説明

トナー補給装置

【課題】架橋現象を防止し、補給用トナーの流れを阻害することなく搬送できるトナー補給装置を得る。
【解決手段】補給用トナーを収容したトナーカートリッジの排出口から落下したトナーを水平方向に搬送する水平搬送部22を備えたトナー補給装置。水平搬送部22にはトナーを水平方向(矢印B)に搬送するために回転駆動されるスクリュー24が配置され、該スクリュー24にはトナーカートリッジの排出部に臨む箇所にねじりコイルばね25が取り付けられている。ねじりコイルばね25は支点部25aとクランク状のばね部25bとからなり、スクリュー24の回転に基づいてスイングし、トナーの架橋現象を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー補給装置、特に、電子写真法による複写機などの画像形成装置に搭載されるトナー補給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタなどの電子写真法による画像形成装置にあっては、補給用トナーを収容したトナーカートリッジの排出部から現像ユニットの補給口に至るトナー搬送部を備えたトナー補給装置が搭載されている。トナーカートリッジの排出部の直下に現像ユニットの補給口が位置していれば、トナーを排出部から落下させるだけでトナー補給が可能である。しかし、画像形成装置内において、感光体ドラムや現像ユニットなどを含むイメージングユニットやカラー画像の形成に用いられる中間転写ユニットなどの配置の関係上、トナーカートリッジの排出部を現像ユニットの補給口の直上に設定することが困難な場合が多い。
【0003】
このような場合、トナー補給装置には、トナーカートリッジの排出部から落下したトナーを水平方向に搬送する水平搬送部を設けることが必要になる。水平搬送部にはトナーを搬送するためのスクリューが回転駆動可能に設けられている。
【0004】
しかしながら、水平搬送部の始端部においては、トナーカートリッジの排出部から排出されたトナーがスクリューの直上で架橋現象を生じ、トナー補給が不安定あるいは不可能になる問題点を有していた。従来では、特許文献1,2に記載されているように、クランク状の撹拌部材を設けてトナーを撹拌することが提案されている。しかし、かえって撹拌部材による抵抗力でトナーのスムーズな搬送が阻害され、トナーの凝集などの不具合が発生する問題が生じる。
【特許文献1】特開平10−293459号公報
【特許文献2】特開2006−126432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、架橋現象を防止し、補給用トナーの流れを阻害することなく搬送できるトナー補給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係るトナー補給装置は、
補給用トナーを収容したトナーカートリッジの排出部から現像ユニットの補給口に至るトナー搬送部を備えたトナー補給装置において、
補給用トナーをほぼ垂直方向に搬送する垂直搬送部と、
前記垂直搬送部から補給用トナーを受けてほぼ水平方向に搬送する水平搬送部と、
前記水平搬送部に配置され、トナーをほぼ水平方向に搬送するために回転駆動されるスクリューと、
前記水平搬送部が前記垂直搬送部に臨む箇所に配置され、前記スクリューの回転に伴って振動するねじりコイルばねと、
を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係るトナー補給装置においては、水平搬送部が垂直搬送部に臨む箇所に、スクリューの回転に伴って振動するねじりコイルばねを設けたため、ねじりコイルばねの振動によってトナーに架橋現象が生じるのを未然に防止することができる。また、ねじりコイルばねがトナーに与える抵抗力は小さく、トナーのスムーズな搬送を阻害することはない。
【0008】
本発明に係るトナー補給装置において、ねじりコイルばねの支点部はスクリューの1ピッチに対応して配置されていることが好ましい。ねじりコイルばねの支点部をスクリューの羽根部材に設けることができ、トナーの流れを阻害することを極力防止できる。
【0009】
また、ねじりコイルばねのスイング長さは以下の式を満足することが好ましい。
L2<L<L1
L:スイング長さ
L1:ねじりコイルばねの支点中心から水平搬送部の断面円弧形状内壁までの最大距離
L2:スクリューの回転中心からねじりコイルばねの支点中心までの距離
【0010】
前記式を満足することで、ねじりコイルばねの自由端が水平搬送部の断面円弧形状内壁の拘束から解放された際のスイング量が大きくなり、トナーの架橋現象を効果的に防止することができる。また、過大なストレスが作用してねじりコイルばねが破損するおそれを回避できる。
【0011】
さらに、スクリューの逆転を防止する手段を備えていてもよい。ねじりコイルばねの逆転が防止され、ばねの変形が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係るトナー補給装置の実施例について添付図面を参照して説明する。
【0013】
(複写機の全体構成)
図1に本発明に係るトナー補給装置を搭載した複写機の概略構成を示す。この複写機は、電子写真方式によってタンデム式でカラー画像を形成するもので、概略、複写機本体1と、画像読取りユニット2とで構成されている。
【0014】
画像読取りユニット2は、周知のもので、図示しない原稿台ガラス上に載置された原稿の画像、あるいは、図示しない原稿搬送機構で搬送される原稿の画像を光学的に読み取り、RGBの三原色に分解して電気信号に変換する。この電気信号は制御部3に転送されて各種のデータ処理を受けるとともに、YMCK(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の各再現色に変換される。また、制御部3にはパソコンなどから画像データが転送される。
【0015】
複写機本体1は、感光体ドラム31、レーザ走査光学ユニット32、現像ユニット33、図示しない帯電器、残留トナーや残留電荷のクリーニング器などを含むイメージングユニット30(30Y,30M,30C,30K)が中間転写ベルト10の直下に並置されている。各イメージングユニット30においては、レーザ走査光学ユニット32が制御部3から画像データの転送を受け、感光体ドラム31上に潜像を形成し、現像ユニット33によって各色のトナー画像を形成する。このような画像形成プロセスは周知であり、その説明は省略する。
【0016】
中間転写ベルト10は、各種ローラに無端状に張り渡され、矢印A方向に回転駆動される。また、複写機本体1の下段には、複数枚の用紙を積層して収容する給紙カセット40が設置されている。用紙はこの給紙カセット40から給紙ローラ42と捌きローラ43によって1枚ずつ上方に給紙され、タイミングローラ44にて2次転写部18に搬送される。
【0017】
各感光体ドラム31上に形成されたトナー画像は中間転写ベルト10上に順次1次転写されて合成され、この合成画像は2次転写部18にて転写ローラ19から付与される電界にて用紙上に2次転写される。その後、用紙は定着ユニット45に搬送されてトナーの加熱・定着を施され、排出ローラ46から複写機本体1の上面である排紙部4に排出される。
【0018】
以上の構成からなる複写機本体1において、補給用トナーを充填したトナーカートリッジ20は各イメージングユニット30に対応して本体1の上段部に着脱自在に並置されている。各トナーカートリッジ20に充填されている補給用トナーは、トナー補給信号に基づいて、各排出部20aから下方に排出され、図2に示すように、第1の垂直搬送部21から水平搬送部22の始端部に落とし込まれ、該水平搬送部22内を矢印B方向に搬送され、終端部から第2の垂直搬送部29に落ち込んで各現像ユニット33の補給口(図示せず)に搬送される。
【0019】
トナーカートリッジ20の排出部20aは、イメージングユニット30などの配置の関係上、現像ユニット33の補給口(図示せず)の直上に設定することが困難であり、どうしても水平搬送部22が必要となる。水平搬送部22及び第2の垂直搬送部29の外観は図3に示すとおりであり、水平搬送部22には、図4に示すように、トナーを水平方向(矢印B参照)に搬送するためのスクリュー24が配置されている。
【0020】
即ち、水平搬送部22は、断面円弧形状の搬送底部を有する筒状体23を有し、始端部の上部にはトナーカートリッジ20の排出部20aに対向する受け口23aが形成され、終端部の搬送底部には第2の垂直搬送部29の上部に開口する落下口23b(図4参照)が形成されている。受け口23aはトナーカートリッジ20の排出部20aに連結され、第1の垂直搬送部21として機能する。筒状体23内には、シャフト24aと所定のピッチPを有する螺旋状の羽根部材24bとからなるスクリュー24が配置されている。
【0021】
図3に示すように、筒状体23の外側にシャフト24aと平行に駆動シャフト26が設置され、両者の一端はギヤ27a,27bで結合され、駆動シャフト26の他端には駆動ギヤ28が固定されている。駆動ギヤ28には図示しない駆動源から矢印C方向に回転力が伝達され、ギヤ27a,27bを介してスクリュー24が矢印D方向に回転駆動される。トナーカートリッジ20の排出部20aから補給されたトナーは受け口23a(第1の垂直搬送部21)を介して筒状体23の始端部に搬送され、スクリュー24の回転に基づいて筒状体23の底部を矢印B方向に搬送され、落下口23bから第2の垂直搬送部29に落とし込まれる。第2の垂直搬送部29の下部は現像ユニット33の補給口に直結されており、トナーは第2の垂直搬送部29から直ちに現像ユニット33の現像槽に収容される。
【0022】
ところで、図4に示すように、水平搬送部22の受け口23aに臨んでスクリュー24にはねじりコイルばね25が取り付けられている。ねじりコイルばね25は、細いワイヤからなり、密着して巻き回した支点部25aとクランク状に折り曲げたばね部25bとで構成されている。スクリュー24の羽根部材24bには切欠き24cが形成されるとともに、切欠き24cに隣接して突部24dが水平方向に形成され、該突部24dにねじりコイルばね25の支点部25aが装着されている。
【0023】
スクリュー24が矢印D方向に回転すると、ねじりコイルばね25も同方向に回転し、この回転方向はねじりコイルばね25の巻回方向と一致している。図5(A)に示すように、ばね部25bはその先端部が筒状体23の底部の円弧形状内壁を摺擦しつつ撓められた状態で矢印D方向に回転し、図5(B)に示す位置Eで円弧形状内壁からの規制を解除され、撓みが解放された反力で他方の内壁までスイング(振動)する。ねじりコイルばね25はこのような振動をスクリュー24の1回転ごとに行い、受け口23a(第1の垂直搬送部21)でトナーが架橋することを防止する。また、ねじりコイルばね25は細いワイヤからなり、瞬間的にスイングするため、トナーに与える抵抗力は小さく、トナーのスムーズな搬送を阻害することはない。
【0024】
また、ねじりコイルばね25の支点部25aはスクリュー24のピッチPに対応して配置されているため、支点部25aを羽根部材24bに設けることができ、支点部25aがトナーの流れを阻害することはない。さらに、ばね部25bが羽根部材24bに形成した切欠き24cに入り込むことで、ばね部25bが十分に撓むことができ、ばね部25bの変形が防止されるとともに適度なスイング感が得られる。
【0025】
また、図3に示した駆動ギヤ28には逆転を防止する手段(例えば、ワンウェイクラッチ)が内蔵されている。駆動ギヤ28に逆転防止手段を設けることで、ねじりコイルばね25の逆転が防止され、ばね部25bに無理な力が作用して変形するおそれがなくなる。逆転防止手段は、ギヤ27a,27bに設けてもよい。
【0026】
ここで、ねじりコイルばね25の好ましいスイング長さL(図5参照)について説明する。ねじりコイルばね25の支点部25aの中心から筒状体23の断面円弧形状内壁までの最大距離をL1とし、スクリュー24の回転中心からねじりコイルばね25の支点部25aの中心までの距離をL2とすると、ねじりコイルばね25のスイング長さLは、L2よりも大きく、L1よりも小さいことが好ましい。即ち、L2<L<L1の式を満足することが好ましい。この式を満足することで、ねじりコイルばね25の自由端(ばね部25b)が位置Eで筒状体23の断面円弧形状内壁の拘束から解放された際のスイング角度(図5(B)の角度θ参照)が大きくなり、トナーの架橋現象を効果的に防止することができる。
【0027】
ちなみに、図6(A)に示すように、スイング長さLがL1よりも大きくなると(長すぎると)、ばね部25bが筒状体23の底部に挟み込まれた状態となり、ばね部25bが破損するおそれがある。また、図6(B)に示すように、スイング長さLがL2以下であると(短すぎると)、スイング角度θが小さくなり、トナーの架橋現象を防止する効果が発揮されない。
【0028】
(他の実施例)
なお、本発明に係るトナー補給装置は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0029】
特に、水平搬送部22や垂直搬送部21,29の構成の細部は任意である。また、ねじりコイルばね25の支点部25aやばね部25bの形状、スクリュー24への取付け構造は任意である。さらに、水平搬送部22は必ずしもトナーカートリッジ20の排出部20aの直下に配置されることは必要なく、他の垂直搬送部からトナーを受ける位置に配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るトナー補給装置を搭載した複写機を示す概略構成図である。
【図2】トナー補給経路の概略を示す斜視図である。
【図3】トナーの水平搬送部を示す斜視図である。
【図4】トナーの水平搬送部を示す断面図である。
【図5】(A),(B)ともに、ねじりコイルばねの動作を示す断面図である。
【図6】(A)はねじりコイルばねのスイング長さが長すぎる場合を示す断面図、(B)は短すぎる場合を示す断面図である。
【符号の説明】
【0031】
20…トナーカートリッジ
20a…排出部
21…第1の垂直搬送部
22…水平搬送部
23…筒状体
24…スクリュー
25…ねじりコイルばね
25a…支点部
33…現像ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補給用トナーを収容したトナーカートリッジの排出部から現像ユニットの補給口に至るトナー搬送部を備えたトナー補給装置において、
補給用トナーをほぼ垂直方向に搬送する垂直搬送部と、
前記垂直搬送部から補給用トナーを受けてほぼ水平方向に搬送する水平搬送部と、
前記水平搬送部に配置され、トナーをほぼ水平方向に搬送するために回転駆動されるスクリューと、
前記水平搬送部が前記垂直搬送部に臨む箇所に配置され、前記スクリューの回転に伴って振動するねじりコイルばねと、
を備えたことを特徴とするトナー補給装置。
【請求項2】
前記垂直搬送部は前記トナーカートリッジの排出部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のトナー補給装置。
【請求項3】
前記ねじりコイルばねの支点部が前記スクリューの1ピッチに対応して配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトナー補給装置。
【請求項4】
前記ねじりコイルばねのスイング長さは以下の式を満足すること、
L2<L<L1
L:スイング長さ
L1:ねじりコイルばねの支点中心から水平搬送部の断面円弧形状内壁までの最大距離
L2:スクリューの回転中心からねじりコイルばねの支点中心までの距離
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のトナー補給装置。
【請求項5】
前記スクリューの逆転を防止する手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のトナー補給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−216360(P2008−216360A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50353(P2007−50353)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】