説明

データ送信装置及びデータ受信装置

【課題】盗聴者の受信時における多値誤りによる鍵情報の特定防止効果を増強しつつ、正規受信者の受信時における多値データの誤りによる通信品質劣化を低減する、高速伝送を行うデータ送信装置及びデータ受信装置を提供する。
【解決手段】多値基底の生成には、隣接信号レベル間のハミング距離が大きい多値符号化則を利用する一方で、多値データの生成には隣接信号レベル間のハミング距離が小さい多値符号化則を利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第三者による不法な盗聴・傍受を防ぐ秘密通信を行う装置に関する。より特定的には、正規の送受信者間で、特定の符号化/復号化(変調/復調)方式を選択・設定してデータ通信を行う装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特定者間で秘密通信を行うために、送信/受信間で符号化/復号化のための鍵情報を共有し、当該鍵情報に基づいて、伝送すべき情報データ(平文)を数学的に演算/逆演算する方式が一般的に採用されている。
【0003】
これに対して、近年、伝送路における物理現象を積極的に利用した秘密通信方式がいくつか提案されている。その内の1つとして、光伝送路で発生する量子雑音を利用して秘密通信を行うY−00プロトコルと呼ばれる方式がある。特許文献1には、Y−00プロトコルを用いた従来のデータ通信装置が開示されている。
【0004】
図9は、Y−00プロトコルを用いた従来のデータ通信装置9の構成例を示すブロック図である。図9に示す通り、従来のデータ通信装置9は、送信部901と、受信部902とが、光伝送路910を介して接続された構成である。送信部901は、多値基底生成部911と、多値信号生成部912と、変調部913とを備える。受信部902は、復調部915と、多値基底生成部914と、2値データ復号部916とを備える。なお、送信部901と受信部902とは、互いに同じ内容である鍵情報91、96をそれぞれ予め共有しているものとする。なお、盗聴受信部903は、データ通信装置9の構成には含まれない。また、特許文献1には、多値基底生成部911が「送信用擬似乱数発生部」として、多値信号生成部912が「変調方式指定部」及び「レーザ変調駆動部」として、変調部913が「レーザダイオード」として、復調部915が「フォトディテクタ」として、多値基底生成部914が「受信用擬似乱数発生部」として、2値データ復号部916が「判定回路」として記載されている。
【0005】
送信部901において、多値基底生成部911は、鍵情報91に基づいて、多値基底92を生成する。ここで、多値基底92は、“0”から“MB−1”までのMB 個の値を有する多値の擬似乱数系列であり、複数の多値信号レベルのペア(以下、基底という)にそれぞれ対応する。多値信号生成部912は、2値データ90と多値基底92との組み合わせに対応したレベルを有する信号を多値信号93として生成する。
【0006】
図10は、Y−00プロトコルを用いた従来のデータ通信装置9における多値信号93を生成する信号フォーマットを示す図である。以下では、図10を用いて、より具体的に説明する。多値信号生成部912は、図10に示す信号フォーマットを用いて、強度変調信号である多値信号93を生成する。すなわち、多値信号生成部912は、多値基底生成部911で生成された多値基底92に基づいて、複数の基底のうちの一つを選択する。ここで、各基底の一方のレベルには2値データ90の“0”が割り当てられ、他方のレベルには2値データ90の“1”が割り当てられている。また、2値データ90の“0”と“1”とに相当するレベルは、“0”及び“1”の値がレベル全体に対して均等に分布するように割り当てられる。図10では、一例として、“0”と“1”とが交互に各レベルに割り当てられている。次に、多値信号生成部912は、選択した基底のうち、2値データ90の値(“0”又は“1”)が割り当てられたレベルを有する多値信号93を生成する。変調部913は、多値信号93を光強度変調信号である変調信号94に変換し、光伝送路910を介して送信する。
【0007】
図11は、従来のデータ通信装置9で用いられる信号形態を説明するための模式図である。多値基底92の数量MB=4の場合の各信号の変化の例を図11(a)〜(g)に示す。例えば、2値データ90の値が“0111”(図11(a)参照)のように変化し、多値基底92の値が“0321”(図11(b)参照)のように変化する場合、多値信号93は、図10に示す信号フォーマットに従って、図11(c)に示すように変化する。
【0008】
また、図9に示す通り、受信部902において、復調部915は、光伝送路910を介して伝送される変調信号94を光信号から電気信号へ変換(以下、光電変換という)して、多値信号95として出力する。多値基底生成部914は、鍵情報96に基づいて、多値基底92と同じ多値の擬似乱数系列である多値基底97を生成する。2値データ復号部916は、多値基底97の値に対応する基底(信号レベルのペア)に含まれる2つの信号レベルについて2値識別して、2値データ98を特定する。
【0009】
より具体的には、2値データ復号部916は、図10(e)に示すように、多値基底97の値(図10(d))に基づいて識別レベルを設定し、多値信号95が識別レベルよりも大きい(上)か、あるいは小さい(下)かを判断する。この例では、2値データ復号部916は、“下、下、上、下”と識別する。次に、2値データ復号部916は、多値基底97が偶数の場合は、下側が“0”、上側が“1”、奇数の場合は、下側が“1”、上側が“0”と判定し、2値データ98として出力する。この例では、多値基底97は、“偶数、奇数、偶数、奇数”であるため、2値データ98は“0111”となる(図10(f))。なお、多値信号95には、雑音が含まれているが、信号強度を適切に選ぶことで、2値識別における誤りの発生を無視できる程度に抑えることができる。
【0010】
次に、想定される盗聴について説明する。図9に示す通り、盗聴者は、送信者と受信者とが共有する鍵情報を持たない状態で、変調信号94から2値データ90または鍵情報91の解読を試みる。盗聴者は、正規受信者(受信部902)と同様の2値識別を行う場合、鍵情報を持っていないため、鍵情報が取り得る全ての値に対して識別を試みる(鍵の総当り攻撃をする)必要がある。このような方法は、試行回数が鍵情報の長さに対して指数関数的に増大するため、鍵情報の長さが十分長い場合には現実的ではない。そこで、より効率的な方法として、盗聴者は、図9に示す通り、盗聴受信部903を用いて、変調信号94から2値データ90又は鍵情報91の解読を試みることが考えられる。盗聴受信部903において、復調部921は、光伝送路910から分岐して得られる変調信号94を復調(光電変換)し、多値信号81を再生する。多値識別部922は、多値信号81を多値識別し(図10(g))、得られた情報を受信系列82として出力する。解読処理部923は、受信系列82に対して解読処理を行い、2値データ90又は鍵情報91の特定を試みる。このような解読方法を用いた場合、盗聴受信部903は、仮に受信系列82を誤り無く多値識別することができたならば、得られた受信系列82から1回の試行で鍵情報91の解読を行うことが可能となる。
【0011】
しかし、多値信号81には、復調部921で変調信号94を光電変換する際に発生したショット雑音が重畳されている。このショット雑音は、量子力学の原理により必ず発生することが知られている。ここで、多値信号の信号レベルの間隔をショット雑音のレベルよりも十分に小さくしておけば、識別誤りによって受信した多値信号81が正しい信号レベル以外の様々な多値レベルを取る可能性(確率)が無視できなくなる(図10(g))。よって盗聴者は、正しい信号レベルが、識別によって得られた信号レベル以外の値である可能性を考慮して解読処理を行う必要があるため、識別誤りが無い場合と比較して解読処理を要する試行回数、すなわち計算量が増大し、結果として盗聴に対する安全性が向上する。
【特許文献1】特開2005−57313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
将来的に伝送速度を高速化する場合、伝送する情報データは、上述した2値データから多値データとなることが想定される。これは、情報データの多値化によって伝送効率が向上するからである。
【0013】
ここで、情報データが多値化された場合、多値信号の信号点間距離は縮小することとなる。この場合、復調部で発生するショット雑音によって、正規受信者が受信する情報データに復号誤りが生じる可能性は増加する。すなわち、情報データの多値化は、通信品質が劣化する方向に作用する。そこで、この問題を解消するために、多値信号の信号点間距離を拡大すると、盗聴者の解読に対する安全性が低下するという問題が生じる。そして、この様に情報データの多値化によって伝送効率を向上させる場合において、通信品質の確保と盗聴安全性の確保という相反する課題の達成を両立する手段については、十分な検討がなされていなかった。
【0014】
それ故に、本発明の目的は、上記課題を解決するものであり、盗聴者の受信時における多値誤りによる鍵情報の特定防止効果を増強しつつ、正規受信者の受信時における多値データの誤りによる通信品質劣化を低減することによって、通信品質と盗聴安全性とを十分に確保した、高速伝送を行うデータ送信装置及びデータ受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、所定の鍵情報に基づいて、データ受信装置との間で秘密通信を行うデータ送信装置に向けられている。そして、上記目的を達成させるために、本発明のデータ送信装置は、鍵情報に基づいて、2値乱数を生成する2値乱数生成部と、2値乱数のビットパターンと、データ受信装置へ送信する2値データのビットパターンとの組合せに対応したレベルの多値信号を生成する多値信号生成部と、多値信号を所定の変調方式で変調して、変調信号を生成する変調部とを備える。
【0016】
また、2値データを多値化し、当該2値データのビットパターンに対応した多値データを生成する2値データ多値化部と、2値乱数のビットパターンに対応した多値の数値である多値基底を生成する2値乱数多値化部とを更に備え、多値信号生成部は、多値データと多値基底との組合せに対応したレベルの多値信号を生成してもよい。
【0017】
また、好ましくは、互いに隣接する多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離以下である。
【0018】
また、好ましくは、互いに隣接する多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離以上である。
【0019】
また、好ましくは、多値データの多値数は、2のべき乗で表される数である。
【0020】
また、好ましくは、多値基底の多値数は、2のべき乗で表される数である。
【0021】
また、好ましくは、多値データの多値数は、多値基底の多値数以下となる。
【0022】
また、好ましくは、多値データの多値数は、多値基底の多値数の約数となる。
【0023】
また、好ましくは、多値信号の多値数は、多値データの多値数と多値基底の多値数との積となる。
【0024】
また、好ましくは、多値信号のレベルと、多値基底の値と多値データの値との組み合わせとは、一意の対応関係にある。
【0025】
また、好ましくは、互いに隣接する多値信号にそれぞれ対応する多値データの値は、互いに異なる。
【0026】
また、好ましくは、多値データの多値数は、データ受信装置が変調信号を復調する際に生じる雑音が存在する多値信号のレベルの数量以下となる。
【0027】
また、本発明は所定の鍵情報に基づいて、データ送信装置との間で秘密通信を行うデータ受信装置にも向けられている。そして、上記目的を達成させるために、本発明のデータ受信装置は、データ送信装置から受信した変調信号を所定の復調形式で復調し、当該復調の際に生じる雑音を含む多値信号を出力する復調部と、鍵情報に基づいて、2値乱数を生成する2値乱数生成部と、2値乱数のビットパターンに対応する複数のレベルのうち、雑音を含む多値信号のレベルの範囲に含まれるレベルに対応する2値データのビットパターンを復号する多値データ復号部とを備える。
【0028】
また、2値乱数のビットパターンに対応した多値の数値である多値基底を生成する2値乱数多値化部と、2値データに対応する多値データから2値データを復号する2値データ復号部とを更に備え、多値データ復号部は、多値基底が対応する複数のレベルのうち、雑音を含む多値信号のレベルの範囲に含まれるレベルに対応する多値データを復号してもよい。
【0029】
また、好ましくは、互いに隣接する多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離以下である。
【0030】
また、好ましくは、互いに隣接する多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離以上である。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明において、多値基底の生成には、隣接信号レベル間のハミング距離が大きい多値符号化則を利用する一方で、多値データの生成には隣接信号レベル間のハミング距離が小さい多値符号化則を利用する。このことによって、受信時の多値データ誤りによって、盗聴者が鍵情報を特定することを防止する効果を増強しつつ、正規受信者の通信品質劣化を低減することができる。この結果として、本発明によれば、通信品質と盗聴安全性とを十分に確保した、高速伝送を行うデータ送信装置及びデータ受信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示す通り、データ通信装置1は、データ送信装置101とデータ受信装置201とが光伝送路30によって接続された構成である。データ送信装置101は、多値基底生成部116と、2値データ多値化部113と、多値信号生成部114と、変調部115とを備える。データ受信装置201は、多値基底生成部216と、復調部215と、多値データ復号部214と、2値データ復号部213とを備える。多値基底生成部116は、2値乱数生成部111と、2値乱数多値化部112とを含む。多値基底生成部216は、2値乱数生成部211と、2値乱数多値化部212とを含む。なお、データ通信装置1が光伝送路30を用いないで自由空間を介した通信を行う場合には、データ通信装置1は、光伝送路30を備えない。
【0033】
以下に、データ送信装置101の動作について説明する。多値基底生成部116は、鍵情報11を用いて、値が略乱数的に変化する多値基底13を生成する。より具体的には、多値基底生成部116において、2値乱数生成部111は、鍵情報11に従って値が略乱数的に変化する2値乱数12を生成し、2値乱数多値化部112は、当該2値乱数12に対して所定の符号化則に従った多値化を行って多値基底13を生成する。以下では、2値乱数多値化部112が用いる符号化則を多値基底生成符号化則という。2値データ多値化部113は、データ受信装置201へ送信する情報データである2値データ10に対して、所定の符号化則に従った多値化を行って多値データ14を生成する。以下では、2値データ多値化部113が用いる符号化則を多値データ生成符号化則という。多値信号生成部114は、多値基底13と多値データ14とを用いて、所定の信号フォーマットに従って多値信号15を生成する。以下では、多値信号生成部114が用いる信号フォーマットを、多値信号生成フォーマットという。なお、多値信号生成フォーマットとは、多値基底13の値と多値データ14の値とを多値信号15のレベルに対応付ける信号フォーマットであり、具体的な内容については後に説明する。変調部115は、多値信号15を光強度変調して変調信号16を生成し、光伝送路30に出力する。
【0034】
次に、データ受信装置201の動作について説明する。復調部215は、光伝送路30から入力された変調信号16を復調して、多値信号15の再生信号である多値信号25を生成する。ここで、多値信号25には、変調信号16を復調する際に生じたショット雑音が重畳されている。多値基底生成部216は、鍵情報11と等しい鍵情報21を用いて、値が略乱数的に変化する多値基底13と等しい多値基底23を生成する。より具体的には、多値基底生成部216において、2値乱数生成部211は、鍵情報11と等しい鍵情報21に従って、2値乱数12と等しい2値乱数22を生成し、また、2値乱数多値化部212は、当該2値乱数22に対して、多値基底生成符号化則に従った多値化を行って多値基底13と等しい多値基底23を生成する。多値データ復号部214は、多値基底23と多値信号25とを用いて、多値信号生成フォーマットを用いて多値データ24を復号する。2値データ復号部は、多値データ生成符号化則を用いて、多値データ24から、2値データ10と等しい2値データ20を復号する。
【0035】
次に、多値信号生成フォーマットについて説明する。図2は、多値信号生成部114及び多値データ復号部214が用いる多値信号生成フォーマットの一例である。図2に示す通り、多値信号15の各レベルには、多値基底13の値と多値データ14の値とが割り当てられる。ここで、図2の多値信号生成フォーマットでは、一例として、多値基底13の多値数は8とし、多値データ14の多値数は4としている。この場合、多値信号15のレベルの数量は、32(=8×4)となる。多値基底13の値「0,1,2,・・・7」は、多値信号15のレベル「0,1,2,・・・31」に、周期的に割り当てられる。多値データ14は、或る多値基底13の値が割当てられた複数の多値信号15のレベル(4つのレベル)に互いに異なる多値データ14の値が割当てられるように、多値信号15の各レベルに割当てられる。具体的には、図2の太線で囲んだ部分に示すように、例えば、多値基底13の値「5」が割当てられた複数の多値信号15のレベル「5,13,21,29」には、それぞれ、互いに異なる多値データ14の値「1,2,3,0」が割当てられる。
【0036】
ここで、図2の多値信号生成フォーマットでは、多値基底生成符号化則として、2値乱数12を3ビット毎に2進数から10進数に変換する符号化則を用い、また、多値データ生成符号化則として、2値データ10を2ビット毎に2進数から10進数に変換する符号化則を用いている。なお、2値乱数12をmB ビット毎に10進数に変換し、2値データ10をmD ビット毎に10進数に変換する場合には、多値基底13の多値数は2のmB 乗となり、多値データ14の多値数は2のmD 乗となる。
【0037】
また、図2の多値信号生成フォーマットは、式1で表すことができる。
【数1】

ここで、mod(A,B)は、整数Aを整数Bで割った場合の余りを示す。また、多値基底13の多値数をMB とし、多値基底13の値をiB とし、多値データ14の多値数をMD とし、多値データ14の値をiD とし、多値信号15のレベルをLとする。なお、多値信号15の多値数は、MB とMD の積となる。但し、式1のiD−iB+MDの値が負の場合には、図2の多値信号生成フォーマットは、式2で表すことができる。
【数2】

この様に、各値を対応付ける数式を多値信号生成フォーマットの代わりに用いることもできる。
【0038】
図3は、図2の多値信号生成フォーマットを用いて、多値信号15を生成する方法について説明するための図である。以下では、2値データ10のビットパターンが「11」であり、2値乱数12のビットパターンが「101」である場合を例に挙げて説明する。2値データ多値化部113は、多値データ生成符号化則に従って、2値データ10のビットパターン「11」から多値データ14の値「3」を生成する。ここで、多値データ14の値「3」が対応する多値信号15のレベルは、図3の太枠で示す「3,7,10,14,17,21,24,28」である。一方、2値乱数多値化部112は、多値基底生成符号則に従って、2値乱数12の値「101」から多値基底13の値「5」を生成する。多値信号生成部114は、多値データ14の値「3」及び多値基底13の値「5」の両方が対応する多値信号15のレベル「21」を選択し(図3の矢印で示した太枠部分を参照)、当該レベルの多値信号15を生成する。
【0039】
図4は、正規受信者が、図2の多値信号生成フォーマットを用いて、多値データ14と等しい多値データ24を復号する方法について説明するための図である。以下では、レベルが「21」の多値信号15が変調された変調信号16が、データ受信装置201へ送信される場合を例に挙げて説明する(図1参照)。変調信号16は、復調されて多値信号25となる。ここで、既に説明したように、データ受信装置201の多値信号25は、変調信号16を復調した際に生じる雑音を含んでいる。この雑音は、多値信号15のレベル「21」を中心とした所定範囲のレベルに分布(確率密度分布)する。そして、正規の多値信号15のレベル「21」は、この分布範囲内のいずれかのレベルに誤って判定される可能性がある。この様に変調信号16を復調した際に生じる雑音の分布範囲を、多値誤り範囲Jと定義する。図4には、一例として、多値信号25がレベル20からレベル22までの範囲に分布する場合(多値誤り範囲J=3の場合)を示している。
【0040】
多値データ復号部214は、多値基底23と多値信号25(J=3)とを用いて、以下に説明する方法で、多値データ14と等しい多値データ24を復号(判定)する(図1参照)。まず、多値データ復号部214は、入力された多値基底23の値「5」に対応する4つの多値信号15のレベル「5,13,21,29」を特定する(図4の太枠を参照)。次に、多値データ復号部214は、多値信号25の多値誤り範囲J=3を考慮して、特定した4つの多値信号15のレベル「5,13,21,29」のうち、「21」を送信された多値信号15のレベルであると判定する。次に、多値データ復号部214は、判定した多値信号15のレベル「21」に対応する多値データ14の値「3」(図4参照)を、送信された多値データ14の値と等しい多値データ24の値として決定する(図1参照)。次に、2値データ復号部213は、多値データ生成符号化則を用いて、多値データ24「3」をビットパターンが「11」である2値データ20に変換する(図1及び図4参照)。
【0041】
この様にして、データ受信装置201は、データ送信装置101が用いる多値信号生成フォーマットと同じ信号フォーマットを用いて、鍵情報11と等しい鍵情報21から生成された、多値基底13と等しい多値基底23によって、2値データ10と等しい2値データ20を受信することができる(図1参照)。
【0042】
次に、盗聴者が変調信号16から2値データ10の受信(復号)を試みる場合について、図4を用いて説明する。盗聴者は、正規の受信者と同様に、変調信号16から多値信号25を復調する。ここで、既に説明した通り、多値信号25は、復調時に生じる雑音を含んでいる(多値誤り範囲J=3)。また、盗聴者は、鍵情報を持たないので多値基底23を特定できない。このことによって、多値信号25から多値データ14と等しい多値データ24を復号することは、盗聴者にとって、極めて困難となる。
【0043】
以上に説明した通り、本発明のデータ通信装置1によれば、図2に代表される多値信号生成フォーマットを用いて、伝送する情報データを2値データから多値データとすることによって、高速伝送が可能な秘密通信を実現できる。
【0044】
なお、多値信号生成フォーマットにおいて、多値基底13の各値に対応する複数の多値信号15のレベルは、等間隔に配置されていることが好ましい。例えば、図2の多値信号生成フォーマットでは、多値基底13の値「5」に対応する4つの多値信号15のレベル「5,13,21,29」は、等間隔に配置されている。同様に、他の多値基底13の値に対応する4つの多値信号15のレベルも、それぞれ、等間隔に配置されている。このことによって、正規受信者の誤受信を低減することができる。
【0045】
また、図2に示す多値信号生成フォーマットのように、多値基底13の任意の値に対応する多値データ14の値は、互いに異なることが好ましい。このことによって、多値信号15の多値誤り範囲Jには、より多くの種類の多値基底13の値及び多値データ14の値が含まれる。この結果として、盗聴に対する安全性は向上する。
【0046】
また、データ送信装置101は、2値乱数多値化部112及び2値データ多値化部113を備えず、2値乱数12及び2値データ10から2値ビットパターンの論理処理によって直接的に多値信号15を生成してもよい。この場合には、データ受信装置201も、2値乱数多値化部212及び2値データ復号部213を備えず、2値乱数22及び多値信号25から多値信号15を生成する。図5には、この様な構成としたデータ送信装置101を、データ送信装置101aとして示す。なお、図5において、データ送信装置101ははデータ送信装置101aとし、データ受信装置201ははデータ送信装置201aとし、多値信号生成部114は多値信号生成部114aとし、多値データ復号部214は多値データ復号部214aとしている。
【0047】
また、以上では、データ通信装置1が光通信を行い、光電変換の際に生じるショット雑音を秘密通信に利用した。しかし、データ通信装置1が行う通信は、光通信には限られず、データ受信装置201で変調信号16を復調する際に必ず雑音が生じる通信であればよい。従って、例えば、振幅変調信号、周波数変調信号、位相変調信号等を用いた通信であってもよい。この場合には、光伝送路30の代わりに自由空間等が伝送路となる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、第1の実施形態で用いた多値信号生成フォーマット(図2参照)を変形させた多値信号生成フォーマットを用いて、正規受信者の復号性能を向上させるデータ通信装置2(図示せず)について説明する。なお、第2の実施形態に係るデータ通信装置2の構成は、第1の実施形態に係るデータ受信装置1と同じ構成であるので、その説明は省略する。
【0049】
ここで、第1の実施形態で図4を用いて説明した、正規受信者が多値データ14を復号する場合について考える。図4に示す通り、例えば、多値基底23の値「5」を用いて4つの多値信号15のレベル「5,13,21,29」が特定され、多値信号25の多値誤り範囲Jの拡大等によって、正規の多値信号15のレベル「21」に隣接するレベル「29」が誤って多値信号15のレベルとして判定されたとする。この場合、復号される2値データ20の値「00」は、正規の2値データ10の値「11」に対して、2ビットの誤りを含んでいる。この様に、特定された多値信号15のレベルのうち、正規のレベルに対応する2値データと、当該正規のレベルに隣接するレベルに対応する2値データとのハミング距離は、正規受信者の復号性能に影響する。ここで、ハミング距離とは、等しい文字数を持つ二つの文字列の間で、対応する位置にある異なった文字の個数である。
【0050】
データ通信装置2は、上記した多値誤り範囲Jの拡大等によって生じる多値信号25のレベルの誤判定による2値データ20のビット誤りの数量を低減できる多値信号生成フォーマットを用いる。図6は、第2の実施形態に係るデータ通信装置2が用いる多値信号生成フォーマットの一例を示す図である。図6の多値信号生成フォーマットは、多値データ生成符号化則として、多値データ14の任意の隣接する値にそれぞれ対応する2値データ10の値の間でハミング距離が最小となる符号化則(例えば、Gray符号化則)を用いる点で、図2の多値信号生成フォーマットと異なる。すなわち、第2の実施形態に係るデータ通信装置2は、互いに隣接する多値データ14の値にそれぞれ対応する2値データ10のビットパターンの間のハミング距離が、互いに隣接しない多値データ14の値にそれぞれ対応する2値データ10のビットパターンの間のハミング距離以下となる多値信号生成フォーマットを用いる。
【0051】
具体的には、図6に示す通り、多値データ14の値「0」に対応する2値データ10の値「00」と、多値データ14の値「3」に対応する2値データ10の値「10」とのハミング距離は、1となる。多値データ14の値「3」に対応する2値データ10の値「10」と、多値データ14の値「2」に対応する2値データ10の値「11」とのハミング距離は、1となる。多値データ14の値「2」に対応する2値データ10の値「11」と、多値データ14の値「1」に対応する2値データ10の値「01」とのハミング距離は、1となる。多値データ14の値「1」に対応する2値データ10の値「01」と、多値データ14の値「0」に対応する2値データ10の値「00」とのハミング距離は、1となる。
【0052】
ここで、一例として、図6の多値信号生成フォーマットを用いて、正規受信者が2値データ10の値「10」を復号する場合について考える(矢印で示す太枠を参照)。図6に示す通り、多値基底23の値「5」を用いて4つの多値信号15のレベル「5,13,21,29」が特定される。ここで、この特定された多値信号15のレベル「5,13,21,29」はそれぞれ、多値データ14の値「1,2,3,0」に対応する。そして、多値信号25の多値誤り範囲Jの拡大等によって、正規の多値信号15のレベル「21」に隣接するレベル「29」が多値信号15のレベルとして誤って判定されたとする。この場合、復号される2値データ20の値「00」は、正規の2値データ10の値「10」に対して、1ビットの誤りしか生じない。
【0053】
以上に説明した通り、第2の実施形態に係るデータ通信装置2は、多値データ生成符号化則として、多値データ14の任意の隣接する値にそれぞれ対応する2値データ10の値の間でハミング距離が最小となる符号化則を多値信号生成フォーマットに用いる。このことによって、データ通信装置2は、第1の実施形態に係るデータ通信装置1と同様の効果を得つつ、更に、正規受信者の復号性能を向上させることができる。
【0054】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第2の実施形態で用いた多値信号生成フォーマット(図6参照)を変形させた多値信号生成フォーマットを用いて、盗聴に対する安全性能を向上させるデータ通信装置3(図示せず)について説明する。なお、第3の実施形態に係るデータ通信装置3の構成は、第1の実施形態に係るデータ受信装置1と同じ構成であるので、その説明は省略する。
【0055】
ここで、第2の実施形態に係るデータ通信装置2の秘密通信を、多値信号25の多値誤り範囲J=3の条件において盗聴者が傍受する場合について考える。図7は、図6の多値信号生成フォーマットを用いるデータ通信装置2の盗聴に対する安全性について説明するための図である。なお、図7に示す多値信号生成フォーマットは、図6に示す多値信号生成フォーマットと同じである。図7に示す通り、正規の多値信号15のレベルが「21」である場合、盗聴者は、「20,21,22」のいずれかを多値信号25のレベルとして復調する。ここで、正規の多値信号15のレベル「21」は、2値乱数12のビットパターン「101」に対応しており、誤りの多値信号15のレベル「20,22」は、それぞれ、2値乱数12のビットパターン「100,110」に対応している。盗聴者が多値信号15のレベル「20」を多値信号25として誤って復調した場合、盗聴者が特定する誤りの2値乱数12のビットパターン「100」は、正規の2値乱数12のビットパターン「101」に対して1ビットの誤りを含む。また、盗聴者が多値信号15のレベル「22」を多値信号25とし誤って復調した場合、盗聴者が特定する誤りの2値乱数12のビットパターン「110」は、正規の2値乱数12のビットパターン「101」に対して2ビットの誤りを含む。
【0056】
つまり、図6の多値信号生成フォーマットを用いるデータ通信装置2において、盗聴者は、3ビットの2値乱数12に対して、0〜2個のビット誤りを有する2値乱数12を特定することとなる。盗聴に対する安全性を高めるには、盗聴者が特定する2値乱数12が有するビット誤りの数量を増やすことが好ましい。
【0057】
データ通信装置3は、上記した盗聴者が特定する2値乱数12が有するビット誤りの数量を増やすことができる多値信号生成フォーマットを用いる。図8は、第3の実施形態に係るデータ通信装置3が用いる多値信号生成フォーマットの一例を示す図である。図8の多値信号生成フォーマットは、多値基底生成符号化則として、多値基底13の任意の隣接する値にそれぞれ対応する2値乱数12のビットパターンの間でハミング距離が大きい符号化則(例えば、MH符号化則)を用いる点で、図6の多値信号生成フォーマットと異なる。すなわち、互いに隣接する前記多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離が、互いに隣接しない前記多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離以上となる多値信号生成フォーマットを用いる。
【0058】
図8の多値信号生成フォーマットでは、一例として、多値基底13の値「0,1,2,3,4,5,6,7」に対して、それぞれ、2値乱数12のビットパターン「000,111,010,101,110,001,100,011」を割当てている。このことによって、図8の多値信号生成フォーマットにおいて、隣接する2値乱数12のビットパターン間のハミング距離は、2〜3となる。この結果として、図8の多値信号生成フォーマットを用いるデータ通信装置3において、盗聴者は、3ビットの2値乱数12に対して、2〜3個のビット誤りを有する2値乱数12を特定することとなる。
【0059】
以上に説明した通り、第3の実施形態に係るデータ通信装置3は、多値基底生成符号化則として、多値基底13の任意の隣接する値にそれぞれ対応する2値乱数12の値の間でハミング距離が大きい符号化則を多値信号生成フォーマットに用いる。このことによって、データ通信装置3は、第2の実施形態に係るデータ通信装置2と同様の効果を得つつ、更に、盗聴に対する安全性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係るデータ通信装置は、盗聴・傍受等を受けない安全な秘密通信装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置1の構成の一例を示すブロック図
【図2】多値信号生成部114及び多値データ復号部214が用いる多値信号生成フォーマットの一例
【図3】図2の多値信号生成フォーマットを用いて、多値信号15を生成する方法について説明するための図
【図4】正規受信者が、図2の多値信号生成フォーマットを用いて、多値データ14と等しい多値データ24を復号する方法について説明するための図
【図5】本発明の第1の実施形態に係るデータ通信装置1の別の構成例を示すブロック図
【図6】第2の実施形態に係るデータ通信装置2が用いる多値信号生成フォーマットの一例を示す図
【図7】図6の多値信号生成フォーマットを用いるデータ通信装置2の盗聴に対する安全性について説明するための図
【図8】第3の実施形態に係るデータ通信装置3が用いる多値信号生成フォーマットの一例を示す図
【図9】Y−00プロトコルを用いた従来のデータ通信装置9の構成例を示すブロック図
【図10】Y−00プロトコルを用いた従来のデータ通信装置9における多値信号93を生成する信号フォーマットを示す図
【図11】従来のデータ通信装置9で用いられる信号形態を説明するための模式図
【符号の説明】
【0062】
1、1a、9 データ通信装置
4、24 多値データ
10、20、90、98 2値データ
11、21、91、96 鍵情報
12、22 2値乱数
13、23、92、97 多値基底
15、25、81、93、95 多値信号
16、94 変調信号
30、910 光伝送路
82 受信系列
101、101a、901 データ送信装置(送信部)
111、211 2値乱数生成部
112、212 2値乱数多値化部
113 2値データ多値化部
114、114a、912 多値信号生成部
115、913 変調部
116、216、911、914 多値基底生成部
201、201a、902 データ受信装置(受信部)
213、916 2値データ復号部
214、214a、 多値データ復号部
215、915、921 復調部
903 盗聴受信部
922 多値識別部
923 解読処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の鍵情報に基づいて、データ受信装置との間で秘密通信を行うデータ送信装置であって、
前記鍵情報に基づいて、2値乱数を生成する2値乱数生成部と、
前記2値乱数のビットパターンと、前記データ受信装置へ送信する2値データのビットパターンとの組合せに対応したレベルの多値信号を生成する多値信号生成部と、
前記多値信号を所定の変調方式で変調して、変調信号を生成する変調部とを備えることを特徴とする、データ送信装置。
【請求項2】
前記2値データを多値化し、当該2値データのビットパターンに対応した多値データを生成する2値データ多値化部と、
前記2値乱数のビットパターンに対応した多値の数値である多値基底を生成する2値乱数多値化部とを更に備え、
前記多値信号生成部は、前記多値データと前記多値基底との組合せに対応したレベルの多値信号を生成することを特徴とする、請求項1に記載のデータ送信装置。
【請求項3】
互いに隣接する前記多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない前記多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離以下であることを特徴とする、請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項4】
互いに隣接する前記多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない前記多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離以上であることを特徴とする、請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項5】
前記多値データの多値数は、2のべき乗で表される数であることを特徴とする、請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項6】
前記多値基底の多値数は、2のべき乗で表される数であることを特徴とする、請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項7】
前記多値データの多値数は、前記多値基底の多値数以下となることを特徴とする、請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項8】
前記多値データの多値数は、前記多値基底の多値数の約数となることを特徴とする、請求項7に記載のデータ送信装置。
【請求項9】
前記多値信号の多値数は、前記多値データの多値数と前記多値基底の多値数との積となることを特徴とする、請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項10】
前記多値信号のレベルと、前記多値基底の値と前記多値データの値との組み合わせとは、一意の対応関係にあることを特徴とする、請求項9に記載のデータ送信装置。
【請求項11】
互いに隣接する前記多値信号にそれぞれ対応する前記多値データの値は、互いに異なることを特徴とする、請求項2に記載のデータ送信装置。
【請求項12】
前記多値データの多値数は、前記データ受信装置が前記変調信号を復調する際に生じる雑音が存在する前記多値信号のレベルの数量以下となることを特徴とする、請求項9に記載のデータ送信装置。
【請求項13】
所定の鍵情報に基づいて、データ送信装置との間で秘密通信を行うデータ受信装置であって、
前記データ送信装置から受信した変調信号を所定の復調形式で復調し、当該復調の際に生じる雑音を含む多値信号を出力する復調部と、
前記鍵情報に基づいて、2値乱数を生成する2値乱数生成部と、
前記2値乱数のビットパターンに対応する複数のレベルのうち、前記雑音を含む多値信号のレベルの範囲に含まれるレベルに対応する2値データのビットパターンを復号する多値データ復号部とを備えることを特徴とする、データ受信装置。
【請求項14】
前記2値乱数のビットパターンに対応した多値の数値である多値基底を生成する2値乱数多値化部と、
前記2値データに対応する多値データから2値データを復号する2値データ復号部とを更に備え、
前記多値データ復号部は、前記多値基底が対応する複数のレベルのうち、前記雑音を含む多値信号のレベルの範囲に含まれるレベルに対応する前記多値データを復号することを特徴とする、請求項13に記載のデータ受信装置。
【請求項15】
互いに隣接する前記多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない前記多値データの値にそれぞれ対応する2値データのビットパターンの間のハミング距離以下であることを特徴とする、請求項14に記載のデータ受信装置。
【請求項16】
互いに隣接する前記多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離は、互いに隣接しない前記多値基底の値にそれぞれ対応する2値乱数のビットパターンの間のハミング距離以上であることを特徴とする、請求項14に記載のデータ受信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−17231(P2009−17231A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176612(P2007−176612)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】