説明

トリプル再取込み阻害剤及びそれらの使用方法

二環式化合物及びその合成方法が本明細書に提供される。本明細書に提供される化合物は、種々の神経疾患の治療、予防、及び/又は管理に有用である。本明細書に提供される化合物は、ドーパミン、セロトニン、及びノルエピネフリンなどの内因性モノアミンの(例えば、シナプス間隙からの)再取込みを阻害し、1種以上のモノアミントランスポーターを調節する。該化合物を含む医薬製剤も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年12月16日に出願された米国仮特許出願第61/138,062号の優先権を主張し、その全体を引用により本明細書に組み込む。
(1.分野)
トリプル再取込み阻害剤として有用な化合物、該化合物を含む組成物、及びそれらの使用方法が本明細書に提供される。
【背景技術】
【0002】
(2.背景)
モノアミン神経伝達物質は、疼痛及びうつ病などの神経疾患に対する身体の反応に関与している。ノルエピネフリン(NE)及びセロトニン(5-HT)は、脳内に生じ中枢神経系全体に広く分布するモノアミン神経伝達物質である。5-HT及びNEは、脊髄から脳への痛みの伝達の調節に関与し、体調及びストレスに対する反応の管理にも関与していると報告されている。
【0003】
うつ病は、異常な気分又は精神疾患を構成する症状の集合を意味する。うつ病の症状には、気分及び情動の障害(沈んだ気分、活動に対する興味及び楽しさの喪失)、身体機能の障害(体重及び食欲の変化、精神運動性障害、睡眠障害、疲労、及び活力低下)、及び認識過程の障害(無価値感及び罪責感、集中困難、決断困難、死又は自殺の考え、及び、ことによると妄想/幻覚)がある。これらの症状は、強度、期間、及び頻度が様々であり、異なる種類へのうつ病の分類が可能である。大うつ病エピソードの症状には他に、かんしゃく(crying spells)、自己憐憫、絶望、短気、ふさぎ込み、自尊心の低下、性欲の低下、虚無感、社会的引きこもり、記憶障害、自分が不十分であるという思い、及び悲観がある。
【0004】
特定の脳領域の電気刺激が5-HT及びNEを放出させることが報告されており、動物及びヒトの両方に無痛覚症を生み出すと考えられている。逆に、ラットにおけるセロトニンの消耗が、痛みへの反応を大きくすることが報告されている。痛覚の調節におけるNEと5-HTとの間の相乗作用もあるようである。ラットの研究は、外因性投与された5-HTによる無痛覚症が、脊髄中のNEの消耗により遮断されうることを示す。
【0005】
通常の抗うつ剤は、神経終末への輸送又は再取込みを含む、生体アミンの生理的不活性化の主な手段を遮断することにより、生体アミンのシナプス可用性を高める。例としては、NE及び5-HTの両方の再取込みを阻害する「デュアル」作用剤(例えば、ベンラファキシン及びミルナシプラム(milnacipram))、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)(例えば、フルオキセチン及びセルトラリン)、及びノルエピネフリン再取込み阻害剤(例えば、ロボキセチン)がある。これら薬剤の全ての大きな欠点は、その使用に関連する治療上の遅れ(therapeutic lag)である。臨床的に意味のある症状の軽減を得るには、患者は最大3週間薬剤を服用しなければならない。さらに、相当数の患者は現行の療法に全く反応しない。例えば、臨床的にうつ病と診断された症例の最大30%が、全形態の現行の薬剤療法に抵抗性であると現在推定されている。したがって、種々の神経疾患の効果的な治療が大いに必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
(3.概要)
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物が本明細書に提供される。
【化1】

(式中、X、Y、Z、m、及びnは、本明細書中で他に定義されるとおりである)。該化合物は、「トリプル再取込み阻害剤」として有用である。
【0007】
本明細書に提供される化合物を含む組成物及び剤形も本明細書に提供される。本明細書に提供される組成物及び剤形は、1種以上の追加の有効成分を含んでよい。
【0008】
本明細書に提供される化合物及び組成物を利用する、種々の神経疾患の治療、予防、及び/又は管理の方法も本明細書に提供される。治療、予防、及び/又は管理できる神経疾患には、うつ病(例えば、大うつ病性障害、双極性障害)、線維筋痛症、疼痛(例えば、神経因性疼痛)、睡眠時無呼吸、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、レストレスレッグ症候群、統合失調症、不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、季節性情動障害(SAD)、月経前不機嫌、神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病)、及び本明細書に他に記載される他の神経疾患があるが、これらに限定されない。さらに、肥満の治療、予防、及び/もしくは管理の方法、又はニコチン及びコカインの濫用、依存症、もしくは中毒を含むがこれらに限定されない薬物の濫用、依存症、もしくは中毒の治療の方法も本明細書に提供される。
【0009】
他の実施態様において、モノアミントランスポーターリガンドのモノアミントランスポーター、例えばセロトニントランスポーター、ドーパミントランスポーター、及びノルエピネフリントランスポーターへの結合を阻害する方法も本明細書に提供される。該方法は、モノアミントランスポーターと本発明の化合物とを接触させることを含む。例示的な実施態様において、モノアミントランスポーターリガンドは、セロトニン、ドーパミン、及びノルエピネフリンなどのモノアミンである。
【0010】
セロトニントランスポーター、ドーパミントランスポーター、及びノルエピネフリントランスポーターなどの少なくとも1種のモノアミントランスポーターの活性を阻害する方法も本明細書に提供される。該方法は、モノアミントランスポーターと本明細書に提供される化合物とを接触させることを含む。
【0011】
細胞による、セロトニン、ドーパミン、及びノルエピネフリンなどの少なくとも1種のモノアミンの取込みを阻害する方法も本明細書に提供される。該方法は、細胞と本発明の化合物とを接触させることを含む。例示的な実施態様において、該細胞は、神経細胞又はグリア細胞などの脳細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
(4.図の簡単な説明)
【図1】10mg/kgの投与量で経口投与した後の脳内の被験化合物の濃度を示す。
【図2】10mg/kgの投与量で経口投与した後の被験化合物の脳内濃度と血漿濃度との比を示す。
【図3】(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール(「被験化合物」)のフリンチング反応(flinching responses)に対する効果を示す。(V:ビヒクル;3:3mg/kg被験化合物;10:10mg/kg被験化合物;30:30mg/kg被験化合物;及びG:ガバペンチン(100mg/kg))。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(5.詳細な説明)
(5.1定義)
本明細書では、他に示されない限り、「アルキル」という用語は、直鎖又は分岐状の飽和の一価炭化水素基を意味し、アルキルは1つ以上の置換基により任意に置換されていてよい。「アルキル」という用語は、特記されない限り、直鎖及び分岐状アルキルの両方を包含する。特定の実施態様において、アルキルは、1から20(C1-20)、1から15(C1-15)、1から12(C1-12)、1から10(C1-10)、もしくは1から6(C1-6)の炭素原子を有する直鎖の飽和一価炭化水素基又は3から20(C3-20)、3から15(C3-15)、3から12(C3-12)、3から10(C3-10)、もしくは3から6(C3-6)の炭素原子の分岐状飽和一価炭化水素基である。本明細書では、直鎖のC1-6及び分岐状C3-6アルキル基は、「低級アルキル」とも呼ばれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル(全異性体を含む)、n-プロピル、イソプロピル、ブチル(全異性体を含む)、n-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル(全異性体を含む)、及びヘキシル(全異性体を含む)があるが、これらに限定されない。例えば、C1-6アルキルは、1から6の炭素原子を有する直鎖の飽和一価炭化水素基又は3から6の炭素原子を有する分岐状飽和一価炭化水素基を意味する。
【0014】
本明細書では、特記されない限り、「アルケニル」という用語は、1つ以上、一実施態様において1から5の炭素−炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐状の一価炭化水素基を意味する。アルケニルは、任意に1つ以上の置換基により置換されていてよい。「アルケニル」という用語は、当業者に認識されるとおり、「シス」及び「トランス」配置又は「E」及び「Z」配置を有する基も包含する。本明細書では、「アルケニル」という用語は、特記されない限り、直鎖及び分岐状のアルケニルの両方を包含する。例えば、C2-6アルケニルは、2から6の炭素原子を有する直鎖の不飽和一価炭化水素基又は3から6の炭素原子を有する分岐状の不飽和一価炭化水素基を意味する。特定の実施態様において、アルケニルは、2から20(C2-20)、2から15(C2-15)、2から12(C2-12)、2から10(C2-10)、もしくは2から6(C2-6)の炭素原子を有する直鎖の一価炭化水素基又は3から20(C3-20)、3から15(C3-15)、3から12(C3-12)、3から10(C3-10)、もしくは3から6(C3-6)の炭素原子を有する分岐状の一価炭化水素基である。アルケニル基の例には、エテニル、プロペン-1-イル、プロペン-2-イル、アリル、ブテニル、及び4-メチルブテニルがあるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書では、特記されない限り、「アルキニル」という用語は、1つ以上の、一実施態様において1から5の炭素−炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐状の一価炭化水素基を意味する。アルキニルは、任意に1つ以上の置換基により置換されていてよい。「アルキニル」という用語は、特記されない限り、直鎖及び分岐状のアルキニルの両方を包含する。特定の実施態様において、アルキニルは、2から20(C2-20)、2から15(C2-15)、2から12(C2-12)、2から10(C2-10)、もしくは2から6(C2-6)の炭素原子を有する直鎖の一価炭化水素基又は3から20(C3-20)、3から15(C3-15)、3から12(C3-12)、3から10(C3-10)、もしくは3から6(C3-6)の炭素原子を有する分岐状の一価炭化水素基である。アルキニル基の例には、エチニル(-C≡CH)及びプロパルギル(-CH2C≡CH)があるが、これらに限定されない。例えば、C2-6アルキニルは、2から6の炭素原子を有する直鎖の不飽和一価炭化水素基又は3から6の炭素原子を有する分岐状の不飽和一価炭化水素基を意味する。
【0016】
本明細書では、特記されない限り、「シクロアルキル」という用語は、環式飽和橋かけ及び/又は非橋かけ一価炭化水素基を意味し、本明細書に記載される1つ以上の置換基により任意に置換されていてよい。特定の実施態様において、シクロアルキルは、3から20(C3-20)、3から15(C3-15)、3から12(C3-12)、3から10(C3-10)、もしくは3から7(C3-7)の炭素原子を有する。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、デカリニル、及びアダマンチルがあるが、これらに限定されない。
【0017】
本明細書では、特記されない限り、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、及び「ヘテロアルキニル」という用語は、1つ以上の炭素原子がヘテロ原子により置換されているアルキル、アルケニル、及びアルキニルをそれぞれ意味する。
【0018】
本明細書では、特記されない限り、「ヘテロ原子」という用語は、炭素又は水素以外の任意の原子を意味する。いくつかの実施態様において、「ヘテロ原子」という用語は、N、O、S、Si、又はPを意味する。他の実施態様において、「ヘテロ原子」という用語は、N、O、又はSを意味する。
【0019】
本明細書では、特記されない限り、「アリール」という用語は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含む単環式芳香族基及び/又は多環式一価芳香族基を意味する。特定の実施態様において、アリールは、6から20(C6-20)、6から15(C6-15)、又は6から10(C6-10)の環原子を有する。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アンスリル、フェナントリル、ピレニル、ビフェニル、及びターフェニルがあるが、これらに限定されない。アリールは、環の1つが芳香族でありその他が飽和、部分的に不飽和、又は芳香族でよい二環式又は三環式の炭素環も意味し、例えば、ジヒドロナフチル、インデニル、インダニル、又はテトラヒドロナフチル(テトラリニル)がある。特定の実施態様において、アリールは、1つ以上の置換基により任意に置換されていてもよい。
【0020】
本明細書では、特記されない限り、「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は、アリールにより置換されている一価のアルキル基を意味する。特定の実施態様において、アルキル及びアリールの両方が1つ以上の置換基により任意に置換されていてよい。
【0021】
本明細書では、特記されない限り、「医薬として許容し得る塩」という用語は、無機酸及び有機酸を含む医薬として許容し得る非毒性の酸から調製される塩を意味する。好適な非毒性の酸には、無機及び有機の酸があり、例えば、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルコレン酸(glucorenic)、ガラクツロン酸、グリシド酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、プロピオン酸、リン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などがあるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、塩は、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、又は硫酸から形成される。一実施態様において、塩は塩酸塩から形成される。
【0022】
本明細書では、特記されない限り、「溶媒和物」という用語は、本明細書に提供される化合物又はその塩であって、非共有結合の分子間力により結合した化学量論又は非化学量論的な量の溶媒をさらに含むものを意味する。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
【0023】
本明細書では、特記されない限り、「立体異性体」という用語は、本明細書に提供されるエナンチオマー的/立体異性体的に純粋な化合物及びエナンチオマー的/立体異性体的に富化された化合物の全てを包含する。
【0024】
本明細書では、特記されない限り、「立体異性体的に純粋な」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、キラル中心を1つ有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、その化合物の反対のエナンチオマーを実質的に含まないだろう。キラル中心を2つ有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物は、その化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないだろう。典型的な立体異性体的に純粋な化合物は、約80重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び約20重量%未満のその化合物の他の立体異性体、約90重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び約10重量%未満のその化合物の他の立体異性体、約95重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び約5重量%未満のその化合物の他の立体異性体、又は約97重量%を超えるその化合物の1つの立体異性体及び約3重量%未満のその化合物の他の立体異性体を含む。
【0025】
本明細書では、他に示されない限り、「立体異性体的に富化された」という用語は、約55重量%を超えるある化合物の1つの立体異性体、約60重量%を超えるある化合物の1つの立体異性体、約70重量%を超える、又は約80重量%を超えるある化合物の1つの立体異性体を含む組成物を意味する。
【0026】
本明細書では、他に示されない限り、「エナンチオマー的に純粋な」という用語は、キラル中心を1つ有する化合物の立体異性体的に純粋な組成物を意味する。同様に「エナンチオマー的に富化された」という用語は、キラル中心を1つ有する化合物の立体異性体的に富化された組成物を意味する。
【0027】
本明細書では、他に示されない限り、「治療する(treat)、(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、疾病もしくは疾患、又は疾病もしくは疾患に関連する1つ以上の症状の根絶又は緩解を意味する。特定の実施態様において、該用語は、そのような疾病又は疾患を持つ対象への1種以上の予防剤又は治療剤の投与から生じる、疾病又は疾患の拡大又は悪化を最低限にすることを意味する。いくつかの実施態様において、該用語は、他の追加の活性薬剤の有無にかかわらず、特定の疾病の症状の発症後の、本明細書に提供される化合物の投与を意味する。
【0028】
本明細書では、他に示されない限り、「予防する(prevent)、(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、疾病もしくは疾患、又はその1つ以上の症状の発症、再発、又は拡大の予防を意味する。特定の実施態様において、該用語は、他の追加の活性化合物の有無にかかわらず、症状の発症前の、特に本明細書に提供されている疾病又は疾患の危険性のある患者への、本明細書に提供される化合物による治療又は該化合物の投与を意味する。該用語は、特定の疾病の症状の阻害又は低減を包含する。特に疾病の家族歴のある患者は、特定の実施態様において予防レジメンの候補である。さらに、症状再発の病歴を持つ患者も、予防の潜在的候補である。この点で、「予防」という用語は、「予防的治療」という用語と交換可能に使用できる。
【0029】
本明細書では、特記されない限り、「管理する(manage)、(managing)」及び「管理(management)」という用語は、疾病もしくは疾患、又はその1つ以上の症状の進行、拡大、又は悪化の予防又は減速を意味する。多くの場合、予防剤及び/又は治療剤から対象が得る有利な効果は、疾病又は疾患の治癒にはならない。この点で、「管理」という用語は、疾病の再発を予防又は最低限にするための、特定の疾病を既に患っている患者の治療を包含する。
【0030】
本明細書では、特記されない限り、化合物の「治療上有効な量」は、疾病もしくは疾患の治療もしくは管理において治療効果を与えるのに十分な量、又は該疾病もしくは疾患に関連する1つ以上の症状を遅延又は最低限にするのに十分な量である。化合物の治療上有効な量は、疾病又は疾患の治療又は管理において治療効果を与える、単独又は他の療法と組み合わされた治療剤の量を意味する。「治療上有効な量」という用語は、療法全体を向上させる量、疾病もしくは疾患の症状もしくは原因を低減もしくは回避する量、又は他の治療剤の治療効力を増大させる量を包含しうる。
【0031】
本明細書では、特記されない限り、化合物の「予防上有効な量」は、疾病もしくは疾患を予防し、又はその再発を予防するに十分な量である。化合物の予防上有効な量は、疾病の予防において予防効果を与える、単独又は他の薬剤と組み合わされた治療剤の量を意味する。「予防上有効な量」という用語は、予防全体を向上させる量、又は他の予防剤の予防効力を増大させる量を含みうる。
【0032】
本明細書では、特記されない限り、「対象」という用語は、霊長目動物(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むがこれらに限定されない哺乳動物などの動物を含むように本明細書において定義される。具体的な実施態様において、対象はヒトである。
【0033】
本明細書では、特記されない限り、「モノアミントランスポーターリガンド」という用語は、モノアミントランスポーターに結合する任意の化合物を意味する。リガンドには、あるモノアミントランスポーターの天然のリガンドである内因性モノアミン並びに特定のモノアミントランスポーターに結合すると知られている合成分子などの薬剤分子及び他の化合物がある。一例において、リガンドは、トリチウムなどの放射性同位元素を含むか、又は他の方法で(例えば、蛍光で)標識されている。あるモノアミントランスポーターに適切なリガンドを選択するのは、当業者の能力の範囲内である。例えば、ドーパミントランスポーターの公知のリガンドにはドーパミン及びWIN35428があり、セロトニントランスポーターの公知のリガンドには5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)及びシタロプラムがあり、ノルエピネフリントランスポーターのリガンドにはノルエピネフリン及びニソキセチンがある。
【0034】
本明細書では、特記されない限り、「神経疾患」という用語は、哺乳動物の中枢神経系又は末梢神経系の任意の病態を意味する。「神経疾患」という用語は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、及び筋萎縮性側索硬化症)、神経精神病(例えば、統合失調症及び全般性不安障害などの不安)、及び情動障害(例えば、うつ病及び注意欠陥障害)を含むが、これらに限定されない。例示的な神経疾患には、MLS(小脳性運動失調症)、ハンチントン病、ダウン症候群、多発梗塞性認知症、エピレクティキュス状態(status epilecticus)、挫傷(例えば、脊髄損傷及び頭部損傷)、ウイルス感染が誘発する神経変性(例えば、AIDS、脳症)、てんかん、良性健忘、非開放性頭部損傷、睡眠障害、うつ病(例えば、双極性障害)、認知症、運動障害、精神病、アルコール依存症、心的外傷後ストレス障害などがあるが、これらに限定されない。「神経疾患」は、該疾患に関連する任意の病態も含む。例えば、神経変性疾患を治療する方法は、神経変性疾患に関連する記憶喪失及び/又は認知喪失を治療する方法を含む。例示的な方法は、神経変性疾患に特有なニューロン機能の喪失の治療又は予防も含むだろう。「神経疾患」は、少なくとも部分的にモノアミン(例えば、ノルエピネフリン)シグナル伝達経路に関与する任意の疾病又は病態(例えば、心血管疾患)も含む。
【0035】
本明細書では、特記されない限り、「情動障害」という用語は、うつ病、注意欠陥障害、多動性を伴う注意欠陥障害、双極性及び躁状態などを含む。「注意欠陥障害(ADD)」及び「多動性を伴う注意欠陥障害(ADDH)」又は注意欠陥/多動性障害(AD/HD)は、「精神失調の診断と統計の手引き(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」第4版、American Psychiatric Association(1997年)(DSM-IV(商標))にある容認された意味に従い本明細書において使用される。
【0036】
本明細書では、特記されない限り、「うつ病」という用語は、大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、及び気分変調症を含むがこれらに限定されない全形態のうつ病を含む。「大うつ病性障害」は、本明細書において「単極性うつ」及び「大うつ病」と交換可能に使用される。「うつ病」は、全形態の疲労(例えば、慢性疲労症候群)及び認知障害など、通常うつ病に関連する任意の病態も含みうる。
【0037】
本明細書では、特記されない限り、「強迫性障害」、「薬物濫用」、「月経前症候群」、「不安」、「摂食障害」、及び「片頭痛」は、当分野において認められた意味に一致して本明細書において使用される。例えば、DSM-IV(商標)を参照されたい。例えば、本明細書では「摂食障害」という用語は、摂食を避ける異常な欲望又は異常に大量の食品を消費する制御不可能な衝動を意味する。これらの障害は、患者の社会的に健康な状態に影響するだけでなく、身体的に健康な状態にも影響することがある。摂食障害の例には、神経性無食欲症、過食、及び気晴らし食いがあるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書では、特記されない限り、「疼痛」という用語は、不快な感覚体験及び感情体験を意味する。本明細書での「疼痛」という用語は全ての範疇の疼痛を意味し、刺激又は神経反応に関して記載される疼痛、例えば、体性痛(有害な刺激に対する正常な神経反応)及び神経因性疼痛(明らかな有害な入力がないことが多い、傷害を受けた又は変更された感覚経路の異常な反応);時間に関して分類される疼痛、例えば、慢性疼痛及び急性疼痛;例えば、軽度、中程度、又は重症など重症度に関して分類される疼痛;並びに病態又は症候群の症状又は結果である疼痛、例えば、炎症性疼痛、ガンの疼痛、AIDSの疼痛、関節症、片頭痛、三叉神経痛、心臓虚血、及び糖尿病性末梢神経因性疼痛がある(例えば、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる「ハリソン内科学原理(Harrison's Principles of Internal Medicine)」93〜98ページ(Wilsonら編、第12版、1991年);Williamsらの文献J. of Med. Chem. 42: 1481-1485 (1999)を参照されたい)。「疼痛」は、混合病因疼痛(mixed etiology pain)、二重機構疼痛(dual mechanism pain)、異痛症、カウザルギー、中枢性疼痛、知覚過敏、痛感過敏、感覚異常、及び痛覚過敏も含むものとする。さらに、「疼痛」という用語は、神経系の機能不全から生じる疼痛を含む。これは、神経因性疼痛の臨床的特徴と可能性のある通常の病態生理学的な機構とを併せ持つが、神経系のある部分に特定可能な傷害により引き起こされるのではない器質性疼痛状態である。
【0039】
本明細書では、「体性痛」という用語は、傷害又は病気、例えば、外傷、火傷、感染、炎症、又はガンなどの疾病プロセスなどの有害な刺激に対する正常な神経の反応を意味し、皮膚痛(例えば、皮膚、筋肉、又は関節由来)及び内臓痛(例えば、臓器由来)の両方を含む。
【0040】
本明細書では、「神経因性疼痛」という用語は、神経系への損傷から生じる異質な神経状態の群を意味する。該用語は、末梢及び/又は中枢感覚経路への傷害又はその機能不全、及び神経系の機能不全から生じる疼痛も意味し、明らかな有害な刺激なしに疼痛が起こり、又は持続することが多い。これには、末梢性神経障害に関連する疼痛並びに中枢神経因性疼痛も含まれる。よく見られる種類の末梢性神経因性疼痛には、糖尿病性神経障害(糖尿病性末梢神経因性疼痛、又はDN、DPN、もしくはDPNPとも呼ばれる)、ヘルペス後神経痛(PHN)、及び三叉神経痛(TGN)がある。脳又は脊髄への損傷を含む中枢神経因性疼痛には、脳卒中、脊髄損傷後、及び多発性硬化症の結果として起こることがあり、この用語に包含される。神経因性疼痛の定義に含まれるものとする他の種類の疼痛には、神経因性ガン性疼痛から生じる疼痛、HIV/AIDSが誘発する疼痛、幻肢痛、及び複合性局所疼痛症候群があるが、これらに限定されない。
【0041】
該用語は、感覚消失、異痛症(非有毒な刺激が生み出す疼痛)、痛覚過敏、及び痛感過敏(遅延した知覚、加重、及び痛みのある残感覚)を含むがこれらに限定されない、神経因性疼痛の通常の臨床的特徴も含む。疼痛は、侵害受容性と神経因性の種類の組み合わせであることが多く、例えば機械的脊椎痛及び神経根傷害又は脊髄症がある。
【0042】
本明細書では、特記されない限り、「急性疼痛」という用語は、典型的には侵襲性の処置、外傷、及び疾病に関連する有毒な化学的、熱的、又は機械的刺激に対する正常で予測される生理的反応を意味する。それは一般的には時間が限られており、組織傷害をする恐れのある、かつ/又は組織傷害を生み出す刺激に対する適切な反応として見られることがある。該用語は、短い期間又は突然の発症により特徴づけられる疼痛も意味する。
【0043】
本明細書では、特記されない限り、「慢性疼痛」という用語は、広範囲の疾患、例えば、外傷、悪性腫瘍、及び関節リウマチなどの慢性炎症性疾患において起こる疼痛を包含する。慢性疼痛は、約6ヶ月より長く続くこともある。さらに、慢性疼痛の強度は、有毒な刺激又は根元的なプロセスの強度と不釣り合いなことがある。該用語は、慢性疾患に関連する疼痛、又は根元的な疾患の消散もしくは傷害の治癒を過ぎても持続し、根元的なプロセスから予測されるよりも強いことの多い疼痛も意味する。それは頻繁に再発しやすい。
【0044】
本明細書では、特記されない限り、「炎症性疼痛」は、組織の傷害及びその生じた炎症プロセスに反応する疼痛である。炎症性疼痛は、治癒を促進する生理的反応を惹起する点で適応性である。しかし、炎症はニューロン機能に影響することもある。COX2酵素により誘導されるPGE2、ブラジキニン、及び他の物質を含む炎症メディエーターは、痛みを伝達するニューロンの受容体に結合してその機能を変え、その興奮性を高め、それにより痛覚を増大させる。慢性疼痛の多くが炎症成分を有する。該用語は、炎症又は免疫系疾患の症状又は結果として生じる疼痛も意味する。
【0045】
本明細書では、特記されない限り、「内臓痛」という用語は、内臓内に位置する疼痛を意味する。
本明細書では、特記されない限り、「混合病因疼痛」という用語は、炎症性成分及び神経因性成分の両方を含む疼痛を意味する。
本明細書では、特記されない限り、「二重機構疼痛」という用語は、末梢性の過敏化及び中枢性の過敏化の両方により増幅及び維持される疼痛を意味する。
【0046】
本明細書では、特記されない限り、「カウザルギー」という用語は、外傷性の神経損傷後の持続する灼熱感、異痛症、及び痛感過敏の症候群を意味し、血管運動機能障害及び発汗の機能障害並びに後の栄養変化を伴うことが多い。
【0047】
本明細書では、特記されない限り、「中枢性疼痛」という用語は、中枢神経系の一次損傷又は機能不全により起こる疼痛を意味する。
本明細書では、特記されない限り、「知覚過敏」という用語は、特殊感覚を除き、刺激に対する感受性の増加を意味する。
【0048】
本明細書では、特記されない限り、「痛感過敏」という用語は、刺激、特に反復性の刺激に対する異常に痛みのある反応、並びに上昇した閾値により特徴づけられる有痛症候群を意味する。異痛症、知覚過敏、痛覚過敏、又は感覚異常とともに起こることがある。
【0049】
本明細書では、特記されない限り、「感覚異常」という用語は、自発性か誘発性かに関わらず、不快な異常感覚を意味する。特定の実施態様において、感覚異常には痛覚過敏及び異痛症が含まれる。
【0050】
本明細書では、特記されない限り、「痛覚過敏」という用語は、通常痛みのある刺激に対する増加した反応を意味する。それは、閾値上刺激に対する増加した疼痛を反映する。
本明細書では、特記されない限り、「異痛症」という用語は、通常痛みを起こさない刺激による疼痛を意味する。
【0051】
本明細書では、特記されない限り、「糖尿病性末梢神経因性疼痛(DPNP)」という用語は、糖尿病性神経障害、DN、又は糖尿病性末梢神経障害とも呼ばれ、糖尿病に関連する神経障害により起こる慢性疼痛を意味する。DPNPの典型的な提示は、「灼熱痛」又は「電撃痛」としてだけでなく重症のうずく痛みとしても説明できる脚の疼痛又は刺痛である。一般性は低いが、患者は、その疼痛を、痒い、引き裂かれるとして、又は歯痛のように説明することがある。その疼痛は、異痛症及び痛覚過敏を伴うことがあり、しびれなどの症状がないこともある。
【0052】
本明細書では、特記されない限り、「帯状疱疹後神経痛(PHN)」とも呼ばれる「ヘルペス後神経痛」という用語は、神経繊維及び皮膚を冒す有痛性の病態を意味する。特定の理論に限定はされないが、それは帯状疱疹の合併症であり、最初に水痘を起こす水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の第2の発病である。
【0053】
本明細書では、特記されない限り、「神経因性ガン性疼痛」という用語はガンの結果としての末梢神経因性疼痛を意味し、腫瘍による神経の浸潤又は圧迫により直接起こることも、放射線療法及び化学療法(化学療法誘発性神経障害)などのガンの治療により間接的に起こることもある。
【0054】
本明細書では、特記されない限り、「HIV/AIDS末梢神経障害」又は「HIV/AIDS関連神経障害」という用語は、急性又は慢性の炎症性脱髄性神経障害(それぞれAIDP及びCIDP)などのHIV/AIDSにより起こる末梢神経障害並びにHIV/AIDSの治療に使用される薬剤の副作用として生じる末梢神経障害を意味する。
【0055】
本明細書では、特記されない限り、「幻肢痛」という用語は、切断された肢のあった箇所から来るように感じられる疼痛を意味する。幻肢痛は、麻痺の後(例えば、脊髄損傷後)の肢に起こることもある。「幻肢痛」は本質的に通常慢性である。
【0056】
本明細書では、特記されない限り、「三叉神経痛(TN)」という用語は、神経の枝が分布している顔の部分(唇、目、鼻、頭皮、額、上顎、及び下顎)に刺すような強い電撃様の痛みの発現を起こす、第5脳神経(三叉神経)の障害を意味する。それは「自殺病」としても知られる。
【0057】
本明細書では、特記されない限り、以前は反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)として知られていた「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」は、時間経過と共に良くならずにむしろ悪化する、傷害の重症度に釣り合わない連続した強い痛みが主な症状である慢性の疼痛病態を意味する。該用語は、末梢神経以外の組織損傷により起こる病態を含む1型CRPS及び主要神経損傷により症状が誘発されカウザルギーと呼ばれることもある2型CRPSを包含する。
【0058】
本明細書では、特記されない限り、「線維筋痛症」という用語は、疲労及びある種類の他の症状を伴う、びまん性又は特異的な筋肉、関節、又は骨の痛みにより特徴づけられる慢性の病態を意味する。以前は、線維筋痛症は、線維炎、慢性筋肉痛症候群、心因性リウマチ、及び緊張性筋肉痛などの他の名前で知られていた。
【0059】
本明細書では、特記されない限り、「痙攣」という用語は神経疾患の1つを意味し、「発作」と交換可能に使用されるが、発作には多くの種類があり、そのいくつかは痙攣でなく微弱又は軽度の症状を有する。全種類の発作は、脳内の無秩序で突然の電気的活性により起こりうる。いくつかの実施態様において、痙攣は、筋肉が収縮と緩和を繰り返す、急速で制御不可能な震えである。
【0060】
(5.2化合物)
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が本明細書に提供される:
【化2】

(式中、
mは、0、1、又は2であり;
nは、0、1、又は2であり;
Xは、水素、(C1-C10)アルキル、(C3-C10)シクロアルキル、(C3-C10)シクロアルキル-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、6員から10員のアリール、(6員から10員のアリール)-(C1-C10)アルキル、-OR1、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、又はヘテロアルキニルであり;
Y及びZは、それぞれ独立に、ハロゲン、-CF3、-CN、-NH2、-NO2、ジオキソラノ、(C1-C10)アルキル、(C3-C10)シクロアルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C3-C10)シクロアルコキシ、又は-OR2であり;
あるいはY及びZは共に、5員、6員、又は7員のシクロアルキルを形成してもよく;かつ
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C3-C10)シクロアルキル、(C3-C10)シクロアルキル-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、6員から10員のアリール、6員から10員のヘテロアリール、(6員から10員のアリール)-(C1-C10)アルキル、-SO2(C1-C10)アルキル、又は-SO2-(6員から10員のアリール)である)。
【0061】
一実施態様において、mは0である。他の実施態様において、mは1である。他の実施態様において、mは2である。
一実施態様において、nは0である。他の実施態様において、nは1である。他の実施態様において、nは2である。
【0062】
一実施態様において、Xは水素である。他の実施態様において、Xは(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、Xは(C3-C10)シクロアルキルである。他の実施態様において、Xは(C3-C10)シクロアルキル-(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、Xは(C1-C10)アルケニルである。他の実施態様において、Xは(C1-C10)アルキニルである。他の実施態様において、Xは(C1-C10)アルコキシである。他の実施態様において、Xは6員から10員のアリールである。他の実施態様において、Xは(6員から10員のアリール)-(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、Xは-OR1である。他の実施態様において、Xはヘテロアルキルである。他の実施態様において、Xはヘテロアルケニルである。他の実施態様において、Xはヘテロアルキニルである。他の実施態様において、Xはヘテロシクロアルキルである。
【0063】
Xが-OR1である一実施態様において、R1は水素である。他の実施態様において、R1は(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R1は(C1-C10)アルケニルである。他の実施態様において、R1は(C1-C10)アルキニルである。他の実施態様において、R1は(C3-C10)シクロアルキルである。他の実施態様において、R1は(C3-C10)シクロアルキル-(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R1は(C1-C10)アルコキシである。他の実施態様において、R1は6員から10員のアリールである。他の実施態様において、R1は(6員から10員のアリール)-(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R1は-SO2(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R1は-SO2-(6員から10員のアリール)である。
【0064】
一実施態様において、Yはハロゲンである。他の実施態様において、Yは-CF3である。他の実施態様において、Yは-CNである。他の実施態様において、Yは-NH2である。他の実施態様において、Yは-NO2である。他の実施態様において、Yはジオキソラノである。他の実施態様において、Yは(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、Yは(C3-C10)シクロアルキルである。他の実施態様において、Yは(C1-C10)アルケニルである。他の実施態様において、Yは(C1-C10)アルキニルである。他の実施態様において、Yは(C1-C10)アルコキシである。他の実施態様において、Yは(C3-C10)シクロアルコキシである。他の実施態様において、Yは-OR2である。
【0065】
一実施態様において、Zはハロゲンである。他の実施態様において、Zは-CF3である。他の実施態様において、Zは-CNである。他の実施態様において、Zは-NH2である。他の実施態様において、Zは-NO2である。他の実施態様において、Zはジオキソラノである。他の実施態様において、Zは(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、Zは(C3-C10)シクロアルキルである。他の実施態様において、Zは(C1-C10)アルケニルである。他の実施態様において、Zは(C1-C10)アルキニルである。他の実施態様において、Zは(C1-C10)アルコキシである。他の実施態様において、Zは(C3-C10)シクロアルコキシである。他の実施態様において、Zは-OR2である。
【0066】
一実施態様において、Y及び/又はZが-OR2である場合、R2は水素である。他の実施態様において、R2は(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R2は(C1-C10)アルケニルである。他の実施態様において、R2は(C1-C10)アルキニルである。他の実施態様において、R2は(C3-C10)シクロアルキルである。他の実施態様において、R2は(C3-C10)シクロアルキル-(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R2は(C1-C10)アルコキシである。他の実施態様において、R2は6員から10員のアリールである。他の実施態様において、R2は(6員から10員のアリール)-(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R2は-SO2(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、R2は-SO2-(6員から10員のアリール)である。
【0067】
一実施態様において、Y及びZは共に5員シクロアルキルを形成する。一実施態様において、Y及びZは共に6員シクロアルキルを形成する。一実施態様において、Y及びZは共に7員シクロアルキルを形成する。
【0068】
m、n、X、Y、Z、R1及びR2の組み合わせのいずれも、本開示により包含されており、本明細書に具体的に提供される。
一実施態様において、nは1である。nが1である一実施態様において、mは1又は2である。
【0069】
一実施態様において、Xは水素である。他の実施態様において、Xは(C1-C10)アルキルである。他の実施態様において、Xはメチルである。他の実施態様において、Xはエチルである。
【0070】
一実施態様において、Y及びZの少なくとも一方はハロゲンである。他の実施態様において、Y及びZは両方ともハロゲンである。他の実施態様において、Y及びZは両方とも塩化物である。
【0071】
具体的例には、以下の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、もしくは立体異性体があるが、これらに限定されない。
【化3】

【0072】
描かれた構造とその構造に与えられた名称との間に不一致がある場合、描かれた構造がより重要であるとすることに留意されたい。さらに、ある構造又はある構造の一部の立体化学が、例えば太線又は破線で示されていない場合、その構造又はその構造の部分はその立体異性体の全てを包含すると理解するものとする。
【0073】
(5.2.1合成スキーム)
5員及び6員環アリールラクトンは、Malcolmらの文献Tetrahedron Lett., 46: 6871(2005)に開示された方法と実質的に類似のラクトンアリール化手順により合成して、ジクロロアナログ2a及び2bを与えることができる。リチウムメチルアミドによるラクトン2a/2bの開環は高い収率で進行しアルコール3a/3bを与え、その後ボラン還元によりアミノアルコール4a/4bを与える。エタノール中のメチルアミンを使用する別な手順も開環工程において良好な結果を与える。手順を以下のスキーム1にまとめる。
【化4】

【0074】
アミノアルコール4a/4bはキラルHPLC(例えば、AD-2:3:95:0.1のMeOH/EtOH/Hex/DEA)により分離され、エナンチオマー5a/b及び6a/bを与える。次いで、各エナンチオマーを環化して、対応する5-5及び6-5二環式アミンを与える。メチルアミンは、ニートのクロロギ酸1-クロロエチル(CECF)を使用して脱メチル化されて、5-5二級アミン及び6-5二級アミンを与える。当分野に公知の種々の方法を利用して分離を実施できる。手順を以下のスキーム2にまとめる。
【化5】

【0075】
ラクトン2bから出発する、ラセミ6-5二環式デスメチルアミン(10、スキーム3)への代替経路も開発された。フタルイミドカリウムの存在下でラクトン2bを加熱するとアミノ酸7を与え、これをKOH中で加熱後にラクタム9(中間体8経由)に直接転化できる。ラクタム9をボラン還元すると、所望のラセミ6-5デスメチルアナログ10を与えた。
【化6】

【0076】
ラセミ6-5二環式アミン10もキラルHPLC(例えば、Chiracel AD-95:5:0.1のhex/IPA/DEA)により分離でき、対応するエナンチオマー(スキーム4)を与える。
【化7】

【0077】
6-5ラクトン2bは、N-エチル置換アナログ(すなわち、スキーム5の13)の合成の出発点としても使用できる。エチルアミンによるラクトンの開環によりアミドアルコール11が生成し、それをボランにより還元するとアミノアルコール12を与える。12のメシル化及び分子内環化は、ラセミN-エチル生成物13を与える。
【化8】

【0078】
ラセミ6-5N-エチル二環式アミン13はキラルHPLC(例えば、Chiraltech OD、95:5:0.05のhex/IPA/DEA)により精製でき、対応するエナンチオマーを与える。
【化9】

【0079】
(5.3治療、予防、及び/又は管理の方法)
(5.3.1モノアミントランスポーターへの結合)
種々の実施態様において、本明細書に提供される化合物をモノアミントランスポーターに結合させる方法が本明細書に提供される。該方法は、モノアミントランスポーターと本明細書に提供される化合物とを接触させることを含む。
【0080】
他の実施態様において、モノアミントランスポーターリガンドのモノアミントランスポーター(セロトニントランスポーター、ドーパミントランスポーター、及びノルエピネフリントランスポーターなど)への結合を阻害する方法が本明細書に提供される。該方法は、モノアミントランスポーターと本明細書に提供される化合物とを接触させることを含む。一実施態様において、該モノアミントランスポーターリガンドは、セロトニン、ドーパミン、又はノルエピネフリンなどの内因性モノアミンである。他の実施態様において、該リガンドは、薬剤分子又はモノアミントランスポーターへの結合親和性を有すると知られている他の小分子である。他の実施態様において、該モノアミントランスポーターリガンドは、モノアミントランスポーターに結合すると知られている放射性標識された化合物である。
【0081】
一実施態様において、リガンド結合の阻害は、本明細書に記載されるものなどのエクスビボ結合アッセイを利用して評価される。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、ビヒクルに比べて約1%から約100%、約10%から約100%、約20%から約90%平均結合を阻害する。一実施態様において、平均結合の阻害は投与量依存的である。
【0082】
(5.3.2モノアミントランスポーター活性の阻害)
種々の実施態様において、セロトニントランスポーター、ドーパミントランスポーター、及びノルエピネフリントランスポーターなどの少なくとも1種のモノアミントランスポーターの活性を調節(例えば、阻害、増大)する方法が本明細書に提供される。該方法は、該モノアミントランスポーターと本明細書に提供される化合物とを接触させることを含む。一実施態様において、該モノアミントランスポーターは、治療上有効な量の本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物を対象へ投与することにより、本明細書に提供される化合物と接触する。該対象はヒトのことがある。他の実施態様において、該モノアミントランスポーターは、ドーパミントランスポーター(DAT)、セロトニントランスポーター(SERT)、又はノルエピネフリントランスポーター(NET)である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、少なくとも2種の異なるモノアミントランスポーターの活性を阻害する。モノアミントランスポーター活性の阻害は、当分野に公知であるアッセイを利用して測定できる。例示的なアッセイ法には、インビトロ機能的取込みアッセイがあるが、これに限定されない。一実施態様において、機能的取込みアッセイは、所望のモノアミントランスポーターを発現する適切な細胞系を利用する。他の実施態様において、機能的取込みアッセイは、適切な生物の脳組織から単離されたシナプトソームを利用する。他の実施態様において、モノアミントランスポーター活性の阻害は、当分野に公知の受容体結合実験を利用して、例えば、適切な膜標本を利用して評価できる。一実施態様において、該アッセイは、試験対象(例えば、ラット)の本明細書に提供される化合物並びに対照化合物による治療、それに次ぐ脳組織の単離、及び本明細書に記載される受容体占有率のエクスビボ分析を含む。
【0083】
(5.3.3モノアミン取込みの阻害)
いくつかの実施態様において、細胞による、少なくとも1種のモノアミン(例えば、ドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリン)の取込みを阻害する方法が本明細書に提供される。該方法は、該細胞と本明細書に提供される化合物とを接触させることを含む。一実施態様において、該細胞は、神経細胞又はグリア細胞などの脳細胞である。一実施態様において、モノアミン取込みの阻害はインビボで起こる。生物において、例えば、シナプス間隙からの、ドーパミン又はセロトニンなどのモノアミンの神経細胞への取込み(再取込みとも称される)が起こりうる。このように、一実施態様において、神経細胞は、哺乳動物のシナプス間隙と接触している。他の実施態様において、モノアミン取込みの阻害はインビトロで起こる。いくつかの実施態様において、該細胞は、神経細胞などの脳細胞又は遺伝子組換えモノアミントランスポーターを発現する細胞型でよい。
【0084】
一実施態様において、該化合物は、少なくとも2種の異なるモノアミンの取込みを阻害する。これは、例えば、複数の異なるモノアミントランスポーターを同時に発現する細胞型(単離されたシナプトソームなど)を利用する種々のインビトロ機能的取込みアッセイを実施して示すことができ、又は、遺伝子組換えドーパミントランスポーターなど、それぞれ異なるモノアミントランスポーターを発現する2種の異なる細胞型を、標識された適切なモノアミンとともに使用して示すことができる。いくつかの実施態様において、モノアミン取込みの阻害は、本明細書において以下に記載されるものなどの機能的モノアミン取込みアッセイにおいて、阻害剤(例えば、本明細書に提供される化合物)のIC50が、例えば、約0.1nMから約10μM、約1nMから約1μM、約1nMから約500nM、及び約1nMから約100nMである場合に示される。
【0085】
(5.3.4神経疾患の治療)
いくつかの実施態様において、神経疾患を治療、予防、及び/又は管理する方法が本明細書に提供される。特定の理論に限定はされないが、少なくとも1種のモノアミントランスポーターの活性の阻害により、治療、予防、及び/又は管理が行われる。該方法は、患者(例えば、ヒト)に、治療上又は予防上有効な量の本明細書に提供される組成物又は化合物、又はその医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物を投与することを含む。一実施態様において、該患者はヒトである。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、少なくとも2種の異なるモノアミントランスポーターの活性を阻害する。例えば、本発明の化合物は、セロトニントランスポーター、ドーパミントランスポーター、及びノルエピネフリントランスポーターの少なくとも2種の活性を阻害する。いくつかの実施態様において、モノアミントランスポーター活性の阻害は、本明細書において以下に記載される機能的モノアミン取込みアッセイにより評価できる。
【0086】
化合物活性の証明は、当分野に認知された種々の動物モデルにおいて実施できる。例えば、化合物の抗うつ活性は、限定はされないが、ラット強制水泳試験、マウス尾懸垂試験、及びラット自発運動量分析などのうつ病の適切な動物モデルを利用して評価できる。ラット強制水泳試験は、2種以上のモノアミントランスポーターに対して活性のある(混合モノアミントランスポーター活性)化合物の分析にも好適である。例えば、水泳活動の増加はセロトニン再取込みの阻害を示し、よじ登り活動の増加はノルエピネフリン再取込みの阻害を示す。
【0087】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は少なくとも1種の動物モデルにおいて活性があり、化合物の活性の測定及びニューロリガル(neuroligal)疾患の治療におけるその効能の評価に使用できる。例えば、動物モデルがうつ病(例えば、平均無動時間)のものである場合、少なくとも1種の動物モデルにおいて、ビヒクルに比較して、化合物が、平均無動時間を、約5%から約90%、約10%から約70%、約10%から約50%、約15%から約50%阻害する場合に、化合物は活性がある。いくつかの実施態様において、本明細書に提供される化合物は、治療された動物とビビクルを投与された動物との間で、測定されるエンドポイントに類似の格差を生み出す。
【0088】
他の実施態様において、抗うつ剤様作用をもたらす方法が本明細書に提供される。該方法は、対象(例えば、哺乳動物)に、治療上有効な量の本明細書に提供される化合物又は組成物又はその医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物を投与することを含む。抗うつ剤様作用は、当分野に公知であるもの及び本明細書に記載されるものなどの疾病の動物モデルを使用して測定できる。
【0089】
いくつかの実施態様において、神経疾患は、うつ病(例えば、大うつ病性障害、双極性障害、単極性障害、気分変調症、及び季節性情動障害);認知障害;線維筋痛症;疼痛(例えば、神経因性疼痛);精神病態により生じる睡眠障害を含む睡眠関連障害(例えば、睡眠時無呼吸、不眠症、ナルコレプシー、脱力発作);慢性疲労症候群;注意欠陥障害(ADD);注意欠陥多動性障害(ADHD);レストレスレッグ症候群;統合失調症;不安(例えば、全般性不安障害、社会不安障害、パニック障害);強迫性障害;心的外傷後ストレス障害;季節性情動障害(SAD);月経前不機嫌;閉経後の血管運動症状(例えば、ほてり、寝汗);神経変性疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症);躁状態;気分変調性障害;気分循環性障害;肥満;及び薬物濫用又は依存症(例えば、コカイン中毒、ニコチン中毒)である。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物は、認知障害及びうつ病など合併する2種以上の病態/疾患を治療するのに有用である。
【0090】
神経疾患には、限定はされないが、老人性認知症、アルツハイマー型認知症、認識、記憶喪失、記憶喪失/健忘症候群、てんかん、意識障害、昏睡、注意の低下、言語障害、レノックス症候群、自閉症、及び多動症候群を含む大脳機能障害がある。
【0091】
神経因性疼痛には、ヘルペス後(又は帯状疱疹後)神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー/カウザルギー、又は神経外傷、幻肢痛、手根管症候群、及び末梢神経障害(糖尿病性神経障害又は慢性のアルコール使用から起こる神経障害など)があるが、これらに限定されない。
【0092】
本明細書に提供される方法、化合物、及び/又は組成物を利用して治療、予防、及び/又は管理できる他の例示的な疾病及び病態には、肥満;片頭痛(migraine)又は片頭痛(migraine headache);不随意排尿、尿滴下又は尿漏出、腹圧性尿失禁(SUI)、切迫尿失禁、運動性尿失禁、反射性尿失禁、受動性失禁、及び溢流性失禁を含むがこれらに限定されない尿失禁;心理的及び/又は生理的因子により起こる性機能不全、勃起不全、早漏、膣内乾燥、性的興奮の欠如、絶頂感を得ることの不能を含むがこれらに限定されない男性又は女性の性機能不全、及び性的欲求の抑制、性的興奮の抑制、女性絶頂感の抑制、男性絶頂感の抑制、機能性性交疼痛症、機能性膣痙攣、及び不定型心理的性機能不全を含むがこれらに限定されない心理的性機能不全がある。
【0093】
一実施態様において、該神経疾患はうつ病である。他の実施態様において、該神経疾患は不安障害である。他の実施態様において、該神経疾患は疼痛である。他の実施態様において、該神経疾患は神経因性疼痛である。他の実施態様において、該神経因性疼痛は糖尿病性神経障害である。
【0094】
一実施態様において、該神経疾患は神経変性疾患である。一実施態様において、該神経変性疾患はパーキンソン病である。他の実施態様において、該神経変性疾患はアルツハイマー病である。
【0095】
一実施態様において、該神経疾患は、失禁、例えば、尿失禁である。他の実施態様において、該神経疾患は性機能不全である。
一実施態様において、該神経疾患は肥満であり、患者に供給する治療上有効な量の化合物は、該患者が心的飽和を感じるのに十分な量である。
【0096】
一実施態様において、本明細書に記載される化合物は、該化合物の中毒を起こさずに、中枢神経疾患を治療、予防、及び/又は管理する。
治療上又は予防上有効な投与量の有効成分を患者に与えるために、任意の好適な投与経路を利用できる。例えば、経口、粘膜(例えば、鼻腔内、舌下、頬側、直腸、膣内)、非経口(例えば、静脈内、筋肉内)、経皮、及び皮下経路を利用できる。例示的な投与経路には、経口、経皮、及び粘膜がある。そのような経路に好適な剤形には、経皮パッチ、点眼液、スプレー、及びエアゾールがあるが、これらに限定されない。経皮組成物は、クリーム、ローション、及び/又はエマルションの形態をとることもでき、皮膚に塗るために適切な接着剤に含まれてよく、この目的のために当分野に従来あるマトリックス又はリザーバータイプの経皮パッチに含まれてもよい。例示的な経皮剤形は、「リザーバータイプ」又は「マトリックスタイプ」のパッチであり、皮膚に貼付され特定の時間着用されて、所望量の有効成分の浸透を可能にする。必要な時にパッチを新しいパッチに交換して、患者へ有効成分の一定な投与を与えることができる。
【0097】
本明細書に記載される疾患を治療、予防、及び/又は管理するために患者に投与すべき量は、利用される特定の化合物、又はそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与の時間、利用される特定の化合物の排泄又は代謝の速度、治療の期間、利用される特定の化合物と組み合わせて使用される他の薬剤、化合物、及び/又は物質、治療される患者の年齢、性別、体重、病態、全般的な健康状態、及び以前の病歴、並びに医学分野に周知である類似の因子を含む種々の因子により変わるであろう。
【0098】
当分野の通常の技量を有する医師又は獣医師は、要求される有効量を容易に決定し、処方できる。例えば、医師又は獣医師であれば、所望の治療効果を達成するために要求されるより低いレベルで、利用される化合物の投与量を始め、所望の効果が達成されるまで徐々に用量を増やすことができるだろう。
【0099】
一般的に、本明細書に提供される化合物の好適な1日量は、治療効果又は予防効果を生み出すのに有効な最低の投与量である、化合物の量であろう。そのような有効な投与量は、一般的に上述の因子に依存するだろう。一般的に、患者に対する本明細書に記載される化合物の、経口、静脈内、脳室内、及び皮下投与量は、1日あたり体重キログラムあたり約0.005mgから体重キログラムあたり約5mgの範囲だろう。一実施態様において、本明細書に提供される化合物の経口投与量は、1日あたり約10mgから約300mgの範囲だろう。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物の経口投与量は、1日あたり約20mgから約250mgの範囲だろう。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物の経口投与量は、1日あたり約100mgから約300mgの範囲だろう。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物の経口投与量は、1日あたり約10mgから約100mgの範囲だろう。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物の経口投与量は、1日あたり約25mgから約50mgの範囲だろう。他の実施態様において、本明細書に提供される化合物の経口投与量は1日あたり約50mgから約200mgの範囲だろう。上述の用量範囲のそれぞれは、単一又は複数の単位用量製剤(unit dosage formulation)として製剤できる。
【0100】
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される化合物を1種以上の第2の活性薬剤と組み合わせて使用して、本明細書に記載された疾患を治療、予防、及び/又は管理できる。そのような第2の活性薬剤の例は、本明細書で他に与えられる。
【0101】
(5.4医薬組成物及び剤形)
医薬組成物を、個別の単一単位剤形(single unit dosage form)の調製に使用できる。本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、本明細書に提供される化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、立体異性体、クラスレート、もしくはプロドラッグを含む。医薬組成物及び剤形は、1種以上の賦形剤をさらに含んでよい。
本明細書に提供される医薬組成物及び剤形は、1種以上の追加の有効成分も含んでよい。任意の第2の、又は追加の有効成分の例は本明細書に開示される。
【0102】
本明細書に提供される単一単位剤形は、患者への経口、粘膜(例えば、鼻腔内、舌下、膣内、頬側、又は直腸)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、又は動脈内)、局所(例えば、点眼液又は他の眼科用薬剤)、経皮(transdermal)、又は経皮(transcutaneous)投与に好適である。剤形の例には、錠剤;カプレット;軟質弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ剤;分散液;坐薬;粉末;エアゾール(例えば、鼻腔内スプレー又は吸入器);ゲル;懸濁液(例えば、水性又は非水性液体懸濁液、水中油滴型エマルション、又は油中水滴型エマルション)、溶液、及びエリキシルを含む、患者への経口又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;局所投与に好適な点眼液又は他の眼科用薬剤;及び再構成して患者への非経口投与に好適な液体剤形を与えられる滅菌された固体(例えば、結晶性又は非晶性の固体)があるが、これらに限定されない。
【0103】
剤形の組成、形状、及び種類は、典型的にはその用途により変わるだろう。例えば、疾病の急性治療に使用される剤形は、同じ疾病の慢性治療に使用される剤形よりも、それを構成する1種以上の有効成分を多量に含むことがある。同様に、非経口剤形は、同じ疾病の治療に使用される経口剤形よりも、それを構成する1種以上の有効成分を少量含むことがある。特定の剤形が使用されるこのような方法及び他の方法は互いに異なり、当業者には明らかであろう。例えば、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing, Easton PA (1990年)を参照されたい。
【0104】
一実施態様において、医薬組成物及び剤形は1種以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は製薬の分野の当業者に周知であり、好適な賦形剤の非限定的な例は本明細書に提供される。ある医薬組成物又は剤形への混合に特定の賦形剤が好適であるかどうかは、剤形が患者に投与される方法などがあるがこれに限定されない、当分野に周知の種々の因子による。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形に使用するには適さない賦形剤を含むことがある。ある賦形剤の適否は、剤形中の特定の有効成分によることもある。例えば、有効成分によってはその分解がラクトースなどの数種の賦形剤により、又は水に曝される場合に加速されることがある。1級又は2級のアミンを含む有効成分は、そのような加速された分解を特に起こしやすい。したがって、あるとしても極少量のラクトース又は他の単糖類もしくは二糖類を含む医薬組成物及び剤形が提供される。本明細書では、「ラクトースを含まない」という用語は、たとえラクトースが存在するとしてもその量が、有効成分の分解速度を実質的に上昇させるのに不十分であることを意味する。
【0105】
ラクトースを含まない組成物は、当分野に周知であり例えば米国薬局方(USP)25-NF20 (2002)に掲載されている賦形剤を含むことができる。一般的に、ラクトースを含まない組成物は、有効成分、結合剤/充填剤、及び滑沢剤を、医薬として適合性があり医薬として許容し得る量で含む。一実施態様において、ラクトースを含まない剤形は、有効成分、微結晶性セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0106】
水は数種の化合物の分解を促進することがあるので、有効成分を含む無水の医薬組成物及び剤形もまた提供される。例えば、水の添加(例えば、5%)は、貯蔵寿命又は時間経過に伴う製剤の安定性などの特性を測定するために長期貯蔵を模する手段として製剤分野で広く認められている。例えば、Jens T. Carstensenの文献「薬剤の安定性:原理及び実践(Drug Stability: Principles & Practice)」第2版、Marcel Dekker, NY, NY, 1995, 379-80ページを参照されたい。実際に、水及び熱は、数種の化合物の分解を加速させる。このように、製剤の製造、取扱い、包装、貯蔵、輸送、及び使用の間に、水分及び/又は湿度には通常遭遇するので、製剤に対する水の影響は非常に重要になりうる。
【0107】
無水の医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度条件を利用して調製できる。ラクトース及び1級又は2級アミンを含む少なくとも1種の有効成分を含む医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/又は貯蔵の間に水分及び/又は湿度とのかなりの接触が予想される場合、無水であることが好ましい。
【0108】
無水医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製及び貯蔵すべきである。したがって、無水組成物は、一実施態様において、好適な処方キットに含まれることができるように、水への曝露を防止することが知られている材料を利用して包装される。好適な包装の例には、密封ホイル、プラスチック、投薬単位容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックがあるが、これらに限定されない。
【0109】
有効成分が分解する速度を低下させる1種以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形もまた提供される。そのような化合物は、本明細書では「安定剤」と呼ばれ、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤があるが、これらに限定されない。
【0110】
賦形剤の量及び種類と同様に、剤形中の有効成分の量及び具体的な種類は、患者に投与されるだろう経路などがあるがこれに限定されない因子により異なることがある。一実施態様において、剤形は、本明細書に提供される化合物を、約0.10から約500mgの量で含む。他の実施態様において、剤形は、本明細書に提供される化合物を、約0.1、1、2、5、7.5、10、12.5、15、17.5、20、25、50、100、150、200、250、300、350、400、450、又は500mgの量で含む。
【0111】
他の実施態様において、剤形は、第2の有効成分を、1から約1000mg、約5から約500mg、約10から約350mg、又は約50から約200mgの量で含む。もちろん、第2の活性薬剤の具体的な量は、使用される具体的な薬剤、治療又は管理される疾病又は疾患、及び本明細書に提供される化合物の量(複数可)、及び患者に同時に投与される任意の追加の活性薬剤によるだろう。
【0112】
(5.4.1経口剤形)
経口投与に好適な医薬組成物は、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル、及び液体(例えば、味付きのシロップ)などがあるが、これらに限定されない個別の剤形として提供できる。そのような剤形は所定量の有効成分を含み、当業者に周知の調剤の方法により調製できる。例えば、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第18版、Mack Publishing, Easton PA(1990年)を全般的に参照されたい。
【0113】
本明細書に提供される経口剤形は、従来の医薬配合技術により、有効成分を少なくとも1種の賦形剤と完全に混合して調製される。賦形剤は、投与のために望まれる調製の形態により多種多様な形態をとることができる。例えば、経口液体又はエアゾール剤形での使用に好適な賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、及び着色剤があるが、これらに限定されない。固体経口剤形(例えば、粉末、錠剤、カプセル、及びカプレット)での使用に好適な賦形剤の例には、スターチ、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤があるが、これらに限定されない。
【0114】
一実施態様において、経口剤形は錠剤又はカプセルであり、その場合には固体賦形剤が利用される。他の実施態様において、錠剤は、標準的な湿式又は非湿式技術により被覆できる。そのような剤形は、調剤の方法のいずれによっても調製できる。一般的に、医薬組成物及び剤形は、有効成分と液体キャリア、微粉砕された固体キャリア、又は両方とを均一かつ完全に混合し、次いで、必要な場合に生成物を所望の体裁(presentation)に成形して調製される。
【0115】
例えば、錠剤は圧縮又は成型によって調製できる。打錠剤は、好適な機械中で、粉末又は顆粒などの自由流動形態にある有効成分を、任意に賦形剤と混合して圧縮することにより調製できる。成形錠剤は、好適な機械中で、不活性な液体希釈剤で湿らされた粉末化化合物の混合物を成型することにより製造できる。
【0116】
本明細書に提供される経口剤形に使用できる賦形剤の例には、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤があるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形での使用に好適な結合剤には、コーンスターチ、ポテトスターチ、又は他のスターチ、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然及び合成のゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末化トラガカント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、番号2208、2906、2910)、微結晶性セルロース、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0117】
好適な形態の微結晶性セルロースには、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(ペンシルバニア州、マーカスフックのFMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Salesから市販されている)などの物質及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。具体的な結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている、微結晶性セルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。好適な無水又は低水分の賦形剤又は添加剤には、AVICEL-PH-103(商標)及びStarch 1500 LMがある。
【0118】
本明細書に提供される医薬組成物及び剤形での使用に好適な充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、スターチ、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、一実施態様において、医薬組成物又は剤形の約50から約99重量%で存在する。崩壊剤を組成物中に使用して、水性環境に曝されると崩壊する錠剤を与えることができる。崩壊剤をあまりにも多く含む錠剤は貯蔵中に崩壊することがあり、崩壊剤の量が少なすぎる錠剤は、所望の速度又は所望の条件下で崩壊しないことがある。したがって、有効成分の放出を不利益に変更するほど多すぎたり少なすぎたりしない十分な量の崩壊剤を使用して、固体経口剤形を形成できる。使用される崩壊剤の量は製剤の種類に基づいて変わり、当業者には容易に認識できる。一実施態様において、医薬組成物は、約0.5から約15重量%の崩壊剤、又は約1から約5重量%の崩壊剤を含む。
【0119】
医薬組成物及び剤形に使用できる崩壊剤には、寒天-寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ポテト又はタピオカスターチ、他のスターチ、アルファ化デンプン、他のスターチ、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0120】
医薬組成物及び剤形に使用できる滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水添植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。追加の滑沢剤には、例えばシロイドシリカゲル(AEROSIL200、メリーランド州バルチモアのW.R. Grace社製)、合成シリカの凝固エアゾール(テキサス州プラノのDegussa社が販売)、CAB-O-SIL(マサチューセッツ州ボストンのCabot社により販売されている焼成二酸化ケイ素製品)、及びこれらの混合物があるが、これらに限定されない。少しでも使用される場合、滑沢剤は、取り込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量%未満の量で使用できる。
【0121】
一実施態様において、固体経口剤形は、本明細書に提供される化合物、無水ラクトース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸、コロイド状無水シリカ、及びゼラチンを含む。
【0122】
(5.4.2徐放性剤形)
本明細書に提供される有効成分は、徐放手段又は当業者に周知の送達装置により投与できる。例には、それぞれ引用により本明細書に組み込まれる米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;及び同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号、及び同第5,733,566号に記載されているものを含むがこれらに限定されない。そのような剤形を使用して、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透系、多層コーティング、ミクロ粒子、リポソーム、小球体、又はこれらの組み合わせの利用により、1種以上の有効成分の緩徐放出又は徐放を与えることができ、変動する比率で所望の放出プロファイルを与えることができる。本明細書に記載されているものを含む、当業者に公知である好適な徐放性製剤は、本明細書に提供される活性薬剤とともに使用するために容易に選択できる。一実施態様において、徐放に適当な錠剤、カプセル、ゲルキャップ、及びカプレットなどの、経口投与に好適な単一単位剤形が提供される。
【0123】
一実施態様において、徐放性医薬製品は、徐放性でない対応物により達成されるよりも薬物療法を向上させる。他の実施態様において、医療における徐放性調合物の使用には、最低限の時間で、最低限の原薬が病態の治癒又は制御に利用されるという特徴がある。徐放性製剤の利点には、薬剤の延長した活性、低減した投薬頻度、及び増大する患者のコンプライアンスがある。さらに、徐放性製剤を使用して、薬剤の血中濃度など、作用の発現の時間又は他の特性に影響を及ぼすことができ、そのため副(例えば、有害)作用の発生に影響を及ぼすことができる。
【0124】
他の実施態様において、徐放性製剤は、所望の治療効果又は予防効果を迅速に生み出す量の薬剤(有効成分)を最初に放出し、徐々に断続的に他の量の薬剤を放出して、長期間にわたりこのレベルの治療効果又は予防効果を維持するように設計されている。一実施態様において、体内の一定レベルの薬剤を維持するために、代謝され体内から排泄される薬剤の量を置き換える速度で、剤形から薬剤を放出することができる。有効成分の徐放は、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件もしくは化合物を含むがこれらに限定されない種々の条件により刺激できる。
【0125】
(5.4.3非経口剤形)
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内、及び動脈内を含むがこれらに限定されない種々の経路により、患者に投与できる。いくつかの実施態様において、非経口剤形の投与は、汚染物質に対する患者の自然な防御を回避するので、これらの実施態様において、非経口剤形は滅菌されているか、又は患者への投与前に滅菌することが可能である。非経口剤形の例には、注射用に即座に使用できる溶液、注射用の医薬として許容し得るビヒクルに即座に溶解又は懸濁する乾燥製品、注射用に即座に使用できる懸濁液、及びエマルションがあるが、これらに限定されない。
【0126】
非経口剤形を与えるのに使用できる好適なビヒクルは当業者に周知である。例には、米国薬局方の注射用水;塩化ナトリウム液、リンゲル液、ブドウ糖液、ブドウ糖塩化ナトリウム液、及び乳酸リンゲル液などがあるがこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどがあるがこれらに限定されない水混和性ビヒクル;並びにコーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどがあるがこれらに限定されない非水性ビヒクルがあるが、これらに限定されない。
【0127】
本明細書に開示される1種以上の有効成分の溶解度を増加させる化合物を非経口剤形に組み入れてもよい。例えば、シクロデキストリン及びその誘導体が、本明細書に提供される化合物の溶解度を増加させるために使用できる。例えば、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第5,134,127号を参照されたい。
【0128】
(5.4.4局所剤形及び粘膜剤形)
本明細書に提供される局所剤形及び粘膜剤形には、スプレー、エアゾール、溶液、エマルション、懸濁液、点眼液もしくは他の眼科用薬剤、又は当業者に公知の他の形態があるが、これらに限定されない。例えば、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第16版及び第18版、Mack Publishing, Easton PA(1980及び1990年);及び「医薬剤形入門(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」、第4版、Lea及びFebiger、Philadelphia(1985年)を参照されたい。口腔内の粘膜組織の治療に好適な剤形は、洗口液又は経口ゲルとして製剤できる。
【0129】
本明細書に包含される、局所剤形及び粘膜剤形を与えるのに使用できる好適な賦形剤(例えば、キャリア及び希釈剤)及び他の物質は、製薬分野の当業者に周知であり、ある医薬組成物又は剤形が利用される特定の組織による。一実施態様において、賦形剤には、非限定的に、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物があり、非毒性で医薬として許容し得る溶液、エマルション、又はゲルを形成する。保湿剤又は保水剤を医薬組成物及び剤形に加えることもできる。追加の成分の例は当分野に周知である。例えば、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」第16版及び第18版、Mack Publishing, Easton PA(1980及び1990年)を参照されたい。
【0130】
医薬組成物及び剤形のpHを調整して、1種以上の有効成分の送達を向上させることができる。また、溶媒キャリアの極性、そのイオン強度、又は張性を調整して送達を向上させることができる。ステアリン酸塩などの化合物を医薬組成物又は剤形に加え、送達を向上させるために1種以上の有効成分の親水性又は親油性を変えることができる。他の実施態様において、ステアリン酸塩は、製剤の脂質ビヒクルとして、乳化剤もしくは界面活性剤として、又は送達増強剤又は浸透増強剤として作用できる。他の実施態様において、有効成分の塩、溶媒和物、プロドラッグ、クラスレート、又は立体異性体を使用して、生じる組成物の性質をさらに調整することができる。
【0131】
(5.5キット)
一実施態様において、本明細書に提供される複数の有効成分は、患者に、同時に、又は同じ投与経路により投与されない。他の実施態様において、適切な量の複数の有効成分を簡単に投与できるキットが提供される。
【0132】
一実施態様において、キットは、本明細書に提供される化合物の剤形を含む。キットは、本明細書に記載される1種以上の第2の有効成分、又は薬理学的に活性な変種もしくは誘導体、又はこれらの組み合わせをさらに含んでよい。
【0133】
他の実施態様において、キットは、有効成分の投与に使用される装置をさらに含んでよい。そのような装置の例には、シリンジ、ドリップバッグ、パッチ、及び吸入器などがあるが、これらに限定されない。
【0134】
キットは、移植用の細胞又は血液並びに1種以上の有効成分の投与に使用できる医薬として許容し得るビヒクルをさらに含んでよい。例えば、非経口投与のために再構成しなければならない固体形態で有効成分が与えられる場合、キットは、有効成分を溶解して非経口投与に好適な粒子のない滅菌溶液を形成できる、好適なビヒクルの密閉された容器を含んでよい。医薬として許容し得るビヒクルの例には、米国薬局方の注射用水;塩化ナトリウム液、リンゲル液、ブドウ糖液、ブドウ糖塩化ナトリウム液、及び乳酸リンゲル液などがあるがこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどがあるがこれらに限定されない水混和性ビヒクル;並びにコーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどがあるがこれらに限定されない非水性ビヒクルがあるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0135】
(6.実施例)
以下の非限定的実施例により、特定の実施態様を説明する。
(6.1化合物の合成)
(6.1.1 6a-(3,4-ジクロロフェニル)ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]フラン-1-オン及び7a-(3,4-ジクロロフェニル)ヘキサヒドロイソベンゾフラン-1(3H)-オン)
【化10】

【0136】
2a:密封されたバイアルにおいて窒素下で攪拌されているラクトン(ヘキサヒドロ-1H-シクロペンタ[c]フラン-1-オン、630mg、5mmol)、パラジウムdba(145mg、5mol%)、及びトルエン(6mL)の溶液に、トリ-t-ブチルホスフィン(250μL、5mol%)、リチウムHMDS(6mL、1.2当量)、及びジクロロフェニルブロマイド(1.69g、1.5当量)を加えた。溶液をマイクロ波中で15分間加熱した(最大温度140℃)。冷却後、混合物をヘキサンで希釈し、3MのHClで洗浄し、蒸発させた。茶色の粗製油をシリカゲルで精製すると、2a(578mg、44%)を薄茶色の油として与えた。TLC Rf (25% EA/hex)=0.34。GC-MS Rt=12.48分、m/z=270(M+)。
【化11】

【0137】
2b:炎で乾燥させた250mLの丸底フラスコに、Pd(dba)2(368mg、1mol%)及びトルエンを加えた。容器を窒素でパージして密封してから、トリ-t-ブチルホスフィン(704μL、トルエン中1M、1.1mol%)をシリンジにより加え、次いでトルエン(15mL)中の溶液として臭化フェニル(5.4mL、51.27mmol)を加えた。LiHMDS(64mL、1.3当量)を加え、淡褐色の溶液を15分間室温で攪拌した。ヘキサヒドロイソベンゾフラン-1(3H)-オン(10g、1.3当量)をトルエン(20mL)中の溶液として滴加した。この時点で、発熱が認められ、次いで淡色の沈澱物が形成された。混合物を室温で一晩(16時間)攪拌したままとし、次いでヘキサンと、連続的に、10%塩酸水溶液、10%K2CO3水溶液、及び塩水との間で分配した。揮発性成分を真空中で除去すると、粗アリール化ラクトンを茶色がかった緑の油(12.6g)として与えた。120gのRedisepカートリッジを使用して未反応のラクトンを分離すると、標題化合物を黄色油として与えた(7.40g、67%)。HPLC Rt=9.8分。
【化12】

【0138】
(6.1.2 1-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-N-メチルシクロペンタンカルボキサミド及び1-(3,4-ジクロロフェニル)-2-(ヒドロキシメチル)-N-メチルシクロヘキサンカルボキサミド)
【化13】

【0139】
3a:-78℃のメチルアミン(1.5mL、THF中2M、2当量)の溶液に、n-BuLi(1.2mL、ヘキサン中2.5M、2当量)を滴加した。5分後、THF(3mL)中の2a(413mg、1.529mmol)の溶液を一回で加えた。混合物を低温で5分間、室温で2時間攪拌した。溶液をNH4Clでクエンチし、MTBEで抽出し、蒸発させた。残渣をシリカで精製すると、メチルアミド3aを薄黄色の油として与えた(351.0mg、76%)。TLC Rf (50% EA/hex)=0.13。GC-MS Rt=12.4分、m/z=283(M-H2O)。
【化14】

類似の手順を利用して、3bを2bから作った。
【0140】
(6.1.3 (2-(3,4-ジクロロフェニル)-2-((メチルアミノ)メチル)シクロペンチル)メタノール及び(2-(3,4-ジクロロフェニル)-2-((メチルアミノ)メチル)シクロヘキシル)メタノール)
【化15】

【0141】
4a:THF(1.3mL)中のアミド3a(110mg、0.4412mmol)の溶液に、ボラン-THF(1.3mL)を加えた。2分後、溶液をマイクロ波中で30分間加熱した(最大温度100℃)。冷却後、反応物を、数滴のメタノール、次いで3NのHCl(4ml)により注意深くクエンチし、30分間攪拌した。溶液を50%MTBE/ヘキサンにより洗浄し、冷却し、KOHにより塩基性化し、MTBEで抽出した。蒸発後、化合物をアミノプロピルカートリッジに通して濾過すると、アミン4a(315.9mg、収率95%)を薄黄色の油として与えた。LCMS(14分) Rt=5.98分、m/z=288(M+1)。
【化16】

類似の手順を利用して、4bを3bから作った。
【0142】
(6.1.4 ((1R,2S)-2-(3,4-ジクロロフェニル)-2-((メチルアミノ)メチル)シクロペンチル)メタノール(5a)、((1R,2S)-2-(3,4-ジクロロフェニル)-2-((メチルアミノ)メチル)シクロヘキシル)メタノール(6a)、((1S,2R)-2-(3,4-ジクロロフェニル)-2-((メチルアミノ)メチル)シクロペンチル)メタノール(5b)、及び((1S,2R)-2-(3,4-ジクロロフェニル)-2-((メチルアミノ)メチル)シクロヘキシル)メタノール)
【化17】

【0143】
化合物4aをキラルHPLC(AD-2:3:95:0.1のMeOH/EtOH/Hex/DEA)により分離して、生成物5a及び6aを与えた。類似の手順を利用して、化合物4bを化合物5b及び6bに分離した。
【0144】
(6.1.5 (3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール及び(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール)
【化18】

【0145】
アミノール5a(47.3mg、0.164mmol)を1mLのDCMに溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(86μL、3当量)の存在下で2時間、塩化メシル(19μL、1.5当量)と反応させた。混合物を炭酸カリウム水溶液でクエンチし、MTBEで抽出した。蒸発後の粗残渣をアミノプロピルカラムに通すと、(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール(43.5mg、99%)を透明な油として与えた。LCMS Rt=8.56分 m/z=270(M+1)。
【化19】

(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールは、出発化合物としてアミノール6aを使用し、類似の手順を利用して作った。
【0146】
(6.1.6 (3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール及び(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール)
【化20】

【0147】
(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール(20mg)をクロロギ酸1-クロロエチル(250μL)に溶かし、80℃で15時間加熱した。反応物を冷却し蒸発させた。残渣をメタノールに溶かし、80℃でさらに3時間加熱した。蒸発後、残渣をDCMで希釈し、K2CO3で洗浄し、濾過した(アミノプロピルカートリッジ)。次いで、(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールを、クロマトグラフィー(Chiracel AD;95:5:0.1のIPA/Hex/DEA)により未反応の出発物質から分離した。LCMS Rt=7.14分 m/z=256(M+1)。
【化21】

【0148】
(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールを、出発化合物として(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールを使用し、類似の手順を利用して作った。
【0149】
(6.1.7 (3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール及び(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール
【化22】

【0150】
アミノアルコール5b(40mg、0.1323mmol)をDCM(1mL)に溶かし、室温で攪拌した。この溶液に、DIPEA(70μL、3当量)及びMsCl(15μL、1.5当量)を加えた。2時間後、反応物を炭酸カリウムでクエンチし、MTBEで抽出した。有機相を分離し、蒸発させた。残渣をDCMに溶かし、濾過し(アミノプロピル)、蒸発させると、(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール(28.3mg、75%)を透明な油として与えた。LCMS Rt=8.20分、m/z=284(M+1)。
【化23】

(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドールは、出発化合物としてアミノアルコール6bを使用し、類似の手順を利用して作った。
【0151】
(6.1.8 7a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール-1-オン)
【化24】

【0152】
ジクロロフェニルラクトン2b(580mg、2.049mmol)、フタルイミドカリウム(758mg、2当量)、及びDMF(4mL)の混合物を150℃の浴中で24時間攪拌した。蒸発させると粗酸を与えた。上記から得られた粗物質を5MのKOH(10mL)で希釈し、110℃の浴中で24時間加熱した。酢酸エチルによる抽出、それに次ぐ蒸発により粗ラクタムが生じた。シリカゲルで分離すると、純粋な7a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール-1-オン(67.5mg、12%)を透明な油として与えた。TLC Rf (50% EA/hex)=0.25。GC-MS Rt=13.77分、m/z=283(M-1)。LCMS Rt=9.09分。HPLC Rt=10.15分。
【化25】

【0153】
(6.1.9 3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール)
【化26】

【0154】
7a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール-1-オン(65mg、0.2287mmol)をTHF(2mL)及びボラン(0.7mL、THF中1M、3当量)で希釈し、マイクロ波中で15分間加熱した(最大温度100℃)。冷却後、混合物を6NのHClとともに30分間攪拌し、MTBEで洗浄した。水層をKOHにより塩基性化し、MTBEにより抽出した。有機相を蒸発させ、濾過(アミノプロピルカートリッジ)すると、3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール(15.5mg、24%)を透明な油として与えた。後に、有機洗浄液中にさらなる部分を見いだし、シリカゲル濾過により分離すると、19mg(26%)の追加の生成物を与えた。LCMS Rt=7.60分、m/z=270(M+1)。
【化27】

【0155】
ラセミの3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドールをキラルHPLC(Chiracel AD-95:5:0.1のHex/IPA/DEA)により分離して、異性体(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール及び(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドールを与えた。
【化28】

【0156】
(6.2モノアミン再取込みアッセイ)
本明細書に開示される化合物を、本明細書において以下に記載されるとおり、遺伝子組換えヒトトランスポーターを利用し、セロトニン(5-HT)、ノルエピネフリン(NE)、及びドーパミン(DA)の機能的取込みの阻害に関して試験した。最初に、化合物を二連で10μMにおいて試験した。50%以上の取込みの阻害を示す化合物を、完全な阻害曲線を得るために、10の異なる濃度において二連でさらに試験した。次いで、阻害曲線の非線形回帰分析によりIC50値(対照活性を50%阻害する濃度)を決定した。
【0157】
(6.2.1ヒト再取込みトランスポーターのセロトニン機能的取込みアッセイ)
ヒトセロトニン再取込みトランスポーターの阻害を、引用により本明細書に組み込まれるGu Hらの文献J. Biol. Chem. 1994, 269(10):7124-7130に記載される方法に実質的に類似している方法を利用して、HEK-293細胞中に発現された遺伝子組換えヒトセロトニントランスポーターを使用してアッセイした。アッセイ前に、ヒトセロトニントランスポーターを発現するHEK-293細胞を播種した。被験化合物及び/又はビヒクルを、pH7.1又はpH7.4の修飾HEPES緩衝液中で20分間、18から25℃で細胞と共にプレインキュベートし、次いで65nMの[3H]セロトニンを追加のインキュベーション期間(10から30分間)に加えた。[3H]セロトニンを吸収した細胞を洗浄し、細胞内に取り込まれたトリチウムの量を、液体シンチレーションカウンターを利用して計測し、[3H]セロトニン取込み量を測定する。10μMのフルオキセチンを含む対照反応においてトリチウムの非特異的な結合を測定し、アッセイの計数値から引いて、トリチウムの非特異的結合の補正をした。阻害されていない対照反応に比べて50%以上の[3H]セロトニン取込みの低下は、著しい阻害活性を表す。10、1、0.1、0.01、及び0.001μMで化合物をスクリーニングした。
【0158】
(6.2.2ヒト再取込みトランスポーターのノルエピネフリン機能的取込みアッセイ)
ヒトノルエピネフリン再取込みトランスポーターの阻害を、引用により本明細書に組み込まれるGalli Aらの文献J. Exp. Biol. 198: 2197-2212 (1995)に記載された方法と実質的に類似している方法を利用して、HEK293又はMDCK細胞のいずれかに発現された遺伝子組換えヒトノルエピネフリントランスポーターを使用してアッセイした。アッセイの前に細胞を播種した。被験化合物及び/又はビヒクルを、pH7.1又はpH7.4の修飾HEPES緩衝液中で20分間、18から25℃で細胞と共にプレインキュベートした。プレインキュベーション後、25nMの[3H]ノルエピネフリンを追加のインキュベーション期間(10から20分間)に加えた。細胞を洗浄して内部に取り込まれなかった[3H]ノルエピネフリンを除去した後、細胞を溶解し、細胞溶解物中のトリチウムの量を、液体シンチレーションカウンターを使用して測定して、[3H]ノルエピネフリン取込み量を決定した。10μMのイミプラミン(又は10μMのニソキセチン)を含む対照反応においてトリチウムの非特異的結合を測定し、アッセイの計数値から引いて、トリチウムの非特異的結合の補正をした。阻害されていない対照反応に比べて50%以上の[3H]ノルエピネフリン取込みの低下は、著しい阻害活性を表す。10、1、0.1、0.01、及び0.001μMで化合物をスクリーニングした。
【0159】
(6.2.3ヒト再取込みトランスポーターのドーパミン機能的取込みアッセイ)
ヒトドーパミン再取込みトランスポーターの阻害を、引用により本明細書に組み込まれるPristupa, Z. B.らの文献Mol. Pharmacol. 45: 125-135 (1994)に記載された方法と実質的に類似している方法を利用して、CHO-K1又はHEK293細胞のいずれかに発現される遺伝子組換えヒトドーパミントランスポーターを使用してアッセイした。ヒト遺伝子組換えドーパミントランスポーターを発現するCHO-K1又はHEK293細胞を、アッセイ前に播種した。被験化合物及び/又はビヒクルを、pH7.1又はpH7.4の修飾HEPES緩衝液中で20分間、18から25℃で細胞と共にプレインキュベートし、次いで50nMの[3H]ドーパミンを追加のインキュベーション期間(10から30分間)に加えた。細胞を洗浄して内部に取り込まれなかった[3H]ドーパミンを除去した後、細胞を溶解し、溶解物中のトリチウムの量を、液体シンチレーションカウンターを使用して測定して、[3H]ドーパミン取込み量を決定した。10μMのノミフェンシンを含む対照反応においてトリチウムの非特異的結合を測定し、アッセイの計数値から引いて、トリチウムの非特異的結合の補正をした。阻害されていない対照反応に比べて50%以上の[3H]ドーパミン取込みの低下は、著しい阻害活性を表す。10、1、0.1、0.01、及び0.001μMで化合物をスクリーニングした。
【0160】
(6.2.4結果)
(6.2.4.1セロトニン取込み阻害)
上記のセクション6.2.1に記載された手順を利用して、本明細書に提供されるある化合物をセロトニン再取込み阻害に関して試験した。試験した化合物には以下のものがある:(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;及び(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール。これらの化合物から得られたIC50値は、3から551nMの範囲であった。
【0161】
(6.2.4.2ノルエピネフリン取込み阻害)
上記のセクション6.2.2に記載された手順を利用して、本明細書に提供されるある化合物を、ノルエピネフリン再取込み阻害に関して試験した。試験した化合物には以下のものがある:(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;及び(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール。これらの化合物から得られたIC50値は、13から212nMの範囲であった。
【0162】
(6.2.4.3ドーパミン取込み阻害)
上記のセクション6.2.3に記載された手順を利用して、本明細書に提供されるある化合物を、セロトニン再取込み阻害に関して試験した。試験した化合物には以下のものがある::(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;及び(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール。これらの化合物から得られたIC50値は、7から254nMの範囲であった。
【0163】
(6.3代謝安定性)
肝臓は、体内で薬物代謝を主に行う臓器である。本明細書に提供されるある化合物を、以下の手順を利用してミクロソーム安定性に関して試験した。肝ミクロソームなどの亜細胞分画は、肝クリアランスのインビトロモデルに有用である。ヒト又はマウスのミクロソームを、補助因子NADPHの存在下で、37℃で被験化合物と共にインキュベートし、反応を開始した。メタノールを添加して反応を停止した。遠心分離後、上清をLC-MS/MSで分析した。被験化合物の消失を、45分の期間にわたりモニターした。
【0164】
試験した化合物には以下のものがある:(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,6aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-メチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;(3aR,7aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール;及び(3aS,7aR)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)-2-エチルオクタヒドロ-1H-イソインドール。ヒト及びマウスの肝ミクロソームにおいて、半減期はそれぞれ22から262分及び8から91分であった。
【0165】
(6.4疼痛モデル)
急性及び持続性の炎症性疼痛に対する(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールの効果を、雄のラットで評価した。化学的な刺激剤、ホルマリンの塗布により疼痛を実験的に誘起すると、初期相(1相、0〜9分)及び後期相(2相、10〜60分)のフリンチング挙動の両方を含む二相性の行動反応を起こした。初期相の反応はC線維の活性化の結果であると考えられるが、後期相は、組織中の炎症反応と脊髄の後角における機能変化の組み合わせに依存するようである。
【0166】
(6.4.1手順)
雄のラット(Sprague-Dawley、272〜315g、Harlan)を、食餌及び水を自由に摂取させ、12時間の明暗周期で、温度管理された環境中でケージあたり4匹収容した。試験の前に、ラットを少なくとも5日間施設に馴化させた。試験当日、柔軟性があり軽量の「C」型金属バンドを後肢の一方にはめ、ラットに、(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール又はガバペンチンを経口(PO、3mL/kg、強制栄養による)又は腹腔内(IP、1mL/kg)にビヒクル(50mMの酢酸塩緩衝液(pH4.5))とともに投薬した。(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールを、50mMの酢酸塩緩衝液(pH4.5)ビヒクル中で、3、10、及び30mg/kgで経口投与した。ガバペンチン(AvaChem Scientific社製)は、陽性対照として塩水ビヒクル中で100mg/kgで腹腔内投与した。化合物投与の60分後、ラットの「C」型金属バンドの付いた後肢の背面に希ホルマリン溶液(5%、50μL)を投与し、次いで直ちに個々の試験柱(Automated Nociception Analyzer、UCSD社製、カリフォルニア州サンディエゴ)に入れた。ホルマリンが誘発するフリンチング挙動を60分間記録した。
【0167】
(6.4.2結果)
ホルマリン投与は二相性のフリンチング反応をもたらしたが、挙動の合計は、第1相(ホルマリン後0〜9分)に比べて第2相(ホルマリン後10〜60分)において大きかった。(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールの投与は、第1相及び第2相の間に、投与量に関連する著しいフリンチング挙動の減少をもたらした。ガバペンチンの投与は、第2相のホルマリン誘発フリンチング挙動の著しい選択的な弱化をもたらした。
【0168】
図3に示されるとおり、(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールの急性経口投与は、ナイーブな雄のラットで最大30mg/kgで試験した場合、非選択的にホルマリン誘発性フリンチング挙動を、著しく投与量依存的に弱めた。アッセイの頑強性を、陽性対照ガバペンチンによる第2相ホルマリン誘発性フリンチング挙動の著しく選択的な弱化により確認した。これらの結果は、(3aR,6aS)-3a-(3,4-ジクロロフェニル)オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロールが、ラットの急性及び持続性の炎症性疼痛を効果的に低減することを示し、そのため鎮痛における化合物の潜在的な効能を示す。
【0169】
上述された実施態様は単に例示するためのものであり、当業者は、慣例の実験を利用するだけで、特定の化合物、物質、及び手順の多くの等価物を認識又は確認できるだろう。そのような等価物は全て本開示の範囲内であると考えられ、添付される請求項により包含される。
【0170】
本明細書に引用される特許、特許出願、及び刊行物は全てその全体が本明細書に組み込まれる。本願における引用文献の引用又は特定は、そのような引用文献が本願の従来技術として利用可能であることを認めるものではない。本開示の範囲全体は、添付される請求項に関連してよりよく理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、もしくは立体異性体:
【化1】

(式中、
mは、0、1、又は2であり;
nは、0、1、又は2であり;
Xは、水素、(C1-C10)アルキル、(C3-C10)シクロアルキル、(C3-C10)シクロアルキル-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、6員から10員のアリール、(6員から10員のアリール)-(C1-C10)アルキル、-OR1、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、又はヘテロアルキニルであり;
Y及びZは、それぞれ独立に、ハロゲン、-CF3、-CN、-NH2、-NO2、ジオキソラノ、(C1-C10)アルキル、(C3-C10)シクロアルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C1-C10)アルコキシ、(C3-C10)シクロアルコキシ、又は-OR2であり;
あるいはY及びZは共に、5員、6員、又は7員のシクロアルキルを形成してもよく;かつ
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素、(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルケニル、(C1-C10)アルキニル、(C3-C10)シクロアルキル、(C3-C10)シクロアルキル-(C1-C10)アルキル、(C1-C10)アルコキシ、6員から10員のアリール、6員から10員のヘテロアリール、(6員から10員のアリール)-(C1-C10)アルキル、-SO2(C1-C10)アルキル、又は-SO2-(6員から10員のアリール)である)。
【請求項2】
m及びnの両方が1である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
mが2であり、nが1である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Xが水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Xが(C1-C10)アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
Xがメチル又はエチルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
Y及びZの両方がハロゲンである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Y及びZの両方が塩化物である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が立体異性体的に純粋である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
下記である請求項1記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物
【化2】


【請求項11】
請求項1記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項12】
1種以上の追加の活性薬剤をさらに含む、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
モノアミントランスポーターリガンドのモノアミントランスポーターへの結合を阻害する方法であって、該モノアミントランスポーターと請求項1記載の化合物とを接触させることを含む、前記方法。
【請求項14】
少なくとも1種のモノアミントランスポーターの活性を阻害する方法であって、該モノアミントランスポーターと請求項1記載の化合物とを接触させることを含む、前記方法。
【請求項15】
前記モノアミントランスポーターが、セロトニントランスポーター(SERT)、ドーパミントランスポーター(DAT)、ノルエピネフリントランスポーター(NET)、又はこれらの組み合わせである、請求項13又は14記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、少なくとも2種の異なるモノアミントランスポーターの活性を阻害する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
細胞による、少なくとも1種のモノアミンの取込みを阻害する方法であって、該細胞と請求項1記載の化合物とを接触させることを含む、前記方法。
【請求項18】
前記モノアミンが、セロトニン、ドーパミン、ノルエピネフリン、又はこれらの組み合わせである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が少なくとも2種の異なるモノアミンの取込みを阻害する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
請求項1記載の化合物を患者へ投与することを含む、うつ病の治療方法。
【請求項21】
前記患者がヒトである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
治療上有効な量の請求項1記載の化合物を患者へ投与することを含む、中枢神経系疾患の治療方法。
【請求項23】
前記患者がヒトである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記中枢神経系疾患が、うつ病、認知障害、線維筋痛症、疼痛、睡眠障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、レストレスレッグ症候群、統合失調症、不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害、月経前不機嫌、又は神経変性疾患である、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記うつ病が、大うつ病性障害(MDD)、単極性うつ、双極性障害、季節性情動障害(SAD)、又は気分変調症である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記神経変性疾患がパーキンソン病である、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記睡眠障害が睡眠時無呼吸である、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記疼痛が神経因性疼痛である、請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−512251(P2012−512251A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542333(P2011−542333)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068016
【国際公開番号】WO2010/075064
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(511145546)スノビオン プハルマセウトイカルス インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】