説明

トナーカートリッジ

【課題】 現像装置にトナーを供給するのに用いるトナーカートリッジにおいて、トナーを収容させるカートリッジ本体の形状がどのような形状になった場合においても、カートリッジ本体内に収容されたトナーをトナー供給口に適切に導いて現像装置にトナーを供給できるようにする。
【解決手段】 トナーtを収容させるカートリッジ本体10の内壁に沿ったシート材12を設け、このシート材の内部側にトナーを収容させると共に、このシート材を巻き取ってシート材の内部に収容されたトナーをトナー供給口11に導く巻取り機構13を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置において、現像装置にトナーを供給するのに使用するトナーカートリッジに係り、特に、トナーを収容させるカートリッジ本体の形状がどのような形状になった場合においても、カートリッジ本体内に収容されたトナーをトナー供給口に適切に導いて、現像装置にトナーを供給できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置においては、カートリッジ本体内にトナーを収容させたトナーカートリッジを用い、このトナーカートリッジからカートリッジ本体内に収容されたトナーを現像装置に供給するようにしており、このようなトナーカートリッジとしては様々な種類のものが用いられていた。
【0003】
例えば、特許文献1等においては、筒状になったカートリッジ本体の内部にトナーを収容させると共にこのカートリッジ本体の軸方向一端側にトナー供給口を設けたトナーカートリッジを用い、このトナーカートリッジを現像装置の上方にセットし、このトナーカートリッジを回転させて、カートリッジ本体内に収容されたトナーをトナー供給口に導いて現像装置に供給するようにしたものが示されている。
【0004】
また、特許文献2等においては、口部がトナー供給口になったボトル状のカートリッジ本体の内部にトナーを収容させたトナーカートリッジを用い、このトナーカートリッジを現像装置の上方に設けられたトナー補給装置に装着させて、このトナーカートリッジを倒立させ、この状態で、上記のトナーカートリッジを回転させて、カートリッジ本体内に収容されたトナーをトナー供給口からトナー補給装置を通して現像装置に供給するようにしたものが示されている。
【0005】
また、現像装置と分離されるトナーカートリッジではないが、特許文献3においては、現像装置と一体に形成されたトナーポッパー内にトナーを収容させ、このトナーポッパー内に設けられた攪拌部材により、トナーポッパー内に収容されたトナーを攪拌すると共にトナーを供給ローラに導き、この供給ローラによりトナーを現像装置内に供給するようにしたものが示されている。
【0006】
しかし、上記のトナーカートリッジやトナーポッパーは設ける位置やその形状が一定であるため、このようなトナーカートリッジや現像装置と一体に形成されたトナーポッパーを画像形成装置内に設ける場合には、これらをセットするために、画像形成装置内にこのようなトナーカートリッジやトナーポッパーの形状に対応した空間を確保することが必要になると共に、画像形成装置内に存在する無駄な空間を有効に利用することができず、このため画像形成装置が大型化するという問題があった。また、上記のトナーポッパーのように攪拌部材によってトナーポッパー内に収容されたトナーを攪拌する場合には、騒音も大きくなるという問題があった。
【特許文献1】特開平7−199618号公報
【特許文献2】特開平10−319695号公報
【特許文献3】特開2002−23474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、現像装置にトナーを供給するのに使用するトナーカートリッジにおける上記のような問題を解決することを課題とするものであり、トナーを収容させるカートリッジ本体の形状がどのような形状になった場合においても、カートリッジ本体内に収容されたトナーをトナー供給口に適切に導いて、現像装置にトナーを供給できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるトナーカートリッジにおいては、上記のような課題を解決するため、トナーを収容させるカートリッジ本体の内壁に沿ったシート材を設け、このシート材の内部側にトナーを収容させると共に、このシート材を巻き取ってシート材の内部に収容されたトナーをトナー供給口に導く巻取り機構を設けた。
【0009】
ここで、上記のトナーカートリッジにおいては、上記の巻取り機構を逆回転可能に構成し、シート材を巻き取るだけではなく、巻き取ったシート材を巻き戻しできるようにすることが好ましい。
【0010】
また、上記のトナーカートリッジにおいては、上記の巻取り機構を複数設け、各巻取り機構を適当に選択してシート材を巻き取るようにしたり、上記のカートリッジ本体に、このカートリッジ本体内における上記のシート材の外部側に廃トナーを導く廃トナー導入口を設けるようにしたり、上記の巻取り機構によるシート材の巻取り量を検出する巻取り量検出手段を設けるようにすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトナーカートリッジにおいては、トナーを収容させるカートリッジ本体の内壁に沿ったシート材を設け、このシート材の内部側にトナーを収容させ、このシート材を巻取り機構により巻き取ってシート材の内部に収容されたトナーをトナー供給口に導くようにしたため、上記のカートリッジ本体の形状がどのような形状であっても、上記の巻取り機構によりシート材を巻き取るだけで、このカートリッジ本体内に収容されたトナーがトナー供給口に適切に導かれて、現像装置に供給されるようになる。
【0012】
この結果、本発明のトナーカートリッジにおいては、カートリッジ本体を画像形成装置内に存在する空間に対応した形状に形成することができ、従来の筒状やボトル状になったトナーカートリッジのように、このトナーカートリッジの形状に対応した空間を画像形成装置内に確保する必要がなくなり、画像形成装置内に存在する無駄な空間を有効に利用して、画像形成装置を小型化することが可能になる。
【0013】
また、本発明のトナーカートリッジにおいて、上記の巻取り機構を逆回転可能に構成すると、上記のようにシート材を巻き取って、シート材の内部に収容されたトナーをトナー供給口に導く他に、シート材の巻き取りと巻き戻しとを何度か繰り返すことにより、シート材の内部に収容されたトナーを揺動させて攪拌させることができ、トナーが凝集したりするのを防止することができる。
【0014】
また、本発明のトナーカートリッジにおいて、上記の巻取り機構を複数設け、各巻取り機構を適当に選択してシート材を巻き取るようにすると、カートリッジ本体内の適当な位置に収容されたトナーを選択的に送り出して、トナー供給口に導くことができるようになる。
【0015】
また、本発明のトナーカートリッジにおいて、上記のカートリッジ本体に、上記のシート材の外部側におけるカートリッジ本体内に廃トナーを導く廃トナー導入口を設けると、上記のようにシート材を巻き取って、シート材の内部に収容されたトナーをトナー供給口に導いた場合、トナーが無くなったカートリッジ本体内の空間部に廃トナーを収容させることができるようになる。
【0016】
さらに、本発明のトナーカートリッジにおいて、上記の巻取り機構によるシート材の巻取り量を検出する巻取り量検出手段を設けると、この巻取り量検出手段によって検出されたシート材の巻取り量からカートリッジ本体内に残っているトナーの量を簡単に検知することができ、トナーカートリッジの交換時期を簡単に予知できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態に係るトナーカートリッジを添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、この発明に係るトナーカートリッジは、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0018】
この実施形態に係るトナーカートリッジにおいては、画像形成装置(図示せず)内に存在する空間に対応するようにして、例えば、図1に示すように、カートリッジ本体10を、凸字状になった函体の凸部10aが後方に突出した形状に形成している。
【0019】
そして、このカートリッジ本体10の正面上部にスリット状になったトナー供給口11を設けると共に、上記のトナー供給口11の近傍にカートリッジ本体10の側面にカートリッジ本体10内に設けられたシート材12を巻き取るモータ等の巻取り機構13を設け、さらにこの巻取り機構13によって巻き取られたシート材12の量を検出する巻取り量検出手段14を設けている。
【0020】
また、この実施形態のトナーカートリッジにおいては、図2に示すように、上記のカートリッジ本体10の内壁に沿ってシート材12を設け、このシート材12の内部にトナーtを収容させている。
【0021】
また、上記のカートリッジ本体10に設けられたトナー供給口11と反対側におけるカートリッジ本体10の背面上部に、クリーニング装置(図示せず)によって回収された廃トナーtoを、カートリッジ本体10内における上記のシート材12の外部側に導く廃トナー導入口15を設け、上記のシート材12により、この廃トナー導入口15からカートリッジ本体10内に導かれた廃トナーtoと、上記のシート材12の内部側に収容されたトナーtとが混合しないようにしている。
【0022】
そして、この実施形態のトナーカートリッジにおいて、カートリッジ本体10に収容されたトナーtを上記のトナー供給口11から現像装置(図示せず)に供給するにあたっては、図3〜図6に示すように、上記の巻取り機構13によりカートリッジ本体10内における巻取り軸13aを回転させて、カートリッジ本体10の内壁に沿って設けられたシート材12を巻取り軸13aに巻き取り、シート材12の内部に収容されたトナーtを上記のトナー供給口11に導くようにする。また、シート材12が巻き取られてカートリッジ本体10内に生じた空間部に、クリーニング装置(図示せず)によって回収された廃トナーtoを上記の廃トナー導入口15を通して収容させるようにする。
【0023】
そして、上記のように巻取り機構13によりカートリッジ本体10の内壁に沿って設けられたシート材12を巻取り軸13aに巻き取り、このように巻き取ったシート材12の量を上記の巻取り量検出手段14により検出することにより、シート材12の内部に残っているトナーtの量を検知することができ、これに基づいてトナーカートリッジの交換時期を予知することができる。
【0024】
また、上記のように巻取り機構13によりカートリッジ本体10の内壁に沿って設けられたシート材12を巻取り軸13aに巻き取るだけではなく、上記の巻取り機構13により上記の巻取り軸13aを逆方向に回転させて、巻取り軸13aに巻き取られたシート材12を巻き戻し、このような操作を交互に繰り返すと、シート材12の内部に収容されたトナーtが揺動されて攪拌され、トナーtが凝集したりするのが防止される。
【0025】
また、上記のように巻取り機構13によりカートリッジ本体10の内壁に沿って設けられたシート材12を巻取り軸13aに巻き取ってトナーtを上記のトナー供給口11に導くにあたり、シート材12の内部におけるトナーtがシート材12とカートリッジ本体10の内壁との間を通してシート材12の内部から漏れ出すのを防止するため、図7に示すように、カートリッジ本体10の内壁にシート材12の側端部との隙間をなくすパッキン材16を設けると共に、このパッキン材16と接触するシート材12の側端部に、パッキン材16に対する滑り性を向上させる滑り部材12aを設けるようにすることができる。また、上記のシート材12を袋状に形成して、このシート材12の内部からトナーtが漏れ出すのを防止することも可能である。
【0026】
なお、本発明のトナーカートリッジは、画像形成装置内に存在する空間に対応するようにして、カートリッジ本体10の形状を変更させることができ、例えば、画像形成装置内に十字状になった空間が存在する場合には、図8に示すように、カートリッジ本体10を、この空間に対応させて十字状になった函体状に形成することができる。
【0027】
また、図8に示すように、上記の十字状になったカートリッジ本体10の正面上部に設けたスリット状のトナー供給口11の上部及び下部にそれぞれ巻取り軸13aを設けると、上部及び下部の何れの巻取り軸13aを回転させて、シート材12を何れの巻取り軸13aに巻き取るようにするかを適当に選択することにより、カートリッジ本体10内の適当な位置に収容されたトナーtを選択的に送り出して、トナー供給口11に導くことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るトナーカートリッジを示した概略斜視図である。
【図2】上記の実施形態に係るトナーカートリッジの概略断面説明図である。
【図3】上記の実施形態に係るトナーカートリッジにおいて、巻取り機構によりカートリッジ本体の内壁に沿って設けられたシート材を巻取り軸に巻き取る第1段階を示した概略断面説明図である。
【図4】上記の実施形態に係るトナーカートリッジにおいて、巻取り機構によりカートリッジ本体の内壁に沿って設けられたシート材を巻取り軸に巻き取る第2段階を示した概略断面説明図である。
【図5】上記の実施形態に係るトナーカートリッジにおいて、巻取り機構によりカートリッジ本体の内壁に沿って設けられたシート材を巻取り軸に巻き取る第3段階を示した概略断面説明図である。
【図6】上記の実施形態に係るトナーカートリッジにおいて、巻取り機構によりカートリッジ本体の内壁に沿って設けられたシート材を巻取り軸に巻き取って収容されたトナーを全てトナー供給口から送り出した状態を示した概略断面説明図である。
【図7】上記の実施形態に係るトナーカートリッジにおいて、カートリッジ本体の内壁とシート材の側端部との間からトナーが漏れないようにする構成の一例を示した部分断面説明図である。
【図8】上記の実施形態に係るトナーカートリッジにおいて、カートリッジ本体の形状等を変更させた変更例の概略断面説明図である。
【符号の説明】
【0029】
10 カートリッジ本体
10a 凸部
11 トナー供給口
12 シート材
12a 滑り部材
13 巻取り機構
13a 巻取り軸
14 巻取り量検出手段
15 廃トナー導入口
16 パッキン材
t トナー
to 廃トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容させるカートリッジ本体の内壁に沿ったシート材を設け、このシート材の内部側にトナーを収容させると共に、このシート材を巻き取ってシート材の内部に収容されたトナーをトナー供給口に導く巻取り機構を設けたことを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載のトナーカートリッジにおいて、上記の巻取り機構が逆回転可能に構成されていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のトナーカートリッジにおいて、上記の巻取り機構が複数設けられていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のトナーカートリッジにおいて、上記のカートリッジ本体に、このカートリッジ本体内における上記のシート材の外部側に廃トナーを導く廃トナー導入口が設けられていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のトナーカートリッジにおいて、上記の巻取り機構によるシート材の巻取り量を検出する巻取り量検出手段が設けられていることを特徴とするトナーカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−222987(P2009−222987A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67243(P2008−67243)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】