説明

トナー濃度センサー、画像形成装置、およびトナー濃度センサー設計方法

【課題】 トナー濃度の検出精度が良好となる径のアパーチャーを有するトナー濃度センサーおよび画像形成装置、並びに、そのトナー濃度センサーの設計方法を得る。
【解決手段】 光源51とビームスプリッター53との間に絞り52が配置される。絞り52には、アパーチャーが形成されている。そのアパーチャーは、ビームスプリッター53の入射角に対する透過率特性において所望の透過率に対応する入射角に基づいて特定される径Dを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー濃度センサー、画像形成装置、およびトナー濃度センサー設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスで画像を形成するプリンター、複写機、ファクシミリ、それらの複合機などといった画像形成装置の多くは、感光体ドラムでトナー画像を現像し、そのトナー画像を中間転写ベルトへ転写し、さらに、その中間転写ベルトから印刷用紙にトナー画像を転写し、印刷用紙にトナー画像を定着させる。
【0003】
そのような画像形成装置では、必要に応じて、あるいは定期的に、トナー濃度補正のためにトナー濃度の測定を行う。一般に、濃度補正処理では、基準となるトナーパターン(パッチ画像)を現像して中間転写ベルトへ転写し、光学的なセンサを使用して中間転写ベルト上のそのトナーパターンのトナー濃度を特定し、そのトナー濃度に基づいて濃度補正を行う(例えば、特許文献1,2,3参照)。
【0004】
このようなトナー濃度を測定するためのトナー濃度センサーは、発光ダイオードから出射する検出光の特定偏光成分(P偏光またはS偏光)を中間転写ベルト上のトナーパターンに入射させ、トナーパターンからの反射光の正反射成分と拡散反射成分とを検出する(例えば、特許文献2,3参照)。そして、それぞれの成分の強度からトナー濃度が特定される。例えば、トナーパターンへの入射光がP偏光である場合、正反射成分はP偏光となる。
【0005】
また、トナー濃度センサーの光源として、発光ダイオードのように、比較的広い角度で拡散光を出射するものが使用される場合、あるトナー濃度センサーでは、光源と中間転写ベルト(つまり、トナーパターン)との間に、絞りが配置され、絞りに形成されているアパーチャー(開口)で検出光の光束径が小さくされる(例えば、特許文献1,3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−162803号公報
【特許文献2】特開2009−115454号公報
【特許文献3】特開2009−276591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アパーチャーの径が大きいほど、検出光の光束径が大きくなる。検出光の光束径が大きいほど、反射光の強度が大きくなるが、光束の中心付近と外周付近との間の光学的な条件の違いが大きくなる。光束の中心付近と外周付近との間の光学的な条件の違いに起因して、トナーパターンに適切な偏光が入射しない可能性がある。トナーパターンに入射する特定偏光成分(例えばP偏光)が良好な強度を有していないと、検出光に含まれる他の偏光成分(例えばS偏光)によって反射光の検出時のS/N比が低下するため、トナー濃度の検出精度が低くなる。
【0008】
一方、アパーチャーの径が小さいほど、検出光の光束径が小さくなる。検出光の光束径が小さいほど、光束の中心付近と外周付近との間の光学的な条件の違いは小さくなるが、反射光の強度が低くなり、S/N比が低下する。
【0009】
このように、光源の光軸上に配置される絞りに形成されているアパーチャーの径を、トナー濃度の検出精度が良好に得られるように設計することは困難である。
【0010】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、トナー濃度の検出精度が良好となる径のアパーチャーを有するトナー濃度センサーおよび画像形成装置、並びに、そのトナー濃度センサーの設計方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明では以下のようにした。
【0012】
本発明に係るトナー濃度センサーは、検出光を生成する光源と、検出光のうち特定偏光成分を透過させる偏光素子と、光源と偏光素子との間に配置され、光源の光軸上にアパーチャーを有する絞りとを備える。そして、アパーチャーは、偏光素子の入射角に対する透過率特性において所望の透過率に対応する入射角に基づいて特定される径を有する。
【0013】
これにより、アパーチャーの径が、トナー濃度の検出精度が良好となる径とされる。
【0014】
また、本発明に係るトナー濃度センサーは、上記のトナー濃度センサーに加え、次のようにしてもよい。この場合、光源内の発光素子からアパーチャーまでの距離をLとし、光軸上での偏光素子への入射角をθとし、所望の透過率から特定される上限入射角および下限入射角をθmaxおよびθminとし、アパーチャーの直径をDとしたとき、アパーチャーの直径は、次式を満たす。
(式)D≦2L・tan(θmax−θ)かつD≦2L・tan(θ−θmin)
【0015】
また、本発明に係るトナー濃度センサーは、上記のトナー濃度センサーのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、光源の光軸は、透過率特性における最大透過率となる入射角で光軸上の検出光が偏光素子へ入射する方向に配置されている。
【0016】
これにより、トナーパターンに入射する特定偏光成分の強度が高くなる。
【0017】
また、本発明に係るトナー濃度センサーは、上記のトナー濃度センサーのいずれかに加え、次のようにしてもよい。この場合、所望の透過率は、透過率特性における最大透過率の90パーセントである。
【0018】
本発明に係る画像形成装置は、上記のトナー濃度センサーのいずれかを備える。
【0019】
本発明に係るトナー濃度センサー設計方法は、特定偏光成分の要求強度が得られる透過率を特定する工程と、光源内の発光素子からアパーチャーまでの距離をLとし、光軸上での偏光素子への入射角をθとし、所望の透過率から特定される上限入射角および下限入射角をθmaxおよびθminとし、アパーチャーの直径をDとして、偏光素子の入射角に対する透過率特性に基づき、アパーチャーの直径を次式に基づいて決定する工程とを備える。
(式)D≦2L・tan(θmax−θ)かつD≦2L・tan(θ−θmin)
【0020】
これにより、トナー濃度の検出精度が良好となるように、アパーチャーの径が設計される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、トナー濃度の検出精度が良好となる径のアパーチャーを有するトナー濃度センサーおよび画像形成装置、並びに、そのトナー濃度センサーの設計方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。
【図3】図3は、パッチ画像の一例を示す図である。
【図4】図4は、図1におけるセンサーの詳細な構成を示す図である。
【図5】図5は、図4における光源となる発光ダイオードの発光強度特性の一例を示す図である。
【図6】図6は、図4におけるビームスプリッターのP偏光透過率特性の一例を示す図である。
【図7】図7は、図4におけるアパーチャーの直径と、ビームスプリッターへの入射角度との幾何学的な関係を示す図である。
【図8】図8は、図7における発光素子の拡散角とアパーチャーの半径との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、印刷機能を有する装置である。
【0025】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のカラー現像装置を有する。このカラー現像装置は、感光体ドラム1a〜1d、露光装置2および現像ユニット3a〜3dを有する。感光体ドラム1a〜1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。露光装置2は、感光体ドラム1a〜1dへレーザー光を照射して静電潜像を形成する装置である。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザ光を感光体ドラム1a〜1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0026】
さらに、感光体ドラム1a〜1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a〜1dを除電する。
【0027】
現像ユニット3a〜3dには、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーが充填されており、現像ユニット3a〜3dは、そのトナーを感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着させてトナー画像を形成する。トナーは、キャリアとともに現像剤を構成し、さらに、酸化チタンなどの外添剤が付加されている。
【0028】
感光体ドラム1aおよび現像ユニット3aにより、マゼンタの現像が行われ、感光体ドラム1bおよび現像ユニット3bにより、シアンの現像が行われ、感光体ドラム1cおよび現像ユニット3cにより、イエローの現像が行われ、感光体ドラム1dおよび現像ユニット3dにより、ブラックの現像が行われる。
【0029】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a〜1dに接触し、感光体ドラム1a〜1d上のトナー画像を1次転写される環状の像担持体(中間転写体)である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1aとの接触位置から感光体ドラム1dとの接触位置への方向へ周回していく。
【0030】
転写ローラー6は、搬送されてくる用紙を転写ベルト4に接触させ、転写ベルト4上のトナー画像を用紙に2次転写する。なお、トナー画像を転写された用紙は、定着器9へ搬送され、トナー画像が用紙へ定着される。
【0031】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、用紙へのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0032】
センサー8は、中間転写ベルト4に光線(測定光)を照射し、その反射光を検出する。トナー濃度調整の際、センサー8は、中間転写ベルト4の所定の領域に光線を照射し光線の反射光を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の電気的な構成の一部を示すブロック図である。図2において、プリントエンジン11は、上述のローラーなどを駆動する図示せぬ駆動源、現像バイアスおよび1次転写バイアスを印加するバイアス印加回路、並びに露光装置2を制御して、トナー画像の現像、転写および定着、並びに給紙、印刷および排紙を実行させる処理回路である。現像バイアスは、感光体ドラム1a〜1dと現像ユニット3a〜3dとの間にそれぞれ印加され、1次転写バイアスは、感光体ドラム1a〜1dと中間転写ベルト4との間にそれぞれ印加される。
【0034】
また、プリントエンジン11は、センサー8により検出された反射光のP偏光成分とS偏光成分からトナーパターンのトナー濃度を計算する。
【0035】
ここで、トナー濃度補正時の画像形成装置の動作について説明する。
【0036】
プリントエンジン11は、駆動ローラー5で中間転写ベルト4を周回させ、露光装置2を制御して、中間転写ベルト4の表面における所定の領域にトナーパターン(パッチ画像)を形成させる。図3は、パッチ画像の一例を示す図である。図3に示すように、パッチ画像31は、複数の濃度(例えば25パーセント、50パーセント、75パーセント、および100パーセント)で形成される。センサー8の受光素子は、中間転写ベルト4の表面における所定の領域からの反射光のP偏光成分とS偏光成分とを受講する。
【0037】
そして、プリントエンジン11は、その受光素子の出力をサンプリングし、それらの値から各パッチ画像31のトナー濃度測定値を計算し、下地および各濃度のパッチ画像についての各濃度測定値に基づいて、現像バイアスおよび1次転写バイアスを調節して、各トナー濃度を補正する。
【0038】
このようにして、トナー濃度の補正が行われる。
【0039】
次に、センサー8の詳細について説明する。
【0040】
図4は、図1におけるセンサー8の詳細な構成を示す図である。
【0041】
図4に示すように、センサー8は、光線を出射する光源51と、光源51側の絞り52と、光源側のビームスプリッター53と、受光側のビームスプリッター54と、第1受光素子55と、第2受光素子56とを備える。
【0042】
この実施の形態では、光源51は、拡散光を出射する発光ダイオードである。絞り52は、アパーチャー52aを有し、アパーチャー52aの中心が光源51の光軸上に位置するように配置される。アパーチャー52aは、円孔である。ビームスプリッター53は、光源51からアパーチャー52aを介して入射した光線のうち、P偏光成分を透過し、S偏光成分を反射する。ビームスプリッター53の各偏光成分の透過率は光線の入射角に依存する。
【0043】
アパーチャー52aは、ビームスプリッター53の入射角に対する透過率特性において特定偏光成分(ここではP偏光)の要求強度が得られる透過率に対応する入射角に基づいて特定される径を有する。
【0044】
ビームスプリッター54は、反射光のうちのP偏光成分(すなわち、正反射成分)を透過し、S偏光成分を反射する。第1受光素子55は、例えばフォトダイオードであり、ビームスプリッター54を透過したP偏光成分の光を検出し、その強度に応じた電圧の電気信号を出力する。第2受光素子56は、例えばフォトダイオードであり、第1受光素子55と同様の光検出特性を有し、ビームスプリッター54で反射したS偏光成分の光を検出し、その強度に応じた電圧の電気信号を出力する。
【0045】
光源側のビームスプリッター53を透過したP偏光成分の光は、中間転写ベルト4の表面(トナーパターン41または下地)に入射し、反射する。このときの反射光は、正反射成分と拡散反射成分とを有し、正反射成分は、P偏光となる。反射光のうちのP偏光成分は、第1受光素子55により検出され、反射光のうちのS偏光成分は、第2受光素子56により検出される。
【0046】
プリントエンジン11は、第1受光素子55の出力と第2受光素子56の出力とに基づいてトナー濃度の測定値を特定し、その測定値に基づいてトナー濃度の補正を行う。なお、受光素子55,56とプリントエンジン11との間には、必要に応じて増幅器などが設けられる。トナー濃度は、例えば、次式に基づいて計算される。
【0047】
(トナー濃度[パーセント])={1−(P−S)/(Po−So)}×100
【0048】
ここで、Pは、P偏光成分のセンサ出力値(電圧)であり、Sは、S偏光成分のセンサ出力値(電圧)であり、Poは、トナー画像のない箇所(つまり、中間転写ベルト4の下地)でのP偏光成分のセンサ出力値(電圧)であり、Soは、トナー画像のない箇所(つまり、中間転写ベルト4の下地)でのS偏光成分のセンサ出力値(電圧)である。
【0049】
ここで、絞り52に形成されるアパーチャー52aの設計方法について説明する。
【0050】
図5は、図4における光源51となる発光ダイオードの発光強度特性の一例を示す図である。図5に示すように、光源51からは、比較的広い角度範囲で拡散光が出射される。この光源51の照射角度は約60度(片側約30度)となっている。なお、照射角度は、光軸上の強度の半分の強度が得られる角度である。
【0051】
図6は、図4におけるビームスプリッター53のP偏光透過率特性の一例を示す図である。この例のビームスプリッター53は、誘電体の多層膜を積層させたものであって、940nmの入射光に対してP偏光を最大で95%以上の透過率で透過させる。また、この例のビームスプリッター53では、入射角度が約50度であるときに、P偏光の透過率が最大(Tmax)になり、入射角度が約8度増加または減少すると、透過率が10パーセント程度低下する。
【0052】
このため、P偏光の透過率が良好である入射角度の範囲のみを使用するため、絞り52により、光束径が小さくされ、ひいては光束の拡散角が小さくされる。
【0053】
絞り52のアパーチャー52aの径を決定するために、まず、トナーパターン41に入射するP偏光に要求される強度が得られる下限透過率Tminが特定される。下限透過率Tminは、そのP偏光に要求される強度と、図5に示す光源51の発光強度特性とから求められる。例えば、要求強度に対応する透過率Tminは、透過率特性における最大透過率Tmaxの90パーセントとされる。
【0054】
次に、図6に示すP偏光透過率特性に基づいて、下限透過率Tmin以上の透過率が得られる入射角範囲の上限入射角θmaxおよび下限入射角θminが特定される。
【0055】
そして、この上限入射角θmaxおよび下限入射角θminからアパーチャー52aの直径Dが決定される。
【0056】
図7は、図4におけるアパーチャー52aの直径Dと、ビームスプリッター53への入射角度との幾何学的な関係を示す図である。図8は、図7における発光素子51aの拡散角φとアパーチャー52aの半径(D/2)との関係を示す図である。
【0057】
図8に示すように、光源51内の発光素子51aからアパーチャー52aまでの距離をLとし、アパーチャー52aの直径をDとすると、拡散角φは、式(1)で表される。
【0058】
φ=arctan((D/2)/L) ・・・(1)
【0059】
また、光源51の光軸上でのビームスプリッタ53への入射角をθとすると、光源51からの拡散光の最大入射角θHおよび光源51からの拡散光の最小入射角θLは、式(2)および式(3)で表される。
【0060】
θH=θ+φ ・・・(2)
θL=θ−φ ・・・(3)
【0061】
式(4)に示すように最大入射角θHをθmax以下とし、最小入射角θLはθmin以上とすれば、トナーパターン41への入射光の強度が、光束の径方向のいずれの位置でも(つまり、中心でも最外周でも)要求強度以上となる。
【0062】
θH≦θmax かつ θL≧θmin ・・・(4)
【0063】
式(1)〜(4)に基づいて、アパーチャー52aの直径Dは、式(5)を満足する値に決定される。
【0064】
D≦2L・tan(θmax−θ)かつD≦2L・tan(θ−θmin) ・・・(5)
【0065】
なお、DH=2L・tan(θmax−θ)とDL=2L・tan(θ−θmin)を計算し、DHおよびDLのうちの小さいほうの値を、アパーチャー52aの直径Dとしてもよい。そのようにすると、光束の最も外側での強度を要求強度以上としつつ、トナーパターン41への入射光全体での強度が最も高くなる。
【0066】
例えば、θ=50度、θmax=58度、θmin=42度、およびL=10mmである場合、式(5)は、D≦2.8mmとなる。このため、入射光全体での強度を最も高くするためには、アパーチャー52aの径Dを2.8mmとすればよい。
【0067】
また、アパーチャー52aの直径Dの下限値を、受光素子55,56の出力のS/N比についての下限値に対応して設定するようにしてもよい。
【0068】
以上のように、上記実施の形態によれば、光源51とビームスプリッター53との間に配置された絞り52におけるアパーチャー52aが、ビームスプリッター53の入射角に対する透過率特性において特定偏光成分の要求強度が得られる透過率に対応する入射角に基づいて特定される径を有する。
【0069】
これにより、アパーチャー52aの径が、トナー濃度の検出精度が良好となる径とされる。
【0070】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0071】
例えば、上記実施の形態では、特定偏光成分としてP偏光を使用しているが、その代わりに、S偏光を使用するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態においては、カラー画像形成装置について説明したが、モノクロ画像形成装置にも適用可能である。
【0073】
また、上記実施の形態において、ビームスプリッター53の代わりに偏光板を使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0075】
8 センサー(トナー濃度センサーの一例)
41 トナーパターン(トナー画像の一例)
51 光源
51a 発光素子
52 絞り
52a アパーチャー
53 ビームスプリッター(偏光素子の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像に検出光を入射させ反射光に基づいてトナー濃度を検出するトナー濃度センサーにおいて、
前記検出光を生成する光源と、
前記検出光のうち特定偏光成分を透過させる偏光素子と、
前記光源と前記偏光素子との間に配置され、前記光源の光軸上にアパーチャーを有する絞りとを備え、
前記アパーチャーは、前記偏光素子の入射角に対する透過率特性において所望の透過率に対応する入射角に基づいて特定される径を有すること、
を特徴とするトナー濃度センサー。
【請求項2】
前記光源内の発光素子からアパーチャーまでの距離をLとし、前記光軸上での前記偏光素子への入射角をθとし、前記所望の透過率から特定される上限入射角および下限入射角をθmaxおよびθminとし、前記アパーチャーの直径をDとしたとき、前記アパーチャーの直径は、次式を満たすことを特徴とする請求項1記載のトナー濃度センサー。
D≦2L・tan(θmax−θ)かつD≦2L・tan(θ−θmin)
【請求項3】
前記光源の光軸は、前記透過率特性における最大透過率となる入射角で当該光軸上の前記検出光が前記偏光素子へ入射する方向に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のトナー濃度センサー。
【請求項4】
前記所望の透過率は、前記透過率特性における最大透過率の90パーセントであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のトナー濃度センサー。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のトナー濃度センサーを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
トナー画像に検出光を入射させ反射光に基づいてトナー濃度を検出するトナー濃度センサーであって、前記検出光を生成する光源と、前記検出光のうち特定偏光成分を透過させる偏光素子と、前記光源と前記偏光素子との間に配置され、前記光源の光軸上にアパーチャーを有する絞りとを備えるトナー濃度センサーの設計方法において、
所望の透過率を特定する工程と、
前記光源内の発光素子からアパーチャーまでの距離をLとし、前記光軸上での前記偏光素子への入射角をθとし、前記要求強度に対応する透過率から特定される上限入射角および下限入射角をθmaxおよびθminとし、前記アパーチャーの直径をDとして、前記偏光素子の入射角に対する透過率特性に基づき、前記アパーチャーの直径を次式に基づいて決定する工程と、
を備えることを特徴とするトナー濃度センサー設計方法。
D≦2L・tan(θmax−θ)かつD≦2L・tan(θ−θmin)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−73030(P2012−73030A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215841(P2010−215841)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】