トンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法
【課題】妻部の面部分の形状を簡単かつ容易に一定に仕上げることができ、また作業時間を短縮することができるトンネル坑門用型枠を提供する。
【解決手段】トンネル坑門1の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠2と、トンネル坑門1の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠3と、前記内型枠2と外型枠3のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠4とを備えたトンネル坑門用型枠F。前記内型枠2の外周面及び前記外型枠3の内周面はいずれも鋼製材料で形成されている。トンネル坑門1の妻部の角部に面を成形し得る面木部12と、この面木部12に固着された磁石部13とからなり、この磁石部13によって、内型枠2の外周面及び外型枠3の内周面に前記妻部の角部に沿うように着脱自在に取り付けられる面木体11を備えている。
【解決手段】トンネル坑門1の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠2と、トンネル坑門1の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠3と、前記内型枠2と外型枠3のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠4とを備えたトンネル坑門用型枠F。前記内型枠2の外周面及び前記外型枠3の内周面はいずれも鋼製材料で形成されている。トンネル坑門1の妻部の角部に面を成形し得る面木部12と、この面木部12に固着された磁石部13とからなり、この磁石部13によって、内型枠2の外周面及び外型枠3の内周面に前記妻部の角部に沿うように着脱自在に取り付けられる面木体11を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、景観をよくしたり、地山からの落石を防止したりするために、面壁スタイル(方式)に代えて、坑門が地山から突出し出口側端面が略垂直になっている突出型坑門、出口側端面がトンネル側に傾斜している竹割り式坑門、出口側端面が竹割り式坑門と逆方向に傾斜している逆竹割り式坑門等が多用されている。
【0003】
このような地山から突出するタイプのトンネル坑門は、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠と、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠と、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠とを備えたトンネル坑門用型枠内に生コンクリートを打設して、所定期間養生した後に前記型枠を脱型することで形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、かかるトンネル坑門では、妻部のコーナー部分を保護するために当該コーナー部分に面取りが施されるが、従来より、この面取りは、脱型後の妻部のコーナー部分をサンダーで削り取るか、又は内型枠と外型枠との間に配置される妻型枠の内面側(コンクリート側)の所定箇所に面木を固定することで行われている。
【0005】
図14は、後者の施工例を示す断面説明図であり、同図に示されるように、木製型枠30に補強用の桟木31が取り付けられた妻型枠32の内面側には、釘等の固着手段で面木34が固定されており、この妻型枠32が、内型枠であるインセントル35の外周面と、外型枠36の内周面を構成するメタルフォーム37との間に配置されている。前記妻型枠32は、インバート38中に埋設されたアンカー39に一端が固定されたセパレータ40により位置決めがされる。そして、このようなトンネル坑門用型枠内に生コンクリートを打設して、所定期間養生することで、前記面木34によりコーナー部が面取りされた妻部を形成することができる。なお、図14において、41は全体としてアーチ状になる、H型鋼からなる支保工であり、42は水平に配置される、同じくH型鋼からなる直線状の通しビームである。また、43は、妻型枠32の桟木31と密着して配設されたパイプである。妻型枠32は、その上端が番線44によって前記通しビーム42に固定されたパイプサポート45により、コンクリート打設時における上方(図14において上方)への移動が規制されている。そして、セパレータ40の上端がパイプサポート45最下端のフランジ45a中央の孔(図示せず)内に嵌まるように、当該パイプサポート45の下端部の位置決めがされる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−82993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サンダーでコンクリートの縁部を削り取る方法は、面部分の形状を一定に仕上げるのが難しいだけでなく、削り取った箇所の粗骨材が露出し景観が悪くなるという問題がある。
また、面木34を用いる方法は、当該面木34が妻型枠32の内面側に固定されており、妻型枠32を外型枠と内型枠の間に配設する際に作業者が直接これを視認することができないことから、正確に位置決めするのが難しく、作業に時間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、妻部の面部分の形状を簡単かつ容易に一定に仕上げることができ、また作業時間を短縮することができるトンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のトンネル坑門用型枠は、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠と、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠と、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠とを備えたトンネル坑門用型枠であって、
前記内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面がいずれも鋼製部材で形成されており、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなり、この磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように着脱自在に取り付けられる面木体を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明のトンネル坑門用型枠では、内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面を鋼製部材で構成し、これらの面に磁石部を有する面木体を着脱自在に取り付けることで、妻型枠の配置箇所を規定している。前記面木体は、従来の面木体とは異なり妻型枠とは別体であるので、所定の取付箇所に当該面木体を直接視認しつつ取り付けることができ、しかも磁力を利用した固定であることから、その位置調整が容易である。したがって、作業性に優れるとともに、正確に妻型枠の配置箇所を規定することができる。また、前記面木体の表面で妻部の面部分を形成することができるので、当該面部分の形状を簡単かつ容易に一定にすることができる。
【0011】
前記外型枠の内周面をメタルフォームで形成することができる。妻型枠とは別体の面木体を外型枠のメタルフォームに取り付けることで、当該妻縁に沿う曲線形状に切断加工された鋼板(例えば、本出願人が、先に提案した特願2001−276913号(特許第3590786号)における外型枠の鋼板)で外型枠の内周面を形成しなくても、妻縁を簡単かつ正確に規定することができる。したがって、鋼板の切断加工が不要になった分、大幅なコストダウンを図ることができる。また、メタルフォームの場合、規格品であることから、型枠解体後に他の現場で再利用することができ、省資源化及び省コスト化を図ることができる。
【0012】
前記面木体の面木部が、断面略三角形の長尺材からなり、この長尺材の一側面に帯板状の磁石部が固着されているのが好ましい。この場合、前記帯板状の磁石部を内型枠の外周面又は外型枠の内周面に着脱自在に取り付けることができる。また、構成が単純であることから、低コストで面木体を作製することができる。
【0013】
前記面木部が合成樹脂発泡体で作製されているのが好ましい。この場合、軽量であり、熱線又はカッターナイフで容易に加工することができるので、作業性にすぐれている。
【0014】
また、本発明のトンネル坑門の施工方法は、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製材料で作製された内型枠を、トンネルの坑口に配置する工程、
前記内型枠の外周側を、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された外型枠で覆うようにして当該外型枠を前記トンネルの坑口に配置する工程、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなる面木体を、前記磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように取り付ける工程、及び
前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を妻型枠で閉塞する工程
を含むことを特徴としている。
【0015】
本発明のトンネル坑門の施工方法では、内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面を鋼製部材で構成し、これらの面に磁石部を有する面木体を着脱自在に取り付けることで、妻型枠の配置箇所を規定している。前記面木体は、従来の面木体とは異なり妻型枠とは別体であるので、所定の取付箇所に当該面木体を直接視認しつつ取り付けることができ、しかも磁力を利用した固定であることから、その位置調整が容易である。したがって、作業性に優れるとともに、正確に妻型枠の配置箇所を規定することができる。また、前記面木体の表面で妻部の面部分を形成することができるので、当該面部分の形状を簡単かつ容易に一定にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のトンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法によれば、妻部の面部分の形状を簡単かつ容易に一定に仕上げることができ、また作業時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る竹割型トンネル坑門用型枠(以下、単に坑門用型枠ともいう)の正面説明図であり、図2は、図1に示されるトンネル坑門用型枠における外型枠の、施工用足場を含む正面説明図ある。また、図3〜4は、それぞれ図2の外型枠の側面説明図及び展開図である。
【0018】
前記坑門用型枠Fは、トンネル坑門1の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠2と、トンネル坑門1の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠3と、前記内型枠2と外型枠3のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠4(図5参照)とを備えている。そして、外型枠3の外周部には、図2〜3に示されるような作業用の足場50が組まれている。
【0019】
図1において、外型枠3は、トンネル坑門1の左右(図1において左右)の側面に対応する側部3sと、同じくトンネル坑門1の頂面(天井面)に対応する頂部(クラウン部)3tとをアーチ状に連結して構成されている。トンネル坑門1を成すコンクリートは、路面R下部に埋設されるインバート20と接合され、ほぼ馬蹄形の構造体を形成する。一方、内型枠2は、トンネル内部において覆工コンクリートを打設する際に用いられる、インセントルと呼ばれるものであり、この内型枠2は、専用の台車(移動足場)によりトンネルの長手方向に移動自在である。内型枠(インセントル)2は、トンネル坑門内周面のうち頂面に対応する頂部2tと、前記頂面のトンネル周方向両側の側面に対応する側部2sとからなるとともに前記頂部2tと側部2sとがヒンジ21にて結合されている。トンネル覆工に用いられるインセントルをトンネル坑門施工用の内型枠2として用いると、内型枠2の組立に要する時間を短縮するとともに、型枠用のコストを削減することができる。
【0020】
外型枠3は、全体としてアーチ状になる支保工5と、水平に配置される直線状の通しビーム6とを縦横に組み立てたものであり、当該支保工5及び通しビーム6は、H形鋼からなっている。支保工5の下端部は、アンカーボルト(図示せず)により、インバート20(図1参照)に固定することができるようになっている。前記外型枠3の内周面には、トンネル坑門1の外周面に沿う湾曲形状を呈する、鋼製部材であるメタルフォーム7が配設されている。
【0021】
また、内型枠2の外周面は、トンネル坑門1の内周面に沿う湾曲形状を呈する、鋼製部材である鋼板8により構成されている。図5において、22は、妻型枠4の桟木10と密着して配設されたパイプである。妻型枠4は、その上端が番線23によって前記通しビーム6に固定されたパイプサポート24により、コンクリート打設時における上方(図5において上方)への移動が規制されている。そして、前記パイプ22と妻型枠4とを固定するタイボルト25の上端がパイプサポート24最下端のフランジ24a中央の孔(図示せず)内に嵌まるように、当該パイプサポート24の下端部の位置決めがされる。
【0022】
妻型枠4は、木製型枠9と、この木製型枠9の片面に固定された、補強用の桟木10とからなっており、前記内型枠2と外型枠3の間において、トンネル坑門1の妻部に沿って配設される。
【0023】
本発明の特徴は、前記妻部の角部(コーナー部)に面取りを施すための面木(体)を、妻型枠4とは別体とし、前記内型枠2の外周面及び外型枠3の内周面に着脱自在にしたことである。
図6は、本発明における面木体の一例の斜視説明図であり、この面木体11は、トンネル坑門1の妻部の角部に面を成形し得る面木部12と、この面木部12に固着された磁石部13とで構成されており、本例では、前記面木部12は、断面略三角形の長尺材からなっており、この長尺材の一側面の略全面に帯板状の磁石部13が固着されている。
【0024】
面木部12は、例えば木、ゴム、合成樹脂等で作製することができるが、木の場合、ノコギリで切断した後にカンナで表面仕上をする必要があり、またゴムの場合、金型を用いて所定形状・寸法の面木を作製する必要がある。これに対し、合成樹脂発泡体(例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)を主成分とし、これに発泡剤、発泡助剤、架橋剤及び顔料、さらにはゴムやプラスチック系エラストマー等を必要に応じて適宜配合したものの発泡体)は、軽量であり、熱線又はカッターナイフ等で容易に加工できることから、かかる合成樹脂発泡体で面木部12を作製するのが好ましい。磁石部13は、ネオジム磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石等の磁石で作製することができ、接着剤やビス等の固着手段により前記面木部12に固着される。
【0025】
そして、磁石部13を有する面木体11を、鋼製部材で構成された内型枠2の外周面及び前記外型枠3の内周面に着脱自在に取り付けることで、これらの面に妻型枠4の配置箇所、換言すれば妻縁15(図4参照)を簡単かつ正確に規定することができる。この場合に、前記面木体11は、従来の面木体とは異なり妻型枠4とは別体であるので、所定の取付箇所に当該面木体11を直接視認しつつ取り付けることができ、しかも磁力を利用した固定であることから、その位置調整が容易である。したがって、作業性に優れるとともに、正確に妻型枠4の配置箇所を規定することができる。また、前記面木体11の表面で妻部の面部分を形成することができるので、当該面部分の形状を簡単かつ容易に一定にすることができる。
【0026】
また、妻型枠4とは別体の面木体11を前記外型枠3のメタルフォーム7に取り付けることで、当該妻縁に沿う曲線形状に切断加工された鋼板(例えば、本出願人が、先に提案した特願2001−276913号(特許第3590786号)における外型枠の鋼板)で外型枠の内周面を形成しなくても、妻縁を簡単かつ正確に規定することができる。したがって、切断加工が不要になった分、大幅なコストダウンを図ることができる。また、メタルフォーム7の場合、規格品であることから、型枠解体後に他の現場で再利用することができ、省資源化及び省コスト化を図ることができる。
【0027】
前記面木部12の長手方向の寸法は、トンネル坑門1の妻部の角部が曲線状を呈することや、施工性、作業効率等を考慮して選定することができるが、概ね、70〜90cm程度が目安である。また、妻部の角部に面を形成するための面12aの寸法Waは、当該妻部の面の寸法に対応して選定されるが、妻型枠4の木製型枠9が載置される面12bの寸法Wbは、通常、3〜5cmの範囲から選定される。
【0028】
前記帯板状の磁石部13は、全体を磁石で作製してもよいし、その一部(例えば、両端部分)だけを磁石で作製し、残りの部分をスペーサとして他の材料で作製してもよい。また、磁石部13は、図6に示されるように、面木部12の一側面に固着する以外に、例えば、図7に示されるように、面木部12の一側面に当該側面と面一になるように埋設して固着することもできる。この場合も、面木部12の長手方向全体に亘って磁石部13を埋設してもよいし、部分的に(例えば、面木部12の両端付近に)磁石部13を埋設してもよい。
【0029】
前記坑門用型枠を用いたトンネル坑門の施工は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された内型枠を、トンネルの坑口に配置する。つぎに、前記内型枠の外周側を、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された外型枠で覆うようにして当該外型枠を前記トンネルの坑口に配置する。
【0030】
そして、前述したような面木体を、その磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に取り付ける。その際、前記面木体における、トンネル坑門の妻部の角部に面を形成する面が、連続し且つ当該角部の面に対応するように、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に取り付ける。これにより、内型枠の外周面及び外型枠の内周面のそれぞれに、トンネル坑門の妻部の角部に対応するラインが形成される。
【0031】
なお、竹割型トンネル坑門用型枠又は逆竹割り型トンネル坑門用型枠の場合、トンネル坑門の側部と頂部とでは、妻部のコーナー部の面取りの角度が異なることから、当該面取りを行う面木体の断面形状も設置箇所により変化させる必要がある。図8〜13は、前記面木体の頂角α(図6参照。面木体における妻型枠が載置される面と、内型枠の外周面又は外型枠の内周面に固着される面とのなす角度)の変化例を説明する図である。
【0032】
図8は、本発明のトンネル坑門用型枠の一実施の形態の左半分の正面説明図であり、この坑門用型枠は、平面視すると、図9に示されるように、略半馬蹄形状を呈している。そして、この例では、妻型枠は18の部分(「左―1」〜「左―18」)に分割されている。また、外型枠は7つの部分(「外―1」〜「外―7」)に、内型枠は8つの部分(「内―1」〜「内―8」)に分割されている。
【0033】
図10〜13は、それぞれ図9においてA〜Dで示される部位における妻型枠の断面を説明する図であり、これらの図に示されるように、外型枠の内周面に取り付けられる面木体の頂角αはトンネル坑門の頂部に行くにしたがって90°から145°まで徐々に大きくなり、一方、内型枠の外周面に取り付けられる面木体の頂角αはトンネル坑門の頂部に行くにしたがって90°から35°まで徐々に小さくなる。この角度の変化は、トンネル坑門の形状、サイズや妻面の路面に対する傾斜角により異なる。なお、図10〜13において、Ctは躯体コンクリートである。
【0034】
つぎに、ライン状に配置された面木体上に妻型枠を載せて、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を当該妻型枠で閉塞する。この場合、妻型枠の配置箇所が面木体により規定されているので、妻型枠の配置作業を簡便且つ迅速に行うことができる。
そして、以上のようにして組み立てた坑門用型枠内に生コンクリートを打設して、所定期間養生した後に前記型枠を脱型することで、トンネル坑門を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のトンネル坑門用型枠の一実施の形態の正面説明図である。
【図2】図1に示されるトンネル坑門用型枠における外型枠の、施工用足場を含む正面説明図である。
【図3】図2に示される外型枠の側面説明図である。
【図4】図2に示される外型枠の展開図である。
【図5】図1に示されるトンネル坑門用型枠における妻型枠部分の断面説明図である。
【図6】本発明における面木体の一例の斜視説明図である。
【図7】本発明における面木体の他の例の断面説明図である。
【図8】本発明のトンネル坑門用型枠の一実施の形態の左半分の正面説明図である。
【図9】図8に示されるトンネル坑門用型枠の左半分における妻型枠の割付図である。
【図10】図9においてAで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図11】図9においてBで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図12】図9においてCで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図13】図9においてDで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図14】従来のトンネル坑門用型枠における妻型枠部分の断面説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 トンネル坑門
2 内型枠
3 外型枠
4 妻型枠
7 メタルフォーム
8 鋼板
9 木製型枠
10 桟木
11 面木体
12 面木部
13 磁石部
F 坑門用型枠
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、景観をよくしたり、地山からの落石を防止したりするために、面壁スタイル(方式)に代えて、坑門が地山から突出し出口側端面が略垂直になっている突出型坑門、出口側端面がトンネル側に傾斜している竹割り式坑門、出口側端面が竹割り式坑門と逆方向に傾斜している逆竹割り式坑門等が多用されている。
【0003】
このような地山から突出するタイプのトンネル坑門は、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠と、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠と、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠とを備えたトンネル坑門用型枠内に生コンクリートを打設して、所定期間養生した後に前記型枠を脱型することで形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、かかるトンネル坑門では、妻部のコーナー部分を保護するために当該コーナー部分に面取りが施されるが、従来より、この面取りは、脱型後の妻部のコーナー部分をサンダーで削り取るか、又は内型枠と外型枠との間に配置される妻型枠の内面側(コンクリート側)の所定箇所に面木を固定することで行われている。
【0005】
図14は、後者の施工例を示す断面説明図であり、同図に示されるように、木製型枠30に補強用の桟木31が取り付けられた妻型枠32の内面側には、釘等の固着手段で面木34が固定されており、この妻型枠32が、内型枠であるインセントル35の外周面と、外型枠36の内周面を構成するメタルフォーム37との間に配置されている。前記妻型枠32は、インバート38中に埋設されたアンカー39に一端が固定されたセパレータ40により位置決めがされる。そして、このようなトンネル坑門用型枠内に生コンクリートを打設して、所定期間養生することで、前記面木34によりコーナー部が面取りされた妻部を形成することができる。なお、図14において、41は全体としてアーチ状になる、H型鋼からなる支保工であり、42は水平に配置される、同じくH型鋼からなる直線状の通しビームである。また、43は、妻型枠32の桟木31と密着して配設されたパイプである。妻型枠32は、その上端が番線44によって前記通しビーム42に固定されたパイプサポート45により、コンクリート打設時における上方(図14において上方)への移動が規制されている。そして、セパレータ40の上端がパイプサポート45最下端のフランジ45a中央の孔(図示せず)内に嵌まるように、当該パイプサポート45の下端部の位置決めがされる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−82993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、サンダーでコンクリートの縁部を削り取る方法は、面部分の形状を一定に仕上げるのが難しいだけでなく、削り取った箇所の粗骨材が露出し景観が悪くなるという問題がある。
また、面木34を用いる方法は、当該面木34が妻型枠32の内面側に固定されており、妻型枠32を外型枠と内型枠の間に配設する際に作業者が直接これを視認することができないことから、正確に位置決めするのが難しく、作業に時間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、妻部の面部分の形状を簡単かつ容易に一定に仕上げることができ、また作業時間を短縮することができるトンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のトンネル坑門用型枠は、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠と、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠と、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠とを備えたトンネル坑門用型枠であって、
前記内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面がいずれも鋼製部材で形成されており、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなり、この磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように着脱自在に取り付けられる面木体を備えていることを特徴としている。
【0010】
本発明のトンネル坑門用型枠では、内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面を鋼製部材で構成し、これらの面に磁石部を有する面木体を着脱自在に取り付けることで、妻型枠の配置箇所を規定している。前記面木体は、従来の面木体とは異なり妻型枠とは別体であるので、所定の取付箇所に当該面木体を直接視認しつつ取り付けることができ、しかも磁力を利用した固定であることから、その位置調整が容易である。したがって、作業性に優れるとともに、正確に妻型枠の配置箇所を規定することができる。また、前記面木体の表面で妻部の面部分を形成することができるので、当該面部分の形状を簡単かつ容易に一定にすることができる。
【0011】
前記外型枠の内周面をメタルフォームで形成することができる。妻型枠とは別体の面木体を外型枠のメタルフォームに取り付けることで、当該妻縁に沿う曲線形状に切断加工された鋼板(例えば、本出願人が、先に提案した特願2001−276913号(特許第3590786号)における外型枠の鋼板)で外型枠の内周面を形成しなくても、妻縁を簡単かつ正確に規定することができる。したがって、鋼板の切断加工が不要になった分、大幅なコストダウンを図ることができる。また、メタルフォームの場合、規格品であることから、型枠解体後に他の現場で再利用することができ、省資源化及び省コスト化を図ることができる。
【0012】
前記面木体の面木部が、断面略三角形の長尺材からなり、この長尺材の一側面に帯板状の磁石部が固着されているのが好ましい。この場合、前記帯板状の磁石部を内型枠の外周面又は外型枠の内周面に着脱自在に取り付けることができる。また、構成が単純であることから、低コストで面木体を作製することができる。
【0013】
前記面木部が合成樹脂発泡体で作製されているのが好ましい。この場合、軽量であり、熱線又はカッターナイフで容易に加工することができるので、作業性にすぐれている。
【0014】
また、本発明のトンネル坑門の施工方法は、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製材料で作製された内型枠を、トンネルの坑口に配置する工程、
前記内型枠の外周側を、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された外型枠で覆うようにして当該外型枠を前記トンネルの坑口に配置する工程、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなる面木体を、前記磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように取り付ける工程、及び
前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を妻型枠で閉塞する工程
を含むことを特徴としている。
【0015】
本発明のトンネル坑門の施工方法では、内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面を鋼製部材で構成し、これらの面に磁石部を有する面木体を着脱自在に取り付けることで、妻型枠の配置箇所を規定している。前記面木体は、従来の面木体とは異なり妻型枠とは別体であるので、所定の取付箇所に当該面木体を直接視認しつつ取り付けることができ、しかも磁力を利用した固定であることから、その位置調整が容易である。したがって、作業性に優れるとともに、正確に妻型枠の配置箇所を規定することができる。また、前記面木体の表面で妻部の面部分を形成することができるので、当該面部分の形状を簡単かつ容易に一定にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のトンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法によれば、妻部の面部分の形状を簡単かつ容易に一定に仕上げることができ、また作業時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のンネル坑門用型枠及びこの型枠を用いたトンネル坑門の施工方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る竹割型トンネル坑門用型枠(以下、単に坑門用型枠ともいう)の正面説明図であり、図2は、図1に示されるトンネル坑門用型枠における外型枠の、施工用足場を含む正面説明図ある。また、図3〜4は、それぞれ図2の外型枠の側面説明図及び展開図である。
【0018】
前記坑門用型枠Fは、トンネル坑門1の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠2と、トンネル坑門1の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠3と、前記内型枠2と外型枠3のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠4(図5参照)とを備えている。そして、外型枠3の外周部には、図2〜3に示されるような作業用の足場50が組まれている。
【0019】
図1において、外型枠3は、トンネル坑門1の左右(図1において左右)の側面に対応する側部3sと、同じくトンネル坑門1の頂面(天井面)に対応する頂部(クラウン部)3tとをアーチ状に連結して構成されている。トンネル坑門1を成すコンクリートは、路面R下部に埋設されるインバート20と接合され、ほぼ馬蹄形の構造体を形成する。一方、内型枠2は、トンネル内部において覆工コンクリートを打設する際に用いられる、インセントルと呼ばれるものであり、この内型枠2は、専用の台車(移動足場)によりトンネルの長手方向に移動自在である。内型枠(インセントル)2は、トンネル坑門内周面のうち頂面に対応する頂部2tと、前記頂面のトンネル周方向両側の側面に対応する側部2sとからなるとともに前記頂部2tと側部2sとがヒンジ21にて結合されている。トンネル覆工に用いられるインセントルをトンネル坑門施工用の内型枠2として用いると、内型枠2の組立に要する時間を短縮するとともに、型枠用のコストを削減することができる。
【0020】
外型枠3は、全体としてアーチ状になる支保工5と、水平に配置される直線状の通しビーム6とを縦横に組み立てたものであり、当該支保工5及び通しビーム6は、H形鋼からなっている。支保工5の下端部は、アンカーボルト(図示せず)により、インバート20(図1参照)に固定することができるようになっている。前記外型枠3の内周面には、トンネル坑門1の外周面に沿う湾曲形状を呈する、鋼製部材であるメタルフォーム7が配設されている。
【0021】
また、内型枠2の外周面は、トンネル坑門1の内周面に沿う湾曲形状を呈する、鋼製部材である鋼板8により構成されている。図5において、22は、妻型枠4の桟木10と密着して配設されたパイプである。妻型枠4は、その上端が番線23によって前記通しビーム6に固定されたパイプサポート24により、コンクリート打設時における上方(図5において上方)への移動が規制されている。そして、前記パイプ22と妻型枠4とを固定するタイボルト25の上端がパイプサポート24最下端のフランジ24a中央の孔(図示せず)内に嵌まるように、当該パイプサポート24の下端部の位置決めがされる。
【0022】
妻型枠4は、木製型枠9と、この木製型枠9の片面に固定された、補強用の桟木10とからなっており、前記内型枠2と外型枠3の間において、トンネル坑門1の妻部に沿って配設される。
【0023】
本発明の特徴は、前記妻部の角部(コーナー部)に面取りを施すための面木(体)を、妻型枠4とは別体とし、前記内型枠2の外周面及び外型枠3の内周面に着脱自在にしたことである。
図6は、本発明における面木体の一例の斜視説明図であり、この面木体11は、トンネル坑門1の妻部の角部に面を成形し得る面木部12と、この面木部12に固着された磁石部13とで構成されており、本例では、前記面木部12は、断面略三角形の長尺材からなっており、この長尺材の一側面の略全面に帯板状の磁石部13が固着されている。
【0024】
面木部12は、例えば木、ゴム、合成樹脂等で作製することができるが、木の場合、ノコギリで切断した後にカンナで表面仕上をする必要があり、またゴムの場合、金型を用いて所定形状・寸法の面木を作製する必要がある。これに対し、合成樹脂発泡体(例えば、エチレンビニルアセテート(EVA)を主成分とし、これに発泡剤、発泡助剤、架橋剤及び顔料、さらにはゴムやプラスチック系エラストマー等を必要に応じて適宜配合したものの発泡体)は、軽量であり、熱線又はカッターナイフ等で容易に加工できることから、かかる合成樹脂発泡体で面木部12を作製するのが好ましい。磁石部13は、ネオジム磁石、フェライト磁石、アルニコ磁石等の磁石で作製することができ、接着剤やビス等の固着手段により前記面木部12に固着される。
【0025】
そして、磁石部13を有する面木体11を、鋼製部材で構成された内型枠2の外周面及び前記外型枠3の内周面に着脱自在に取り付けることで、これらの面に妻型枠4の配置箇所、換言すれば妻縁15(図4参照)を簡単かつ正確に規定することができる。この場合に、前記面木体11は、従来の面木体とは異なり妻型枠4とは別体であるので、所定の取付箇所に当該面木体11を直接視認しつつ取り付けることができ、しかも磁力を利用した固定であることから、その位置調整が容易である。したがって、作業性に優れるとともに、正確に妻型枠4の配置箇所を規定することができる。また、前記面木体11の表面で妻部の面部分を形成することができるので、当該面部分の形状を簡単かつ容易に一定にすることができる。
【0026】
また、妻型枠4とは別体の面木体11を前記外型枠3のメタルフォーム7に取り付けることで、当該妻縁に沿う曲線形状に切断加工された鋼板(例えば、本出願人が、先に提案した特願2001−276913号(特許第3590786号)における外型枠の鋼板)で外型枠の内周面を形成しなくても、妻縁を簡単かつ正確に規定することができる。したがって、切断加工が不要になった分、大幅なコストダウンを図ることができる。また、メタルフォーム7の場合、規格品であることから、型枠解体後に他の現場で再利用することができ、省資源化及び省コスト化を図ることができる。
【0027】
前記面木部12の長手方向の寸法は、トンネル坑門1の妻部の角部が曲線状を呈することや、施工性、作業効率等を考慮して選定することができるが、概ね、70〜90cm程度が目安である。また、妻部の角部に面を形成するための面12aの寸法Waは、当該妻部の面の寸法に対応して選定されるが、妻型枠4の木製型枠9が載置される面12bの寸法Wbは、通常、3〜5cmの範囲から選定される。
【0028】
前記帯板状の磁石部13は、全体を磁石で作製してもよいし、その一部(例えば、両端部分)だけを磁石で作製し、残りの部分をスペーサとして他の材料で作製してもよい。また、磁石部13は、図6に示されるように、面木部12の一側面に固着する以外に、例えば、図7に示されるように、面木部12の一側面に当該側面と面一になるように埋設して固着することもできる。この場合も、面木部12の長手方向全体に亘って磁石部13を埋設してもよいし、部分的に(例えば、面木部12の両端付近に)磁石部13を埋設してもよい。
【0029】
前記坑門用型枠を用いたトンネル坑門の施工は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された内型枠を、トンネルの坑口に配置する。つぎに、前記内型枠の外周側を、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された外型枠で覆うようにして当該外型枠を前記トンネルの坑口に配置する。
【0030】
そして、前述したような面木体を、その磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に取り付ける。その際、前記面木体における、トンネル坑門の妻部の角部に面を形成する面が、連続し且つ当該角部の面に対応するように、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に取り付ける。これにより、内型枠の外周面及び外型枠の内周面のそれぞれに、トンネル坑門の妻部の角部に対応するラインが形成される。
【0031】
なお、竹割型トンネル坑門用型枠又は逆竹割り型トンネル坑門用型枠の場合、トンネル坑門の側部と頂部とでは、妻部のコーナー部の面取りの角度が異なることから、当該面取りを行う面木体の断面形状も設置箇所により変化させる必要がある。図8〜13は、前記面木体の頂角α(図6参照。面木体における妻型枠が載置される面と、内型枠の外周面又は外型枠の内周面に固着される面とのなす角度)の変化例を説明する図である。
【0032】
図8は、本発明のトンネル坑門用型枠の一実施の形態の左半分の正面説明図であり、この坑門用型枠は、平面視すると、図9に示されるように、略半馬蹄形状を呈している。そして、この例では、妻型枠は18の部分(「左―1」〜「左―18」)に分割されている。また、外型枠は7つの部分(「外―1」〜「外―7」)に、内型枠は8つの部分(「内―1」〜「内―8」)に分割されている。
【0033】
図10〜13は、それぞれ図9においてA〜Dで示される部位における妻型枠の断面を説明する図であり、これらの図に示されるように、外型枠の内周面に取り付けられる面木体の頂角αはトンネル坑門の頂部に行くにしたがって90°から145°まで徐々に大きくなり、一方、内型枠の外周面に取り付けられる面木体の頂角αはトンネル坑門の頂部に行くにしたがって90°から35°まで徐々に小さくなる。この角度の変化は、トンネル坑門の形状、サイズや妻面の路面に対する傾斜角により異なる。なお、図10〜13において、Ctは躯体コンクリートである。
【0034】
つぎに、ライン状に配置された面木体上に妻型枠を載せて、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を当該妻型枠で閉塞する。この場合、妻型枠の配置箇所が面木体により規定されているので、妻型枠の配置作業を簡便且つ迅速に行うことができる。
そして、以上のようにして組み立てた坑門用型枠内に生コンクリートを打設して、所定期間養生した後に前記型枠を脱型することで、トンネル坑門を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のトンネル坑門用型枠の一実施の形態の正面説明図である。
【図2】図1に示されるトンネル坑門用型枠における外型枠の、施工用足場を含む正面説明図である。
【図3】図2に示される外型枠の側面説明図である。
【図4】図2に示される外型枠の展開図である。
【図5】図1に示されるトンネル坑門用型枠における妻型枠部分の断面説明図である。
【図6】本発明における面木体の一例の斜視説明図である。
【図7】本発明における面木体の他の例の断面説明図である。
【図8】本発明のトンネル坑門用型枠の一実施の形態の左半分の正面説明図である。
【図9】図8に示されるトンネル坑門用型枠の左半分における妻型枠の割付図である。
【図10】図9においてAで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図11】図9においてBで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図12】図9においてCで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図13】図9においてDで示される妻型枠部分の断面説明図である。
【図14】従来のトンネル坑門用型枠における妻型枠部分の断面説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 トンネル坑門
2 内型枠
3 外型枠
4 妻型枠
7 メタルフォーム
8 鋼板
9 木製型枠
10 桟木
11 面木体
12 面木部
13 磁石部
F 坑門用型枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠と、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠と、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠とを備えたトンネル坑門用型枠であって、
前記内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面がいずれも鋼製部材で形成されており、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなり、この磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように着脱自在に取り付けられる面木体を備えていることを特徴とするトンネル坑門用型枠。
【請求項2】
前記外型枠の内周面がメタルフォームで形成されている請求項1に記載のトンネル坑門用型枠。
【請求項3】
前記面木体の面木部が、断面略三角形の長尺材からなり、この長尺材の一側面に帯板状の磁石部が固着されている請求項1に記載のトンネル坑門用型枠。
【請求項4】
前記面木部が合成樹脂発泡体で作製されている請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル坑門用型枠。
【請求項5】
トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された内型枠を、トンネルの坑口に配置する工程、
前記内型枠の外周側を、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された外型枠で覆うようにして当該外型枠を前記トンネルの坑口に配置する工程、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなる面木体を、前記磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように取り付ける工程、及び
前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を妻型枠で閉塞する工程
を含むことを特徴とするトンネル坑門の施工方法。
【請求項1】
トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する内型枠と、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有する外型枠と、前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を閉塞する妻型枠とを備えたトンネル坑門用型枠であって、
前記内型枠の外周面及び前記外型枠の内周面がいずれも鋼製部材で形成されており、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなり、この磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように着脱自在に取り付けられる面木体を備えていることを特徴とするトンネル坑門用型枠。
【請求項2】
前記外型枠の内周面がメタルフォームで形成されている請求項1に記載のトンネル坑門用型枠。
【請求項3】
前記面木体の面木部が、断面略三角形の長尺材からなり、この長尺材の一側面に帯板状の磁石部が固着されている請求項1に記載のトンネル坑門用型枠。
【請求項4】
前記面木部が合成樹脂発泡体で作製されている請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル坑門用型枠。
【請求項5】
トンネル坑門の内周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された内型枠を、トンネルの坑口に配置する工程、
前記内型枠の外周側を、トンネル坑門の外周面に沿う湾曲形状に形成された面を有し当該面が鋼製部材で作製された外型枠で覆うようにして当該外型枠を前記トンネルの坑口に配置する工程、
トンネル坑門の妻部の角部に面を成形し得る面木部と、この面木部に固着された磁石部とからなる面木体を、前記磁石部によって、内型枠の外周面及び外型枠の内周面に前記妻部の角部に沿うように取り付ける工程、及び
前記内型枠と外型枠のトンネル出入口側開放部分を妻型枠で閉塞する工程
を含むことを特徴とするトンネル坑門の施工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−170013(P2007−170013A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−368005(P2005−368005)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(501360120)テクノプロ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(501360120)テクノプロ株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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