説明

トナー、並びに該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジ

【課題】帯電特性、耐久性、帯電環境安定性、及び造粒性に優れたトナー、及び画像形成方法並びにプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】トナーは、少なくとも結着樹脂及び結着樹脂前駆体のいずれかと帯電制御剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて前記トナー材料の溶解乃至分散液を調製する溶解乃至分散液調製工程と、前記溶解乃至分散液を水系媒体中に添加し乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調製する乳化乃至分散液調製工程と、前記乳化乃至分散液から前記有機溶媒を除去する有機溶媒除去工程とを含むトナーの製造方法によって製造され、前記帯電制御剤がトリメシン酸誘導体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像の現像に用いられるトナー、並びに該トナーを用いた画像形成方法及びプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成技術分野では、より高画質のフルカラー画像形成が要求されており、高画質化への現像剤設計がなされてきている。高画質化、特にフルカラー画質への要求に対応するために、トナーとしてはますます小粒径化が進み、潜像を忠実に再現することが検討されている。この小粒径化に対しては、トナーを所望のトナー形状及び表面構造に制御することを可能とする手段として、重合法によるトナー製造方法が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
重合法トナーでは、トナー粒子の粒径制御に加えて形状制御も可能である。形状制御と併せて粒径を小さくすることにより、ドットや細線の再現性が良くなり、パイルハイト(画像層厚)も低くすることが可能となり、より高画質化が期待できる。前記トナーは、通常、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及びその他の外添剤により構成されている。
【0003】
これまで、良好な帯電特性、経時安定性、及び環境安定性を付与する目的で、様々な帯電制御剤を添加したトナーが提案されている。この場合、フルカラートナー用の帯電制御剤として有色材料を用いることができないため、色相に影響を与えない無色、白色、又は淡色の帯電制御剤を使用しなければならない。
このような帯電制御剤としては、例えば、サリチル酸誘導体の金属錯塩化合物(特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6参照)、芳香族ジカルボン酸金属塩化合物(特許文献7参照)、アントラニル酸誘導体の金属錯塩化合物(特許文献8参照)、有機ホウ素化合物(特許文献9、及び特許文献10参照)などが提案されている。
しかしながら、これらの帯電制御剤は、環境安定性に対して懸念されるクロムを含有する化合物であったり、耐久性の不足、帯電性付与効果の不足、環境安定性の不足等の欠点があり、帯電制御剤として十分満足する性能を有するものではなかった。
【0004】
また、重合法トナーでは、トナー構成材料に由来する帯電制御剤の分解が生じたり、トナー中での分散が困難であったりするため、多くの場合、帯電制御剤としての機能が十分に発揮出来ないという問題がある。したがって、重合法トナーに適用可能な帯電制御剤を使用し制御することによって、トナーの帯電性、耐久性、及び環境安定性に優れ、さらに、小粒径化による高画質化との両立が期待できるトナー及びその関連技術は未だ提供されておらず、その速やかな提供が望まれているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、帯電特性、耐久性、帯電環境安定性、及び造粒性に優れたトナー、該トナーを用いた画像形成方法並びにプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも結着樹脂及び結着樹脂前駆体のいずれかと帯電制御剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて前記トナー材料の溶解乃至分散液を調製する溶解乃至分散液調製工程と、前記溶解乃至分散液を水系媒体中に添加し乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調製する乳化乃至分散液調製工程と、前記乳化乃至分散液から前記有機溶媒を除去する有機溶媒除去工程とを含むトナーの製造方法によって製造され、前記帯電制御剤が下記一般式(I)で表されるトリメシン酸誘導体を含むことを特徴とするトナーである。
【化1】

ただし、前記一般式(I)において、R〜Rは、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基、フェニル基、及びフルオロアルキル基のいずれかを表し、前記R〜Rのうち、隣接するもの同士が結合して環を形成してもよい。
<2> トリメシン酸誘導体が、トナー内部に含有される前記<1>に記載のトナーである。
<3> 体積平均粒径が、1μm〜6μmである前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> 乳化乃至分散液調製工程における水系媒体が、平均粒径5nm〜50nmのアニオン性樹脂微粒子とアニオン性界面活性剤とを含む前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> 結着樹脂が、ポリエステル系樹脂を含む前記<1>から<4>のいずれかに記載のトナーである。
<6> トナー100質量部に対して、トリメシン酸誘導体を0.01質量部〜5.0質量部含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> トリメシン酸誘導体の平均分散径が、10nm〜500nmである前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> 帯電量が、−80μC/g〜−10μC/gである前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> トナーの体積固有抵抗ρ(Ω・cm)の常用対数値であるLogρが、10.9Ω・cm〜11.4Ω・cmである前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーである。
<10> 体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比、Dv/Dnが、1.05〜1.25である前記<1>から<9>のいずれかに記載のトナーである。
<11> 平均円形度が、0.950〜0.990である前記<1>から<10>のいずれかに記載のトナーである。
<12> BET比表面積が、0.5m/g〜4.0m/gである前記<1>から<11>のいずれかに記載のトナーである。
<13> トナー材料が、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂を含む前記<1>から<12>のいずれかに記載のトナーである。
<14> 電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上に前記<1>から<13>のいずれかに記載のトナーを用いてトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に一次転写されたトナー像を記録材上に二次転写する二次転写工程と、前記記録材上に二次転写されたトナー像に対して熱及び圧力を加えて該記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写後及び前記二次転写後のいずれかにおいて電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法である。
<15> 二次転写工程において、トナー像を記録材に転写する線速度が300mm/sec〜1,000mm/secであり、転写時間が0.5msec〜20msecである前記<14>に記載の画像形成方法である。
<16> 1回の画像形成に対し、帯電工程、露光工程、現像工程、一次転写工程、二次転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を含む画像形成工程をタンデム方式で複数同時に行う前記<14>から<15>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<17> 電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を前記<1>から<13>のいずれかに記載のトナーを用いてトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写体上に一次転写されたトナー像を記録材上に二次転写する二次転写手段と、前記記録材上に二次転写されたトナー像に対して熱及び圧力を加えて該記録材上に定着させる定着手段と、前記一次転写後及び前記二次転写後のいずれかにおいて電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を備えた画像形成装置における各手段のうち、少なくとも前記電子写真感光体と、前記現像手段とを、一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたことを特徴とするプロセスカートリッジである。
<18> 更に、帯電手段、転写手段及びクリーニング手段のいずれかから選択される少なくとも1つの手段を含む前記<17>に記載のプロセスカートリッジである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前記従来における諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、帯電特性、耐久性、帯電環境安定性、及び造粒性に優れたトナー、該トナーを用いた画像形成方法並びにプロセスカートリッジを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のトナーの概略的な構造を示す図である。
【図2】図2は、接触式のローラ式帯電装置の一例の概略構成図である。
【図3】図3は、接触式のブラシ式帯電装置の一例の概略構成図である。
【図4】図4は、磁気ブラシ式帯電装置の一例の概略構成図である。
【図5】図5は、現像器の一例の概略構成図である。
【図6】図6は、定着装置の一例の概略構成図である。
【図7】図7は、定着ベルトの層構成を示す図である。
【図8】図8は、本発明のプロセスカートリッジの一例の概略構成図である。
【図9】図9は、画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図10】図10は、画像形成装置の他の例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(トナー)
本発明のトナーは、溶解乃至分散液調製工程Aと、乳化乃至分散液調製工程Bと、有機溶媒除去工程Cとによって製造されることとしてなる。
【0010】
<溶解乃至分散液調製工程A>
前記溶解乃至分散液調製工程Aは、少なくとも結着樹脂及び結着樹脂前駆体のいずれかと帯電制御剤とを含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて前記トナー材料の溶解乃至分散液を調製する工程としてなる。
前記結着樹脂前駆体としては、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)が挙げられ、前記結着樹脂に代えて該結着樹脂前駆体を用いる場合、前記乳化乃至分散液調製工程Bにおいて、前記活性水素基含有化合物と反応させて前記結着樹脂前駆体に由来する結着樹脂が得られる。
前記トナー材料としては、結着樹脂及び結着樹脂前駆体のいずれかと前記帯電制御剤とを含む限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、更に必要に応じて、その他の成分として、離型剤、等が挙げられる。
なお、前記有機溶媒は、前記乳化乃至分散液調製工程Bにおける前記トナーの造粒時乃至造粒後、前記有機溶媒除去工程Cにおいて除去される。
【0011】
−有機溶媒−
前記有機溶媒としては、前記トナー材料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの造粒時乃至造粒後の除去の容易性の点で沸点が150℃未満のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を用いることができる。また、エステル系溶剤が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー材料100質量部に対し、40質量部〜300質量部が好ましく、60質量部〜140質量部がより好ましく、80質量部〜120質量部が特に好ましい。
なお、前記トナー材料の溶解乃至分散液の調製としては、前記有機溶媒中に、前記結着樹脂、前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記離型剤、前記着色剤、前記帯電制御剤等のトナー材料を、溶解乃至分散させることにより行うことができる。
また、前記トナー材料の中で、前記溶解乃至分散工程に用いられる成分としては、少なくとも前記結着樹脂及び前記結着樹脂前駆体のいずれかが含まれていればよく、これ以外の成分については、前記乳化乃至分散液調製工程における水系媒体の調製において、該水系媒体中に添加混合してもよいし、又は前記トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体に添加する際に、溶解乃至分散液と共に前記水系媒体に添加してもよい。
【0012】
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤は、下記一般式(I)で表されるトリメシン酸誘導体を含むこととしてなる。
【化2】

ただし、前記一般式(I)において、R〜Rは、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基、フェニル基、及びフルオロアルキル基のいずれかを表し、前記R〜Rのうち、隣接するもの同士が結合して環を形成してもよい。
【0013】
前記アルキル基としては、炭素数が1〜12の直鎖又は分岐していてもよいアルキル基を挙げることができ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
前記フルオロアルキル基としては、炭素数が1〜12の直鎖又は分岐していてもよいフルオロアルキル基を挙げることができ、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
前記R〜Rのうち、隣接するもの同士が結合して環を形成するものとしては、前記R〜Rで置換されたフェニル基と一辺を共有してナフチル基、アントリル基を形成するもの等が挙げられる。
以下に、前記トリメシン酸誘導体の具体例を示す。
【0014】
【化3】

【0015】
前記トリメシン酸誘導体としては、前記トナーの内部に含有されることが好ましい。
即ち、前記トリメシン酸誘導体は、前記トナー粒子本体中の樹脂に対する親和性の差を利用することで、いわゆる内添が可能とされる。
前記トリメシン酸誘導体を内添する場合、前記トリメシン酸誘導体を外添する場合に比べ、感光体に対するトナーのフィルミングを防止することができ、また、低温定着性を向上させることができる。
ここで、従来、トナーの帯電性向上を目的とした帯電制御剤としては、サリチル酸誘導体の金属錯体化合物等の各種帯電制御剤が提案されているが、これらの帯電制御剤は、トナーに内添させると、トナー材料と反応して分解する問題がある。
前記トリメシン酸誘導体は、トナーに内添させても、このような問題がなく、トナーに対して優れた帯電特性、耐久性、帯電環境安定性、及び造粒性を付与することができることができ、従来のトナーと一線を画したトナーを提供できる。
なお、本明細書において、トナーの内部に含有されるとは、前記トリメシン酸誘導体がトナー外部に露出することなく含有される場合のほか、一部が外部に露出するようにトナー表面の近傍に含有される場合を含む。
【0016】
前記溶解乃至分散液調製工程Aで調整される溶解乃至分散液における前記トリメシン酸誘導体の平均分散径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm〜500nmが好ましく、10nm〜300nmがより好ましく、50nm〜300nmが特に好ましい。
前記平均分散径が10nm未満であると、前記トリメシン酸誘導体がトナー粒子本体の内側で凝集し、十分な帯電特性が得られないことがあり、500nmを超えると、トナーの表面性状が悪化し、キャリアを汚染し長期に亘り十分な帯電特性を維持することができず、更に帯電特性の環境安定性を阻害することがある。
【0017】
前記トリメシン酸誘導体の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トリメシン酸誘導体を分散させる有機溶媒分散液100質量部に対し、5質量部〜25質量部が好ましい。
前記添加量が、5質量部未満であると帯電性の向上が期待できないことがあり、25質量部を超えると定着特性の低下、キャリア汚染を生ずることがある。
【0018】
また、前記トナー100質量部に対する前記トリメシン酸誘導体の含有量としては、0.01質量部質量部〜5.0質量部が好ましく、0.1質量部〜3.0質量部がより好ましい。
前記含有量が、0.01質量部未満であると帯電性の向上が期待できないことがあり、5.0質量部を超えると定着特性の低下、キャリア汚染を生ずることがある。
【0019】
前記トリメシン酸誘導体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、国際公開第2006/101144号パンフレット(特に、実施例2)を応用して製造することができる。
また、前記実施例2の化合物は、塩化チオニルを用い、以下のようにして製造することもできる。
トルエン3.0Lに4−オキソ−4H−ピラン−2,6−ジカルボン酸1水和物150.0g(0.751mol)を加え、これに塩化チオニル308.6g(2.59mol)、DMF 2mLを加え、6時間還流する。放冷後溶媒を減圧留去し、残留物にTHF 3.0Lを加えて溶解する。これにトリエチルアミン262.4g(2.59mol)を加え、氷水で冷却しながら4−t−ブチルアニリン243.6g(1.63mol)を滴下する。室温で一晩撹拌後、結晶を吸引濾取し、2LのTHFで洗浄する。結晶を8Lの水に加え、室温で8時間撹拌後、結晶を吸引濾取し、3Lの水で洗浄する。80℃で乾燥後、酢酸エチルから再結晶し、2,6−ジ(4−t−ブチルフェニルアミノカルボニル)−γ−ピロン231.3g(69.0%)を得ることができる。
前記方法を応用して前記トリメシン酸誘導体を製造する場合、トリメシン酸誘導体は、その酸塩化物を用いて反応させることにより製造することができる。そのため、最初の塩化チオニルとの反応は、必要ない。また、ピロンではアミンとの反応後に結晶が析出してくるが、トリメシン酸誘導体は溶媒への溶解度が高いため、その濾液の溶媒を減圧留去して、残留物を再結晶して得ることができる。他は、アミンなどの当量数を合わせればよい。
また、特開2009−42750号公報、特開2009−86655公報に記載の方法を参照し、適宜変更することにより製造することもできる。
【0020】
前記帯電制御剤としては、前記トリメシン酸誘導体を用いる限り、特に制限はなく、前記トナーに外添させる帯電制御剤として、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
また、前記トリメシン酸誘導体以外の帯電制御剤としては、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、電子供与性の官能基を持つ樹脂又は化合物、アゾ染料、有機酸の金属錯体などを用いることができる。具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84(以上、オリエント化学工業社製)、サリチル酸系金属錯体のTN−105、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
【0022】
−結着樹脂及び結着樹脂前駆体−
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等、公知の結着樹脂を用いることができる。
この中でも、定着時にシャープメルトし、画像表面を平滑化できる点で、低分子量化しても十分な可撓性を有するポリエステル系樹脂が好ましい。該ポリエステル系樹脂を用いる場合、更に他の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
前記ポリエステル系樹脂とは、下記一般式(1)で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、
A−(OH)m ・・・ (1)
ただし、前記一般式(1)中、Aは、炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基、及びヘテロ環芳香族基のいずれかを表す。mは、2〜4の整数を表す。
下記一般式(2)で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸をポリエステル化したものが好ましい。
B−(COOH)n ・・・(2)
ただし、前記一般式(2)中、Bは、炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基、及びヘテロ環芳香族基のいずれかを表す。nは、2〜4の整数を表す。
【0024】
前記一般式(1)で表される具体的なポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物等が挙げられる。
【0025】
前記一般式(2)で表される具体的なポリカルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)等が挙げられる。
【0026】
前記結着樹脂の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記有機溶媒分散液100質量部に対し、5質量部〜25質量部が好ましい。
前記結着樹脂が5質量部よりも少ないと、カリックスアレン誘導体の分散径が小さくならない恐れがあり、結着樹脂が25質量部よりも多いと、前記トナー材料の溶解又は分散液に添加した際、凝集が起こり、異形化及び帯電付与効果が十分に得られない恐れがある。
前記有機溶媒分散液としては、該有機溶媒分散液100質量部に対し、前記カリックスアレン誘導体を5質量部、及び前記結着樹脂を5質量部含むことが特に好ましい。
【0027】
−−活性水素基含有化合物−−
前記トナー材料中に活性水素基含有化合物及び該化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂が含まれることにより、得られるトナーの機械的強度が高まり、外添剤の埋没を抑制することができる。また、該トナーの加熱定着時の流動性を調節でき定着温度幅を広げることもできる。
なお、本明細書において、前記活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂が、結着樹脂前駆体に相当する。
【0028】
前記活性水素基含有化合物は、前記乳化乃至分散液調製工程における水系媒体中で、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。
前記活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体がイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、アミン類(B)が好ましい。
【0029】
前記活性水素基としては、活性水素基を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、(B1)〜(B5)におけるアミノ基をブロックしたもの(B6)、などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物が好ましい。
【0031】
前記ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、等が挙げられる。
前記芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
【0032】
前記3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、等が挙げられる。また、アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、等が挙げられる。また、アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。
【0033】
前記(B1)〜(B5)におけるアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、(B1)から(B5)のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物等が挙げられる。
【0034】
前記活性水素基含有化合物と前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いることが好ましい。
前記反応停止剤を用いると、接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる。
前記反応停止剤としては、特に制限はなく、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などを用いることができる。
【0035】
前記アミン類(B)と、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、特に制限はないが、前記イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3〜3/1であることが好ましく、1/2〜2/1であることがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であることが特に好ましい。
前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0036】
−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」)としては、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂等を用いることができる。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が好ましい。なお、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記プレポリマーにおける活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等が挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が好ましい。
また、前記プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基を含有するウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が好ましい。
【0038】
前記ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基等が挙げられる。
前記ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)等が好ましい。
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの等が挙げられる。
前記ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジオール(DIO)単独、又はジオール(DIO)と少量の3価以上のポリオール(TO)との混合物が好ましい。
【0039】
前記ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
前記アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
前記アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
また、前記脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。
前記ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。
前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
【0040】
前記3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
前記3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノール体(本州化学工業株式会社製のトリスフェノールPAなど)、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
【0041】
前記ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物におけるジオール(DIO)と前記3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0042】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はジカルボン酸(DIC)と少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
【0043】
前記ジカルボン酸(DIC)としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、等が挙げられる。
前記アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。
前記アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
【0044】
前記3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、等が挙げられる。
前記芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0045】
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。
前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
【0046】
前記ジカルボン酸(DIC)と前記3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物におけるジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
【0047】
前記ポリオール(PO)と前記ポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
【0048】
前記ポリオール(PO)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0049】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの等が挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナト−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
前記イソシアヌレート類としては、例えば、トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。
これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0050】
前記ポリイソシアネート(PIC)と、前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、前記ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と前記水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがある。
【0051】
前記ポリイソシアネート(PIC)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が更に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0052】
前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、特に制限はないが、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。前記イソシアネート基の平均数が1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
【0053】
前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)の重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はないが、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。
【0054】
前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
即ち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調製した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50〜200μL注入して測定する。試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、及び4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
【0055】
前記結着樹脂としては、紙等の記録材に対し接着性を示し、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と、を水系媒体中で反応させてなる接着性ポリマーを含むことが好ましい。
前記結着樹脂の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3,000以上が好ましく、5,000〜1,000,000がより好ましく、7,000〜500,000が特に好ましい。重量平均分子量が、3,000未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがあるからである。
【0056】
前記結着樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、30℃〜70℃が好ましく、40℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。
前記トナーでは、架橋反応、伸長反応したポリエステル樹脂が共存しているので、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な保存性を示す。
【0057】
前記ガラス転移点(Tg)は、具体的に次のような手順で決定される。測定装置として島津製作所製TA−60WS、及びDSC−60を用い、次に示す測定条件で測定する。
測定条件
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(フタあり)
サンプル量:5mg
リファレンス:アルミニウム製サンプルパン(アルミナ10mg)
雰囲気:窒素(流量50mL/min)
温度条件
開始温度:20℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
保持時間:なし
降温温度:10℃/min
終了温度:20℃
保持時間:なし
昇温速度:10℃/min
終了温度:150℃
【0058】
測定される結果に対して、前記島津製作所製データ解析ソフト(TA−60、バージョン1.52)を用いて解析を行う。解析方法は、2度目の昇温のDSC微分曲線であるDrDSC曲線のもっとも低温側に最大ピークを示す点を中心として±5℃の範囲を指定し、解析ソフトのピーク解析機能を用いてピーク温度を求める。次にDSC曲線で前記ピーク温度+5℃、及び−5℃の範囲で解析ソフトのピーク解析機能を用いてDSC曲線の最大吸熱温度を求める。ここで示された温度がトナーのTgに相当する。
【0059】
以下に、前記結着樹脂及び前記結着樹脂前駆体のより具体的な製造例について説明する。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリエステル系樹脂が特に好適である。
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ウレア変性ポリエステル系樹脂と未変性ポリエステル樹脂が特に好適なものとして挙げられる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂は、活性水素基含有化合物としてのアミン類(B)と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)とを水系媒体中で反応させて得られる。
前記ウレア変性ポリエステル系樹脂としては、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよい。この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。前記ウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがあるからである。
【0060】
前記ウレア変性ポリエステル樹脂及び前記未変性ポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる。即ち、
(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物である。
(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物である。
(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物である。
(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物である。
(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物である。
(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物
(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物である。
(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物である。
(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物である。
(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物である。
【0061】
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の生成方法としては、例えば、(1)活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む前記トナー材料の溶解乃至分散液を、前記活性水素基含有化合物(例えば、アミン類(B))と共に、前記水系媒体中に乳化乃至分散させ、油滴を形成し、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させる方法、(2)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した前記水系媒体中に乳化乃至分散させ、油滴を形成し、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させる方法、(3)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、前記水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、油滴を形成し、該水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させる方法、が挙げられる。なお、(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子に濃度勾配を設けることが可能となる。
【0062】
前記乳化乃至分散により、結着樹脂を生成させるための反応条件としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と活性水素基含有化合物との組み合わせに応じて適宜選択することができる。なお、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
【0063】
前記水系媒体中において、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))を含む分散体を安定に形成する方法としては、例えば、前記水系媒体中に、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(例えば、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A))、前記着色剤、前記離型剤、前記帯電制御剤、前記未変性ポリエステル樹脂等のトナー材料を有機溶媒に前記溶解乃至分散させて調製したトナー材料の溶解乃至分散液を添加し、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。
【0064】
前記乳化乃至分散において、前記水系媒体の使用量としては、前記トナー材料100質量部に対し、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。使用量が50質量部未満であると、トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、生産コストが高くなる。
【0065】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
【0066】
−−着色剤−−
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0067】
前記着色剤のトナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記着色剤の含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
【0068】
前記着色剤としては、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0069】
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0070】
前記マスターバッチとしては、マスターバッチ用の前記樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練して製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。
また、いわゆるフラッシング法も前記着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。
このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶媒成分を除去する方法である。
前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
前記着色剤は2つの樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることができる。
前記着色剤はトナー表面に存在した際にトナーの帯電性能を悪化させることが良く知られている。そのため内層に存在する第一の樹脂相に選択的に着色剤を含有させることで、トナーの帯電性能(環境安定性、電荷保持能、帯電量等)を向上させることができる。
【0071】
−−離型剤−−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50℃〜120℃の低融点の離型剤が好ましい。
前記低融点の離型剤は、前記樹脂と分散されることにより、前記離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好である。
【0072】
前記離型剤としては、例えば、ロウ類、ワックス類、等が好適に挙げられる。
前記ロウ類及び前記ワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
【0074】
前記離型剤は、2つの樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることができる。前記トナー外層に存在する第二の樹脂相に選択的に含有させると、前記離型剤の染み出しが定着時の短い加熱時間でも充分生じるため、充分な離型性を得ることができる。
また、前記離型剤を内層に存在する第一の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への離型剤のスペントを抑制させることができる。
【0075】
−−無機微粒子−−
前記無機微粒子は、前記トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として使用する。
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
前記トナーの流動性や現像性、帯電性を補助するための無機微粒子としては、80nm〜500nmの一次平均粒径を有する大粒径の無機微粒子の他にも、小粒径の無機微粒子を好ましく用いることができる。
前記小粒径の無機微粒子としては、疎水性シリカ及びまたは疎水性酸化チタンが好ましい。
前記小粒径の無機微粒子の一次平均粒径としては、5nm〜50nmが好ましく、10nm〜30nmがより好ましい。
前記無機微粒子のBET法による比表面積としては、特に制限はないが、20m/g〜500m/gであることが好ましい。
前記無機微粒子の配合量としては、トナーの0.01質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
【0077】
−−流動性向上剤−−
前記流動性向上剤は、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する機能を有する剤のことであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、等が挙げられる。
前記無機微粒子におけるシリカ、酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが好ましい。
【0078】
−−クリーニング性向上剤−−
前記クリーニング性向上剤は、感光体及び一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される。
前記クリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。
前記ポリマー微粒子としては、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、該ポリマー微粒子の体積平均粒径としては、0.01μm〜1μmが好ましい。
【0079】
−−磁性材料−−
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、等を用いることができる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
【0080】
<乳化乃至分散液調製工程B>
前記乳化乃至分散液調製工程Bは、前記溶解乃至分散液を水系媒体中に添加し乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調製する工程としてなる。
【0081】
前記トナー材料の溶解乃至分散液を前記水系媒体中で乳化乃至分散させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記溶解乃至分散液を前記水系媒体中で攪拌しながら分散させることが好ましい。
前記分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の分散機などを用いて行うことができる。
前記分散機としては、特に制限はなく、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機などが挙げられる。
前記乳化乃至分散の際、前記活性水素基含有化合物と、活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(プレポリマー)と、を伸長反応乃至架橋反応させると、接着性基材(結着樹脂)が生成する。
【0082】
−水系媒体−
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物などを用いることができるが、これらの中でも、水が好ましい。
前記水と混和可能な溶剤としては、水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などを用いることができる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。
前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0083】
前記乳化乃至分散液調製工程Bにおける水系媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アニオン性樹脂微粒子と、アニオン性界面活性剤とを含むことが好ましい。
【0084】
この場合、前記水系媒体の調製方法としては、例えば、前記アニオン性界面活性剤の存在下で前記アニオン性樹脂微粒子を水系媒体に分散させることにより行うことが好ましい。
前記アニオン性界面活性剤及び前記アニオン性樹脂微粒子の水系媒体に対する添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、それぞれ0.5質量%〜10質量%が好ましい。
【0085】
−−アニオン性樹脂微粒子−−
前記アニオン性樹脂微粒子は、トナー表面に付着して融着、融合し、比較的硬い表面を形成する。また、前記アニオン性樹脂微粒子は、アニオン性を有するため、トナー材料を含む液滴に吸着し、液滴同士の合一を抑える効果があり、トナーの粒度分布を制御するのに重要である。更に前記トナーの負帯電性を与えることもできる。これらの効果を発揮するために、アニオン性樹脂微粒子は平均粒径としては、5nm〜50nmが好ましく、10nm〜25nmがより好ましい。
前記平均粒径としては、アニオン性樹脂微粒子の一次粒子の平均粒径が該当し、該一次粒子の平均粒径は、SEM、TEM、光散乱法などによって測定でき、例えばレーザ散乱測定法による堀場製作所製LA−920によって、測定レンジに入るように適切な濃度に希釈して測定すればよい。
前記一次粒子の平均粒径は、体積平均径として求められる。
【0086】
前記アニオン性樹脂微粒子用の樹脂としては、前記水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細な球状の樹脂微粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されるのが好ましい。
なお、前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
【0087】
前記アニオン性樹脂微粒子は、アニオン性であることが必要である。先に示したアニオン性界面活性剤とともに用いた際に凝集させないためである。
前記アニオン性樹脂微粒子は、後に述べる製法でアニオン活性剤を用いたり、樹脂中にカルボン酸基、スルホン酸基などのアニオン性基を導入することによって作製することができる。
【0088】
前記アニオン性樹脂微粒子の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の重合法により重合させる方法、樹脂微粒子の水性分散液として得る方法が挙げられる。中でも、樹脂微粒子の水性分散液として得る方法が好ましい。
前記樹脂微粒子の水性分散液の調製方法としては、例えば以下の方法が好ましい。即ち、
(1)ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子Aの水性分散液を製造する方法である。
(2)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子Aの水性分散液を製造する方法である。
(3)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法である。
(4)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤の存在下、水中に分散させる方法である。
(5)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、該樹脂微粒子を適当な分散剤の存在下、水中に分散させる方法である。
(6)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次に溶剤を除去して樹脂微粒子を得た後、樹脂微粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法である。
(7)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法である。
(8)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法である。
【0089】
−−アニオン性界面活性剤−−
前記アニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤が好適に挙げられる。フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0090】
前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)、等が挙げられる。
【0091】
前記平均粒径が5nm〜50nmのアニオン性樹脂微粒子と、前記アニオン性界面活性剤とを含む水系媒体を用いて得られるトナーにおいては、前記着色剤及び前記結着樹脂を中心としたトナー材料を核としたトナー粒子本体の表面に、前記アニオン性樹脂微粒子が付着する。
なお、前記トナーの平均粒径は、乳化乃至分散液調製工程Bにおける水系媒体の攪拌等の乳化乃至分散条件により調整される。
【0092】
前記水系媒体には、前記アニオン性界面活性剤、前記樹脂微粒子に加えて、下記の無機化合物分散剤及び高分子系保護コロイドを併用することができる。難水溶性の無機化合物に対する分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。
【0093】
前記高分子系保護コロイドとしては、特に制限はなく、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールのエーテル化合物、ビニルアルコールとカルボキシル基とを含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、等が挙げられる。酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。
【0094】
前記ビニルアルコール又はビニルアルコールのエーテル化合物としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。
前記ビニルアルコールとカルボキシル基とを含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。
前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物等が挙げられる。
前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。
前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。
前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。
前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0095】
リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することが可能となる。
【0096】
<有機溶媒除去工程C>
前記有機溶媒除去工程Cは、前記乳化乃至分散液(乳化スラリー)から前記有機溶媒を除去する工程としてなる。
前記有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法等が挙げられる。
前記有機溶媒の除去が行われるとトナー粒子が形成される。形成されたトナー粒子に対し、洗浄、乾燥等を行い、更にその後、所望により分級等を行う。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行う。なお、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。
【0097】
こうして得られたトナー粒子を、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加したりすることにより、トナー粒子の表面から離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等が挙げられる。
この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック株式会社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所株式会社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
【0098】
<トナー特性>
前記各工程により製造されるトナーとしては、以下のトナー特性を有する。
【0099】
前記トナーの体積平均粒径(Dv)として測定される平均粒径としては、特に制限はないが、1μm〜6μmが好ましく、2μm〜5μmがより好ましい。前記体積平均粒径が1μm未満であると、一次転写及び二次転写においてトナーチリが発生しやすく、6μmを超えると、ドット再現性が不十分になり、ハーフトーン部分の粒状性も悪化して高精細な画像が得られなくなることがある。
【0100】
前記トナーの帯電量としては、トナー濃度7質量%でキャリア粒子と15秒間及び600秒間攪拌混合したときに得られるそれぞれの帯電量が、−10μC/g〜−80μC/gであることが好ましい。
前記帯電量が、−10μC/g未満であると、磁性キャリアとの吸着力が低く、低い現像電界でも現像されるトナー量が多くなるため、階調性のある高品位な画像が得られないことがある。また、逆帯電のトナー量が多くなり、白地背景部に現像されるトナー量が多く地かぶり等により画像品質が低下することがある。前記帯電量が、−80μC/gを超えると、磁性キャリアとの吸着力が大きくなり、現像されるトナー量が少なく画像濃度が低下する恐れがある。
【0101】
前記トナーの体積固有抵抗ρ(Ω・cm)の常用対数値Logρとしては、10.9Ω・cm〜11.4Ω・cmが好ましい。この場合、トナー中の着色剤等の分散状態が良好であり、優れたトナーの帯電安定性が得られ、トナー飛散及びかぶりが改善される。
前記Logρが、10.9Ω・cm未満であると導電性が高くなり、これにより帯電不良が生じ、地汚れやトナー飛散等が増加する傾向が見られる。また、静電オフセット等による異常画像の発生も生じ、高品位の画像が安定して得られない。一方、前記Logρが、11.4Ω・cmを超えると、抵抗が高くなるため帯電量が上昇し、画像濃度が低下する恐れがある。
【0102】
前記トナーの平均円形度としては、特に制限はないが、0.950〜0.990が好ましい。
前記平均円形度が0.950未満であると、現像時の画像均一性が悪化したり、電子写真感光体から中間転写体もしくは中間転写体から記録材へのトナー転写効率が低下し均一転写が得られなくなることがある。前記平均円形度が0.990を超えると、トナーがクリーニングブレードを擦り抜け、クリーニング不良が起こる恐れがある。
また、前記トナーは、水系媒体中で乳化処理をして製造されるものであり、このような製造方法は、特にカラートナーにおける小粒径化、及び前記平均円形度を有する形状を得るために効果的である。
【0103】
前記トナーの平均円形度は、平均円形度X=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%で定義される。前記平均円形度は、以下の方法で測定することができる。
即ち、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;シスメックス社製)を用いて計測し、解析ソフト(FPIA−2100 Data Processing Program For FPIA Version00−10)を用いて測定することができる。
【0104】
前記トナーにおける体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.25以下が好ましく、1.05〜1.25がより好ましい。
前記(Dv/Dn)が、1.05未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力の低下や、クリーニング性の悪化につながり易い。一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。また、前記(Dv/Dn)が1.25を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒径の変動が大きくなることがある。また、トナーの帯電量分布も広くなるために高品位な画像を得るのが困難になる。
一方、前記(Dv/Dn)を1.25以下とすることで、帯電量分布が均一になり、地肌かぶりを少なくすることができる。
また、前記(Dv/Dn)1.05〜1.25であると、保存安定性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性のいずれにも優れたトナーとなりやすい。特に、フルカラー複写機に使用した場合に画像の光沢性に優れる。二成分現像剤では長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても良好で安定した現像性が得られ、一成分現像剤ではトナーの収支が行われてもトナーの粒径の変動が少なくなるとともに、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するブレード等への部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期使用(攪拌)においても良好で安定した現像性が得られ、高画質の画像を得ることが可能となる。
【0105】
前記トナーのBET比表面積としては、特に制限はないが、0.5m/g〜4.0m/gが好ましく、0.5m/g〜2.0m/gがより好ましい。
前記BET比表面積が0.5m/g未満であると、トナー表面全体を密に覆う状態となり、前記アニオン性樹脂微粒子Aがトナー内部の結着樹脂成分と定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度の上昇が見られる。また、前記アニオン性樹脂微粒子Aがワックスの染み出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットの発生が見られる。一方、前記BET比表面積が4.0m/gを超えると、トナー表面上に残存する有機微粒子が凸部として大きく突出したり、粗状態の多重層として樹脂微粒子Aが残存し、やはり前記アニオン性樹脂微粒子Aがトナー内部の結着樹脂成分と定着紙との接着性を阻害し、定着下限温度の上昇が見られる。また、前記アニオン性樹脂微粒子Aがワックスの染み出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットの発生が見られる。また、添加剤が浮出し、表面の凹凸により画質に影響が現れやすい。
【0106】
図1に本発明のトナー構造の概略を示す。該図1に示すように、トナー1は、該図1に示すように、トナー1は、トナー材料からなる母体粒子2と、着色トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助する外添剤3とからなり、外添剤3は、母体粒子2の最表面に形成されている。なお、前記トナーの構造としては、図1に記載の構造に限定されず、例えば、異形化剤を使用してトナーの構造を異形化するようにしてもよい。
【0107】
<現像剤>
前記トナーとしては、キャリアと共に用いて二成分現像剤とすることができる。
前記キャリアの重量平均粒径としては、特に制限はないが、15μm〜40μmであることが好ましい。
【0108】
前記重量平均粒径が15μm未満であると、転写工程においてキャリアも一緒に転写されてしまうキャリア付着が起こりやすくなり、前記重量平均粒径が40μmを超えると、キャリア付着は起こりにくいものの、高画像濃度を得るためにトナー濃度を高くした場合、地汚れが発生しやすくなる恐れがある。また、潜像のドット径が小さい場合、ドット再現性のバラツキが大きくなり、ハイライト部の粒状性が悪くなる恐れもある。
【0109】
前記キャリア及びキャリアの芯材粒子における個数平均粒径Dpとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜150μmが好ましく、20μm〜80μmより好ましい。
前記個数平均粒径Dpが、10μm未満であると、キャリアの粒径分布において、微粉が多くなるため、1粒子当たりの磁化が低下して、キャリアの飛散が生じることがある。ことがあり、150μmを超えると、キャリアの比表面積が低下して、トナーの飛散が生じることがある。その結果、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現性が低下することがある。
【0110】
前記現像剤は、前記トナーを有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、キャリア成分を更に有してもよく、例えば、前記トナーからなる一成分現像剤、前記トナー及びキャリアからなる二成分現像剤等が挙げられる。
近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタなどには、寿命向上等の点で、二成分現像剤を用いることが好ましい。このような現像剤は、磁性一成分現像法、非磁性一成分現像法、二成分現像法、などの公知の各種電子写真法に用いることができる。前記現像剤を一成分現像剤として用いると、トナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着を抑制することができ、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性が得られる。また、前記現像剤を二成分現像剤として用いると、長期に亘るトナーの収支が行われても、トナーの粒径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0111】
前記二成分現像剤中のキャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90質量%〜98質量%であることが好ましく、93質量%〜97質量%がより好ましい。前記キャリアの含有量が、前記より好ましい範囲であると、現像安定性の点で有利である。
【0112】
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層を有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が挙げられ、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記芯材としては、画像濃度の確保の点で、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、芯材としては、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき、高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu/g〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。
【0113】
前記芯材の体積平均粒径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜150μmが好ましく、20μm〜80μmがより好ましい。
D50が10μm未満であると、キャリアの粒径分布において、微粉が多くなるため、1粒子当たりの磁化が低下して、キャリアの飛散が生じることがある。150μmを超えると、キャリアの比表面積が低下して、トナーの飛散が生じることがある。その結果、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現性が低下することがある。
前記キャリアの含有量が、前記より好ましい範囲であると、現像安定性の点で有利である。
【0114】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体の共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体のターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0115】
前記アミノ系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、などが挙げられる。
【0116】
前記ポリビニル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、などが挙げられる。
【0117】
前記ポリスチレン系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリル共重合体、などが挙げられる。
【0118】
前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル、などが挙げられる。
【0119】
前記ポリエステル系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0120】
前記樹脂層は、必要に応じて、導電粉、などを含有してもよい。
前記導電粉の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、などが挙げられる。
前記導電粉の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以下が好ましい。前記平均粒径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0121】
前記樹脂層は、例えば、シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布液を調製した後、公知の塗布方法により、芯材の表面に塗布液を塗布して、乾燥及び焼付を行なうことにより形成することができる。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
また、前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
更に、前記焼付の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、外部加熱方式及び内部加熱方式のいずれであってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉、などを用いる方法、マイクロ波を用いる方法、などが挙げられる。
【0122】
前記キャリア中の樹脂層の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記含有量が0.01質量%未満であると、芯材の表面に均一な樹脂層を形成できないことがあり、5.0質量%を超えると、樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の合体造粒が発生して、均一なキャリアが得られないことがある。
【0123】
前記キャリアの特性としては、以下の方法により測定することができる。
<重量平均粒径>
前記キャリアの重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。この場合の重量平均粒径Dwは、式(1)で表わされる。
Dw={1/Σ(nD)}×{Σ(nD)}・・・(1)
式(1)中、Dは、各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは、各チャネルに存在する粒子の総数を示す。なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を等分に分割するための長さを示すもので、本発明においては、2μmを採用した。また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子の粒径の下限値を採用した。
【0124】
また、前記キャリア及びキャリアの芯材粒子における個数平均粒径Dpは、個数基準で測定された粒子の粒径分布に基づいて算出されたものである。この場合の個数平均粒径Dpは、式(2)で表わされる。
Dp=(1/ΣN)×(ΣnD) … (2)
式(2)中、Nは、計測した全粒子数を示し、nは、各チャネルに存在する粒子の総数を示し、Dは、各チャネル(2μm)に保存する粒子の粒径の下限値を示す。
【0125】
粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計モデルHRA9320−X100(Honewell社製)を用いることができる。その測定条件は以下の通りである。
[1]粒径範囲:8〜100μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
【0126】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上に本発明の前記トナーを用いて現像しトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に転写されたトナー像を記録材上に二次転写する二次転写工程と、前記記録材上に転写されたトナー像を熱及び圧力定着部材を含む定着手段により記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写手段によりトナー像を中間転写体上に転写した電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング工程とを含む。
前記画像形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、フルカラー画像の画像形成方法として好適である。
前記二次転写工程におけるトナー像の記録材への転写の線速度、所謂印字速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300mm/sec〜1,000mm/secが好ましく、該二次転写工程における転写時間としては、0.5msec〜20msecであることが好ましい。なお、前記転写時間は、二次転写に用いられる転写ローラのニップ部における転写時間を示す。
【0127】
前記画像形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1回の画像形成に対し、前記帯電工程、露光工程、現像工程、一次転写工程、二次転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を含む画像形成工程をタンデム方式で複数同時に行うことが好ましい。
前記タンデム方式においては、前記電子写真感光体を複数個配備して、各々の回転時に1色ずつ現像する。
前記タンデム方式による画像形成工程によると、前記帯電工程及び前記露光工程と、前記現像工程及び前記転写工程とが各色毎に行なわれて各色のトナー像が形成されるため、単色の画像形成速度とフルカラーの画像形成速度との差が小さく、高速印字に対応できる利点を有している。
【0128】
一般にタンデム方式の画像形成方法においては、各色のトナー像を別々の電子写真感光体に形成し、各色トナー層の積層(色重ね)を行うことによりフルカラー画像を形成するため、各色のトナー粒子間での帯電性等が異なるなど、特性にばらつきがあると各色のトナー粒子による現像トナー量に差が生じ、色重ねによる二次色の色相の変化が大きくなり、色再現性が低下することがある。各色のバランスを制御するための現像トナー量を安定化すること(各色のトナー粒子間でばらつきがないこと)、各色のトナー粒子間で電子写真感光体及び記録材に対する付着性が均一であることが必要である。
この点に関し、本発明の前記トナーを現像工程に用いる前記画像形成方法によると、帯電特性が均一で、各色のトナー粒子間でばらつきがなく、各色のトナー粒子間で電子写真感光体及び記録材に対する付着性が均一であることから、タンデム方式の画像形成方法の前記利点を充分に発揮させることができる。
【0129】
前記帯電工程においては、特に制限はないが、少なくとも交番電圧を重畳した直流電圧を印加するのが好ましい。前記交番電圧を重畳した直流電圧を印加することにより、直流電圧のみを印加する場合に比べて前記電子写真感光体の表面電圧を所望の値に安定化させることができるため、より均一帯電させることが可能となる。
また、前記帯電工程においては、特に制限はないが、前記電子写真感光体に帯電部材を接触させ、該帯電部材に電圧を印加することによって帯電を行うのが好ましい。前記電子写真感光体に帯電部材を接触させ、前記帯電部材に電圧を印加して帯電を行うことによって、前記交番電圧を重畳した直流電圧を印加することで得られる均一帯電性の効果を特に向上させることが可能となる。
【0130】
前記定着工程としては、特に制限はないが、磁性金属から構成されて電磁誘導により加熱される加熱ローラと、該加熱ローラと平行に配置された定着ローラと、前記加熱ローラと該定着ローラとに張り渡され、前記加熱ローラにより加熱されるとともに、前記加熱ローラ及び前記定着ローラによって回転される無端帯状のトナー加熱媒体としての加熱ベルトと、前記加熱ベルトを介して前記定着ローラに圧接されるとともに、前記加熱ベルトに対して順方向に回転して定着ニップ部を形成する加圧ローラとを有する定着手段により行われることが好ましい。前記定着工程によると、前記定着ベルトの温度が短時間で上昇し、かつ安定した温度制御が可能となる。また、表面の粗い記録材を使用した場合にも、定着時にある程度転写紙の表面に応じた状態で前記定着ベルトが作用するため、十分な定着性が得られるようになる。
【0131】
前記定着手段としては、特に制限はないが、オイルレス乃至オイルを微量塗布するタイプの定着手段であることが好ましい。これを達成するために、離型剤(WAX)を含有し、該離型剤が前記トナー粒子中に微分散されているトナーを定着することが好ましい。前記離型剤がトナー粒子中に微量分散されているトナーにより、定着時に離型剤が浸み出しやすく、オイルレス定着装置を用いる場合、又は微量オイル塗布定着装置でオイル塗布効果が少なくなってきた場合においても、前記トナーのベルト側への転移を抑制することができる。
前記離型剤がトナー粒子中に分散した状態で存在するためには、前記離型剤と前記結着樹脂とは相溶しないことが好ましい。また、前記離型剤がトナー粒子中に微分散するためには、例えばトナー製造時の混練の剪断力を利用する方法がある。前記離型剤の分散状態は、トナー粒子の薄膜切片をTEMで観察することにより判断できる。前記離型剤の分散径としては、特に制限はなく、小さい方が好ましいが、小さすぎると定着時の染み出しが不十分な場合がある。従って、倍率1万倍で離型剤が確認できれば、離型剤が分散した状態で存在していると判断する。1万倍で離型剤が確認できない大きさでは、微分散していたとしても、定着時の染み出しが不十分な場合がある。
【0132】
前記画像形成方法における各工程を、各工程を実施する手段とともに図を参照しながら、より詳細に説明する。
【0133】
前記帯電工程に用いられる帯電装置としては、例えば図2に示すローラ式帯電装置及び図3に示すファーブラシ式帯電装置等の接触式の帯電装置を用いることができる。
【0134】
図2は、接触式帯電装置の一種であるローラ式帯電装置(500)の一例の概略構成を示したものである。被帯電体である像担持体としての感光体(505)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(505)に接触させた帯電部材である帯電ローラ(501)は芯金(502)とこの芯金(502)の外周に同心一体にローラ上に形成した導電ゴム層(503)を基本構成とし、芯金の両端を不図示の軸受け部材などで回転自由に保持させるとともに、不図示の加圧手段によって感光ドラムに所定の加圧力で押圧させており、本図の場合はこの帯電ローラ(501)は感光体(505)の回転駆動に従動して回転する。帯電ローラ(501)は、直径9mmの芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗の導電ゴム層(503)を被膜して直径16mmに形成されている。帯電ローラ(501)の芯金(502)と図示の電源(504)とは電気的に接続されており、電源(504)により帯電ローラ(501)に対して所定のバイアスが印加される。これにより感光体(505)の周面が所定の極性、電位に一様に帯電処理される。
【0135】
前記帯電装置としては、ローラ式帯電装置のほかにも、磁気ブラシ式帯電装置、ファーブラシ式帯電装置など、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシ式帯電装置を用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。また、ファーブラシ式帯電装置を用いる場合、例えばファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属、及び金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電装置とする。
【0136】
図3は、接触式のブラシ式帯電装置(510)の一例の概略構成を示すものである。被帯電体としての像担持体としての感光体(515)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(515)に対して、ファーブラシによって構成されるファーブラシローラ(511)が、ブラシ部(513)の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
【0137】
接触式帯電装置としてのファーブラシローラ(511)は、電極を兼ねる直径6mmの金属製の芯金(512)に、ブラシ部(513)としてユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−Bをパイル地にしたテープをスパイラル状に巻き付けて、外径14mm、長手方向長さ250mmのロールブラシとしたものである。ブラシ部(513)のブラシは300デニール/50フィラメント、1平方ミリメートル当たり155本の密度である。このロールブラシを内径が12mmのパイプ内に一方向に回転させながらさし込み、ブラシと、パイプが同心となるように設定し、高温多湿雰囲気中に放置してクセ付けで斜毛させる。
【0138】
ファーブラシローラ(511)の抵抗値は、印加電圧100Vにおいて1×10Ωである。この抵抗値は、金属製の直径φ30mmのドラムにファーブラシローラをニップ幅3mmで当接させ、100Vの電圧を印加したときに流れる電流から換算する。このブラシ式帯電装置(510)の抵抗値は、被帯電体である感光体(515)上にピンホール等の低耐圧欠陥部が生じた場合にもこの部分に過大なリーク電流が流れ込んで帯電ニップ部が帯電不良になる画像不良を防止するために10Ω以上必要であり、感光体(515)表面に十分に電荷を注入させるために10Ω以下である必要がある。
【0139】
ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製のREC−B以外にも、REC−C、REC−M1、REC−M10、更に東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等が考えられる。ブラシは一本が3〜10デニールで、10〜100フィラメント/束、80〜600本/mmの密度が好ましい。毛足は1〜10mmが好ましい。
【0140】
このファーブラシローラ(511)は感光体(515)の回転方向と逆方向(カウンター)に所定の周速度(表面の速度)をもって回転駆動され、感光体面に対して速度差を持って接触する。そしてこのブラシローラ(511)に電源(514)から所定の帯電電圧が印加されることで、回転感光体面が所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。
ファーブラシローラ(511)による感光体(515)の接触帯電は直接注入帯電が支配的となって行なわれ、回転感光体表面はファーブラシローラ(511)に対する印加帯電電圧とほぼ等しい電位に帯電される。
帯電部材の形状としてはファーブラシローラ(511)の他にも、帯電ローラ、ファーブラシなど、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。帯電ローラを用いる場合、芯金上に100,000Ω・cm程度の中抵抗ゴム層を被膜して用いるのが一般的である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
【0141】
図4に、磁気ブラシ式帯電装置の一例の概略構成を示す。被帯電体、像担持体としての感光体(515)は矢印の方向に所定の速度(プロセススピード)で回転駆動される。この感光体(515)に対して、磁気ブラシによって構成されるブラシローラ(511)が、ブラシ部(513)の弾性に抗して所定の押圧力をもって所定のニップ幅で接触させてある。
【0142】
接触帯電部材としての磁気ブラシとしては、例えば、平均粒径:25μmのZn−Cuフェライト粒子と、平均粒径10μmのZn−Cuフェライト粒子を、質量比1:0.05で混合して、それぞれの平均粒径の位置にピークを有する、平均粒径25μmのフェライト粒子を、中抵抗樹脂層でコートした磁性粒子を用いる。
前記接触帯電部材は、例えば、前記被覆磁性粒子、及び、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成され、前記被覆磁性粒子をスリーブ上に、厚さ1mmでコートして、感光体との間に幅約5mmの帯電ニップを形成する。また、該磁性粒子保持スリーブと感光体との間隙は、例えば、約500μmとする。更に、マグネットロールは、例えば、スリーブ表面が、感光体表面の周速に対して、その2倍の速さで逆方向に摺擦するように、回転され、感光体と磁気ブラシとが均一に接触するようにする。
【0143】
前記現像工程においては、交互電界を印加することが好ましい。図5に交互電界を印加する現像器の一例を示す。該図5に示した現像器(600)において、現像時、現像スリーブ(601)には、電源(602)により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。背景部電位と画像部電位は、前記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって現像部(603)に向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナー(605)が現像スリーブ(601)及びキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体(604)に飛翔し、感光体の潜像に対応して付着する。なお、トナー(605)は、本発明の前記トナーである。
【0144】
振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は、0.5〜5kVが好ましく、周波数は1〜10kHzが好ましい。振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、三角波等が使用できる。振動バイアスの直流電圧成分は、前記したように背景部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも背景部電位に近い値である方が、背景部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。
【0145】
振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合、デューティ比を50%以下とすることが好ましい。ここでデューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動が更に活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着してざらつき感や解像力を向上させることができる。またトナーとは逆極性の電荷を有するキャリアが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、キャリアの運動を沈静化し、潜像の背景部にキャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
【0146】
前記定着工程に用いられる定着装置としては、例えば、図6に示した定着装置を用いることができる。図6に示す定着装置は、誘導加熱手段(760)の電磁誘導により加熱される加熱ローラ(710)と、加熱ローラ(710)と平行に配置された定着ローラ(720)(対向回転体)と、加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡され、加熱ローラ(710)により加熱されるとともに少なくともこれらの何れかのローラの回転により矢印A方向に回転する無端帯状の定着ベルト(耐熱性ベルト、トナー加熱媒体)(730)と、定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)に圧接されるとともに定着ベルト(730)に対して順方向に回転する加圧ローラ(740)(加圧回転体)とから構成されている。
【0147】
加熱ローラ(710)は例えば鉄、コバルト、ニッケルまたはこれら金属の合金等の中空円筒状の磁性金属部材からなり、外径を例えば20〜40mm、肉厚を例えば0.3〜1.0mmとして、低熱容量で昇温の早い構成となっている。
定着ローラ(720)(対向回転体)は、例えばステンレススチール等の金属製の芯金(721)と、耐熱性を有するシリコーンゴムをソリッド状または発泡状にして芯金(721)を被覆した弾性部材(722)とからなる。そして、加圧ローラ(740)からの押圧力でこの加圧ローラ(740)と定着ローラ(720)との間に所定幅の接触部を形成するために外形を20〜40mm程度として加熱ローラ(710)より大きくしている。弾性部材(722)は、その肉厚を4〜6mm程度としている。この構成により、加熱ローラ(710)の熱容量は定着ローラ(720)の熱容量より小さくなるので、加熱ローラ(710)が急激に加熱されてウォームアップ時間が短縮される。
【0148】
加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)とに張り渡された定着ベルト(730)は、誘導加熱手段(760)により加熱される加熱ローラ(710)との接触部位(W1)で加熱される。そして、加熱ローラ(710)と定着ローラ(720)の回転によって定着ベルト(730)の内面が連続的に加熱され、結果としてベルト全体に渡って加熱される。
【0149】
図7に定着ベルト(730)の層構成を示す。ベルト(730)の構成は、内層から表層に向かって下記4層であり、以下のようにすることができる。
・基体(731):ポリイミド(PI)樹脂などの樹脂層
・発熱層(732):Ni,Ag,SUS等の導電材料層
・中間層(733):均一定着のための弾性層
・離型層(734):離型効果とオイルレス化のための弗素樹脂材料等の樹脂層
【0150】
離型層(734)の厚さとしては、10μm〜300μmが好ましく、200μm程度が特に好ましい。このようにすれば、図6に示すような定着装置(700)において、記録材(770)上に形成されたトナー像(T)を定着ベルト(730)の表層部が十分に包み込むため、トナー像(T)を均一に加熱溶融することが可能になる。離型層(734)の厚さ、即ち表面離型層は経時耐磨耗性を確保するためには最低10μmは必要である。また、離型層(734)の厚さが300μmよりも大きい場合には、定着ベルト(730)の熱容量が大きくなってウォームアップにかかる時間が長くなる。更に、トナー像定着工程において定着ベルト(730)の表面温度が低下しにくくなって、定着部出口における融解したトナーの凝集効果が得られず、定着ベルト(730)の離型性が低下してトナー像(T)のトナーが定着ベルト(730)に付着し、いわゆるホットオフセットが発生する。なお、定着ベルト(730)の基体として、前記金属からなる発熱層(732)としてもよいが、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂などの耐熱性を有する樹脂層を用いてもよい。
【0151】
加圧ローラ(740)は、たとえば銅またはアルミ等の熱伝導性の高い金属製の円筒部材からなる芯金(741)と、この芯金(741)の表面に設けられた耐熱性及びトナー離型性の高い弾性部材(742)とから構成されている。芯金(741)には前記金属以外にSUSを使用してもよい。加圧ローラ(740)は定着ベルト(730)を介して定着ローラ(720)を押圧して定着ニップ部(N)を形成しているが、本実施の形態では、加圧ローラ(740)の硬度を定着ローラ(720)に比べて硬くすることによって、加圧ローラ(740)が定着ローラ(720)(及び定着ベルト(730))へ食い込む形となり、この食い込みにより、記録材(770)は加圧ローラ(740)表面の円周形状に沿うため、記録材(770)が定着ベルト(730)表面から離れやすくなる効果を持たせている。この加圧ローラ(740)の外径は定着ローラ(720)と同じ20mm〜40mm程度であるが、肉圧は0.5mm〜2.0mm程度で定着ローラ(720)より薄く構成されている。
【0152】
電磁誘導により加熱ローラ(710)を加熱する誘導加熱手段(760)は、図6に示すように、磁界発生手段である励磁コイル(761)と、この励磁コイル(761)が巻き回されたコイルガイド板(762)とを有している。コイルガイド板(762)は加熱ローラ(710)の外周面に近接配置された半円筒形状をしており、励磁コイル(761)は長い一本の励磁コイル線材をこのコイルガイド板(762)に沿って加熱ローラ(710)の軸方向に交互に巻き付けたものである。なお、励磁コイル(761)は、発振回路が周波数可変の駆動電源(図示せず)に接続されている。励磁コイル(761)の外側には、フェライト等の強磁性体よりなる半円筒形状の励磁コイルコア(763)が、励磁コイルコア支持部材(764)に固定されて励磁コイル(761)に近接配置されている。
【0153】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を請求項1から7のいずれかに記載のトナーを用いてトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写体上に一次転写されたトナー像を記録材上に二次転写する二次転写手段と、前記記録材上に二次転写されたトナー像に対して熱及び圧力を加えて該記録材上に定着させる定着手段と、前記一次転写後及び前記二次転写後のいずれかにおいて電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段とにおける各手段のうち、少なくとも前記電子写真感光体と、前記現像手段とを、一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたものである。
現像手段及び帯電手段としては、前記現像装置及び前記帯電装置が好適に使用できる。
【0154】
前記プロセスカートリッジの例を図8に示す。図8に示したプロセスカートリッジ(800)は、感光体(801)、帯電手段(802)、現像手段(803)、クリーニング手段(806)を備えている。このプロセスカートリッジ(800)の動作を説明すると、感光体(801)が所定の周速度で回転駆動される。感光体(801)は回転過程において、帯電手段(802)によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の不図示の像露光手段からの画像露光光を受け、こうして感光体(801)の周面に静電潜像が順次形成され、形成された静電潜像は、次いで現像手段(805)と本発明の前記トナーを含む現像剤(804)とによりトナー像化され、現像されたトナー像は、給紙部から感光体(801)と不図示の転写手段との間に感光体(801)の回転と同期されて給送された記録材に、転写手段により順次転写されていく。像転写を受けた記録材は、感光体面から分離されて不図示の像定着手段へ導入されて像定着され、複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体(801)の表面は、クリーニング手段(806)によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更除電された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0155】
(画像形成装置)
前記画像形成方法において使用されるフルカラー画像形成装置としては、例えば図9、図10に示したタンデム方式の画像形成装置(100)を用いることができる。図9において、画像形成装置(100)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)、画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)、給紙部(140)から主に構成されている。画像信号を元に、画像処理部(図示せず)で画像処理を行い、画像形成用の黒(Bk),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色信号に変換し、画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)に送信する。画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)は、例えば、レーザ光源、回転多面鏡等の偏向器、走査結像光学系及びミラー群(いずれも図示せず)からなるレーザ走査光学系であり、前記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
【0156】
画像形成部(130Bk,130C,130M,130Y)は、黒,シアン,マゼンタ,イエロー用の各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)を備え、これらの各色用の感光体(210Bk,210C,210M,210Y)には通常OPC感光体が用いられる。各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)の周囲には、帯電装置(215Bk,215C,215M,215Y)、前記画像書込部(120Bk,120C,120M,120Y)からのレーザ光の露光部、各色用の現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)、1次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)、クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)、除電装置(図示せず)等が配設されている。なお、前記現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。また、中間転写ベルト(220)が各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)と1次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)との間に介在し、この中間転写ベルト(220)に各感光体から各色のトナー像が順次重ね合わせて転写され、各感光体上のトナー像を担持する。
【0157】
場合によっては、この中間転写ベルト(220)の外側で、最終色の1次転写位置通過後で2次転写位置通過前の位置に転写前帯電手段としてのプレ転写チャージャ(262)が配設されるのが好ましい。このプレ転写チャージャ(262)は、前記1次転写部で感光体(210)に転写された中間転写ベルト(220)上のトナー像を記録材としての転写紙に転写する前に、トナー像をトナー像と同極性に均一に帯電するものである。
【0158】
各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)から転写された中間転写ベルト(220)上のトナー像は、ハーフトーン部及びベタ部を含んでいたりトナーの重ね合せ量が異なる部分を含んでいたりするため、帯電量がばらついている場合がある。また、中間転写ベルト移動方向における1次転写部の隣接下流側の空隙に発生する剥離放電により、1次転写後の中間転写ベルト(220)上のトナー像内に帯電量のばらつきが発生する場合もある。このような同一トナー像内の帯電量のばらつきは中間転写ベルト(220)上のトナー像を転写紙に転写する2次転写部における転写余裕度を低下させてしまう。そこで、プレ転写チャージャで転写紙へ転写する前のトナー像をトナー像と同極性に均一に帯電することにより、同一トナー像内の帯電量のばらつきを解消し、2次転写部における転写余裕度を向上させている。
【0159】
以上、この画像形成方法によれば、各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)から転写した中間転写ベルト(220)上のトナー像をプレ転写チャージャ(502)で均一に帯電することにより、中間転写ベルト(220)上のトナー像内に帯電量のばらつきがあっても、2次転写部における転写特性を、中間転写ベルト(220)上のトナー像の各部に渡ってほぼ一定にすることができる。従って、転写紙へ転写する時の転写余裕度の低下を抑え、トナー像を安定して転写できる。
【0160】
なお、この画像形成方法において、プレ転写チャージャで帯電される帯電量は、帯電対象物である中間転写ベルト(220)の移動速度に依存して変化する。例えば、中間転写ベルト(220)の移動速度が遅ければ、中間転写ベルト(220)上のトナー像の同一部分がプレ転写チャージャによる帯電領域を通過する時間が長くなるので、帯電量が大きくなる。逆に、中間転写ベルト(220)の移動速度が速いと、中間転写ベルト(220)上のトナー像の帯電量が小さくなる。従って、中間転写ベルト(220)上のトナー像がプレ転写チャージャによる帯電位置を通過している途中に中間転写ベルト(220)の移動速度が変化するような場合には、その中間転写ベルト(220)の移動速度に応じて、トナー像に対する帯電量が途中で変化しないようにプレ転写チャージャを制御することが望ましい。
【0161】
1次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)の間に導電性ローラ(241),(242),(243)が設けられている。転写紙は、給紙部(140)から給紙された後、レジストローラ対(160)を介して2次転写ベルト(180)に担持され、中間転写ベルト(220)と2次転写ベルト(180)とが接触するところで2次転写ローラにより中間転写ベルト(220)上のトナー像が転写紙に転写され、カラー画像形成が行われる。
【0162】
画像形成後の転写紙は、2次転写ベルト(180)で定着装置(150)に搬送され、画像が定着されてカラー画像が得られる。転写されずに残った中間転写ベルト(220)上のトナーは、中間転写ベルトクリーニング装置(260)によってベルトから除去される。
【0163】
転写紙への転写前の中間転写ベルト(220)上のトナー極性は、現像時と同じマイナス極性であるため、2次転写ローラ(170)にはプラスの転写バイアス電圧が印加され、トナーは転写紙上に転写される。この部分でのニップ圧が転写性に影響し、定着性に大きく影響する。また、転写されずに残った中間転写ベルト(220)上のトナーは、転写紙と中間転写ベルト(220)とが離れる瞬間にプラス極性側に放電帯電され、0〜プラス側に帯電される。なお、転写紙のジャム時や非画像域に形成されたトナー像は、2次転写の影響を受けないため、マイナス極性のままである。
【0164】
感光体層の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。感光体(黒)(210Bk)の帯電(露光側)電位V0を−700V、露光後電位VLを−120Vとして現像バイアス電圧を−470Vすなわち現像ポテンシャル350Vとして現像工程が行なわれるものである。感光体(黒)(210Bk)上に形成されたトナー(黒)の顕像はその後、転写(中間転写ベルト及び転写紙)、定着工程を経て画像として完成される。転写は最初、1次転写装置(230Bk,230C,230M,230Y)から中間転写ベルト(220)へ全色転写された後、更に別の2次転写ローラ(170)へのバイアス印加により転写紙へ転写される。
【0165】
次に、感光体クリーニング装置について詳細に説明する。図9において、各現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)と各クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)とは、各々トナー移送管(250Bk,250C,250M,250Y)で接続されている(図9中の破線)。そして、各トナー移送管(250Bk,250C,250M,250Y)の内部には、スクリュー(図示せず)が入っており、各クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)で回収されたトナーが、各現像装置(200Bk,200C,200M,200Y)へ移送されるようになっている。
【0166】
なお、4つの感光体ドラムとベルト搬送との組合わせによる直接転写方式では、感光体と転写紙が当接することにより紙粉が付着しトナーを回収すると紙粉が含有しているので、画像形成時にトナー抜け等の画像劣化をきたし使用することができない。更に、一つの感光体ドラムと中間転写とを組合わせたシステムでは、中間転写体の採用で転写紙転写時の感光体への紙粉付着はなくなったが、感光体への残トナーのリサイクルを行おうした場合、混色したトナーを分離することは実用上不可能である。また、混色トナーを黒トナーとして使用する画像形成方法があるが、全色混合しても黒にならず、プリントモードにより色が変化するため1つの感光体の構成ではトナーリサイクルは不可能である。
【0167】
これに対して、このフルカラー画像形成装置では、中間転写ベルト(220)を使用するので紙粉の混入が少なく、かつ、紙転写時の中間転写ベルト(220)への紙粉の付着も防止される。各感光体(210Bk,210C,210M,210Y)が独立した色のトナーを使用するので各感光体クリーニング装置(300Bk,300C,300M,300Y)を接離する必要もなく、確実にトナーのみを回収することができる。
【0168】
前記中間転写ベルト(220)上に残ったプラス帯電されたトナーは、マイナス電圧が印加された導電性ファーブラシ(262)でクリーニングされる。導電性ファーブラシ(262)への電圧印加方法は、導電性ファーブラシ(261)と極性が異なるだけで全く同一である。転写されずに残ったトナーも2つの導電性ファーブラシ(261),(262)でほとんどクリーニングされる。ここで、導電性ファーブラシ(262)でクリーニングされずに残ったトナー、紙粉、タルク等は、導電性ファーブラシ(262)のマイナス電圧により、マイナス帯電される。次の黒色の1次転写は、プラス電圧による転写であり、マイナス帯電したトナー等は中間転写ベルト(220)側に引き寄せられるため、感光体(黒)(210Bk)側への移行は防止できる。
【0169】
次に、この画像形成装置に使用される中間転写ベルト(220)について説明する。中間転写ベルトは前述のとおり、単層の樹脂層であることが好ましいが、必要に応じて、弾性層や、表層を保有してもよい。
【0170】
前記樹脂層を構成する樹脂材料としては、特に制限はなく、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE,PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0171】
また、前記弾性層を構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、特に制限はなく、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0172】
また、前記表層の材料としては、特に制限は無いが、中間転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるものが要求される。例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、例えばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0173】
前記樹脂層及び弾性層としては、抵抗値調節用導電剤が添加されることが好ましい。
前記抵抗値調節用導電剤としては、特に制限はなく、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫,酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物が挙げられる。
前記導電性金属酸化物としては、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。
【0174】
図10は、本発明のフルカラー画像形成方法において使用される画像形成装置の他の例を示すもので、タンデム型間接転写方式の電子写真式の画像形成装置を備えた複写装置(100)である。図10中、(110)は複写装置本体、(200)はそれを載せる給紙テーブル、(300)は複写装置本体(110)上に取り付けるスキャナ、(400)はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体(110)には、中央に、無端ベルト状の中間転写体(50)を設ける。
【0175】
そして、図10に示すとおり、この例では3つの支持ローラ(14)、(15)、(16)に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ(15)の左に、画像転写後に中間転写体(50)上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置(17)を設ける。また、3つのなかで第1の支持ローラ(14)と第2の支持ローラ(15)間に張り渡した中間転写体(50)上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段(18)を横に並べて配置してタンデム画像形成装置(120)を構成する。
【0176】
このタンデム画像形成装置(120)の上には、図10に示すように、さらに露光装置(21)を設ける。一方、中間転写体(50)を挟んでタンデム画像形成装置(120)と反対の側には、2次転写装置(22)を備える。2次転写装置(22)は、図示例では、2つのローラ(23)間に、無端ベルトである2次転写ベルト(24)を掛け渡して構成し、中間転写体(50)を介して第3の支持ローラ(16)に押し当てて配置し、中間転写体(50)上の画像をシートに転写する。2次転写装置(22)の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置(25)を設ける。定着装置(25)は、無端ベルトである定着ベルト(26)に加圧ローラ(27)を押し当てて構成する。上述した2次転写装置(22)には、画像転写後のシートをこの定着装置(25)へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置(22)として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合はこのシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。なお、図示例では、このような2次転写装置(22)および定着装置(25)の下に、上述したタンデム画像形成装置(120)と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置(28)を備える。
【0177】
さて、いまこのカラー電子写真装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置(400)の原稿台(130)上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置(400)を開いてスキャナ(300)のコンタクトガラス(32)上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置(400)を閉じてそれで押さえる。
【0178】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置(400)に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス(32)上へと移動して後、他方コンタクトガラス(32)上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ(300)を駆動し、第1走行体(33)および第2走行体(34)を走行する。そして、第1走行体(33)で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体(34)に向け、第2走行体(34)のミラーで反射して結像レンズ(35)を通して読取りセンサ(36)に入れ、原稿内容を読み取る。
【0179】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ(14)、(15)、(16)の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体(50)を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段(18)でその感光体(10)を回転して各感光体(10Y、10C、10M、10K)上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体(50)の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体(50)上に合成カラー画像を形成する。
【0180】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル(200)の給紙ローラ(142)の1つを選択回転し、ペーパーバンク(143)に多段に備える給紙カセット(144)の1つからシートを繰り出し、分離ローラ(145)で1枚ずつ分離して給紙路(146)に入れ、搬送ローラ(147)で搬送して複写機本体(100)内の給紙路(148)に導き、レジストローラ(49)に突き当てて止める。
【0181】
または、給紙ローラ(67)を回転して手差しトレイ(51)上のシートを繰り出し、分離ローラ(58)で1枚ずつ分離して手差し給紙路(53)に入れ、同じくレジストローラ(49)に突き当てて止める。
【0182】
そして、中間転写体(50)上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ(49)を回転し、中間転写体(50)と2次転写装置(22)との間にシートを送り込み、2次転写装置(22)で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0183】
画像転写後のシートは、2次転写装置(22)で搬送して定着装置(25)へと送り込み、定着装置(25)で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪(55)で切り換えて排出ローラ(56)で排出し、排紙トレイ(57)上にスタックする。または、切換爪(55)で切り換えてシート反転装置(28)に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ(56)で排紙トレイ(57)上に排出する。
【0184】
一方、画像転写後の中間転写体(50)は、中間転写体クリーニング装置(17)で、画像転写後に中間転写体(50)上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置(120)による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ(49)は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【実施例】
【0185】
以下、本発明を実施例及び比較例にて更に詳細に説明する。なお、本発明は、ここに例示される実施例及び比較例に限定されるものではない。なお、実施例中の部、%は、特に記載がなければ質量部、質量%を表わす。
【0186】
(実施例1)
<トナー材料の溶解液乃至分散液の調製>
【0187】
−トリメシン酸誘導体の合成及びその分散液の調製−
トリメシン酸誘導体として、下記構造式(A)で表されるトリメシン酸誘導体Aを、国際公開第2006/101144号パンフレット(特に、実施例2)を応用して製造した。
【化4】

【0188】
前記トリメシン酸誘導体Aをビーカー内に5質量部、下記未変性ポリエステル15質量部、酢酸エチル30質量部を仕込み、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/s、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして化合物Aの分散液を調製した。分散液中の化合物Aの平均粒径(平均分散径)は120nmであった。
【0189】
−未変性ポリエステル(低分子量ポリエステル)の合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物67質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物84質量部、テレフタル酸274質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を投入し、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させて、未変性ポリエステルを合成した。
得られた未変性ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が5,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃であった。
【0190】
−マスターバッチ(MB)の調製−
水1,000質量部、及びカーボンブラック(「Printex35」;デグサ社製、DBP吸油量=42ml/100g、pH=9.5)540質量部、及び前記未変性ポリエステル1,200質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。その混合物を二本ロールを用い150℃で30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
【0191】
−プレポリマーの合成−
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で、230℃にて8時間反応させた。次いで、10〜15mHgの減圧下で、5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が49であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記中間体ポリエステル411質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、プレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。得られたプレポリマーの遊離イソシアネート含有量は、1.60質量%であり、プレポリマーの固形分濃度(150℃、45分間放置後)は50質量%であった。
【0192】
<アニオン性樹脂微粒子の調製>
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)16部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[樹脂微粒子分散液A]を得た。[樹脂微粒子分散液A]の分散粒子の体積平均粒径(堀場製作所製 LA−920で測定)は、42nmであった。
【0193】
<溶解乃至分散液調製工程A>
−トナー材料相の調製−
ビーカー内に前記未変性ポリエステル100質量部、酢酸エチル130質量部を添加し、攪拌して溶解させた。次いで、カルナウバワックス(分子量=1,800、酸価=2.5、針入度=1.5mm(40℃))10質量部、前記マスターバッチ10質量部、及びトリメシン酸誘導体Aの分散液1質量部を仕込み、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/s、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして原料溶解液を調製し、前記プレポリマーを40質量部添加し、攪拌した後、トナー材料の溶解乃至分散液を調製した。
【0194】
<乳化乃至分散液調製工程B>
−水系媒体相の調製−
水660質量部、樹脂微粒子分散液A 1.25質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%の水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業製)25質量部、及び酢酸エチル60質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(水系媒体相)を得た。
【0195】
−乳化乃至分散液Aの調製−
前記水系媒体相150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料の溶解乃至分散液100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリー)を調製した。
【0196】
<有機溶媒除去工程C>
−有機溶媒の除去−
脱気用配管、攪拌機及び温度計をセットしたフラスコに、前記乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間減圧下、脱溶剤し脱溶剤スラリーAとした。
【0197】
−洗浄・乾燥−
前記脱溶剤スラリー全量を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合、再分散(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を3回行った。得られた濾過ケーキを順風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体粒子Aを得た。
【0198】
−外添処理−
トナー母体粒子A100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体を0.8部とをヘンシェルミキサーにて混合し、実施例1におけるトナーaを製造した。なお、このトナーaの体積固有抵抗ρの常用対数値Logρは、11.3(Ω・cm)であった。
【0199】
(実施例2)
実施例1において、トリメシン酸誘導体Aの分散液における平均分散径を120nmから70nmに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2におけるトナーbを製造した。
なお、このトナーbの体積固有抵抗の常用対数値は、11.3(Ω・cm)であった。
【0200】
(実施例3)
実施例1において、トリメシン酸誘導体Aの分散液における平均分散径を120nmから300nmに変えたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3におけるトナーcを製造した。
なお、このトナーcの体積固有抵抗ρの常用対数値Logρは、11.4(Ωcm)であった。
【0201】
(実施例4)
実施例1において、トリメシン酸誘導体として、トリメシン酸誘導体Aに代えて下記構造式(B)で表されるトリメシン酸誘導体Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4におけるトナーdを製造した。このトナーdの体積固有抵抗ρの常用対数値Logρは、11.1(Ω・cm)であった。また、トリメシン酸誘導体Bの分散液における平均分散径は95nmであった。
前記トリメシン酸誘導体Bは、国際公開第2006/101144号パンフレット(特に、実施例2)を応用して製造した。
【0202】
【化5】

【0203】
(実施例5)
実施例1において、トリメシン酸誘導体として、トリメシン酸誘導体Aに代えて下記構造式(C)で表されるトリメシン酸誘導体Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5におけるトナーeを製造した。このトナーeの体積固有抵抗ρの常用対数値Logρは、11.0(Ω・cm)であった。また、トリメシン酸誘導体Cの分散液における平均分散径は104nmであった。
前記トリメシン酸誘導体Cは、国際公開第2006/101144号パンフレット(特に、実施例2)を応用して製造した。
【0204】
【化6】

【0205】
(実施例6)
実施例1において、トリメシン酸誘導体として、トリメシン酸誘導体Aに代えて下記構造式(D)で表されるトリメシン酸誘導体Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6におけるトナーfを製造した。このトナーfの体積固有抵抗ρの常用対数値Logρは、11.1(Ω・cm)であった。また、トリメシン酸誘導体Dの分散液における平均分散径は92nmであった。
前記トリメシン酸誘導体Dは、国際公開第2006/101144号パンフレット(特に、実施例2)を応用して製造した。
【0206】
【化7】

【0207】
(比較例1)
実施例1において、トリメシン酸誘導体Aに代えて、保土谷化学社製、帯電制御剤(TN−105、サリチル酸誘導体ジルコニア亜鉛錯体)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1におけるトナーgを製造した。このトナーgの体積固有抵抗ρの常用対数値Logρは、10.8(Ω・cm)であった。帯電制御剤(TN−105)の分散液における平均分散径は140nmであった。
【0208】
(比較例2)
実施例1において、トリメシン酸誘導体Aに代えて、オリエント化学工業社製、帯電制御剤(E−84、サリチル酸誘導体亜鉛錯体)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2におけるトナーhを製造した。
【0209】
実施例1〜6及び比較例1、2における各トナーa〜hの物性を下記表1及び表2に示す。物性の測定方法は、以下の通りである。
【0210】
<帯電特性及び耐久性(Q/M)>
富士ゼロックス社製のDocuColor 8000 Digital Pressを改造して線速及び転写時間を調整可能にチューニングした評価機と、トナーa〜hとを用いて、A4サイズ、トナー付着量0.6mg/cmのベタパターンを印刷することとして、10万枚のランニング試験を実施した。
ここで、耐久性の指標として、前記ランニング試験前と前記ランニング試験後のトナーの一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定することとした。
【0211】
<帯電環境安定性>
各トナーを一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定した。
ここで、測定は、常温常湿(温度25℃、湿度50%)、低温低湿(温度10℃、湿度15%)、高温高湿(温度40℃、湿度90%)の各環境下にて2週間保管したトナーに対して行った。
【0212】
<体積平均粒径及び体積平均粒径/個数平均粒径>
体積平均粒径(Dv)及び体積平均粒径/個数平均粒径(Dv/Dn)を粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)にて測定した。
【0213】
<円形度>
トナーa〜hの円形度を以下のように測定した。
即ち、ガラス製100mLビーカーに10質量%界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬性)を0.1mL〜0.5mL添加し、各トナー0.1g〜0.5g添加し、ミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(本多電子社製)で3分間分散処理した。前記分散液を、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;シスメックス社製)を用いて濃度が5,000〜15,000個/μLとなるまでトナーの形状及び分布を測定した。
【0214】
<BET比表面積>
BET法に従って、比表面積測定装置(「トライスター3000」;島津製作所製)を用いて各トナー表面に窒素ガスを吸着させて、BET多点法により測定した。
【0215】
<平均分散径>
各トナー1gをクロロホルム100gに10時間浸漬し、遠心分離器(株式会社コクサン社製 H−9R、LNアングルローター)にて、5,500rpm(9,545G)にてトリメシン酸誘導体の前記分散液を遠心分離した。遠心分離した上澄みにトリメシン酸誘導体の粒子が存在し、その粒子を「LA−920」(堀場製作所製)を用いて粒径の測定を行った。LA−920の測定の際にLA−920専用アプリケーション(Ver3.32、堀場製作所製)を用いて解析を行った。
【0216】
<体積固有抵抗ρ>
トナー3.0gを約500kgf/aJ加圧し、面積12.5cd、厚さ3mm〜4mm程度の錠剤に成形したものを市販の誘電体損測定機(TR−10C型:安藤電気株式会社製)を用いて1周波数1kHzを印加した状態で測定を行い、これから体積固有抵抗と誘電率を算出した。
【0217】
【表1】

【0218】
【表2】

表1、2中の「−」の表記は、トナー化できなかったため、測定不能であることを示す。
【0219】
実施例1〜4におけるトナーa〜dは、帯電特性、耐久性、帯電環境安定性、造粒性(Dv、Dv/Dn、円形度、BET比表面積)に優れ、課題を十分に解決できるものであった。
実施例5、6におけるトナーe、fは、造粒性に関し、実施例1〜4におけるトナーa〜dと同等の結果が得られたが、帯電特性に関して帯電量が低い結果となり、また、帯電環境安定性に関して、低温低湿、高温高湿の各環境下での変動が比較的大きいが、実使用上問題の無い程度であった。
比較例1におけるトナーgの製造に用いた帯電制御剤(TN−105)は、サリチル酸ジルコニウム錯体構造を有し、粉砕法トナーでは高い帯電付与効果を示すものであるが、造粒性が著しく悪く、トナーの表面性状も著しく悪かった。耐久性に関しては、10万枚通紙ラン後でキャリアへのスペントが著しく、Q/Mの変動が大きかった。環境安定性に関しては、低温低湿環境下及び高温高湿環境下での保管のそれぞれの場合において、Q/Mの変動が大きく、改善が見込めなかった。
比較例2におけるトナーhの製造に用いた帯電制御剤(E−84)は、サリチル酸亜鉛錯体構造を有し、粉砕法トナーでは高い帯電付与効果を示すものであるが、造粒性が著しく悪く、トナー化することができなかった。
【0220】
<キャリアの製造>
次に、トナーの実機評価に用いたキャリアの具体的な作製例について説明する。
アクリル樹脂溶液(固形分50質量%) 21.0部
グアナミン溶液(固形分70質量%) 6.4部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 7.6部
シリコーン樹脂溶液 65.0部
[固形分23質量%(SR2410:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
アミノシラン 1.0部
[固形分100質量%(SH6020:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)]
トルエン 60部
ブチルセロソルブ 60部
【0221】
前記キャリア原料をホモミキサーで10分間分散し、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂の被覆膜形成溶液を得た。
芯材として焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe2348.0:平均粒径;25μm]に前記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥し被覆フェライト粉を得た。
得られた被覆フェライト粉を電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き106μmの篩を用いて解砕し、キャリアAを得た。
結着樹脂膜厚の測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。こうして、重量平均粒径35μmのキャリアAを得た。
【0222】
(実施例7〜12及び比較例3、4)
実施例1〜6及び比較例1、2におけるトナーa〜hと、前記キャリアAを用い、キャリア100質量部に対しトナー7質量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラミキサーを用いて均一混合し帯電させて、実施例7〜12及び比較例3、4における2成分系現像剤a〜hを製造した。なお、前記2成分系現像剤における添え字a〜hは、トナーa〜hに対応して2成分系現像剤a〜hを製造したことを示す。
【0223】
(2成分現像剤の評価)
<帯電特性及び耐久性(Q/M)>
富士ゼロックス社製のDocuColor 8000 Digital Pressを改造して線速及び転写時間を調整可能にチューニングした評価機と、実施例7〜12、比較例3、4における各2成分現像剤a〜hとを用いて、A4サイズ、トナー付着量0.6mg/cmのベタパターンを印刷することとして、10万枚のランニング試験を実施した。
耐久性の指標として、10万枚通紙によるランニング試験後、2成分現像剤を一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定し、ランニング試験前の初期値からみたランニング試験後のトナーの帯電量の減少を以下の評価基準により判断することで、耐久性を評価した。
−評価基準−
◎・・・帯電量の減少が3μc/g未満
○・・・帯電量の減少が3μc/g以上5μc/g未満
△・・・帯電量の減少が5μc/g以上10μc/g未満
×・・・帯電量の減少が10μc/g以上
【0224】
<帯電環境安定性>
各2成分現像剤を一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定して、実施例7〜12及び比較例3、4における2成分系現像剤a〜hの帯電環境安定性を評価した。
この帯電環境安定性の評価は、常温常湿(温度25℃、湿度50%)、低温低湿(温度10℃、湿度15%)、高温高湿(温度40℃、湿度90%)の各環境下にて2週間保管した2成分系現像剤に対して行ったものであり、その評価方法は、ランニング試験前の初期値からみたランニング試験後のトナーの帯電量の変化量を通じて、以下の評価基準により判断して行ったものである。
−評価基準−
◎・・・帯電量の変化が3μc/g未満
○・・・帯電量の変化が3μc/g以上5μc/g未満
△・・・帯電量の変化が5μc/g以上10μc/g未満
×・・・帯電量の変化が10μc/g以上
【0225】
<造粒性>
造粒性の評価は、実施例7〜12及び比較例3、4における各2成分現像剤a〜hについて、体積平均粒径(Dv)及び体積平均粒径/個数平均粒径(Dv/Dn)を粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)にて測定し、狙いとするDv及びDv/Dnが得られるかを以下のように評価することで行った。
−Dvの評価基準−
◎:狙いのDv±0.1μm未満
○:狙いのDv±0.1μm以上0.3μm未満
△:狙いのDv±0.3μm以上0.5μm未満
×:狙いのDv±0.5μm以上
※狙い:5.2μm
−Dv/Dnの評価基準−
◎:1.15未満
○:1.15以上1.18未満
△:1.18以上1.25未満
×:1.25以上
※狙い:1.15以下
【0226】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0227】
本発明のトナーは、フルカラーの画像形成方法において、トナーの帯電性、耐久性、及び環境安定性に優れ、更に、所望の粒径が得られ、高品質な画像を安定的に得ることができるため、電子写真用トナー、現像剤、フルカラー画像形成方法及び画像形成装置、プロセスカートリッジ等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0228】
(図1の符号)
1 トナー
2 母体粒子
3 外添剤
(図2〜図4の符号)
500 ローラ式帯電装置
501 帯電ローラ
502 芯金
503 導電ゴム層
504 電源
505 感光体
510 ブラシ式帯電装置
511 ファーブラシローラ
513 ブラシ部
514 電源
515 感光体
(図5の符号)
600 現像器
601 現像スリーブ
602 電源
603 現像部
604 感光体
605 トナー
(図6及び図7の符号)
760 誘導加熱手段
710 加熱ローラ
720 定着ローラ
721 芯金
722 弾性部材
730 無端帯状の定着ベルト
731 基体
732 発熱層
733 中間層
734 離型層
740 加圧ローラ
741 芯金
742 弾性部材
760 誘導加熱手段
761 励磁コイル
762 コイルガイド板
763 励磁コイルコア
764 励磁コイルコア支持部材
770 記録材
(図8の符号)
800 プロセスカートリッジ
801 感光体
802 帯電手段
803 現像手段
804 現像剤
805 現像手段
806 クリーニング手段
(図9の符号)
120Bk,120C,120M,120Y 画像書込部
130Bk,130C,130M,130Y 画像形成部
140 給紙部
262 プレ転写チャージャ
215Bk,215C,215M,215Y 帯電装置
200Bk,200C,200M,200Y 現像装置
230Bk,230C,230M,230Y 1次転写装置
250Bk,250C,250M,250Y トナー移送管
300Bk,300C,300M,300Y クリーニング装置
220 中間転写ベルト
(図10の符号)
10Y、10C、10M、10K 感光体
14 第1の支持ローラ
15 第2の支持ローラ
16 第3の支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
21 露光手段
22 2次転写手段
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 手差しトレイ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 分離ローラ
62 1次転写装置
100 画像形成装置
110 複写装置本体
120 タンデム画像形成装置
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0229】
【特許文献1】特許第3640918号公報
【特許文献2】特開平06−250439号公報
【特許文献3】特公昭55− 42752号公報
【特許文献4】特開昭61− 69073号公報
【特許文献5】特開昭61−221756号公報
【特許文献6】特開平09−124659号公報
【特許文献7】特開昭57−111541号公報
【特許文献8】特開昭62− 94856号公報
【特許文献9】特公平07− 31421号公報
【特許文献10】特公平07−104620号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂及び結着樹脂前駆体のいずれかと帯電制御剤を含むトナー材料を有機溶媒に溶解乃至分散させて前記トナー材料の溶解乃至分散液を調製する溶解乃至分散液調製工程と、前記溶解乃至分散液を水系媒体中に添加し乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調製する乳化乃至分散液調製工程と、前記乳化乃至分散液から前記有機溶媒を除去する有機溶媒除去工程とを含むトナーの製造方法によって製造され、
前記帯電制御剤が下記一般式(I)で表されるトリメシン酸誘導体を含むことを特徴とするトナー。
【化8】

ただし、前記一般式(I)において、R〜Rは、それぞれ、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、アルキル基、フェニル基、及びフルオロアルキル基のいずれかを表し、前記R〜Rのうち、隣接するもの同士が結合して環を形成してもよい。
【請求項2】
トリメシン酸誘導体が、トナー内部に含有される請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
体積平均粒径が、1μm〜6μmである請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
【請求項4】
乳化乃至分散液調製工程における水系媒体が、平均粒径5nm〜50nmのアニオン性樹脂微粒子とアニオン性界面活性剤とを含む請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
【請求項5】
結着樹脂が、ポリエステル系樹脂を含む請求項1から4のいずれかに記載のトナー。
【請求項6】
トナー100質量部に対して、トリメシン酸誘導体を0.01質量部〜5.0質量部含有する請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
【請求項7】
トリメシン酸誘導体の平均分散径が、10nm〜500nmである請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
【請求項8】
帯電量が、−80μC/g〜−10μC/gである請求項1から7のいずれかに記載のトナー。
【請求項9】
トナーの体積固有抵抗ρ(Ω・cm)の常用対数値であるLogρが、10.9Ω・cm〜11.4Ω・cmである請求項1から8のいずれかに記載のトナー。
【請求項10】
体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比、Dv/Dnが、1.05〜1.25である請求項1から9のいずれかに記載のトナー。
【請求項11】
平均円形度が、0.950〜0.990である請求項1から10のいずれかに記載のトナー。
【請求項12】
BET比表面積が、0.5m/g〜4.0m/gである請求項1から11のいずれかに記載のトナー。
【請求項13】
トナー材料が、活性水素基含有化合物及び該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂を含む請求項1から12のいずれかに記載のトナー。
【請求項14】
電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光工程と、前記静電潜像を形成された電子写真感光体上に請求項1から13のいずれかに記載のトナーを用いてトナー像を形成する現像工程と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写工程と、前記中間転写体上に一次転写されたトナー像を記録材上に二次転写する二次転写工程と、前記記録材上に二次転写されたトナー像に対して熱及び圧力を加えて該記録材上に定着させる定着工程と、前記一次転写後及び前記二次転写後のいずれかにおいて電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
二次転写工程において、トナー像を記録材に転写する線速度が300mm/sec〜1,000mm/secであり、転写時間が0.5msec〜20msecである請求項14に記載の画像形成方法。
【請求項16】
1回の画像形成に対し、帯電工程、露光工程、現像工程、一次転写工程、二次転写工程、定着工程、及びクリーニング工程を含む画像形成工程をタンデム方式で複数同時に行う請求項14から15のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項17】
電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段と、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を請求項1から13のいずれかに記載のトナーを用いてトナー像とする現像手段と、前記電子写真感光体上に形成されたトナー像を中間転写体上に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写体上に一次転写されたトナー像を記録材上に二次転写する二次転写手段と、前記記録材上に二次転写されたトナー像に対して熱及び圧力を加えて該記録材上に定着させる定着手段と、前記一次転写後及び前記二次転写後のいずれかにおいて電子写真感光体の表面に付着している転写残トナーをクリーニングするクリーニング手段と、を備えた画像形成装置における各手段のうち、
少なくとも前記電子写真感光体と、前記現像手段とを、一体に支持して画像形成装置本体に着脱自在としたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項18】
更に、帯電手段、転写手段及びクリーニング手段のいずれかから選択される少なくとも1つの手段を含む請求項17に記載のプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−197268(P2011−197268A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62741(P2010−62741)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】