説明

トランスデューサー配置、及び物質の超音波エラストグラフィデータと超音波データを取得する方法

本発明は、トランスデューサー配置、特に組織情報を得るためのトランスデューサー配置と、組織情報を得るためのトランスデューサー配置を用いる方法と、トランスデューサー配置を含む手袋とに関する。物質40を分析するためのトランスデューサー配置21は、分析される物質40に機械的変位を誘起し及び受け取るための第1のトランスデューサー要素51と;及び分析ユニット30とを有する。前記配置が分析される物質40の曲がった表面に適合させるために柔軟性であるように設けられ;及び前記トランスデューサー配置21が、機械的変位の低周波数スペクトルから第1のシグナルを取得するようにされ、前記第1のシグナルが分析される物質40の超音波エラストグラフィ的性質に関連し;及び前記トランスデューサー配置21が、前記第1のトランスデューサー要素51により受け取られた機械的変位の高周波数スペクトルから第2のシグナルを取得するようにされ、前記第2のシグナルが分析される物質40の超音波的性質に関連する。本発明によるトランスデューサー配置を用いて、分析される物質の組織分布解剖学的情報と、弾性性質についての情報を平行して生成することが可能となる。これにより本トランスデューサー配置は、物質の表面の不均一性に対して最適に適合させることができる。これにより検査者又はトランスデューサー配置の使用者が、通常不均一な表面プロファイルを持つ領域であって、そのような領域に到達することが非常に難しく、又はその領域の検査が検査される人と同様に検査者にも不都合を生じる恐れがある領域の分析を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスデューサー配置、特に組織情報を取得するための配置に関する。また本発明は、組織情報を取得するためのトランスデューサー配置を用いる方法とトランスデューサー配置を含む手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
癌の多くの型は、軟組織中の硬病変として顕在し、それゆえに医者は、人体内で硬い腫瘍の存在を検出するために触診を用いる。
【0003】
癌組織検出の一例として、ここで前立腺癌について説明する。
【0004】
前立腺癌をスクリーニングするには、前立腺の指による直腸検査が、中年に達した男性に定期的に行われる。不幸にも、触診は通常組織表面に近いところにある高い硬直コントラストを有する病変を検出することに限定される。たとえ病変が触診されたとしても、その位置や拡がりを正確に特定することは通常不可能である。というのは、指触診は、平行して、組織分布解剖学上のリアルタイムイメージはなにも提供しないからである。さらに、その方法は、病変の質(悪性か良性か)を明確に評価することは非常に難しい。というのは、この評価は、医者の主観的感覚と経験によるからである。
【0005】
2つの広く用いられる医学的イメージング手法、磁気共鳴イメージング(MRI)と超音波(US)が、前立腺癌検出のための精度レベルを報告している。その精度レベルは十分高くはなく、癌性病変の重要な部分が検出されないことがある。前立腺癌を持つ患者についての研究は、癌の3分の1がそれぞれの手法で見逃されていると報告している。超音波ガイド前立腺生検の研究は、この技術で前立腺癌の男性の20%が見逃されているということを見出した。異なる精度レベルにもかかわらず、これらのイメージング手法は、弾性組織の性質についていかなる直接の情報も与えることはできない。
【0006】
例えば腫瘍に伴う硬組織を同定するために、数多くのグループが、超音波技術を開発している。いくつかの方法は、超音波を用いる圧縮弾性、過渡的エラストグラフィ及び振動超音波エラストグラフィを含み、従来の超音波トランスデューサーとイメージングシステムを利用している。
【0007】
これまで、超音波エラストグラフィの検査は通常従来の超音波ヘッドを用いて行われてきた。
【0008】
これらの従来に超音波ヘッドは、剛直(即ち柔軟性がなく相対的にサイズが大きい)である。これにより、通常患者は内腔内でそのような超音波ヘッドを用いて(例えば前立腺病変検出のために直腸内で)検査される際、非常に不愉快を感じる。さらに、検査されるべき領域には接近することが難しく、ほんのわずかな空間しかなく、検査者が大きなサイズの超音波ヘッドを適正に位置することが難しいものがある。
【0009】
さらに、シグナルの確かな伝達のためには、柔軟な組織表面と柔軟でない超音波ヘッドの間には適切な機械的接触、好ましくは湿気をもった接触が提供されるべきである。実際には、これは、超音波ゲルの使用と超音波ヘッドを組織表面に押し付けることで実行される。組織の均一性と表面形状によっては、多くの超音波ゲルが必要となる場合や、組織表面に高い圧力をかけて超音波ヘッドを押し付け、組織表面と超音波ヘッドとの間の広い安定した接触を得る必要がある。組織表面へのより高い圧力をかけることは、検査中に組織を変形させ興味ある病変をかくしてしまうことになる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、改良されたトランスデューサー配置が必要とされる。特に組織情報を取得するためのトランスデューサー配置及び組織情報を取得するためのトランスデューサー配置を使用するため方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの要求は、本発明の独立請求項による発明主題により満たされる。本発明の有利な実施態様は、従属請求項に記載される。
【0012】
本発明の第1の側面によれば、物質を分析するためのトランスデューサー配置が提供される。係るトランスデューサー配置は、前記分析される物質において、機械的変位を誘起し受け取るための第1のトランスデューサー要素及び分析ユニットとを含む。ここで、前記トランスデューサー配置は、分析される物質の湾曲した表面に適合させるために柔軟性であるように設けられている。さらに、前記トランスデューサー配置は、機械的変位の低周波数スペクトルから第1のシグナルであって、分析される物質の超音波エラストグラフィ性質に関連する第1のシグナルを取り出すように設けられている。及び、前記トランスデューサー配置は、前記第1のトランスデューサー要素により受けられた機械的変位の高周波数スペクトルから第2のシグナルを取り出すように設けられている。前記第2のシグナルは分析される物質の超音波性質に関連する。言い換えると、本発明の第1の側面は、例えば、柔軟性であり、物質の異なる性質(例えば超音波エラストグラフィと超音波データ)を平行して提供するようにされている配置を提供するための考えに基づくものと理解されてよい。
【0013】
柔軟性は、例えば、トランスデューサーを柔軟性のある基板上に形成させる製造技術により製造される、1又はそれ以上のトランスデューサー要素を用いることにより達成可能である。加えて又はそれに代えて、以下説明するように、柔軟性は又次のようにして達成されることができる。すなわち、個々のトランスデューサー要素を複数用いて一体のトランスデューサー配置を形成し、個々のトランスデューサー要素は、それぞれの隣り合うトランスデューサー要素に応じて動かされることが可能なように形成されるものである。
【0014】
異なる物質の性質についての情報を提供する可能性は、トランスデューサー要素をつぎのように設けることで実現される。すなわち、それらが、好ましくは広い周波数領域で、異なる周波数での機械的変位を検出することができるように、である。異なる周波数での機械的励起の応答は、分析される物質の物理的性質に依存することは知られており、一方で超音波エラストグラフィ的性質に関連する物質の性質、他方で超音波的性質に関する性質を応答シグナルから取り出すことができる。例えば、物質の、弾性、粘弾性及び架橋密度のような物理的性質が分析され得る。機械的励起は、例えばトランスデューサー要素自体又は手動で生成させることができる。
【0015】
本発明の第1の側面によるトランスデューサー配置を用いて、例えば組織分布解剖学的情報、及び分析される物質の弾性的性質についての情報を平行して生成することが可能である。それにより、トランスデューサー配置は、その柔軟性により物質の表面の不均一に対して最適となるように適合させることができ、これにより検査者又はトランスデューサー配置の使用者が、高い圧を与えることなく、通常は均一に平面でない表面形状を有する領域を分析することができるようになる。そのような領域は、到達するのが難しく、例えば検査者も検査を受ける人にも不便となるような検査領域である。
【0016】
本発明の第1の側面によるトランスデューサー配置を用いて、例えば分析される物質の組織分布解剖学的情報は、例えば高周波データ(例えば超音波データ)に基づいて分析され得る。加えるに、分析される物質の弾性についての情報は、例えば低周波数データ(例えば低周波超音波、音波、低周音波、振動、圧力を自動的に又は手動で分析される物資に適用する等)に基づいて得られ得る。これらの低周波数成分を知ることは、高周波数超音波情報を用いた組織の分析とは異な分析を可能とする。
【0017】
本発明の第1の側面によるトランスデューサー配置は、例えば人の身体、例えば前立腺、乳房/乳腺等の、例えば癌性病変のような異常を排除又は検出するために検査に適合させることができる。さらに、トランスデューサー配置は、例えば機能解析、表示機能等を制御し、データ処理機能を実行させるようにすることができる。
【0018】
例えば、種々のトランスデューサー要素間の柔軟な内部結合層により達成される柔軟性により、トランスデューサー配置はいかなる形状にも形成され得る。それは、例えば超音波イメージングと超音波エラストグラフィによる組織検出を実施するため、例えば自然の開口部に適用するために必要とされる。
【0019】
以下に、本発明の第1の側面によるトランスデューサー配置の可能な詳細、構成及び利点につき詳しく説明する。
【0020】
上で説明した本発明の第1の側面において、「トランスデューサー要素」とは、例えば電子的、電気又は電気機械的配置を含み、ひとつの型のエネルギー又は物理的属性を、測定や情報伝達(例えば圧力センサ)を含む種々の目的で、他に変換するものを意味することができる。本発明のトランスデューサー要素は、データを送り、受け取ることができ、測定し及び異なる物理的帰属へ変換し、伝達し、及び/又はそれらに関連する情報を同時に処理することができる。
【0021】
トランスデューサー要素のそれぞれは、柔軟な形で実現可能である。さあに、種々の形状とサイズで形成され得る。さらに、それはいかなる形状の上にも設けられることができ、360度超音波エラストグラフィイメージングさえも可能とする。
【0022】
「トランスデューサー配置」とは、分析ユニットと少なくともひとつのトランスデューサー要素、好ましくは少なくとも2つのトランスデューサー要素の組み合わせを含むユニットを意味する。トランスデューサー配置は、さらに例えば、制御ユニット、表示ユニット等を含んでいてよい。
【0023】
「分析する」とは、異なる特性、例えば幾何学的構造、弾性性質等に関する物質の探査として、及び生理学的状態又は病理学的状態と比べて、異常がないということを証明すると同様に、可能性のある異常の存在とその大きさを検出することと、解釈され得る。
【0024】
「分析ユニット」は、分析、制御及び処理機能を実行することと同じく、アナログシグナルを受け取り、デジタルシグナルに変換することも可能である。分析ユニットは、トランスデューサー要素と離れていてもよく、又はトランスデューサー要素に含まれていてもよい。分析ユニットはさらに、例えば制御ユニット、表示ユニット等を含んでいてよい。分析ユニットは、ケーブル、電気コンダクターを介して、又は少なくとも1つのトランスデューサー要素とワイヤレス結合されていてよい。
【0025】
「機械的変位」とは、例えば物質、特に細胞又は組織の最小の移動又は振動として解釈される。例えば、細胞及び微視的組織の変位は、超音波圧力波により引き起こされ得る。結合された巨視的組織構造の変位は、物質に圧力を適用し、圧力をゆっくりと例えば手動で変動させることにより、又はトランスデューサー要素によりゆっくりとした振動を引き起こすことにより、生じさせることができる。
【0026】
「物質」とは、例えば人体を含む全ての種類の組織であって、上皮組織及び内皮組織(例えば皮膚の表面及び消化管の内部層)、結合組織(血液組織、骨組織)、筋組織及び神経組織(例えば、脳、脊椎及び末梢神経系)を含む。
【0027】
「誘起する」とは、例えばあらゆる種類のシグナルを送ること、例えば超音波シグナルを物質へ向かって又は物質に送ること及び/又は物質へ向かって又は物質に機械的圧力を適用することを意味する。
【0028】
「受け取る」とは、例えば物質の、又は物質からのシグナルを検出すること(例えば反射、伝達、変更、ハーモニック生成)を意味し得る。
【0029】
「高周波数スペクトル」は、例えば超音波の範囲での周波数として解釈され、好ましくは20kHzよりも高く1−10GHzまでである。
【0030】
「低周波数スペクトル」は、20KHzよりも低い周波数として解釈される。好ましくは数mHzから数kHzまでの範囲である。例えば、低周波数スペクトルが手動で誘起される場合、そのような手動プローブの周波数範囲は、0.1から2Hzであり得る。これは機械的励起の持続時間が0.5から10秒に対応する。低周波数スペクトルがトランスデューサー要素の振動により誘起される場合、周波数スペクトルは、50Hzから1kHzの範囲になり得る。
【0031】
第1のシグナルは、例えばトランスデューサー要素により受け取られた低周波数スペクトルから誘起され得る、又はそれに代えて、ソフトウエア、例えばデジタルシグナル処理により高周波数シグナルの分析から低周波数を抽出することにより与えられる。
【0032】
超音波検査法、特に医学的超音波検査法は、超音波ベースの診断イメージング技術であり、例えば種々の組織、例えば筋又は内部器官の組織分布学的解剖、サイズ、構造及び可能性のある病理又は病変を、その組織及び病変の弾性一貫性についての直接の情報を与えることなく、可視化するために使用される。
【0033】
エラストグラフィは、手動触診と似た原理に基づく。手動触診では、検査者は、例えば、周りの組織よりも硬いと感じて腫瘍を検出する。エラストグラフィでは、例えば、機械的力(圧縮や振動)が例えば軟組織に与えられ、例えば超音波(US)又は磁気共鳴(MR)イメージングのような従来のイメージング技術が適用され、軟組織の変形マップを作成する。癌のような区別された硬い不均一性が、軟組織内に存在する場合、振動強度においてその位置で変化が生じる。これが、例えばエラストグラフィを用いる腫瘍検出のための基本を形成する。
【0034】
エラストグラフィが、従来の超音波のイメージング技術と組み合わされると、超音波エラストグラフィと呼ばれることができる。それゆえに「超音波エラストグラフィ的性質」とは、物質の種々の性質であって、超音波エラストグラフィにより検出され得るものとして解釈され得る。
【0035】
さらなるエラストグラフィの例は、圧縮エラストグラフィ、過渡的エラストグラフィ及び振動エラストグラフィである。
【0036】
圧縮エラストグラフィにおいて、圧縮は、組織サンプルに適用され、圧縮前と圧縮後のエコーリターンシグナルが比較され、関連付け技術を用いて組織内の歪マップを計算する。
【0037】
過渡的エラストグラフィは、低周波数過渡的振動を用いて、組織内に変位を創り、それらを後、従来の超音波トランスデューサーを用いたパルスエコー超音波を用いて検出される。
【0038】
振動超音波エラストグラフィイメージングは、リアルタイム超音波ドップラー技術を用いて、深い組織を通じて伝播する低周波数(1kHzより小さい)横波の伝播から生じる振動パターンをイメージングする。
【0039】
本発明の第1の側面によるトランスデューサー配置の手段により、例えば組織の組織分布的解剖額的情報及びその弾性的性質の情報の両方についての情報を、一つの及び同じトランスデューサー配置によって得ることができる。好ましくは、異なる情報が同時に得られることである。ここでは、トランスデューサーは、例えば柔軟な形状で実施され、それゆえに組織の表面に高精度で適合させられ得る。
【0040】
本発明のひとつの代表的実施態様によれば、トランスデューサー配置はさらに、少なくとも一つの第2のトランスデューサー要素を含む。そして第1及び第2のトランスデューサー要素は、お互いに関して動けるように設けられる。
【0041】
「お互いに関して動ける」とは、ひとつのトランスデューサー要素が他のトランスデューサー要素に対して、水平に、垂直に又は軸の周りを又はこれらのいかなる組み合わせでも動くことを意味する。言い換えると、トランスデューサー要素は、それぞれお互いに、位置を変更し、回転し又は歪むことが可能である。これらの特性により、2つ又はそれ以上のトランスデューサー要素のトランスデューサー配置は、分析される物質の表面に最適に適合されられ得る。特に物質の表面が一様でない場合にそうである。
【0042】
本発明の代表的実施態様のひとつによれば、トランスデューサー配置の少なくとも1つのトランスデューサー要素が、半導体層を含む。
【0043】
「半導体層」とは、トランスデューサー要素の層であって、例えばシリコンのような半導体物質及び/又は半導体部品を含むか、又は半導体部品自体である。言い換えると、トランスデューサー要素は、十分確立されたシリコン技術を用いて製造され得る。例えば、トランスデューサー要素は、薄いシリコンウエハ、又は十分な柔軟性を得るためにシリコンの薄膜に基づき作成され得る。半導体層は、制御ユニット、評価ユニット、分析ユニット及び/又は駆動電子装置を含んでいてよい。半導体層がトランスデューサー要素に含まれることは有利である。というのは、これはトランスデューサー配置のサイズを大きく減少させることに役立つからである。例えば半導体層に直接制御電子装置を含ませることによる。サイズの減少は、例えば患者の大きな安らぎもたらす。
【0044】
本発明のさらなるひとつの代表的実施態様によれば、トランスデューサー配置の少なくとも1つのトランスデューサー要素が、圧抵抗及び/又は圧電マイクロマシーン加工要素を含む。
【0045】
「圧電要素」、「圧抵抗要素」とは、圧電/圧抵抗圧力センサ装置又は圧力生成装置を意味する。一方、圧電要素に直接又は間接に適用されたいかなる圧力は、電荷又は電圧の変化となり、電極で検出される。他方、圧電要素に電圧をかけると、圧電要素の表面の機械的変位が引き起こされる。従って、機械的変位は、生成と検出の両方が可能である。圧電要素は、広範囲の周波数で、機械的変位を生成/検出するために適合させることができる。特に、圧電要素は、超音波周波数範囲、典型的には1−10MHzで、機械的変位を検出/生成するために適合させることができる。
【0046】
本発明のさらなるひとつの代表的実施態様によれば、少なくとも1つのトランスデューサー要素は、マイクロマシーン加工のキャパシタ要素を含む。
【0047】
ここで、キャパシタ要素は、それに圧力が適用された場合その電気容量を変更するように設けられることができる。例えば、キャパシタ要素は、お互いに特定の距離に配置された2つの電極を含む。電極の1つは、それ自体で膜を形成するか、又は誘電性膜層に付されるか埋め込まれる。その膜に圧力が供されると、電極間の距離が変化し、離れて配置された電極により誘起される容量が変化する。このようにして機械的変位が検出されることになる。特に、キャパシタ要素は、数mHzと数kHzの間の低周波数範囲で、機械的変位を検出できるように設けることができる。キャパシタトランスデューサーは又、超音波周波数が典型的に1−10MHzの範囲で機械的変位を検出又は生成するように設けられてもよい。
【0048】
同じトランスデューサー配置において、圧電及びキャパシタ要素を共に含むことは有利である。ここで、圧電及びキャパシタ要素は、それぞれ共に、1つのトランスデューサー要素に、又はそれぞれ単一のトランスデューサー要素内で実施されてもよいし、又はひとつ又はいくつかの要素が圧電要素を含み、他のトランスデューサー要素がキャパシタ要素を含んでいてもよい。ここで、圧電要素及びキャパシタ要素は、異なる周波数で作用するように適合されることができる。
【0049】
有利には、トランスデューサー要素は、機械的変位の低及び高周波数スペクトルの両方を同時に受け取り及び/生成するように設けられることである。
【0050】
本発明のさらなるひとつの代表的実施態様によれば、少なくとも1つのトランスデューサー要素が、圧電層のような圧電要素を含む。ここで電極は、圧電要素の表面に並んだ形で設けられる。これにより、電極が、単一層から形成され、それゆえに単一の形成ステップで形成されるようにできる。
【0051】
代わりに、電極は、圧電要素の最上及び最下部に設けられてもよい。
【0052】
有利には、半導体層は、圧電要素の長手方向に平行に配置される。
【0053】
このようにして、トランスデューサー要素の全体又は一部(例えば膜)の形状が変形したり又は変更されると、半導体層の圧抵抗効果により簡単に検出される。層は歪みゲージとして作用する。層は又、トランスデューサー要素間の柔軟な結合部分に配置されることも可能である。
【0054】
本発明の第2の側面によれば、上で説明したトランスデューサー配置を含む手袋が提供される。
【0055】
手袋は、トランスデューサー配置が含まれる、検査用手袋として解釈される。手袋は、種々の物質、例えばラテックスから作られてよい。トランスデューサー配置は、手袋の内側表面又は外側に位置することができる。代わりに、トランスデューサー配置は手袋の物質の中に組み込まれていてもよい。好ましくは、トランスデューサー配置は、指の領域、例えば手袋の人差し指の領域に位置する。
【0056】
本発明のさらなる代表的実施態様のひとつによれば、手袋は使い捨て手袋である。
【0057】
手袋は、低コストで製造されることができる。手袋は一回のみ使用として作られてよい。
【0058】
本発明の第3の側面によれば、超音波エラストグラフィデータと超音波データを平行して取得する方法が提供される。本方法は次にステップを含む:
トランスデューサー配置を分析される物質の表面に適合させるステップと;
前記トランスデューサー配置により前記物質に第1のシグナルを送り、そこで前記第1のシグナルが、機械的変位の高周波数スペクトルを誘起する、ステップと;
前記物質により反射された前記第1のシグナルの基づき前記トランスデューサー配置により第2のシグナルを受け取り、前記第2のシグナルは、分析される物質の超音波的性質に関連する、ステップと;
前記トランスデューサー配置による前記物質への第3のシグナルを送り、前記第3のシグナルが機械的変位の低周波数スペクトルを誘起する、ステップと;
前記第3のシグナルに対する前記物質の応答に基づき、前記トランスデューサー配置により第4のシグナルを受け取り、前記第4のシグナルが、分析される物質の超音波エラストグラフィ的性質の関連する、ステップと;
前記第2及び第4のシグナルの情報を分析ユニットへ伝達する、ステップ。
【0059】
本方法のステップは、任意の順又は上で記載された順で部分的に実行されることができる。例えば、第1のシグナルを物質へ送るステップは、第3のシグナルを物質に送る前、後又は同時に実行することができる。例えば、低周波数シグナルの適用の間に高周波数シグナルを送り及び検出することは、低周波数シグナルにより起こる変位をモニターし、物質の弾性的性質についての情報を得ることを可能とする。詳細は以下に与える。
【0060】
例えば、第3のシグナルを送る前に第1のシグナルを送ることができる。受け取られた第2のシグナルは、その後、分析される物質の非圧縮状態での超音波的性質を表す。その後、第3のシグナルが送られ、それにより分析される物質を機械的に変位させるか又は圧縮する。そのような圧縮状態で受け取られた変更された第2のシグナルから、分析される物質の弾性的性質についての情報が導かれ得る。そこで、第3のシグナルが送られる前及び間に、第1のシグナルは連続して送られることができる。それに代えて、第3のシグナルが送られる前に第1のシグナルが送られ、その後中断されることも可能である。その後、第3のシグナルは、例えば分析される物質の機械的変位/圧縮の形で送られ、そしてそれに対する反応が、第1のシグナルの発生と変更された第2のシグナルの分析から再び誘起され得る。
【0061】
本方法で使用するトランスデューサー配置は、第1の側面に応じて上で説明されたようなトランスデューサー配置であってよい。
【0062】
トランスデューサー配置は、分析される物質の表面に適合され得る。一般的に、そのような物質の表面は平面ではない。物質へ送る及び物質から受け取るシグナルの最適な結合を得るために、トランスデューサー配置と物質の表面との間の連続接触を達成することが必要である。トランスデューサー配置の柔軟性のある設計により、たとえ物質の表面が非常に不均一であっても、トランスデューサー配置と物質との間の最適調節を得ることができる。
【0063】
さらなるステップにおいて、高周波数シグナル(第1のシグナル)、例えば超音波は、トランスデューサー配置から、分析される物質に伝達されることができる。このシグナルは、物質の特定の構造的特徴、例えば組織の組織分布的解剖学的特徴に依存して物質で反射され得る。結果のシグナル(第2のシグナル)は反射された高周波数シグナルを表し、物質からトランスデューサー配置へ伝達され、トランスデューサー配置で受け取られ得る。この結果によるシグナルは、物質の構造、例えば組織の組織分布的解剖学的情報を含み、続く分析ステップで得られる。
【0064】
さらなるステップでは、低周波数シグナル(第3のシグナル)例えば振動は、トランスデューサー配置から、分析される物質に向かって又は物質に伝達されることができる。圧縮状態で伝達され受け取られた高周波数シグナルは、組織の弾性的性質の情報を与える。低周波数シグナル自体が又、上で説明したように圧力検出装置によりトランスデューサー配置により受け取られ又はモニターされることができる。このステップは、低周波数シグナルの、強度、位相及び横方向分布が、低周波数シグナルを送るアクチュエータの性質から知られている場合は、必要ない。この場合、「第3のシグナル」は、そのアクチュエータのシグナルとなる。
【0065】
低周波数シグナルは又、高周波数シグナルが定期的に適用されモニターされている場合、高周波数シグナルの分析から導くことができる。これは、例えば、低周波数シグナルが手動で生成され及び/又は低周波数検出が間隔的に実施されている場合に用いられることができる。
【0066】
さらなるステップで、シグナル、例えば第2のシグナル及び第4のシグナル、は分析ユニットへ伝達されることができる。この分析ユニットは、受け取られたシグナルを処理して、例えば分析ユニットの一部であり得る例えば表示装置でそれらのシグナルを可視化することができる。
【0067】
物質の表面に適合させること、高周波数シグナル及び低周波数シグナルを送ること及び/又は受け取ること、及び/又は情報を分析ユニットへ伝達することは、同時に起こってもよい。
【0068】
本発明のさらなる代表的実施態様のひとつによれば、情報を前記分析ユニットへ伝達するステップは又、第3のシグナルの伝達を含む。
【0069】
第3のシグナルは、分析ユニットによるさらなる処理のために、例えば第3のシグナルが手動で引き起こされる場合に、必要とされ得る。例えば、医者が手動で、物質に圧力をかける場合、これにより機械的変位の低周波数スペクトルを誘起するが、さらに超音波シグナルが圧縮条件下で物質に伝達されることができ、圧縮条件下で反射された超音波シグナルに対応する第4のシグナルが受け取られる。
【0070】
本発明のさらなる代表的実施態様のひとつによれば、高周波数シグナルを送り、及び低周波数シグナルを検出するステップは、同じトランスデューサーにより実行される。
【0071】
本発明の実施態様は、異なる発明主題について記載されている。特に、いくつかの実施態様は、方法型の請求項について記載されており、一方他の実施態様は配置型の請求項について記載されている。しかし、本技術分野の熟練者は、上の記載と以下の記載を合わせて、特に注意されなくても、発明主題の一つに属する構成のいかなる組み合わせに加えて、異なる発明主題に関連する構成間のいかなる組合せもまた本出願で開示されていると理解するであろう。
【0072】
本発明の、上で定義された側面及びさらなる側面、構成及び利点は又、以下で説明される実施態様例から導かれ、また実施態様例を参照して説明されるであろう。本発明は以下より詳細に、実施態様例を用いて説明されるが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、本発明のひとつの実施態様によるトランスデューサー要素の配列を模式的に表す。圧電層は、層内の電場により作動され、いわゆるd33モードで操作されている。
【図2】図2は、本発明の他の実施態様のひとつによるトランスデューサー要素を模式的に表す。圧電層は、ピエゾ電気平面と垂直電場により作動され、いわゆるd31モードで操作されている。
【図3】図3は、本発明の他の実施態様のひとつによる、集積キャパシタ圧力センサを含むトランスデューサー要素を模式的に表す。
【図4】図4は、本発明の実施態様のひとつのよる、トランスデューサー配置を模式的に表す。ここで、トランスデューサー配置は、病変を含む不均一な物質表面に緊密に適合している。病変は、周りの物質よりもより高い硬度を有する。圧力は物質の表面に適用されていない。
【図5】図5は、本発明の実施態様のひとつによる、トランスデューサー配置を模式的に表す。ここで、トランスデューサー配置は、病変を含む不均一な物質表面に緊密に適合している。病変は、周りの物質よりもより高い硬度を有する。圧力が物質の表面に適用されている。
【図6】図6は、本発明の実施態様のひとつによる、分析される物質とトランスデューサー要素の間のシグナルのシグナル伝達パスを模式的に表す。
【図7】図7は、本発明の実施態様のひとつによる、トランスデューサー配置を含む検査手袋を模式的に表す。 図は、模式的である正しい寸法は意図していない。異なる図で、同じ要素は同じ参照記号で与えられている。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1には、本発明のひとつの実施態様による、柔軟性薄フィルム超音波トランスデューサー配置が模式的に示されている。
【0075】
これは、d33モードで作動する薄フィルム超音波トランスデューサー配置のひとつである。
【0076】
d33モードでは、これは縦モードとも言われるが、圧電層の延長が、供される電圧の方向と平行に配置されている。
【0077】
図には、2つのトランスデューサー要素51が示されるが、この原理から、多数の要素による1D又は2D配置として拡張され得る。
【0078】
圧電トランスデューサーは、基板に形成された膜1及び3を含む。この基板は、この膜の動きを可能とするようにトランスデューサーを形成した後は除かれる。膜は、無機物質、例えば窒化シリコン(例えば膜1)及び酸化ケイ素(例えば膜3)からなる。又、無機膜及び、酸化チタン又は酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムのようなバリア層を含むスタックが適用可能である。圧電物質5としては、例えばランタン(La)でドープされていてもドープされていなくてもよい鉛チタン酸ジルコン酸、又は他のいかなる適切な圧電物質でもよく、膜1,3に形成される。例えば、性能を上げたい場合にはパターン化されてもよい。さらに、一組の電極7と15は、例えばチタン及び金又はいかなる他の適切な電気的伝導物質のスタックを含んでいてよく、パターン化された圧電物質のそれぞれの領域に層として形成される。
【0079】
正電圧が内部端電極15に、そして負電圧が外部端電極7にかけられると(その代わりに接地されてもよい)、圧電層が伸展してその結果下側に曲がる。電極の組にかける電圧の極性を逆にすると、膜スタックは上側に曲がる。圧電層へ電圧パルス又はいかなる交流(AC)シグナルを供することで超音波が生成される。
【0080】
これらの要素の上に薄フィルム基板9が、金属パッド7に沿って、例えば超音波結合を用いて設けられている。しかし、他の結合技術、例えば熱圧縮などの技術もまた適用可能である。基板は、例えば薄く加工されたシリコン(Si)基板であり得る。この基板は、隔離された層同様に、集積電子回路を有していてもいなくてもよい。しかし、いかなる他の基板が設けられてもよい。シリコン基板では、金属の内部結合11を有する隔離されたバイアスが実現される。これらの結合に沿って、要素は柔軟なホイル13を用いて結合される。これは、シグナルと接地結合のための多重レベル内部結合を含む。柔軟な配置を実現するために、種々の要素間の膜は、離されている。
【0081】
駆動用電子回路は、膜の上に設けられている薄フィルム基板9に配置されるか、又は別のチップで供給される。配置を応用できるようにするために、例えばパリレンのような生物的適合性防御層、又はいかなる他の有機又は無機コーティングが施される(図1には示されていない)。
【0082】
種々の要素間の柔軟な内部結合層により、配置はいかなる形状にも変形できる。このことは、超音波イメージング及び超音波エラストグラフィを用いての組織検出を、自然の開口部で適用する場合必要とされる。
【0083】
本発明のひとつ実施態様において、ここで示される柔軟な配置は、超音波エラストグラフィを可能にするだけでなく、圧力センサを含むことが可能である。これにより、医者が、この配置を用いて、組織の硬さについて、指による直腸検査に比べてより定量的なデータを得ることが可能となる。トランスデューサーに組み込まれる圧力センサには、本発明の一部において、圧電圧力センサが含まれる。
【0084】
ここで、圧電要素にストレスがかけられると、電荷を生じる結果、電極で検出可能となる。
【0085】
これは、医者にフォースフィードバックを可能とする一つの方法であり、医者は組織の硬さを検出でき、同じ配置で超音波エラストグラフィを実施することが可能となる。
【0086】
図2は、トランスデューサー要素を模式的に示す。ここで圧電要素は圧電層5の面に垂直な電場により作動する。ここで、電極は圧電層の上部側15と、下部側19に設けられる。電圧パルスをかけると電場方向に圧電層が伸長され、電場に垂直方向で、つまり電場面内で、ピエゾ電気層が収縮する結果となる。これは、膜の曲がりを引き起こし、超音波が伝播される。
【0087】
図3は、本発明の他のひとつの実施態様による、集積されたキャパシタ圧力センサを含む薄フィルムトランスデューサー要素を模式的に示す。ここで、導電性層がキャパシタセンサ要素のひとつの電極20として、電極15がキャパシタセンサ要素の第2の電極として作用する。この導電性層は、高ドープされたSi層であってよく、基板9からSiO2層により隔離されている。それに代わって、電極20は、例えば隔離層を有するSi基板又は薄フィルム基板9上に形成されるいかなる金属層であってもよい。これは例えば結合Siであり、局所的に堆積された金属電極又は電極20自体を含む。配置の中心の圧電層5の上に2つの電極15は、ガス又は真空誘電体17を有するキャパシタの他の電極として作用する。膜13にストレスをかけると、膜の変形をもたらし、これは容量変化をもたらし検出可能となる。
【0088】
図4は、本発明のひとつの実施態様によるトランスデューサー配置21が、物質の不均一な表面に緊密の適合していることを、模式的に示す。その柔軟性のために、トランスデューサー配置は、表面の不均一性にきっちりと適合することができる。物質は、まわりの組織物質よりも高い硬度を有する病変27を含む。物質全体25は、物質の表面に圧力をかけておらず、圧縮されていない。病変は表面のレリーフにいかなる関連する変化も起こさない。ゆえに、病変領域に位置するトランスデューサー要素29の膜にはなんらの関連するストレスもかけられていない。
【0089】
図4に示されるように、トランスデューサー要素は、トランスデューサー要素29の外部で配置されている分析ユニット30と結合されていてもよい。分析ユニット30は、ケーブル32又は電気伝導装置又はワイヤレス結合を介して、少なくともひとつのトランスデューサー要素と組み合わされることができる。その代わりに、分析ユニット又は分析ユニとの一部が、トランスデューサー要素29の少なくともひとつの含まれていてもよい。
【0090】
図5は、本発明の実施態様のひとつによるトランスデューサー配置21を模式的に示す。ここで配置21は、周りの物質よりも高い硬度を有する病変27を含む、不均一表面に緊密に適合しており、物質表面に圧力35がかけられている。物質へ圧力がかけられている(例えば物質表面でトランスデューサー要素を押すことによる)ことから、全物質31は圧縮されている。高い硬度を有する病変を持たない物質の領域は、周りの物質よりより高い硬度を持つ病変27を含む物質の領域よりもより強く圧縮される。これにより、表面レリーフの変化(例えば突出)又は病変27を含む領域の物質の抵抗の変化を生じる。この結果、病変領域の表面に位置するトランスデューサー要素33の膜に影響するストレスの増大となる。この膜にかかるストレスは、膜に変形をもたらし、電荷及び/又は容量の変化をもたらすが、これらは電極で検出可能である。
【0091】
図6は、本発明の実施態様のひとつによる、トランスデューサー要素51と分析される物質間のシグナルの伝達パスを模式的に示す。
【0092】
トランスデューサー要素により分析される物質の一部を表す領域41が、異なるシグナル伝達パスを説明するために選択される。
【0093】
第1のシグナル42は、トランスデューサー要素から物質へ向かう、高周波数、例えば超音波を表すことができる。このシグナルは、物質の特定の構造的性質に依存して物質の境界で反射されることができる。ゆえに、結果シグナル/第2のシグナル43は、反射された高周波シグナルを表し、物質の構造について情報を含む。この第2のシグナルは、物質からトランスデューサー要素51へ伝達され、トランスデューサー要素51で受け取られることができる。このシグナルは、さらに分析ユニット30で処理されることができる。
【0094】
第3のシグナルのシグナル45は、低周波数シグナル、例えば振動又はその代わりの試験者により物質の表面に手動で加えられることができる圧力、を表し、トランスデューサー配置から物質へ向かって又は物質に伝達される。このシグナルは、物質の特有の弾性的性質により物質中で又は物質の上で反射されることができる。非常に低周波数では、伝達されたシグナルと反射シグナルとお互いに重なり、そして、興味ある組織41での圧力シグナルの効果を得るため、その準静的圧力を要素51で記録するには十分である。高及び低周波数シグナルは、同時に記録されることができる。
【0095】
図7は、本発明の実施態様のひとつによる、トランスデューサー配置21を含む検査用手袋を模式的に示す。好ましくは、トランスデューサー配置は、手袋の指先部分65の人差し指の手のひら側の中心に位置される。または、トランスデューサー配置は、手袋のいかなる部分に位置してもよい。又は手袋の種々の領域で種々のトランスデューサー配置を使用することができる。トランスデューサー配置は、手袋の内部又は外部の表面に位置することが可能であり、又は手袋の中に組み込まれていてもよい。トランスデューサー配置は、線形配列として形成されてよい。しかしまた2D配列又は他のいかなる適切は形で形成されてよい。トランスデューサー配置から又は配置へのデータ伝達は、ケーブル63により、又は電気伝導装置又はワイヤレス結合により行うことが可能である。
【0096】
次の点に注意されるべきである。「含む」なる用語は、他の要素やステップを除外するものではなく、「ひとつの」なる用語は複数を除外するものではない。又、異なる実施態様に基づいて説明された要素は結合されてもよい。請求項の参照記号は、請求項の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0097】
1 膜
3 膜
5圧電層
7 外側端電極
9 基板
柔軟な内部結合層
11分離バイアス
13 柔軟なホイル
15 内部端/上側/中心電極
17 開口部
18 下部電極への結合
19 下部電極
20キャパシタ電極
21 トランスデューサー配置
25 非圧縮物質
27 病変
29 病変領域の表面でのトランスデューサー要素、これにより前記要の膜は関連するストレスにより影響されない
30 分析ユニット
31 圧縮された物質
32 ケーブル
33 病変領域の物質の表面のトランスデューサー要素、これにより要素の膜はストレスにより影響される
35 物質表面に与えられた圧力
40 物質
41 分析される物質の特定の領域
42 第1のシグナル
43 第2のシグナル
45 第3のシグナル
47 第4のシグナル
51 トランスデューサー要素
検査用手袋
63 データ伝達のためのケーブル
65 人差し指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物質を分析するためのトランスデューサー配置であり:
分析される物質に機械的変位を誘起し及び受け取るための第1のトランスデューサー要素と;及び分析ユニット;とを有し、
前記配置が分析される物質の曲がった表面に適合させるために柔軟性であるように設けられ;
前記トランスデューサー配置が、前記機械的変位の低周波数スペクトルから第1のシグナルを取得するようにされ、前記第1のシグナルが分析される物質の超音波エラストグラフィ的性質に関連し;及び
前記トランスデューサー配置が、前記第1のトランスデューサー要素により受け取られた機械的変位の高周波数スペクトルから第2のシグナルを取得するようにされ、前記第2のシグナルが分析される物質の超音波的性質に関連する、配置。
【請求項2】
請求項1に記載の配置であり、さらに、分析される物質内に機械的変位を誘起し及び受け取るための第2のトランスデューサー要素を含み;
前記第1及び第2のトランスデューサー要素が、お互いに動けるように設けられ;
前記トランスデューサー配置が、前記第1及び前記第2のトランスデューサー要素の少なくとも1つにより受け取られる機械的変位の低周波数スペクトルから第1のシグナルを取得するようにされ、前記第2のシグナルは分析される物質の超音波的性質に関連する、配置。
【請求項3】
前記第1のトランスデューサー要素が、半導体層を含む、請求項1に記載の配置。
【請求項4】
前記第1のトランスデューサー要素が、ピエゾ電気要素、ピエゾ電気マイクロマシーン化要素及び/又はキャパシタマイクロマシーン化要素の少なくとも1つである、請求項1に記載の配置。
【請求項5】
前記キャパシタマイクロマシーン化要素が、機械的変位の低周波数スペクトルを受け取るようにされた、請求項4に記載の配置。
【請求項6】
前記第1のトランスデューサー要素が、機械的変位の低周波数及び高周波数のスペクトルを共に受け取るようにされた、請求項1に記載の配置。
【請求項7】
機械的変位の前記低周波数及び高周波数スペクトルが、それぞれ異なるトランスデューサー要素で受け取られる、請求項1に記載の配置。
【請求項8】
前記第1のトランスデューサー要素が、ピエゾ電気層を含み、前記ピエゾ電気要素の表面に、並んだ状態で、電極が、前記ピエゾ電気要素に配置される、請求項1に記載の配置。
【請求項9】
前記第1のトランスデューサー要素がピエゾ電気層を含み、前記ピエゾ電気層の上と下に、電極が配置されている、請求項1に記載の配置。
【請求項10】
請求項1によるトランスデューサー配置を含む、手袋。
【請求項11】
前記手袋が、使い捨てである、請求項10に記載の手袋。
【請求項12】
超音波エラストグラフィデータと超音波データを平行して取得する方法であり:
トランスデューサー配置を分析される物質の表面に適合させるステップ;
前記トランスデューサー配置により前記物質に第1のシグナルを送り、そこで前記第1のシグナルが、機械的変位の高周波数スペクトルを誘起する、ステップ;
前記物質により反射された前記第1のシグナルの基づき前記トランスデューサー配置により第2のシグナルを受け取り、前記第2のシグナルは、分析される物質の超音波的性質に関連する、ステップ;
前記トランスデューサー配置による前記物質への第3のシグナルを送り、前記第3のシグナルが機械的変位の低周波数スペクトルを誘起する、ステップ;
前記第3のシグナルに対する前記物質の応答に基づき、前記トランスデューサー配置により第4のシグナルを受け取り、前記第4のシグナルが、分析される物質の超音波エラストグラフィ的性質の関連する、ステップ;
前記第2及び第4のシグナルの情報を分析ユニットへ伝達するステップ;とを含む方法。
【請求項13】
前記分析ユニットへの情報伝達するステップが、前記第3のシグナルの伝達を含む、請求項12に記載の超音波エラストグラフィデータと超音波データを平行して取得する方法。
【請求項14】
前記第1のシグナルを送り、及び前記第4のシグナルを受け取るステップが、共に前記トランスデューサー配置により行われる、請求項12に記載の超音波エラストグラフィデータと超音波データを平行して取得する方法。
【請求項15】
前記方法が、請求項1によるトランスデューサー配置を用いるか又は請求項10による手袋を用いることにより実行される、請求項12に記載の超音波エラストグラフィデータと超音波データを平行して取得する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−500039(P2012−500039A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522601(P2011−522601)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053503
【国際公開番号】WO2010/018525
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】