説明

トンネル障壁を有する記憶装置並びにこの記憶装置内での情報の書込みおよび読出し方法

本発明は、トンネル障壁を有する抵抗型記憶装置を提供する。トンネル障壁は、メモリ材料と接触しており、このメモリ材料は、書込み信号によって変化するメモリ特性を有する。トンネル障壁のパラメータへのトンネル抵抗の指数的な関係に基づいて、メモリ特性の変化はトンネル抵抗に強く介入し、そのことで、メモリ材料中に格納された情報を読み出すことができる。例えば固体電解質(イオン伝導体)が記憶層として適しており、そのイオンは、書込み信号によって、トンネル障壁との境界面に相対して移動することができる。しかしながら記憶層は、書込み信号によって、例えばこのトンネル障壁内に存在する金属膜の移動によってそのトンネル抵抗が変化する別のトンネル障壁などでもあり得る。本発明は、記憶装置内での情報の格納方法および読出し方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置並びに記憶装置内での情報の書込みおよび読出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のダイナミック駆動メモリ(DRAM)の小型化は、限界に突き当たっている。情報は電荷の形で格納され、この電荷は、メモリセルの大きさの減少に伴って益々小さくなっている。1ビットが、約100〜1000未満の素電荷によって表される場合には、0と1の2つの状態を確実に区別するのは、もはや技術的に不可能である。
【0003】
そのため、メモリ材料の抵抗を変化させることによって情報が書き込まれる抵抗型記憶装置(RRAM)が現在研究されている。この記憶装置は、DRAMより遙かに高いデータ密度を約束し、原則的にはこの装置は不揮発性に作製することもできるので、大容量記憶装置にも代用される汎用記憶装置の展望を示す。現在の研究状況に関する概観は、das Heft Nature Materials、6巻、12版(2008年)から公知である。
【非特許文献1】das Heft Nature Materials、6巻、12版(2008年)従来の公知の抵抗型記憶装置は、その抵抗値のばらつきが非常に大きく不利でありその製造は、再製造することにおいて非常に不利であり、そのため、1960年代以来、その課題は既に公知であり、議論されているが、未だにまだその技術は商業化されていない。
【発明の概要】
【0004】
課題と解決法
従って、本発明の課題は、従来技術の抵抗型記憶装置より抵抗値のばらつきが小さく、その製造を再現できる抵抗型記憶装置を提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によって、主請求項による記憶装置並びに副請求項による方法によって解決される。その他の有利な形態は、それらに関連する従属請求項からそれぞれ判明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の対象
本発明の範囲において、情報用記憶装置が開発された。この記憶装置は、トンネル障壁と、このトンネル障壁内に電流を通す電気的接触手段とを有する。
【0007】
発明によると、トンネル障壁は、メモリ特性を有するメモリ材料と接触している。このメモリ特性は、書込み信号によって変化する。トンネル障壁との接触に基づいて、メモリ特性の変化は、トンネル障壁を通って流れる電流に対するトンネル抵抗を変化させることになる。
【0008】
メモリ材料が、そのメモリ特性の変化に対応する書込み信号は、例えば印加された電圧または印加された電流であり得る。しかし、この信号は、レーザ光などの光照射による光学励起内または温度上昇内にも存在し得る。
【0009】
書込み信号に基づくメモリ特性の変化は、有利には可逆であるので、記憶装置を駆動メモリ(RAM)または大容量記憶装置として使用することができる。変化が可逆でない場合には、記憶装置を読出し専用メモリ(ROM)、単書込みメモリ(PROM)またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)として使用することができる。
【0010】
接触の概念は、トンネル障壁とメモリ材料が、隣接する互いに識別可能な層である配置に限定されるものではない。メモリ材料が、封入体の形でトンネル障壁内に存在する場合にも接触と表現される。
【0011】
本発明の記憶装置は、従来技術の抵抗型記憶装置に比べて、より再現性があり、抵抗値内の、より小さい相対的ばらつきで製造することができる。
【0012】
そのためには、従来技術の典型的な抵抗型記憶装置とは対照的に、本発明によって量子力学のトンネル抵抗を利用することが必要である。これは、トンネル障壁の実効厚、トンネル障壁の境界面における電荷密度およびバンド構造並びにトンネルした電子の実効質量に指数的に関係している。メモリ層のメモリ特性がわずかに、それと同時に厳密に実現できるように変化することによって、トンネル抵抗は、典型的な抵抗型記憶装置における変動範囲より遙かに大きな範囲に亘り変更され得るということが判った。製造プロセスにおける避けられない振れは、この変動範囲の陰に隠れ、これまでの従来技術における抵抗値の相対的ばらつきより遙かに小さいばらつきで実現できるようになった。そのことから、表向きは同一の多数のメモリセルから成るアレイ内で使用すべき記憶装置に課せられる主要な要求が満たされた。
【0013】
構造および再現可能な製造がすでに技術的に最適化されているトンネル障壁自身に、必ずしも変更を加える必要がないことによって、製造の再現性はさらに向上する。例えば、市場で入手可能なトンネル障壁をメモリ材料で覆うか、若しくはそれ以外の方法でこのメモリ材料と接触させて、本発明の記憶装置を作製することができる。
【0014】
本発明の特に有利な形態では、メモリ材料は、変化することでトンネル障壁内の伝導帯の準位を変化させるメモリ特性を有する。このことは例えば、書込み信号として電圧(およびそれと同時に電界)を印加することによって、メモリ特性としてのイオンの位置が変えられるメモリ材料を用いて生じさせることができる。その場合、メモリ材料内のイオンは、トンネル障壁内のイオンより小さい電圧によって、その格子位置から移動するはずである。トンネル抵抗は、メモリ材料とトンネル障壁との境界面における、イオンにより引き起こされる電荷密度および電界の強さに指数的に関係しているので、イオンは、非常に短い区間(数ナノメートル)を移動するだけでトンネル抵抗の大きな変化を引き起こすことができ、それに応じてメモリ材料を非常に薄い膜(0.5〜20nm)として作製することができる。メモリ材料は、マトリクス材料として有利に作製され、そのため、イオンがその中で移動することができる。
【0015】
トンネル抵抗が指数的に関係しているトンネル障壁の実効値は、トンネル障壁とそれに隣接する材料との間の仕事関数である。この仕事関数は、一方のトンネル障壁と他方の隣接する材料との間のフェルミ準位の差によって決定される。トンネル障壁とメモリ材料との境界面にイオンを置くこと、若しくは境界面からイオンを取り除くことによって、この差と、それに関連してトンネル抵抗も変化させることができる。このことから障壁の高さが変えられ、それと共にトンネル電流も変えられる。障壁の高さは、境界面における電子特性(バンド構造)によって確定される。境界面のイオンの有無は、材料特性の変化およびそれに関連する障壁高さの変化と同じくらい重要である。メモリ材料の境界面にイオンを置くことによって、そのバンド構造は、この境界面の局部で変化する。他方また、トンネル障壁およびメモリ材料のバンド構造は、この境界面の局部で互いに同化している。
【0016】
数ナノメートルに亘るそのような移動のための原動力としては、マイクロメートルの規模の厚みを有する抵抗型記憶装置に情報を書き込むためにこれまで必要とされてきた電界より遙かに弱い電界で十分であり、この書込みは、短い区間のため比較的早く行うことができる。メモリ材料内のイオンは、m/sの規模の速度で移動できるので、有利には、10ns以下の時間、好ましくは5ns以下の時間に電界を印加するだけで十分である。それに対して慣例のフラッシュメモリまたは抵抗型記憶装置への書込みには、μs〜msの規模の時間が必要である。
【0017】
好ましくは、メモリ材料上に0.1〜3Vの書込み電圧を印加することで十分である。これまでの抵抗型記憶装置への書込みでは、通常10V以上の電圧が必要であった。より小さい、必要な書込み電圧によって、メモリ材料とトンネル障壁との全境界面に沿ってイオンの位置を変化させることがさらに可能となる。
【0018】
この変化が可逆であるようにメモリ材料を作製すると、従来技術の抵抗型記憶装置内より遙かに多くの切換サイクルが可能となる。抵抗型記憶装置に情報を書き込む場合に必要な高い書込み電圧は、小数のチャネルに沿って活性物質を電気的に遮断し、その際その性質を変化させる。これらのチャネルが形成される材料内の正確な場所は、予測することも制御することもできない。そのため、抵抗型記憶装置を消去する場合には、これらの変化をもはや完全にリセットすることはできない。材料は不可逆に変質し、このことは、可能な書込みサイクルの数を制限し、次々に故障するメモリセルのための、費用のかかる欠陥管理を必要とさせる。
【0019】
メモリ材料は、有利には固体電解質(イオン伝導体)を含む。これは、それぞれの適用事例での温度および電界強度で、固体中をイオンが通る材料である。このイオン伝導度は、固体内の物質移動に常に関連している。
【0020】
各材料のイオン伝導度のみならず、トンネル障壁の物理的性質も温度に依存しているが、その場合、イオン伝導度の温度依存性が優位に立っている。所定の使用温度で記憶装置を実行させるという課題が当業者に課せられる。宇宙空間などで使用する場合には、その温度は非常に低く、それに対してエンジンまたは燃料電池で使用する場合には非常に高い。異なる材料から成るトンネル障壁の温度経過も、イオン伝導体の温度経過も良く研究され、且つ文書化されているので、所望の使用温度で機能を果たせるトンネル障壁およびイオン伝導体の組合せを予め選択することができる。トンネル障壁とイオン伝導体とを互いに適合させなければならないという追加の境界条件を加味して、具体的な適用事例に関して可能な、小数の組合せがまだ残っており、これは、当業者が十分対応できる試験で行えるものである。その場合、その機能性はイエス、ノーで言及できるような両極端な性質ではなく曖昧な性質であるので、当業者は失敗の評価を、成功に導くための追加の補助手段として考慮することができる。
【0021】
室温で使用するために、AgS、AgS、AgO、AgSe、Ag、GeSbSe、CuOまたはPbCu17Cl13などの材料を固体電解質として使用することができる。これらの材料は、SiO、GaN、Al、MgO、SrTiOおよびSiなどから成る慣例のトンネル障壁と適合している。AgOのSiとの特に良好な適合性、並びにAgGeSbSeのSiまたはSiOとの特に良好な適合性が際立っている。
【0022】
メモリ材料の、トンネル障壁および電気的接触手段への境界面は、有利なことに不活性である。これは、イオンがこの境界面を通過せず、メモリ材料の、隣接する材料との化学反応が起こらないことを表す。例えばトンネル障壁とメモリ材料から材料を組み合わせることによってそのような不活性な境界面を実現させることができ、この境界面内ではトンネル障壁は、メモリ材料からのイオンを受け入れない欠陥のみを主に有する。例えば、トンネル障壁内の欠陥がメモリ材料内のイオン半径より小さくなるように、材料を互いに適合させることができる。しかしながら、別の方法で、メモリ材料中のイオンのための拡散隔壁および/または移動隔壁として境界面を作製することもできる。電位比および欠陥密度を、イオンが熱的効果によっても電界によってもトンネル障壁内へ入ることができないようにすべきである。
【0023】
トンネル障壁は、有利にはアモルファス材料を含む。アモルファス材料内では、欠陥は局部でのみ作用する。規則的な格子が存在しないために、格子軸に沿ったイオンの移動は存在しない。そのため、メモリ材料からのイオンは、そもそもそのようなイオンがあるならば、アモルファス材料からトンネル障壁内へ入るのは非常に困難である。
【0024】
窒化物または酸素を含有しないその他の化合物は化学的に非常に安定であり、そのため、トンネル障壁用の材料として多くのイオン伝導体と適合させるのに非常に適している。
【0025】
本発明のその他の特に有利な形態では、メモリ材料は、メモリ特性としてのそのトンネル抵抗が書込み信号によって変化する別のトンネル障壁を有する。これは、例えばその別のトンネル障壁内で書込み信号によって移動可能な金属膜によって生じる。書込み信号を介したメモリ特性の変化も、トンネル抵抗へ指数的影響を及ぼすことが判明した。2つのトンネル障壁などが互いに隣接し、そのため、1つの大きなトンネル障壁を形成している場合には、書込み信号としての電界によって移動可能な金属膜が、この全障壁を2つの部分障壁へ空間的に分割する役割を果たす。トンネル抵抗は、実効障壁密度に指数的に関係しているので、金属膜によって全障壁が正確に半分に分割される場合には、トンネル抵抗は最小となる。それに対して、金属膜が電気的接触手段の1つに隣接し、そのためトンネルした電子のそれぞれが、1部品内の全障壁の長さを横断しなければならない場合には、トンネル抵抗は数桁高くなる。この2つの極端な値の間で、金属膜は、わずか数ナノメートル移動し、これは、すでにこれまで抵抗型記憶装置に使用されてきた書込みフィールドに比べて弱いフィールドを用いて迅速且つ可逆に調整することができる。トンネル障壁は、典型的には0.2〜10nmの厚みである。
【0026】
メモリ材料のメモリ特性は、書込み信号の中止後さらに少なくとも100nsは安定なままであるようにすべきである。この時間は、記憶装置を、今日のダイナミックRAM(DRAM)と同じように、規則的にリフレッシュされる揮発性記憶装置として使用するのに十分足りる。DRAMは、通常1msの間隔でリフレッシュされる。メモリ特性が比較的長い時間(5,000、好ましくは50,000時間)に亘り安定な場合には、これを不揮発性記憶装置として使用することもできる。その場合にはこれは、これまでの駆動メモリとしても、これまでの大容量記憶装置としても使用される汎用記憶装置として機能することができる。
【0027】
メモリ材料は、有利には双安定または多重安定メモリ特性を有する。これは、そのメモリ特性が2つまたはそれ以上の可能な離散的状態の1つを受け入れられることを表す。双安定メモリ特性を用いて、2つの二進論理状態である0および1が格納される。可能な状態が多ければ多いほど、メモリセルあたりの情報密度は大きくなる。したがって、8=2の可能な状態では、1つのメモリセル内にすでに3ビットを格納させられる。しかしながら、状態数が多ければ多いほど、隣り合う状態間のエネルギー差は小さくなる。そのため、記憶装置のエージングに基づくか、若しくは周囲の影響による、ある状態から隣の状態への「転倒」の危険が増加する。
【0028】
しかしながら、メモリ特性が双安定または多重安定であることは、全ての適用に対して必要なわけではない。書込み信号の強度の関数としてメモリ特性を連続で変化させる場合には、アナログ−ディジタル変換器内で離散化することで情報損失を生じさせることなく、例えば追加処理用のアナログ測定値をアナログ回路に一時記憶させることができる。
【0029】
本発明の範囲では、記憶装置への情報の格納方法並びに格納された情報の読出し方法が開発された。この方法は、トンネル障壁内の伝導帯エッジのエネルギー準位および/または複数の部分障壁へのトンネル障壁の空間的な分割が、情報を格納するために変えられることを特徴としている。トンネル障壁を通るトンネル確率に関する基準である、トンネル電流などの測定量が、情報を読み出すために測定される。
【0030】
伝導帯エッジのエネルギー準位が変化する場合にも、複数の部分障壁へのトンネル障壁の空間的分割が変化する場合にも、情報を担持する書込み信号を介した小さな介入が、トンネル抵抗を大きく支配することが判明した。それは、この小さな介入が、実効障壁厚にも伝導帯エッジのエネルギー準位にも指数的に関係しているためである。これらの小さな介入は、良く配分して行うことができる。さらに、小さい介入によって引き起こされる変化を遅滞なく取り除き、常に新しい情報を格納することは容易である。トンネル抵抗およびそれに関して測定されたトンネル確率への大きな支配は、他方で情報を読み出す際に非常に良好な信号対雑音比を生じさせる。特に、表向きは同一の複数のメモリセル間の、製造によって生じる違いは、情報の格納によって生じる、トンネル確率の大きな変化に比べてあまり重要でないので、多くのメモリセルから成るアレイ内でこれらのセルは、特定の公差の範囲内では同一と見なすことができる。
【0031】
トンネル障壁のエッジに印加された電界を変化させることによって、トンネル障壁内の伝導帯エッジのエネルギー準位は有利に変えられる。この電界は、例えばトンネル障壁の境界面に印加されるか、若しくは境界面から引き離されるイオンの電界であり得る。その場合、例えば情報格納の際にイオンが占める位置を、逆の書込み信号が供給されて初めて再び離れるように、トンネル障壁に隣接するメモリ層内にイオンが結びつけられる。
【0032】
本発明の特に有利な形態では、情報を格納するために書込み電流が、また情報を読み出すために読出し電流が記憶装置に流され、その場合、書込み電流は読出し電流より大きい。そのため、格納も読出しも同じ起動回路で行うことができ、その場合、一箇所でのみ電流を変化させる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の記憶装置の1実施形態の図による構造を示している。
【図2】本発明の記憶装置の1つの変形した実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の対象を図に基づいて詳しく説明する。しかしながら本発明の対象は、これによって限定されるものではない。
【0035】
図1は、本発明の記憶装置の1実施形態の図による構造を示す。この記憶装置は、トンネル障壁1並びにこのトンネル障壁1を通る電流を導く接触手段としての金属電極(2a、2b)を有する。トンネル障壁1は、メモリ材料3と接触している。このメモリ材料3は電気化学活性層であり、金属電極(2a、2b)間に印加された、書込み信号としての電圧によって、層内でイオンの位置が変化する。トンネル障壁1に対するメモリ材料3の境界面4a並びに金属電極2bに対するメモリ材料3の境界面4bは、拡散停止および/または移動停止としてイオンが透過できないように形成される。
【0036】
図2は、本発明の記憶装置の、1つの変形した実施形態の図による構造を示す。メモリ材料3は、ここでは、中に金属膜3aが埋め込まれている第2トンネル障壁である。この金属膜3aは、金属電極(2a、2b)間に印加された、書込み信号としての電圧によって、トンネル障壁1方向または金属電極2b方向に全体で移動することができる。トンネル障壁1とメモリ材料3は、合わせて1つのトンネル障壁を形成し、これは、金属膜3aによって互いに分けられた2つの部分障壁から構成されたものである。第1部分障壁は、金属電極2aから金属膜3aへ広がり、第2部分障壁は、金属膜3aから金属電極2bへ広がる。各部分障壁のトンネル抵抗は、その長さに指数的に関係しているので、金属膜3aがメモリ材料3とトンネル障壁1との境界面に存在する場合には、両部分障壁の直列回路の全抵抗は最小になる。それに対して金属膜3aがメモリ材料3と金属電極2bとの境界面に存在する場合には、全抵抗は最大になる。
【0037】
本発明の記憶装置の多数のユニット(セル)は、「クロス・バーアレイ」で有利に配置され、比較的多量の情報を格納することができる。そのようなアレイは、通常基板上に配設される平行のワードライン(word lines)の配置から構成される。このワードライン上に、本発明の記憶装置のユニットが、好ましくは規則的間隔をあけて装着される。他方また、このメモリユニット上にビットライン(bit lines)が装着され、これはワードラインに対して垂直に延び、メモリユニットを互いに結びつける。所定のワードラインと所定のビットラインとの間には、正確に1つのメモリユニットが存在する。このワードラインとこのビットラインとの間に書込み電圧を印加することによって、メモリユニットに情報を書き込むことができる。このワードラインとこのビットラインとの間の抵抗を問い合わせることによって、このメモリユニットから情報を読み出すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル障壁と、前記トンネル障壁を介して電流を通す電気的接触手段とを有する情報用記憶装置において、
前記トンネル障壁は、メモリ特性を有するメモリ材料と接触しており、前記メモリ特性は、書込み信号によって変化し、前記メモリ特性の変化は、前記トンネル障壁を通って流れる電流に対するトンネル抵抗を変化させることを特徴とする、情報用記憶装置。
【請求項2】
メモリ材料はメモリ特性を有し、前記メモリ特性が変化することで、トンネル障壁内の伝導帯のエネルギー準位が変化することを特徴とする、請求項1記載の記憶装置。
【請求項3】
メモリ材料内で、メモリ特性としてのイオンの位置が書込み信号によって変化することを特徴とする、請求項2記載の記憶装置。
【請求項4】
メモリ材料が、固体電解質を含むことを特徴とする、請求項3記載の記憶装置。
【請求項5】
トンネル障壁および電気的接触手段に対するメモリ材料の境界面が不活性であることを特徴とする、請求項1〜4の一項記載の記憶装置。
【請求項6】
トンネル障壁が、アモルファス材料を含むことを特徴とする、請求項1〜5の一項記載の記憶装置。
【請求項7】
メモリ材料が、メモリ特性としてのそのトンネル抵抗が書込み信号によって変化する別のトンネル障壁を含むことを特徴とする、請求項1記載の記憶装置。
【請求項8】
更なるトンネル障壁内の、書込み信号によって移動可能な金属膜を備えることを特徴とする、請求項7記載の記憶装置。
【請求項9】
メモリ材料のメモリ特性が、書込み信号の中止後さらに少なくとも100nsは安定なままであることを特徴とする、請求項1〜8の一項記載の記憶装置。
【請求項10】
メモリ材料が、双安定または多重安定メモリ特性を有することを特徴とする、請求項1〜9の一項記載の記憶装置。
【請求項11】
トンネル障壁を含む記憶装置に情報を格納する方法並びに格納された情報を読み出す方法において、
トンネル障壁内の伝導帯エッジのエネルギー準位および/または複数の部分障壁へのトンネル障壁の空間的な分割が、情報を格納するために変えられ、並びにトンネル障壁を通るトンネル確率の値である測定量が、情報を読み出すために測定されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
トンネル障壁のエッジに印加された電界を変化させることによって、トンネル障壁内の伝導帯エッジのエネルギー準位が変えられることを特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
書込み電流を用いて情報を格納するために、また、読出し電流を用いて情報を読み出すために記憶装置が備えられ、
前記書込み電流は前記読出し電流より大きいことを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−523204(P2011−523204A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508792(P2011−508792)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/DE2009/000525
【国際公開番号】WO2009/140936
【国際公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.RRAM
【出願人】(390035448)フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (100)
【Fターム(参考)】