説明

トナー担持体、現像装置及び画像形成装置

【課題】耐久性を向上させることができる電極を外周面に設けたトナー担持体、現像装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は現像装置を備えている。現像装置は現像ローラ115を備えている。現像ローラ115は基材1と電極軸と一対の電極3a,3bと保護層4を備えている。基材1が導電性の芯金5とこの芯金5の外表面に形成された絶縁層6を備えている。電極軸と一対の電極3a,3bは導電性の金属で構成され絶縁層6の外表面に設けられている。電極軸と一対の電極3a,3bは金属膜にレーザビームが照射され不要部分が除去されて形成されている。電極3a,3bは基材1の外表面にらせん状に形成されて断面において縁部が外側に向かうにしたがって徐々に厚みが薄くなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等に用いられる現像ローラなどのトナー担持体、現像装置及び画像形成装置に関し、さらに詳しくは、外周面上でホッピングしているトナーを潜像担持体に対向する現像領域に搬送し、該潜像担持体上の静電潜像を現像してトナー像を形成するトナー担持体及び現像装置に関する。また、本発明は、かかる現像装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に備えられる現像装置として、現像ローラなどのトナー担持体の外周面上でホッピンさせたトナーを静電潜像の現像に用いる現像装置(例えば、特許文献1参照)が知られている。特許文献1に示された現像装置のトナー担持体としての現像ローラは、アクリル樹脂で構成されかつ上に周方向に交互に設けられかつ互いに電気的に絶縁された第1の電極と第2の電極とを設けた円筒部材と、当該円筒部材の長手方向の両端部に取り付けられかつ前記電極のいずれかと電気的に接続された導電性の一対の電極軸とを備えている。
【0003】
電極は、前記円筒部材の外周面上に当該円筒部材の長手方向に延在した溝が切削工程により形成された後、円筒部材の外周面の全周に無電解ニッケル鍍金により施された鍍金層の前記円筒部材の外周面上の部分が切削工程により除去されて、前記溝内に形成される。そして、円筒部材の外周面は、電極の表面上も含めて、全周に亘ってシリコーン樹脂によりコーティングされる。
【0004】
こうして製造された現像ローラは、一対の電極軸間即ち第1の電極と第2の電極との間に交流電源から交流電圧が印加される。そして、現像ローラは、第1の電極と第2の電極との間に交番電界を形成し、トナーを第1の電極と第2の電極との間を繰り返し往復移動するように、ホッピングさせる。即ち、現像ローラは、第1の電極上に位置していたトナーが浮上して第2の電極上に着地したり、第2の電極上から浮上して第1の電極上に着地したりする。そして、現像ローラは、軸芯回りに回転されることで、潜像担持体に対向する現像領域までトナーを搬送する。そして、現像ローラは、当該現像領域でホッピングしたトナーを潜像担持体上の静電潜像に付着させて、静電潜像を現像する。
【0005】
このように、特許文献1に示された現像ローラは、当該現像ローラの外周面や磁性キャリアに付着しているトナーではなく、前述したホッピングによって吸着力を発揮していないトナーを用いて、静電潜像を現像する。こうして、潜像担持体の外周面において、非画像部との電位差が僅か数十ボルトである静電潜像にもトナーを付着させるという低電位差現像を実現することができる。
【0006】
しかしながら、このような特許文献1に示された現像ローラは、前述した溝を形成する場合や、鍍金層の不要部分を除去する際に切削加工を施すので、加工にかかる所要時間が長時間化して、コストが高騰する傾向であった。また、切削加工を施す際に生じる削りかすにより電極同士が短絡する虞があったり、溝を形成する際の切削加工により、円筒部材がゆがんでしまい、所望の精度を得ることができない虞があった。
【0007】
このような特許文献1に示された現像ローラの問題を解決するために、本発明の出願人は、円筒部材の外周面に、幅が30μm程度の金属箔をらせん状に捲きつけることで、前述した第1の電極と第2の電極とを構成する現像ローラ(例えば、特許文献2参照)を提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した特許文献2に示された現像ローラは、金属箔をらせん状に捲きつけるので、これらの巻きつけられた金属箔と円筒部材との間に隙間が生じ、所望の精度で電極を製造することが困難であった(即ち所望の位置に電極を形成することが困難であった)。
【0009】
また、金属箔をらせん状に捲きつけて電極を形成しているので、これらの巻きつけられた金属箔と円筒部材との間に隙間が生じるので、経年劣化により金属箔即ち電極が円筒部材に対してずれたり、耐久性にも問題があった。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、耐久性を向上させることができる電極を外周面に設けたトナー担持体、現像装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載のトナー担持体は、外周面上にホッピングしているトナーを潜像担持体に対向する現像領域まで搬送するトナー担持体において、少なくとも外表面に絶縁体で構成された絶縁層を有する基材と、前記基材の外表面にらせん状に形成された少なくとも一本のリボン状の電極と、が設けられ、前記電極における基材側の両縁が、それらの外側に向かうにしたがって徐々に厚みを減少させるように傾斜して設けられ、かつ、前記電極の幅方向の中央部が、前記基材の外表面と平行になるように平坦に形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載のトナー担持体は、請求項1に記載のトナー担持体において、前記電極が、前記基材の外表面に互いに間隔をあけて一対設けられて、これら一対の電極間に交番電界を形成するように、前記一対の電極間に電圧が印加されることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載のトナー担持体は、請求項1に記載のトナー担持体において、前記電極が、前記基材の外表面に一本のみ設けられて、前記電極と前記基材における導電性の母材との間に交番電界を形成するように、前記電極と前記母材との間に電圧が印加されることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載のトナー担持体は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のトナー担持体において、前記電極が、前記基材の外表面全体に一様に形成した金属膜に、高エネルギのビームを照射して、不要部分を除去し形成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載のトナー担持体は、請求項4に記載のトナー担持体において、前記ビームの四角形とされたスポットの外縁を前記基材の軸芯に対して傾けた状態で、前記スポットを前記基材の軸芯方向に互いに重ねて、前記基材を軸芯回りに回転させるのに連動させて前記基材の軸芯方向に相対的に移動させながら、前記ビームが、前記金属膜に照射されることにより、前記電極が形成されていることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載のトナー担持体は、請求項4または請求項5に記載のトナー担持体において、前記ビームが複数本同時に照射されて、前記電極が形成されていることを特徴としている。
【0017】
請求項7に記載のトナー担持体は、請求項4乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のトナー担持体において、前記電極に接続された電極軸が、前記基材の外表面の軸芯方向の両端部に当該軸芯に対して直交する方向に延在されて設けられており、そして、前記電極軸の互いに近接する縁部が、鋸歯状に形成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項8に記載のトナー担持体は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のトナー担持体において、前記基材が、円柱状に形成されていることを特徴としている。
【0019】
請求項9に記載のトナー担持体は、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載のトナー担持体において、前記基材が、無端ベルト状に形成されていることを特徴としている。
【0020】
請求項10に記載の現像装置は、外周面上にホッピングしているトナーを潜像担持体に対向する現像領域まで搬送するトナー担持体を備えた現像装置において、前記トナー担持体として、請求項1ないし請求項9のうちいずれか一項に記載のトナー担持体を有することを特徴としている。
【0021】
請求項11に記載の画像形成装置は、潜像担持体と、帯電装置と、現像装置と、を少なくとも備えた画像形成装置において、上記現像装置として、請求項10記載の現像装置を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載のトナー担持体によれば、外周面上にらせん状でリボン状に形成された電極がその断面において、縁部が外側に向かうにしたがって徐々に厚みが減少するように形成されているので、当該電極の基材への接触面積を大きくすることができる。こうすることで、電極を基材からはがれ難くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0023】
請求項2に記載のトナー担持体によれば、トナー担持体は、基材の外表面に電極を一対設けているので、これらの電極間でトナーを確実にホッピングさせることができ、低電位差現像を確実に実現することができる。
【0024】
請求項3に記載のトナー担持体によれば、トナー担持体は、基材の外表面に電極を一本のみ設け、この電極と基材の母材との間に交番電界を形成するように印加しているので、これらの電極と基材の外表面の当該ホッピング間に位置する部分との間でトナーを確実にホッピングさせることができ、低電位差現像を確実に実現することができる。
【0025】
請求項4に記載のトナー担持体によれば、電極が、基材の外表面全体に一様に形成された金属膜に、高エネルギのビームが照射されて不要部分が除去されて製造されているので、このビームを照射した箇所の金属膜を確実に除去でき、高精度な電極を得ることができる即ち所望の位置に確実に電極を形成することができる。
【0026】
請求項5に記載のトナー担持体によれば、スポットの外縁が基材の軸芯に対して傾きかつ基材の軸芯方向に互いに重なるように、基材が軸芯回りに回転するのに連動して、ビームが基材に対して軸芯方向に相対的に移動されながら金属膜に照射されるので、確実にらせん状の電極を得ることができ、かつ互いに隣り合う電極が短絡することを防止できる。
【0027】
請求項6に記載のトナー担持体によれば、ビームが複数本同時に照射されるので、電極を形成する際にかかる所要時間を短くすることができ、トナー担持体の低コスト化を図ることができる。
【0028】
請求項7に記載のトナー担持体によれば、電極軸の互いに近接する縁部が鋸歯状に形成されているので、スポットが四角形のビームを、その外縁が傾けたまま作業を行うことができる。よって、電極を形成する際にかかる所要時間を短くすることができ、トナー担持体の低コスト化を図ることができる。
【0029】
請求項8に記載のトナー担持体によれば、基材が円柱状に形成されているので、トナー担持体を所謂現像ローラとして用いることができる。
【0030】
請求項9に記載のトナー担持体によれば、基材が無端ベルト状に形成されているので、トナー担持体を所謂現像ベルトとして用いることができる。
【0031】
請求項10に記載の現像装置によれば、前述したトナー担持体を備えているので、電極を基材からはがれ難くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0032】
請求項11に記載の画像形成装置によれば、前述した現像装置を備えているので、電極を基材からはがれ難くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる現像ローラを備えた画像形成装置の構成を正面からみた説明図である。
【図2】図1に示された画像形成装置の現像ローラの側面図である。
【図3】図2に示された現像ローラの要部の断面図である。
【図4】図2に示された現像ローラの要部を拡大して示す平面図である。
【図5】図2に示された現像ローラの芯金の側面図である。
【図6】図6に示された芯金に絶縁層が形成され更に金属膜が一様に形成された状態を示す側面図である。
【図7】図6に示された現像ローラの金属膜に加工を施す表面処理装置の概略の構成を示す側面図である。
【図8】図7に示された表面処理装置のレーザビームのスポットの位置を示す説明図である。
【図9】図7に示された表面処理装置のレーザビームのスポットの形状を示す説明図である。
【図10】図7に示された表面処理装置のレーザビームのビームの強度の分布を示す説明図である。
【図11】図8に示された位置のレーザビームの強度の分布を示す説明図である。
【図12】図7に示された表面処理装置のレーザビームのスポットの現像ローラの外周面上での位置を示す説明図である。
【図13】加工不良となる位置のレーザビームの強度の分布を示す説明図である。
【図14】加工不良となる位置のレーザビームの強度の分布の他の例を示す説明図である。
【図15】加工不良となるレーザビームのスポットの位置を示す説明図である。
【図16】本発明の第2の実施形態にかかる現像ローラの側面図である。
【図17】図16に示された現像ローラの要部の断面図である。
【図18】図16に示された現像ローラの要部を拡大して示す平面図である。
【図19】図7に示された表面処理装置の変形例の概略の構成を示す側面図である。
【図20】図19に示された表面処理装置のレーザビームのスポットの位置を説明する説明図である。
【図21】比較例としての表面処理装置の概略の構成を示す説明図である。
【図22】本発明の変形例のレーザビームのスポットの位置を説明する説明図である。
【図23】本発明のトナー担持体としての現像ベルトの一例を示す斜視図である。
【図24】本発明のトナー担持体としての現像ベルトの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1ないし図15に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態にかかる画像形成装置の構成を正面からみた説明図である。図2は、図1に示された画像形成装置の本発明の第1の実施形態にかかる現像装置の現像ローラの側面図である。
【0035】
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107(図1に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
【0036】
画像形成装置101は、図1に示すように、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとを少なくとも備えている。
【0037】
装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
【0038】
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に複数設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
【0039】
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像に重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
【0040】
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kとを備えている。駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。
【0041】
従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ127が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ127と従動ローラ128との回りを図中半時計回りに循環(無端走行)する。
【0042】
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
【0043】
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
【0044】
レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、装置本体102の上部に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、それぞれ、一つのプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kに対応している。レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kは、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
【0045】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kとの間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0046】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、図1に示すように、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体ドラム(潜像担持体に相当する)108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、を備えている。このため、画像形成装置101は、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を少なくとも備えている。
【0047】
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する現像ローラ115と間隔をあけて配されている。
【0048】
感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。感光体ドラム108は、対応するレーザ書き込みユニット122Y,122M,122C,122Kにより、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーT(図3に示す)が吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0049】
現像装置113は、図1に示すように、現像剤供給部114と、トナー担持体としての現像ローラ115とを少なくとも備えている。
【0050】
現像剤供給部114は、現像剤を収容する。現像剤は、トナーTと、磁性キャリア(磁性粉ともいう)とを含んでいる。トナーTは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーTは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーTの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーTは、粉砕加工などにより形成されても良い。磁性キャリアの平均粒径は、20μm以上でかつ50μm以下である。現像剤供給部114は、トナーTと磁性キャリアとを攪拌しながら、これらのトナーT及び磁性キャリア即ち現像剤を現像ローラ115の外表面に供給する。
【0051】
現像ローラ115は、略円柱状に形成され、現像剤収容部114と感光体ドラム108との間に設けられ、図示しない駆動源により軸芯回りに回転駆動される。現像ローラ115の軸芯は、感光体ドラム108の軸芯と平行である。現像ローラ115は、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115と感光体ドラム108との間の空間は、現像剤のトナーTを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域Rをなしている。現像領域Rでは、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
【0052】
現像ローラ115は、図2及び図3に示すように、円柱状の基材1と、この基材1の外表面に形成された一対の電極軸2(図2のみに示す)と、前記基材1の外表面に形成された一対の電極3a,3b(即ち、少なくとも一本の電極3a,3b)と、保護層4(図3のみに示す)を備えている。
【0053】
基材1は、図3に示すように、アルミニウム合金などの導電性の金属で構成された母材としての芯金5と、芯金5の大径部7の外表面全体に一様の厚みで形成された絶縁層6とを備えている。芯金5は、図5に示すように、円柱状の大径部7と、この大径部7と同軸に設けられかつ当該大径部7の両端面から凸の円柱状に形成された一対の小径部8とを一体に備えている。大径部7及び小径部8の外径は、これらの軸芯方向に一定に形成されている。勿論、大径部7の外径は、小径部8の外径よりも大きく形成されている。絶縁層6は、絶縁体としての絶縁性を有する合成樹脂で構成されている。このため、基材1の外表面には、絶縁体で構成された絶縁層6が設けられている。なお、絶縁層6の外表面は、基材1の外表面をなしている。
【0054】
電極軸2と電極3a,3bは、導電性の金属で構成されている。電極軸2と電極3a,3bは、厚みと構成する金属が等しく形成されている。一対の電極軸2は、基材1の絶縁層6の外表面の軸芯方向の両端部に形成されている。電極軸2は、それぞれ、軸芯に対して直交する方向に延在して、前記基材1の絶縁層6の外表面の全周に亘って形成されている。また、一対の電極軸2の互いに近接する縁部が、図4に示すように、鋸歯状に形成されている。
【0055】
一対の電極3a,3bは、互いに間隔をあけて平行に設けられたリボン状に形成され、基材1の絶縁層6の外表面の電極軸2間に形成されている。一対の電極3a,3bは、ぞれぞれ、基材1の絶縁層6の外表面にらせん状に形成されている。即ち、一対の電極3a,3bの長手方向は、基材1の軸芯に対して傾いているとともに、全長に亘って前記電極軸2に対する傾きθ(図4に示す)が一定に形成されている。また、一対の電極3a,3bのうちの一方の電極3aは、一方の電極軸2に連なって当該一方の電極軸2と接続されており、他方の電極軸2から間隔をあけて当該他方の電極軸2と電気的に絶縁されている。一対の電極3a,3bのうちの他方の電極3bは、他方の電極軸2に連なって当該他方の電極軸2と接続されており、前記一方の電極軸2から間隔をあけて当該一方の電極軸2と電気的に絶縁されている。
【0056】
また、電極3a,3bは、それぞれ、その断面において、図3に示すように、基材1からの両縁が当該電極3a,3bの外側に向かうにしたがって徐々に厚みを減少するように傾斜して設けられている。また、電極3a,3bは、それぞれ、その断面において、図3に示すように、当該電極3a,3bの幅方向の中央部が、前記基材1の絶縁層6の外表面と平行となるように平坦に形成されている。
【0057】
保護層4は、絶縁性の合成樹脂で構成され、前記電極軸2、電極3a,3b及び絶縁層6の表面全体を覆っている。
【0058】
前述した構成の現像ローラ115は、前記一対の電極3a,3b間には電極軸2を介して交流電圧が印加されて、これら一対の電極3a,3bが、互いの間に交番電界を形成する。そして、現像ローラ115は、図3に示すように、互いに隣り合う電極3a,3b間で、トナーTを繰り返し往復運動するように、ホッピングされる。こうして、現像ローラ115は、現像剤収容部114から供給された現像剤を吸着し、トナーTをその外周面上でホッピングさせる。そして、現像ローラ115は、感光体ドラム108と現像剤収容部114との間で軸芯回りに回転駆動されることで、その外周面上にホッピングさせているトナーTを感光体ドラム108の静電潜像に吸着させて、当該静電潜像を現像する。
【0059】
前述した構成の現像ローラ115は、以下のように製造される。まず、前述したアルミニウム合金などの金属から図5に示す芯金5が一体に形成され、この芯金5の大径部7の外表面の全体に亘って絶縁性を有する合成樹脂で構成された厚みが一様の絶縁層6が形成される、その後、図6に示すように、この絶縁層6の外表面全体に一様に前述した電極軸2及び電極3a,3bを構成する金属で金属膜23が形成される。そして、金属膜23の電極3a,3b及び電極軸2を除く不要部分が、図7に示す表面処理装置30によって除去される。その後、保護層4で被覆される。
【0060】
表面処理装置30は、図7に示すように、ベース9と、保持部10と、回転駆動部としてのモータ11と、移動手段としての移動部12と、工具としてのレーザ照射機13と、制御手段としての図示しない制御装置とを備えている。
【0061】
ベース9は、平板状に形成されて、工場のフロアやテーブル上等に設置される。ベース9の上面は、水平方向と平行に保たれる。ベース9の平面形状は、矩形状に形成されている。
【0062】
保持部10は、固定保持部14と、スライド保持部15とを備えている。固定保持部14は、ベース9の長手方向の一端部から立設した固定柱16と、この固定柱16の上端部に設けられた回転チャック17とを備えている。回転チャック17は、厚手の円板状に形成され、固定柱16の上端部にその中心を中心として回転自在に支持されている。回転チャック17の回転中心は、ベース9の表面と平行に配置されている。
【0063】
スライド保持部15は、スライダ19と、スライド柱20と、この固定柱16の上端部に設けられた回転チャック21とを備えている。スライダ19は、ベース9の表面即ち回転チャック17の軸芯に沿ってスライド自在に設けられている。また、スライダ19は、回転チャック21の軸芯方向の位置が適宜固定される構成となっている。
【0064】
スライド柱20は、スライダ19から立設している。回転チャック21は、厚手の円板状に形成され、スライド柱20の上端部に取り付けられたモータ11の出力軸に取り付けられている。回転チャック21の回転中心は、固定保持部14の回転チャック17と同軸に配置されている。
【0065】
前述した保持部10は、スライド保持部15が固定保持部14から離れた状態で、回転チャック17,21間に金属膜23が一様に形成されて不要部分が除去される前の現像ローラ115が位置付けられて、そして、保持部10は、スライド保持部15が固定保持部14に近づけられて、回転チャック17,21が現像ローラ115の両端部の小径部を内側に位置付けて、当該回転チャック17,21間に現像ローラ115を挟んだ状態で、スライダ19が固定される。こうして、保持部10は、回転チャック17,21間に現像ローラ115を挟んで、当該現像ローラ115を保持する。
【0066】
モータ11は、スライド保持部15のスライド柱20の上端部に取り付けられている。モータ11は、回転チャック21をその中心回りに回転駆動する。モータ11は、回転チャック21を回転駆動することで、回転チャック17,21間に挟まれた現像ローラ115をその軸芯回りに回転させる。
【0067】
工具移動部12は、リニアガイド24と、図示しない移動用アクチュエータと、を備えている。リニアガイド24は、レール25と、スライダ26とを備えている。レール25は、ベース9上に設置されている。レール25は、直線状に形成されているとともに、その長手方向がベース9の長手方向、回転チャック17,21間に挟まれた現像ローラ115の軸芯と平行に配されている。スライダ26は、レール25に該レール25の長手方向に沿って移動自在に支持されている。
【0068】
移動用アクチュエータは、ベース9に取り付けられているとともに、前述したスライダ26をベース9の長手方向、回転チャック17,21間に挟まれた現像ローラ115の軸芯に沿って、スライド移動させる。
【0069】
レーザ照射機13は、スライダ26から立設した柱状の工具本体27に取り付けられている。レーザ照射機13は、回転チャック17,21間に挟まれた現像ローラ115の基材1の絶縁層6の外表面に一様に形成された金属膜23に向かって高エネルギのビームとしてのレーザビームLを照射する。また、レーザ照射機13は、工具本体27に取り付けられた図示しない回転駆動源によりその軸芯周りの向きが適宜変更される。
【0070】
レーザ照射機13は、レーザビームLを出射するレーザ発振器と、このレーザ発振器の出射したレーザビームLの前記外表面でのスポットS(図9に示す)の形状を四角形とし、かつ前記レーザビームLの強度の分布を図10に示す略矩形状とするビーム整形系とを備えている。ビーム整形系は、互いに直交しかつシリンドカル面がレーザ発振機に相対した一対のシリンドカルレンズを二組設けている。これら二組の一対のシリンドカルレンズ前記レーザビームLの光軸方向に並べられている。前述したレーザ照射機13は、レーザビームLを金属膜23に照射することで、当該金属膜23を構成する金属を昇華させて、当該レーザビームLが照射された部分の金属膜23を除去することで、当該金属膜23から電極軸2及び電極3a,3b以外の不要部分を除去する。
【0071】
制御装置は、周知のRAM、ROM、CPUなどを備えたコンピュータである。制御装置は、回転駆動部としてのモータ11と、工具移動部12の移動用アクチュエータと、前述した回転駆動源と、レーザ照射機13などと接続しており、これらを制御して、表面処理装置30全体の制御を司る。
【0072】
制御装置は、金属膜23から不要部分を除去して、電極軸2及び電極3a,3bのみを基材1の絶縁層6の外表面に残す場合には、まず、回転駆動源にレーザ照射機13の軸芯回りに向きを所定の向きとする。このときの向きは、基材1の絶縁層6におけるスポットSの外縁の現像ローラ115の軸芯に対して直交する方向(電極軸2の長手方向)に対する傾きをθ(度、図4に示す)とすると、以下の式1で示すことができる。
【0073】
θ=sin-1(m×(a+b)/2πr)・・・・・・式1
【0074】
ただし、aは電極3a,3bの幅、bは電極3a,3b間の幅、rは現像ローラ115の半径、mは電極3a,3bの現像ローラ115の軸芯方向に並ぶ部分の本数である。
【0075】
このため、制御装置は、形成する電極3a,3bの幅a、電極3a,3b間の幅b、現像ローラ115の半径rは、電極3a,3bの現像ローラ115の軸芯方向に並ぶ部分の本数mから前述した傾きθ(度)を求め、スポットSの外縁の電極軸2の長手方向に対する傾きが前述した傾きθとなるように、レーザ照射機13の向きを適宜調整する。
【0076】
そして、制御装置は、レーザ照射機13にレーザビームLを不要部分の金属膜23を除去できる一定時間照射させた後、回転駆動部としてのモータ11で現像ローラ115をその軸芯回りに回転させて、移動用アクチュエータによりレーザ照射機13を現像ローラ115の軸芯(長手方向)に沿って移動させる。そして、制御装置は、レーザビームLのスポットSの図10中に符号Fで示す強度が略一定となる部分が図11に示すように現像ローラ115の軸芯方向に隙間をあけずに並ぶように、即ち、前記スポットSが図8に示すように現像ローラ115の軸芯方向に互いに重なるように、再度レーザ照射機13にレーザビームLを不要部分の金属膜23を除去できる一定時間照射させる。
【0077】
こうして、制御装置は、レーザ照射機13のレーザビームLを照射と、モータ11による現像ローラ115の回転及び移動用アクチュエータによるレーザ照射機13即ちレーザビームLと現像ローラ115との軸芯方向の相対的な移動とを交互に繰りかえりして、前述した金属膜23から不要部分を除去して、電極軸2及び電極3a,3bのみを基材1の外表面上に残す。
【0078】
このように、レーザビームLの四角形とされたスポットSの外縁を前記現像ローラ115の基材1の軸芯に対して傾けた状態で、前記スポットSを前記基材1の軸芯方向に互いに重ねて、前記基材1を軸芯回りに回転させるのに連動させて前記基材の軸芯方向に相対的に移動させながら、前記レーザビームLを前記金属膜23に照射する。このとき、前記スポットSを前記基材1の軸芯方向に互いに重ねるのは、図13及び図14に示すように、レーザビームLのスポットSの強度が略一定となる部分Fが現像ローラ115の軸芯方向に隙間をあけると、現像ローラ115の外表面が湾曲しているので、図12に示すように、スポットSの縁部でレーザビームLの焦点位置と加工位置との間にずれDが生じて、図15に示すように、金属膜23の不要部分が残り互いに隣り合う電極3a,3bが短絡してしまうからである。
【0079】
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーTと磁性キャリアとを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤を電極3a,3bにより現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像ローラ115が回転して、電極3a,3b間にホッピングさせた現像剤のトナーTを現像領域Rに向かって搬送する。こうして、現像装置113は、現像剤を現像ローラ115に担持し、現像領域Rに搬送して、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
【0080】
そして、現像装置113は、現像済みの現像剤を、収容槽117に向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤は、再度、他の現像剤と十分に攪拌されて、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
【0081】
前述した構成の画像形成装置101は、以下に示すように、記録紙107に画像を形成する。まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により−700Vに帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、感光体ドラム108を露光して、画像部分を−150Vに減衰させて、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域Rに位置付けられると、この静電潜像に−550Vの現像バイアス電圧を印加して、現像装置113の現像ローラ115の外表面でホッピングしている現像剤のトナーTが感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。
【0082】
そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
【0083】
一方、転写されずに感光体ドラム108上に残ったトナーTはクリーニングブレード112によって回収される。残留トナーを除去された感光体ドラム108は図示しない除電ランプで初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。
【0084】
また、前述した画像形成装置101では、環境変動や経時変動による画質の変動を抑えるために、プロセスコントロールを行なっている。具体的には、まず現像装置113における現像能力を検出する。例えば、あるトナーパターンの画像を、現像バイアス電圧を一定にした条件下で感光体ドラム108上に形成し、その画像濃度を図示しない光センサで検出し、濃度変化から現像能力を把握する。そして、この現像能力が所定の目標現像能力になるように、トナー濃度の目標値を変更することで、画質を一定に保つことができる。例えば、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を高くするように、図示しない制御手段としてのCPUが現像剤収容部114に現像剤を攪拌するモータの駆動回路を制御する。一方、光センサで検出したトナーパターンの画像濃度が、目標現像濃度よりも薄い場合には、トナー濃度を低くするように、CPUが前述したモータの駆動回路を制御する。ここで、上記トナー濃度は図示しないトナー濃度センサで検知される。なお、感光体ドラム108上に形成されるトナーパターンの画像濃度は、現像ローラ115による画像濃度周期ムラの影響で多少変動することがある。
【0085】
本実施形態によれば、外周面上にらせん状に形成された電極3a,3bの断面において、縁部が外側に向かうにしたがって徐々に厚みが減少するように形成されているので、当該電極3a,3bの基材1への接触面積を大きくすることができる。このために、電極3a,3bを基材1からはがれ難くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0086】
また、現像ローラ115が基材1の外表面に電極3a,3bを一対設けているので、これらの電極3a,3b間でトナーTを確実にホッピングさせることができ、低電位差現像を確実に実現することができる。
【0087】
また、電極3a,3bが、基材1の外表面全体に一様に形成された金属膜23に、高エネルギのビームとしてのレーザビームLが照射されて不要部分が除去されて製造されているので、このレーザビームLを照射した箇所の金属膜23を確実に除去でき、高精度な電極3a,3bを得ることができる即ち所望の位置に確実に電極3a,3bを形成することができる。
【0088】
さらに、スポットSの外縁が基材1の軸芯に対して傾きかつ基材1の軸芯方向に互いに重なるように、基材1が軸芯回りに回転するのに連動して、レーザビームLが基材1に対して軸芯方向に相対的に移動されながら金属膜23に照射されるので、確実にらせん状の電極3a,3bを得ることができ、かつ互いに隣り合う電極3a,3bが短絡することを防止できる。
【0089】
電極軸2の互いに近接する縁部が鋸歯状に形成されているので、スポットSが四角形のレーザビームLを、その外縁が傾けたまま作業を行うことができる。よって、電極3a,3bを形成する際にかかる所要時間を短くすることができ、現像ローラ115の低コスト化を図ることができる。
【0090】
現像ローラ115は、基材1が円柱状に形成されているので、当該現像ローラ115を所謂現像ローラとして用いることができる。
【0091】
さらに、現像装置113は、前述した現像ローラ115を備えているので、電極3a,3bを基材1からはがれ難くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0092】
さらに、画像形成装置101は、前述した現像装置113を備えているので、電極3a,3bを基材1からはがれ難くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0093】
次に、本発明の第2の実施形態にかかる現像ローラ115を図16乃至図18を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0094】
本実施形態では、現像ローラ115は、図16及び図18に示すように、電極3を一本のみ設けている。この一本に電極3は、一対の電極軸2の双方に接続している。電極3は、リボン状に形成され、基材1の絶縁層6の外表面の電極軸2間に形成されている。電極3は、基材1の絶縁層6の外表面にらせん状に形成されている。また、電極3は、それぞれ、その断面において、図17に示すように、基材1からの両縁が当該電極3の外側に向かうにしたがって徐々に厚みを減少するように傾斜して設けられている。また、電極3は、それぞれ、その断面において、図17に示すように、当該電極3の幅方向の中央部が、前記基材1の絶縁層6の外表面と平行となるように平坦に形成されている。
【0095】
前述した構成の現像ローラ115は、電極3と基材1の芯金5との間に、交流電圧が印加されて、これらの電極3と基材1の芯金5とが互いの間に交番電界を形成する。そして、現像ローラ115は、図17に示すように、互いに隣り合う電極3と基材1即ち絶縁層6の外表面との間で、トナーTを繰り返し往復運動するように、ホッピングされる。こうして、現像ローラ115は、現像剤収容部114から供給された現像剤を吸着し、トナーTをその外周面上でホッピングさせる。そして、現像ローラ115は、感光体ドラム108と現像剤収容部114との間で軸芯回りに回転駆動されることで、その外周面上にホッピングさせているトナーTを感光体ドラム108の静電潜像に吸着させて、当該静電潜像を現像する。
【0096】
また、本実施形態において、前述した第1の実施形態と同様に前述した図7に示された表面処理装置30を用いて、金属膜23の不要部分が除去されて、電極3及び電極軸2が形成される。
【0097】
本実施形態によれば、外周面上にらせん状に形成された電極3の断面において、縁部が外側に向かうにしたがって徐々に厚みが減少するように形成されているので、当該電極3の基材1への接触面積を大きくすることができる。このために、電極3を基材1からはがれ難くすることができ、耐久性を向上させることができる。
【0098】
また、現像ローラ115が、基材1の外表面に電極3を一本のみ設け、この電極3と基材1の芯金5との間に交番電界を形成するように印加しているので、これらの電極3と基材1の外表面の当該電極3間に位置する部分との間でトナーTを確実にホッピングさせることができ、低電位差現像を確実に実現することができる。
【0099】
また、本発明では、図19に示すように、表面処理装置30がレーザ照射機13を複数備えて当該レーザ照射機13を現像ローラ115の軸芯方向に並べて、レーザビームLを複数本同時に照射させて、電極3,3a,3bを形成してもよい。この場合、図20に示すように、レーザビームLが複数本同時に照射されるので、電極3,3a,3bを形成する際にかかる所要時間を短くすることができ、現像ローラ115の低コスト化を図ることができる。また、この場合、レーザ照射機13を図21に示すように、周方向に並べる必要が無いので、表面処理装置30の構成を単純にすることができる。なお、図19ないし図21において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
また、本発明では、レーザ照射機13のビーム整形系にレーザビームLのスポットSの形状を、図22に示すように、平行四辺形にさせてもよい。
【0101】
さらに、本発明では、トナー担持体として、図23及び図24に示す現像ベルト28を用いてもよい。この現像ベルト28の基材1は、勿論、無短ベルト(無端環)状に形成されている。なお、図22乃至図24において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
また、本発明では、レーザビームL以外に、金属膜23の不要部分を昇華させて除去できるものであれば、例えば、高エネルギのビームとして電子ビームを用いた加工、イオンビームを用いた加工、プラズマを用いた加工などや放電加工などの種々の加工を行ってもよい。
【0103】
次に、本発明の発明者らは、実際に前述した実施形態に示された構成の現像ローラ115を製造した。
【実施例1】
【0104】
本実施例では、アルミニウム合金で大径部7の外径が20mmの芯金5を製造し、当該大径部7の外表面に厚さが5μmのポリイミド前駆体を塗布した。その後、30分間、150度に加熱した後、60分間、350度に加熱して、絶縁層6を形成した。そして、絶縁層6の外表面全体に亘って厚さが1μmの銅を蒸着して、金属膜23を形成した。そして、前述した表面処理装置30により、レーザビームLを金属膜23の不要部分に照射して、電極軸2及び電極3a,3bを形成した。
【0105】
本実施例では、波長が1064nmのYAGレーザを用い、4枚の鏡を内側に向けて組み合わせて矩形状にし、カライドスコープを用いた。このカライドスコープを用いることにより、レーザビームLの強度分布が、図10に示すような形状になる。また、加工においては、勿論、現像ローラ115を回転すると同時に前述したカライドスコープを備えたレーザ照射機13を軸芯方向に沿って現像ローラ115に対して相対的に移動した。
【0106】
また、本実施例では、現像ローラ115の外表面上のスポットSを一辺が300μmの正方形として、およそ、300μmの幅で金属膜23を除去できる加工となる。また、レーザの発振周波数を1kHz、出力を10Wとし、250μm相対的に移動させる毎に、レーザビームLを照射した。本実施例では、軸芯方向の速度が160mm/s、現像ローラ115の回転数を185rpmとして、1本の現像ローラ115当たり53秒の加工時間がかかった。
【0107】
こうして、前述した第1の実施形態の2本の電極軸2及び軸芯方向に80本が並んだ電極3a,3bを形成した。電極3a,3bの幅aが200μmで、電極3a,3b間の幅bが300μmであるので、加工中のスポットSの前述した傾きθは、前述した式1から39.5度と求められる。また、スポットSを傾けて加工を行うので、電極軸2の互いに近接する縁部は、鋸歯状に形成され、スポットSを軸芯方向に重ねて加工を行うので、その痕跡が絶縁層6に形成される。電極3a,3bが軸芯方向と平行である場合には、電極3a,3bが126本必要となるのに対し、本実施例では、約2/3となる。このため、本実施例では、前述した特許文献1に示された従来のものを製造するよりも加工時間を短縮できることが明らかとなった。その後、厚みが5μmのシリコーン樹脂を塗布し、前述した保護層4を形成した。
【0108】
そして、本実施例の現像ローラ115を用いて、記録紙107に画像を形成する際には、電極3a,3b間に交流電圧を印加して、当該電極3a,3b間に交番電界を形成する。そして、電極3a,3bのうちの一方の電極3a上に位置していたトナーTが浮上して他方の電極3b上に着地したり、他方の電極3b上から浮上して一方の電極3a上に着地したりする。ホッピングを繰り返しながら、現像ローラ115の回転駆動に伴う表面移動によって現像領域Rまで搬送され、現像領域Rでは、感光体ドラム108上の潜像の近傍まで浮上したトナーTが、現像ローラ115の電極3a,3bに向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。このような構成で、現像ローラ115や磁性キャリアなどに吸着しているトナーTではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーTを現像に用いることができた。
【実施例2】
【0109】
本実施例では、アルミニウム合金で大径部7の外径が16mmの芯金5を製造し、当該大径部7の外表面にSiO2を0.5μmの厚さで蒸着して絶縁層6を形成した。そして、絶縁層6の外表面全体に亘って厚さが1μmのアルミニウム合金を蒸着して、金属膜23を形成した。そして、前述した表面処理装置30により、レーザビームLを金属膜23の不要部分に照射して、電極軸2及び電極3a,3bを形成した。
【0110】
本実施例では、波長が1064nmのYAGレーザを用い、トップハットホモジナイザーを用いて、レーザビームLの強度分布を図10に示すような形状にした。また、加工においては、勿論、現像ローラ115を回転すると同時にレーザ照射機13を軸芯方向に沿って現像ローラ115に対して相対的に移動した。
【0111】
また、本実施例では、現像ローラ115の外表面上のスポットSを100μm×200μmの矩形状とし、およそ、100μmの幅で金属膜23を除去できる加工となる。また、レーザの発振周波数を2kHz、出力を7Wとし、180μm相対的に移動させる毎に、レーザビームLを照射した。本実施例では、軸芯方向の速度が260mm/s、現像ローラ115の回転数を300rpmとして、1本の現像ローラ115当たり190秒の加工時間がかかった。
【0112】
こうして、前述した第1の実施形態の2本の電極軸2及び軸芯方向に180本が並んだ電極3a,3bを形成した。電極3a,3bの幅aが100μmで、電極3a,3b間の幅bが100μmであるので、加工中のスポットSの前述した傾きθは、前述した式1から45.7度と求められる。また、スポットSを傾けて加工を行うので、電極軸2の互いに近接する縁部は、鋸歯状に形成され、スポットSを軸芯方向に重ねて加工を行うので、その痕跡が絶縁層6に形成される。その後、SiO2を0.5μmの厚さで蒸着して保護層4を形成した。
【0113】
そして、本実施例の現像ローラ115を用いて、記録紙107に画像を形成する際には、電極3a,3b間に交流電圧を印加して、当該電極3a,3b間に交番電界を形成する。そして、電極3a,3bのうちの一方の電極3a上に位置していたトナーTが浮上して他方の電極3b上に着地したり、他方の電極3b上から浮上して一方の電極3a上に着地したりする。ホッピングを繰り返しながら、現像ローラ115の回転駆動に伴う表面移動によって現像領域Rまで搬送され、現像領域Rでは、感光体ドラム108上の潜像の近傍まで浮上したトナーTが、現像ローラ115の電極3a,3bに向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。このような構成で、現像ローラ115や磁性キャリアなどに吸着しているトナーTではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーTを現像に用いることができた。また、本実施例では、アルミニウム合金は、レーザビームLの吸収率が銅よりも高いために、前述した実施例1よりもレーザビームLの出力を下げることができた。
【実施例3】
【0114】
本実施例では、アルミニウム合金で大径部7の外径が10mmの芯金5を製造し、当該大径部7の外表面に厚さが3μmのポリイミド前駆体を塗布した。その後、30分間、150度に加熱した後、60分間、350度に加熱して、絶縁層6を形成した。そして、絶縁層6の外表面全体に亘って厚さが1μmの銅を蒸着して、金属膜23を形成した。そして、前述した表面処理装置30により、レーザビームLを金属膜23の不要部分に照射して、電極軸2及び電極3を形成した。
【0115】
本実施例では、波長が1064nmのYAGレーザを用い、トップハットホモジナイザーを用いて、レーザビームLの強度分布を図10に示すような形状にした。また、加工においては、勿論、現像ローラ115を回転すると同時にレーザ照射機13を軸芯方向に沿って現像ローラ115に対して相対的に移動した。
【0116】
また、本実施例では、現像ローラ115の外表面上のスポットSを150μm×300μmの矩形状とし、およそ、150μmの幅で金属膜23を除去できる加工となる。また、レーザの発振周波数を3kHz、出力を9Wとし、250μm相対的に移動させる毎に、レーザビームLを照射した。本実施例では、軸芯方向の速度が240mm/s、現像ローラ115の回転数を1360rpmとして、1本の現像ローラ115当たり40秒の加工時間がかかった。
【0117】
こうして、前述した第2の実施形態の2本の電極軸2及び軸芯方向に40本が並んだ電極3を形成した。電極3の幅aが100μmで、電極3間の幅bが150μmであるので、加工中のスポットSの前述した傾きθは、前述した式1から18.5度と求められる。また、スポットSを傾けて加工を行うので、電極軸2の互いに近接する縁部は、鋸歯状に形成され、スポットSを軸芯方向に重ねて加工を行うので、その痕跡が絶縁層6に形成される。その後、厚みが0.8μmのシリコーン樹脂を塗布し、前述した保護層4を形成した。
【0118】
そして、本実施例の現像ローラ115を用いて、記録紙107に画像を形成する際には、電極3と芯金5との間に交流電圧を印加して、これらの間に交番電界を形成する。そして、電極3上に位置していたトナーTが浮上して、絶縁層6の外表面上に着地したり、絶縁層6の外表面上から浮上して電極3上に着地したりする。ホッピングを繰り返しながら、現像ローラ115の回転駆動に伴う表面移動によって現像領域Rまで搬送され、現像領域Rでは、感光体ドラム108上の潜像の近傍まで浮上したトナーTが、現像ローラ115の電極3に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。このような構成で、現像ローラ115や磁性キャリアなどに吸着しているトナーTではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーTを現像に用いることができた。
【実施例4】
【0119】
本実施例では、アルミニウム合金で大径部7の外径が16mmの芯金5を製造し、当該大径部7の外表面にSiO2を0.5μmの厚さで蒸着して絶縁層6を形成した。そして、絶縁層6の外表面全体に亘って厚さが1μmのアルミニウム合金を蒸着して、金属膜23を形成した。そして、前述した表面処理装置30により、レーザビームLを金属膜23の不要部分に照射して、電極軸2及び電極3a,3bを形成した。
【0120】
本実施例では、波長が1064nmのYAGレーザを用い、トップハットホモジナイザーを用いて、レーザビームLの強度分布を図10に示すような形状にした。また、加工においては、勿論、現像ローラ115を回転すると同時にレーザ照射機13を軸芯方向に沿って現像ローラ115に対して相対的に移動した。また、本実施例では、金属で構成されたマスクを用いて、ビームのスポットSの形状を平行四辺形とした。
【0121】
また、本実施例では、現像ローラ115の外表面上のスポットSを、二つの辺間の間隔を100μm、高さを200μmの平行四辺形とし、およそ、100μmの幅で金属膜23を除去できる加工となる。また、レーザの発振周波数を2kHz、出力を7Wとし、180μm相対的に移動させる毎に、レーザビームLを照射した。本実施例では、軸芯方向の速度が260mm/s、現像ローラ115の回転数を300rpmとして、1本の現像ローラ115当たり190秒の加工時間がかかった。
【0122】
こうして、前述した第1の実施形態の2本の電極軸2及び軸芯方向に180本が並んだ電極3a,3bを形成した。電極3a,3bの幅aが100μmで、電極3a,3b間の幅bが100μmであるので、加工中のスポットSの前述した傾きθは、前述した式1から45.7度と求められる。また、スポットSを傾けて加工を行うので、電極軸2の互いに近接する縁部は、鋸歯状に形成され、スポットSを軸芯方向に重ねて加工を行うので、その痕跡が絶縁層6に形成される。その後、SiO2を0.5μmの厚さで蒸着して保護層4を形成した。
【0123】
そして、本実施例の現像ローラ115を用いて、記録紙107に画像を形成する際には、電極3a,3b間に交流電圧を印加して、当該電極3a,3b間に交番電界を形成する。そして、電極3a,3bのうちの一方の電極3a上に位置していたトナーTが浮上して他方の電極3b上に着地したり、他方の電極3b上から浮上して一方の電極3a上に着地したりする。ホッピングを繰り返しながら、現像ローラ115の回転駆動に伴う表面移動によって現像領域Rまで搬送され、現像領域Rでは、感光体ドラム108上の潜像の近傍まで浮上したトナーTが、現像ローラ115の電極3a,3bに向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。このような構成で、現像ローラ115や磁性キャリアなどに吸着しているトナーTではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーTを現像に用いることができた。また、本実施例では、アルミニウム合金は、レーザビームLの吸収率が銅よりも高いために、前述した実施例1よりもレーザビームLの出力を下げることができた。
【0124】
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
【0125】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱し
ない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 基材
2 電極軸
3,3a,3b 電極
5 芯金(母材)
6 絶縁層
23 金属膜
28 現像ベルト(トナー担持体)
101 画像形成装置
108 感光体ドラム(潜像担持体)
109 帯電ローラ(帯電装置)
113 現像装置
115 現像ローラ(トナー担持体)
L レーザビーム(高エネルギのビーム)
S スポット
T トナー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特開2003−255692号公報
【特許文献2】特開2004−191835号公報
【特許文献3】特開2007−86091号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面上にホッピングしているトナーを潜像担持体に対向する現像領域まで搬送するトナー担持体において、
少なくとも外表面に絶縁体で構成された絶縁層を有する基材と、
前記基材の外表面にらせん状に形成された少なくとも一本のリボン状の電極と、が設けられ、
前記電極における基材側の両縁が、それらの外側に向かうにしたがって徐々に厚みを減少させるように傾斜して設けられ、かつ、
前記電極の幅方向の中央部が、前記基材の外表面と平行になるように平坦に形成されている
ことを特徴とするトナー担持体。
【請求項2】
前記電極が、前記基材の外表面に互いに間隔をあけて一対設けられて、これら一対の電極間に交番電界を形成するように、前記一対の電極間に電圧が印加されることを特徴とする請求項1記載のトナー担持体。
【請求項3】
前記電極が、前記基材の外表面に一本のみ設けられて、前記電極と前記基材における導電性の母材との間に交番電界を形成するように、前記電極と前記母材との間に電圧が印加されることを特徴とする請求項1記載のトナー担持体。
【請求項4】
前記電極が、前記基材の外表面全体に一様に形成した金属膜に、高エネルギのビームを照射して、不要部分を除去し形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のトナー担持体。
【請求項5】
前記ビームの四角形とされたスポットの外縁を前記基材の軸芯に対して傾けた状態で、前記スポットを前記基材の軸芯方向に互いに重ねて、前記基材を軸芯回りに回転させるのに連動させて前記基材の軸芯方向に相対的に移動させながら、前記ビームが、前記金属膜に照射されることにより、前記電極が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のトナー担持体。
【請求項6】
前記ビームが複数本同時に照射されて、前記電極が形成されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のトナー担持体。
【請求項7】
前記電極に接続された電極軸が、前記基材の外表面の軸芯方向の両端部に当該軸芯に対して直交する方向に延在されて設けられており、そして、前記電極軸の互いに近接する縁部が、鋸歯状に形成されている
ことを特徴とする請求項4ないし請求項6のうちいずれか一項に記載のトナー担持体。
【請求項8】
前記基材が、円柱状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のうちいずれか一項に記載のトナー担持体。
【請求項9】
前記基材が、無端ベルト状に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のうちいずれか一項に記載のトナー担持体。
【請求項10】
外周面上にホッピングしているトナーを潜像担持体に対向する現像領域まで搬送するトナー担持体を備えた現像装置において、前記トナー担持体として、請求項1ないし請求項9のうちいずれか一項に記載のトナー担持体を有することを特徴とする現像装置。
【請求項11】
潜像担持体と、帯電装置と、現像装置と、を少なくとも備えた画像形成装置において、上記現像装置として、請求項10記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−197263(P2011−197263A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62688(P2010−62688)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】