ドアシステム
【課題】誤検出を防止しさらに既存設備への組み込みが容易であるドアシステムを提供する。
【解決手段】光源212、及び、通過スペース11における奥行方向Bの照射光の照射範囲を制限する投光光学ユニット213を有する照射部21と、通過スペースからの光を受光する受光部22と、受光部が送出する信号について時間的に異なる信号同士の差分を求め、求めた差分信号を判定基準に使用する判定部24と、を備え、上記通過スペースにおける検出領域235は、照射部による照射光の照射範囲215と、受光部の受光範囲225との重複範囲であることを特徴とする。
【解決手段】光源212、及び、通過スペース11における奥行方向Bの照射光の照射範囲を制限する投光光学ユニット213を有する照射部21と、通過スペースからの光を受光する受光部22と、受光部が送出する信号について時間的に異なる信号同士の差分を求め、求めた差分信号を判定基準に使用する判定部24と、を備え、上記通過スペースにおける検出領域235は、照射部による照射光の照射範囲215と、受光部の受光範囲225との重複範囲であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的にドアを開閉するドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、建物やエレベータの出入り口には、モータなどの駆動力によって自動的に開閉するドアが設けられている。このような自動ドアは、自動的にドアが開閉動作するときに、ドアとドアの間またはドアと建物の間に指や物を挟んだり引き込まれたりする恐れがある。
【0003】
このような事故を未然に防止するために、ドアが動作するときに、ドアの近くに人や物が存在していないことを確認するシステムが提案されている。このシステムによれば、例えば、ドア近くの人や物(障害物)を検出すると、システムがドアの閉鎖動作を中止して該ドアを開放位置に戻す。これにより、ドアの開閉動作を安全に行うことができる。
【0004】
このような、ドア近辺に存在する障害物を検出する検出装置を備えたドアシステムが特許文献1〜4に開示されている。特許文献1、2には、ドア近辺に存在する障害物を検出する検出装置を出入り口の上枠に取り付け、上記検出装置が障害物を検出すると、スピーカを介して警告する技術が記載されている。
【0005】
特許文献3には、エレベータのドア近辺に存在する障害物を検出したとき、エレベータの天井に設けられた映写機が警告画像をドアに投影する技術が記載されている。
【0006】
特許文献4には、出入り口を規定する枠体の左側枠又は右側枠の一方に複数の投光器を配置し、他方に複数の受光器を配置して、複数の投光器から複数の受光器に投光された光束が遮断されることにより、出入り口の障害物を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平2−94881号公報
【特許文献2】実開平7−15671号公報
【特許文献3】特開2004−345762号公報
【特許文献4】特開2005−280900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、ドアに挟まれる可能性がない物まで検出する場合が生じる。そのため、不必要にドアの開閉動作が停止し、開閉動作が再開されるまでに長時間を要し、その結果、利用者に苛立ちを感じさせることがある。
【0009】
また、特許文献3に記載の技術では、ドアに映し出される警告画像は鮮明である必要がある。よって、ドアの表面材料の選択が著しく制約を受けてしまう。また、ドアに向けて投影される警告画像が障害物と干渉しないように、映写機の配置についても制約を受ける。これらの事情から、既存設備に特許文献3の技術を組み込む場合には、既存設備の大幅な変更が必要である。
【0010】
また、特許文献4に記載の技術では、多数の投光器と受光器とを左右の側枠に埋め込む必要がある。ところが、一般の建物の側枠は、金属板又はコンクリートで構成されているため、これらの硬い側枠に、多数の投光器及び受光器、並びにそれらの駆動に必要な電気配線を埋め込むことは困難である。
【0011】
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたもので、誤検出を防止しさらに既存設備への据付が容易であるドアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるドアシステムは、自動開閉するドアにおける通過スペースの上方に位置する上枠部分に設置され、照射光を発生する光源を有する照射部と、上記上枠部分に設置され、上記ドアの開閉動作において障害となる障害物による上記照射光の反射光を含む、上記通過スペースからの光を受光する受光部と、上記通過スペースからの光に対応して上記受光部が送出する信号について時間的に異なる信号同士の差分を求め、求めた差分信号を判定基準に使用する判定部と、を備え、上記通過スペースは、上記ドアの開閉方向に直交する奥行方向における上記上枠部分の幅にて上記上枠部分と床との間に形成される範囲から上記ドアの開閉領域を除いた領域であり、上記照射部から照射された上記照射光の照射範囲と、上記受光部の受光範囲との重複範囲で、上記通過スペース内における領域を検出領域とする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様におけるドアシステムによれば、照射部と、受光部と、判定部とを備える。照射部の照射範囲と、受光部の受光範囲との重複範囲でかつ通過スペース内における領域が検出領域となる。したがって、従来に比べて検出領域を限定することができる。また、判定部は、受光部の信号から差分信号を求め、該差分信号を判定基準に使用する。したがって、上述した、検出領域の限定との組み合わせにより、例えば、上記通過スペースにおける障害物の検出動作では、障害物有りと誤認して不必要にドアの開閉を行うような動作を従来に比べて低減することができる。また、上記差分信号を判定基準に使用することで、照射部及び受光部の少なくとも一方における故障の有無を判定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1におけるドアシステムを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すドアシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すセンサの、開閉方向に沿った断面図である。
【図4】図3に示すC部における照射部の断面図である。
【図5】図3に示すD部における受光部の断面図である。
【図6】図1に示すドアシステムにおける照射部の照射範囲及び受光部の受光範囲の正面図である。
【図7】図6に示す照射範囲及び受光範囲の側面図である。
【図8】図3に示す照射部に備わる投光光学ユニットの斜視図である。
【図9】図1に示すドアシステムに備わる照射部の照射タイミングを示すタイミングチャート、及び信号の処理を説明するための図である。
【図10】図1に示すセンサに備わる判定部が実行する動き検知による検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図1に示すセンサに備わる判定部が実行する故障自己検知動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図12】図1に示すドアシステムに備わるドアシステム制御部が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】図1に示すドアシステムに備わるドアシステム制御部が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】図1に示すセンサに備わる判定部が実行する存在検知による検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態2におけるドアシステムに備わるセンサの、開閉方向に沿った断面図である。
【図16】図15に示す照射部に備わる投光光学ユニットの斜視図である。
【図17】図15に示すセンサの変形例における開閉方向に沿った断面図である。
【図18】図17に示すセンサのE部における断面図である。
【図19】図17に示すセンサに備わる投光光学ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態であるドアシステムについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下に説明する各実施の形態では、上記ドアシステムについて、エレベータシステムにおけるドアシステムを例に採り説明を行う。各実施形態におけるドアシステムは、基本的構成部分として、以下に説明する、照射部と、受光部と、判定部とを備える。また、本発明は、以下の実施形態に示すようなエレベータシステムにおけるドアシステムに限定されず、建物の通路や壁に取り付けられて自動的に開閉するドアを含むあらゆるドアシステムに適用可能である。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1のドアシステム10を概略的に示す斜視図である。図1に示すドアシステム10は、エレベータシステムの一部であって、エレベータのカゴが停止する建物の各階の壁に取り付けられ、自動的に開閉するドア17を含んでいる。本実施形態におけるドアシステム10は、ドア17を自動的に開閉するとき、ドア17の開閉動作の障害となる障害物の存在を確認する構成を備えている。上記障害物存在確認のため、本実施形態のドアシステム10は、上記基本的構成部分を有するセンサ20に加えて、さらに、三方枠14と、ドア17と、ドア駆動部30と、通知部40と、ドアシステム制御部50とを備える。これらの構成部分について、順次、以下に説明する。
【0017】
三方枠14は、ドア17の戸袋部分を含み、コンクリート又はモルタルで作られた壁に固定されている枠体であり、上枠部分14aと、左枠部分14bと、右枠部分14cとを有する。上枠部分14aは、三方枠14の内、水平に真っ直ぐに伸びる部分である。左枠部分14b及び右枠部分14cは、それぞれ、上枠部分14aの端部から鉛直方向に直線的に垂下する部分であり、それぞれ同じ長さを有する。
【0018】
このような三方枠14と床15とにより、通過スペース11が規定される。即ち、通過スペース11は、エレベータのカゴに乗り降りする人が通過するエレベータの乗場側のスペースである。詳しくは、通過スペース11は、三方枠14の上枠部分14aと、左枠部分14bと、右枠部分14cと、床15とによって囲まれ、かつドア17が開閉する領域を除いた乗場側の領域である。尚、本実施形態では、三方枠14を設けているが、本発明を実施するには、左枠部分14b及び右枠部分14cは枠材である必要はなく、最低限、上枠部分14aが設けられれば良い。この場合、通過スペース11は、図7を参照して、ドア17の開閉方向Aに直交する方向で人が乗降する方向である奥行方向Bにおける上枠部分14aの幅Wにて、上枠部分14aと床15との間に形成される範囲からドア17の開閉領域17aを除いた領域である。
【0019】
ドア17は、三方枠14によって支持されている。ドア17は、後述するドア駆動部30によって、三方枠14によって形成される出入り口を自動的に開閉する。尚、図1は、人がエレベータのカゴに乗降するときの状態、即ち、ドア17と、エレベータのカゴが備えるカゴ側ドア18とがともに開放状態である様子を示している。尚、本実施形態では、ドア17は、図1に示すように、2枚の扉の一方が左にスライドし、他方が右にスライドするドアであるが、これに限定されず、例えば1つの扉が一方向にスライドするものであっても良い。
【0020】
センサ20は、図2に示すように、上記基本的構成部分に相当する、照射部21、受光部22、及び判定部24の他に、センサ制御部23を有し、枠体14の上枠部分14aに取り付けられる。本実施形態では、センサ制御部23も含めて、センサ20は、図3に示すように、ハウジング201にて一つにパッケージ化されて形成され、上枠部分14aに設置される。このようにパッケージ化により、従来に比べてセンサ部分の設置及び施工が極めて容易になる。尚、図3は、上記奥行方向Bからセンサ20を見た、センサ20の、上記開閉方向Aに沿った断面を示す図である。
【0021】
このようなセンサ20は、後述するドアシステム制御部50の検出動作開始又は検出動作停止の命令に従って、検出動作を実行し、通過スペース11内の障害物の有無を判定し、判定結果をドアシステム制御部50に出力するものである。
さらにまた、センサ20は、自己の故障を判定する故障自己検知を実行し、判定結果をドアシステム制御部50に出力する。
【0022】
センサ20における照射部21は、上枠部分14aから下方に向けて照射光を照射する。照射部21は、図3及び図4に示すように、センサ20のハウジング201内に設けられる箱体形状にてなりハウジング201と一体的に成形される第1ハウジング211と、第1ハウジング211内に設置される光源212と、投光光学ユニット213とを有し、ハウジング201内に設けられる。尚、図4は、図3に示すC部における照射部21の断面を示している。
【0023】
光源212は、赤外線LED(Light Emitting Diode)などの発光ダイオード、レーザダイオード、又はランプなどの照明部材を含み、基板214に実装されている。上記通過スペース11側へ光が投光されるように光源212が配向されて、基板214が第1ハウジング211の内部で天井部分に固定されている。第1ハウジング211は、非透光性材にてなり、光源212を実装した基板214を支持するとともに、センサ20のハウジング201とによって、光源212を格納する部屋を形成する。また、センサ20のハウジング201も、非透光性材にてなる。
【0024】
投光光学ユニット213は、センサ20のハウジング201において上記通過スペース11に面する表面201aに形成された開口に取り付けられ、光源212から拡散して放射される照射光218が透過する部材である。このような投光光学ユニット213は、上記照射光218について、上記奥行方向Bへの光の拡散を抑制し、同時に上記開閉方向Aへの光の拡散を増大させる作用を行う。
【0025】
具体的には、投光光学ユニット213は、例えば図8に示すように、開閉方向Aに沿って延在する蒲鉾型にてなる凸形の円柱レンズであり、開閉方向Aに光を拡散するため、光源212に対向する入射側213aには、平坦面に対して、例えば断面三角形状の凸形状で奥行方向Bに沿って延在するプリズム213bが開閉方向Aへ多数並設されている。一方、透過した照射光218が出射する出射側213cは、開閉方向Aに延在する円柱レンズの曲面213dにて構成される。
【0026】
投光光学ユニット213がこのような形状を有することで、光源212から照射された照射光218は、プリズム213bにより開閉方向Aに拡散され、同時に円柱レンズの曲面213dの作用により、奥行方向Bへの拡散が抑制される。これにより、図6及び図7に示すように、投光光学ユニット213から出射した照射光218の照射範囲215は、奥行方向Bに狭く、開閉方向Aに広い範囲となり、通過スペース11内に収めることが可能となる。
また、プリズム213bを有する円柱レンズを用いることにより、単一の部材にて、上述のように限定された照射範囲215を形成可能であり、円柱レンズやプリズムシートを複数組み合せて構成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0027】
受光部22は、本実施形態では、図2及び図3に示すように、センサ20に含まれ、光源212から照射された照射光218の反射光を含む、通過スペース11からの光を受光する。このような受光部22は、受光素子222と、集光光学ユニット223とを有し、本実施形態では図3に示すように、開閉方向Aにおいて照射部21に隣接して配置されハウジング201にて照射部21と一体化して構成される。照射部21と一体化することで、センサ20の全体の大きさをコンパクトにすることができ、部品数が削減でき、さらに設置が容易になる。勿論、受光部22は、照射部21と別体にて構成してもよい。
【0028】
集光光学ユニット223は、凸型および凹型レンズ、フレネルレンズ、円柱レンズ、並びに円柱フレネルレンズの、一つ又は複数を組み合わせたレンズを備える。このような集光光学ユニット223は、センサ20のハウジング201の上記表面201aに形成された開口部分に取り付けられ、通過スペース11からの光を集約する作用を有し、平行光又はそれに近い光を受光素子222に集光する。
【0029】
受光素子222は、光源212の照射光218における波長の光を受光可能な素子であり、具体的には、CCD(Charge Coupled Device)などの複数個の画像素子を2次元的に配置したものなどで構成される。このような受光素子222は、基板224に実装され、センサ20内でハウジング201の天井部分に基板224が取り付けられて設置される。また受光素子222は、判定部24に電気的に接続される。
【0030】
上述のように複数個の画像素子から受光素子222を構成することで、通過スペース11に存在する物体に対応した部分に位置する画像素子が上記物体からの反射光を受光する。よって、受光部22は、上記物体が存在する領域の位置、及び、該領域からの反射光の強度等の画像情報を含んだ信号を判定部24に出力する。
【0031】
受光素子222を構成する上記画像素子の内、通過スペース11からの反射光を受光する画像素子のみを利用することで、図6及び図7に示すように受光素子222の受光範囲225を通過スペース11内に限定して設定することができる。即ち、通過スペース11からの反射光を受光する画像素子は、予め選択される。
【0032】
一方、本実施の形態では、上述のように、受光素子222は、画像素子を2次元的に配列して構成しているが、画像素子を開閉方向Aに1次元的に配列した、ラインセンサにて構成してもよい。このようなラインセンサ構成では、受光範囲は、奥行方向Bにおいて物理的に狭く、通過スペース11内に収まることから、通過スペース11からの反射光を受光する画像素子を予め選択する必要がなくなるというメリットがある。
【0033】
上述したような照射部21及び受光部22の構成によれば、照射部21から照射範囲215に照射された光は、受光範囲225に存在する物体から反射されて受光部22によって受光される。そのため、障害物が検出される検出領域235は、照射範囲215と受光範囲225とが重なり合う空間的部分である。本実施の形態では、照射範囲215及び受光範囲225は、上述のように共に通過スペース11内に含まれている。よって、検出領域235は、通過スペース11内に含まれている。
【0034】
尚、本実施の形態では、上述のように照射範囲215及び受光範囲225は、共に通過スペース11に含まれるように構成しているが、いずれか一方が通過スペース11をはみ出した範囲を有する場合でも、他方が通過スペース11内の範囲を有することで、検出領域235は、通過スペース11内に設定することができる。よって、必ずしも、照射範囲215及び受光範囲225が共に通過スペース11内にあるように構成する必要はない。
【0035】
また、本実施形態では、上述のように照射部21に投光光学ユニット213を有することで、光源212から照射された照射光218の照射範囲215を奥行方向Bにおいて狭くしている。しかしながら、照射部21は、必ずしも投光光学ユニット213を有しなくてもよい。この場合でも、検出領域235は、通過スペース11内における照射範囲215と受光範囲225とが重なり合う空間的部分である。
【0036】
上述したような検出領域235を設定することで、本実施形態のドアシステム10は、ドア17の開閉動作に干渉する可能性が全く無い、又はその可能性が極めて低い、人及び物を障害物として認識することを低減あるいはゼロにすることができる。例えば、検出領域235の近辺を開閉方向Aに沿って移動する人を検知することを低減あるいはゼロにすることができる。
【0037】
これにより、ドア17の開閉動作を安全に行うことができるとともに、不必要にドア17の開閉動作を停止させることは無くなる。その結果、不必要に停止したドアによって利用者が無駄に待機することも無くなり、利用者の利便性を向上させることができる。また、以下に説明する、受光部22の出力信号を元に作成した差分信号を用いることで、上述の効果をより高い精度にて達成することができる。
【0038】
センサ制御部23は、本実施の形態では図3に示すように、受光素子222が実装されたのと同じ基板224に取り付けられ、センサ20のハウジング201内に設置される。センサ制御部23は、照射部21の動作、例えば、光源212の点灯及び消灯、照射光218の強さ、照射時間などを制御する。さらにセンサ制御部23は、受光部22の動作、例えば、受光感度、受光時間などを制御する。このようなセンサ制御部23は、具体的にはコンピュータなどで構成される。
【0039】
判定部24は、本実施の形態では図3に示すように、受光素子222及びセンサ制御部23が実装されたのと同じ基板224に取り付けられ、センサ20のハウジング201内に設置される。このような判定部24は、受光部22が出力する、検出した光に対応する受光信号を任意の時間間隔で複数回取得し、異なる時間にて取得した信号同士の差分を求め、この差分信号を判定基準に使用する。本実施形態では、判定部24は、上記差分信号に基づいて、検出領域235に障害物が存在するか否かを判定する。また、判定部24は、受光部22から取得した信号に基づいて、センサ20の故障状態を判定することもできる。このような判定部24は、具体的にはコンピュータなどで構成される。
【0040】
以上のように構成されたセンサ20が実行可能な2つの動作、つまり一つは障害物の検出動作、及び他の一つは故障自己検知動作、について、以下に説明する。本実施の形態におけるこれらの動作は、短い時間間隔で連続して受光部22から信号を取得し、この信号の変化量に基づいて判定する動き検知である。
【0041】
まず、動き検知による判定方法、及び上記障害物の検出動作について説明する。
図10は、動き検知による検出動作を実行する処理の流れを示すフローチャートである。動き検知による判定方法の概念を図示した図9に示すように、センサ制御部23は、照射部21を制御して、光源212を点灯させる。同時にセンサ制御部23は、受光部22を制御して、光源212の点灯に同期した受光時間にて受光させる。
【0042】
判定部24は、光源212が点灯している時間に対応した受光部22からの信号、即ち、上記検出領域235における障害物からの反射光と、その他の外乱光とを含む点灯時信号X1を得る(図10におけるS1)。光源212の点灯時間の直後に、センサ制御部23は、受光部22を制御し、光源212が消灯状態にある間、同様の受光時間だけ受光させる。判定部24は、受光部22より、光源212が消灯しているときの信号、即ち外乱光のみを含む消灯時信号Y1を得る(S2)。
【0043】
次に、判定部24は、上記点灯時信号X1と、上記消灯時信号Y1とを差分演算し、これらの差分信号Z1を算出する(S3)。つまり差分信号Z1は、上記外乱光の影響を排除した受光信号である。このような差分信号Z1に基づいて物体有無の判定を行うことで、外乱光の影響を含んだ点灯時信号に基づき判定する場合に比べて、判定制度を向上させることができる。
【0044】
次に、予め設定している時間間隔後(S4)に、上述のステップS1及びステップS2と同様の手順を実施して(S5、S6)、判定部24は、差分信号Z2を得る(S7)。判定部24は、これらの差分信号Z1と、差分信号Z2との差を算出し、その差の絶対値である時間差分信号D1を、予め設定したしきい値と比較する(S8)。そして、時間差分信号D1がしきい値より大きい場合には(S8のYES)、判定部24は、上記検出領域235に障害物が存在すると判定し、ドアシステム制御部50に判定結果を出力する(S9)。一方、上記時間差分信号D1がしきい値より小さい場合には(S8のNO)、判定部24は、上記検出領域235に障害物が存在しないと判定し、ドアシステム制御部50に判定結果を出力する(S10)。
【0045】
このように短い時間間隔における差分信号同士の変化量に基づいて障害物の有無を判定することで、光源212の照射光218の強さが長い時間間隔で変化した場合において、例えば光源212の劣化や温度変化によって照射光218の強さが変化した場合等において、検出領域235に障害物が無いにもかかわらず、障害物が有ると認識して不要にドア17の開閉動作を停止してしまう、という不具合は発生しない。これにより、従来に比べてドア17の開閉動作を安全に行うことができるとともに、不必要にドアの開閉動作を停止させることが無くなる。その結果、不必要に停止したドアによって利用者が無駄に待機することが無くなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0046】
次に、センサ20におけるもう一つの動作である、故障自己検知動作について説明する。図11は、故障自己検知を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
センサ制御部23は、上述したステップS1及びステップS2にて説明した検出動作と同様の手順(図11におけるS21、S22)を実行し、判定部24は、差分信号Z1を得る(S23)。
【0047】
次に、判定部24は、差分信号Z1と、予め設定した故障判定しきい値との比較を行う(S24)。比較の結果、差分信号Z1が故障判定しきい値より小さい場合(S24のYES)、判定部24は、照射部21及び受光部22の少なくとも一方が故障していると判定する(S25)。一方、差分信号Z1が故障判定しきい値より大きい場合(S24のNO)、判定部24は、正常と判定する(S26)。ステップS25,26の後、判定部24は、ドアシステム制御部50に判定結果を出力する。
【0048】
このように、判定部24は、照射部21及び受光部22の少なくとも一方が故障したことを、差分信号Z1の低下から検知することができる。
以上が、センサ20における2つの動作説明である。
【0049】
次に、ドア駆動部30は、図1に示すように、例えば上枠部分14aに設けられ、ドア17の開閉を行う部分であり、例えばモータなどの駆動源と、その駆動源から駆動力の供給を受けてドア17を開閉する例えばワイヤ及び歯車を含む駆動力伝達部材とを有する。尚、図1では、ドア駆動部30は簡略的に示されている。
【0050】
通知部40は、図1に示すように、例えば、通過スペース11に面する右枠部分14c又は左枠部分14bの側面に設置され、例えばスピーカ、照明、及びモニタなどの内の、少なくとも一つを備え、音声、ブザー音、光、又は映像によってドア近辺の人に警告を発する。
【0051】
ドアシステム制御部50は、上述したセンサ20、ドア駆動部30、及び通知部40と電気的に接続され、ドアシステム10を全体的に制御する部分であり、具体的にはコンピュータなどで構成されている。
【0052】
このようなドアシステム制御部50は、センサ20を制御し、一の動作としての、障害物の検出動作を実行させ、障害物の有無の判定結果を受ける。また、ドアシステム制御部50は、センサ20から障害物有りとの判定結果を受けた場合には、ドア駆動部30を制御してドア17の開閉動作を停止又は低速にし、さらに通知部40を制御して、利用者に警告を発する。
【0053】
また、ドアシステム制御部50は、センサ20を制御し、他の動作としての、故障自己検知を実行させ、センサ20の故障状態の判定結果を受けるとともに、通知部40を制御して、利用者又はエレベータの保守作業者に上記判定結果を通知する。よって、従来に比べて安全性や保守性を向上することができる。
【0054】
以上説明したような構成を有する本実施形態のドアシステム10が実行する動作について以下に説明する。
まずドア17が閉鎖状態にあり、ドア17を開放する際に、ドアシステム10が実行する処理例を説明する。図12は、この場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0055】
ドアシステム制御部50は、センサ20を制御して、検出動作を開始させる(図12におけるS31)。そして、ドアシステム制御部50は、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かを判断する(S32)。このとき、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けた場合には(S32のYES)、ドアシステム制御部50は、通知部40に対して、音の発生、発光、画像を描写等の、一つ又は複数の警告動作を行わせ(S33)、かつ、ドア駆動部30を制御してドア17の閉鎖状態を維持させる(S34)。
【0056】
ステップS34の動作後において、ドアシステム制御部50は、再度、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かを判断する(S35)。そして、依然としてセンサ20から障害物有りとの判定結果を受けた場合には(S35のYES)、ドアシステム制御部50は、再び通知部40に対して、音の発生、発光、画像を描写等の、一つ又は複数の警告動作を行わせ(S36)、その後、ドア駆動部30を制御して、ドア17を通常よりも低速にて開放動作させる低速開放動作を開始させる(S37)。さらに、ドアシステム制御部50は、センサ20に対して障害物の検出動作を停止させ(S38)、ドア17が開放状態となるまで、ドア駆動部30に対して上記低速開放動作を継続させる(S39)。
【0057】
一方、上記ステップS32又は上記ステップS35において、ドアシステム制御部50が、センサ20より障害物無しとの判定結果を受けた場合には(S32又はS35におけるNO)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30を制御して、ドア17の通常開放動作を開始させ(S40)、センサ20に対して障害物の検出動作を停止させ(S41)、さらに、ドア17が開放状態となるまでドア駆動部30に対して通常の開放動作を継続させる(S42)。
【0058】
ドア17に対して、閉鎖状態から開放動作を実行させる場合、2つのドア17同士の間、及びドア17と建物との間の少なくとも一方に、ドア17付近にいる人又は物が引き込まれる危険性がある。これに対して、上述したような図12に示す動作が実行されることで、上記検出領域235に障害物が存在すると判定された場合には、ドア17の開放動作を開始する前に、通知部40が障害物の存在をドア付近の人に警告する。該警告動作により、警告された人は、ドア付近の人や物がドア17に引き込まれる可能性が高い状態であることを知ることができる。さらに、再度、障害物有りと判定された場合には、ドア17を通常よりも低速にて開放するため、人や物がドア17に引き込まれる可能性をほとんど無くすことができる。
【0059】
次に、ドア17が開放状態にあり、ドア17を閉鎖する際に、本実施形態のドアシステム10が実行する動作について、説明する。図13は、この動作の流れを示すフローチャートである。
【0060】
ドアシステム制御部50は、センサ20を制御して、障害物の検出動作を開始させる(S51)。そして、ドアシステム制御部50は、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かを判断する(S52)。このとき、センサ20より障害物ありとの判定結果を受けた場合には(S52のYES)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30に対してドア17の開放状態を維持させ、かつセンサ20に対して障害物の検出動作を継続させる。
【0061】
一方、上記ステップS52において、センサ20より障害物なしとの判定結果を受けた場合には(S52のNO)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30に対してドア17の閉鎖動作を開始させる(S53)。ドア17の閉鎖動作開始後、ドア17が閉鎖状態に至るまでの間においても、ドアシステム制御部50は、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かの判断を続行しながら(S54)、ドア駆動部30に対してドア17の閉鎖動作を続行させる(S55)。そして、ステップS56では、ドアシステム制御部50は、ドア17が閉鎖状態となったか否かを判断し、ドア17が閉鎖状態である場合には(S56のYES)、センサ20に対して検出動作を停止させ(S57)、動作を終了する。
【0062】
一方、ドア17が閉鎖状態でない場合には(S56のNO)、上記ステップS54に戻る。そして、ステップS54において、ドアシステム制御部50がセンサ20より障害物有りとの判定結果を受けた場合には(S54のYES)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30に対してドア17の閉鎖動作を停止させドア17を開放状態に戻させる(S58)。そして、再び、ステップS51へ移行する。
【0063】
ドア17に対して、開放状態から閉鎖動作を実行させる場合においても、閉鎖状態から開放動作を行う場合と同様に、2つのドア17同士の間、及びドア17と建物との間の少なくとも一方に、ドア17付近にいる人又は物が引き込まれる危険性がある。これに対し、上述したような図13に示す動作が実行されることで、検出領域235に障害物が存在すると判定された場合には、閉鎖動作開始前にあってはドア17の閉鎖動作を待機させ、閉鎖動作中にあっては、ドア17の閉鎖動作を中断して開放動作を行わせる。したがって、人や物がドア17に引き込まれる可能性をほとんど無くすことができる。
【0064】
上述したように、本実施の形態では、判定部24による判定方法及び検出動作を動き検知としたが、取得した信号と、予め物体がない状態で取得し蓄積しておいた信号との差に基づいて判定する存在検知であってもよい。
上記存在検知による判定方法及び検出動作について、以下に説明する。図14は、存在検知による検出動作を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
判定部24は、上述した動き検知による判定方法と同様に、図10を参照して説明したステップS1及びステップS2の動作を行い(図14におけるS61,S62)、上記差分信号Z1を取得する(S63)。次に、判定部24は、予め物体がない状態で取得し蓄積しておいた差分信号Z3を読み出す(S64)。
【0066】
ここで、物体がない状態の差分信号Z3の取得方法として、例えば、ドア17が開閉動作をしない時間帯に、上述した動き検知による判定を実行し、障害物がないと判定された場合、同時に取得した差分信号を蓄積することで得られる。
【0067】
判定部24は、これらの差分信号Z1,Z3の差を算出し、その差の絶対値と、しきい値との比較を行う(S65)。このとき、上記差の絶対値が、しきい値より大きい場合には(S65のYES)、検出領域235に障害物が存在すると判定する(S66)。一方、上記差の絶対値がしきい値より小さい場合には(S65のNO)、判定部24は、検出領域235に障害物が存在しないと判定する(S67)。判定部24は、ドアシステム制御部50にこれらの判定結果を出力する。
【0068】
このように予め取得した、物体がない状態の差分信号との差に基づいて障害物の有無を判定することで、例えば、ドア17の開閉動作前から長い時間、障害物が検出領域235に位置し、この障害物が動かない場合においても、検出領域235における障害物の検出が可能となる。
【0069】
また、動き検知と、存在検知との両方を行う判定方法及び検出動作を用いてもよく、これらを組み合わせることでより、ドア開閉に関する安全性を向上させることができる。
【0070】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2のドアシステムの構成は、実施の形態1のドアシステム10の構成と概ね同一であるが、センサ20の照射部21が複数の光源を有する点で相違する。その他の構成は、実施の形態1のドアシステム10における構成と同じである。よって、以下では、上述の相違点についてのみ説明を行う。尚、実施の形態2において、複数の光源を有する照明部について、「21−2」の符号を付す。
【0071】
図15は、開閉方向Aに沿って一列状に配列された複数の光源212a〜212fを有するセンサ20の、開閉方向Aに沿った断面を示す図である。複数の光源212a〜212fは全て、下方に位置する上記通過スペース11側へ光を投光するように配向されている。尚、ここでは、6つの光源212a〜212fを図示するが、光源の個数は、複数個であればよく、6つに限定するものではない。
【0072】
また、複数の光源212a〜212fの下方には、投光光学ユニット216が設置されている。投光光学ユニット216は、実施の形態1にて説明した投光光学ユニット213に対応するものであり、具体的には図16に示すような、上記投光光学ユニット213に比べて開閉方向Aに長い、プリズム213b及び曲面213dを有した円柱レンズなどで構成される。
【0073】
本実施の形態2における照明部21−2の構成を採ることで、一つの光源212を有する実施の形態1の構成に比べると、通過スペース11へ照射される照射光の強さが大きくなり、その結果、反射率の低い物体であっても確実に検出できるというメリットがある。
【0074】
また、照明部21−2では上述のように、複数の光源212a〜212fを開閉方向Aに沿って一列状に配列したが、図18に示すように、開閉方向A及び奥行方向Bに複数の光源を2次元的に配置してもよい。尚、このように光源を配列した照明部について「21−2A」の符号を付す。
図18では、開閉方向Aに沿って一列状に配列した、光源212a〜212cと光源212d〜212fとを、それぞれ奥行方向Bに沿って2列に配置した場合を示している。尚、図17は、照明部21−2Aを有するセンサ20の開閉方向Aに沿った断面を示す。
【0075】
また、2列に配置された光源212a〜212c、光源212d〜212fの下方には、図19に示すように、プリズム213b及び曲面213dを有し開閉方向Aに延在する円柱レンズを、奥行方向Bに沿って並設した投光光学ユニット217を設けている。
尚、照明部21−2Aでは、奥行方向Bに沿って2列にて光源及び投光光学ユニットを配置しているが、2列に限定するものではなく、3列以上にて構成してもよい。
【0076】
このような照明部21−2Aを有するセンサ20では、図15に示す照明部21−2の構成に比べて、センサ20の全体の大きさが小型になり、取り付けが容易になるというメリットがある。
【符号の説明】
【0077】
10 ドアシステム、11 通過スペース、14a 上枠部分、17 ドア、
17a 開閉領域、20 センサ、21,21−2,21−2A 照射部、
22 受光部、23 センサ制御部、24 判定部、
30 ドア駆動部、40 通知部、50 ドアシステム制御部、
212 光源、213 投光光学ユニット、213b プリズム、
213d 曲面、215 照射範囲、216,217 投光光学ユニット、
218 照射光、222 受光素子、225 受光範囲、235 検出領域、
A 開閉方向、B 奥行方向。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動的にドアを開閉するドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、建物やエレベータの出入り口には、モータなどの駆動力によって自動的に開閉するドアが設けられている。このような自動ドアは、自動的にドアが開閉動作するときに、ドアとドアの間またはドアと建物の間に指や物を挟んだり引き込まれたりする恐れがある。
【0003】
このような事故を未然に防止するために、ドアが動作するときに、ドアの近くに人や物が存在していないことを確認するシステムが提案されている。このシステムによれば、例えば、ドア近くの人や物(障害物)を検出すると、システムがドアの閉鎖動作を中止して該ドアを開放位置に戻す。これにより、ドアの開閉動作を安全に行うことができる。
【0004】
このような、ドア近辺に存在する障害物を検出する検出装置を備えたドアシステムが特許文献1〜4に開示されている。特許文献1、2には、ドア近辺に存在する障害物を検出する検出装置を出入り口の上枠に取り付け、上記検出装置が障害物を検出すると、スピーカを介して警告する技術が記載されている。
【0005】
特許文献3には、エレベータのドア近辺に存在する障害物を検出したとき、エレベータの天井に設けられた映写機が警告画像をドアに投影する技術が記載されている。
【0006】
特許文献4には、出入り口を規定する枠体の左側枠又は右側枠の一方に複数の投光器を配置し、他方に複数の受光器を配置して、複数の投光器から複数の受光器に投光された光束が遮断されることにより、出入り口の障害物を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平2−94881号公報
【特許文献2】実開平7−15671号公報
【特許文献3】特開2004−345762号公報
【特許文献4】特開2005−280900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1、2に記載の技術では、ドアに挟まれる可能性がない物まで検出する場合が生じる。そのため、不必要にドアの開閉動作が停止し、開閉動作が再開されるまでに長時間を要し、その結果、利用者に苛立ちを感じさせることがある。
【0009】
また、特許文献3に記載の技術では、ドアに映し出される警告画像は鮮明である必要がある。よって、ドアの表面材料の選択が著しく制約を受けてしまう。また、ドアに向けて投影される警告画像が障害物と干渉しないように、映写機の配置についても制約を受ける。これらの事情から、既存設備に特許文献3の技術を組み込む場合には、既存設備の大幅な変更が必要である。
【0010】
また、特許文献4に記載の技術では、多数の投光器と受光器とを左右の側枠に埋め込む必要がある。ところが、一般の建物の側枠は、金属板又はコンクリートで構成されているため、これらの硬い側枠に、多数の投光器及び受光器、並びにそれらの駆動に必要な電気配線を埋め込むことは困難である。
【0011】
本発明は、上述したような問題を解決するためになされたもので、誤検出を防止しさらに既存設備への据付が容易であるドアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるドアシステムは、自動開閉するドアにおける通過スペースの上方に位置する上枠部分に設置され、照射光を発生する光源を有する照射部と、上記上枠部分に設置され、上記ドアの開閉動作において障害となる障害物による上記照射光の反射光を含む、上記通過スペースからの光を受光する受光部と、上記通過スペースからの光に対応して上記受光部が送出する信号について時間的に異なる信号同士の差分を求め、求めた差分信号を判定基準に使用する判定部と、を備え、上記通過スペースは、上記ドアの開閉方向に直交する奥行方向における上記上枠部分の幅にて上記上枠部分と床との間に形成される範囲から上記ドアの開閉領域を除いた領域であり、上記照射部から照射された上記照射光の照射範囲と、上記受光部の受光範囲との重複範囲で、上記通過スペース内における領域を検出領域とする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様におけるドアシステムによれば、照射部と、受光部と、判定部とを備える。照射部の照射範囲と、受光部の受光範囲との重複範囲でかつ通過スペース内における領域が検出領域となる。したがって、従来に比べて検出領域を限定することができる。また、判定部は、受光部の信号から差分信号を求め、該差分信号を判定基準に使用する。したがって、上述した、検出領域の限定との組み合わせにより、例えば、上記通過スペースにおける障害物の検出動作では、障害物有りと誤認して不必要にドアの開閉を行うような動作を従来に比べて低減することができる。また、上記差分信号を判定基準に使用することで、照射部及び受光部の少なくとも一方における故障の有無を判定することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1におけるドアシステムを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すドアシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すセンサの、開閉方向に沿った断面図である。
【図4】図3に示すC部における照射部の断面図である。
【図5】図3に示すD部における受光部の断面図である。
【図6】図1に示すドアシステムにおける照射部の照射範囲及び受光部の受光範囲の正面図である。
【図7】図6に示す照射範囲及び受光範囲の側面図である。
【図8】図3に示す照射部に備わる投光光学ユニットの斜視図である。
【図9】図1に示すドアシステムに備わる照射部の照射タイミングを示すタイミングチャート、及び信号の処理を説明するための図である。
【図10】図1に示すセンサに備わる判定部が実行する動き検知による検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】図1に示すセンサに備わる判定部が実行する故障自己検知動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図12】図1に示すドアシステムに備わるドアシステム制御部が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
【図13】図1に示すドアシステムに備わるドアシステム制御部が実行する処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】図1に示すセンサに備わる判定部が実行する存在検知による検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態2におけるドアシステムに備わるセンサの、開閉方向に沿った断面図である。
【図16】図15に示す照射部に備わる投光光学ユニットの斜視図である。
【図17】図15に示すセンサの変形例における開閉方向に沿った断面図である。
【図18】図17に示すセンサのE部における断面図である。
【図19】図17に示すセンサに備わる投光光学ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態であるドアシステムについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下に説明する各実施の形態では、上記ドアシステムについて、エレベータシステムにおけるドアシステムを例に採り説明を行う。各実施形態におけるドアシステムは、基本的構成部分として、以下に説明する、照射部と、受光部と、判定部とを備える。また、本発明は、以下の実施形態に示すようなエレベータシステムにおけるドアシステムに限定されず、建物の通路や壁に取り付けられて自動的に開閉するドアを含むあらゆるドアシステムに適用可能である。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1のドアシステム10を概略的に示す斜視図である。図1に示すドアシステム10は、エレベータシステムの一部であって、エレベータのカゴが停止する建物の各階の壁に取り付けられ、自動的に開閉するドア17を含んでいる。本実施形態におけるドアシステム10は、ドア17を自動的に開閉するとき、ドア17の開閉動作の障害となる障害物の存在を確認する構成を備えている。上記障害物存在確認のため、本実施形態のドアシステム10は、上記基本的構成部分を有するセンサ20に加えて、さらに、三方枠14と、ドア17と、ドア駆動部30と、通知部40と、ドアシステム制御部50とを備える。これらの構成部分について、順次、以下に説明する。
【0017】
三方枠14は、ドア17の戸袋部分を含み、コンクリート又はモルタルで作られた壁に固定されている枠体であり、上枠部分14aと、左枠部分14bと、右枠部分14cとを有する。上枠部分14aは、三方枠14の内、水平に真っ直ぐに伸びる部分である。左枠部分14b及び右枠部分14cは、それぞれ、上枠部分14aの端部から鉛直方向に直線的に垂下する部分であり、それぞれ同じ長さを有する。
【0018】
このような三方枠14と床15とにより、通過スペース11が規定される。即ち、通過スペース11は、エレベータのカゴに乗り降りする人が通過するエレベータの乗場側のスペースである。詳しくは、通過スペース11は、三方枠14の上枠部分14aと、左枠部分14bと、右枠部分14cと、床15とによって囲まれ、かつドア17が開閉する領域を除いた乗場側の領域である。尚、本実施形態では、三方枠14を設けているが、本発明を実施するには、左枠部分14b及び右枠部分14cは枠材である必要はなく、最低限、上枠部分14aが設けられれば良い。この場合、通過スペース11は、図7を参照して、ドア17の開閉方向Aに直交する方向で人が乗降する方向である奥行方向Bにおける上枠部分14aの幅Wにて、上枠部分14aと床15との間に形成される範囲からドア17の開閉領域17aを除いた領域である。
【0019】
ドア17は、三方枠14によって支持されている。ドア17は、後述するドア駆動部30によって、三方枠14によって形成される出入り口を自動的に開閉する。尚、図1は、人がエレベータのカゴに乗降するときの状態、即ち、ドア17と、エレベータのカゴが備えるカゴ側ドア18とがともに開放状態である様子を示している。尚、本実施形態では、ドア17は、図1に示すように、2枚の扉の一方が左にスライドし、他方が右にスライドするドアであるが、これに限定されず、例えば1つの扉が一方向にスライドするものであっても良い。
【0020】
センサ20は、図2に示すように、上記基本的構成部分に相当する、照射部21、受光部22、及び判定部24の他に、センサ制御部23を有し、枠体14の上枠部分14aに取り付けられる。本実施形態では、センサ制御部23も含めて、センサ20は、図3に示すように、ハウジング201にて一つにパッケージ化されて形成され、上枠部分14aに設置される。このようにパッケージ化により、従来に比べてセンサ部分の設置及び施工が極めて容易になる。尚、図3は、上記奥行方向Bからセンサ20を見た、センサ20の、上記開閉方向Aに沿った断面を示す図である。
【0021】
このようなセンサ20は、後述するドアシステム制御部50の検出動作開始又は検出動作停止の命令に従って、検出動作を実行し、通過スペース11内の障害物の有無を判定し、判定結果をドアシステム制御部50に出力するものである。
さらにまた、センサ20は、自己の故障を判定する故障自己検知を実行し、判定結果をドアシステム制御部50に出力する。
【0022】
センサ20における照射部21は、上枠部分14aから下方に向けて照射光を照射する。照射部21は、図3及び図4に示すように、センサ20のハウジング201内に設けられる箱体形状にてなりハウジング201と一体的に成形される第1ハウジング211と、第1ハウジング211内に設置される光源212と、投光光学ユニット213とを有し、ハウジング201内に設けられる。尚、図4は、図3に示すC部における照射部21の断面を示している。
【0023】
光源212は、赤外線LED(Light Emitting Diode)などの発光ダイオード、レーザダイオード、又はランプなどの照明部材を含み、基板214に実装されている。上記通過スペース11側へ光が投光されるように光源212が配向されて、基板214が第1ハウジング211の内部で天井部分に固定されている。第1ハウジング211は、非透光性材にてなり、光源212を実装した基板214を支持するとともに、センサ20のハウジング201とによって、光源212を格納する部屋を形成する。また、センサ20のハウジング201も、非透光性材にてなる。
【0024】
投光光学ユニット213は、センサ20のハウジング201において上記通過スペース11に面する表面201aに形成された開口に取り付けられ、光源212から拡散して放射される照射光218が透過する部材である。このような投光光学ユニット213は、上記照射光218について、上記奥行方向Bへの光の拡散を抑制し、同時に上記開閉方向Aへの光の拡散を増大させる作用を行う。
【0025】
具体的には、投光光学ユニット213は、例えば図8に示すように、開閉方向Aに沿って延在する蒲鉾型にてなる凸形の円柱レンズであり、開閉方向Aに光を拡散するため、光源212に対向する入射側213aには、平坦面に対して、例えば断面三角形状の凸形状で奥行方向Bに沿って延在するプリズム213bが開閉方向Aへ多数並設されている。一方、透過した照射光218が出射する出射側213cは、開閉方向Aに延在する円柱レンズの曲面213dにて構成される。
【0026】
投光光学ユニット213がこのような形状を有することで、光源212から照射された照射光218は、プリズム213bにより開閉方向Aに拡散され、同時に円柱レンズの曲面213dの作用により、奥行方向Bへの拡散が抑制される。これにより、図6及び図7に示すように、投光光学ユニット213から出射した照射光218の照射範囲215は、奥行方向Bに狭く、開閉方向Aに広い範囲となり、通過スペース11内に収めることが可能となる。
また、プリズム213bを有する円柱レンズを用いることにより、単一の部材にて、上述のように限定された照射範囲215を形成可能であり、円柱レンズやプリズムシートを複数組み合せて構成する場合に比べて、部品点数を削減することができる。
【0027】
受光部22は、本実施形態では、図2及び図3に示すように、センサ20に含まれ、光源212から照射された照射光218の反射光を含む、通過スペース11からの光を受光する。このような受光部22は、受光素子222と、集光光学ユニット223とを有し、本実施形態では図3に示すように、開閉方向Aにおいて照射部21に隣接して配置されハウジング201にて照射部21と一体化して構成される。照射部21と一体化することで、センサ20の全体の大きさをコンパクトにすることができ、部品数が削減でき、さらに設置が容易になる。勿論、受光部22は、照射部21と別体にて構成してもよい。
【0028】
集光光学ユニット223は、凸型および凹型レンズ、フレネルレンズ、円柱レンズ、並びに円柱フレネルレンズの、一つ又は複数を組み合わせたレンズを備える。このような集光光学ユニット223は、センサ20のハウジング201の上記表面201aに形成された開口部分に取り付けられ、通過スペース11からの光を集約する作用を有し、平行光又はそれに近い光を受光素子222に集光する。
【0029】
受光素子222は、光源212の照射光218における波長の光を受光可能な素子であり、具体的には、CCD(Charge Coupled Device)などの複数個の画像素子を2次元的に配置したものなどで構成される。このような受光素子222は、基板224に実装され、センサ20内でハウジング201の天井部分に基板224が取り付けられて設置される。また受光素子222は、判定部24に電気的に接続される。
【0030】
上述のように複数個の画像素子から受光素子222を構成することで、通過スペース11に存在する物体に対応した部分に位置する画像素子が上記物体からの反射光を受光する。よって、受光部22は、上記物体が存在する領域の位置、及び、該領域からの反射光の強度等の画像情報を含んだ信号を判定部24に出力する。
【0031】
受光素子222を構成する上記画像素子の内、通過スペース11からの反射光を受光する画像素子のみを利用することで、図6及び図7に示すように受光素子222の受光範囲225を通過スペース11内に限定して設定することができる。即ち、通過スペース11からの反射光を受光する画像素子は、予め選択される。
【0032】
一方、本実施の形態では、上述のように、受光素子222は、画像素子を2次元的に配列して構成しているが、画像素子を開閉方向Aに1次元的に配列した、ラインセンサにて構成してもよい。このようなラインセンサ構成では、受光範囲は、奥行方向Bにおいて物理的に狭く、通過スペース11内に収まることから、通過スペース11からの反射光を受光する画像素子を予め選択する必要がなくなるというメリットがある。
【0033】
上述したような照射部21及び受光部22の構成によれば、照射部21から照射範囲215に照射された光は、受光範囲225に存在する物体から反射されて受光部22によって受光される。そのため、障害物が検出される検出領域235は、照射範囲215と受光範囲225とが重なり合う空間的部分である。本実施の形態では、照射範囲215及び受光範囲225は、上述のように共に通過スペース11内に含まれている。よって、検出領域235は、通過スペース11内に含まれている。
【0034】
尚、本実施の形態では、上述のように照射範囲215及び受光範囲225は、共に通過スペース11に含まれるように構成しているが、いずれか一方が通過スペース11をはみ出した範囲を有する場合でも、他方が通過スペース11内の範囲を有することで、検出領域235は、通過スペース11内に設定することができる。よって、必ずしも、照射範囲215及び受光範囲225が共に通過スペース11内にあるように構成する必要はない。
【0035】
また、本実施形態では、上述のように照射部21に投光光学ユニット213を有することで、光源212から照射された照射光218の照射範囲215を奥行方向Bにおいて狭くしている。しかしながら、照射部21は、必ずしも投光光学ユニット213を有しなくてもよい。この場合でも、検出領域235は、通過スペース11内における照射範囲215と受光範囲225とが重なり合う空間的部分である。
【0036】
上述したような検出領域235を設定することで、本実施形態のドアシステム10は、ドア17の開閉動作に干渉する可能性が全く無い、又はその可能性が極めて低い、人及び物を障害物として認識することを低減あるいはゼロにすることができる。例えば、検出領域235の近辺を開閉方向Aに沿って移動する人を検知することを低減あるいはゼロにすることができる。
【0037】
これにより、ドア17の開閉動作を安全に行うことができるとともに、不必要にドア17の開閉動作を停止させることは無くなる。その結果、不必要に停止したドアによって利用者が無駄に待機することも無くなり、利用者の利便性を向上させることができる。また、以下に説明する、受光部22の出力信号を元に作成した差分信号を用いることで、上述の効果をより高い精度にて達成することができる。
【0038】
センサ制御部23は、本実施の形態では図3に示すように、受光素子222が実装されたのと同じ基板224に取り付けられ、センサ20のハウジング201内に設置される。センサ制御部23は、照射部21の動作、例えば、光源212の点灯及び消灯、照射光218の強さ、照射時間などを制御する。さらにセンサ制御部23は、受光部22の動作、例えば、受光感度、受光時間などを制御する。このようなセンサ制御部23は、具体的にはコンピュータなどで構成される。
【0039】
判定部24は、本実施の形態では図3に示すように、受光素子222及びセンサ制御部23が実装されたのと同じ基板224に取り付けられ、センサ20のハウジング201内に設置される。このような判定部24は、受光部22が出力する、検出した光に対応する受光信号を任意の時間間隔で複数回取得し、異なる時間にて取得した信号同士の差分を求め、この差分信号を判定基準に使用する。本実施形態では、判定部24は、上記差分信号に基づいて、検出領域235に障害物が存在するか否かを判定する。また、判定部24は、受光部22から取得した信号に基づいて、センサ20の故障状態を判定することもできる。このような判定部24は、具体的にはコンピュータなどで構成される。
【0040】
以上のように構成されたセンサ20が実行可能な2つの動作、つまり一つは障害物の検出動作、及び他の一つは故障自己検知動作、について、以下に説明する。本実施の形態におけるこれらの動作は、短い時間間隔で連続して受光部22から信号を取得し、この信号の変化量に基づいて判定する動き検知である。
【0041】
まず、動き検知による判定方法、及び上記障害物の検出動作について説明する。
図10は、動き検知による検出動作を実行する処理の流れを示すフローチャートである。動き検知による判定方法の概念を図示した図9に示すように、センサ制御部23は、照射部21を制御して、光源212を点灯させる。同時にセンサ制御部23は、受光部22を制御して、光源212の点灯に同期した受光時間にて受光させる。
【0042】
判定部24は、光源212が点灯している時間に対応した受光部22からの信号、即ち、上記検出領域235における障害物からの反射光と、その他の外乱光とを含む点灯時信号X1を得る(図10におけるS1)。光源212の点灯時間の直後に、センサ制御部23は、受光部22を制御し、光源212が消灯状態にある間、同様の受光時間だけ受光させる。判定部24は、受光部22より、光源212が消灯しているときの信号、即ち外乱光のみを含む消灯時信号Y1を得る(S2)。
【0043】
次に、判定部24は、上記点灯時信号X1と、上記消灯時信号Y1とを差分演算し、これらの差分信号Z1を算出する(S3)。つまり差分信号Z1は、上記外乱光の影響を排除した受光信号である。このような差分信号Z1に基づいて物体有無の判定を行うことで、外乱光の影響を含んだ点灯時信号に基づき判定する場合に比べて、判定制度を向上させることができる。
【0044】
次に、予め設定している時間間隔後(S4)に、上述のステップS1及びステップS2と同様の手順を実施して(S5、S6)、判定部24は、差分信号Z2を得る(S7)。判定部24は、これらの差分信号Z1と、差分信号Z2との差を算出し、その差の絶対値である時間差分信号D1を、予め設定したしきい値と比較する(S8)。そして、時間差分信号D1がしきい値より大きい場合には(S8のYES)、判定部24は、上記検出領域235に障害物が存在すると判定し、ドアシステム制御部50に判定結果を出力する(S9)。一方、上記時間差分信号D1がしきい値より小さい場合には(S8のNO)、判定部24は、上記検出領域235に障害物が存在しないと判定し、ドアシステム制御部50に判定結果を出力する(S10)。
【0045】
このように短い時間間隔における差分信号同士の変化量に基づいて障害物の有無を判定することで、光源212の照射光218の強さが長い時間間隔で変化した場合において、例えば光源212の劣化や温度変化によって照射光218の強さが変化した場合等において、検出領域235に障害物が無いにもかかわらず、障害物が有ると認識して不要にドア17の開閉動作を停止してしまう、という不具合は発生しない。これにより、従来に比べてドア17の開閉動作を安全に行うことができるとともに、不必要にドアの開閉動作を停止させることが無くなる。その結果、不必要に停止したドアによって利用者が無駄に待機することが無くなり、利用者の利便性を向上させることができる。
【0046】
次に、センサ20におけるもう一つの動作である、故障自己検知動作について説明する。図11は、故障自己検知を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
センサ制御部23は、上述したステップS1及びステップS2にて説明した検出動作と同様の手順(図11におけるS21、S22)を実行し、判定部24は、差分信号Z1を得る(S23)。
【0047】
次に、判定部24は、差分信号Z1と、予め設定した故障判定しきい値との比較を行う(S24)。比較の結果、差分信号Z1が故障判定しきい値より小さい場合(S24のYES)、判定部24は、照射部21及び受光部22の少なくとも一方が故障していると判定する(S25)。一方、差分信号Z1が故障判定しきい値より大きい場合(S24のNO)、判定部24は、正常と判定する(S26)。ステップS25,26の後、判定部24は、ドアシステム制御部50に判定結果を出力する。
【0048】
このように、判定部24は、照射部21及び受光部22の少なくとも一方が故障したことを、差分信号Z1の低下から検知することができる。
以上が、センサ20における2つの動作説明である。
【0049】
次に、ドア駆動部30は、図1に示すように、例えば上枠部分14aに設けられ、ドア17の開閉を行う部分であり、例えばモータなどの駆動源と、その駆動源から駆動力の供給を受けてドア17を開閉する例えばワイヤ及び歯車を含む駆動力伝達部材とを有する。尚、図1では、ドア駆動部30は簡略的に示されている。
【0050】
通知部40は、図1に示すように、例えば、通過スペース11に面する右枠部分14c又は左枠部分14bの側面に設置され、例えばスピーカ、照明、及びモニタなどの内の、少なくとも一つを備え、音声、ブザー音、光、又は映像によってドア近辺の人に警告を発する。
【0051】
ドアシステム制御部50は、上述したセンサ20、ドア駆動部30、及び通知部40と電気的に接続され、ドアシステム10を全体的に制御する部分であり、具体的にはコンピュータなどで構成されている。
【0052】
このようなドアシステム制御部50は、センサ20を制御し、一の動作としての、障害物の検出動作を実行させ、障害物の有無の判定結果を受ける。また、ドアシステム制御部50は、センサ20から障害物有りとの判定結果を受けた場合には、ドア駆動部30を制御してドア17の開閉動作を停止又は低速にし、さらに通知部40を制御して、利用者に警告を発する。
【0053】
また、ドアシステム制御部50は、センサ20を制御し、他の動作としての、故障自己検知を実行させ、センサ20の故障状態の判定結果を受けるとともに、通知部40を制御して、利用者又はエレベータの保守作業者に上記判定結果を通知する。よって、従来に比べて安全性や保守性を向上することができる。
【0054】
以上説明したような構成を有する本実施形態のドアシステム10が実行する動作について以下に説明する。
まずドア17が閉鎖状態にあり、ドア17を開放する際に、ドアシステム10が実行する処理例を説明する。図12は、この場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0055】
ドアシステム制御部50は、センサ20を制御して、検出動作を開始させる(図12におけるS31)。そして、ドアシステム制御部50は、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かを判断する(S32)。このとき、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けた場合には(S32のYES)、ドアシステム制御部50は、通知部40に対して、音の発生、発光、画像を描写等の、一つ又は複数の警告動作を行わせ(S33)、かつ、ドア駆動部30を制御してドア17の閉鎖状態を維持させる(S34)。
【0056】
ステップS34の動作後において、ドアシステム制御部50は、再度、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かを判断する(S35)。そして、依然としてセンサ20から障害物有りとの判定結果を受けた場合には(S35のYES)、ドアシステム制御部50は、再び通知部40に対して、音の発生、発光、画像を描写等の、一つ又は複数の警告動作を行わせ(S36)、その後、ドア駆動部30を制御して、ドア17を通常よりも低速にて開放動作させる低速開放動作を開始させる(S37)。さらに、ドアシステム制御部50は、センサ20に対して障害物の検出動作を停止させ(S38)、ドア17が開放状態となるまで、ドア駆動部30に対して上記低速開放動作を継続させる(S39)。
【0057】
一方、上記ステップS32又は上記ステップS35において、ドアシステム制御部50が、センサ20より障害物無しとの判定結果を受けた場合には(S32又はS35におけるNO)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30を制御して、ドア17の通常開放動作を開始させ(S40)、センサ20に対して障害物の検出動作を停止させ(S41)、さらに、ドア17が開放状態となるまでドア駆動部30に対して通常の開放動作を継続させる(S42)。
【0058】
ドア17に対して、閉鎖状態から開放動作を実行させる場合、2つのドア17同士の間、及びドア17と建物との間の少なくとも一方に、ドア17付近にいる人又は物が引き込まれる危険性がある。これに対して、上述したような図12に示す動作が実行されることで、上記検出領域235に障害物が存在すると判定された場合には、ドア17の開放動作を開始する前に、通知部40が障害物の存在をドア付近の人に警告する。該警告動作により、警告された人は、ドア付近の人や物がドア17に引き込まれる可能性が高い状態であることを知ることができる。さらに、再度、障害物有りと判定された場合には、ドア17を通常よりも低速にて開放するため、人や物がドア17に引き込まれる可能性をほとんど無くすことができる。
【0059】
次に、ドア17が開放状態にあり、ドア17を閉鎖する際に、本実施形態のドアシステム10が実行する動作について、説明する。図13は、この動作の流れを示すフローチャートである。
【0060】
ドアシステム制御部50は、センサ20を制御して、障害物の検出動作を開始させる(S51)。そして、ドアシステム制御部50は、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かを判断する(S52)。このとき、センサ20より障害物ありとの判定結果を受けた場合には(S52のYES)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30に対してドア17の開放状態を維持させ、かつセンサ20に対して障害物の検出動作を継続させる。
【0061】
一方、上記ステップS52において、センサ20より障害物なしとの判定結果を受けた場合には(S52のNO)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30に対してドア17の閉鎖動作を開始させる(S53)。ドア17の閉鎖動作開始後、ドア17が閉鎖状態に至るまでの間においても、ドアシステム制御部50は、センサ20より障害物有りとの判定結果を受けたか否かの判断を続行しながら(S54)、ドア駆動部30に対してドア17の閉鎖動作を続行させる(S55)。そして、ステップS56では、ドアシステム制御部50は、ドア17が閉鎖状態となったか否かを判断し、ドア17が閉鎖状態である場合には(S56のYES)、センサ20に対して検出動作を停止させ(S57)、動作を終了する。
【0062】
一方、ドア17が閉鎖状態でない場合には(S56のNO)、上記ステップS54に戻る。そして、ステップS54において、ドアシステム制御部50がセンサ20より障害物有りとの判定結果を受けた場合には(S54のYES)、ドアシステム制御部50は、ドア駆動部30に対してドア17の閉鎖動作を停止させドア17を開放状態に戻させる(S58)。そして、再び、ステップS51へ移行する。
【0063】
ドア17に対して、開放状態から閉鎖動作を実行させる場合においても、閉鎖状態から開放動作を行う場合と同様に、2つのドア17同士の間、及びドア17と建物との間の少なくとも一方に、ドア17付近にいる人又は物が引き込まれる危険性がある。これに対し、上述したような図13に示す動作が実行されることで、検出領域235に障害物が存在すると判定された場合には、閉鎖動作開始前にあってはドア17の閉鎖動作を待機させ、閉鎖動作中にあっては、ドア17の閉鎖動作を中断して開放動作を行わせる。したがって、人や物がドア17に引き込まれる可能性をほとんど無くすことができる。
【0064】
上述したように、本実施の形態では、判定部24による判定方法及び検出動作を動き検知としたが、取得した信号と、予め物体がない状態で取得し蓄積しておいた信号との差に基づいて判定する存在検知であってもよい。
上記存在検知による判定方法及び検出動作について、以下に説明する。図14は、存在検知による検出動作を実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0065】
判定部24は、上述した動き検知による判定方法と同様に、図10を参照して説明したステップS1及びステップS2の動作を行い(図14におけるS61,S62)、上記差分信号Z1を取得する(S63)。次に、判定部24は、予め物体がない状態で取得し蓄積しておいた差分信号Z3を読み出す(S64)。
【0066】
ここで、物体がない状態の差分信号Z3の取得方法として、例えば、ドア17が開閉動作をしない時間帯に、上述した動き検知による判定を実行し、障害物がないと判定された場合、同時に取得した差分信号を蓄積することで得られる。
【0067】
判定部24は、これらの差分信号Z1,Z3の差を算出し、その差の絶対値と、しきい値との比較を行う(S65)。このとき、上記差の絶対値が、しきい値より大きい場合には(S65のYES)、検出領域235に障害物が存在すると判定する(S66)。一方、上記差の絶対値がしきい値より小さい場合には(S65のNO)、判定部24は、検出領域235に障害物が存在しないと判定する(S67)。判定部24は、ドアシステム制御部50にこれらの判定結果を出力する。
【0068】
このように予め取得した、物体がない状態の差分信号との差に基づいて障害物の有無を判定することで、例えば、ドア17の開閉動作前から長い時間、障害物が検出領域235に位置し、この障害物が動かない場合においても、検出領域235における障害物の検出が可能となる。
【0069】
また、動き検知と、存在検知との両方を行う判定方法及び検出動作を用いてもよく、これらを組み合わせることでより、ドア開閉に関する安全性を向上させることができる。
【0070】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2のドアシステムの構成は、実施の形態1のドアシステム10の構成と概ね同一であるが、センサ20の照射部21が複数の光源を有する点で相違する。その他の構成は、実施の形態1のドアシステム10における構成と同じである。よって、以下では、上述の相違点についてのみ説明を行う。尚、実施の形態2において、複数の光源を有する照明部について、「21−2」の符号を付す。
【0071】
図15は、開閉方向Aに沿って一列状に配列された複数の光源212a〜212fを有するセンサ20の、開閉方向Aに沿った断面を示す図である。複数の光源212a〜212fは全て、下方に位置する上記通過スペース11側へ光を投光するように配向されている。尚、ここでは、6つの光源212a〜212fを図示するが、光源の個数は、複数個であればよく、6つに限定するものではない。
【0072】
また、複数の光源212a〜212fの下方には、投光光学ユニット216が設置されている。投光光学ユニット216は、実施の形態1にて説明した投光光学ユニット213に対応するものであり、具体的には図16に示すような、上記投光光学ユニット213に比べて開閉方向Aに長い、プリズム213b及び曲面213dを有した円柱レンズなどで構成される。
【0073】
本実施の形態2における照明部21−2の構成を採ることで、一つの光源212を有する実施の形態1の構成に比べると、通過スペース11へ照射される照射光の強さが大きくなり、その結果、反射率の低い物体であっても確実に検出できるというメリットがある。
【0074】
また、照明部21−2では上述のように、複数の光源212a〜212fを開閉方向Aに沿って一列状に配列したが、図18に示すように、開閉方向A及び奥行方向Bに複数の光源を2次元的に配置してもよい。尚、このように光源を配列した照明部について「21−2A」の符号を付す。
図18では、開閉方向Aに沿って一列状に配列した、光源212a〜212cと光源212d〜212fとを、それぞれ奥行方向Bに沿って2列に配置した場合を示している。尚、図17は、照明部21−2Aを有するセンサ20の開閉方向Aに沿った断面を示す。
【0075】
また、2列に配置された光源212a〜212c、光源212d〜212fの下方には、図19に示すように、プリズム213b及び曲面213dを有し開閉方向Aに延在する円柱レンズを、奥行方向Bに沿って並設した投光光学ユニット217を設けている。
尚、照明部21−2Aでは、奥行方向Bに沿って2列にて光源及び投光光学ユニットを配置しているが、2列に限定するものではなく、3列以上にて構成してもよい。
【0076】
このような照明部21−2Aを有するセンサ20では、図15に示す照明部21−2の構成に比べて、センサ20の全体の大きさが小型になり、取り付けが容易になるというメリットがある。
【符号の説明】
【0077】
10 ドアシステム、11 通過スペース、14a 上枠部分、17 ドア、
17a 開閉領域、20 センサ、21,21−2,21−2A 照射部、
22 受光部、23 センサ制御部、24 判定部、
30 ドア駆動部、40 通知部、50 ドアシステム制御部、
212 光源、213 投光光学ユニット、213b プリズム、
213d 曲面、215 照射範囲、216,217 投光光学ユニット、
218 照射光、222 受光素子、225 受光範囲、235 検出領域、
A 開閉方向、B 奥行方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動開閉するドアにおける通過スペースの上方に位置する上枠部分に設置され、照射光を発生する光源を有する照射部と、
上記上枠部分に設置され、上記ドアの開閉動作において障害となる障害物による上記照射光の反射光を含む、上記通過スペースからの光を受光する受光部と、
上記通過スペースからの光に対応して上記受光部が送出する信号について時間的に異なる信号同士の差分を求め、求めた差分信号を判定基準に使用する判定部と、を備え、
上記通過スペースは、上記ドアの開閉方向に直交する奥行方向における上記上枠部分の幅にて上記上枠部分と床との間に形成される範囲から上記ドアの開閉領域を除いた領域であり、
上記照射部から照射された上記照射光の照射範囲と、上記受光部の受光範囲との重複範囲で、上記通過スペース内における領域を検出領域とし、上記差分信号を上記ドアの開閉動作の判定基準とする、
ことを特徴とするドアシステム。
【請求項2】
上記判定部は、上記差分信号を判定基準に使用して上記障害物が上記通過スペース内の上記検出領域に存在するか否かを判定する、請求項1記載のドアシステム。
【請求項3】
上記判定部は、上記差分信号を判定基準に使用して上記照射部及び上記受光部の少なくとも一方における故障の有無を判定する、請求項1記載のドアシステム。
【請求項4】
上記照射部、上記受光部、及び上記判定部は、パッケージ化され上記上枠部分に取り付けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載のドアシステム。
【請求項5】
上記照射部は、上記光源の照射側に配置され上記ドアの開閉方向に直交する奥行方向において上記照射光の照射範囲を制限する投光光学ユニットをさらに有するとともに、一又は複数の上記光源を有し、上記投光光学ユニットは、上記光源の個数又は配列に対応して一又は複数のプリズム及び曲面を有する凸形の円柱レンズである、請求項1から4のいずれか1項に記載のドアシステム。
【請求項1】
自動開閉するドアにおける通過スペースの上方に位置する上枠部分に設置され、照射光を発生する光源を有する照射部と、
上記上枠部分に設置され、上記ドアの開閉動作において障害となる障害物による上記照射光の反射光を含む、上記通過スペースからの光を受光する受光部と、
上記通過スペースからの光に対応して上記受光部が送出する信号について時間的に異なる信号同士の差分を求め、求めた差分信号を判定基準に使用する判定部と、を備え、
上記通過スペースは、上記ドアの開閉方向に直交する奥行方向における上記上枠部分の幅にて上記上枠部分と床との間に形成される範囲から上記ドアの開閉領域を除いた領域であり、
上記照射部から照射された上記照射光の照射範囲と、上記受光部の受光範囲との重複範囲で、上記通過スペース内における領域を検出領域とし、上記差分信号を上記ドアの開閉動作の判定基準とする、
ことを特徴とするドアシステム。
【請求項2】
上記判定部は、上記差分信号を判定基準に使用して上記障害物が上記通過スペース内の上記検出領域に存在するか否かを判定する、請求項1記載のドアシステム。
【請求項3】
上記判定部は、上記差分信号を判定基準に使用して上記照射部及び上記受光部の少なくとも一方における故障の有無を判定する、請求項1記載のドアシステム。
【請求項4】
上記照射部、上記受光部、及び上記判定部は、パッケージ化され上記上枠部分に取り付けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載のドアシステム。
【請求項5】
上記照射部は、上記光源の照射側に配置され上記ドアの開閉方向に直交する奥行方向において上記照射光の照射範囲を制限する投光光学ユニットをさらに有するとともに、一又は複数の上記光源を有し、上記投光光学ユニットは、上記光源の個数又は配列に対応して一又は複数のプリズム及び曲面を有する凸形の円柱レンズである、請求項1から4のいずれか1項に記載のドアシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−195313(P2011−195313A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66184(P2010−66184)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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