説明

トンネル内で管を運搬する運搬装置及び管の運搬方法

【課題】曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を、その両端部を前記トンネルの前記側壁部分に接触させることなく前記トンネル内で運搬できるようにすること。
【解決手段】トンネル内で管を運搬する運搬装置は、前記トンネルの軸線方向に間隔を置いて配置され、それぞれが前記軸線方向に移動可能である一対の台車と、各台車上に配置され、前記管を受ける受台と、各台車に設けられ、前記受台を前記トンネルの横断方向に移動させる移動手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内で管を運搬する運搬装置及び管の運搬方法に関する。
【背景技術】
【0002】
曲線部分を有するトンネル内で、該トンネルの二次覆工に用いられる管が運搬装置により運搬される。従来の運搬装置には、前記トンネルの軸線方向に間隔を置いて配置され、それぞれが前記軸線方向に移動可能である一対の台車と、各台車に設けられた受台とを有するものがある(特許文献1参照)。一方の台車に設けられた前記受台上に前記管の一端部が載せられ、他方の台車に設けられた前記受台上に前記管の一端部が載せられる。前記運搬装置は前記管を前記軸線方向に運搬する。
【特許文献1】特開2000−272510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記管が比較的長い場合や前記トンネルの前記曲線部分の曲率半径が比較的小さい場合、前記トンネルの前記曲線部分における前記管の各端部と前記トンネルの側壁部分との間の間隔が非常に狭い。このため、前記管の運搬時に該管の両端部が前記トンネルの前記側壁部分に接触して前記管の両端部及び前記トンネルの前記側壁部分が損傷を受けるという問題が生じる。
【0004】
近年、前記トンネルの掘削費を低減するため、前記トンネルの断面を小さくすることが求められている。前記トンネルの断面を小さくすると、前記管の各端部と前記トンネルの前記側壁部分との間の間隔はより狭くなり、前記した問題が生じやすくなる。
【0005】
本発明の目的は、曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を、その両端部を前記トンネルの前記側壁部分に接触させることなく前記トンネル内で運搬できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トンネルの軸線方向に間隔を置かれた一対の台車のそれぞれの上に受台が配置され、該受台を前記トンネルの横断方向に移動させる移動手段が各台車に設けられ、前記トンネルの曲線部分において管を前記トンネルの曲率中心に向けて移動させることができるようにする。これにより、前記管の各端部と前記トンネルの前記曲率中心から遠い方の側壁部分との間の間隔を広げられるようにし、前記トンネル内での前記管の運搬時に該管の両端部が前記トンネルの前記側壁部分に接触することがないようにする。
【0007】
本発明に係る、曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において軸線が水平面で見て前記トンネルの軸線と交差している状態で両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を前記トンネル内で運搬する運搬装置は、前記トンネルの軸線方向に間隔を置いて配置され、それぞれが前記軸線方向に移動可能である一対の台車と、各台車上に配置され、前記管を受ける受台と、各台車に設けられ、前記受台を前記トンネルの横断方向に移動させる移動手段とを含む。
【0008】
各台車に、前記受台を前記横断方向に移動させる移動手段が設けられているため、該移動手段により前記受台を前記横断方向に移動させて前記管を前記横断方向に移動させることができる。このため、前記トンネルの前記曲線部分において前記管を前記トンネルの前記曲線部分の曲率中心に向けて移動させることができ、前記管の各端部と前記トンネルの前記曲率中心から遠い方の側壁部分との間の間隔を広げることができる。これにより、前記トンネル内での前記管の運搬時に該管の両端部が前記トンネルの前記側壁部分に接触しないようにすることができる。
【0009】
各台車は、前記横断方向に間隔を置かれた一対の側部及び該側部間にあって前記軸線方向に間隔を置かれた一対の端部からなるフレームと、該フレームの各側部に前記軸線方向に間隔を置いて取り付けられた複数の車輪とを有し、前記受台は前記台車の前記フレーム上に配置され、前記移動手段は前記台車の前記フレーム内に配置されている。
【0010】
前記移動手段は、前記台車の前記フレーム内に前記軸線方向に間隔を置いて配置された、それぞれが前記横断方向に伸びる第1シリンダー及び第2シリンダーであって一端部が前記フレームの一方の側部に固定され、他端部が前記受台に固定された、該受台を前記横断方向における前記受台の一方の側方へ移動させる第1シリンダーと、一端部が前記フレームの他方の側部に固定され、他端部が前記受台に固定された、該受台を前記横断方向における前記受台の他方の側方へ移動させる第2シリンダーとからなる。
【0011】
両台車は連結手段により互いに連結されたものとすることができ、該連結手段は、一端部が一方の台車に取外し可能に固定され、他端部が他方の台車に取外し可能に固定された棒状部材からなるものとすることができる。
【0012】
本発明に係る、曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において軸線が水平面で見て前記トンネルの軸線と交差している状態で両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を前記トンネル内で運搬する運搬方法は、前記管を該管が前記トンネルの前記曲線部分に到達するまで前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の一方の側から該曲線部分に向けて移動させること、前記トンネルの前記曲線部分に到達した前記管を前記トンネルの前記曲線部分の曲率中心に向けて移動させること、前記曲率中心に向けて移動させた前記管を前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の他方の側へ移動させることを含む。
【0013】
本発明に係る、曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において軸線が水平面で見て前記トンネルの軸線と交差している状態で両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を前記トンネル内で運搬する他の運搬方法は、前記管を該管が前記トンネルの前記曲線部分に到達するまで前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の一方の側から該曲線部分に向けて移動させること、前記トンネルの前記曲線部分に到達した前記管を前記トンネルの前記曲線部分の曲率中心に向けて移動させつつ前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の他方の側へ移動させることを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トンネルの軸線方向に間隔を置かれた一対の台車のそれぞれの上に受台が配置され、各台車に、前記受台を前記トンネルの横断方向に移動させる移動手段が設けられていることから、該移動手段により前記受台を前記横断方向に移動させることができる。このため、前記トンネルの前記曲線部分において管を前記トンネルの曲率中心に向けて移動させることができ、前記管の各端部と前記トンネルの前記曲率中心から遠い方の側壁部分との間の間隔を広げることができる。これにより、前記管の両端部を前記トンネルの前記側壁部分に接触させることなく前記管を前記トンネル内で運搬することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1、2に示すように、トンネル10内で用いられる管12がトンネル10内で運搬装置14により運搬される。トンネル10は、シールド掘進機(図示せず)を用いて掘削されており、トンネル10の軸線方向に互いに隣接する複数のリング16により一次覆工がなされている。各リング16は、トンネル10の周方向に互いに隣接する複数のセグメント18からなる。管12は、トンネル10の二次覆工に用いるため、トンネル10内にリング16から内方へ間隔を置いて配置される。管12をトンネル10内に配置した後、管12とリング16との間にモルタルが充填される。
【0016】
図8に示すように、トンネル10は曲線部分24を有し、管12は直線状である。管12は、トンネル10の曲線部分24において軸線26が水平面で見て曲線部分24の曲率半径と直交しかつトンネル10の軸線28と交差する。管12は、トンネル10の曲線部分24において軸線26が水平面で見てトンネル10の軸線28と交差している状態で両端部30がトンネル10の曲線部分24の曲率中心(図示せず)から遠い方の側壁部分32aに接する程度に長い。例えば、トンネル10の曲線部分24の曲率半径がRであり、トンネル10の内径がrであり、管12の直径がBであり、管12の長さがLであるとき、Lは、式L=2・{(R+r/2)2−(R+B/2)21/2をほぼ満足する。図示の例では、トンネル10の曲線部分24の曲率半径は約50.0mであり、トンネル10の内径は約2.7mであり、管12の直径は約2.4mであり、管12の長さは約6.0mである。
【0017】
なお、管12の軸線26がトンネル10の軸線28と交差している状態とは、図示の例では、管12の軸線26がトンネル10の軸線28と1箇所で交差している状態であるが、これに代え、管12の軸線26がトンネル10の軸線28と2箇所で交差している状態であってもよい。管12の軸線26の高さは、トンネル10の軸線28の高さと同じでもよいし、異なっていてもよい。管12の両端部30がトンネル10の側壁部分32aに接する程度とは、管12の両端部30がトンネル10の側壁部分32aに接する場合と、管12の両端部30がトンネル10の側壁部分32に接していないが、管12の各端部30とトンネル10の側壁部分32aとの間に僅かな隙間しかない場合とを含む。トンネル10が、曲率半径が異なる複数の曲線部分を有する場合、管12は、曲率半径が最も小さい曲線部分において軸線26が水平面で見てトンネル10の軸線28と交差している状態で両端部30がトンネル10の側壁部分32aに接する程度に長いものとする。
【0018】
運搬装置14は、図1に示したように、トンネル10の軸線方向に間隔を置かれた一対の台車34と、各台車34上に配置され、管12を受ける受台36と、各台車34に設けられ、受台36をトンネル10の横断方向に移動させる移動手段38(図3)とを含む。各台車34は前記軸線方向に移動可能である。トンネル10の底部分40の上に、前記横断方向に間隔を置かれ、それぞれが前記軸線方向に伸びる一対のレール42が設けられており、各台車34は、両レール42上に配置され、該レールに沿って移動可能である。
【0019】
図3ないし7に示すように、各台車34は、前記横断方向に間隔を置かれた一対の側部44a、44b及び該側部間にあって前記軸線方向に間隔を置かれた一対の端部46からなるフレーム48を有する。フレーム48は、ほぼ四角形の平面形状を有する枠体である。各台車34は、フレーム48の各側部44a、44bに前記軸線方向に間隔を置いて取り付けられた複数の車輪50を有する。
【0020】
各車輪50は、フレーム48の側方にあって、台車34が両レール42上に配置された状態でレール42上に位置する。フレーム48に、前記軸線方向に間隔を置かれ、それぞれが前記横断方向に伸びかつ2つの車輪50を連結する複数の車軸50aが取り付けられている。各車輪50は車軸50aを介してフレーム48の側部44a、44bに取り付けられている。
【0021】
フレーム48の各側部44a、44bに、前記軸線方向に間隔を置かれた複数のガイドローラー52が取り付けられている。各ガイドローラー52は、フレーム48の下方にあって、台車34が両レール42上に配置された状態でレール42の側部にほぼ接している。ガイドローラー52は、台車34の前記軸線方向の移動時にレール42に接触して、台車34が両レール42によって案内されるようにする。
【0022】
フレーム48に、前記軸線方向に間隔を置かれ、それぞれが前記横断方向に伸びる一対の案内部材54が設けられている。各案内部材54は、フレーム48上にあって該フレームに固定された水平部分56と、該水平部分から上方へ伸びる垂直部分58とからなるL字形の断面形状を有し、各案内部材54の水平部分56は垂直部分58から他方の案内部材54に向けて伸びる。受台36は、両案内部材54の垂直部分58間に受け入れられるように台車34のフレーム48上に配置されており、受台36と案内部材54の水平部分56との間及び受台36と案内部材54の垂直部分58との間のそれぞれに摺動板60が介在している。摺動板60は、案内部材54の水平部分56又は垂直部分58に固定されており、移動手段38による受台36の前記横断方向の移動を円滑にする。両案内部材54は移動手段38による受台36の前記横断方向の移動時に受台36を案内する。
【0023】
移動手段38は台車34のフレーム48内に配置されている。これにより、台車34のフレーム48と受台36との間に移動手段38が配置されている場合と比べて受台36の高さを低くすることができ、管12とトンネル10のリング16との間の間隔が比較的狭い場合においても管12をトンネル10の頂部に接触させることなく管12をトンネル10内で運搬することができる。
【0024】
移動手段38は、台車34のフレーム48内に前記軸線方向に間隔を置いて配置され、それぞれが前記横断方向に伸びる第1シリンダー62及び第2シリンダー64からなる。第1シリンダー62は、一端部66が台車34のフレーム48の一方の側部44aに固定され、他端部68が受台36に固定されている。第2シリンダー64は、一端部70が台車34のフレーム48の他方の側部44bに固定され、他端部72が受台36に固定されている。第1シリンダー62は伸長して受台36を前記横断方向における受台36の一方の側方(図4における右方)へ移動させ、第2シリンダー64は伸長して受台36を前記横断方向における受台36の他方の側方(図4における左方)へ移動させる。
【0025】
第1シリンダー62により受台36を該受台の前記一方の側方へ移動させることにより、管12をトンネル10の一方の側壁部分32から他方の側壁部分32に向けて移動させることができ、第2シリンダー64により受台36を該受台の前記他方の側方へ移動させることにより、管12をトンネル10の他方の側壁部分32から一方の側壁部分32に向けて移動させることができる。これにより、トンネル10の曲線部分24において移動手段38により管12を前記曲率中心に向けて移動させることができ、トンネル10内での管12の運搬時に該管の両端部30がトンネル10の前記曲率中心から遠い方の側壁部分32aに接触するのを防止することができる。
【0026】
ところで、第1シリンダー62及び第2シリンダー64のそれぞれは、運搬装置14の製作費の低減を図るため、比較的安価な汎用のシリンダーを用いるのが好ましい。しかし、前記汎用のシリンダーは特定のストロークを有し、該ストロークは任意に変更することができない。このため、前記ストロークが短ければ、トンネル10の曲線部分24で管12を前記曲率中心に向けて移動させても管12の各端部30とトンネル10の前記曲率中心から遠い方の側壁部分32aとの間の間隔を十分に広げられない。また、前記ストロークが長ければ、トンネル10の曲線部分24で管12を前記曲率中心に向けて移動させた後の管12の中央部とトンネル10の前記曲率中心に近い方の側壁部分32bとの間隔が狭くなり、管12の中央部がトンネル10の側壁部分32bに接触する恐れがある。
【0027】
受台36が、前記軸線方向に間隔を置かれた一対の台車34のそれぞれの上に配置されているため、両台車34間の間隔を変更することにより、一方の台車34上の受台36と他方の台車34上の受台36との間隔を変更することができる。これにより、トンネル10の曲線部分24における管12の前記横断方向の位置を変えることができる。例えば、両台車34間の間隔を広げることにより、管12を前記曲率中心に近づけることができ、両台車34間の間隔を狭めることにより、管12を前記曲率中心から遠ざけることができる。すなわち、第1シリンダー62及び第2シリンダー64のそれぞれのストロークを変更しなくても、両台車34間の間隔を変更してトンネル10の曲線部分24における管12の前記横断方向の位置を変えることができる。これにより、管12の前記曲率中心に向けての移動後の管12の各端部30とトンネル10の側壁部分32aとの間の間隔と管12の中央部とトンネル10の側壁部分32bとの間の間隔とがほぼ等しくなるようにすることができ、管12の両端部30とトンネル10の側壁部分32aとの接触と管12の中央部とトンネル10の側壁部分32bとの接触との双方をより確実に防止できる。
【0028】
移動手段38は、第1シリンダー62及び第2シリンダー64からなる図示の例に代え、例えば、台車34のフレーム48内に配置され、前記横断方向に伸びるラック(図示せず)であって各端部がフレーム48の側部44a、44bに固定されたラックと、該ラックと噛み合わされたピニオン(図示せず)と、該ピニオンが取り付けられ、受台36に固定されたモーター(図示せず)とからなるものでもよい。
【0029】
移動手段38により前記横断方向に移動可能な受台36が、前記軸線方向に間隔を置かれた一対の台車34のそれぞれの上に配置されていることから、台車34と受台36とを管12の全長にわたって存在させることなく管12を前記横断方向に移動可能にすることができる。このため、台車34と受台36とが存在する範囲が比較的狭く、台車34及び受台36の製作費が比較的安価である。
【0030】
両台車34は連結手段74により互いに連結されている。連結手段74は、一端部76が一方の台車34に取外し可能に固定され、他端部78が他方の台車34に取外し可能に固定された棒状部材80からなる。各台車34のフレーム48の各端部46に、該端部46から前記軸線方向における外方へ伸びる連結用部材82が設けられており、棒状部材80の各端部76、78は、該端部と台車34の連結用部材82とを上下方向に貫くピン84により取外し可能に固定されている。棒状部材80はピン84に関して回転可能である。
【0031】
連結手段74は、棒状部材80からなる図示の例に代え、一端部が一方の台車34に固定され、他端部が他方の台車34に固定されたロープ(図示せず)からなるものでもよい。また、両台車34が連結手段74により互いに連結されている図示の例に代え、両台車34が互いに連結されていなくてもよい。両台車34が互いに連結されていなくても、管12の運搬時、管12と各台車34の受台36との間に生じる摩擦力により、管12が各台車34からずれることはない。
【0032】
トンネル10内での管12の運搬は、管12を、その一端部30が一方の台車34上に位置し、その他端部30が他方の台車34上に位置するように運搬装置14上に配置した状態で行う。管12の各端部30は、受台36に取り付けられた、管12の周囲を取り巻くバンド86(図1)により台車34に固定される。受台36の各側部に、貫通孔88aを有するバンド取付け用部材88が設けられており、バンド86は、その各端部がバンド取付け用部材88を介して受台36に取り付けられる。
【0033】
受台36に取り付けられたバンド86の各端部は、トンネル10内で管12を運搬した後、管12の各端部30の台車34への固定を解除するため、トンネル10内で受台36から取り外される。バンド86の各端部の受台36からの取外し作業は、前記軸線方向における管12の各端部30の外方にいる作業員が行う。このため、管12の各端部30の端面から受台36までの間隔は、前記作業員の手がバンド86に届くようにするため、約30cm以内であることが好ましい。
【0034】
なお、長さが異なる他の管を運搬する場合、該他の管の各端部の端面から受台36までの間隔を、管12の各端部30の端面から受台36までの間隔と等しくするためには一方の台車34上の受台36と他方の台車34上の受台36との間の間隔を前記他の管の長さに応じて変えなければならない。運搬装置14は、両台車34間の間隔を任意に変更することができ、これにより、一方の台車34上の受台36と他方の台車34上の受台36との間の間隔を前記他の管の長さに応じて変えることができる。このため、運搬装置14を前記他の管に適合させることができ、該他の管のために新たな運搬装置を用意する必要がない。
【0035】
運搬装置14から前記軸線方向に間隔を置いて機関車90が配置され、運搬装置14の一方の台車34は機関車90と連結されている。機関車90は運搬装置14を前記軸線方向に移動させる。
【0036】
管12をトンネル10内で運搬するとき、まず、図8に示したように、管12を該管がトンネル10の曲線部分24に到達するまで前記軸線方向におけるトンネル10の曲線部分24の一方の側から該曲線部分に向けて移動させる。例えば、トンネル10が曲線部分24の一方の側に直線部分を有する場合、管12を前記直線部分から曲線部分24に向けて移動させる。また、トンネル10が曲線部分24の一方の側に該曲線部分より曲率半径が大きい他の曲線部分を有する場合、管12を前記他の曲線部分から曲線部分24に向けて移動させる。このとき、図8に示した例では、管12の全部がトンネル10の曲線部分24に到達するまで管12を移動させるが、これに代え、管12の一部がトンネル10の曲線部分24に到達するまで管12を移動させてもよい。
【0037】
次に、図9に示すように、トンネル10の曲線部分24に到達した管12を前記曲率中心に向けて(図9における右方に向けて)移動させる。管12の前記曲率中心に向けての移動は、運搬装置14の各台車34に設けられた第1シリンダー62又は第2シリンダー64を伸張させて受台36を前記横断方向に移動させることにより行う。
【0038】
その後、前記曲率中心に向けて移動させた管12を前記軸線方向におけるトンネル10の曲線部分24の他方の側へ移動させる。例えば、トンネル10が曲線部分24の他方の側に直線部分を有する場合、管12を曲線部分24から前記直線部分へ移動させる。トンネル10が曲線部分24の他方の側に該曲線部分より曲率半径が大きい他の曲線部分を有する場合、管12を曲線部分24から前記他の曲線部分へ移動させる。
【0039】
トンネル10の曲線部分24に到達した管12を前記曲率中心に向けて移動させた後、管12を前記軸線方向においてトンネル10の曲線部分24の他方の側へ移動させる上記の例に代え、トンネル10の曲線部分24に到達した管12を前記曲率中心に向けて移動させつつ前記軸線方向において曲線部分24の他方の側へ移動させてもよい。
【0040】
管12をトンネル10の曲線部分24の他方の側へ移動させることに先立ち、管12を前記曲率中心に向けて移動させること、又は管12を前記曲率中心に向けて移動させつつトンネル10の曲線部分24の他方の側へ移動させることにより、管12の各端部30とトンネル10の前記曲率中心から遠い方の側壁部分32aとの間の間隔を広げることができる。これにより、管12の両端部30をトンネル10の側壁部分32aに接触させることなく管12をトンネル10内で運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る運搬装置の側面図。
【図2】図1の線2における運搬装置の正面図。
【図3】図2の線3における台車の側面図。
【図4】図3の線4における台車の平面図。
【図5】受台を省略したときの台車の平面図。
【図6】図4の線6における台車の正面図。
【図7】図4の線7における台車の断面図。
【図8】トンネルの曲線部分における管の水平断面図。
【図9】管をトンネルの曲線部分の曲率中心に向けて移動させた後の管の水平断面図。
【符号の説明】
【0042】
10 トンネル
12 管
14 運搬装置
24 曲線部分
26 管の軸線
28 トンネルの軸線
30 管の端部
32 側壁部分
34 台車
36 受台
38 移動手段
44a、44b フレームの側部
46 フレームの端部
48 フレーム
50 車輪
62 第1シリンダー
64 第2シリンダー
66 第1シリンダーの一端部
68 第1シリンダーの他端部
70 第2シリンダーの一端部
72 第2シリンダーの他端部
74 連結手段
76 棒状部材の一端部
78 棒状部材の他端部
80 棒状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において軸線が水平面で見て前記トンネルの軸線と交差している状態で両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を前記トンネル内で運搬する運搬装置であって、前記トンネルの軸線方向に間隔を置いて配置され、それぞれが前記軸線方向に移動可能である一対の台車と、各台車上に配置され、前記管を受ける受台と、各台車に設けられ、前記受台を前記トンネルの横断方向に移動させる移動手段とを含む、運搬装置。
【請求項2】
各台車は、前記横断方向に間隔を置かれた一対の側部及び該側部間にあって前記軸線方向に間隔を置かれた一対の端部からなるフレームと、該フレームの各側部に前記軸線方向に間隔を置いて取り付けられた複数の車輪とを有し、前記受台は前記台車の前記フレーム上に配置され、前記移動手段は前記台車の前記フレーム内に配置されている、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記台車の前記フレーム内に前記軸線方向に間隔を置いて配置された、それぞれが前記横断方向に伸びる第1シリンダー及び第2シリンダーであって一端部が前記フレームの一方の側部に固定され、他端部が前記受台に固定された、該受台を前記横断方向における前記受台の一方の側方へ移動させる第1シリンダーと、一端部が前記フレームの他方の側部に固定され、他端部が前記受台に固定された、該受台を前記横断方向における前記受台の他方の側方へ移動させる第2シリンダーとからなる、請求項2に記載の運搬装置。
【請求項4】
両台車は連結手段により互いに連結されており、該連結手段は、一端部が一方の台車に取外し可能に固定され、他端部が他方の台車に取外し可能に固定された棒状部材からなる、請求項1に記載の運搬装置。
【請求項5】
曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において軸線が水平面で見て前記トンネルの軸線と交差している状態で両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を前記トンネル内で運搬する運搬方法であって、前記管を該管が前記トンネルの前記曲線部分に到達するまで前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の一方の側から該曲線部分に向けて移動させること、前記トンネルの前記曲線部分に到達した前記管を前記トンネルの前記曲線部分の曲率中心に向けて移動させること、前記曲率中心に向けて移動させた前記管を前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の他方の側へ移動させることを含む、運搬方法。
【請求項6】
曲線部分を有するトンネル内で用いられる管であって前記トンネルの前記曲線部分において軸線が水平面で見て前記トンネルの軸線と交差している状態で両端部が前記トンネルの側壁部分に接する程度に長い管を前記トンネル内で運搬する運搬方法であって、前記管を該管が前記トンネルの前記曲線部分に到達するまで前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の一方の側から該曲線部分に向けて移動させること、前記トンネルの前記曲線部分に到達した前記管を前記トンネルの前記曲線部分の曲率中心に向けて移動させつつ前記トンネルの軸線方向における前記トンネルの前記曲線部分の他方の側へ移動させることを含む、運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−155809(P2009−155809A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331816(P2007−331816)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000001317)株式会社熊谷組 (551)
【出願人】(596038962)株式会社丸菱電機 (1)
【Fターム(参考)】