説明

トレーラのフレーム構造

【課題】X状フレームによってトレーラのフレーム全体の剛性を高める。
【解決手段】トレーラ2のフレーム構造は、左右1対のメインビーム4と、平面視X状を呈し左右のメインビームを連結するX状フレーム7と、スティフナウェブ13とを備える。メインビーム4は、上フランジ4aと下フランジ4bとが上下に延びるウェブ4cによって連結されたI状断面を有する。スティフナウェブ13は、上フランジ4aの下面と下フランジ4bの上面とウェブ4cの車幅方向の内側面とに接合され、車幅方向に沿って起立する。X状フレーム7の端部は、ウェブ4cに当接して接合されるウェブ接合縁18と、スティフナウェブ13に当接して接合される支持板接合縁19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレーラのフレーム構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体のフレーム全体の剛性を高めるために、左右のメインビームを平面視X状のフレームによって連結する構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−153714号公報
【特許文献2】特開2006−131131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トレーラのフレーム構造に上述のようなX状フレームを適用した場合、メインビーム上に積載される積荷の重量が過大になると、トレーラの旋回時等において、メインビームとX状フレームとの結合部分に入力する荷重も過大となる。このため、両者の結合強度が不十分であると、X状フレームによる効果を得ることができず、フレーム全体の剛性を高めることができない。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑み、X状フレームによってフレーム全体の剛性を高めることが可能なトレーラのフレーム構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のトレーラのフレーム構造は、車体の前後方向に相対向して延びる左右1対のメインビームと、平面視X状を呈し左右のメインビームを連結するX状フレームと、X状フレーム支持板とを備える。メインビームは、上フランジと下フランジとが上下に延びるウェブによって連結されたI状断面を有する。
【0007】
X状フレーム支持板は、上フランジの下面と下フランジの上面とウェブの車幅方向の内側面とに接合され、車幅方向に沿って起立する。X状フレームの端部は、ウェブに当接して接合されるウェブ接合縁と、X状フレーム支持板に当接して接合される支持板接合縁とを有する。
【0008】
上記構成では、X状フレームの端部において、ウェブ接合縁がウェブに当接して接合され、支持板接合縁がX状フレーム支持板に当接して接合されるので、X状フレームの端部は、ウェブとX状フレーム支持板とによって2方向から支持され、メインビームの一方から他方に対してX状フレームを介して入力する荷重は、ウェブとX状フレーム支持板とに分散して入力する。また、X状フレーム支持板に入力した荷重は、上フランジと下フランジとウェブとに分散して入力する。このため、メインビームとX状フレームとの結合部分における荷重の集中が緩和され、トレーラの旋回時等において、X状フレームによってウェブが突き破られてしまうなどの不都合が発生し難い。従って、メインビームとX状フレームとの結合強度を高めることができ、フレーム全体の剛性を高めることができる。
【0009】
また、上記フレーム構造は、上フランジの下面と下フランジの上面とウェブの車幅方向の外側面とに接合され、車幅方向に沿って起立する補強板を備えてもよい。補強板は、X状フレーム支持板又はウェブ接合縁の少なくとも一方と車幅方向に重なる位置でウェブの外側面に接合される。
【0010】
上記構成では、補強板は、X状フレーム支持板又はウェブ接合縁の少なくとも一方と車幅方向に重なる位置でウェブの外側面に接合されるので、X状フレームによってウェブが突き破られてしまうなどの不都合がさらに発生し難く、フレーム全体の剛性をさらに確実に高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、X状フレームによってトレーラのフレーム全体の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態のトレーラを示す側面図である。
【図2】図1のトレーラのフレーム構造を示す平面図である。
【図3】図2の要部を一部破断して示す拡大斜視図である。
【図4】図3の要部を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態のトレーラ2には、箱型のコンテナ20が積載されるコンテナトレーラであり、トラクタ1が牽引するトレーラ2の車体は、シャシフレーム3によって構成される。
【0015】
シャシフレーム3は、車両前後方向に沿って略平行に延びる左右1対のメインビーム4と、車両前後方向に所定間隔をおいて配置されて車幅方向に延びる複数の直線状のクロスフレーム5と、前後2箇所のX状フレーム7とを有する。メインビーム4は、上下で離間して対向する板状の上フランジ4aと下フランジ4bとが上下に延びるウェブ4cによって連結されたI状断面を有する(図3参照)。各クロスフレーム5は、メインフレーム4に対して略直交し、クロスフレーム5の両端は、メインビーム4に結合される。シャシフレーム3には、懸架装置(図示省略)を介して車輪(タイヤ)6が装着される。
【0016】
X状フレーム7は、平面視X状を呈するように交叉する2本の直線状の斜行フレーム8によって構成される。2本の斜行フレーム8は、それぞれ板状の長尺部材であり、長手方向の中央部で上下に重なる。この中央部には、ボルト挿通孔(図示省略)が形成され、2本の斜行フレーム8は、ボルト挿通孔を挿通したボルト9にナット(図示省略)を螺合することによって、相対回転自在に連結されている。斜行フレーム8は、車幅方向に対して傾斜する方向に延び、斜行フレーム8の両端部は、左右のメインビーム4にそれぞれ結合される。
【0017】
左右のメインビーム4には、車幅方向に延びる前側及び後側のボルスター10,11が固着されている。ボルスター10,11の左右両端は、各メインビーム4から車幅方向外側へ突出して延び、この左右両端の中空内部には、ツイストロックを有する緊締装置15が装着される。ウイング型荷箱20の前下端隅部と後下端隅部とには、隅金具(図示省略)が設けられ、緊締装置15は、シャシフレーム3に載置されたコンテナ20の隅金具の直ぐ下方に位置する。緊締装置15のツイストロックの頭部16は、ボルスター10の上面から上方に突出し、コンテナ20をシャシフレーム3(上フランジ4a)に載置した際、隅金具の孔に進入して係合し、コンテナ20の前縁及び後縁をシャシフレーム3に着脱自在に固定する。
【0018】
シャシフレーム3の前端部には、トラクタ1に連結されるキングピン17が設けられる。キングピン17を、トラクタ1の連結部に対応した高さに合わせて配置するため、メインビーム4の前端部は、通称グースネックと称する段差12によって嵩上げされている。
【0019】
図3及び図4に示すように、左右のメインビーム4には、1つのX状フレーム7に対して4つ(左右にそれぞれ2つ)の矩形平板状のスティフナウェブ(X状フレーム支持板)13が固定されている。各スティフナウェブ13は、上フランジ4aと下フランジ4bとウェブ4cとに対して略直交するように車幅方向に沿って起立した状態で、上フランジ4aの下面と下フランジ4bの上面とウェブ4cの車幅方向の内側面とに接合される。X状フレーム7の端部(各斜行フレーム8の両端部)には、ウェブ4cの表面に線状に当接するウェブ接合縁18と、スティフナウェブ13の表面に線状に当接する支持板接合縁19とが形成され、斜行フレーム8の両端部は、略直角に交叉するウェブ接合縁18と支持板接合縁19とによって矢尻状に尖っている。ウェブ接合縁18は、ウェブ4cの表面に溶着等によって接合され、支持板接合縁19は、スティフナウェブ13の表面に溶接等によって接合されている。
【0020】
本実施形態によれば、X状フレーム7の端部において、ウェブ接合縁18がウェブ4cに当接して接合され、支持板接合縁19がスティフナウェブ13に当接して接合されるので、X状フレーム7の端部は、ウェブ4cとスティフナウェブ13とによって2方向から支持され、メインビーム4の一方から他方に対してX状フレーム7を介して入力する荷重は、ウェブ4cとスティフナウェブ13とに分散して入力する。また、スティフナウェブ13に入力した荷重は、上フランジ4aと下フランジ4bとウェブ4cとに分散して入力する。このため、メインビーム5とX状フレーム7との結合部分における荷重の集中が緩和され、トレーラ2の旋回時等において、X状フレーム7によってウェブ4cが突き破られてしまうなどの不都合が発生し難い。従って、メインビーム4とX状フレーム7との結合強度を高めることができ、トレーラ2のフレーム全体の剛性を高めることができる。
【0021】
次に、本発明の第2実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態は、第1実施形態の1つのX状フレーム7に対して4つの矩形平板状の第2スティフナウェブ(補強板)21を追加したものであり、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】
図5に示すように、各第2スティフナウェブ21は、上フランジ4aの下面と下フランジ4b(図3参照)の上面とウェブ4cの車幅方向の外側面とに接合され、車幅方向に沿って起立する。また、第2スティフナウェブ21は、車幅方向に沿ってスティフナウェブ13と直線状に重なる位置でウェブ4cの外側面に接合される。なお、第2スティフナウェブ21とウェブ4cの外側面との接合位置は、第2スティフナウェブ21がスティフナウェブ13又はウェブ接合縁18の少なくとも一方と車幅方向に重なる範囲22内において任意に設定可能である。
【0023】
本実施形態によれば、第2スティフナウェブ21は、スティフナウェブ13と車幅方向に重なる位置でウェブ4cの外側面に接合されるので、X状フレーム7によってウェブ4cが突き破られてしまうなどの不都合がさらに発生し難く、フレーム全体の剛性をさらに確実に高めることができる。
【0024】
なお、上述の実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態ではX状フレーム7を2本の直線状の斜行フレーム8によって構成したが、X状フレームを一体的に形成してもよく、また、前後2つのV状のフレームの頂点部分同士を固定することによってX状フレームを形成してもよい。また、スティフナウェブ13や第2スティフナウェブ21は、ウェブ4cに対して傾斜するように配置してもよい。スティフナウェブ13をウェブ4cに対して傾斜するように配置した場合、ウェブ接合縁18と支持板接合縁19との交叉角度は、ウェブ4cとスティフナウェブ13との交叉角度に応じて設定すればよい。また、配置するX状フレーム7の数は2つに限定されるものではなく、1つ又は3つ以上であってもよい。
【0025】
また、上記実施形態では、箱型のコンテナ20が積載されるトレーラ2について説明したが、本発明のフレーム構造は、プラットフォームトレーラ、バントレーラ、ウィングトレーラ、及びウィングコンテナが積載されるトレーラなど、他の様々なタイプのトレーラに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1:トラクタ
2:トレーラ
3:シャシフレーム
4:メインビーム
5:クロスフレーム
7:X状フレーム
8:斜行フレーム
13:スティフナウェブ(X状フレーム支持板)
18:ウェブ接合縁
19:支持板接合縁
20:コンテナ
21:第2スティフナウェブ(補強板)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前後方向に相対向して延びる左右1対のメインビームと、平面視X状を呈し前記左右のメインビームを連結するX状フレームとを備え、前記メインビームは、上フランジと下フランジとが上下に延びるウェブによって連結されたI状断面を有するトレーラのフレーム構造であって、
前記上フランジの下面と前記下フランジの上面と前記ウェブの車幅方向の内側面とに接合され、車幅方向に沿って起立するX状フレーム支持板を備え、
前記X状フレームの端部は、前記ウェブに当接して接合されるウェブ接合縁と、前記X状フレーム支持板に当接して接合される支持板接合縁とを有する
ことを特徴とするトレーラのフレーム構造。
【請求項2】
請求項1に記載のフレーム構造であって、
前記上フランジの下面と前記下フランジの上面と前記ウェブの車幅方向の外側面とに接合され、車幅方向に沿って起立する補強板を備え、
前記補強板は、前記X状フレーム支持板又は前記ウェブ接合縁の少なくとも一方と車幅方向に重なる位置で前記ウェブの外側面に接合される
ことを特徴とするトレーラのフレーム構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−136071(P2012−136071A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288041(P2010−288041)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000229900)日本フルハーフ株式会社 (93)
【Fターム(参考)】