)の演算を実行すると、M<2(i+j)となる。
【0028】
このため、この発光装置100では、ホストコントローラ10側で発光量データDo1を256通りに圧縮符号化し、8ビットの圧縮発光量データDbとして光ヘッド20に転送し、光ヘッド20側で発光量データDo1を復元するようにしている。具体的には、圧縮符号化部14でこの処理を実行する。圧縮符号化部14は、LUT15を備える。LUT15は発光量データDo1の各値と圧縮データDbの各値を対応付けて記憶している。圧縮符号化部14は、発光量データDo1に基づいて、LUT15を参照し、圧縮データDbを生成する。
【0029】
なお、圧縮符号化部14は、LUT15を用いることなく、演算処理によって圧縮データDbを生成してもよい。この場合、圧縮符号化部14は図4に示すように構成される。圧縮符号化部14は、1)対数変換、2)量子化、3)符号化の3ステップで圧縮符号化を行っている。対数変換部141は、補正演算部12から供給された発光量データDo1(10ビット)を対数変換して対数変換データDlogを生成する。これは小さな値における相対的な量子化誤差を低減させるために実行するものである。次に、量子化部142は、後述のように予め設定された量子化ステップSで対数変換データDlogを量子化して量子化データDaを生成する。この量子化データDaは10ビットのデータであるが、取り得る値の総数は256通りになるように量子化ステップSが設定されている。次に、符号化部143は、量子化データDaを8ビットの圧縮発光量データDbに変換する。すなわち、量子化データDaは10ビットで表現されるが、飛び飛びの値となっており、これを「0」〜「255」までの圧縮発光量データDbに変換して出力する。例えば、符号化部143を10ビットの量子化データDaと8ビットの圧縮発光量データDbとに対応付けて記憶したルックアップテーブルで構成してもよい。
図5に圧縮符号化部14の入力である発光量データDo1と圧縮発光量データDbとの関係を示す。この図に示すように674通りの発光量データDo1は256通りの圧縮発光量データDbに圧縮符号化される。上述したLUT15には、例えば図5に示すように発光量データDo1と圧縮発光量データDbとが対応付けられて記憶される。
【0030】
次に、光ヘッド20において、LUT22は、8ビットの圧縮発光量データDbと10ビットの発光量データDo2とを対応付けて記憶している。図6にLUT22の記憶内容を示す。復号化伸張処理部21は、圧縮符号化部14から圧縮発光量データDbが供給されると、LUT22を参照して、圧縮発光量データDbの値に対応する発光量データDo2を取得し、定電流ドライバ23に供給する。定電流ドライバ23は、供給された発光量データDo2に応じて発光素子24を駆動する。これにより、補正演算部12において個々の発光素子24毎に補正された発光量データDo1に応じて発光素子24が駆動され、発光素子24毎の光度のばらつきが補正される。
【0031】
<B.量子化ステップ決定処理>
図7は、上述の量子化ステップSを決定する処理を示すフローチャートである。この処理は、画像データDiのビット数,補正データDhのビット数,発光量データDo1を求める計算式に応じて、外部の情報処理装置等により予め実行され、求められた量子化ステップSをホストコントローラ10内の不揮発メモリ等に格納する。
【0032】
この処理においては、まず、与えられた発光量データDo1の計算式に画像データDiと補正データDhとの総ての取り得る値を入れて、総ての取り得る発光量データDo1(上述の図2に相当する補正演算表)を求める(S1)。次に、得られた補正演算表内の発光量データDo1を対数変換する(S2)。この後、例えば2分探索方によって、最適な量子化ステップΔを求める(S3〜S8)。具体的には、まず、仮の量子化ステップΔの初期値を設定する(S3)。対数化した補正演算表を256通り(8ビット)に量子化するのに最適な量子化ステップΔは、log(1023)/255〜log(1023)/1023の間にあると考えられるため、分母を1023と255の中間の値である639としたlog(1023)/639を仮の量子化ステップΔの初期値とする。次に、対数変換した補正演算表の内容を仮の量子化ステップΔで量子化し(S4)、量子化した結果の補正演算表の結果の中のユニークな値の数をカウントする(S5)。
【0033】
ユニークな値の数が254通り以下であれば、量子化ステップΔを小さく設定して(S6)S4に戻る。例えば初期値がlog(1023)/639である場合であれば、最適な量子化ステップΔは、log(1023)/1023〜log(1023)/639の間にあると考えられるため、分母を1023と639の中間の値である831としたlog(1023)/831を次の仮の量子化ステップΔとする。また、ユニークな値の数が256通り以上であれば、量子化ステップΔを大きく設定して(S7)S4に戻る。例えば初期値がlog(1023)/639である場合であれば、最適な量子化ステップΔは、log(1023)/255〜log(1023)/639の間にあると考えられるため、分母を255と639の中間の値である447としたlog(1023)/447を次の仮の量子化ステップΔとする。また、ユニークな値の数が256通りであれば、補正演算表の内容を線形(発光量データDo1)に変換して終了する(S8)。
【0034】
以上の処理により、例えば図8に示すように、ユニークな値が256通りである補正演算表と、このときの量子化ステップΔ(図1中の量子化ステップSに相当する)が得られる。得られた256通りのユニークな値(圧縮発光量データDb)に対して、各々ユニークな8ビットの符号を割り当ててると、10ビットの発光量データDo1が最終的に8ビットに圧縮される。発光量データDo1と8ビットの圧縮発光量データDbの関係を示したものが上述の図5に相当する。また、この関係を逆に設定したものが上述の図6に示すLUT22に相当する。これらの量子化ステップS,LUT22は予めホストコントローラ10,光ヘッド20に格納しておくが、外部の機器から書き換えることもできるようになっている。例えばホストコントローラ10に新たな対応表のデータが供給されると、ホストコントローラ10は、供給されたデータをLUT15とLUT22とに格納する。これにより、補正値メモリ11の値の書き換えに対応したLUTの変更等にも容易に対応することができるようになる。
【0035】
図9は、10ビットの発光量データDo1を単純に下位2ビットを削除して8ビットに圧縮した場合(リニア圧縮)、発光量データDo1を対数に変換して単純に8ビットに圧縮した場合、本実施例の場合について、8ビットに圧縮した発光量データと対応する発光量を示した図である。グラフの傾きは、発光量の刻みを示しており、傾きが急であるほど刻みが粗くなる。すなわち相対的な量子化ステップが大きいことを示している。この図9より、リニア圧縮では小さい値での刻みが極めて荒く、対数圧縮では全ての値で本実施例に比較して刻みがやや粗いことが判る。
【0036】
図10は、発光量データの値として使用されていない0〜51の値を除いた値について、リニア圧縮した場合、対数圧縮した場合、本実施例の場合について、8ビットに圧縮した発光量データと対応する発光量を示した図である。図9と同様に、グラフの傾きは、発光量の刻みを示しており、傾きが急であるほど刻みが粗い、すなわち相対的な量子化ステップが大きいことを示している。この図10より、リニア圧縮では小さい値での刻みが極めて荒く、対数圧縮では全ての値で本実施例に比較して刻みがやや粗いことが判る。
【0037】
図11は、これらの場合について、より具体的に8ビットに圧縮した発光量データ毎に相対的な量子化ステップを示した図である。この図11より、発光量データの全領域において、本実施例の圧縮方法の方が相対的な量子化ステップが小さい、すなわち、量子化誤差が小さいことが判る。
【0038】
上述のように、この発光装置100では、圧縮符号化部14において、発光量データDo1をデータ圧縮しているので、ホストコントローラ10と光ヘッド20との間で転送するデータ量を低減させることができる。これにより、動作の高速化に寄与することが可能となる。また、この発光装置100では、上述のように、発光量データDo1の値域に応じた量子化ステップSを設定することにより、誤差を低減することができ、印刷品質の低下を抑制することができる。
【0039】
また、ホストコントローラ10と光ヘッド20との間の転送データ量を低減させるためには、補正値メモリ11自体を光ヘッド20側に設けて、画像データDiのみを光ヘッド20に転送することが考えられるが、この場合、光ヘッド20側の回路規模が増大し、別途光ヘッド20側にコネクタ等を設けないと補正値メモリ11の内容の書き換え等が困難となる。これに対して、本実施形態のように、ホストコントローラ10側に補正値メモリ11を設けておくことにより、光ヘッド20側の回路規模を抑制することができ、補正値メモリ11の書き換えを容易にすることができる利点がある。
【0040】
<C.変形例>
(1)図12は、変形例に係る発光装置の要部の構成を示すブロック図である。上述の実施形態では、圧縮符号化部14と復号化伸張処理部21の間をパラレル接続としていたが、これらの間をシリアル接続としたものである。このため、ホストコントローラ10は圧縮符号化部14からの圧縮発光量データをシリアル信号に変換するパラレル/シリアル(P/S)変換部15を備えており、光ヘッド20は圧縮符号化部14からのシリアル信号をパラレル信号に変換するシリアル/パラレル(S/P)変換部25を備えている。これ以外の構成・動作は上述の図1に示す発光装置と同様である。このようにシリアル接続とすることにより、圧縮符号化部14と復号化伸張処理部21の間の配線数を低減させることができる。また、パラレル/シリアル変換部15は差動形式で圧縮発光量データを送信し、シリアル/パラレル変換部25は差動形式で圧縮発光量データを受信することが好ましい。この場合には、ツイストペアの配線で圧縮発光量データを伝送することにより、耐ノイズ性を向上させることができる。
【0041】
(2)上述の実施形態では、発光量データを8ビットに圧縮する際に、量子化結果が256通りになるようにしていたが、8ビットの符号には、図13に示すように、例えば0 “00000000”[同図(A)]や、1“11111111” [同図(B)]のような直流バランスが偏るような符号パターンや、170 “10101010”[同図(C)]や、85“01010101”[同図(D)]のような消費電力や放射ノイズの増えるパターンがある。このため、これらを用いないようにしてもよい。この場合、上述の図7に示すフローにおいて、量子化結果がこれらを除いた252通りとなるように量子化ステップを決定し、上述の4つの符号以外の252個の符号を割り当てるようにしてもよい。これにより、直流バランスの改善、消費電力,放射ノイズの抑制に効果がある。
【0042】
より一般的には、圧縮発光量データDbのビット数をKとしたとき、2個の圧縮発光量データDbのうちN(2>N)個に量子化データDaを割り当て、量子化データDaの割り当てがない2−M個の圧縮発光量データDbには、そのビットパターンが割り当てのある圧縮発光量データDbのすべてのビットパターンと比較して周波数成分が高いものを含むように設定すればよい。例えば、“10101010”や“01010101”が量子化データDaの割り当てがない2−M個の圧縮発光量データDbに相当する。
また、圧縮発光量データDbのビット数をKとしたとき、量子化データDaの割り当てがない2−M個の圧縮発光量データDbには、そのビットパターンが割り当てのある圧縮発光量データDbのすべてのビットパターンと比較して周波数成分が低いものを含むように設定すればよい。例えば、“00000000”や11111111”が量子化データDaの割り当てがない2−M個の圧縮発光量データDbに相当する。
【0043】
(3)また、実際の補正データDhの値には発生頻度の分布があるため、発光量データDo1の値にも図14に示すように、発生頻度の分布が生じる。この分布に応じて、発生頻度の低い発光量データDo1の値に対応する符号を上述のような直流バランスが悪いあるいは消費電力,放射ノイズが増えるパターンの符号を割り当て、発生頻度の高い発光量データDoの値に直流バランスが良いあるいは消費電力,放射ノイズが減るパターンの符号を割り当てるようにしてもよい。これにより、全体として、直流バランスの改善、消費電力,放射ノイズの抑制に効果がある。
より一般的には、量子化データDaの取り得るN個の値を発生頻度順に並べたとき、圧縮発光量データDbの符号の割り当ては、発生頻度が低い量子化データDaほど、対応する圧縮発光量データDbのビットパターンの周波数成分が周波数分布の中心から離れるように設定すればよい。これにより、周波数の低いビットパターンである“00000000”や“11111111”、あるいは周波数の高いビットパターンである“10101010”や“01010101”の発生頻度を低減することができる。
【0044】
(4)上述した実施形態においては、補正演算部12と圧縮符号化部14とを個別に設けたが、図15に示すように、これらを一体として補正圧縮符号化部16を設けてもよい。
この場合、補正圧縮符号化部16はLUT17を備える。このLUT16は、4ビットの画像データDiおよび6ビットの補正データDhと、8ビットの圧縮発光量データDbとを対応付けて記憶している。補正圧縮符号化部16は、LUT17を参照して、画像データDiおよび補正データDhに対応する圧縮発光量データDbを読み出す。これにより、式(1)に示す補正演算処理、対数変換処理、量子化処理、および符号化処理を省略して、LUT17を参照するだけで圧縮発光量データDbを生成することが可能となる。
また、補正圧縮符号化部16を採用する場合にも、図16に示すようにパラレル/シリアル(P/S)変換部15およびシリアル/パラレル(S/P)変換部25を介して圧縮発光量データDbを伝送してもよい。
【0045】
<D.応用例>
図17は、上述のような発光装置を用いた画像形成装置の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像形成装置である。
【0046】
この画像形成装置では、上述の光ヘッド20と同様な構成の4個の光ヘッド20K,20C,20M,20Yが、4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。
【0047】
図17に示すように、この画像形成装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0048】
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0049】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、光ヘッド20(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。光ヘッド20(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各光ヘッド20(K,C,M,Y)は、複数の発光素子21の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上述の複数の発光素子21により光を感光体ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0050】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0051】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0052】
図18は、本発明の実施の形態に係る他の画像形成装置の縦断面図である。この画像形成装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像形成装置である。図18に示す画像形成装置において、上述の感光体ドラム110に相当する感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、光ヘッド20、中間転写ベルト169が設けられている。
【0053】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。上述と同様に構成された光ヘッド20は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。複数の発光素子24の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子24により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
【0054】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0055】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0056】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド20によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド20によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム165が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0057】
画像形成装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0058】
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0059】
上記の各画像形成装置は、上述の発光装置を用いており、量子化誤差を抑制しつつ、ホストコントローラ10と光ヘッド20の間で転送するデータ量を低減できるため、印刷品質の劣化を抑制しつつ動作の高速化に寄与することができる。また、上述の発光装置は、他の電子写真方式の画像形成装置にも応用することが可能であり、そのような画像形成装置は本発明の範囲内にある。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像形成装置や、モノクロの画像を形成する画像形成装置にも応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る発光装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】画像データDi,補正データDhと発光量データDo1の関係を示す図である。
【図3】画像データDiに対する発光量データDo1の分布を示す図である。
【図4】圧縮符号化部14の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】発光量データDo1と圧縮光量データDbの関係を示す図である。
【図6】光ヘッド20側のLUT22の記憶内容を示す図である。
【図7】量子化ステップの決定処理を示すフローチャートである。
【図8】決定された量子化ステップに応じて量子化された発光量データを示す図である。
【図9】異なる圧縮方法で符号化した際の発光量データの分布を示す図である。
【図10】異なる圧縮方法で符号化した際の発光量データの分布を示す図である。
【図11】異なる圧縮方法で符号化した際の相対的量子化ステップの分布を示す図である。
【図12】変形例に係る発光装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図13】割り当てを考慮する符号の例を示す図である。
【図14】発光量データの値の発生頻度を示す図である。
【図15】変形例に係る発光装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図16】変形例に係る発光装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の縦断面図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る別の画像形成装置の縦断面図である。
【符号の説明】
【0061】
10……ホストコントローラ、11……補正値メモリ、12……補正演算部、14……圧縮符号化部、15……P/S変換部、20……光ヘッド、21……復号化伸張処理部、22……LUT、23……定電流ドライバ、24……発光素子、25……S/P変換部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と複数の発光素子を備える光ヘッドとの間で伝送するデータを生成するデータ生成方法であって、
前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データと画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成し、
前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成し、
前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN(Nは自然数、N<M)個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成し、
前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて圧縮データを生成する、
ことを特徴とするデータ生成方法。
【請求項2】
前記画像データはi(iは自然数)ビットのデータであり、
前記補正データはj(jは自然数)ビットのデータであり、
前記所定の演算は、Mが、M<2(i+j)となるものであること
を特徴とする請求項1に記載のデータ生成方法。
【請求項3】
前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、
個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、
前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が高いものを含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ生成方法。
【請求項4】
前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、
個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、
前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が低いものを含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のデータ生成方法。
【請求項5】
前記量子化データの取り得るN個の値を発生頻度順に並べたとき、前記圧縮データの符号の割り当ては、発生頻度が低い量子化データほど、対応する圧縮データのビットパターンの周波数成分が周波数分布の中心から離れるように設定することを特徴とする請求項1または2に記載のデータ生成方法。
【請求項6】
複数の発光素子を備える光ヘッドを制御する制御装置であって、
前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データと画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成する補正演算部と、
前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成する対数変換部と、
前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN(Nは自然数、N<M)個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成する量子化部と、
前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて圧縮データを生成して前記光ヘッドに出力する符号化部とを、
備える制御装置。
【請求項7】
前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、
前記符号化部は、
個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、
前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が高いものを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記圧縮データのビット数をK(Kは自然数)としたとき、2>Nであり、
前記符号化部は、
個の前記圧縮データのうちN個に前記量子化データを割り当て、
前記量子化データの割り当てがない2−M個の前記圧縮データには、そのビットパターンが割り当てのある前記圧縮データのビットパターンと比較して周波数成分が低いものを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項9】
前符号化部は、前記量子化データの取り得るN個の値を発生頻度順に並べたとき、前記圧縮データの符号の割り当ては、発生頻度が低い量子化データほど、対応する圧縮データのビットパターンの周波数成分が周波数分布の中心から離れるように設定することを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項10】
複数の発光素子を備える光ヘッドを制御する制御装置であって、
前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データと画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成する補正演算部と、
前記発光量データをN(Nは自然数、N<M)個の値を取り得る圧縮データに変換する圧縮部とを備え、
前記圧縮部は、前記発光量データの各値と前記圧縮データの各値とを対応付けて記憶した記憶部を備え、前記補正演算部で生成された前記発光量データに基づいて前記記憶部を参照して前記圧縮データを生成し、
前記記憶部に記憶される前記圧縮データは、前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成し、前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成し、前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて生成されたものである、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項11】
複数の発光素子を備える光ヘッドを制御する制御装置であって、
前記複数の発光素子の各々で表示すべき階調を指定する画像データに、前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正する処理を施し、且つ、データ量を圧縮する処理を施した圧縮データを生成する補正圧縮部と、
前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データを記憶した補正データ記憶部とを備え、
前記補正圧縮部は、
前記画像データの各値および前記補正データの各値と前記圧縮データの各値とを対応付けて記憶した圧縮データ記憶部を有し、前記画像データおよび前記補正データ記憶手段から読み出した前記補正データに基づいて、前記圧縮データ記憶部を参照して、前記圧縮データを生成し、
前記圧縮データは、
前記補正データと前記画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成し、前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成し、前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成し、前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて生成されたものである、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項12】
制御装置と複数の発光素子を備える光ヘッドとを備えた発光装置であって、
前記制御装置は、
前記複数の発光素子の光量のばらつきを補正するための補正データと前記画像データとに基づいて、所定の演算を実行してM(Mは自然数)個の値を取り得る発光量データを生成する補正演算部と、
前記発光量データを対数変換して対数変換データを生成する対数変換部と、
前記対数変換データを量子化して得られるデータの取り得る個数がN(Nは自然数、N<M)個となるように量子化ステップを定めて、前記対数変換データを量子化して量子化データを生成する量子化部と、
前記量子化データのN個の各値に符号を割り当てて圧縮データを生成して前記光ヘッドに出力する符号化部とを備え、
前記光ヘッドは、
受信した前記圧縮データを伸張して前記発光量データを復号する復号化伸張部と、
復号した前記発光量データに基づいて前記複数の発光素子を駆動する駆動部とを備える、
ことを特徴とする発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−87199(P2008−87199A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−267589(P2006−267589)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】